11年後のレッドリスト|ジュリアナキンモグラ:静かな地の底で、未来の音がかすれていった【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|ジュリアナキンモグラ:静かな地の底で、未来の音がかすれていった【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

ジュリアナキンモグラ(Neamblysomus julianae)は、

2014年、図鑑に【VU:危急】として分類されていました。

2015年、IUCNレッドリストで、【EN:危機】と評価されました。

つまり、2014年から2015年にかけて、ジュリアナキンモグラは

「静かな地の底で、未来の音がかすれていった」状態になってしまいました。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるジュリアナキンモグラの最新評価は2015年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/1089/21285354

点で見た世界に、円が描けなかった11年

⬇︎ジュリアナキンモグラの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|ジュリアナキンモグラ(Juliana’s Golden Mole)
項目情報
和名ジュリアナキンモグラ
英名Juliana’s Golden Mole
学名Neamblysomus julianae
分類哺乳類・アフリカトガリネズミ目(テンレック目)・キンモグラ科(Chrysochloridae)
分布南アフリカ共和国(プレトリア周辺、ブロンクホルツスプルイト、ナンデニ地区)
主な生息地砂質またはローム質の土壌をもつ草原・サバンナ地帯
体長約8〜9cm
体重約20〜40g
寿命推定5〜7年(野生下)
IUCN評価【EN:危機(Endangered)】(IUCN, 2015)

特徴

  • 外見:光沢のある金色から赤褐色の被毛を持ち、名前のとおり“黄金色のモグラ”。
  • 眼の退化:地下生活に適応し、眼は皮膚の下に埋もれて見えない。
  • 聴覚と触覚が発達:振動を感じ取るための感覚毛と優れた聴覚を持つ。
  • 名前の由来:発見者ジュリアナ・スミスにちなんで名付けられた。
  • 適応力:土壌環境の変化に敏感で、地面の乾燥や農地化により容易に生息地を失う。

生態と行動

  • 生活様式:完全な地中生活者。地表にはほとんど出ず、柔らかい土壌にトンネルを掘って移動する。
  • 食性:主に昆虫食で、シロアリ・ミミズ・甲虫の幼虫などを捕食する。
  • 繁殖:詳細は不明だが、他のキンモグラ類と同様、1回に1〜3頭の子を産むと考えられている。
  • 活動時間:昼夜問わず、地中で活動する。
  • 天敵:ヘビや猛禽類、野生ネコ類が知られる。
  • 脅威:都市開発・鉱山採掘・農業拡大による生息地破壊が最大の脅威。
  • 保全状況:プレトリア大学と南アフリカ国立公園局による調査・DNA研究・保護区設定が進行中。

2014年絶滅危惧種:ジュリアナキンモグラ【VU:危急】

この動物にとって限定的なサバンナの生息環境は、激しい都市化、採鉱活動、そしてその影響がもっとも懸念される農業によって、深刻な脅威にさらされている。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

脅威の区分概要現在の影響(2025年時点)備考
都市化(最も深刻な脅威)南アフリカ・ハウテン州(特にプレトリア東部のブロンバーグ・リッジ周辺)では、急速な都市開発が進行。住宅地・商業地開発により砂地サバンナが破壊され、生息地が断片化。生息地の直接的な喪失と分断が進行中。個体群の孤立が深刻化している。都市開発が最大の脅威とされる。
採鉱活動建設資材としての砂や石の採掘が継続。ジュリアナキンモグラが必要とする「緩い砂質土壌」が失われている。地下環境の崩壊が続き、営巣や採餌の場が消失。採鉱が地域の雇用と結びついており、規制が困難。
農業・土地管理過度な放牧や不適切な火入れ、農地拡大などが生息地を劣化させている。特にリンポポ州(Nylsvley自然保護区周辺)で影響が顕著。土壌圧縮や植生変化により、地下生息に不適な環境へ。

この種は、もともと南アフリカの2〜3箇所(ハウテン州とリンポポ州)の非常に限定された砂地のサバンナにしか生息していない。

そのため、生息地がピンポイントで開発の対象となる都市化と採鉱活動の影響を極めて受けやすく、2014年時点の懸念は全く解消されていない。

むしろ、プレトリア周辺の開発圧力は増しており、状況は依然として深刻であると言える。

⬇︎ジュリアナキンモグラの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
生息地の保全南アフリカ・プレトリア周辺の草原や疎林地帯に残る自然環境を保護。都市開発や採掘による生息地破壊を抑制。
保護区の設定“Bronberg Ridge Conservancy” や “Pretoria East Grassland Reserve” など、生息地を含む区域の自然保護区化を推進。
開発計画の調整住宅地拡大や道路建設時に「環境影響評価(EIA)」を義務付け、モグラの生息域への影響を最小化。
土壌保全と植生回復採掘・建設による地盤攪乱後の土壌修復と在来植物の再生を行う。
調査とモニタリング地下生態のため発見が困難なため、音響センサーや土壌トラップを用いて分布や個体数を記録。
法的保護南アフリカの国家環境法(NEMBA)で「特別保護動物」として指定され、捕獲・移動・販売を禁止。
市民・教育活動地域住民・学校を対象に地下生物多様性の重要性を伝える教育・啓発プログラムを実施。

主な取り組み

  • 生息地保全:プレトリア東部の草原・丘陵地を中心に自然環境の維持
  • 保護区整備:Bronberg Ridge一帯を保全対象として管理体制を強化
  • 開発規制:環境影響評価(EIA)で開発を制限
  • 土壌修復:開発跡地の再植生や地盤の自然回復を推進
  • 調査・モニタリング:音響検出やトラップ法で分布状況を定期的に観測
  • 法的保護:国家環境法(NEMBA)で特別保護種に指定
  • 教育啓発:学校・地域イベントで地下生態系の理解を促進

最後に

これを読んでみて、どのように感じましたか?

「2014年って、パリ協定の前の年なんですよね。」

あの頃はまだ“地球温暖化”って呼ばれていて、世界中でその問題が取り上げられていました。

そして翌年、各国の首脳たちがパリに集まって、気候変動への対策を話し合い、取り決めをしたんですよね。

「それなのに、あれから何も変わっていないんだね…」

そう思うと、ちょっと気になりますよね。

調べてみましょう。


区分内容現状・背景備考
1. 南アフリカとパリ協定(気候変動への取り組み)南アフリカはパリ協定を批准し、温室効果ガス削減目標(NDC)を提出。2024年7月には「気候変動法」を制定し、産業別に排出目標を設定。2019年には「炭素税法」も導入。国としては脱炭素への姿勢を明確にしている。気候変動対策は国際的評価を得つつある。
2. 気候変動対策と生息地開発のズレ国の焦点は「石炭火力発電」からの脱却(CO₂削減)。一方で、ジュリアナキンモグラの脅威は「都市開発」と「砂の採掘」。気候変動対策は“空気の問題”、モグラの危機は“土地の問題”。両者の方向がかみ合っていない。パリ協定では守れない「足元の自然」がある。
3. なぜ開発は止まらないのか(国内の優先順位)アパルトヘイト後も続く失業率の高さと経済格差が、開発推進の背景にある。経済成長と雇用創出、住宅供給、鉱業依存が政府の最優先課題。「生活を支える開発」と「自然を守る保全」のせめぎあいが続く。

南アフリカにとって、パリ協定(気候変動対策)で取り組むべき課題は「石炭からの脱却」であり、ジュリアナキンモグラの生息地で起きている「都市開発」は、それとは別の「国内の経済・雇用問題」として扱われている。

そして、この「絶滅危惧種の生息地保護」と「差し迫った経済開発・雇用創出」が天秤にかけられた時、後者が優先されてしまっているのが、2014年から変わらない(あるいは悪化している)現状の理由である。


「結局、問題を“円”で見ずに、“点”で見てしまった結果なんですね。」

人間の視点だけで物事を考える。
そんな“人間中心の考え方”のまま、この11年が過ぎてしまったように思います。

でも、これは南アフリカだけの話ではありません。
悲しいことに、世界中のあちこちで同じことが起きています。

もし、みんなが“点”ではなく“円”で物事をとらえ、さらにその“円”がつながって“球(地球)”として考えられるようになれば、きっとすべての生きものが、この星でもう少し生きやすくなる。

そんな未来が見えてくる気がします。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

ジュリアナキンモグラに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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