11年後のレッドリスト|アラビアマクラサンゴ:ラベルは軽く、矢印は沈む【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|アラビアマクラサンゴ:ラベルは軽く、矢印は沈む【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

今回は、アラビアマクラサンゴ(学名:Anomastraea irregularis)の評価について、
「Least Concern(低懸念)って言葉、もうやめて、Latent Crisis(潜伏する危機)に変えたほうがいいんじゃない?」って話です。

このサンゴは、2014年の図鑑では、ほとんど海洋保護区域がないことなどから「VU:危急」と評価されていました。
ところが最新のレッドリストでは、調査が進んで分布や実態がよりはっきりした結果、「LC:低懸念」にランクダウンしたんです。

だから今のアラビアマクラサンゴって、まさに「ラベルは軽く、矢印は沈む」状態なんだと思います。

この記事は短くて、5分くらいで読めます。
よかったら最後まで読んでください。

※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2023評価(2024年公開)です(以降の更新は、現時点では確認できていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Anomastraea irregularis

アラビアマクラサンゴはなぜLCなのに減っているのか?

⬇︎アラビアマクラサンゴの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

基本情報|アラビアマクラサンゴ(英名:Crisp pillow coral)
項目情報
和名アラビアマクラサンゴ(呼称の一例)
英名Crisp pillow coral
学名Anomastraea irregularis
分類刺胞動物門・花虫綱・イシサンゴ目(Scleractinia)・Coscinaraeidae科・Anomastraea属
分布インド太平洋域(紅海、アデン湾、オマーン周辺など西部インド洋域にも出現)
主な生育地濁りのある環境/リーフ斜面の基部・潮だまりなど(基部の岩盤上で見つかることが多い)
大きさ群体は直径20〜30cmほどの塊状になる例がある
体重(サンゴのため該当なし)
寿命サンゴは長寿になりうるが、本種の「寿命の目安」は明確に示されにくい(長期生存型)
保全状況IUCNレッドリストではLC(低懸念)として扱われる(過去にVU→LCへ変更の記載あり)

特徴

  • 名前の由来:属名Anomastraeaは単型属で、この1種だけが属を代表する、と説明される。
  • 見た目:脳サンゴのような細かい“しわ”が連続する、丸いクッション状(マクラ状)になりやすい。
  • 希少性:地域によって多寡があり、「南東アフリカでは普通だが、他では少ない」という扱いで紹介される。
  • 保全状況:IUCN上はLCだが、サンゴ礁全体の劣化(白化など)の影響を受けやすい生物群として注意が必要。

生態と行動

  • 生育環境:リーフ斜面の下部や基部、潮だまりなど、やや濁りのある場所で見つかることがある。
  • くらし方:石サンゴなので、褐虫藻(光合成)に頼りつつ、プランクトンなども取り込んで生きる、と整理されることが多い。
  • ふえ方(繁殖):一般に石サンゴは、放卵放精などの有性生殖と、成長・分裂などの無性生殖の両方で増える(本種の詳細データは資料で差が出やすい)。
  • 脅威:海水温上昇による白化、沿岸開発による水質悪化や堆積物の増加など、サンゴ礁全体のストレス要因が重なって効きやすい。

出典

最終評価2023年:アラビアマクラサンゴ「LC:低懸念」

すべてのサンゴは気候の変化におびやかされており、そのような気候の変化は海の酸性化やサンゴの漂白化をもたらしている。アラビアマクラサンゴは現在、ほとんど海洋保護区域がないことで知られている。

出典:訳者 岩槻邦男、太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル『IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑』/ 発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / © Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

比較ポイント2014年頃の図鑑(IUCNレッドリスト 世界の絶滅危惧生物図鑑)2026年現在の情報(IUCN等の最新情報)
結論(全体像)絶滅危惧種として扱われ、危機的な状況が前提になっている。絶滅危惧カテゴリは引き下げられているが、個体数の傾向は減少とされており、安心できる状況とは言い切れない。
絶滅危惧カテゴリ(ランク)VU(絶滅危惧Ⅱ類 / Vulnerable)LC(軽度懸念 / Least Concern)に変更された。
ランクが変わった意味希少性が高く、絶滅リスクがある種として評価されている。個体数が劇的に回復したというより、調査が進んで分布や実態がより把握された結果として、ランクが見直されるケースがある。A. irregularis も 2008〜2023 は VU で、2024に LC へ再評価されたことが報告されている。
評価年と公表年の関係図鑑の掲載時点のIUCN評価(当時の情報)をもとに整理されている。IUCNでは、評価した年(assessment)と、公表される年次版(publication)がズレる場合がある。A. irregularis は 2024 に LC として再評価された扱いで整理されている。
分布(生息域の見え方)西インド洋の広い範囲(アフリカ東岸、紅海周辺など)に分布するが、希少性が強調されている。広域分布種として整理されており、地域スケールでは「よくいるわけではない(common but never abundant)」とされる例もある。
個体数の傾向(POPULATION TREND)汚染・開発などにより環境が悪化し、将来の個体数減少が懸念されている。個体数は減少傾向(decreasing)とされる地域評価があり、白化などの影響を受けやすいことも示されている。
海洋保護区(MPA)が少ない問題生息域に海洋保護区がほとんどないことが懸念点として書かれている。2014年以降、国際目標として海域保全を進める流れ(30×30)が強まっている。一方で、本種に特化した保護計画が十分に整っているかどうかは、公開情報だけでは断定しにくい。
最大の懸念点(ランクより重要な部分)生息地の悪化が続き、将来的にさらに厳しくなる可能性がある。ランクが LC でも、環境側が悪化すれば減少は続く。特にサンゴ礁全体は近年、世界規模の白化が拡大している
主な脅威①:海水温上昇と白化気候変動による海の変化が将来の脅威として示唆される。2014〜2017の世界規模白化に続き、2023年以降の世界的白化も拡大している。サンゴにとって高水温ストレスは大きなリスクになっている。
主な脅威②:海洋酸性化骨格形成への悪影響が懸念される。海洋酸性化の影響は広く懸念されており、サンゴ礁生態系へのリスクとして整理されている。
主な脅威③:オニヒトデ・水質汚染など水質悪化や生息地の荒廃が問題として示されている。地域によっては、白化だけでなく水質悪化やその他要因が重なり、サンゴ礁環境の悪化を加速させる。
まとめ(2026年時点の評価の受け止め方)絶滅危惧種として扱われ、危機の前提で読む内容。LC になったことで「危機から外れた」と見えるが、減少傾向や気候変動要因を考えると、安全になったとは言い切れない。カテゴリーの名前より、減少傾向と環境変化のほうが重要な論点になる。

出典

アラビアマクラサンゴ(Anomastraea irregularis)は、2014年頃にはVU(絶滅危惧II類)として整理されていたが、近年の再評価によりLC(軽度懸念)へ変更された。ただし、分布域の再把握などにより危機ランクが引き下げられた一方で、個体数傾向は減少とされ、環境条件の悪化が継続している可能性が高い。特に海水温上昇に伴う白化、海洋酸性化、水質汚染等は主要なリスク要因であり、保護区の拡大が進む状況下でも、長期的なモニタリングと保全の優先順位付けが必要である。

⬇︎アラビアマクラサンゴの保護活動の種類です。必要なら開いてください。

保護活動の種類内容の概要
生息地(サンゴ礁)の保護生息地のサンゴ礁を守るため、海洋保護区(MPA)での立入・採取・破壊行為の制限、重要エリアのゾーニング管理などを行う
沿岸開発・水質悪化の対策埋め立て・港湾工事・浚渫による濁りや堆積(泥)を減らすため、工事の時期調整、濁り対策、下水処理の改善、流域管理を進める
白化(高水温ストレス)への対応高水温で白化が起きやすいため、海水温の監視、白化発生時の緊急調査、影響の大きい海域での保全優先度の見直しなどを行う
破壊的な漁業の抑制漁具によるサンゴ破損や、資源圧の上昇を抑えるため、破壊的な漁法の禁止、漁業ルールの整備、取り締まり強化を行う
国際的な取引規制ワシントン条約(CITES)附属書IIの対象として、国際取引は許可制で管理し、違法取引や過剰採取リスクを抑える
サンゴ礁の再生・回復支援ダメージを受けた場所で、サンゴの苗づくり(養殖)・移植、幼生を使った再生、回復しやすい環境づくりなどの再生プロジェクトを進める
研究とモニタリング分布・個体数(被度)・群集構造の調査、白化や死亡率の記録、長期トレンドの監視を行い、保全効果を検証する

最後に

読んでみて、どのように感じましたか?

調査が進んで分布や実態がよく分かってきたから、ランクが見直されたって書いてあったけど、全部読むと「じゃあなんでLC(低懸念)なの?」って思っちゃうんだよね。
たしかに、思ってたより広い海に生息してたって言われても、IUCNのページを見ると矢印は下を向いてるし、減ってるって書いてあるしさ。なんか変な感じがする。
こんなこと言っちゃいけないかもしれないけど、もしかして化石燃料がらみの何かがあるんじゃないかって、疑いたくもなるよ。

私も同じで、最近は気候変動のスピードが加速してるように感じるし、海水温も上がってるって言われてるのに、なんで?って思うよね。
だから、調べられる範囲でちゃんと頑張って調べてみるよ。


論点何が「違和感」になるのか根拠と整理(IUCN基準・種の特徴・仕組みの限界)
最初に出てくる違和感減少中(Decreasing)なのに、LC(軽度懸念)になっているのが変に見えるIUCNでは「個体数が減っている=ただちに絶滅危惧カテゴリ」という仕組みではない。減少が確認されていても、絶滅危惧(VU/EN/CR)の基準に届かない場合はLCになりうる。
LC(軽度懸念)の意味LCが「安全」を意味しているように受け取られやすいLCは「大丈夫」ではなく、IUCNの定量基準(閾値)に当てはまらない、という分類である。評価の焦点は「どれくらいの速さで、どれくらい危険な水準まで落ちるか」に置かれている。
いわゆるパラドックスの正体「減ってるのにLC?」が、直感とズレるIUCNの基準では、たとえば基準A(個体数減少)で、過去10年または3世代のいずれか長い期間で30%以上の減少が認められる場合、VUに該当しうる。逆に言えば、減少していても30%に届かない、または証拠が不足する場合は、LC側に残りうる。
「数学的な罠」に見える部分下向き矢印を見た瞬間に「危機的」と感じるが、ランクは低く出る個体数傾向の矢印(Decreasing)は「方向」を示す情報で、カテゴリ(LC/VUなど)は「減少率や範囲などの定量基準」を満たすかどうかで決まる。両方が同時に成立することは普通に起こる
例え話のイメージ赤字の会社なのに倒産判定ではない、みたいな感覚減少傾向はあるが、分布が広い・評価上の減少率が閾値未満・データ確度などの条件が重なると、絶滅危惧カテゴリに入らないことがある。
このサンゴ特有の事情他のサンゴと同じ感覚で見てしまうと納得しにくいAnomastraea irregularis は、環境の厳しい条件下(環境限界付近)での生存戦略や応答が研究されており、他の「繊細な」造礁サンゴと同じ前提で語れない可能性がある。
「濁った水が好き」という話きれいな海で生きるサンゴ、という常識とズレる研究では、Anomastraea irregularis を含む環境限界のサンゴ群集や、濁った水域・強い変動条件などの文脈での生存や耐性が議論されている
「天然の日傘効果」という見立て白化は光と熱のセットなので、濁りが守るという発想は筋が通って見える白化は高水温ストレスに加え、強光などの条件が重なることで悪化しうるため、濁りが光ストレスを弱める可能性は理屈としては成立する。ただし、IUCNの種別評価における主要根拠として採用されているかどうかは、評価本文の記述に依存する。
「タフだからLCになったのか?」強い種ならLCでもおかしくない気もする2008年にVUだった分類が、2024年にLCへ変更されたことについて、情報の改善が理由として言及されている。一方で、依然としてサンゴ礁に共通する脅威にはさらされ、ベースライン監視の必要性も指摘されている。
化石燃料・政治的圧力への疑念露骨な圧力より、構造的に「都合のいい評価」になっているのでは?という感覚IUCNは、受理された評価が将来のアップデートで公表される仕組みを採用し、評価は基準に沿った証拠に基づいて行う。予測だけでカテゴリを上げることは難しく、証拠要件や手続きの慎重さがタイムラグを生む可能性がある。
「未来を見ない評価」に見える部分気候変動が加速しているのに、評価が追いつかない感じがするIUCNのカテゴリ判定は、定量基準と証拠の扱いに強く依存し、評価の慎重さが特徴になる。結果として、急速に進む環境変化と評価更新のテンポにギャップが生まれやすい。
違和感の正体(結論)「LC=守らなくていい」に見えてしまうのが怖いLCでも減少傾向が明記される場合があり、リスクが消えたわけではない。カテゴリのラベルが「安全宣言」に誤読されること自体が問題になりうる。
深掘りした解釈の3要素何が重なってLCに見えるのか1) 分布が広い(広域に確認されている) 2) 種の性質として厳しい条件に適応している可能性がある 3) IUCN基準は定量閾値と証拠要件を優先するため、減少傾向だけでは上位カテゴリになりにくい場合がある
最後に残る直感「矢印は下なのに」がおかしい、という感覚その直感自体は自然で、むしろ重要。LCであっても減少が続くなら、注視すべき対象であることは変わらない。

出典

濁りに強い種だから白化にも強いかもしれないし、調査して評価が出るまでのタイムラグもあるし、いろいろ重なってLC(低懸念)になってるってことなんだね。
その中でも「赤字の会社なのに倒産判定ではない」って例えを見て、なんとなく腑に落ちた気がするよ。

要するに、毎月赤字を出してる会社(減少中)でも、貯金が数億円あって全国に支店がある(広範囲に分布してる)なら、今すぐ倒産はしない(だからLC扱いになる)。
でも、経営状態(環境)が悪化してることには変わりないから、そこに違和感を感じたってことだよね。

うん、それめちゃくちゃリアルにわかるし、正直ちょっと怖いよね。
世界中に支店があるような大会社でも、資産がたっぷりあるから、毎月赤字を出してても外から見ると「この会社まだ大丈夫だね」って扱いになっちゃう、みたいな。

でもさ、その大会社も不況(環境)に強いとはいえ、どれだけ大きくて資産(広範囲の分布)があっても、行政が「おたく不況に強いから少しだけ泣いてもらうね」みたいな感じで、赤字(減少中)が出てても「まあ大丈夫でしょ」って扱いにしてくる空気ってあるじゃん。

で、他の行政は、売上(生まれた卵)だけ見て、利益(ちゃんと育った個体)を見ないまま、「じゃあ来年から税金(水温)上げますね」って言ってくる感じ。なんかそんな構図に見えるんだよね。

サンゴって、大きな経済活動の邪魔になる場所に暮らしてたり、海水温の影響をいち早く感じ取る海の温度計みたいな役割もあると思うから、LC(低懸念)でも、ちゃんと注意深く見ていかなきゃなってすごく感じる。

だからさ、Least Concern(低懸念)という言葉をやめて、
同じLCでもLatent Crisis(潜伏する危機)と読み替えませんか?


ここまで読んで、あなたは、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてもらえると、とても嬉しいです。

貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

アラビアマクラサンゴに、その5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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