※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
こんにちは、鶏人|Keijin です。
ズキンアザラシ(Cystophora cristata)は、
2014年、図鑑に【VU:危急】として分類されていました。
2025年、IUCNレッドリストで、【EN:危機】と評価されました。
つまり、2014年から2025年にかけて、ズキンアザラシは
「氷の消える海で、静かに名を失いはじめた」状態になってしまいました。
※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるズキンアザラシの最新評価は2025年版です。それ以降の更新は行われていません。
この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/6204/279892432
ズキンアザラシを追いつめる『薄くなる氷』と『失われる季節』
⬇︎ズキンアザラシの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 和名 | ズキンアザラシ(頭巾海豹) |
| 英名 | Hooded Seal |
| 学名 | Cystophora cristata |
| 分類 | 哺乳類・食肉目・アザラシ科 |
| 分布 | 北大西洋・北極海域(グリーンランド、カナダ、アイスランド、ノルウェーなど) |
| 主な繁殖地 | 北大西洋の流氷上(ラブラドル海、デイビス海峡、グリーンランド東岸) |
| 体長 | オス:約2.5〜3.0m/メス:約2.0〜2.3m |
| 体重 | オス:約300kg/メス:約160kg |
| 寿命 | 約25〜35年 |
| IUCN評価 | 【EN:絶滅危惧(Endangered)】(IUCN, 2025年評価) |
特徴
- 名前の由来:オスの頭部にある“頭巾(フード)”のような膨張袋(鼻腔膜)が名前の由来。求愛期には風船のように膨らませてディスプレイを行う。
- 外見:体色は青みを帯びた灰色で、背中には黒い斑紋。メスよりオスが大きく、鼻の袋が特徴的。
- 幼獣の毛色:「ブルーバック」と呼ばれ、濃い青灰色の背と明るい腹部を持ち、他のアザラシと容易に区別できる。
- 潜水能力:1,000m以上の深さまで潜水し、食料を探すことができる。
- 鳴き声:鼻の膨張袋から音を発し、仲間への警告や求愛の合図として使われる。
生態と行動
- 生息環境:北極圏の氷縁域に生息し、流氷とともに回遊する。氷上で出産・授乳を行う。
- 食性:主に魚類(タラ類、ニシンなど)やイカ類を捕食する。冬には氷下での採餌も行う。
- 繁殖:春(3〜4月頃)に氷上で1頭の子を出産。授乳期間はわずか4日ほどで、哺乳類の中でも最短。母乳は脂肪分が高く、子は急速に成長する。
- 回遊:季節によって大規模な移動を行い、冬には氷縁域、夏には北極海中央部まで移動。
- 脅威:気候変動による海氷減少、石油開発、漁業との競合、汚染物質の蓄積が主な脅威。
- 保全活動:国際的な保護対象であり、商業捕獲はほぼ禁止。北欧諸国では観測とモニタリングが継続されている。
2014年絶滅危惧種:ズキンアザラシ【VU:危急】
ここ数十年で商業捕獲が個体群の85パーセントの減少をもたらしたとされ、繁殖域の氷の状態の劣化が個体群減少の原因となっていることも明らかである。
出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 海氷の「劣化」とは | 氷の「量」だけでなく、「質」と「時期」が変化していること。これにより繁殖・換毛・採餌に連鎖的影響が生じる。 |
| ① 氷の質:一年氷の増加 | 過去:厚く安定した多年氷(夏を越す氷)が多い。 現在:薄く不安定な一年氷が主流。 影響:成獣(最大約400kg)が乗る繁殖氷が割れやすく、繁殖地の維持が困難。 |
| ② 氷の時期:繁殖期とのミスマッチ | 繁殖期:3〜4月、授乳は約4日間。 問題:春の融解が早まり、授乳中に氷が崩壊。 結果:子が海に落下・溺死、親子分離などで繁殖失敗が増加。 |
繁殖以外への連鎖的影響
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 換毛場所の喪失 | 換毛期:6〜7月。 本来は海氷上で実施。夏季の海氷消失で陸上換毛を強いられ、ストレス増・捕食リスク(ホッキョクグマ等)上昇。 |
| ② 餌環境の変化 | 海氷下面の藻類(アイス・アルジー)→動物プランクトン→魚類・イカ類→ズキンアザラシ、という食物網が縮小。 氷の減少は餌資源の根本的減少を意味。 |
個体群ごとの状況
| 個体群 | 主な分布域 | 現状・観測結果 |
|---|---|---|
| 北西大西洋個体群 | カナダ沖(ニューファンドランド島、デービス海峡) | 海氷被覆率が大幅低下。子アザラシ生産数は2005年比で約36〜38%に減少。2024年調査では伝統的な繁殖地を確認できず。 |
| グリーンランド海個体群 | アイスランド〜スバールバル諸島間 | 1990年代後半〜2000年代に急減。以降も低水準で回復の兆しに乏しい。 |
脅威の「二重苦」
| 時期 | 主な要因 | 影響 |
|---|---|---|
| 過去(1950〜80年代) | 商業捕獲(毛皮・油) | 個体数が最大で85〜90%減少。 |
| 現在(2000年代以降) | 気候変動による海氷減少 | 繁殖・換毛・採餌が同時に困難化し、回復を阻害。 |
ズキンアザラシは「過去の乱獲によるダメージから回復する機会を、気候変動による繁殖環境の喪失によって奪われている」という、非常に厳しい状況に置かれている。
⬇︎ズキンアザラシの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎
| 保護活動の種類 | 内容の概要 |
|---|---|
| 生息地の保全 | 北大西洋・北極海の流氷・浮氷域および棚氷域を含む海域で、分布・繁殖・脱皮・餌場を維持するため、氷域の減少・環境変化への対応を強化。 |
| 漁具・混獲・衝突の防止 | 捕獲歴のある種であり、偶発捕獲(バイバイキャッチ)や他魚種漁の影響を抑えるため、漁法や捕獲規制の実施。 |
| 氷・海洋環境変化対策 | 氷域の減少、海水温上昇、餌資源の変化など動物に影響を与える環境変化に対し、モニタリング・適応策を講じる。 |
| 国際的な取引・捕獲規制 | 商業捕獲・皮革・油などを目的とする捕獲制限を法律・条約により設ける。 |
| 保護区・重要生息域の設定 | 繁殖・脱皮を行う流氷帯・棚氷近傍などを重点保護海域に指定。 |
| 市民・地域参加 | 漁業者・沿岸地域住民・観光関係者を対象に、保護意識向上と協働体制を整備。 |
| 研究とモニタリング | 個体数推定、移動・潜水行動、餌場利用、氷域変化の影響を調べるための追跡・観察・調査を行う。 |
主な取り組み
- 氷域・流氷海域の保全:脱皮・繁殖に重要な浮氷・棚氷環境を維持
- 漁具・捕獲リスクの軽減:偶発的な混獲を減らすための漁法改良・規制強化
- 海洋・氷環境変化への対応:海水温・餌動物の変化を監視し、適応策を検討
- 捕獲・取引規制:皮革目的や過去の大量捕獲を防ぐため法的措置
- 保護生息域の指定:重要な流氷帯・棚氷付近を保護地域に設定
- 地域・市民参加:沿岸住民・漁業者・観光事業者と協力し、啓発・モニタリング協働
- 研究・モニタリング:衛星追跡・潜水記録・氷域データを用い、生態・環境関係を継続調査
最後に
これを読んで、どんなふうに感じましたか?
「氷が年々薄くなってるっていうけど、実際どんなペースで減ってるのか、グラフで見てみたいな。」
そうですね。
じゃあ、もう少し詳しく調べてみましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 観測の開始 | 人工衛星による観測は1979年に開始され、それ以降、一貫して北極海の氷の減少が確認されている。特に9月(夏の終わり)の最小面積が深刻。 |
| 年間最小面積(9月)の特徴 | ・北極海の氷は冬に最大、夏に最小となる。 ・9月の平均面積の減少が最も顕著。 |
| 減少の割合(9月) | 10年あたり約−12.2%のペースで減少。 |
| 具体的な数値(9月) | ・1981〜2010年の平均最小面積:約633万km²。 ・2012年には観測史上最小の約339万km²を記録。 ・2024〜2025年も平均を大きく下回る水準で推移。 |
| 繁殖期(3月)の海氷 | ズキンアザラシの繁殖期にあたる冬の終わり(3月)も減少傾向。 |
| 減少の割合(3月) | 10年あたり約−2.4%。 |
| 問題の本質(氷の質) | ・面積よりも「氷の質」の変化が深刻。 ・多年氷が減少し、薄く不安定な一年氷が増加。 ・繁殖地としての安定性が低下し、ズキンアザラシの繁殖成功率が悪化。 |
| データ出典・主な機関 | ・NSIDC(米国雪氷データセンター) ・NASA(米国航空宇宙局) ・JAXA(日本・宇宙航空研究開発機構) |
| グラフ1:年間最小面積(9月) | 横軸:1979〜2025年の年 縦軸:海氷面積(平方キロメートル) 傾向:年ごとの変動はあるが、全体として右肩下がりの減少傾向が明確。 |
| グラフ2:海氷の年齢(氷齢) | 内容:氷が何年間凍り続けているかを色分けした地図。 傾向:1980年代は「5年以上の多年氷」が北極中央に広く分布。 現在はほとんどが「1年氷」に置き換わり、厚い氷が消失。 |
| 総括 | 北極海の海氷は「量」だけでなく「質」も失われており、ズキンアザラシなどの極域生物にとって生息環境の根幹が揺らいでいる。 |

グラフやデータが示しているのは、単に「氷が減っている」という事実だけでなく、「アザラシの足場として最も重要な、厚く安定した氷(多年氷)が、繁殖期や換毛期を含めて急速に失われている」という現実がある。
出典:Arctic seals and more than half of bird species are in trouble on latest list of threatened species
「面積って言われても、いまいち実感が湧かないんだけど……氷の厚さって、どれくらい薄くなってるの?」
そうですよね。
じゃあ、ちょっと“厚み”に置き換えて考えてみましょう。
北極海全体の海氷の平均厚さは、1970年代にはおよそ3.5〜4メートルであった。
しかし、現在(2020年代)では、おおむね1.5〜2メートル程度まで減少している。
年あたりの薄くなるペースは、1979年から2023年の約45年間で、平均厚さがおよそ2メートル減少したと仮定すると、2メートル ÷ 45年 ≒ 約4.4センチ/年となる。
したがって、北極海の海氷は毎年およそ4〜5センチずつ薄くなっている計算になる。
| 指標 | 1970〜80年代 | 2020年代 | 年あたりの変化 |
|---|---|---|---|
| 平均厚さ | 約3.5〜4.0m | 約1.5〜2.0m | 約−4〜5cm/年 |
| 海氷面積(9月) | 約700万km² | 約400万km² | 10年で−12% |
| 海氷体積 | 約16,000km³ | 約5,000km³ | 約−70%減 |
「水槽にたとえると、毎年ガラスが少しずつ薄くなって、今にも割れてしまいそうな感じですね。」
そうですね。
ただ、実際には“割れそう”というより、すでにあちこちでひびが入っているような状況なんです。とても深刻ですよね。
気候変動の影響は、単に地球が温かくなるというだけではありません。その波は、海の環境や生き物の暮らし、そして私たちの生活にも確実に届いています。
今、私たちにできる一番のことは、まず「知ること」だと思います。少しでも「どうしてだろう?」と感じたら調べてみる。そして、その結果に不安を覚えたら、何か小さくても行動してみる。
そうやって一歩ずつ動くことで、不安はきっと希望に変わっていくはずです。
ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?
コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。
あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。
ズキンアザラシに、あなたの5分が届くことを祈ります。
鶏人|Keijin





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