11年後のレッドリスト|インディアナホオヒゲコウモリ:闇を抜け、ほのかな光を見つけていた【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|インディアナホオヒゲコウモリ:闇を抜け、ほのかな光を見つけていた【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

インディアナホオヒゲコウモリ(Myotis sodalis)は、

2014年、図鑑に【EN:危機】として分類されていました。

2016年、IUCNレッドリストで【NT:準絶滅危惧】と評価されました。

つまり、2014年から2016年にかけて、インディアナホオヒゲコウモリは

「闇を抜け、ほのかな光を見つけていた」状態になりました。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるインディアナホオヒゲコウモリの最新評価は2016年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでくれると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/14136/22053184

インディアナホオヒゲコウモリとホワイトノーズ症候群|人間にはうつらないけれど、人間が広げてしまう現実

⬇︎インディアナホオヒゲコウモリの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|インディアナホオヒゲコウモリ(Myotis sodalis)
項目情報
和名インディアナホオヒゲコウモリ(Indiana Bat)
英名Indiana Bat
学名Myotis sodalis
分類哺乳類・コウモリ目・ミオティス属
分布北アメリカ(アメリカ合衆国東部)。イリノイ州、インディアナ州、ミズーリ州からバーモント州やニューイングランド地域まで広がる
体長・体重体長:約8.3cm(3.3in)、体重:約8g
保存状況IUCN:「Near Threatened(準絶滅危惧)」、米国では連邦「絶滅危惧種(Endangered)」として保護対象

特徴

  • 体色は灰褐色で、腹面はピンクがかった白色。ピンクの唇、大きな足、短い趾毛、尾膜に支柱となる「カルカー」の隆起(キール)が特徴で、他のミオティス属との識別に役立つ。
  • 名前の由来:「Myotis」は“mouse-eared”(ねずみ耳)、「sodalis」は“仲間・連帯”を意味し、社会的な習性を反映している。

生態と行動

  • 越冬と繁殖:冬季は洞窟や鉱山に集団で冬眠。一部はダムやトンネルでも確認される。夏季には森林や橋の下、樹皮下などで母子コロニー(メイタニーコロニー)を形成。
  • 食性:夜行性で完全な虫食性。蛾、コガネムシ、蚊、ブユなどの飛翔昆虫を捕食。
  • 生涯と繁殖:平均寿命は5–9年だが、12年以上生存した例も。秋の繁殖期(スワーミング)に交尾し、受精は冬眠後に始まる(遅延受精)。出産は1年に1頭(稀に双子)で、子供は7月頃に生まれ、25–37日で離乳。
  • 分布と移動:東部米国全域に夏の分布が広がるが、冬眠地は洞窟が限られる。個体数減少は過去50年以上で57%に達し、白鼻症候群が大きな脅威となっている。

2014年絶滅危惧種:インディアナホオヒゲコウモリ【EN:危機】

おもな原因は人為的な冬眠地のかく乱であると信じられており、それが個体を直接死亡させたり、冬眠から覚醒させることで、蓄えていたエネルギー源を失わせることになるためだとされる。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

脅威の種類内容・メカニズムインディアナホオヒゲコウモリへの影響(2025年時点)備考・対策・課題
冬眠地のかく乱(人間の侵入)洞窟や廃坑に人間が入り、音・光・体温などの刺激で冬眠中のコウモリを覚醒させてしまう。覚醒と再冬眠を繰り返すことで、冬を越すための脂肪を大量に消費し、春までに餓死する個体が増える。現在も主要な脅威の一つ。重要な冬眠地への立入制限・閉鎖、啓発活動が進んでいるが、完全には防ぎ切れていない。
冬眠地ゲート(鉄格子)設置の影響人間の立ち入りを防ぐ目的で洞窟入口に鉄格子のゲートを設置。侵入防止には有効な一方で、空気の流れが変化し、洞窟内の温度・湿度バランスが崩れることで冬眠環境が悪化する場合がある。「守るための構造物」が逆に冬眠地の質を下げてしまうリスクが指摘され、設計見直しや環境モニタリングが課題。
ホワイトノーズ症候群(WNS)ヨーロッパ由来とされる真菌(カビ)が原因の感染症。鼻・耳・翼などに白いカビが生え、皮膚を侵す。カビによる皮膚損傷だけでなく、冬眠中の覚醒を頻発させることで脂肪を使い果たさせ、餓死を引き起こす。2006年以降、北米に爆発的に拡大し、一部の冬眠地では個体数が90%以上減少。インディアナホオヒゲコウモリにとって現在の「最大の脅威」の一つ。洞窟の閉鎖や消毒、研究者・観光客の装備管理などで拡散防止が試みられているが、決定的な治療・根絶策はまだ確立されていない。
夏の生息地の喪失(繁殖地の劣化)夏は森林の「立ち枯れ木」や樹皮が剥がれかけた木の裏などをねぐら・育児場所として利用。森林伐採や都市開発により、こうした木が減少。安定した繁殖場所を確保できず、コロニーの規模縮小・分断化が進む。個体数の回復を大きく妨げている。立ち枯れ木の保全、伐採計画への配慮、人為的な巣箱設置などが一部で試みられている。
気候変動洞窟内の温度・湿度の変化、季節パターンのずれ、餌となる昆虫の発生時期・量の変化などが発生。冬眠のタイミングや期間、春以降の採餌成功率に影響し、生存率・繁殖成功率が低下する可能性が高い。長期的で見えにくいが、他の脅威と重なり合う「背景要因」としてじわじわと悪影響を与えている。
風力発電(バットストライク)渡りルートや活動域に建てられた風力タービンに衝突する事故が発生。コウモリ全般にとって新たな死亡要因となっており、インディアナホオヒゲコウモリに対してもリスクが懸念される。タービンの配置見直し、運転時間の調整(渡り時期の停止)など、野生動物への配慮を求める動きが広がりつつある。

インディアナホオヒゲコウモリは、冬眠地の人為的かく乱および保護目的のゲート設置に伴う微気候変化に加え、ホワイトノーズ症候群の流行により、冬季死亡率が著しく上昇している。

さらに、繁殖期の立ち枯れ木の減少、気候変動による餌資源の変動、風力発電施設との衝突リスクが複合的に作用し、本種の個体群回復を大きく阻害し、長期的存続に深刻な懸念が生じている。

⬇︎インディアナホオヒゲコウモリの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
生息地の保護夏の繁殖林や冬の洞窟を保全し、伐採や開発による環境破壊を防止
冬眠地の保護冬眠中の個体を保護するため、洞窟や鉱山の立入制限やゲート設置を実施
疾病対策ホワイトノーズ症候群の拡散防止のため、洞窟訪問者の靴や装備の消毒を義務化
保護区の設定主要な繁殖地・越冬地を含む地域を保護区や国立森林として管理
市民・地域参加洞窟保全活動やコウモリ観察会、啓発プログラムの実施
研究とモニタリング個体数・繁殖成功率・疾病の影響を長期的に調査

主な取り組み

  • 生息地保護:繁殖林や越冬洞窟の保全
  • 冬眠地管理:立入制限や保護ゲート設置
  • 疾病対策:ホワイトノーズ症候群拡散防止策の実施
  • 保護区指定:主要生息地を国立森林や保護区に指定
  • 地域参加:洞窟保全や啓発イベントの実施
  • 研究調査:個体数や疾病影響の長期モニタリング

最後に

ここまで読んで、どう感じましたか?

ホワイトノーズ症候群って、やっぱりコウモリだけの感染症なのかな?

ちょっと気になりますよね。

このあたりを、もう少し詳しく調べてみます。


テーマ要点説明・補足
人間・ペットへの感染リスク感染して病気になる心配はない原因菌 Pseudogymnoascus destructans は「好冷菌」で、約4~20℃でよく増える一方、20℃を超えると成長が止まり、さらに高温では死滅する。体温が約36~37℃の人間や犬・猫などの哺乳類の体内・皮膚では生きられないため、現在まで人間やペットへの感染例は報告されていない。
コウモリが標的になる理由冬眠によって「カビにとって最適な温度」になってしまうコウモリも本来は体温の高い哺乳類だが、冬眠中はエネルギー節約のため体温を洞窟内の気温(数℃〜10℃程度)近くまで下げる。その結果、通常なら「熱すぎて生きられない灼熱地獄」であるはずのコウモリの体が、冬眠中だけはカビの繁殖に最適な環境となり、鼻や耳、翼に菌が増殖してしまう。
人間による媒介リスク人間は「感染」はしないが「運び屋」になりうる洞窟に入った人の靴裏や服、カメラ機材などに、目に見えないカビの胞子が付着することがある。そのまま車や飛行機で別の地域に移動し、別の洞窟に入ると、本来なら届かない遠くの冬眠地に菌を運んでしまうおそれがある。北米での急速な拡大には、コウモリの移動だけでなく、人間の移動も関与していると考えられている。
まとめ:安心材料と注意点「人間には無害」だが「人間が広げてしまうかもしれない」安心材料:この菌は高い体温では生きられないため、人間やペットが病気になることはない。/悲しい現実:冬眠で体温を下げるコウモリだけが標的になってしまう。/私たちにできること:洞窟に入る際の靴や衣服・装備の消毒、立ち入り禁止区域には絶対に入らないなど、「運び屋」にならない行動が重要である。

ホワイトノーズ症候群の病原真菌 Pseudogymnoascus destructans は好冷性で、約4〜20℃で増殖し、20℃を超えると成長が抑制され高温では死滅する。

このため体温の高い人間やペットで感染症を引き起こすことはなく、発症例も報告されていない。

一方、人間は洞窟出入りの際に靴や衣類などへ付着した胞子を遠隔地へ運搬しうる媒介者として機能し、コウモリ個体群への空間的拡散を促進している。


人間やペットにはこの菌は感染しないけれど、冬眠中で体温が下がっているコウモリの体に菌がついてしまうと、そこで発症してしまうんですね。
しかも、その菌を遠くまで運んでいたのが人間だった、という事実がわかったときは、研究者たちもかなりショックだったと思います。

でも、知らなければ対策の立てようがありません。
「守るために洞窟に入った人たちの行動が、結果的に菌の拡大につながっていた」という現実に向き合いながら、「では、これからどうやって調べればいいのか」を考え直していったのでしょう。

今では、人工知能を積んだクモ型の歩行ロボットのように、人の代わりに危険な場所を調査できる機械も開発されています。こうした技術が進めば、将来は人間が直接入らなくても、ロボットで調査できるようになるかもしれません。
出典:Robots Autonomously Navigate Underground in DARPA Challenge

もともと、この菌はインディアナホオヒゲコウモリが暮らす地域には存在していなかった可能性も指摘されています。人間が飛行機や車で長距離を移動するあいだに、装備などに付着した胞子を知らないうちに運んでしまった――そんなシナリオも、十分ありえる話なのです。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

インディアナホオヒゲコウモリに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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