※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
Hi everyone, it’s 鶏人|Keijin.
Back in the 2014 encyclopedia, the whale shark (Rhincodon typus) was classified as “Vulnerable” (VU). This was due to ongoing targeted hunting for their meat, fins, and liver oil, along with bycatch in fisheries, combined with their slow maturation and low population resilience.
In recent years, hunting restrictions have spread globally. We’ve seen bans on encircling them in tuna purse-seine fisheries, efforts to safely release bycatch, better tourism management at gathering sites, and tracking studies using photo ID and satellite tagging. On top of that, in March 2026, their transfer to CITES Appendix I took effect, strictly banning commercial international trade in principle.
However, in the latest IUCN Red List available as of 2026, they are now assessed as “Endangered” (EN). This is because the global population is estimated to have plummeted by over 50% over the last 120 years—and by a staggering 65% or more in the Indo-Pacific region. This uplisting to EN actually happened in 2016, and the status was maintained in the 2025 reassessment.
I believe whale sharks today remain “giants of the sea, fading away even under our protection.”
I’ve tucked some more detailed info into the dropdown sections. But for now, I’d really appreciate it if you could just read through this main story to the very end.
こんにちは、鶏人|Keijinです。
ジンベエザメ(Rhincodon typus)は、2014年の図鑑では、肉、ひれ、肝油を目的とした捕獲や漁業による混獲が続き、成熟が遅く個体群の回復力も低いことなどから「VU:危急」と評価されていました。
近年は、各国で捕獲規制が広がり、マグロ巻き網漁における包囲の禁止、混獲個体の安全な放流、集合地での観光管理、写真識別や衛星標識による回遊調査が進められています。さらに、2026年3月にはワシントン条約附属書Iへの移行が発効し、商業目的の国際取引は原則として禁止されました。
そして、2026年時点で確認できる最新のIUCNレッドリストでは、過去約120年間で世界の個体数が50%以上減少し、特にインド太平洋では65%を超える減少が推定されたことから「EN:絶滅危惧」と評価されています。ENへの引き上げは2016年に行われ、2025年の再評価でも維持されました。
ジンベエザメは今も、「守られながら、なお減り続ける海の巨人」という状態なのだと思います。
少し詳しい内容は折りたたみの中にまとめています。
まずは本文だけでも、最後まで読んでもらえたらうれしいです。
※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2025年評価(2025年公開)です(以降の更新は、現時点では確認できていません)。
※2026年時点で、グリーンステータスにおける最新評価は2021年評価(2021年公開)です。(以降の更新は、現時点では確認できていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Rhincodon typus)
ジンベエザメの現在|2014年のVUから2026年のENへ
⬇︎ジンベエザメの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 和名 | ジンベエザメ。「ジンベイザメ」と表記されることもある。沖縄では「ミズサバ」と呼ばれることがある。 |
| 英名 | Whale Shark |
| 学名 | Rhincodon typus Smith, 1828 |
| 分類 | 動物界、脊索動物門、軟骨魚綱、板鰓亜綱、テンジクザメ目、ジンベエザメ科、ジンベエザメ属 |
| 分類上の特徴 | ジンベエザメ科およびジンベエザメ属に属する唯一の現生種。名前に「クジラ」を意味するWhaleが含まれるが、鯨類ではなく、えらで呼吸するサメの仲間である。 |
| 記載 | 1828年、スコットランド出身の動物学者アンドリュー・スミスが、南アフリカのテーブル湾で得られた個体をもとに記載した。 |
| 名前の由来 | 和名は、白い斑点と縞模様が和服の甚平の柄に似ていることに由来するとされる。英名は、クジラを思わせる巨大な体と濾過摂食を行う性質に由来する。 |
| 基本的な特徴 | 現生する魚類の中で最大の種。巨大な体に対して歯は非常に小さく、主としてプランクトンや小型遊泳動物を濾し取って食べる。 |
| 分布 | 大西洋、インド洋、太平洋の熱帯から暖温帯海域にほぼ世界的に分布する。地中海では通常みられない。おおむね北緯45度から南緯48度の範囲で記録されているが、主要な生息域はより温暖な低緯度海域である。 |
| 海洋集団 | 遺伝的・生態的には、大西洋集団とインド太平洋集団の間に一定の分化が認められる。世界の個体のおよそ75%がインド太平洋、約25%が大西洋に生息すると推定されている。 |
| 日本での分布 | 南西諸島、沖縄近海、小笠原諸島を中心に、本州・四国・九州沿岸や日本海側でも記録される。沖縄本島周辺では春から初夏、特に5~6月ごろの目撃が比較的多い。 |
| 主な出現海域 | オーストラリアのニンガルー礁、メキシコのユカタン半島沖、ベリーズ、フィリピン、モルディブ、セーシェル、モザンビーク、タンザニア、マダガスカル、ジブチ、カタール、紅海、ガラパゴス諸島、カリフォルニア湾などに季節的な集合地がある。 |
| 生息環境 | 外洋性である一方、餌が豊富な大陸棚、島嶼周辺、サンゴ礁外縁、湾、ラグーン、河口沖などにも現れる。沿岸と外洋の双方を利用する広域回遊性の魚類である。 |
| 生息水温 | おおむね18~30℃の海域に生息する。海面付近に集まる場所は、水温21℃以上の温暖な海域に多い。 |
| 生息深度 | 通常は海面から水深100~200メートルほどの表層・中層を多く利用するが、衛星標識では水深1,900メートルを超える潜水も記録されている。 |
| 全長 | 多くの個体は4~12メートル程度。沿岸の集合地では4~8メートル前後の未成熟個体が多い。科学文献では全長18.8メートルの個体が最大級の記録として挙げられるが、巨大個体は測定が難しく、最大到達サイズには不確実性が残る。 |
| 体重 | 10メートルを超える個体では十数トンに達する。極端に大型の個体について30トンを超える報告もあるが、正確な最大体重は確定していない。 |
| 体形 | 頭部は幅広く扁平で、胴体は太く、尾柄に向かって細くなる。背面には頭部後方から尾部へ続く縦方向の隆起線があり、強い尾びれを備える。 |
| 体色 | 背面は灰色、青灰色、褐色または緑褐色で、淡黄色から白色の斑点と縦横の縞模様が並ぶ。腹面は白色または淡黄色。 |
| 斑点模様 | 斑点の配置は個体ごとに異なり、成長後も基本的に維持される。特に胸びれ上方から第5鰓裂付近の模様を写真で照合し、個体識別や回遊調査に利用できる。 |
| 頭部と口 | 口はほかの多くのサメのように頭部下面ではなく、幅広い頭部の前端近くに開く。大型個体では口幅が1メートルを大きく超える。 |
| 歯 | 上下の顎に多数の歯列があり、数千本の非常に小さな歯を備える。ただし、獲物を切断するためにはほとんど使用せず、摂食の中心的役割は鰓の濾過器官が担う。 |
| 鰓 | 頭部後方に5対の非常に大きな鰓裂がある。鰓弓に発達した海綿状の濾過板で水中の小動物を捕捉する。 |
| 目 | 体に比べて目は小さい。眼球を眼窩内へ引き込むことができ、眼球表面にも「眼歯状突起」と呼ばれる小さな鱗状構造があり、物理的な損傷から目を保護すると考えられている。 |
| 皮膚 | 皮膚は厚く、表面は歯と同じ起源を持つ微細な楯鱗で覆われる。成体では目立った捕食者が少なく、厚い皮膚も防御に役立つ。 |
| 食性 | 動物プランクトン、カイアシ類、オキアミ、エビ・カニ類の幼生、魚卵、サンゴの卵や幼生、小型のイワシ・カタクチイワシ・サバ類、仔魚、小型イカなどを食べる。 |
| 摂食方法 | 口を開けて泳ぎながら海水を通過させる受動的な濾過摂食と、口腔内を広げて海水と餌を吸い込む能動的な吸引摂食を使い分ける。水は濾過板を通って鰓裂から排出され、餌だけが口内に残る。 |
| 垂直摂食 | 餌が海面付近に密集すると、頭を水面に向けてほぼ垂直になり、口を繰り返し開閉して吸い込む「立ち泳ぎ」のような摂食を行うことがある。 |
| 季節的な集合 | 魚類やサンゴの産卵、プランクトンの大発生、湧昇流、潮汐による餌の集中などに合わせ、特定海域へ季節的に集まる。通常は単独で行動することが多いが、好条件下では100個体を超える群れになる。 |
| 性別・成長段階による分布差 | 多くの沿岸集合地は全長4~8メートルほどの未成熟雄に偏る。成熟した雌、特に大型雌は沿岸でほとんど観察されず、外洋性が強いと考えられている。 |
| 行動 | 比較的温和で、通常はゆっくり泳ぐ。体全体と尾びれを左右に振る独特の泳ぎ方をし、採餌場では船や遊泳者をあまり警戒しないこともある。 |
| 回遊 | 数百から数千キロメートル規模を移動し、国境や海洋を横断する。一方、毎年または数年おきに同じ採餌場へ戻る場所忠実性も確認されている。 |
| 深い潜水 | 表層で採餌した後に数百メートル以深へ潜ることがある。深海での採餌、移動方向の把握、捕食者の回避、体温調節など複数の役割が考えられるが、目的のすべては解明されていない。 |
| 成長 | 成長は遅く、成長速度は性別や地域、年齢によって異なる。若い個体では年に数十センチメートル成長することがあるが、大型化すると成長速度は低下する。雌は雄より大きく成長する傾向がある。 |
| 雄の成熟 | 雄は一般に全長7~9メートルで成熟する。ニンガルー礁の研究では成熟率が50%に達する全長は約8メートルで、9メートルを超える雄の大部分が成熟していた。 |
| 雌の成熟 | 成熟雌の観察例が少ないため、成熟サイズと成熟年齢は雄より不明確。大型個体になってから成熟し、現在の個体群評価では雌の初回繁殖年齢を約30歳とする推定が用いられている。 |
| 世代時間 | 現在の保全評価では約40年と推定されている。成熟が遅く世代交代に長い時間を要するため、成体の減少が個体群へ長期的な影響を及ぼす。 |
| 年齢・寿命 | 脊椎骨の成長輪を放射性炭素年代測定で検証した研究により、約50歳の個体が確認されている。より長寿である可能性も高いが、野生での正確な最長寿命は分かっていない。 |
| 繁殖様式 | 卵黄依存型胎生。卵は雌の子宮内でふ化し、胎仔は主として卵黄の栄養で成長した後、仔魚として産み出される。胎盤を介して母体から栄養を受けるタイプではない。 |
| 妊娠個体の記録 | 1995年に台湾で捕獲された全長約10~11メートルの雌から、約300個体の胎仔と卵が発見された。科学的に詳しく調査された妊娠個体は、この1例に限られている。 |
| 胎仔数 | 台湾の個体では発生段階の異なる約300個体が確認された。多数の胎仔を一度に子宮内で発育させることができるが、すべてを同時に出産するのか、長期間に分けて出産するのかは分かっていない。 |
| 出生時の大きさ | 胎仔は全長58~64センチメートルほどで卵殻から出る。自由遊泳する個体では全長約46~56センチメートルの新生仔も記録されており、出生時はおよそ50~60センチメートル前後と考えられる。 |
| 妊娠期間・出産間隔 | 妊娠期間は不明。繁殖は毎年ではなく、2年以上の間隔を置く可能性がある。交尾場所、出産場所、繁殖季節についてもほとんど分かっていない。 |
| 幼育 | 出産後の親による保護や給餌は行われないと考えられる。全長1メートル未満の幼魚の記録が極めて少なく、出生直後の個体は外洋など、人が観察しにくい海域を利用する可能性がある。 |
| 天敵 | 健康な成体を襲える動物は少ない。幼魚はイタチザメ、ヨシキリザメ、ホホジロザメなどの大型サメや大型カジキ類に捕食されることがあり、シャチによる攻撃例も報告されている。 |
| ほかの生物との関係 | コバンザメや小型魚類が体表に付き、移動や採餌の機会を得る。体表や口腔、鰓にはカイアシ類などの寄生生物が付着することもある。 |
| 人への危険性 | 通常、人を獲物として認識せず、攻撃性も極めて低い。ただし非常に大きいため、接近しすぎると体や尾びれとの偶発的な接触によって負傷する可能性がある。 |
| 個体数 | 世界全体の総個体数および成熟個体数は分かっていない。写真識別調査は多数の個体を登録しているが、調査が沿岸集合地の若い雄に偏るため、登録数を世界の個体数として扱うことはできない。 |
| 個体数の傾向 | 減少傾向。2025年のIUCN評価では、過去約120年間、すなわち約3世代で世界全体が少なくとも50%減少したと推定された。インド太平洋では65%を超える減少、大西洋では少なくとも30%の減少が推定されている。 |
| IUCNレッドリスト | Endangered(EN・危機)。評価基準はA2bd。2025年3月31日評価。過去の漁獲量、漁獲努力量当たりの捕獲数、目撃数、体サイズ構成などに基づいて判定されている。 |
| CITES | ワシントン条約附属書I。2025年の第20回締約国会議で附属書IIからIへの移行が採択され、2026年3月5日に発効した。学術研究などの例外を除き、商業目的の国際取引は原則として禁止される。 |
| CMS | 移動性野生動物種の保全に関する条約の附属書IおよびIIに掲載され、国際協力による保全対象となっている。 |
| 主な脅威 | 過去および現在の対象漁業、違法漁業、定置網・刺網・まき網などによる混獲、漁具への絡まり、船舶との衝突、プロペラによる負傷、沿岸開発、観光船の過度な接近、海洋ごみやプラスチック汚染、油濁など。 |
| 船舶との衝突 | 海面近くを泳ぐ時間が長く、航路や港湾周辺の利用海域と重なるため、大型船を含む船舶との衝突に弱い。外洋で死亡した個体は発見されにくく、実際の死亡数が記録を上回る可能性がある。 |
| 漁業の影響 | 肉、ひれ、肝油、皮などを目的とする漁業によって各地で捕獲されてきた。多くの国で捕獲が禁止された後も、混獲や違法取引による死亡が続いている。 |
| 気候変動の影響 | 海水温、海流、湧昇、プランクトン生産、魚類やサンゴの産卵時期が変化すると、採餌場の位置や集合時期が変わる可能性がある。海洋熱波やサンゴ礁の劣化による間接的影響も懸念される。 |
| 絶滅しやすい要因 | 成長と成熟が遅く、世代時間が長い。多数の胎仔を持つ例がある一方、妊娠頻度が低いと考えられ、若い個体が繁殖に加わるまで長期間を要する。このため、成体が失われると短期間では補充できない。 |
| 観光との関係 | 世界各地で重要なエコツーリズム資源となっている。適切に管理された観察活動は保全意識や地域収入に貢献するが、接触、追跡、進路妨害、過密な船舶、無秩序な給餌は負傷や行動変化を引き起こす可能性がある。 |
| 主な保全対策 | 捕獲・国際取引の規制、混獲個体の安全な放流、漁具の改善、船舶速度や航路の管理、集合地の海洋保護区化、観光ルールの設定、写真による個体識別、衛星標識による回遊調査、繁殖・幼魚生息域の特定が重要である。 |
| 未解明の点 | 交尾・出産場所、妊娠期間、繁殖間隔、成熟雌の主要生息域、新生仔の育成海域、外洋での個体数、最長寿命、深海へ潜る目的など、生活史の重要部分が現在も解明されていない。 |
基本情報:出典
最終評価2025年:ジンベエザメ「EN:絶滅危惧」
ジンベエザメは肉、肝油、ひれ(フカヒレ)のために各地で標的にされてきた。この種の生態について知られていることは少ないが、寿命が長く繁殖開始までに時間がかかり、また自然界での個体数が少なく高頻度で回遊するといった背景をふまえると、漁業者の乱獲に対する圧力は今後も高まることが懸念される。
出典:訳者 岩槻邦男、太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル『IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑』/ 発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / © Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

| 項目 | 2014年の図鑑 | 現在(2026年確認) |
|---|---|---|
| IUCNレッドリスト | VU(危急・絶滅危惧II類)。 | EN(危機・絶滅危惧)へ悪化。2016年にVUからENへ変更され、2025年3月31日の再評価でもEN(評価基準A2bd)とされた。 |
| 個体群の傾向 | 漁業による捕獲圧が今後さらに高まることが懸念されていた。 | Population TrendはDecreasing(減少)。各地で保護が進んだ現在も、世界全体として回復傾向には転じていない。 |
| 世界的な減少規模 | 世界全体の詳しい個体数や減少率は、ほとんど分かっていないとされていた。 | 2025年評価では、世界個体群が過去3世代に50~79%減少したと推定されている。世代長が40年へ見直されたため、評価期間は約120年間となった。 |
| インド太平洋の状態 | 地域別の減少規模は記載されていない。 | 世界個体群の約75%が分布すると推定されるインド太平洋では、過去約120年間に65%を超える減少が推定されている。世界的なEN判定を強く左右している地域である。 |
| 大西洋の状態 | 地域別の減少規模は記載されていない。 | 世界個体群の約25%が分布すると推定される大西洋では、過去約120年間に30%を超える減少が推定されている。インド太平洋より減少率は低いものの、減少は続いている。 |
| 世界の個体数 | 「自然界での個体数が少ない」と説明されていた。 | 世界全体を網羅した信頼性の高い個体数調査や資源評価はなく、成熟個体数は確定していない。現在は、単純に「総数が少ない」というより、「広範囲に分布しているが、本来の状態から著しく減少している」と評価されている。 |
| 回復状態 | IUCNグリーンステータスによる評価はなかった。 | 2021年のグリーンステータスではLargely Depleted(大幅に減少)とされ、種の回復スコアは29%(推定範囲25~55%)。過去の人為的影響がなかった状態と比べ、機能的な回復はまだ限定的である。 |
| 成長と成熟 | 寿命が長く、繁殖開始までに時間がかかることが指摘されていた。 | 雄は約25歳、雌は約30歳またはそれ以上で成熟すると考えられている。2025年評価では、雌の成熟年齢を30年、観察された最長寿命を50年として、世代長を40年と推定している。 |
| 繁殖力 | 繁殖生態について知られていることは少なかった。 | 1個体の妊娠雌から約300個体の胚が確認された例がある一方、繁殖場所、出産周期、出生直後の生存率などは現在も十分に分かっていない。出産間隔は2年以上と考えられ、成長の遅さと成熟の遅さから、成魚の死亡が増えると回復に長い時間がかかる。 |
| 分布と回遊 | 熱帯を含む温暖な海域に世界的に分布し、高頻度で回遊すると説明されていた。 | 主に北緯30度から南緯35度付近までの熱帯・亜熱帯・暖温帯海域に広く分布する。衛星追跡により、沿岸の餌場と外洋を結ぶ長距離移動、深海への潜水、国境を越える回遊が確認されている。大西洋とインド太平洋には遺伝的に異なる二つの主要個体群が認められている。 |
| 標的漁業 | 肉、肝油、ひれのため、各地で意図的に捕獲されてきた。今後も乱獲圧が高まることが懸念されていた。 | 1990年代から2000年代に多くの国でジンベエザメ漁が禁止され、報告される合法的な国際取引は大幅に減少した。このため、「世界中で標的漁業が一様に拡大した」とはいえない。ただし、一部地域での意図的な捕獲や国内消費は残っている。 |
| 違法取引 | ワシントン条約によって国際取引が規制されていた。 | 肉、ひれ、鰓板などの違法取引が現在も報告されている。2014~2023年には、生体またはひれに関係する少なくとも8件の押収記録が確認されている。ただし、現在確認されている違法取引だけで世界個体群全体の減少を説明できるとは評価されていない。 |
| 混獲 | 図鑑では主に「標的にされる漁業」が強調されていた。 | 現在は、まき網、刺し網、定置網などによる偶発的な混獲や網への絡まりも主要な脅威とされる。放流されても、網や船上で受けた傷、ストレス、内臓損傷によって死亡する可能性がある。 |
| 船舶との衝突 | 大きな脅威としては詳しく扱われていなかった。 | 現在では世界規模の重要な脅威と認識されている。ジンベエザメは海面近くを長時間泳ぐため、大型船や高速船と衝突しやすい。大型船側が衝突に気づかない場合があり、死亡個体も海底へ沈むため、実際の死亡数は記録より多い可能性がある。 |
| 観光との関係 | 捕獲するより生かしておく方が、エコツーリズムを通じて地域経済と保護に役立つと考えられていた。 | 観光収入が保護の動機や地域の雇用につながる事例は増えた。一方、過密な観光船、接触、給餌、進路妨害などは行動変化や負傷を招くため、船の速度、接近距離、遊泳人数、給餌の有無などを管理する必要がある。 |
| 国際的な保護 | CITES附属書IIに掲載され、国際取引には許可と管理が必要だった。多くの国で法的に保護されていた。 | 2025年のCITES第20回締約国会議で附属書Iへの移行が採択され、2026年3月5日に発効した。国際的な商業取引は原則禁止となった。ただし、CITESは国内漁業や混獲、船舶衝突を直接なくす制度ではない。CMSでも附属書I・IIに掲載され、複数の地域漁業管理機関が保持、積み替え、陸揚げなどを禁止している。 |
| 気候変動と海水温 | 引用部分では、地球温暖化による影響は扱われていない。 | ジンベエザメは一般に海面水温23~30℃程度の海域を好む。インド洋の主要な集合海域では、排出シナリオによって2100年までに平均海面水温が現在より最大4.9℃上昇すると予測されている。地域によっては現在の適温域を外れる可能性がある。 |
| 気候変動と代謝 | 記載なし。 | ジンベエザメは外温動物であり、水温が上がると代謝率と必要なエネルギー量も増加する。温暖化によって「生きるために必要な餌が増える」方向へ変化すると予測されている。 |
| 気候変動と餌 | 微小なプランクトン、甲殻類、小魚を食べることは記載されていたが、温暖化との関係は扱われていない。 | インド洋の集合海域では、温暖化とともに主要な餌である動物プランクトンの生物量が減少すると予測されている。代謝上昇によって必要な餌が増える一方、利用できる餌が減るという二重の圧力が生じる可能性がある。 |
| 気候変動と生息域 | 記載なし。 | 2024年の全球モデルでは、2100年までに一部の国の海域で重要生息域が50%以上失われ、主要な生息域が1,000km以上移動する可能性が示された。全地域が一様に縮小するのではなく、赤道付近で減少し、現在の分布限界付近や高緯度側で適地が増えるなど、地域差が大きい。 |
| 気候変動と船舶衝突 | 記載なし。 | 温暖化によって移動した生息域が主要航路と重なることで、船舶との遭遇が増える可能性がある。モデル上、船舶との重複度の将来増加量は、高排出シナリオでは持続可能な開発シナリオの約15,000倍になった。ただし、これは実際の衝突件数ではなく、生息適地と船舶交通の重なりを比較した予測である。 |
| 気候変動の現時点での評価 | 主要な問題は漁業による乱獲と考えられていた。 | 気候変動は、生息域の移動、餌の減少、代謝負担の増加、船舶との遭遇増加を通じて、既存の脅威を増幅する要因になっている。ただし、これまでの世界的減少のうち、何%が気候変動だけによるものかは算定されていない。 |
| 2014年の懸念との比較 | 「生態がよく分からず、長寿で成熟が遅いため、乱獲圧の増加に弱い」という懸念が示されていた。 | 成熟の遅さと回復力の低さに関する懸念は、その後の研究でも裏づけられた。一方、標的漁業だけが一方的に拡大したのではなく、直接漁獲を規制しても、混獲、船舶衝突、違法取引、温暖化が重なり、VUからENへ悪化した。脅威の中心が「捕って利用すること」から、「人間活動が海全体で死亡率と生息条件を変えること」へ広がった状態にある。 |
現状まとめ:出典
- IUCNレッドリスト「Rhincodon typus」2025年評価
https://www.iucnredlist.org/species/19488/126673248 - IUCN・TRAFFIC「CITES CoP20提案分析:ジンベエザメ」
https://iucn.org/sites/default/files/2025-10/iucn_traffic_cop20_summary_analyses_complete.pdf - Science of the Total Environment「温暖化がジンベエザメの代謝・餌・生息地に及ぼす影響」
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39197762/ - Nature Climate Change「気候変動による生息域移動と船舶衝突リスク」
https://www.nature.com/articles/s41558-024-02129-5 - CITES「2026年3月5日発効の附属書I・II・III」
https://cites.org/eng/app/appendices.php
2014年にVUだったジンベエザメは、2016年にENへ引き上げられ、2025年の再評価でもENのまま、個体群は減少傾向にあります。過去約120年間の減少率は世界全体で50~79%、特にインド太平洋では65%を超えると推定されました。各国の禁漁や国際取引規制によって合法的な標的漁業は抑えられ、2026年にはCITES附属書Iへ移行しましたが、混獲、船舶衝突、違法取引は残っています。さらに温暖化による海水温上昇は、代謝に必要なエネルギーを増やす一方、餌となる動物プランクトンを減少させ、生息域を大きく移動させる可能性があります。人間は捕獲を規制し始めましたが、今度は変化させた海そのものが、回復の妨げになろうとしています。
⬇︎ジンベエザメの保護活動の種類です。必要なら開いてください。
| 保全活動の種類 | 具体的な活動内容 | 実施状況・重点課題 |
|---|---|---|
| 国内法による捕獲禁止・保護種指定 | ジンベエザメを保護対象種に指定し、意図的な捕獲、殺傷、保有、陸揚げ、販売、輸送、輸出を禁止する。混獲個体についても、生体であれば速やかな放流を義務づける。 | インド、フィリピン、台湾、インドネシア、オーストラリア、メキシコなどで法的保護が行われている。一方、分布国すべてで同水準の保護が実施されているわけではなく、監視・取締り能力にも地域差がある。 |
| 国際取引の規制 | CITES附属書Iに基づき、野生由来個体や肉、鰭、皮、油、鰓板などの国際的な商業取引を原則禁止する。学術研究などの例外的な移動には、輸出入国双方の許可を求める。 | ジンベエザメは附属書IIから附属書Iへ移行し、2026年3月5日に発効した。国内取引や国内での違法漁獲には各国法が別途必要となるため、税関・水産当局・警察の連携が重要である。 |
| 種識別と取引監視 | 加工された肉、鰭、鰓板などを外見、DNAバーコーディング、その他の鑑定技術で識別し、輸出入記録と漁獲・陸揚げ記録を照合する。オンライン販売や仲介取引も監視する。 | 加工後は種の判別が難しくなるため、検査官向けの識別資料、遺伝子参照データ、押収品の保管・鑑定体制が必要である。 |
| 回遊性動物としての国際協力 | CMS附属書I・IIおよび「移動性サメ類の保全に関する了解覚書」の枠組みを利用し、分布国が共同で調査、保護措置、情報交換、能力開発を進める。 | ジンベエザメは複数国の排他的経済水域と公海を回遊するため、一国だけの保護では不十分である。CMSでは附属書IIに1999年、附属書Iに2017年に掲載された。 |
| 地域漁業管理機関による規制 | マグロ漁業などを管理する地域漁業管理機関が、ジンベエザメを対象とする意図的な操業、保持、転載、陸揚げを禁止し、混獲時の放流と報告を加盟国に求める。 | 太平洋やインド洋で規制が設けられているが、海域、加盟国、留保・異議申立ての有無によって適用状況が異なる。未加盟船や違法・無報告・無規制漁業への対応も必要である。 |
| まき網による意図的な包囲の禁止 | 船上からジンベエザメを確認した場合、その周囲に集まるマグロを狙ってまき網を投入することを禁止する。操業開始後に存在が判明した場合は、網を可能な限り早く開放する。 | 中西部太平洋ではWCPFCの措置により、ジンベエザメが事前に確認された魚群への投網、捕獲個体の保持・転載・陸揚げが禁止されている。現行措置CMM 2025-06は2026年2月3日に発効した。 |
| 混獲個体の安全な放流 | 個体を水中に保ったまま網や漁具を開放し、尾をつかんだ吊り上げ、ワイヤーによる牽引、身体への穿孔などを避ける。作業前に個体の位置、海況、漁具の張力を確認し、乗組員の安全も確保する。 | 不適切な放流は、外傷、内臓損傷、衰弱、放流後死亡を引き起こす。漁法別の手順書、船員訓練、船上で確認できる図解資料の普及が重要である。 |
| 刺網・定置網などの混獲対策 | 混獲の多い場所と季節を特定し、期間・海域閉鎖、操業時間の調整、網の浸漬時間短縮、漁具監視、迅速な救出体制などを組み合わせる。 | 大型の網漁具による混獲は現在も主要な脅威である。零細漁業では記録されない混獲も多く、漁業者への聞き取りと港湾調査を含めた実態把握が必要である。 |
| オブザーバー・電子監視 | 漁業オブザーバー、船上カメラ、電子操業日誌、衛星船位情報を利用し、遭遇位置、漁法、個体数、全長、性別、放流方法、放流時の生死を記録する。 | 自己申告だけでは混獲が過少報告されやすい。大型船では監視率を高め、零細漁業では簡便な携帯端末や港湾報告制度を整備する必要がある。 |
| 漁業者への補償・参加型保全 | 放流のために網を切断した漁業者へ修理費を補償し、救出個体の報告や写真提出に協力した漁業者を支援する。地域の漁業者を救出・監視チームとして育成する。 | 網の損失を漁業者だけに負担させると、個体の保持や放置につながる可能性がある。インドなどでは、地域社会を主体とした啓発・救出活動が保全意識の転換に寄与している。 |
| 違法漁業の取締り | 海上巡視、港湾国措置、船舶監視システム、漁獲証明制度を組み合わせ、違法捕獲、海上転載、無許可陸揚げ、製品の密輸を取り締まる。 | 法律があっても、沖合での操業や小規模な陸揚げを把握できなければ効果が限られる。押収後の捜査、起訴、罰則適用まで含む執行体制が必要である。 |
| 集群海域の保護 | 季節的に多数が集まる摂餌海域、その周囲の生産性の高い海域、沿岸の通過経路を海洋保護区や生物圏保護区に組み入れる。 | メキシコにはジンベエザメを主要対象とする生物圏保護区がある。ただし、保護区の指定だけでなく、漁業、船舶交通、観光、沿岸開発を実際に管理する必要がある。 |
| 重要生息地の科学的特定 | 目撃記録、衛星追跡、写真識別、海洋環境データを統合し、摂餌場所、回遊回廊、繁殖・出産場所の候補を特定する。「サメ・エイ重要海域」などの科学的評価にも反映する。 | 重要海域の認定自体には法的規制力がないため、海洋空間計画、保護区、環境影響評価、航路・漁業管理へ結び付ける必要がある。 |
| 国境を越える回遊経路の保全 | 個体が移動する国々の間で標識データ、写真識別記録、漁獲情報を共有し、保護措置の空白が生じないよう協定や共同管理計画を整備する。 | 沿岸の集群海域だけを保護しても、回遊中に公海漁業や船舶交通にさらされる。海域横断型の管理が重要である。 |
| 船舶衝突リスクの地図化 | 衛星追跡したジンベエザメの位置・潜水深度と、船舶自動識別装置による大型船の航行密度を重ね、衝突危険海域と季節を特定する。 | ジンベエザメは海面付近で長時間過ごすため、大型船との重複が大きい。沖合での死亡個体は発見されにくく、船舶衝突による死亡は過小評価されている可能性が高い。 |
| 減速・航路変更 | 集群海域や狭い回遊経路では、季節的な速度制限、航路の小規模な移動、警戒区域の設定、船橋へのリアルタイム情報提供を実施する。 | 特に集群時期が予測できる海域では、年間を通じた広域規制よりも、時期と場所を限定した措置が導入しやすい。現在は広範な実施例が限られ、海運業界との協力が課題である。 |
| 船舶衝突・負傷の報告制度 | 船員、観光事業者、漁業者に、衝突、プロペラ傷、死亡個体の位置と写真を報告させる。傷痕の写真判定や漂着個体の解剖結果もデータベース化する。 | 船体が大きい場合、乗組員が衝突に気付かないこともある。報告しやすく、事故報告者を不当に処罰しない制度設計が情報収集に有効である。 |
| 観光事業者の許可制 | 遊泳・観察ツアーを許可制とし、事業者数、船舶数、利用時間、利用海域、1個体に接近できる船舶・遊泳者数を制限する。事業者には研修と活動記録の提出を求める。 | 西オーストラリアなどで制度化されている。利用者の増加に応じて許可数や収容力を定期的に見直し、特定個体への連続接近を防ぐ必要がある。 |
| 観光船の接近ルール | 接近区域内では低速航行とし、個体の進行方向を遮らない。一定距離以内に入る船を1隻に限定し、接近時間を制限する。個体の正面や尾部への急接近を避ける。 | 西オーストラリアでは、250メートル以内に入れる観光船を原則1隻、接近時間を最長90分、区域内の速度を6ノット以下とする管理例がある。 |
| 遊泳者の行動規制 | 接触、追跡、乗る行為、進路妨害、フラッシュ撮影、モーター式推進器の使用を禁止する。頭部・胴体、尾部からそれぞれ最低接近距離を設け、同時に入水する人数を制限する。 | 西オーストラリアの例では最大10人とし、頭部・胴体から3メートル、尾部から4メートル以上離れる。地域ごとの海況や個体の行動に合わせた基準が必要である。 |
| 餌付けの抑制 | 観光目的の給餌を原則として行わず、漁獲物や残餌による意図的・非意図的な誘引も管理する。すでに給餌観光が定着した場所では、行動、滞在期間、栄養、船舶接触への影響を継続調査する。 | 餌付けは自然な移動や摂餌行動を変化させ、船の周囲に個体を集中させる可能性がある。観光収益だけでなく、長期的な行動変化を評価する必要がある。 |
| 観光収益の保全への還元 | 利用料、許可料、保全協力金の一部を、監視員、調査、救助、地域教育、廃棄物対策に充てる。地域住民をガイドや調査補助員として雇用する。 | 地域社会が生きた個体から継続的な利益を得られる仕組みは、捕獲を抑える動機となる。資金用途の透明性と地域への公平な利益配分が重要である。 |
| 写真識別調査 | 体側の斑点模様が個体ごとに異なることを利用し、個体識別、再発見、移動、滞在期間、生残を調べる。研究者、観光事業者、市民が撮影した写真を共通データベースへ登録する。 | 低侵襲で長期間の追跡ができる一方、撮影地点が観光地に偏りやすい。撮影日、位置、性別、推定全長、傷の情報を統一形式で記録する必要がある。 |
| 衛星・音響標識調査 | 衛星発信器で長距離移動、潜水深度、水温を記録し、音響標識と海中受信機で沿岸への再来や海域利用を追跡する。 | 回遊経路、国境通過、船舶・漁業との重複を明らかにできる。標識装着の影響を最小化し、複数国がデータを共有することが必要である。 |
| 遺伝・組織・食性調査 | 小量の組織試料から遺伝的集団構造、血縁、性比、安定同位体、食性、汚染物質への曝露などを調べる。 | 大西洋とインド太平洋の集団関係、集群海域間のつながり、繁殖に参加する成魚の構造には未解明点が多い。標本採取・保存方法の標準化が必要である。 |
| 繁殖・出産海域の探索 | 大型雌、妊娠個体、幼魚の記録、衛星追跡、漁業者からの情報を組み合わせ、交尾・出産・幼魚育成海域を探索する。 | 観光地の集群は若い雄に偏る場合が多く、繁殖個体や最小サイズの幼魚がどこで生活しているかは十分に分かっていない。最優先の研究課題の一つである。 |
| 個体数の長期モニタリング | 一定の調査努力量当たりの目撃数、写真識別による再発見率、航空・ドローン調査、漁業混獲記録などを組み合わせ、地域個体群の増減を評価する。 | 目撃数は海況、餌生物、観光船数にも左右されるため、単純な目撃件数だけで個体数を判断せず、調査努力量と環境条件を補正する必要がある。 |
| 漂着・弱体個体への対応 | 漂着や座礁、網への絡まりが発生した際の連絡網を整備し、救助の可否を専門家が判断する。死亡個体は解剖し、死因、漁具痕、船舶損傷、胃内容物、汚染物質を調査する。 | 大型動物の移動には危険が伴うため、一般参加者が無理に押し戻さず、訓練された対応班が作業する必要がある。 |
| プラスチック・遺失漁具対策 | 海洋ごみの流出防止、漁具の回収・識別制度、港での廃棄物受入れ、沿岸清掃を進め、誤食や絡まりの危険を減らす。 | ジンベエザメは海水とともに餌を濾し取るため、浮遊プラスチックや微細プラスチックへの曝露が懸念される。遺失した大型網は継続的な絡まりを引き起こす。 |
| 水質・餌生物を支える生態系の保全 | 赤潮や富栄養化を悪化させる排水、油、農薬、化学物質の流入を抑える。サンゴ礁、産卵場、湧昇域など、プランクトンや魚卵が豊富な海域を保全する。 | ジンベエザメの集群は餌生物の季節的増加と強く関係する。沿岸開発では、水質だけでなく餌資源と集群時期への影響を環境影響評価に含める必要がある。 |
| 気候変動への適応管理 | 海水温、海流、クロロフィル量、プランクトン、集群開始時期を継続観測し、集群海域や季節が変化した場合は保護区、漁業規制、観光期間を調整する。 | 気候変動は餌生物の分布と季節性を変え、従来の集群海域を不適地にする可能性がある。温室効果ガス削減と並行して、固定的ではない管理計画が必要である。 |
| 普及教育・市民科学 | 漁業者、船員、観光客、沿岸住民、学校を対象に、保護法、安全な放流、観察規則、目撃・漂着報告の方法を伝える。写真識別や海洋ごみ調査への参加を促す。 | 単発の啓発にとどめず、行動の変化、違法捕獲の減少、報告件数、放流後の生存などを指標として効果を検証する必要がある。 |
| 保全措置の効果検証 | 規制導入前後の混獲率、負傷率、再発見率、観光時の行動、船舶速度、違法取引件数を比較し、効果の低い措置を修正する。 | ジンベエザメは長寿で成熟が遅いため、個体群の回復確認には長期間を要する。短期的な目撃数だけでなく、生存率や成熟個体の動向を追跡する必要がある。 |
保全活動の種類:出典
- IUCNレッドリスト「Rhincodon typus(2025年評価)」
https://www.iucnredlist.org/species/19488/126673248 - オーストラリア政府「CITES第20回締約国会議の結果」
https://consult.dcceew.gov.au/cop20-cites-2025 - 移動性野生動物種の保全に関する条約「Rhincodon typus」
https://www.cms.int/fr/taxonomy/term/5708 - 中西部太平洋まぐろ類委員会「CMM 2025-06:ジンベエザメの保護」
https://cmm.wcpfc.int/index.php/measure/cmm-2025-06 - 西オーストラリア州政府「Whale shark management in Western Australia」
https://www.dbca.wa.gov.au/wildlife-and-ecosystems/marine/whale-shark-management-western-australia
ジンベエザメが減少する原因|気候変動・船舶衝突・混獲
Questioner: It sounds like their numbers are dropping all over the world, but a decline of over 65% in the Indo-Pacific is just staggering. Is human-driven global warming and rising ocean temperatures the main culprit here?
Me: While climate change is definitely a growing concern, the massive decline in the Indo-Pacific is primarily rooted in past hunting for their meat, fins, and liver oil, along with ongoing bycatch and ship strikes. Now, pile on the shifts in ocean temperatures, currents, and feeding grounds driven by climate change, and you’ve got a situation that could make their recovery incredibly difficult moving forward. Let’s break down exactly why they’ve been hit so hard in this region, step by step.
質問者:世界的にも減っているみたいなんだけど、特にインド太平洋では65%を超えているんだよね。これの原因って、やっぱり僕たちが招いた地球温暖化による海水温上昇なのかな。
私:気候変動の影響も懸念されていますが、インド太平洋で起きた大幅な減少の中心には、肉やひれ、肝油を目的とした過去の捕獲、現在も続く混獲、そして船舶との衝突があります。そこへ気候変動による海水温や海流、餌場の変化が重なり、これからの回復をさらに難しくする可能性があります。なぜインド太平洋でこれほど大きく減ったのか、順番に見ていきます。
気候変動と船舶衝突――ジンベエザメを追い詰める「見えない死」の連鎖
世界最大の魚、ジンベエザメ。広大な海を回遊する彼らを追い詰めているのは、かつての乱獲だけではありません。変わり始めた海流と餌場、巨大船舶との衝突、漁業による混獲――人間が生み出した複数の圧力が、回復の遅い海の巨人に重なり続けています。
気候変動で移動する餌場と生息域
気候変動によって海水温、海流、塩分、プランクトン生産などが変化すると、ジンベエザメが利用する餌場や生息域も移動する可能性があります。
2024年に発表された研究では、高排出シナリオが続いた場合、2100年までに一部の国の海域で主要な生息適地の50%以上が失われ、分布の中心が1,000キロメートルを超えて移動する可能性が示されました。
ただし、気候変動による餌場の変化が、すでに世界的な個体数減少の中心的原因になっているとまでは確認されていません。過去の減少には漁業の影響が大きく、気候変動は今後、その回復を妨げ、船舶衝突など別の脅威を増幅させる要因として懸念されています。
餌場の変化が招く移動と、巨大船舶との衝突(Ship Strikes)
海洋環境の変化によって餌場や適した水温域が移れば、ジンベエザメの分布も変わります。2024年の研究では、気候変動によって一部の国の海域で主要な生息適地が2100年までに50%以上失われ、分布の中心が1,000キロメートルを超えて移動する可能性が示されました。
移動先がマラッカ海峡や南シナ海などの混雑した航路と重なることは、大きな危険を伴います。ジンベエザメは採餌や移動のため海面近くで長い時間を過ごすため、大型船から発見されにくく、衝突を避けることも困難です。高排出シナリオでは、現在の船舶交通量を固定した場合でも、生息適地と船舶交通の重なりを表す指標が世界の各国海域の平均で2100年までに約41%増えると予測されています。
この数値は衝突件数そのものではありませんが、将来の危険な接触機会が増える可能性を示しています。死亡した個体が沈んで発見されない例も考えられるため、船舶衝突は統計に表れにくい「見えない死」として、個体群に無視できない負荷を与えているとみられます。
工業型漁業による混獲と、残り続ける違法取引
インド太平洋は世界有数のマグロ漁場であり、ジンベエザメはマグロ類と同じ場所に集まることがあります。そのため、マグロを対象とした巻き網に誤って包囲されたり、刺し網などに絡まったりする漁業との相互作用が続いています。多くは意図的な捕獲ではありませんが、網からの放流作業による負傷や、放流後の死亡も懸念されます。
フィリピンや台湾などでは、1990年代から2000年代にかけて肉やひれを目的とする捕獲が行われました。その後、国内法や国際的な規制は強化され、現在報告されている合法的な国際取引はごく少量です。一方、肉、ひれ、鰓板などの違法取引は残っており、2014年から2023年には生体またはひれに関係する8件の押収記録が確認されています。
現時点の資料では、違法取引が世界全体の個体数を左右する規模に達しているとはみられていません。しかし、混獲や密漁が特定の海域に集中すれば、地域個体群には深刻な影響を与える可能性があります。
成長の遅さがもたらす低い回復力
ジンベエザメは成長と成熟に長い時間を要します。飼育下で20年間観察された雄では、機能的な成熟に達した年齢が約25歳と推定されました。野生個体でも雄の成熟はおおむね25歳前後とされ、雌はさらに遅い可能性があります。
一個体の雌から約300匹の胎仔が確認された例はありますが、繁殖の間隔や出産場所、幼魚の生存率には不明な点が多く、胎仔数の多さがそのまま個体群の増加につながるわけではありません。幼い個体の死亡率も高いと考えられています。
成熟前の個体が船舶衝突や漁業で失われれば、その個体が繁殖に加わる機会も失われます。世代交代が遅いため、減少した個体群の回復は数十年単位となり、複数世代に及ぶ可能性があります。過去の捕獲による影響が残るなか、混獲、船舶交通、気候変動による生息環境の変化が重なることが、回復を一層難しくしています。
出典
- 1. Journal of Climate「AMOC弱体化によるインド太平洋の温暖化」:https://par.nsf.gov/servlets/purl/10330592
- 2. Nature Climate Change「気候変動によるジンベエザメの分布移動と船舶交通の脅威」:https://www.nature.com/articles/s41558-024-02129-5
- 3. IUCN/TRAFFIC「CITES CoP20提案分析・ジンベエザメ」:https://iucn.org/sites/default/files/2025-10/iucn_traffic_cop20_summary_analyses_complete.pdf
- 4. NOAA Fishery Bulletin「飼育下の雄ジンベエザメにおける性成熟の20年間の観察」:https://spo.nmfs.noaa.gov/sites/default/files/pdf-content/fish-bull/matsumoto_1_0.pdf
Questioner: Honestly, maybe we should just stop eating fish like tuna altogether. We’ve been looking into endangered species, and time and time again, it all traces back to human-driven global warming and the climate chaos it brings. Sure, it’s not the only cause, but I really feel like humanity carries a massive responsibility here. So maybe it’s time we rethink our meat-heavy diets.
Me: When you really look closely at our modern diets, the sheer amount of energy it takes just to get meat and fish onto our tables is staggering. Take cows, pigs, or chickens, for example. First, you have to grow the crops to feed them, process that feed, and ship it to the farms. And that’s just the start—you still need huge amounts of energy to raise the animals, process the meat, freeze or refrigerate it, and finally transport it to the grocery store.
It’s the same story with tuna. Fishing vessels burn massive amounts of fossil fuels just to reach the deep ocean, and then they have to keep the catch deep-frozen all the way back to port. Even after the fish is unloaded, it requires a constant chain of processing, freezing, transporting, and cold storage at the store.
Questioner: Exactly. If we want fresh food shipped over long distances, freezing and refrigeration are unavoidable. In an extreme sense, we aren’t just eating the fish—we’re practically consuming the oil burned to power the refrigerated trucks and the electricity keeping the cold storage running.
Me: That’s a great way to put it. We live our lives burning through this invisible mountain of energy hidden behind our meals. But the thing is, our lives don’t have to depend solely on food that was hauled out of a distant ocean and shipped halfway across the world. We can actually get most of the nutrients we need straight from plants grown right in our own backyards, using just the sun and the soil.
Burning massive amounts of fossil fuels to hunt in deep, far-off waters, deep-freezing the catch, and shipping it vast distances just to eat it… This whole system might feel completely normal to us now, but if you look at the long span of human history, it’s actually a very recent invention.
And hidden behind this “normalcy,” whale sharks—which share the same waters as tuna—are getting caught up and injured in those massive fishing nets. On top of that, the climate change driven by our endless burning of fossil fuels is shifting their feeding grounds and habitats. And when they migrate to those new areas, they face an even higher risk of being struck by giant cargo ships.
In the end, our choice to eat a single slice of tuna and the life of a whale shark swimming in some distant ocean might be deeply connected in ways we can’t even see.
Thank you so much for your precious time.
I truly hope our thoughts reach the whale sharks out there.
鶏人|Keijin
質問者:そもそも、マグロなどの魚を食べなければいいんだよ。これまで絶滅危惧種を調べてきて、主な原因として何度もたどり着いたのが、僕たち人類が招いた地球温暖化と、それによって起きているさまざまな気候の変動じゃないですか。もちろん、それだけが原因ではないにしても、人類の責任は重いと僕は感じてる。だから、ここで動物性食品を中心とした食生活を見直してもいいんじゃないかな。
私:現在の食生活を深掘りしてみると、肉や魚が食卓に届くまでには、かなりのエネルギーが使われています。例えば、牛や豚、鶏を育てるには、飼料となる作物を栽培し、加工して畜産農場まで運ばなければなりません。その後も、飼育、食肉加工、冷蔵・冷凍、店舗までの輸送にエネルギーが必要です。
マグロの場合も、漁船が大量の燃料を使って遠洋まで移動し、捕獲した魚を低温で保存しながら港へ運びます。水揚げされた後も、加工、冷凍、輸送、店頭での保冷が続きます。
質問者:そうなんだよね。新鮮な状態の食べ物を遠くまで届けようとすれば、冷凍したり保冷したりしなければならない。極端なことをいうと、僕たちは魚だけではなく、冷凍車を走らせるために燃やされた石油や、その先の冷凍倉庫で使われた電気まで、一緒に食べているようなものだよね。
私:そうですね。私たちは、食べ物の向こう側に隠れた大量のエネルギーも一緒に消費しながら生きています。しかし、遠くの海で捕られ、長い時間をかけて運ばれてきた食べ物だけが、私たちの命を支えているわけではありません。身近な太陽と土で育った植物からも、必要な栄養の多くを得ることができます。
大量の石油を燃やして遠く離れた海まで漁に出て、捕らえた魚を冷凍し、さらに遠くまで運んで食べる。現在では当たり前に見えるこの仕組みも、人類の長い歴史から見れば、ごく最近になって築かれたものなんです。
そして、その当たり前の裏側で、マグロと同じ海域に集まるジンベエザメが漁網に包囲され、傷つくことがあります。さらに、石油を燃やし続けることで進む気候変動は、彼らの餌場や生息域を変え、その移動先では巨大船舶との衝突リスクまで高めようとしています。
私たちがマグロを一切れ食べることと、遠い海を泳ぐジンベエザメの命は、見えないところでつながっているのかもしれませんね。
貴重な時間を、ありがとうございました。
ジンベエザメに、その想いが届くことを祈ります。
鶏人|Keijin
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