11年後のレッドリスト|タテガミナマケモノ:変わらぬ危機を抱えたまま、森の影に寄り添っていた【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|タテガミナマケモノ:変わらぬ危機を抱えたまま、森の影に寄り添っていた【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

タテガミナマケモノ(Bradypus torquatus)は、

2014年、図鑑に【EN:危機】として分類されていました。

2025年、IUCNレッドリストで、【EN:危機】と評価されました。

つまり、2014年から2025年にかけて、タテガミナマケモノは

「変わらぬ危機を抱えたまま、森の影に寄り添っていた」状態なのです。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるタテガミナマケモノの最新評価は2025年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/237137603/237139785

タテガミナマケモノの現在地:失われゆく森と、人の好奇心の影

⬇︎タテガミナマケモノの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|タテガミナマケモノ(Northern Maned Sloth)
項目情報
和名タテガミナマケモノ
英名Northern Maned Sloth
学名Bradypus torquatus
分類哺乳類・ナマケモノ目・ミユビナマケモノ科
分布ブラジル東部の大西洋岸森林(バイーア州、エスピリトサント州、リオデジャネイロ州)に限定
主な生息地大西洋岸熱帯雨林(Atlantic Forest)の樹上生活が中心
体長約45〜75cm
体重約4〜6kg
寿命野生で20年以上、飼育下ではさらに長寿の例あり

特徴

  • 「タテガミ」状の毛並み:首から肩にかけて黒く長い毛束があり、この“たてがみ”が名前の由来。
  • 樹上性が極端に高い:一生のほとんどを樹上で過ごし、地上に降りるのは排泄のときなどごくわずか。
  • 食性は植物中心:主に若葉・新芽・果実をゆっくり食べ、消化に非常に時間がかかる。
  • 動きの遅さが特徴的:代謝が低く、活動量を最小限に抑えるため1日の大半を休息にあてる。
  • 色合いと毛質:密で長い毛は湿度の高い森林で水を弾く役割も持ち、苔が生えるほどの個体もいる。

生態と行動

  • 単独行動が中心:繁殖期以外はほぼ単独で暮らし、広い森林をゆっくり移動する。
  • 繁殖:妊娠期間は約6ヶ月。1回に1頭の子を産み、母親がしばらく抱えて育てる。
  • 行動範囲は狭い:特定の樹木を中心に生活するため、生息地の分断にとても弱い。
  • 捕食者:ジャガー、オセロット、大型猛禽類などが脅威となる。
  • 主な脅威:大西洋岸森林の伐採・分断、道路建設、違法飼育のための捕獲などにより個体群が減少。

2014年絶滅危惧種:タテガミナマケモノ【EN:危機】

適した生息地が絶え間なく消失したり分断されていることにより、その生存がおびやかされている。タテガミナマケモノはしばしば好奇心のために殺されることがあるが、食糧獲得のための狩猟で犠牲になることもあるだろう。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

【基本ステータス】

項目内容
最新のIUCN評価(2025)EN:危機
生息地ブラジル・東部の「大西洋岸森林(マタ・アトランティカ)」に固有
森林の現状本来の面積の 10%未満 に縮小、さらに 分断(fragmentation) が深刻
主な脅威生息地の消失・分断、違法取引、観光利用、気候変動、迷信による殺害

【好奇心による「殺され方」の意味】

区分内容の要点
①違法ペット目的の捕獲見た目の可愛らしさから「飼ってみたい」という好奇心で捕獲。
食べ物・環境が特殊なため 飼育下ではすぐに死んでしまう。
②観光セルフィー産業の犠牲「一緒に写真を撮りたい」という観光客の需要。
木から引きはがされ、次々に手渡され、ストレスと疲労で死亡。
③恐怖・迷信による殺害「不気味」「悪魔」などの迷信からターゲットにされる。
恐怖混じりの好奇心・残虐な遊びで殺される例も。

【2014年以降に強まった新たな脅威】

脅威の種類内容
気候変動(干ばつ)ブラジル東部で干ばつが増加。
葉の水分・栄養価が落ち、餓死のリスクが上昇
森林のさらなる分断道路建設・都市拡大で森が細切れに。
群れが孤立し 遺伝的多様性が低下
交通事故分断された森を移動しようとすると道路に出てしまい、車と衝突。
犬(外来化した個体)との接触追跡され傷つくことがある。感染症リスクも指摘されている。

タテガミナマケモノは、2025年のIUCNにおいて危機(EN)に分類され、依然として深刻な保全上の脅威に直面している。固有の生息地である大西洋岸森林は10%未満にまで縮小し、分断化が進行することで遺伝的孤立が強まっている。

加えて、違法捕獲や観光利用、迷信に基づく殺害に加え、近年は気候変動による干ばつが食物資源の質を低下させ、個体群の持続性をさらに脅かしている。

⬇︎タテガミナマケモノの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
生息地の保護大西洋岸森林(マタ・アトランチカ)の保護区拡大、森林伐採の規制、私有地保全プログラムの推進
森林回廊(コリドー)の整備分断された森林をつなぐ植林・生態回廊の設置により、孤立個体群の遺伝的多様性を維持
電線・道路対策感電や交通事故を防ぐため、電線の絶縁化、野生動物用橋梁・ロープ通路を設置
違法捕獲の監視ペット目的の捕獲や密輸を抑制するため、環境警察による取り締まりを強化
保護区の設定生息地の中心となるバイーア州・エスピリトサント州で新たな保護区申請や管理計画を推進
市民・地域参加住民による森林再生、環境教育、救護施設への協力などで保全意識を向上
救護・リハビリ交通事故・感電・森林火災で負傷した個体を保護し、回復後に野生復帰させる取り組み
研究とモニタリング生態調査、個体数の長期監視、GPSを用いた森林利用の解析、遺伝子調査

主な取り組み

  • 生息地保護:マタ・アトランチカの森林を守り、伐採・開発を抑制
  • 森林回廊の整備:分断された森林をつなぎ、個体群の孤立を防ぐ
  • 電線・道路対策:感電防止の絶縁化や、ロープブリッジによる安全な移動ルート確保
  • 違法捕獲の防止:ペット目的の密猟・密輸を取り締まり
  • 保護区の拡大:主要生息地であるバイーア州・リオ州で保護地域を設定
  • 救護活動:感電・事故・火災で傷ついた個体を治療し野生へ戻す
  • 市民参加の促進:住民・学校・NGOによる植林、環境教育、地域型プロジェクト
  • 研究・モニタリング:GPS追跡、遺伝調査、森林利用の解析、個体数推移の記録

最後に

読んでみて、どう感じましたか?

「“好奇心のため”って、観光客の写真目的とか、珍しい生き物を飼ってみたいっていう、人間のエゴのことだったんですね。後半に出てくる“食糧を得るための狩猟”は、生きるためという側面もあるんだろうけど、“好奇心のため”っていうのは、なんだか余計に悲しい気がします。でも、そもそもどうして人は、珍しい生き物にそこまで興味を持ったり、飼いたくなったりするんでしょう?」

ふだんあまり意識しないところですが、この疑問はかなり根が深そうです。

もう少し掘り下げて調べてみますね。


心理の種類説明の要点具体的な行動例/結果
1. 希少性の原理(レア=価値がある)手に入りにくいものほど価値があると感じる心理。所有欲・優越感が刺激される。・絶滅危惧種を「ステータス」として飼育したくなる
・コレクター心理が暴走し、生き物を“モノ”として扱う
2. バイオフィリアの歪み(自然への渇望)人間が自然や生命に惹かれる本能が、都市化により歪む。自然との距離感を誤る。・自然への憧れを「手元で飼う」で満たそうとする
・“見守る”ではなく“支配する”方向に向かう
3. ベビースキーマの罠(かわいさ=触りたい)丸顔・大きな目など赤ちゃんに似た特徴を見ると、「守りたい」「触れたい」本能が働く。・「抱っこしたい」「撫でたい」が暴走
・ナマケモノなど野生動物にとっては致命的なストレスとなり死亡につながる
4. 支配欲と好奇心のダークサイド好奇心が「未知を手元に置いて支配したい」という征服欲と混ざる。・「言うことを聞くか試したい」
・「野生を自分が懐かせてみたい」などの行動
・珍獣飼育の動機となる

人間が希少生物を欲求する背景には複数の心理的要因が指摘される。

まず、希少性の原理により入手困難な対象を高く評価し、所有欲やステータス志向が助長される。

加えて、自然への生得的な志向性であるバイオフィリアが都市化によって歪み、野生生物を手元で保持しようとする行動につながる。

さらに、幼形成熟的特徴への反応(ベビースキーマ)が安易な接触欲求を誘発し、野生動物に深刻なストレスを与える。

最後に、好奇心が支配欲と結びつくことで、生物を制御しようとする行動が生じ、違法飼育や乱獲の動機となる。


「たしかに私も、かわいいものを見るとつい目がいってしまうし、目の前に小さな動物がいたら“触ってみたい”とか、“自分の手の中に置いてみたい”って思うことはあります。自己弁護ではないけれど、これは誰にでもある自然な感情で、本来は“生まれたばかりの命を守るため”に人に備わった本能なんですよね。」

私もまったく同じように感じます。

人は、丸かったり小さかったり、ころころしていたりする存在を大切に見守ろうとする、すごく素敵な感性を持っています。でもその力が、方向を間違えると“観光地での触れ合いビジネス”や、“珍しい動物を飼ってみたい”という欲望にすり替わってしまうのだと思います。

特に都会で暮らしていると、自然と触れ合う機会が極端に減ってしまいますよね。その不足感があるからこそ、無意識のうちにこうした行動をとってしまうのも、ある意味では仕方のないことなのかもしれません。

今は「自然を守るにもお金が必要な時代」になっていて、
“観光で収益を得て、そのお金で保護活動を続ける”
というサイクルがあちこちで使われています。
出典:Nature-Based Tourism

でも同時に、その観光によって、そこに暮らす生き物たちが逆に追い詰められてしまうケースも実際に起きています。

とても難しい問題ですよね。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

タテガミナマケモノに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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