※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
Hello, it’s 鶏人|Keijin.
In the 2014 records, the Javan Rhino (Rhinoceros sondaicus) was assessed as “CR: Critically Endangered.” This was the result of years of relentless poaching for their horns, shrinking habitats, dangerously low numbers, and the fact that every single one of them was concentrated in just one area.
Fast forward to 2026, and their status on the IUCN Red List remains exactly the same—still “CR: Critically Endangered.”
Recently, however, conservation efforts have really stepped up. We’re seeing population tracking through camera traps and DNA analysis, stricter patrols and law enforcement to stop poachers, and ongoing habitat restoration. On top of that, to reduce the massive risk of keeping all the rhinos in one basket, there are plans to relocate individuals to the JRSCA and establish a second population.
It hasn’t been easy—we faced a heartbreaking setback when the first relocated rhino was lost. But in 2026, a new calf was spotted, proving that they are still breeding in the wild.
I think the current situation for the Javan Rhino comes down to this: “New life is being born, but they still have nowhere to run.”
I’ve tucked the more detailed information into the expandable section below. Even if you only check out this main text, I’d be really grateful if you could read it to the end.
こんにちは、鶏人|Keijinです。
ジャワサイ(Rhinoceros sondaicus)は、2014年の図鑑では、サイ角を目的とした長年の密猟、生息地の縮小、個体数の少なさ、そして全個体が一つの地域に集中していることなどから「CR:深刻な危機」と評価されていました。
そして、2026年時点で確認できるIUCNレッドリストの評価も、2014年と変わらず、「CR:深刻な危機」のままでした。
近年は、カメラトラップやDNA調査による個体確認、密猟を防ぐための巡視と法執行、生息地の改善などが進められています。さらに、一つの地域だけに依存する危険を減らすため、JRSCAへの個体移送や第二個体群の形成も計画されています。最初の移送個体を失う厳しい結果もありましたが、2026年には新しい幼獣が確認され、野生下での繁殖は今も続いています。
ジャワサイは今も、「命は生まれ、逃げ場はまだ生まれない」という状態なのだと思います。
少し詳しい内容は折りたたみの中にまとめています。
まずは本文だけでも、最後まで読んでもらえたらうれしいです。
※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2019年評価(2020年公開)です(以降の更新は、現時点では確認できていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Rhinoceros sondaicus)
ジャワサイの生息地と個体数|2014年と2026年の現状を比較
⬇︎ジャワサイの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

ジャワサイ Rhinoceros sondaicus は、現在、インドネシア・ジャワ島西端のウジュン・クロン国立公園だけに生き残る一角型のサイです。日本哺乳類学会の「世界哺乳類標準和名目録」では、ジャワサイが標準和名として採用されています。
IUCNレッドリストではCR:深刻な危機です。2020年の正式評価は68頭を基礎としていましたが、その後、2019~2023年に最大26頭が密猟されたことが判明し、2025年に公表された国際的な推定は約50頭まで減少しています。地球上の全個体が一つの国立公園に集中し、飼育下には1頭もいません。
| 区分 | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| 名称 | 和名 | ジャワサイ |
| 名称 | 標準和名 | 日本哺乳類学会「世界哺乳類標準和名目録」で採用されている |
| 名称 | 英名 | Javan Rhinoceros |
| 名称 | 別英名 | Javan Rhino |
| 名称 | その他の英名 | Lesser One-horned Rhinoceros |
| 名称 | 英名の意味 | Lesser One-horned Rhinocerosは、インドサイより小型の「小さい一角型サイ」という意味 |
| 名称 | インドネシア語名 | Badak Jawa |
| 名称 | 学名 | Rhinoceros sondaicus |
| 名称 | 学名表記 | Rhinoceros sondaicus Desmarest, 1822 |
| 名称 | 命名者 | Anselme Gaëtan Desmarest |
| 名称 | 記載年 | 1822年 |
| 名称 | 原記載時の綴り | rhinoceros sondaïcus |
| 名称 | 属名の意味 | Rhinocerosはギリシャ語の「鼻」と「角」に由来する |
| 名称 | 種小名の意味 | sondaicusはスンダ列島・スンダ地方に由来し、「スンダ産の」という意味 |
| 名称 | タイプ産地 | インドネシア・ジャワ島 |
| 名称 | タイプ産地の訂正 | 原記載ではスマトラとされたが、後にジャワ島へ訂正された |
| 名称 | ホロタイプ | フランス国立自然史博物館の標本MNHN 508 |
| 分類 | 界 | Animalia、動物界 |
| 分類 | 門 | Chordata、脊索動物門 |
| 分類 | 綱 | Mammalia、哺乳綱 |
| 分類 | 目 | Perissodactyla、奇蹄目 |
| 分類 | 科 | Rhinocerotidae、サイ科 |
| 分類 | 属 | Rhinoceros、インドサイ属 |
| 分類 | 現生の同属種 | インドサイ Rhinoceros unicornis |
| 分類 | 現在の分類上の扱い | 独立した有効種 |
| 分類 | 亜種数 | 伝統的には3亜種が認められる |
| 分類 | 基亜種 | Rhinoceros sondaicus sondaicus |
| 分類 | 基亜種の状態 | 現存。ウジュン・クロン国立公園の個体群 |
| 分類 | ベトナム亜種 | Rhinoceros sondaicus annamiticus |
| 分類 | ベトナム亜種の状態 | 絶滅。最後の個体は2010年にベトナムで密猟された |
| 分類 | インド亜種 | Rhinoceros sondaicus inermis |
| 分類 | インド亜種の状態 | 絶滅。かつてインド北東部、バングラデシュ、ミャンマー周辺に分布した |
| 分類 | インドサイとの違い | ジャワサイの方が小型で、角が短く、皮膚のひだの形や頭骨にも違いがある |
| 分布 | 現在の分布国 | インドネシア |
| 分布 | 現在の分布島 | ジャワ島 |
| 分布 | 現在の生息地 | ジャワ島西端のウジュン・クロン国立公園 |
| 分布 | 行政区域 | インドネシア・バンテン州 |
| 分布 | 現存個体群 | 世界で一つの野生個体群のみ |
| 分布 | 飼育個体群 | 現在、飼育下の個体はいない |
| 分布 | 歴史上の飼育個体 | 過去に飼育されたことが確認されているのは合計22頭のみ |
| 分布 | 歴史的分布 | バングラデシュ、インド北東部、ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジア、ベトナム、マレー半島、スマトラ島、ジャワ島 |
| 分布 | 中国での過去分布 | 中国南部にも分布していた可能性がある |
| 分布 | 19世紀以前 | 東南アジアの広い低地林、河川流域、氾濫原などに生息していた |
| 分布 | 分布縮小の時期 | 19世紀中頃以降、狩猟と生息地破壊によって急速に消失した |
| 分布 | ミャンマーの最終記録 | 1920年前後 |
| 分布 | マレー半島の最終記録 | 1932年前後 |
| 分布 | スマトラ島の最終記録 | 1959年前後 |
| 分布 | ベトナム個体群 | カティエン国立公園に最後の小集団が残った |
| 分布 | ベトナム最後の個体 | 2010年5月に密猟され、角を切り取られた状態で発見された |
| 分布 | ベトナムでの絶滅確認 | 2011年に絶滅が公表された |
| 分布 | ウジュン・クロンへの限定 | ジャワ島の個体群は1930年代ごろから同地域だけに残っている |
| 分布 | 生物地理区 | 東洋区・インドマレー区 |
| 分布 | 主な標高 | 海抜0~600m |
| 分布 | 過去の高標高記録 | 歴史的には標高1,000mを超える地域からも記録された |
| 生息環境 | 現在の主要環境 | 熱帯・亜熱帯の湿潤低地林 |
| 生息環境 | 森林タイプ | 低地熱帯雨林、半常緑二次林、海岸林、湿地林 |
| 生息環境 | 河川との関係 | 河川、湿地、泥地、沼などの水辺に近い場所をよく利用する |
| 生息環境 | 開放地 | 倒木跡、林冠の隙間、低木地など、若い植物が多い開けた場所も重要 |
| 生息環境 | 過去に利用した環境 | 混交林、草地、山地林、河川沿いの開放環境など |
| 生息環境 | 現存環境の位置づけ | 現在の密生した低地林は最後の避難場所であり、本来の最適環境とは限らない |
| 生息環境 | 水場 | 飲水、移動、泥浴びのために恒常的な水場を必要とする |
| 生息環境 | 泥浴び場 | 体温調節と皮膚の保護に欠かせない |
| 生息環境 | 鉱物塩 | 塩分やミネラルを得られる場所も生息地選択に影響する |
| 生息環境 | 乾季の問題 | 水場が減少すると移動範囲と利用可能な生息地が制限される |
| 形態 | 体型 | 胴が太く、四肢が短く頑丈な大型の陸生哺乳類 |
| 形態 | 頭胴長 | 約2.0~4.0m |
| 形態 | 肩高 | 約1.5~1.7m |
| 形態 | 体重 | 約900~2,300kg |
| 形態 | 雄雌の大きさ | 雌雄とも大型で、明瞭な体格差に関する野生データは少ない |
| 形態 | 基本体色 | 灰色、灰褐色、暗灰色 |
| 形態 | 皮膚 | 厚く、ほとんど毛がない |
| 形態 | 皮膚のひだ | 首、肩、背中、腰に大きなひだがある |
| 形態 | ひだの見え方 | 体が複数の装甲板で覆われているように見える |
| 形態 | インドサイとの外見差 | ジャワサイの皮膚のひだは比較的浅く、インドサイほど大きなこぶ状突起が目立たない |
| 形態 | 角の数 | 1本 |
| 形態 | 雄の角 | 一般に最大約25cm |
| 形態 | 雌の角 | 非常に小さいか、外見上ほとんど見えないことが多い |
| 形態 | 角の主成分 | ケラチン |
| 形態 | 角の性質 | 骨ではなく、毛や爪と同じ種類のタンパク質が密集した構造 |
| 形態 | 現生サイとの比較 | 現生5種のサイの中で最も小さな角を持つ |
| 形態 | 吻 | 上唇の先端が長く、前方へ突き出す |
| 形態 | 上唇の役割 | 葉、枝、若芽をつかんで口へ運ぶ |
| 形態 | 歯 | 植物を切断・すり潰す臼歯を持つ |
| 形態 | 下顎の切歯 | 雄同士の争いや防御に使われることがある |
| 形態 | 耳 | 丸みがあり、自由に向きを変えられる |
| 形態 | 聴覚 | 発達している |
| 形態 | 嗅覚 | 発達している |
| 形態 | 視覚 | 聴覚や嗅覚に比べて弱いと考えられる |
| 形態 | 尾 | 比較的短く、先端に毛の房がある |
| 形態 | 足 | 各足に3本の指を持つ |
| 形態 | 足跡 | 大型の3本指の足跡を残し、個体の存在を確認する重要な手掛かりになる |
| 形態 | 泳ぐ能力 | 河川や浅い水域を移動できる |
| 生態 | 食性 | 植物食 |
| 生態 | 採食型 | 主に木本植物を食べるブラウザー |
| 生態 | 現在の主食 | 葉、若芽、柔らかい枝、小枝、果実 |
| 生態 | 草の利用 | 歴史的な開放環境では、草本も利用する混合食者だった可能性がある |
| 生態 | 確認された食用植物 | 300種を超える植物が食物として確認されている |
| 生態 | 特に利用する植物 | 林冠の隙間や二次植生に生える若木、低木、つる植物 |
| 生態 | 採食方法 | 上唇で枝葉をつかみ、引き寄せて食べる |
| 生態 | 太い枝への対応 | 体や頭で若木を押し倒し、届かなかった葉を食べることがある |
| 生態 | 果実 | 地面に落ちた果実も食べる |
| 生態 | 推定摂食量 | 大型の草食獣として毎日大量の植物質を必要とするが、野生下の正確な日量は十分に判明していない |
| 生態 | 消化方式 | 後腸発酵型 |
| 生態 | 発酵部位 | 盲腸と大腸で微生物発酵を行う |
| 生態 | 反芻 | ウシやシカのような反芻は行わない |
| 生態 | 生態系での役割 | 大量の植物を食べ、林内に開けた場所や移動路をつくる大型草食獣 |
| 生態 | 種子散布 | 果実を食べ、糞とともに種子を運ぶ可能性がある |
| 生態 | 植生への作用 | 若木や低木を食べることで森林の更新と植生構造に影響する |
| 行動 | 活動時間 | 昼夜の両方で活動する |
| 行動 | 人間活動の影響 | 人の活動がある場所では夜間の活動が増える可能性がある |
| 行動 | 社会性 | 基本的に単独性 |
| 行動 | 一緒に行動する例 | 母親と子、交尾期の雌雄 |
| 行動 | 恒常的な群れ | 形成しない |
| 行動 | 行動圏 | 雌はおおむね500ha以下と推定され、雄はより広い範囲を利用する |
| 行動 | 縄張り | 厳格に行動圏全体を防衛するとは考えられていない |
| 行動 | 個体間の行動圏 | 一部が重複する |
| 行動 | 長距離移動 | 季節的な渡りは行わない |
| 行動 | 1日の移動 | 餌や水場を探して長距離を移動する場合がある |
| 行動 | 泥浴び | 水と泥に体を沈める |
| 行動 | 泥浴びの効果 | 体温を下げ、皮膚の乾燥、吸血昆虫、外部寄生虫を抑える |
| 行動 | 泥浴び場の再利用 | 同じ泥浴び場を長期間繰り返し利用する |
| 行動 | 休息 | 泥浴び場、茂み、日陰などで休む |
| 行動 | においによる情報伝達 | 尿、糞、分泌物を利用して他個体へ情報を残す |
| 行動 | 糞場 | 同じ場所に繰り返し排糞することがある |
| 行動 | 木へのマーキング | 角や体を木へこすりつけ、傷やにおいを残す |
| 行動 | 鳴き声 | 鼻息、うなり声、甲高い声などを使うと考えられるが、観察資料は少ない |
| 行動 | 人への反応 | 非常に警戒心が強く、通常は人を避ける |
| 行動 | 攻撃性 | 追い詰められたり驚いたりすると突進する可能性がある |
| 繁殖 | 繁殖生態の情報量 | 野生個体が少なく、飼育繁殖例もないため詳細は十分に解明されていない |
| 繁殖 | 繁殖方法 | 胎生 |
| 繁殖 | 交尾制度 | 基本的には単独で暮らし、繁殖可能な時期だけ雌雄が接近すると考えられる |
| 繁殖 | 妊娠期間 | 約15~16か月と推定される |
| 繁殖 | 1回の産子数 | 通常1頭 |
| 繁殖 | 双子 | 極めてまれと考えられる |
| 繁殖 | 出産間隔 | 資料によって推定2~5年程度と幅があり、正確な種固有値は不明 |
| 繁殖 | 雌の性成熟 | 約5~7歳と推定される |
| 繁殖 | 雄の性成熟 | 約10歳と推定される |
| 繁殖 | 子育て | 母親だけが子を育てると考えられる |
| 繁殖 | 母子関係 | 子は独立するまで母親と行動する |
| 繁殖 | 世代時間 | IUCN評価では約12年 |
| 繁殖 | 推定寿命 | 約30~40年 |
| 個体数 | 1967年の推定 | 約25頭 |
| 個体数 | 2013~2014年 | 約58~61頭 |
| 個体数 | 2017~2018年 | 約68頭 |
| 個体数 | 2022年の推定最高値 | 約76頭 |
| 個体数 | 近年判明した密猟 | 2019~2023年に最大26頭が殺されたとされる |
| 個体数 | 2024~2025年の国際推定 | 約50頭 |
| 個体数 | 最新推定の性質 | 全個体を同時に直接数えた値ではなく、監視記録と密猟被害を基にした概数 |
| 個体数 | 性比 | 近年の資料では、雄約2頭に対して雌約1頭という偏りが指摘されている |
| 個体数 | 個体数傾向 | 2020年のIUCN評価は安定としていたが、その後判明した密猟によって大幅な減少が確認された |
| 個体数 | IUCN評価時の成熟個体数 | 2019年評価では約18頭と推定された |
| 個体数 | 成熟個体18頭の意味 | 当時の総数68頭のうち、実際に繁殖へ参加すると推定された個体の割合から算出された |
| 個体数 | 亜個体群数 | 1 |
| 個体数 | 全個体の集中 | すべての個体が一つの亜個体群に含まれる |
| 個体数 | 遺伝的多様性 | 極端な小集団化により低下している |
| 個体数 | 近親交配 | インドネシア政府の2025年資料では、高い近交水準が報告されている |
| 個体数 | 自然繁殖 | カメラトラップで母子や幼獣が記録されており、繁殖そのものは続いている |
| 保全状況 | IUCNレッドリスト | CR:深刻な危機 |
| 保全状況 | IUCN評価基準 | D |
| 保全状況 | 現行正式評価 | 2020年公表、2019年5月評価 |
| 保全状況 | 基準Dの理由 | 成熟個体数が50頭未満と推定されたため |
| 保全状況 | CITES | 附属書Ⅰ |
| 保全状況 | CITES掲載 | 1975年から附属書Ⅰの対象 |
| 保全状況 | インドネシア国内 | 法律によって厳重に保護されている |
| 最大の脅威 | 密猟 | 角を目的とする密猟 |
| 密猟 | 歴史的影響 | 過去の広大な分布域から本種を消滅させた主要因 |
| 密猟 | 近年の再発 | 長期間、密猟がないと考えられていたウジュン・クロンで、2019~2023年の大規模な被害が判明した |
| 密猟 | 小集団への影響 | 数頭の損失でも繁殖可能な個体と遺伝的多様性を大幅に失う |
| 生息地 | 単一地域への集中 | 一つの災害や感染症で種全体が失われる危険がある |
| 生息地 | 収容力 | ウジュン・クロン半島の環境は、個体数を増やせる限界に近い可能性がある |
| 生息地 | 侵略的植物 | ヤシ科のArenga obtusifoliaが広がっている |
| 生息地 | 現地名 | langkap、ランカップ |
| 生息地 | ランカップの影響 | 林床を暗くし、サイが食べる若木や低木の成長を妨げる |
| 生息地 | バンテンとの競合 | ジャワバンテンと一部の食物資源が重なる可能性がある |
| 生息地 | 人間の侵入 | 違法な漁業、採取、森林への立ち入りが攪乱と密猟の危険を高める |
| 疾病 | 家畜由来の病気 | 周辺のウシや水牛から病原体が伝わる可能性がある |
| 疾病 | 小集団の弱さ | 一つの感染症が個体群全体に及ぶ可能性がある |
| 自然災害 | 火山 | クラカタウ火山・アナク・クラカタウの噴火が潜在的脅威 |
| 自然災害 | 津波 | スンダ海峡の津波が低地の生息地を襲う危険がある |
| 自然災害 | 2018年の津波 | アナク・クラカタウの山体崩壊による津波が発生したが、当時のサイ個体群に直接被害は確認されなかった |
| 自然災害 | 干ばつ | 水場、泥浴び場、餌植物を減少させる |
| 気候変動 | 海面上昇 | 海岸沿いの低地林と湿地を縮小させる可能性がある |
| 気候変動 | 極端気象 | 豪雨、干ばつ、高潮、山火事などの危険を変化させる |
| 保全活動 | 保護地域 | 全個体群がウジュン・クロン国立公園内で保護されている |
| 保全活動 | 個体監視 | カメラトラップによって体の模様、耳、角、皮膚の傷などから個体を識別する |
| 保全活動 | 足跡調査 | 足跡、糞、泥浴び場、採食跡を調査する |
| 保全活動 | DNA調査 | 糞などからDNAを採取し、性別、血縁、遺伝的多様性を調べる |
| 保全活動 | 巡視 | 国立公園職員とRhino Protection Unitが森林内を巡回する |
| 保全活動 | 密猟対策 | わな、銃器、不審者、密猟経路の監視と取締りを行う |
| 保全活動 | 法執行 | 近年の密猟事件では捜査、逮捕、裁判、長期刑の適用が進められた |
| 保全活動 | 生息地改善 | ランカップを除去し、餌植物が育つ林床を回復させる |
| 保全活動 | 餌植物 | サイが利用する在来の若木や低木を増やす |
| 保全活動 | 泥浴び場 | 新しい泥浴び場や水場を整備する |
| 保全活動 | JRSCA | Javan Rhino Study and Conservation Areaが設けられている |
| 保全活動 | JRSCAの目的 | 個体の観察、健康管理、生息地改善、移動・繁殖技術の研究 |
| 保全活動 | 2025年の移送計画 | ウジュン・クロン内で一部個体をJRSCAへ移す事業が本格化した |
| 保全活動 | 第2個体群 | 一つの野生集団だけに依存する危険を減らすため、第2個体群の形成が計画されている |
| 保全活動 | 政府目標 | インドネシア政府は2029年までの第2個体群形成を目標としている |
| 保全活動 | 繁殖支援 | 人工授精などの生殖補助技術の導入が検討されている |
| 保全活動 | バイオバンク | 精子、卵子、組織、遺伝試料を将来の保全へ残す計画 |
| 保全活動 | 移送の難しさ | 野生個体の捕獲、麻酔、輸送、環境順応には大きな危険が伴う |
| 保全活動 | 生息域外繁殖 | 現在、動物園などで飼育繁殖を行える個体はいない |
| 保全活動 | 最優先事項 | 密猟を完全に防ぎ、繁殖可能な雌と幼獣を守ること |
| 保全活動 | 長期的課題 | 地理的に分離した安全な第2個体群を確立すること |
| 現在の位置づけ | 世界的希少性 | 地球上で最も数の少ない大型哺乳類の一つ |
| 現在の位置づけ | 回復の条件 | 密猟防止、生息地改善、遺伝管理、第2個体群形成を同時に進める必要がある |
| 現在の位置づけ | 最大の弱点 | 種全体が約50頭・一地点・飼育個体なしという状態に集中している |
個体数について
IUCNの現行正式評価に書かれている「総数68頭・成熟個体18頭・安定」という情報は、2017~2019年ごろまでのデータに基づいています。その後、密猟者グループが2019~2023年に最大26頭を殺したことが判明したため、現在の状況を示す数字としては、2025年に公表された「約50頭」の方が新しい情報です。
ただし、約76頭から26頭を単純に引いただけでは、同じ期間に生まれた個体、自然死した個体、確認から漏れた個体を反映できません。そのため、約50頭は精密な最新全数ではなく、現時点で国際的に共有されている概数として扱われています。
基本情報:出典
- 日本哺乳類学会:世界哺乳類標準和名目録
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/58/Supplement/58_S1/_pdf - IUCN Red List:Rhinoceros sondaicusの絶滅危機評価
https://www.iucnredlist.org/species/19495/18493900 - Mammal Diversity Database:分類・命名者・タイプ標本・異名
https://www.mammaldiversity.org/taxon/1006114/ - International Rhino Foundation:現在の個体数・形態・生態・近年の密猟被害
https://rhinos.org/about-rhinos/rhino-species/javan-rhino/ - ウジュン・クロン国立公園:JRSCAへの移送と第2個体群形成計画
https://tnujungkulon.ksdae.kehutanan.go.id/berita/detail/319
最終評価2019年:ジャワサイ「CR:深刻な危機」
この種の急な減少は、伝統的な漢方薬のために角や体の他の部分を目的として過度な乱獲が行われたことによる、また生息地の減少も影響を与えており、2か所にわずかながら生息している個体群も病気や密猟により脅かされている。
出典:訳者 岩槻邦男、太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル『IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑』/ 発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / © Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

| 項目 | 2014年の図鑑 | 現在(2026年確認) |
|---|---|---|
| 和名・学名 | ジャワサイ/Rhinoceros sondaicus | 和名・学名に変更はない。現存するのは基亜種Rhinoceros sondaicus sondaicusのみで、ベトナムにいたR. s. annamiticusなど、ほかの亜種は絶滅している。 |
| IUCNレッドリスト | 絶滅危惧IA類、現在のCRに相当 | CR(深刻な危機)のまま。2026年時点で表示されている評価は、2019年5月28日に評価され、2020年に公表されたCR Dである。したがって、カテゴリーは現在も有効だが、個体数や傾向の欄は2019年以前の情報を基礎としている。 |
| 2014年の分布記載 | ジャワ島とベトナムの2つの小地域に残り、ベトナムには約6頭が生息すると記載 | ベトナム最後の個体は2010年5月に密猟され、同地域の個体群は絶滅した。つまり、図鑑の「ジャワ島とベトナムの2地域」という記述は、2014年の刊行時点ですでに古い情報だった。現在はインドネシア・ジャワ島西端のウジュン・クロン国立公園だけに生息する。 |
| 現在の生息地数 | 2か所の保護区に生息すると記載 | 世界で1か所、ウジュン・クロン国立公園内の1個体群だけである。国立公園内に複数の利用区域はあるものの、独立した第二個体群はまだ形成されていない。 |
| 2014年前後の個体数 | 図鑑本文では世界全体の総数を明記していない。ベトナム個体群については約6頭と記載 | IUCN評価によると、2013~2014年のカメラトラップ調査では58~61頭、2018年資料では総数68頭と推定された。その後、2021~2022年には約76頭まで増加したと報告されたが、密猟被害の発覚によって推定値が大きく見直された。 |
| 2026年時点の推定個体数 | 約60頭前後の極小個体群が残っていると考えられていた時期に相当 | IUCNの2025年保全評価では、2019~2023年の密猟による損失を反映し、2024年末の実質的な個体数を約50頭と推定している。ただし、2026年にインドネシア当局が示した裁判確定資料とは被害頭数の数え方が異なるため、約50頭は確定した全数ではなく国際的な推定値である。 |
| 「成熟個体18頭」の意味 | 該当する記載なし | 現在のIUCN画面に表示される「成熟個体18頭」は、2018年当時の総数68頭のうち、実際に繁殖に寄与している個体を成獣の約33%と仮定した2019年評価時の推定値である。現在の総個体数が18頭という意味ではない。 |
| 個体群の傾向 | 急激に減少し、ベトナム個体群は繁殖できない可能性が高いとされた | IUCNレッドリスト画面の「Stable」は2019年評価時の判定である。その後、約76頭から約50頭へ減少したとの国際推定が示され、2025年のウジュン・クロン国立公園保全見通しは状況を「悪化」と評価している。2026年現在を単純に安定傾向とはみなせない。 |
| 繁殖状況 | ベトナムの約6頭については、もはや繁殖しないだろうと記載 | ウジュン・クロンでは自然繁殖が続いている。2026年1月29日には、既知の雌「ARUM」と生後5か月未満とみられる新しい幼獣がカメラトラップに記録された。少なくとも繁殖能力そのものは失われていない。 |
| 漢方薬とサイ角需要 | 角や体の一部を伝統的な漢方薬に利用するため、過度な乱獲が行われたことが急減の主要因とされた | 歴史的な大量減少の主要因が、サイ角や身体部位を薬用などに利用する需要だったという説明は現在も正しい。さらに近年、ウジュン・クロンでもサイ角を目的とした組織的密猟が実際に発生していたことが判明した。 |
| 近年の密猟被害 | 密猟が将来の脅威として記載 | IUCNなどの国際資料は、2019~2023年に26頭が密猟で失われたとして、約76頭から約50頭への減少を推定している。一方、ウジュン・クロン国立公園当局は2026年6月、確定判決で重複を除いて認定された被害個体は10頭と整理した。国際推定の26頭と、司法手続きで確定した10頭は性質の異なる数字である。 |
| 生息地の減少 | 森林減少や人間活動による生息地の縮小が影響していると記載 | 現在は単純な森林面積だけでなく、生息地の質と収容力が問題になっている。外来性の強いヤシ科植物ランカップが林床を覆い、サイの食草を減少させている。IUCNの2025年評価では、適した生息域の約60%が影響を受けているとされ、現在の地域は収容力の限界に近いと考えられている。 |
| 食物と水場 | 詳しい記載なし | ジャワサイは葉、枝、若芽などを食べ、水場や泥浴び場を必要とする。ランカップの増加による食草減少、バンテンとの食物競争、乾季の水不足は、移動や繁殖に影響する可能性がある。 |
| 病気 | 少数個体群が病気によって全滅する危険性を指摘 | 現在も重要な脅威である。国立公園周辺の家畜や水牛から病原体が持ち込まれる可能性があり、一つの地域に全個体が集中しているため、感染症が広がった場合の影響が極めて大きい。 |
| 遺伝的な危険 | 個体数が少なく、突発的な出来事による全滅が懸念されていた | 一つの小個体群だけで繁殖を続けているため、遺伝的多様性の低下、近親交配、性比の偏りが長期的な存続を妨げる。近年の密猟で繁殖可能な雄や雌が失われた場合、頭数以上に繁殖構造へ影響する可能性がある。 |
| 飼育下の個体 | 飼育下繁殖が将来の対策として推奨されていた | 動物園や繁殖施設で飼育されているジャワサイは存在しない。すべての個体が野生の一地域に集中しており、飼育下の保険個体群はない。 |
| 第二個体群の形成 | 一部の個体を別の場所へ移動し、突発的出来事による全滅を防ぐ方法が推奨されていた | 第二個体群の形成は現在も最優先課題の一つだが、ウジュン・クロン以外の独立した野生個体群はまだ成立していない。約12年前に指摘されていた「一地域への集中」という根本的な危険は解消されていない。 |
| 気候変動に関する記載 | 地球温暖化や海面上昇への直接的な言及はない | 現存個体の利用標高は平均約40m、範囲は約8~91mと推定され、歴史的な分布より著しく低地に偏っている。海面上昇が続けば、沿岸低地の浸水や生息可能面積の縮小によって、一つしかない個体群の危険がさらに増幅すると考えられる。 |
| 温暖化と将来の生息適地 | 記載なし | 2026年の気候・分布モデルでは、ウジュン・クロンの気候的な適性は低排出シナリオではおおむね維持される一方、より温暖化が進むSSP3-7.0では低下すると予測された。現在の生息地が直ちに消滅するという結果ではないが、高排出が続くほど環境条件が悪化する可能性が示されている。 |
| 干ばつ・降水変化 | 記載なし | IUCN評価は、干ばつ時の水不足がジャワサイの移動を著しく制限する可能性を指摘している。温暖化によって乾季の水不足や降雨の不安定化が強まれば、水場、泥浴び場、食草の再生を通じて影響が拡大する可能性がある。ただし、ジャワサイの死亡率や繁殖率への直接的な影響量はまだ十分に解明されていない。 |
| 気候変動への適応可能性 | 記載なし | 2026年研究では、ジャワサイは本来、低地林だけの専門種ではなく、過去には標高2,000mを超える地域を含む多様な環境に分布していたことが示された。東南アジア全体では将来も気候的適地が残る、または増える予測もあり、より高い場所を含む第二生息地の選定には可能性がある。ただし、森林破壊、密猟、地域社会との調整を含まない気候モデル上の適地であり、そのまま移住可能という意味ではない。 |
| 津波・火山活動との関係 | 突発的出来事による全滅の可能性を指摘 | アナク・クラカタウ火山の活動や津波は温暖化が原因ではなく、地質学的な災害である。しかし、全個体が海岸に近い一地域に集中しているため、津波や大規模噴火は種全体を一度に失わせる危険を持つ。海面上昇は津波そのものを発生させないが、沿岸低地への依存という脆弱性をさらに深刻にする。 |
| 2014年との総合比較 | 密猟、生息地減少、病気、少数個体群、突発的災害による絶滅が懸念され、将来を楽観視できないとされた | ベトナム個体群はすでに失われ、世界で一つだけの個体群になった。一時は約76頭まで増え、現在も幼獣が生まれている一方、近年の密猟によって推定約50頭まで後退した。さらに、生息地の収容力、遺伝的多様性、感染症、海面上昇、気候条件の変化、津波や火山災害が同じ一個体群に重なっている。2014年より繁殖の希望は確認できるが、種全体の危険が一地域に集中する構造は、むしろ明確になっている。 |
現状まとめ:出典
- IUCNレッドリスト「Rhinoceros sondaicus」2020年評価
https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2020-2.RLTS.T19495A18493900.en - IUCN World Heritage Outlook「Ujung Kulon National Park」2025年保全評価
https://worldheritageoutlook.iucn.org/explore-sites/ujung-kulon-national-park - インドネシア林業省「2026年に確認されたジャワサイの母子」
https://www.kehutanan.go.id/news/anakan-badak-jawa-terekam-di-tn-ujung-kulon-bukti-habitat-terjaga-dan-pengamanan-efektif - ウジュン・クロン国立公園「裁判で確定したジャワサイ密猟被害10頭の整理」
https://tnujungkulon.ksdae.kehutanan.go.id/berita/detail/344 - Current Biology「ジャワサイとスマトラサイの歴史的分布・将来気候・再導入適地」2026年
https://rhinoresourcecenter.com/wp-content/uploads/2026/03/2026-Granger-Historical-Baselines-in-press.pdf
ジャワサイは、2014年当時から密猟、生息地の減少、病気、少数個体群による絶滅が懸念されていた。現在、ベトナム個体群はすでに絶滅し、野生個体はインドネシアのウジュン・クロン国立公園だけに残る。個体数は一時約76頭まで増えたものの、近年の組織的な密猟により、2024年末には約50頭と推定された。幼獣の誕生は確認されているが、全個体が一地域に集中し、飼育下の保険個体群も存在しない。さらに、食草の減少、感染症、遺伝的多様性の低下に加え、海面上昇、干ばつ、水不足、気候条件の変化、津波や火山災害が重なり、種全体が一度に失われる危険は依然として極めて高い。
⬇︎ジャワサイの保護活動の種類です。必要なら開いてください。
ジャワサイ(Rhinoceros sondaicus)は、現在、インドネシアのウジュン・クロン国立公園だけに残されています。近年発覚した大規模な密猟を受け、保全活動は従来の生息地管理と個体数調査だけでなく、武装パトロール、海上警備、法執行、個体ごとの遺伝・健康管理、JRSCAへの移送、第二個体群形成へと拡大しています。以下は、インドネシア林業省、ウジュン・クロン国立公園、IUCN、International Rhino Foundationなどの資料を基に整理したものです。
| 保全活動の種類 | 具体的な内容 | 実施状況・成果 | 保全上の意義・課題 |
|---|---|---|---|
| 国内法による保護 | インドネシアの自然資源・生態系保全法などに基づき、捕獲、殺傷、所持、輸送、取引を禁止する | ジャワサイは国内で厳格に保護されている | 違法捕獲や角の取引を取り締まる法的基盤となる |
| CITESによる国際取引規制 | 生体、角、皮、その他の標本の国際商業取引を原則として禁止する | CITES附属書Iに掲載されている | 国境を越えたサイ角取引と密輸を防止する |
| ウジュン・クロン国立公園による生息地保護 | 現存する唯一の野生個体群と、その熱帯低地林、湿地、海岸林、泥浴び場、水場を保護する | 国立公園は1992年に世界自然遺産へ登録され、ジャワサイ保全の中心地となっている | 全個体が一地域に集中するため、公園の保護が種全体の存続に直結する |
| サイ生息区域の厳格保護 | ジャワサイが集中するウジュン・クロン半島を、立ち入りや利用が厳しく制限される区域として管理する | Fully Protected Areaを含む厳格な保護体制が導入されている | 人間との接触、密猟、採集、騒音などを減らす |
| 公園への入域管理 | 観光客、漁業者、調査者、地域住民などの入域場所、人数、目的を管理する | 密猟事件後には、ジャワサイ生息区域への一般立ち入り制限が強化された | 観光や違法漁業を装った密猟者の侵入を防ぐ |
| 総合警備システム | 公園職員、警察、軍、森林警備部門などが連携し、陸上・沿岸・海上を一体的に警備する | 密猟事件を受け、Integrated Protection Systemの強化が進められている | 半島は海から侵入できるため、陸上巡視だけでは密猟を防げない |
| Rhino Protection Unitによる巡視 | 専門訓練を受けたチームが徒歩で生息地を巡回し、人の痕跡、銃器、わな、キャンプ、サイの足跡などを確認する | 国立公園と保全団体の協力による巡視が続けられている | 密猟者の侵入抑止と、サイの異常や死亡の早期発見につながる |
| 海上Rhino Protection Unit | 船を使って半島周辺の海岸、河口、上陸地点を巡視する | 地元漁業者を含む海上部隊が組織されている | 漁船を装った密猟者や違法漁業者の侵入を防止する |
| 夜間・長期パトロール | 密猟者が活動しやすい夜間や人の少ない地域を重点的に巡視する | 警察や公園職員を含む合同警備活動が実施されている | 通常の昼間巡視だけでは確認できない違法活動を発見する |
| 警察犬の活用 | 犬を使い、密猟者、武器、弾薬、サイの遺体や角などを捜索する | 2024年の密猟者捜索では、警察犬部隊を含む合同作戦が行われた | 密林内に残された微量の痕跡を追跡できる |
| 密猟事件の捜査 | 過去のカメラ記録、通信記録、武器、サイの角、容疑者の供述などを調査する | 2019~2023年に行われた複数の密猟事件が摘発された | 長期間見逃されていた密猟の実態と流通経路を解明する |
| 密猟者の逮捕・処罰 | 密猟グループを逮捕し、野生動物保護法と銃器規制法に基づいて起訴する | 主犯格に懲役12年が言い渡され、2025年には別の密猟者6人にも11~12年の実刑判決が下された | 高額なサイ角取引に対する抑止力を高める |
| サイ角の流通経路捜査 | 密猟者だけでなく、仲買人、購入者、密輸業者、資金提供者を追跡する | 国内外の違法取引網を対象とする捜査が継続している | 密猟者だけを逮捕しても、角を買う市場が残れば密猟は再発する |
| 銃器対策 | 違法銃器、弾薬、銃の製造・供給経路を摘発する | 密猟事件では銃器所持についても有罪判決が出されている | 密猟グループの実行能力を低下させる |
| カメラトラップによる個体数調査 | 自動撮影カメラを生息地に設置し、皮膚のしわ、角、耳、傷などから個体を識別する | 約100台規模のカメラを用いる調査が長期間継続されている | 人が直接近づかずに、個体数、性別、出産、移動、生存を確認できる |
| 個体ごとの識別台帳 | 各個体に名前や識別番号を付け、特徴、性別、推定年齢、確認地点、繁殖歴を記録する | カメラ映像を基に個体別の記録が作成されている | 個体の消失を早く察知し、死亡・移動・密猟の可能性を調べられる |
| 出産・幼獣の確認 | 母親と幼獣の映像を分析し、新たな出生個体を登録する | 2026年1月にも母親と生後5か月未満とみられる幼獣が撮影された | 自然繁殖が続いていることを確認する重要な指標となる |
| 性比の監視 | 雄と雌の数、繁殖可能な雌の割合を把握する | 雄が多く雌が少ない可能性や、繁殖雌が限られていることが指摘されている | 雌が少ない場合、個体数増加の速度が大きく制限される |
| 足跡・糞・食痕調査 | 足跡、糞、食べられた植物、泥浴び場、体をこすった樹木などを記録する | カメラ調査と並行して現地調査が行われている | カメラが設置されていない地域の利用状況も把握できる |
| 糞DNA調査 | 糞からDNAを抽出し、個体、性別、血縁、遺伝的多様性を調べる | 移送候補の選定や個体群管理のための遺伝研究が進められている | 外見だけでは分からない血縁関係や近親交配の程度を確認できる |
| 全個体群の遺伝管理 | 個体ごとの遺伝的価値を評価し、将来の移送・繁殖組み合わせに反映する | JRSCA移送計画では、複数年のDNA研究に基づいて候補個体を選ぶ方針が採用された | 遺伝的多様性の低下と近交弱勢を抑える |
| 健康モニタリング | 糞、尿、映像、歩き方、体格などから疾病や負傷の兆候を調べる | Rhino Health Unitなどが健康状態の調査を行っている | 全個体数が非常に少ないため、感染症や慢性疾患による一頭の死亡も重大となる |
| 病理解剖・死亡原因調査 | 死亡個体の組織、臓器、寄生虫、外傷などを調べる | 2025年に移送後死亡した雄「Musofa」について、慢性疾患、寄生虫感染、組織変性などが調査された | 移送候補の年齢・健康評価や獣医基準を改善するための資料となる |
| 感染症監視 | 寄生虫、細菌、ウイルス、家畜由来感染症などを調査する | サイと周辺家畜の疾病リスク評価が行われている | 小規模個体群では、一度の感染症流行が個体群全体へ広がる可能性がある |
| 水牛・家畜の侵入防止 | 公園周辺の水牛や牛がジャワサイ生息地へ入らないよう、柵、巡視、飼育管理を行う | JRSCAの周囲には侵入防止柵が設置されている | 家畜との接触による感染症、食物競合、生息地攪乱を抑える |
| 家畜の疾病検査 | 公園周辺で飼育される水牛などについて、トリパノソーマなどの病原体を調べる | 周辺家畜からジャワサイへの感染リスクが保全上の課題とされている | 第二個体群やJRSCAへ病原体を持ち込まないために必要となる |
| JRSCAの整備 | 国立公園東部のグヌン・ホンジェ地域に、Javan Rhino Study and Conservation Areaを設ける | 約5,100ヘクタールの区域が整備されている | 既存の半島部とは別の管理区域を設け、生息可能面積と繁殖機会を増やす |
| JRSCAの侵入防止柵 | 人、家畜、密猟者の侵入を抑えるため、区域外周に長距離の柵を設置する | 地域住民を雇用して約10キロメートル規模の柵が建設された | 生息地を完全な飼育施設にせず、自然環境のまま集中的に保護できる |
| JRSCAの警備施設 | 監視所、警備拠点、管理道路、通信設備などを整備する | 複数の警備所と活動拠点が設けられている | 密猟や侵入への迅速な対応を可能にする |
| JRSCAの繁殖用パドック | 自然植生を残した区画内で個体を管理し、雄と雌が出会いやすい環境をつくる | 40ヘクタールのパドックが10ヘクタールずつの区画に分けられ、別に25ヘクタールの拡張区画が設けられている | 広い自然環境を維持しながら、個体間距離と繁殖機会を管理する |
| ジャワサイの移送 | 半島部の個体をJRSCAへ移し、管理された自然環境で繁殖・研究する | 2025年に初めて雄のMusofaが移送されたが、到着後に慢性疾患などで死亡した | 第二個体群形成に必要な技術である一方、捕獲・麻酔・輸送・順応には大きな危険が伴う |
| 移送前の個体選定 | 年齢、性別、健康、繁殖能力、遺伝的価値、行動圏を総合して候補を選ぶ | 2025年の移送結果を踏まえ、より精密な健康診断と年齢評価の重要性が増している | 高齢・病気の個体を移送する危険を減らす |
| 捕獲・輸送技術の開発 | 落とし穴型捕獲施設、仮設囲い、輸送箱、車両、船舶を組み合わせて安全に移送する | 軍、獣医師、研究者、公園職員などが共同で訓練と実施に参加した | 大型で人に慣れていないジャワサイを移すための専門技術が必要となる |
| 移送後の順応管理 | パドック内で採食、飲水、歩行、排泄、睡眠、ストレス反応を監視する | カメラ、目視、足跡、獣医観察などを組み合わせる計画となっている | 新しい環境への不適応や疾患悪化を早期に発見する |
| 衛星・遠隔追跡 | 移送個体の位置や行動を遠隔で追跡する | JRSCA計画に衛星追跡などの技術利用が含まれている | 個体へ頻繁に接近せずに健康と行動を監視できる |
| 第二個体群の形成 | 現在の主要個体群とは別の場所に、繁殖可能な個体群をつくる | JRSCAを利用した個体群形成が国家的優先事業とされ、2029年までの形成が目標とされている | 密猟、津波、火山、感染症で全個体を一度に失う危険を分散する |
| 国立公園外の候補地調査 | ジャワ島やスマトラ島の旧分布域から、面積、食物、水、警備、地域合意を満たす場所を探す | チケプー野生生物保護区などが候補となったが、土地利用や地域合意の問題がある | JRSCAは同じ国立公園内にあるため、広域災害への完全な分散にはならない |
| 生息地収容力の評価 | 食物量、水場、泥浴び場、縄張り、性比などから、生息可能な個体数を推定する | 半島部は収容力に近づいている可能性が指摘されている | 個体数を増やすには、生息地の質と面積の両方を広げる必要がある |
| 侵入植物ランカップの除去 | 林床を覆うランカップヤシを伐採・除去し、サイの食物植物が再生できる空間をつくる | JRSCAでは少なくとも170ヘクタール規模の除去が報告され、除去地で食物植物の再生とサイの利用が確認されている | ランカップが密生すると、サイが食べる低木や若木が育ちにくくなる |
| 食物植物の再生 | ランカップ除去後に、在来の低木、若木、つる植物などの自然再生を促す | 除去区では若い食物植物が再び生育している | サイが利用できる採食地を増やし、生息地の収容力を高める |
| 食物植物の植栽 | 劣化地や旧集落跡などへ、ジャワサイが利用する植物を植える | グヌン・ホンジェ地域などで食物植物の植栽が行われている | 自然再生が遅い場所でも採食環境を回復できる |
| 泥浴び場・水場の保全 | 既存の水場、河川、泥浴び場を記録し、埋没、汚染、乾燥を防ぐ | 現地調査とカメラによって利用状況が確認されている | 泥浴びは体温調節、皮膚の保護、寄生虫対策に重要となる |
| 森林・マングローブの復元 | 劣化した森林、海岸林、マングローブを回復させる | 公園全体では2023年に森林・マングローブ計1,408ヘクタールの復元が報告されている | 生息地の質を高めるとともに、高潮、波、浸食の影響を軽減する |
| バンテンとの関係調査 | 同じ地域に生息する野生牛バンテンとの食物・空間利用の重なりを調べる | 両種の分布、食物、活動時間などが研究対象となっている | 競争の程度が明確になれば、生息地管理や水場配置を改善できる |
| 自然災害リスク評価 | Anak Krakatauの噴火、津波、地震、高潮、洪水などの影響範囲を予測する | 2018年の津波以降、単一生息地の危険性が強く認識されている | 低地に集中する個体が一度の災害で大量に死亡する可能性がある |
| 津波避難環境の確保 | 高地へ移動できる森林回廊や地形を残し、海岸低地だけに個体が集中しないようにする | 生息地拡大と第二個体群形成の理由の一つとなっている | 災害発生時にサイが自然に高地へ移動できる可能性を高める |
| 火災対策 | 森林火災の監視、火気管理、早期消火、地域住民への啓発を行う | 国立公園の一般的な森林保護活動として実施されている | 乾燥期の火災は食物植物と隠れ場所を広範囲に失わせる |
| 汚染防止 | 船舶事故、漂着ごみ、油、生活排水、違法漁業による汚染を監視する | 海岸・海域の巡視と事故後の環境調査が行われている | 汚染は海岸林、マングローブ、水場、食物植物に影響する |
| 補助生殖技術の研究 | 精子・卵子の採取、人工授精、胚技術などを将来の繁殖補助に利用する | ARTはJRSCAを中心とする将来計画に含まれているが、ジャワサイで確立した繁殖技術ではない | 自然繁殖だけで個体数が増えない場合の補助策となり得る |
| 生殖細胞・組織の保存 | 精子、卵子、組織、DNAなどを保存するバイオバンクを整備する | 国家の移送・繁殖計画に組み込まれている | 個体が死亡しても遺伝情報を将来の研究や繁殖へ残せる |
| 飼育下繁殖 | 動物園などで恒常的な飼育繁殖個体群をつくる | 現在、ジャワサイの動物園繁殖個体群は存在しない | 基本方針は、自然生息地または自然に近いJRSCA内での管理と繁殖である |
| 地域住民の雇用 | 柵の建設、巡視、植生管理、調査補助、警備などに周辺住民を雇用する | JRSCAの整備では150人を超える地域住民が雇用された | 保全活動から地域収入を生み、違法伐採や密猟への依存を減らす |
| 漁業者との協力 | 地元漁業者を海上警備や不審船の通報活動へ参加させる | 海上Rhino Protection Unitに地域漁業者が参加している | 海域を日常的に利用する住民の知識を警備へ活用できる |
| 環境教育 | 学校、地域住民、観光客にジャワサイの希少性、法的保護、生息地の重要性を伝える | 地域型自然保全教育センターなどを通じた活動が行われている | 密猟者への協力、違法採集、家畜の放牧などを減らす |
| 代替生計支援 | 自然観光、ガイド、宿泊、持続可能な農林産物などの収入源を育てる | 公園周辺で地域参加型観光や非木材林産物利用が進められている | 保護区域内の資源採取に依存しない生活を支える |
| 観光管理 | 訪問区域、人数、予約、ガイド利用などを管理し、サイ生息地への観光圧を抑える | ゾーニングと入域人数管理が実施されている | 観光収入を確保しながら、サイへの接近や密猟者の侵入を防ぐ |
| 職員・レンジャーの研修 | 密猟対策、証拠保全、カメラ管理、DNA採取、健康調査、移送などの研修を行う | 政府、大学、保全団体による研修が継続されている | 高度化する密猟や、前例の少ない移送・繁殖管理に対応できる人材を育てる |
| 国際共同保全 | インドネシア林業省、国立公園、YABI、IRF、IUCN、大学などが協力する | 警備、調査、JRSCA整備、遺伝研究、資金支援が共同で進められている | 一国・一機関だけでは確保しにくい技術、資金、専門家を集められる |
| 保全計画の評価・修正 | 個体数、密猟、繁殖、移送、健康、生息地の変化を評価し、計画を見直す | 2019~2029年の行動計画と緊急行動計画が策定され、密猟事件や移送個体の死亡を受けて対策の再評価が必要となっている | 保全活動の実施数ではなく、野生個体の生存と自然繁殖という結果で効果を判断する |
ジャワサイの保全では、生息地を守って自然繁殖を待つだけではなくなっています。近年の密猟事件によって警備と個体確認の弱点が明らかになり、2025年に行われた最初のJRSCA移送では、移送個体が慢性疾患などにより死亡しました。一方、2026年にも新しい幼獣がカメラで確認されており、野生下での繁殖そのものは続いています。今後は、残存個体の確実な保護、健康・遺伝情報に基づく管理、生息地の拡大、そして単一地域への集中を解消する第二個体群形成が中心課題となります。
保護活動の種類:出典
- IUCN World Heritage Outlook|Ujung Kulon National Park
https://worldheritageoutlook.iucn.org/explore-sites/ujung-kulon-national-park - インドネシア林業省|JRSCAとジャワサイ移送計画
https://www.kehutanan.go.id/pers/jrsca-habitat-asli-badak-jawa-translokasi-di-dalam-kawasan-taman-nasional-ujung-kulon - International Rhino Foundation|Our Work in Java
https://rhinos.org/our-work/where-we-work/java/ - インドネシア自然資源・生態系保全部門|ジャワサイ密猟者6人への判決
https://ksdae.kehutanan.go.id/publikasi/berita/6-pemburu-badak-jawa-divonis-hingga-12-tahun-penjara-M1sT1nzE/ - ウジュン・クロン国立公園|2026年に確認されたジャワサイの幼獣
https://tnujungkulon.ksdae.kehutanan.go.id/berita/detail/338
ジャワサイを脅かす地球温暖化|海面上昇・干ばつ・津波の危険
Questioner: Poaching is obviously the most visible human-made threat. But when you look at the shrinking food sources, diseases, and the shrinking gene pool—not to mention rising sea levels, droughts, water scarcity, changing weather patterns, and even tsunamis and volcanic eruptions… those are all, at least to some extent, the fallout of climate change and global warming that we humans caused, right?
Me: Well, it’s a stretch to link tsunamis and volcanic eruptions to global warming, but I’m completely with you on the rest. I definitely think they’re connected.
Questioner: I actually looked up Ujung Kulon National Park on the map—it’s right on the western tip of Java. It looks so incredibly lush and green that it’s honestly hard to picture them dealing with droughts or running out of water. But you always hear about the ice melting way up in the Arctic, so the rising sea levels are definitely a massive concern.
Me: Let me dig into that and see exactly how the melting Arctic ice is impacting the Ujung Kulon area.
質問者:密猟は、もっともわかりやすい人為的な危機なんだけど、食草の減少、感染症、遺伝的多様性の低下に加え、海面上昇、干ばつ、水不足、気候条件の変化、津波や火山災害なども、少なからず僕たち人類が招いた地球温暖化による気候変動の影響だよね。
私:津波や火山は温暖化の影響は考えにくいですけれども、そのほかは影響していると私も思います。
質問者:ジャワ島西端のウジュン・クロン国立公園って地図でみたんだけど、緑豊かで干ばつとか水不足はあまり考えにくいけど、遠い北極の氷が溶けてるのも聞くし、海面上昇は気になるよね。
私:北極の氷の融解によるウジュン・クロン国立公園近辺への影響など調べてみます。
北極の氷が、最後のジャワサイの森を沈める日
北極圏のグリーンランドと、赤道近くのインドネシア。遠く離れた二つの場所は、海によってつながっています。氷床の融解による海面上昇、干ばつによる水や泥浴び場の減少、そして津波被害の増幅。世界でただ一つ、ウジュン・クロン国立公園に残されたジャワサイの生息地には、気候変動と自然災害の脅威が重なり始めています。
1. 遠い北極の氷の融解が、なぜ赤道近くのウジュン・クロンに影響するのか
「北極の氷が溶けると海面が上昇する」という言葉には、区別して考えなければならない二種類の氷があります。北極海に浮かぶ海氷は、すでに海水に浮いているため、溶けても海面を直接大きく上昇させるものではありません。問題となるのは、陸地の上に積み重なっているグリーンランド氷床です。
グリーンランドの氷床は巨大な質量を持ち、その重力によって周囲の海水を引き寄せています。温暖化によって氷床が融解し、質量が減少すると、その引力も弱まります。同時に、地球の自転や地殻の変形も変化するため、海水は地球全体で均等に増えるのではなく、地域ごとに異なる形で再分配されます。グリーンランドの近くでは海面が低下する場合がある一方、グリーンランドから遠く離れた熱帯域などでは、氷床融解による海面上昇の影響がより大きく現れます。これが「海面水位の指紋」と呼ばれる現象です。単純に北極の海水が赤道へ流れ込むのではなく、重力、自転、地殻変形によって、海面上昇の分布そのものが組み替えられているのです。
ただし、インドネシア周辺の実際の海面変化は、グリーンランド氷床だけで決まるわけではありません。海水の熱膨張、南極や山岳氷河の融解、海流、季節風、地殻変動、地盤の隆起や沈降などが重なります。インドネシア全体を対象とした研究では、1992年から2020年までの海面上昇は平均約3.9±0.4ミリメートル/年と推定されていますが、地域差が大きく、この数値をそのままウジュン・クロン国立公園固有の上昇速度として扱うことはできません。
それでも、ウジュン・クロンが沿岸低地を含み、世界に残るジャワサイがこの一地域だけに集中している事実は変わりません。海面上昇が長期間続けば、低地林の浸水だけでなく、海岸侵食、地下水や土壌への塩分侵入、淡水環境の変化が重なります。遠いグリーンランドで失われた氷は、遠い場所の出来事では終わりません。その影響は海を通じて、ジャワサイが最後に生き残る森の足元にまで届きます。
2. 緑豊かな熱帯雨林における「干ばつ」という死活問題
ウジュン・クロン国立公園は、湿潤な低地熱帯雨林です。しかし、森が緑に覆われているからといって、将来も安定して水が供給され続けるとは限りません。
インドネシアの降水量は、エルニーニョ現象やインド洋ダイポールモードなどの自然な気候変動に大きく左右されます。エルニーニョが発生するとインドネシアの広い範囲で雨量が減り、正のインド洋ダイポールモードが加わると、特にインドネシア西部で乾燥が強まることがあります。これらの現象自体を地球温暖化が直接つくり出しているわけではありませんが、温暖化によって気温が上昇すると、大気が地表や植物から奪う水分量が増えます。そのため、同じ程度の少雨であっても、過去より土壌や植物、水場が乾きやすくなる可能性があります。
ジャワサイにとって、泥浴び場は単なる水たまりではありません。体温調節、皮膚の保護、外部寄生虫の除去に利用されるほか、ほかの個体との接触や情報交換の場としても機能しています。調査では、ジャワサイが一年を通じて泥浴び場を利用し、日陰の多い場所を選んで自ら泥浴び場を形成していることが確認されています。
乾燥期間が長引けば、泥浴び場を維持できる水量が減り、利用可能な場所が限られる可能性があります。気温の上昇と水不足が同時に起これば、体温調節や皮膚の管理が難しくなり、サイが河川や潮汐の影響を受ける水路まで移動しなければならなくなることも考えられます。さらに、植物の若葉や芽の成長、水場の維持、森の植生構成にも影響が及びます。
気候変動による泥浴び場の減少が、すでにジャワサイの熱中症や死亡を直接引き起こしていると確認されたわけではありません。しかし、数十頭しか残らず、逃げ先となる第二個体群も存在しない種にとって、水や食料を支える環境の悪化は小さな変化ではありません。森そのものが消えなくても、サイが生きるために必要な水、泥、植物の組み合わせが崩れれば、緑豊かな森の中で生存条件だけが失われていく可能性があります。
3. 津波・火山災害と気候変動の接点
ウジュン・クロンの北側に位置するアナク・クラカタウの噴火や山体崩壊、海底地震を、地球温暖化が直接引き起こすわけではありません。火山噴火や地震は、気候変動とは異なる地質学的な仕組みによって発生します。
しかし、津波が押し寄せる時点の海面が以前より高くなっていれば、同じ規模の津波であっても、浸水の深さや範囲が拡大する可能性があります。海面上昇は津波そのものを発生させる引き金ではありませんが、津波が乗り越えなければならない海岸の高さの余裕を少しずつ奪います。数値モデルを用いた研究でも、平均海面が高くなることで、これまで浸水を起こさなかった規模の津波が沿岸へ到達し、より広い範囲を浸水させる可能性が示されています。
ただし、津波が必ず速く到達するという単純な関係ではありません。実際の浸水範囲は、津波の発生源、波高、海底地形、海岸の形状、潮位、森林や砂丘、地表の高さなどによって大きく変化します。それでも、出発点となる海面が高くなれば、陸地側に残される高さの余裕が小さくなることは避けられません。
ウジュン・クロンにおけるジャワサイの分布を分析した研究では、約10メートルの津波遡上が発生した場合、ジャワサイの生息密度が特に高い地域の約80%が危険にさらされる可能性が示されています。より大きな津波であれば、ほぼすべての個体が溺死の危険にさらされる可能性もあります。
つまり、引き金となるのは火山や地震であっても、海面上昇はその被害を受け止める海岸の余裕を減らします。気候変動が津波を発生させるのではありません。しかし、津波が起きたときの被害を、より深く、より広いものへ変える条件を積み上げていきます。
世界のジャワサイが複数の地域に分かれて暮らしていれば、一つの地域が災害を受けても種全体が失われることは避けられます。しかし現在は、すべての個体がウジュン・クロンだけに残されています。海面上昇、干ばつ、密猟、感染症、火山、津波という異なる脅威が、同じ一つの個体群に集中していることこそが、ジャワサイの最大の危機です。
出典
- 氷床融解による海面水位の指紋:U.S. Sea Level Change「What is meant by an ice sheet fingerprint?」
- インドネシアの海面上昇と地域差:ASEAN Journal on Science and Technology for Development「Sea Level Rise in Indonesia: The Drivers and the Combined Impacts from Land Subsidence」
- エルニーニョ・インド洋ダイポールモードとインドネシアの降水量:インドネシア気象気候地球物理庁「Climate Variability of Indonesia」
- 温暖化と干ばつ・高温の複合化:IPCC第6次評価報告書「Weather and Climate Extreme Events in a Changing Climate」
- ジャワサイにとっての泥浴び場の役割:Pachyderm「More than just mud: the importance of wallows to Javan rhino ecology and behaviour」
- ウジュン・クロンにおけるジャワサイの津波リスク:Conservation Letters「Preventing Global Extinction of the Javan Rhino: Tsunami Risk and Future Conservation Direction」
- 海面上昇による津波浸水被害の増幅:PreventionWeb「Climate change sea-level rises could increase risk for more devastating tsunamis worldwide」
Questioner: So basically, apart from the volcanoes, humanity brought all of this on ourselves, right?
Me: We’re already seeing the impacts of human-driven climate change all over the world. If global warming keeps getting worse, things like rising sea levels, extreme heat, and water shortages are only going to multiply the threats closing in on the Javan Rhino.
Questioner: Yeah, exactly. I live in Nagoya, and the back half of July was just brutal—we had days on end pushing 40°C. Even first thing in the morning, it was already 27°C, way above normal. Nagoya has always been known for being hot, but if it gets any worse, I’m genuinely terrified we’ll reach a point where we get daily emergency texts saying, “Outdoor ban in effect from 10:00 AM. Shelter in place until the lockdown is lifted at 3:00 PM.”
Me: I feel it too. Up here in the snow country where I live, it honestly feels like the seasons are a whole month out of whack, running way ahead of schedule. It might all seem like distant, isolated events, but the reality is that the atmosphere and the oceans connect everything.
Questioner: You’re totally right. The melting ice way up in the Arctic, the forests of Ujung Kulon on the equator, the 40-degree heatwaves in Nagoya, and the seasons shifting a month early up in your snow country… it really is all happening on the exact same planet.
Thank you so much for sharing your valuable time to read this.
I truly hope our thoughts and wishes find their way to the Javan Rhinos.
鶏人|Keijin
質問者:ってことはさ、火山以外は全部人類が招いてるってことだね。
私:すでに人為的な気候変動の影響は世界各地で現れています。このまま温暖化が進めば、海面上昇や高温、水不足など、ジャワサイを取り巻く危険をさらに大きくする可能性があります。
質問者:そうなんだよね。僕の住んでいる名古屋も7月の後半なんて40度近い日が連続したし、朝の気温も25度をはるかに超える27度とかだったからね。実際名古屋ってもともと暑いんだけど、これ以上暑くなったら、「午前10時から外出禁止です。15時の解禁令が出るまで自宅待機ください」なんてショートメールが毎日届く時代が来そうで怖いよ。
私:私が暮らしている雪国でも季節が一ヶ月ほど先回りしている感覚もありますからね。そして、遠く離れて見えますが、実際には、大気も海も全てつながっていますからね。
質問者:そうなんだよね。遠い北極の氷も、赤道近くのウジュン・クロンの森も、名古屋の40度も、雪国で一か月先回りする季節も、すべて同じ地球で起きていることなんだもんね。
貴重な時間を、ありがとうございました。
ジャワサイに、その想いが届くことを祈ります。
鶏人|Keijin
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