※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
※当サイトはアフィリエイト広告による収益を得ています。
こんにちは、fukumomo3_photo です。
オンセンスイレン(Nymphaea thermarum)は、
2014年、図鑑に【EW:野生絶滅】として分類されていました。
その後の調査と再評価により、IUCNレッドリストの最新評価(2024年)では【CR:深刻な危機】に再分類されました。
つまり、2014年から2024年にかけて、
オンセンスイレンは「消えたはずの花が、静かに未来を待っている」状態になりました。
※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるオンセンスイレンの最新評価は2024年版です。それ以降の更新は行われていません。
この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでくれると嬉しいです。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/185459/249717119
研究と支援の積み重ねが生んだ奇跡
⬇︎オンセンスイレンの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 和名 | オンセンスイレン(温泉睡蓮) |
| 英名 | Pygmy Rwandan Waterlily / Thermal Waterlily |
| 学名 | Nymphaea thermarum |
| 分類 | 被子植物・スイレン科(Nymphaeaceae) |
| 分布 | アフリカ・ルワンダの一部地域(原産地はキガリ州付近の温泉地) |
| 主な生息地 | 温泉地の流れ出る浅い水辺の湿地 |
| 形態 | 世界最小のスイレン。直径約1cmの葉、花は直径1cm前後 |
| 特徴的サイズ | 花径:約1cm、葉径:約1cm、草丈:数cm |
| 寿命 | 多年生植物だが、自生地では絶滅 |
特徴
- 名前の由来:「オンセンスイレン」は、温泉地の湿地でしか見つからなかったことに由来。
- 世界最小:現存するスイレン属の中で最も小さい種で、鉢植えでも指先にのるサイズ。
- 花の特徴:白色〜淡いクリーム色の花を咲かせ、直径はわずか1cm程度。
- 葉の特徴:小さな円形の葉を地表に広げる。一般的なスイレンのように大きな浮葉は持たない。
- 生態的特殊性:水中ではなく、温泉から湧き出す湿った泥の上に根を張り、浅い水分を必要とする。
生態と行動
- 生息環境:温泉の湧出による湿地のごく限られた場所にしか生育できなかった。
- 繁殖:種子や株分けで繁殖可能だが、自然界では条件が特殊すぎて拡大しにくい。
- 環境依存性:水位が深いと枯れてしまうため、浅い湿潤土壌が必須。
- 開花習性:花は日中に咲き、数日で閉じる。
保全状況
- IUCNレッドリスト:EX(野生絶滅, Extinct in the Wild)
- 主な脅威:
- 温泉地の開発・水利用による自生地破壊
- 生息範囲が極端に狭かったため環境変化に耐えられなかった
- 保護活動:
- 王立キューガーデン(イギリス)での人工栽培に成功(2009年)
- 世界中の植物園や研究機関で培養・維持管理されている
- 種の保存と遺伝資源の保護を目的とした増殖が継続中
2014年絶滅危惧種:オンセンスイレン【EW:野生絶滅】
この湿地植物はルワンダのマッシューザの温泉からあふれた水でできた泥状の土地のただ1か所で知られているだけである。2008年に農民たちが温泉の元になっていた帯水層を農地に転換したために環境が破壊され、この種は自然界から絶滅した。
出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014
| 時期 | 出来事 | 詳細・背景 |
|---|---|---|
| 1987年 | 初発見 | ドイツの植物学者エーベルハルト・フィッシャー氏がルワンダ南西部マシュザの温泉近くで発見。葉は直径約1cm、白い花。生育環境は温泉由来の湿った泥地。 |
| 2008年頃 | 野生絶滅 | 地元住民が農業のため温泉の流れを変え、生育地が乾燥。野生では消失。IUCNは「野生絶滅(EW)」に分類。 |
| 2009年 | 栽培成功 | 王立植物園(キューガーデン)のカルロス・マグダレナ氏が、生育環境を再現し人工栽培に成功。世界で初めて人工下での開花。 |
| 2014年 | IUCN評価 | 図鑑では【EW:野生絶滅】、IUCN公式レッドリストでは【CR:深刻な危機】に分類。 |
| 2023年7月 | 野生で再発見 | ルワンダ大学・欧州研究者チームが、新たな野生個体群を発見。温泉水が流れ込む小さな水路沿いに生育。 |
| 現在(2025年) | 保全への課題 | 新たな生息地も鉱山開発や土地利用で脅威に晒されている。ルワンダ政府・地域社会と連携し、保全計画や再導入が検討中。 |
オンセンスイレンの再発見は喜ばしいニュースですが、その未来は決して安泰ではない。
新たに発見された生息地もまた、鉱山の開発や地域住民による土地利用の変化といった脅威に晒されている。
そして、一度は野生から消えた小さなスイレンの物語は、一つの種の存続がいかに多くの人々の努力と情熱、そして偶然によって支えられてきたかを示している。
⬇︎オンセンスイレンの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎
| 保護活動の種類 | 内容の概要 |
|---|---|
| 自然生息地の保護 | ルワンダの温泉周辺が唯一の自生地であったため、水源環境や湿地の保全が重要視されている |
| 園芸栽培・増殖 | 英国キュー王立植物園などで人工栽培に成功し、種の維持・拡大に取り組んでいる |
| 種子保存・遺伝資源保護 | 種子バンクや遺伝資源保存施設での保存により、絶滅リスクを軽減 |
| 公的認知・教育 | 世界最小のスイレンとして紹介され、植物保護の重要性を広める教育的価値がある |
| 国際協力 | 植物園間の種子交換や共同研究により、種の長期的存続を目指す |
| 研究とモニタリング | 開花条件、水質環境、繁殖メカニズムの研究を継続的に実施 |
主な取り組み
- 生息地保全:唯一の自生地であったルワンダの湿地環境保護を検討
- 植物園での保護:キュー王立植物園などでの人工栽培により維持
- 種子保存:遺伝子バンクで種子や株を保管
- 国際連携:世界各地の植物園と協力して個体群を増殖
- 教育啓発:希少植物として一般公開し、保全意識を高める
- 科学研究:開花や繁殖条件の解明に向けた研究
最後に
これを読んで、どのように感じましたか?
「捜索費用は税金?」
と、資金源が気になる?
「寄付金が有効利用されて嬉しい…」
と、一人一人の積み重ねを信じますか?
感じ方は、いろいろあると思います。
| 区分 | 主な内容 | 詳細 |
|---|---|---|
| 1. 税金(政府からの助成金) | キューガーデンの運営費 | 英国政府(Defra)がスポンサー。予算の約1/3〜1/2を助成金で賄い、専門家雇用や研究施設維持に使用。 |
| 大学・研究機関への交付金 | ルワンダ、ドイツ、イタリアの研究者活動も各国政府の運営費交付金や研究助成金(税金由来)で支えられている。 | |
| 2. 寄附(民間からの資金) | キューガーデンの自己資金 | 運営費の残りは寄附金・会員費・入場料・商業活動。特に「絶滅危惧種保護」テーマは寄附を集めやすい。 |
| 特定プロジェクトへの助成金 | 国際共同研究は民間財団や環境団体(例:ナショナルジオグラフィック協会)からの助成を受けることが多い。原資は個人・企業からの寄附。 |
国の税金によって支えられた研究機関という「土台」がある。
さらに、支援者からの寄附金によって特定のプロジェクトが「加速・実現」する。
このような、ハイブリッドな形で成り立っているのが、現代の科学研究や生物多様性保全活動の実態と考えると、
このスイレンの物語は、環境保護と地域住民の生活との間の避けられない軋轢を乗り越えたまさに、奇跡の物語だ。
ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?
コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。
あなたの貴重な命である5分間を本当にありがとうございました。
オンセンスイレンに、あなたの5分が届くことを祈ります。
fukumomo3_photo
インスタでは、オンセンスイレンたちの姿を“図鑑みたいに”並べて見られます。
ビジュアルで伝える命の物語、よかったらのぞいてみてください。



コメント