※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
こんにちは、鶏人|Keijin です。
タイセイヨウサケ(Salmo salar)は、
2014年、図鑑に【LC:低懸念】として分類されていました。
2023年、IUCNレッドリストで、【NT:準絶滅危惧】と評価されました。
つまり、2014年から2023年にかけて、タイセイヨウサケは
「豊かな水脈の記憶が、少しずつ遠ざかっていく」状態になってしまいました。
※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるタイセイヨウサケの最新評価は2023年版です。それ以降の更新は行われていません。
この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/19855/67373433
タイセイヨウサケの危機から考える、気候変動の「真実」と「私たちの約束」
⬇︎タイセイヨウサケの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 和名 | タイセイヨウサケ |
| 英名 | Atlantic Salmon |
| 学名 | Salmo salar |
| 分類 | 魚類・サケ科(Salmonidae) |
| 分布 | 北大西洋域:ヨーロッパ北部、グリーンランド沿岸、北アメリカ東岸など |
| 主な産卵地 | 川の上流域(きれいで冷たい淡水の小川・河川)から河口にかけての石や砂利底の場所 |
| 体長 | 大型個体では最大で約1 m程度に達することもあり |
| 体重 | 野生の典型的な成魚は数キログラム~10 kg前後。極端な記録では30 kg超も。 |
| 寿命 | 成熟後に再び海に戻る個体もおり、数年~十数年の寿命とされる。 |
特徴
- 回遊性:淡水で誕生後、海に下り成長し、成熟後に生まれた川へ戻って産卵する“遡河+海洋回遊”のライフサイクルを持ちます。
- ホーミング能力:自分が生まれた川に戻る傾向が強く、匂いや化学的手がかりを用して遡上するという研究があります。
- 成長段階で体色や形態が変化:淡水の若齢期には縦じま模様や斑点をもち、海へ下ると銀色の体色になり、産卵期には再び変化することがあります。
- 強力なジャンプ力:遡上時には滝や障害を跳び越えることができ、「salar(跳ぶ者)」という学名にもその意味があるとされています。
- 商業・養殖両面で重要:天然個体は減少傾向にあり、養殖も盛んですが環境影響や遺伝的交雑など課題もあります。
生態と行動
- 幼魚期(フライ・パー)を淡水で過ごし、数年後に体が海水適応型へ変化(スモルト化)して海へ下ります。
- 海で成長した後、成魚が春~秋にかけて産卵のために生まれた川を遡上します。
- 産卵:メスが川底の砂利を尾で掘って“レッド(redd)”と呼ばれる産卵床を作り、数千~数万個の卵を産み付けます。
- 繁殖後も海に戻って再び遡上する可能性(反復産卵・反復遡上)があり、完全に一生で一度だけではないという特徴があります。
- 生息環境の変化に脆弱:河川へのダム建設、水質汚染、漁獲、海水温の上昇などが個体数減少の原因となっています。
2014年絶滅危惧種:タイセイヨウサケ【LC:低懸念】
この種はかつて豊富に生息していたが、漁業活動の削減などの方策にもかかわらず 1970年代以降大きく減少しており、多くの川の個体群は絶滅の危機に瀕している。……海における自然死の増加がこの種の減少のおもな要因であり、気候変動と関連している可能性がある。
出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 海洋生存率の傾向 | 1980年代後半から現在まで、歴史的な低水準で推移。2022〜2024年の研究でも改善は確認されていない。 |
| 主な要因(海域) | ① 海水温上昇:冷水性のサケにとって強いストレスとなり、代謝・成長・回遊経路に影響。 ② 餌生物の変化:動物プランクトンや小魚の量・質・分布が変化。餌の出現タイミングとズレる「ミスマッチ」も発生。 ③ 捕食者の変化:魚類・海鳥・海洋哺乳類の分布が変化し、捕食リスクが増加。 |
| 餌の問題の詳細 | ・餌の量が減る/分布が変わる ・栄養価の低い餌しか摂れない ・餌を求めて長距離移動 → 捕食リスク増大 |
| 淡水域の問題 | ① 水温上昇:稚魚の成長・産卵に不適な環境が増加。 ② 水質悪化:農業排水・都市排水の影響。 ③ 生息地破壊:ダム・堰による回遊阻害、河川改修による産卵場所の減少。 |
| 総合評価(2025年時点) | ・2014年の図鑑の指摘は現在も当てはまる。 ・漁業規制のみでは改善が難しい。 ・海洋での自然死の高さが根本原因として残る。 ・気候変動の影響が大きく、世界的に個体数回復は困難な状況。 |
| 保全への取り組み | 気候変動による海洋生態系の研究強化、淡水域の環境改善(ダム撤去、水質浄化)、国際的な保全活動が継続中。 |
2014年の図鑑における記述は、2025年現在においても依然として妥当である。
漁業活動の制限のみでは個体数を回復させることはできず、依然として「海における高い死亡率」という根本的な問題が継続している。
世界各地の研究機関や保全団体は、気候変動が海洋生態系に及ぼす影響の解明や、淡水域における生息環境の改善(ダム撤去、水質浄化など)に取り組んでいる。
しかし、気候変動という地球規模の課題が背景にあるため、タイセイヨウサケの生存環境は依然として極めて厳しい状況にあると言える。
⬇︎タイセイヨウサケの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎
| 保護活動の種類 | 内容の概要 |
|---|---|
| 生息場の保全・修復 | 河川の産卵・稚魚育成環境(礫床、流れ・深み・適温水)を保全・改善し、ダムや堰による遡上阻害を軽減。 |
| 遡上・移動経路の確保 | ダム・堰・水路などによる遡上・降下の障壁を除去、魚道設置・堰撤去を実施し、海‐淡水間移動を確保。 |
| 過剰漁獲・副捕獲の抑制 | 海洋・河川・沿岸における漁獲制限、漁具改善、漁期・漁獲量の管理を通じて野生個体の損失を抑える。 |
| 遺伝的多様性・培養・放流管理 | 保全目的の人工繁殖(孵化・育成・放流)を通じて、絶滅危惧個体群の補強と遺伝的多様性維持を図る。 |
| 海洋・河川環境の変化対応 | 気候変動、海洋生存率低下、河川水質悪化など複合的ストレスに対応するため、生態・海洋調査・環境管理を実施。 |
| 国際協力・取引・管理制度整備 | 北大西洋全域にまたがる遡河回遊魚として、国際的漁業管理機関や条約を通じた協調管理を推進。 |
| 市民・地域参加・啓発活動 | 地域河川の復元、漁業者・市民の協働、教育プログラムにより保全意識を高め、行動変容を促す。 |
主な取り組み
- 河川のダム・堰撤去:遡上・降下の移動を阻む障害を除去し、産卵・育成場まで魚が遡れるようにする。
- 魚道設置・遡上補助:既存のダム等に魚道を設け、サケの遡上を可能にする。
- 生息河川の水質改善・流量確保:適切な水温・酸素・流れのある河川環境を維持・回復する。
- 保全孵化・育成プログラム:絶滅危惧個体群に対し、人工孵化・育成・放流を通じて野生集団を補強。
- 漁獲規制・漁具改善:商業漁・スポーツ漁での漁獲量制限、漁具・漁法の改善によって過剰漁獲や副捕獲を抑える。
- 海洋生存率向上・海洋環境調査:海域での若サケの生存率低下に対し、海洋生態や移動ルートを追跡して原因究明を行う。
- 国際的管理機関との協力:北大西洋サケ保全機構(NASCO)などを通じ、範囲をまたぐ回遊魚を多国間で管理。
- 市民・地域の参加:河川復元イベント、学校・地域での学習プログラム、漁業者・NGOの協働保全活動。
最後に
「海水温の上昇に、タイセイヨウサケの進化が追いつけるはずないよね。」
たしかに、その通りだと思います。
気候変動がサケに与える影響について、もう少し詳しく調べてみますね。
1. 「進化」と「環境変化」の速度差
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 進化に必要な時間 | 進化は ①突然変異 → ②自然選択 というプロセスで進み、通常は数千~数万年という非常に長い時間が必要。 |
| 現在の環境変化の速度 | 気候変動(特に海水温の上昇)は、ここ100年~50年の短期間で急速に進行。地質学的には「一瞬」の変化。 |
| 結論 | 何万年もかけて冷たい海に適応してきたサケに対し、環境が数世代(数十年)のうちに激変。進化が追いつくための時間が圧倒的に不足している。 |
2. サケ特有の「適応が難しい」事情
① 世代交代が遅い
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ライフサイクル | 川で生まれ、海で1~3年過ごし、川へ戻り産卵して死亡。1世代に3~5年かかる。 |
| 問題点 | 世代交代が遅いため、適応的な突然変異が集団に広がる前に環境がさらに悪化してしまう。 |
② 遺伝的多様性の不足(進化の“材料”が枯渇)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 進化に必要な条件 | 集団に「高水温に少し強い」などの有利な変異(遺伝的多様性)が必要。 |
| サケの現状 | ダム建設、河川汚染、過去の過剰漁獲などにより個体数が激減。 |
| 結果 | 個体数減少=遺伝的多様性の喪失。「適応できる可能性のある遺伝子」がすでに失われている可能性が高い。 |
③ 問題が「水温だけ」ではない(複雑な環境変化)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 水温上昇の影響 | 餌(プランクトン・小魚)の 量・質・時期・分布 が変化。 |
| 捕食リスク | 捕食者(魚類・海鳥・海洋哺乳類)の分布や行動も変化し、捕食圧が増加。 |
| 結論 | サケは「高水温に耐える」「新しい餌に適応する」「捕食者を避ける」といった複数の進化をほぼ同時に求められており、生物が進化で対応できる限界を超えている。 |
タイセイヨウサケが直面しているのは、「進化の速度」(時速数キロの徒歩)と「気候変動の速度」(時速300キロの新幹線)との間に存在する、極めて大きな速度差による決定的なミスマッチである。
さらに、人間活動による生息地の破壊や個体数の減少は、サケが本来有していたはずの「進化の材料(遺伝的多様性)」を著しく損なってきた。
このような状況を踏まえると、専門家が「進化が追いつくことは不可能である」と結論づけるのは必然である。
「人間は暑ければエアコンのついた室内で過ごせば何とかなるけど、海で暮らす生き物はそうはいかないもんね。さらに、そのエアコンも気候変動を招いていそうだし…どうしたらいいかわかんなくなるね。」
出典:Ozone Depleting Substances & Climate Change
そうなんですよ。この負の連鎖の悩みは尽きません。
この海で起こっている事実も深刻ですが、近年街路樹や森林でも異常な高温と乾燥によって木々が枯れたり倒れたりしている話も聞きます。
出典:Global field observations of tree die‑off reveal hotter‑drought fingerprint for Earth’s forests
だからこそ、今わたしたち一人一人が今本当に起きていることはなんなのかを知ることが大切だと感じます。
それには、SNSなどで拡散されている情報の中には有益な情報もありますが意図的に気候変動対策に悪影響を与えるような情報も混ざっているのが現状です。
なので、一つのSNSの情報を鵜呑みにせず、Webで調べたり科学者の論文を読む、興味のある書籍を複数読むなどして自分なりに真実を探す旅に出ることも大切だと思っています。
ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?
コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。
あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。
タイセイヨウサケに、あなたの5分が届くことを祈ります。
鶏人|Keijin





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