11年後のレッドリスト|セレスナガレイトトンボ:静かな流れが細り、翅の影だけが川底に残った頃【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|セレスナガレイトトンボ:静かな流れが細り、翅の影だけが川底に残った頃【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
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こんにちは、fukumomo3_photo です。

セレスナガレイトトンボ(Spesbona angusta)は、

2014年、図鑑に【VU:危急】として分類されていました。

2018年、IUCNレッドリストで、【EN:危機】と評価されました。

つまり、2014年から2018年にかけて、セレスナガレイトトンボは

「静かな流れが細り、翅の影だけが川底に残った頃」状態になってしまいました。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるセレスナガレイトトンボの最新評価は2018年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/13257/75519665

外来樹木が奪った水辺|セレスナガレイトトンボに起きたこと

⬇︎セレスナガレイトトンボの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|セレスナガレイトトンボ(Spesbona)
項目情報
和名セレスナガレイトトンボ
英名Spesbona
学名Spesbona angusta
分類昆虫類・トンボ目・イトトンボ科
分布南アフリカ共和国(西ケープ州周辺のごく限られた地域)
生息環境山地の清流沿い、湿度の高い植生のある渓流域
体長約30mm前後(小型のイトトンボ)
体色繊細な淡い色調(青・褐色を帯びる個体も)
IUCNレッドリスト(2018最新評価)EN:危機(絶滅の危険が高い)

特徴

  • とても細く繊細な体つき:イトトンボらしい細長い体と透明な翅を持つ。
  • 清流に依存する種:汚れのない澄んだ水域でしか生きられない。
  • 飛び方はやわらかく軽い:水面すれすれを静かに滑るように飛ぶ。
  • 目立ちにくい存在:色も動きも控えめで、観察には注意深さが必要。

生態と行動

  • 成虫は清流沿いの植生にとまって生活し、周囲の小さな昆虫を捕食する。
  • 幼生(ヤゴ)は渓流の石のすき間に潜み生活:水質悪化に非常に敏感。
  • 生息域がとても狭い:限られた川筋にしか生息していない固有性が高い。
  • 脅威:水源開発、農業用水の取水、外来植物による植生変化、渇水など。
  • 保全の鍵は「水を守ること」:生息地そのものが失われれば、種も消える。

2014年絶滅危惧種:セレスナガレイトトンボ【VU:危急】

それは対象区域にわずかな生息地しかないためでもあるが、このイトトンボのいる環境が増殖する外来の樹木に覆いかくされてしまうことも原因である。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

項目2014年(※2010年評価に基づく掲載)2018年(再評価)
IUCNカテゴリーVU:危急EN:絶滅危惧(ワンランク危険度上昇)
主な懸念点生息地に侵入した外来樹木による環境劣化の懸念外来樹木の影響が継続・深刻化し、個体群の存続がより不安定に
脅威の中心要因アカシア(Acacia)などの侵略的外来樹木による水辺生態系の攪乱同様に外来樹木が水を大量消費 → 小川の流量低下・乾燥 → 生息地が縮小
生息環境南アフリカ・ケープ植物区系地方の小川・湧水帯同上だが、生息可能な範囲がさらに細分化・断片化
評価引き上げの理由「脅威が続けば危機は高まる」として示唆的に記載脅威が実際に改善せず継続したことが確認されたため、リスク判断が強化
保全の重点外来植物侵入の警戒外来樹木の継続的な除去と水系管理が最優先と明確化

2014年時点で懸念されていたこの問題は解決されず、生息地の質および量は継続的に低下していると考えられる。

そのため、あるいは脅威の深刻性がより正確に評価された結果として、2018年の評価では、セレスナガレイトトンボはより高い絶滅リスクを示す「EN(絶滅危惧)」と判断されるに至ったのである。

⬇︎セレスナガレイトトンボの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
生息地の保全生息地である南アフリカの湧水・小河川の水質を保ち、取水や農地開発による水量低下を防ぐ。
水資源管理取水(河川水の使用量)を規制し、適切な水流と湿地環境を維持する対策を実施。
外来植物の除去外来植物(例:アカシア類)による水辺の乾燥化を防ぐため、除去・在来植生の回復を行う。
法的保護南アフリカ国内の保全対象種として指定され、生息地の破壊・乱獲・商取引を規制。
保護区の設定個体が確認されている湧水源・川沿い地域を 自然保護区・重要淡水生態系 として保護。
市民・地域参加地元住民・土地所有者と協働し、湧水源保全・水利用調整の理解と協力を促す。
研究とモニタリング個体数調査・生息地の水質モニタリング・季節変動の記録により、保全効果を継続的に評価。

主な取り組み

  • 生息地保護:小河川と湧水地の開発・改変を制限
  • 水資源管理:農地灌漑などによる水の過剰取水を調整
  • 外来植物除去:水際を乾燥させる外来樹木の駆除と在来植生の回復
  • 法的保護:国内法により保全対象種として指定
  • 保護区整備:湧水源および周辺の水辺生態系を自然保護区として管理
  • 地域連携:土地所有者・住民参加による水源保全活動
  • 生息状況調査:個体数・水質・季節変動のモニタリング

最後に

読んでみて、どんな印象を持ちましたか。

「そもそも、どうしてアカシアなどの外来樹木が増えたのか?」

まさにその点ですよね。

この理由について、もう少し丁寧に調べてみます。


なぜ持ち込まれたのか(導入の理由)

導入目的内容代表種・例
商業林業(木材・パルプ)成長が早く、木材として利用価値が高かったため大規模に植林された。Acacia mearnsii など
薪炭材(燃料)木炭・薪として安価に利用でき、燃料確保の手段として重視された。複数種
タンニン(皮革産業)皮なめしに必須のタンニンを樹皮から大量に抽出できるため、プランテーションが拡大した。ブラックワトル (Acacia mearnsii)
砂防(砂丘固定・土壌定着)海岸や乾燥地で砂の移動を防ぐ目的で植えられた。ルイクランス (Acacia cyclops)

なぜ爆発的に増えたのか(侵略・定着のメカニズム)

要因内容生態系への影響
天敵の不在原産地オーストラリアでは存在する昆虫・病原体などの天敵が南アフリカにはいなかった。成長・繁殖を妨げられず、急速に拡大した。
火災への強い適応フィンボスは火災が周期的に起こる生態系。アカシアは火災後に土中の種子が一斉発芽し、在来種より早く土地を占拠する。火災後の土地を外来樹が独占 → 在来植物が回復できない。
土壌の富栄養化(窒素固定)アカシアは根粒菌と共生し、空気中の窒素を土壌に供給することで土壌を肥沃化させる。フィンボス在来種は貧栄養土壌に適応しているため、競争力を失い衰退する。

南アフリカにおけるアカシア問題は、経済的利益を目的として人間によって意図的に導入された樹種に端を発している。

しかし、導入後、天敵の不在、火災への強い適応、土壌改変を伴う生理特性といった生態的要因が組み合わさったことで、これらの樹種は人間の管理を逸脱した。

その結果、アカシアは在来生態系であるフィンボスの構造と機能を破壊する「侵略者」へと変貌した。

これは、人為的導入が生態系の均衡を長期的に崩す典型的な事例である。


「極端なことを言うと、グッピーの水槽にピラニアを入れてしまったようなものなんですよね。」

……それは、ちょっと例えが強いかもしれませんけど。

もともと穏やかに共存していた植物たちの中に、火にも乾燥にも強く、成長スピードも早い“外の強者”が持ち込まれれば、どうなるかは、ある意味で予測できたことでもあります。

ここで「侵略者へと変貌した」と言われますが、実際のところ、彼らは自分の意思で移動したわけではなく、人の手によって植えられたものなのですよね。

だって、樹木は、長い時間をかけてしか動けませんから。

大きな移動は、いつだって人間が連れてきた結果なのですよ。

だから責めるべきは「樹木」ではなくて、判断し、運び、植え、管理し続けるという“選択”をしてきた私たち人間側の方です。

生態系における問題は、いつも「悪い生物がいる」ではなく、「そこに連れてきたのは誰か」ということを問い直すことが大切だと思います。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

セレスナガレイトトンボに、あなたの5分が届くことを祈ります。

fukumomo3_photo


インスタでは、セレスナガレイトトンボたちの姿を“図鑑みたいに”並べて見られます。
ビジュアルで伝える命の物語、よかったらのぞいてみてください。

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