※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
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こんにちは、fukumomo3_photo です。
ザラバラブロンズヤモリ(Ailuronyx trachygaster)は、
2014年、図鑑に【VU:危急】として分類されていました。
2025年、IUCNレッドリストで、【CR:深刻な危機】と評価されました。
つまり、2014年から2025年にかけて、ザラバラブロンズヤモリは
「静かな森の記憶から、消えゆく影となった」状態になってしまいました。
※IUCNレッドリストにおけるザラバラブロンズヤモリの最新評価は2025年版です。それ以降の更新は行われていません。
この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/61430/271867570
火をつけない仕組みを、もう一度考える
⬇︎ザラバラブロンズヤモリの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 和名 | ザラバラブロンズヤモリ |
| 英名 | Granite Bronze Gecko |
| 学名 | Ailuronyx trachygaster |
| 分類 | 爬虫類・ヤモリ目・ブロンズヤモリ科(Gekkonidae) |
| 分布 | セーシェル共和国(マヘ島、シルエット島、プララン島など)固有種 |
| 主な生息地 | 熱帯の湿潤林や花崗岩地帯、岩の割れ目、樹皮の隙間など |
| 体長 | 約12〜15cm |
| 体重 | 約10〜15g(推定) |
| 寿命 | 約8〜10年(飼育下ではやや長寿) |
| IUCN評価(2025年) | 【CR:深刻な危機(Critically Endangered)】 |
特徴
- 名前の由来:「ザラバラブロンズヤモリ」は、ブロンズのような金属光沢をもつ鱗と、ざらついた皮膚の質感から名づけられた。
- 体色:黄褐色〜銅色で、背面に細かい斑点模様がある。環境や光によって色合いが変化し、保護色として働く。
- 皮膚の特徴:しっとりとした質感で、樹皮や岩肌にぴたりと張りつくことができる。
- 指の構造:吸盤状の趾下板をもち、垂直な面や滑らかな石の上も自在に登る。
- 夜行性:夜に活動し、昼間は岩の割れ目や樹洞に身を隠す。
生態と行動
- 生息範囲:セーシェル諸島の限られた地域のみ。主に標高100〜400mの湿潤林に生息。
- 食性:小型昆虫、クモ、樹液、果実などを食べる雑食性。
- 繁殖:雌は少数の卵(通常1〜2個)を岩の隙間や葉の裏に産みつける。卵は約2か月で孵化。
- 生息の脅威:森林伐採、外来種(ネズミ・ネコ・アリ類)の捕食や競合によって個体数が激減。
- 保全活動:セーシェル環境省とIUCNによるモニタリングが継続中。人工繁殖の試みも進行している。
2014年絶滅危惧種:ザラバラブロンズヤモリ【VU:危急】
このヤモリは、現在、必ずしも減少傾向にあると考えられているわけではないが、そのせまく限られた分布範囲から、たとえばこの種の存続に悪影響を及ぼす侵略的外来種の侵入・分布拡大のような、偶然の出来事がもたらしうる絶滅の危機ともとなり合わせになっている。
出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 主な脅威種 | イエロークレイジーアント(和名:アシナガキアリ) |
| 影響地域 | セーシェル・プララン島「ヴァレ・ド・メ自然保護区」全域(世界遺産) |
| 分布状況 | 2019年調査で保護区全域に分布を確認。2025年現在も継続。 |
| 脅威の性質 | 直接攻撃:小型爬虫類や卵を攻撃・捕食 餌資源の競合:昆虫など餌を食い尽くす 生態系攪乱:「スーパーコロニー」形成により多くの固有種が減少 |
| 生態系への影響 | 樹上性動物の種数・個体数が大幅に減少。 「侵略のメルトダウン(invasional meltdown)」の可能性が指摘される。 |
| その他の潜在的脅威 | ラット、テンレック:主要捕食者として個体数を直接減少させる。 ワカケホンセイインコ:侵入時に競合や病原媒介のリスク。 外来ヤモリ(例:アジアイエヤモリ):餌・生息場所をめぐる競合の可能性。 |
| 保全活動の現状 | モニタリングと研究:分布拡大と影響を継続調査。 駆除活動:限定地域で試みられているが根絶は困難。 バイオセキュリティ:他島からの侵入防止策を強化。 |
| 総合評価(2025年) | ザラバラブロンズヤモリは限定的な生息域に依存しており、イエロークレイジーアントの侵入によって壊滅的な危機に直面。今後の保全対策が存続の鍵。 |
2025年現在、セーシェルのプララン島にある世界遺産「ヴァレ・ド・メ自然保護区」全体に、侵略的なイエロークレイジーアント(和名:アシナガキアリ)が広がっており、生態系に大きな影響を及ぼしている。
出典:Yellow crazy ant invasion crisis at the Vallée de Mai
この種は、限定された生息地に依存しているため、こうした外来種の影響をいかに食い止めるかが、種の存続の鍵を握っている。
⬇︎ザラバラブロンズヤモリの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎
| 保護活動の種類 | 内容の概要 |
|---|---|
| 生息地の保全 | セーシェル諸島(特にマヘ島・シルエット島)の原生林を保護し、森林伐採や観光開発を規制 |
| 外来種対策 | ネズミやネコなどの外来捕食者を駆除し、卵や幼体の生存率を向上 |
| 保護区の設定 | 国立公園・自然保護区(例:モーン・セーシェル国立公園)内での保全区域を拡大 |
| 植生回復 | 在来植物の再植林により、ヤモリの隠れ家や餌となる昆虫環境を再生 |
| 研究とモニタリング | カメラトラップや夜間調査による個体数・行動データの収集とDNA研究を継続 |
| 繁殖と再導入 | 保護下での繁殖技術研究を進め、個体群の再導入計画を策定 |
| 地域教育と啓発 | 学校教育・ツーリズムを通じて、セーシェル固有種保護の重要性を住民に周知 |
主な取り組み
- 森林保全:マヘ島・シルエット島の熱帯林を保護し、伐採や開発を制限
- 外来種駆除:ネズミ・ネコなどの捕食圧を減らす駆除プログラムを実施
- 保護区管理:モーン・セーシェル国立公園などの自然保護区を拡充
- 植生回復:在来植物の再生で棲息環境を改善
- 調査研究:夜間観察と遺伝解析で個体群の分布と健康状態をモニタリング
- 繁殖支援:保護下繁殖と再導入を目指す試験的プログラムを推進
- 環境教育:地域住民・観光客へ固有種保全の意識啓発を強化
最後に
これを読んでみて、どのように感じましたか?
「このアリが増えた原因はなんだろうね?」
きっとなにかありますよね。
私も気になったので、深掘りして調べてみますね。
原因は、このアリが持つ特異な生態と、人間活動が作り出した環境が完璧に噛み合ってしまったことにある。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 1. アリ自身の「スーパーパワー」:特殊な社会構造 | |
| 多女王制(polygyny) | 1つの巣に数百〜数千の女王アリが共存。 → 繁殖力が極めて高く、個体数が爆発的に増加。 |
| 超コロニー形成(supercolony) | 異なる巣のアリ同士が争わず協力。 → 数キロに及ぶ巨大なスーパーコロニーを形成し、圧倒的な数で生態系を制圧。 |
| 食性の広さと高い競争力 | 花の蜜、昆虫、小型爬虫類、鳥のヒナなどを捕食。 → 餌場を迅速に独占し、他の生物を排除。 |
| 遺伝的特徴(弱点) | 近親交配により遺伝的多様性が低い。 → 病気に弱いが、侵略先では病原体が少ないため影響が出にくい。 |
| 総評 | 遺伝的リスクを上回る社会的連携力を持つ「数の暴力」の支配者。 |
| 2. 人間が作り出した「最適な環境」 | |
| 天敵の不在 | 元の生息地(東南アジア)では寄生虫・捕食者が存在。 侵略先(セーシェルなど)ではそれらが不在。 → 無制限に増殖可能。 |
| 人間活動による拡散 | 貨物、観葉植物、観光客の荷物などに紛れて拡散。 → 人為的移動により孤立島にも侵入。 |
| 地理的要因 | 島嶼生態系は隔離され脆弱で、侵入種に対する防御力が低い。 |
| 総評 | 人間のグローバル化が、侵略の「航路」を作り出した。 |
| 3. 生態系を操る「共生戦略」 | |
| アブラムシ・カイガラムシとの共生 | 甘露を得る代わりに、これらを保護。 → 天敵を排除し、虫の異常繁殖を助長。 |
| 植物への影響 | 樹木が衰弱・枯死し、「キャノピー・ダイバック(林冠枯死)」を引き起こす。 |
| 負の連鎖 | 植生が変化 → 森林構造が崩壊 → 固有種が減少。 → イエロークレイジーアントにさらに有利な環境が形成される。 |
| 総評 | 他の生物を利用して環境そのものを「侵略に適した姿」へ作り変える。 |
| 結論 | イエロークレイジーアントは、 「多女王制」「超コロニー」「天敵の不在」「共生戦略」などの複合要因により、 “完璧な侵略者(the perfect invader)” と呼ばれる。 |
イエロークレイジーアントの増加は、単に「強い外来種だから」という単純な理由ではない。
「多女王制」と「超コロニー形成」という強力な社会システムを持ち、天敵のいない環境に人間によって運ばれ、さらには生態系を自分たちに有利な形に作り変える能力を持つ、まさに”完璧な侵略者”なのだ。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 主な対策の方向性 | 対策は大きく分けて 「直接的な駆除」 と 「生態系を利用した防除」 の2種類。 |
| 1. 直接的な駆除:化学物質によるベイト(毒餌)作戦 | |
| 目的・概要 | ベイト剤(毒餌)を働きアリが巣へ運び、女王アリや幼虫に分配して巣全体を内部から壊滅させる。 スーパーコロニーに広範囲で効果を及ぼせる唯一の方法。 |
| 主な薬剤 | – フィプロニル:強力な殺虫剤。高い効果があるが、非標的生物(水生生物や土壌生物)にも有害。 – ホウ酸系薬剤(DOTなど):効果は穏やかだが環境負荷が低く、近年は保護区での使用が増加。 |
| セーシェルでの取り組み | – ユネスコなどの支援を受け、タスクフォースが設立。 – 定期的にモニタリングを実施し、環境への影響を最小限に抑えながらベイト剤を散布。 – 一部地域ではアリ密度を減少させる成果あり。ただし根絶には至らず、継続的管理が必須。 |
| 評価 | 即効性が高く、現場レベルで実用的。ただし環境リスクとコスト負担が課題。 |
| 2. 生態系を利用した防除:天敵を導入する生物的防除 | |
| 概要 | アリの天敵を導入し、自然の力で個体数を抑制する方法。化学薬品に頼らない持続可能なアプローチ。 |
| 有力な天敵候補 | 寄生バチ(マレーシア産):カイガラムシに寄生し、アリの餌源となる甘露の供給を断つ。 |
| 仕組み | ① 寄生バチがカイガラムシに産卵 → ② カイガラムシが死ぬ/弱る → ③ 甘露が減少 → ④ アリが食料を失いコロニー崩壊。 |
| 成功事例 | オーストラリア・クリスマス島:カイガラムシ密度が99%減少、アリ個体数も激減。 世界的に注目される成功例。 |
| セーシェルでの展望 | 化学薬剤の副作用を避けつつ、長期的な個体数抑制が期待される。 ただし、導入生物が在来種に与える影響を慎重に評価する必要あり。 |
| 評価 | 持続可能で環境負荷が低いが、効果が出るまで時間がかかる。導入前のリスク評価が必須。 |
| 3. 補完策:バイオセキュリティ(水際対策) | |
| 目的 | 新たな侵入個体群を防ぐ。貨物・植物・観光経路などを監視・消毒。 |
| 課題 | 人的・物的リソースの確保が必要。長期的な監視体制の構築が不可欠。 |
| 結論:複合的なアプローチが鍵 | イエロークレイジーアントの完全な根絶は困難。 したがって、短期的には化学的駆除で密度を抑えつつ、長期的には生物的防除とバイオセキュリティを組み合わせる戦略が最も現実的。 |
| 現地での現状 | セーシェルでは、保全団体と政府が連携し、日夜地道な管理と研究を継続。ザラバラブロンズヤモリなど固有種を守るための闘いが続いている。 |
対策比較表(要約版)
| 対策 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 化学的駆除(ベイト剤) | 即効性があり、局所的密度を大幅に下げられる | 環境への影響が懸念される/継続的コストが発生 |
| 生物的防除(天敵導入) | 持続可能で、環境負荷が少ない | 効果が出るまで時間がかかる/導入リスク評価が必要 |
| バイオセキュリティ | 再侵入防止に効果的 | 監視体制の維持・人員確保が課題 |
セーシェルでは、まず緊急措置としてベイト剤による駆除でアリの数を抑えつつ、長期的には生物的防除の導入を検討するという戦略が考えられている。
出典:Minimising impacts of the invasive yellow crazy ant Anoplolepis gracilipes at the Vallée de Mai UNESCO world Heritage site, Seychelles to preserve its outstanding universal values
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 構造の比喩 | マッチポンプ(火付け役と火消し役): 人間は自ら引き起こした問題を、後になって必死に消そうとする構造を繰り返している。 |
| マッチ(火付け役) | 経済成長と便利さの追求により、グローバル物流網を拡大。 その結果、イエロークレイジーアントのような外来生物が世界中に拡散。 → 「生態系という家」に人為的な“火”をつけてしまった。 |
| ポンプ(火消し役) | 火が広がって初めて危機を認識。 絶滅危惧種の減少に直面してから、ベイト剤の散布・天敵導入などの「消火活動」を実施。 → 莫大な費用と労力を投じて元に戻そうとする。 |
| 背景にある人間の性質 | |
| 短期的な利益の優先 | 経済的利益や便利さが優先され、将来的・環境的リスクは後回しにされがち。 「遠い未来」よりも「今の快適さ」を選びやすい傾向。 |
| 想像力の限界 | 「一匹のアリが生態系を壊す」など、複雑で間接的な因果を想像することが難しい。 行動の先にある影響を、具体的に思い描く力が弱い。 |
| 問題解決への自負 | 科学技術によって問題を解決できるという信念が強い。 危機を“作ってから直す”ことに達成感を見出す傾向。 |
| 象徴的なメッセージ | 外来種問題は、「火をつけたのも人間、消そうとするのも人間」という矛盾の象徴。 真の解決には、「火をつけない社会構造」への転換が求められる。 |
しかし、このマッチポンプを繰り返した結果、取り返しのつかないものが失われているのも事実である。
だからこそ、このような失敗から学び、ONE EARTH|『どの命一つ取り残さない17の約束 』“Leave No Life Behind”の考えにたどりついた。
そもそも「マッチで火をつけない」ための仕組み作りが大切だと感じる。
自分でガラスを割っておいて、それを最新技術で修理して見せるような、魔法はもう通じない時が来ている。
ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?
コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。
あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。
ザラバラブロンズヤモリに、あなたの5分が届くことを祈ります。
fukumomo3_photo
インスタでは、ザラバラブロンズヤモリたちの姿を“図鑑みたいに”並べて見られます。
ビジュアルで伝える命の物語、よかったらのぞいてみてください。



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