※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
Hi, it’s 鶏人|Keijin.
Back in the 2014 guidebook, clumped eelgrass (Zostera caespitosa) was classified as “Vulnerable (VU).” This was due to its limited range and the ongoing loss and degradation of its habitat from things like coastal development, land reclamation, dredging, and water pollution.
Fast forward to 2026, and its IUCN Red List status hasn’t changed. It’s still stuck at “Vulnerable.”
Recently, there’s been some progress. We’re seeing long-term monitoring of seagrass beds, habitat conservation efforts, trials to transplant eelgrass shoots, and studies trying to figure out exactly what it takes for their seeds to sprout and take root. But the hard truth is, we still haven’t seen a clear recovery across their entire range.
I think the current situation for clumped eelgrass comes down to this: “The patches are still here, but there’s no sign of the next generation.”
I’ve put together some of the more detailed stuff in the collapsible sections below. But honestly, I’d be thrilled if you just read through this main text to the end.
こんにちは、鶏人|Keijinです。
スゲアマモ(Zostera caespitosa)は、2014年の図鑑では、限られた分布域で、沿岸開発や埋め立て、浚渫、水質汚濁などによって生育地の減少と劣化が続いていることなどから「VU:危急」と評価されていました。
そして、2026年時点で確認できるIUCNレッドリストの評価も、2014年と変わらず、「VU:危急」のままでした。
近年は、海草藻場の長期モニタリングや生育地の保全に加え、スゲアマモの株を移植する試み、種子の発芽や実生定着の条件を解明する研究も進められています。しかし、分布域全体で回復が確認された段階には至っていません。
スゲアマモは今も、「群落は残る、次の世代が見えない」という状態なのだと思います。
少し詳しい内容は折りたたみの中にまとめています。
まずは本文だけでも、最後まで読んでもらえたらうれしいです。
※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2008年評価(2010年公開)です(以降の更新は、現時点では確認できていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Zostera caespitosa)
スゲアマモとは?特徴・分布・生態と絶滅危惧の現状
⬇︎スゲアマモの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 和名 | スゲアマモ |
| 英名 | Clumped Eelgrass |
| 英名の別称 | Tufted Eelgrassと表記されることもある。 |
| 学名 | Zostera caespitosa Miki, 1932 |
| 分類 | 植物界、被子植物、単子葉植物、オモダカ目、アマモ科、アマモ属 |
| 分類上の位置 | 海中で生活する被子植物であり、藻類ではない。陸上植物と同じように維管束、根、地下茎、葉、花、果実、種子を持つ。 |
| 記載 | 日本の植物学者・三木茂によって1932年に記載された。現在も独立した有効種として認められている。 |
| 異名 | 韓国から別種として記載されたZostera geojeensisは、現在ではスゲアマモの異名として扱われる。 |
| 名前の由来 | 和名は、細長い葉がスゲ類に似ていることに由来する。英名のClumpedは、地下茎が長く横へ伸びず、葉と茎がまとまった株状になる特徴を表す。 |
| 基本的な特徴 | 北西太平洋の温帯沿岸に限って分布する多年生海草。長く這う地下茎をほとんど形成せず、海底に独立した株のような密集体を作る点で、一般的なアマモと区別できる。 |
| 分布 | 日本、朝鮮半島、中国北東部、ロシア極東の千島列島周辺に分布する。北西太平洋に固有性の高い海草である。 |
| 日本での分布 | 北海道から本州に分布する。太平洋側では宮城県以北、日本海側では島根県以北がおおよその分布範囲とされる。 |
| 中国での分布 | 遼寧省、河北省、山東省など、中国北東部の黄海・渤海沿岸を中心に記録されている。 |
| 韓国での分布 | 朝鮮半島の東岸、南岸、西岸に分布するが、生育地は局地的で、アマモより確認地点が少ない。 |
| ロシアでの分布 | 千島列島を含むロシア極東南部で記録される。北方に分布する個体群については、生育範囲や規模の情報が限られている。 |
| 生育環境 | 内湾、入り江、沿岸の浅海にある砂底または砂泥底に生育する。比較的穏やかな海域が多いが、韓国では外海の波浪を受ける海域でも確認されている。 |
| 生育水深 | 主に潮下帯の水深1~20メートルに生育する。地域によっては水深3~8メートル付近に多く、アマモより深い場所に群落を作ることがある。 |
| 光との関係 | 光合成を行うため、海底まで十分な光が届くことが生育条件となる。濁りによって水中光量が減ると、深い場所の個体群ほど影響を受けやすい。 |
| 塩分との関係 | 主として通常の海水に近い塩分の沿岸域に生育する。河口の低塩分環境にも広く進出するアマモやコアマモと比べ、外海水の影響を受ける場所に多い。 |
| 生活型 | 海底の堆積物に根と地下茎を張る多年生の沈水植物。葉は年間を通して残ることがあるが、長さ、密度、重量は季節によって大きく変化する。 |
| 地下茎 | 直径約3~5ミリメートルで、やや扁平。節間が極端に短く、アマモのような長い横走地下茎をほとんど形成しない。 |
| 叢生する性質 | 新しい茎が既存株のすぐ近くから生じるため、葉が束になった独立した株を形成する。この叢生形は、海草類の中でも珍しい特徴である。 |
| 株の広がり方 | 一本の長い地下茎で遠方へ広がるのではなく、同じ場所で茎の数を増やしながら株を大きくする。複数の株が集まると、斑状または連続した海草藻場になる。 |
| 根 | 地下茎の節から多数の根を伸ばし、砂泥中へ植物体を固定する。根と地下茎は栄養塩を吸収するとともに、海底の堆積物を保持する。 |
| 葉 | 細長い帯状で、通常は長さ約70センチメートルまで、幅約2.5~5ミリメートル。地域や季節によっては、葉が1メートルを超え、韓国では約1.4メートルに達した例もある。 |
| 葉脈 | 葉には通常5~7本の平行脈が走る。被子植物であるため、藻類にはない維管束組織によって水分や栄養を運ぶ。 |
| 葉先 | 葉の先端は丸みを帯び、中央がわずかにへこんだ倒心形または凹頭になる。葉先の形は近縁種との識別点の一つである。 |
| 葉鞘 | 葉の基部は鞘状になって茎を包む。葉身が枯れた後も古い葉鞘が株元に長く残ることがあり、株を保護すると考えられる。 |
| アマモとの違い | アマモは長い地下茎を横方向へ伸ばして広い群落を形成する。スゲアマモは地下茎の節間が短く、独立した株状になる。葉先のへこみや、枯れた後も残る葉鞘も識別点となる。 |
| タチアマモとの違い | タチアマモは非常に長い花茎を形成し、より深い海底に大規模な群落を作ることがある。スゲアマモは株状にまとまり、栄養株の地下茎が横へ長く伸びない。 |
| 栄養繁殖 | 地下茎から新しい茎を生じるクローン成長が、群落を維持する主要な繁殖方法である。ひとつの株が成長して茎と葉を増やし、長期間同じ場所に存続する。 |
| 有性繁殖 | 花を咲かせ、海水中で受粉して種子を作る。ただし近年の韓国での研究では、開花株の割合と花序数が少なく、種子による新規加入は非常に少ないことが示されている。 |
| 花茎 | 生殖期になると直立する花茎を伸ばす。花茎は地域によって30~100センチメートルほどになり、複数の花序を付ける。 |
| 花序 | 花序は長さ約3~4センチメートル。葉鞘状の苞に包まれた肉穂花序を形成し、雄花と雌花が同じ花序に並ぶ。 |
| 花 | 花被を持たない小さな花で、ひとつの花序に雄花と雌花が通常6~12対ほど並ぶ。海水の抵抗を受けにくい単純な構造をしている。 |
| 受粉 | 水媒受粉を行う。雄花から放出された糸状の花粉が海水中を漂い、別の雌花の柱頭に付着する。昆虫や風による受粉には依存しない。 |
| 開花期 | 日本では主に2~5月。韓国南岸では生殖株が4~6月に確認され、より広い地域研究では2~7月に開花する場合もある。水温と緯度によって時期が変わる。 |
| 果実・種子 | 雌花は受粉後に果実となる。種子は長さ約3.5ミリメートルの卵球形で、成熟後に海中へ放出される。韓国南岸では主に5~6月に成熟果実と種子放出が確認されている。 |
| 種子の役割 | 海流による新しい生育地への分散や、攪乱後の群落回復、遺伝的多様性の維持に重要である。ただし本種では種子生産と実生の定着が少ないと考えられている。 |
| 実生の加入 | 2024年に発表された韓国南岸の調査では、調査期間中に種子から生じた新しい株は確認されなかった。既存群落は主としてクローン成長によって維持されていた。 |
| 季節変化 | 葉の長さ、幅、密度、現存量は春から初夏に増え、夏の高水温期以降に減少する。秋から冬は成長が鈍り、葉が短くなる。 |
| 成長期 | 水温が上昇する春から初夏に成長が活発になる。韓国の研究では、水温約9~21℃で良好な成長がみられ、別の研究では約22.5℃付近が最大成長に適した水温とされた。 |
| 高水温への反応 | 夏に水温が高くなると、葉の成長、株の拡大、密度、現存量が低下する。約30℃に近づく海域では成長が大幅に抑制され、高水温が長期化すると枯死の危険が高まる。 |
| 寒冷地適応 | 北西太平洋の冷温帯から温帯に適応した海草である。冬の低水温には耐える一方、南限付近の個体群は夏の高水温による影響を受けやすい。 |
| 遺伝的特徴 | 中国北東部などで調査された個体群では、遺伝的多様性が低いことが報告されている。クローン繁殖への依存と種子加入の少なさが、遺伝的多様性を低下させる要因となり得る。 |
| 群落の回復力 | 長い地下茎による急速な拡大や、多数の種子による再生が少ないため、海底掘削や埋め立てによって株全体が失われると、自然回復に長い時間を要する可能性がある。 |
| 藻場としての役割 | スゲアマモの群落は、魚類、甲殻類、貝類、多毛類などの生息場所、隠れ場所、産卵場、幼稚仔の育成場になる。葉の表面には微細藻類や小型無脊椎動物が付着する。 |
| 底質の安定化 | 根と地下茎が海底を固定し、密生した葉が波や流れを弱める。これによって砂泥の流出や再懸濁を抑え、沿岸の海底地形を安定させる。 |
| 水質への働き | 葉が水中の流れを弱め、浮遊粒子を沈降させる。植物体は海水と底質から窒素やリンを吸収し、沿岸域の栄養循環に関与する。 |
| 光合成と酸素 | 光合成によって二酸化炭素を吸収し、酸素と有機物を生産する。生成された有機物は、海草を直接食べる生物だけでなく、枯葉や微細な有機物を利用する生物にも供給される。 |
| ブルーカーボン | 葉、根、地下茎に炭素を蓄え、枯死した植物体の一部を海底堆積物へ取り込む。群落が維持されれば、沿岸のブルーカーボン生態系の一部として機能する。 |
| IUCNレッドリスト | Vulnerable(VU・危急)。最新の世界評価は2010年で、限られた分布域と生育環境の継続的な減少・劣化を理由に、基準B1で評価された。個体群の傾向は減少である。 |
| 環境省レッドリスト | 準絶滅危惧(NT)。2025年3月公表の環境省第5次レッドリストでも、生育条件が悪化している種としてNTに判定された。 |
| 国内の地域評価 | 岩手県ではAランク、宮城県では絶滅危惧I類、石川県では準絶滅危惧、青森県や福井県でも要調査・要注目種などに位置付けられている。 |
| 世界の個体数 | 世界全体の株数や群落面積は分かっていない。分布域は比較的広いものの、各地で群落が局地的・断片的に存在し、長期的な面積変化の資料も限られている。 |
| 個体数の傾向 | 世界的には減少傾向。沿岸開発や水質悪化による生育地の消失・劣化が続き、特に中国と韓国では生育地が少なく、群落の分断が懸念される。 |
| 主な脅威 | 埋め立て、港湾・防波堤建設、浚渫、海底掘削、養殖施設、漁具、船の投錨、沿岸道路、工業・住宅開発などによる海底環境の直接的な破壊。 |
| 濁りの影響 | 浚渫、護岸工事、河川からの土砂流入によって海水が濁ると、海底に届く光が減少する。深い場所に生育する群落では、わずかな透明度低下でも光合成量が不足することがある。 |
| 富栄養化の影響 | 生活排水、農業排水、工業排水、養殖場から過剰な窒素やリンが流入すると、植物プランクトンや大型藻類、葉上の付着藻類が増え、スゲアマモへの光を遮る。 |
| 養殖業との関係 | 大規模な魚介類・海藻養殖は、施設設置による海底占有、水交換の低下、排泄物や残餌による有機物増加、競合する大型藻類の繁茂などを通じて群落を劣化させる場合がある。 |
| 気候変動の影響 | 海水温上昇は高水温期の成長抑制や枯死を増加させる可能性がある。豪雨による濁りと低塩分化、強い台風、海流変化、海面上昇による光環境の変化も群落に影響する。 |
| 自然攪乱 | 台風、強い波浪、海底地形の変化、土砂堆積などによって株が埋没または流失することがある。種子加入が少ないため、大規模攪乱後の回復が遅れる可能性が高い。 |
| 複合的な脆弱性 | 分布域が北西太平洋に限られ、株が局地的に分布し、有性繁殖と実生加入が少ない。さらに高水温に弱いため、沿岸開発と気候変動が重なると急速な減少につながり得る。 |
| 主な保全対策 | 現存群落の分布・面積調査、埋め立てや浚渫の回避、水質と透明度の改善、養殖排水の管理、投錨・底びき漁の規制、海草藻場を含む海洋保護区の設定、遺伝的多様性の調査が重要となる。 |
| 移植・再生 | 地下茎を含む株の移植や種子を利用した再生が考えられるが、本種は横方向への拡大と種子加入が少ない。移植前に、水温、光量、底質、波浪などの生育条件を回復させる必要がある。 |
| 調査上の課題 | 深い海底に生育するため、干潮時の目視調査では把握できない。潜水調査、水中映像、音響測量、環境DNA、遺伝解析などを組み合わせた継続調査が必要である。 |
基本情報:出典
最終評価2008年:スゲアマモ「VU:危急」
スゲアマモは分布域のほとんどで、最近になって種の力が弱まっている。 公害への耐性は弱く、水質汚染のために光が届きにくくなることでも影響を受けてしまう。 生育に適した土地の消失もこの種の生存への脅威のおもな要因であり、分布域にあたる日本と中国では沿岸域の工業排水や小型漁業などの漁法がおもな障害となっている。
出典:訳者 岩槻邦男、太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル『IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑』/ 発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / © Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

| 項目 | 2014年の図鑑 | 現在(2026年確認) |
|---|---|---|
| 世界的な評価 | IUCNレッドリストで危急(VU)と紹介されていた。 | IUCNレッドリスト2026-1でも危急(VU)のまま。評価基準はB2ab(i、ii、iii)で、生育面積が狭く、生育地が分断され、分布域・生育面積・生育環境の範囲や質が低下していることを示す。 |
| IUCN評価の更新状況 | 2014年の図鑑は、2008年8月11日に行われ、2010年に公表されたIUCN評価をもとにしていた。 | 現在表示されているVU評価も、最終評価日は2008年8月11日。2014年以降に世界全体を再調査した新しいIUCN評価ではないため、カテゴリーが変わっていないことを、そのまま「状態が安定している」と解釈することはできない。 |
| 世界的な個体群動向 | 「分布域のほとんどで、最近になって種の力が弱まっている」と記載され、広い範囲での衰退が示されていた。 | IUCN上の個体群動向は現在も「減少」と表示されている。ただし、この判定も古い評価に基づく。2026年に発表された研究でも、北東アジアの自然分布域内で顕著に減少している海草として扱われており、減少への懸念は解消されていない。 |
| 日本国内の評価 | 図鑑では世界評価のVUが中心に示されていた。日本国内では、環境省第4次レッドリストで準絶滅危惧(NT)に評価されていた。 | 2025年公表の環境省第5次レッドリストでも準絶滅危惧(NT)。日本国内ではVUではなくNTだが、これはIUCNの世界評価とは対象地域と評価基準が異なる。世界的にVUからNTへ改善したことを意味するものではない。 |
| 日本各地の状況 | 日本北部を中心に限られた場所で生育するとされていた。 | 全国評価はNTだが、地域によって危険度は大きく異なる。岩手県ではAランク、宮城県では絶滅危惧I類、石川県では準絶滅危惧などに位置づけられており、一部地域では全国評価より厳しい状態にある。 |
| 分布 | 中国北部沿岸、朝鮮半島、日本の沿岸に分布するとされていた。分布は限られ、斑状だった。 | 北西太平洋に固有性の高い海草で、中国、日本、韓国の沿岸に分布する。近年の研究でも「限られた地域に少数の個体群が存在する希少な海草」と説明されている。新しい分布記録はあるものの、広大で連続した分布へ回復したことを示すものではない。 |
| 生育環境 | 水深およそ2~11メートルの浅海に、パッチ状の群落をつくるとされていた。 | 砂泥質の海底に株状のまとまりをつくり、韓国の調査地では主に水深3~5メートルで確認されている。調査地や資料によって記録水深に差があるため、これを分布水深の縮小とは断定できない。 |
| 群落の成り立ち | 分布が狭く、群落が分断されていること自体が絶滅リスクと考えられていた。 | 地下茎の節間が非常に短く、独立した株のような「束」をつくる。2024年の韓国での調査では、調査期間中の株密度はおおむね一定だったが、実生から生まれた新しい株は確認されなかった。既存株が維持されていても、世代更新や新しい場所への拡大が進んでいるとは限らない。 |
| 繁殖力と回復力 | 種子生産や実生定着についての詳しい説明はなく、主に分布域の縮小と生育環境の悪化が問題とされていた。 | 2024年の研究では、開花する割合が低く、花序数も少ないため、潜在的な種子生産量が非常に少ないことが確認された。個体群は主として既存の株のクローン成長によって維持されており、群落が失われた後の自然回復力は低いと考えられる。 |
| 種子からの再生 | 詳しい情報は示されていなかった。 | 2026年の研究では、種子の発芽には塩分15、5℃前後、発芽後の苗の成長には塩分15、20℃前後が適していた。採取した個体群によって種子の大きさと発芽率に差があり、野外では競争、食害、底質などの影響も加わるため、発芽しても定着まで到達しにくいことが示された。 |
| 水質汚染と光不足 | 公害への耐性が弱く、排水や富栄養化によって水が濁ると、葉まで光が届かず衰退するとされていた。 | 海草は光合成に必要な水中光が減ると成長できないため、濁水、富栄養化、植物プランクトンや付着藻類の増加は現在も重要な脅威となる。スゲアマモは比較的深い海底にも生えるため、水の透明度低下による影響を受けやすい。水質汚染への弱さが解消されたことを示す研究は確認されていない。 |
| 沿岸開発 | 日本、中国、韓国での工業化、土地開発、埋め立てなどによる生育地の消失が主要な脅威とされていた。 | 港湾整備、埋め立て、浚渫、海岸構造物の建設などによる海底の直接改変は、現在も海草群落全体の主要な減少要因である。スゲアマモは分布が狭く、失われた群落を種子から再建する力も弱いため、一か所の開発が地域個体群の消失につながりやすい。 |
| 漁業・養殖の影響 | 小型漁業、引き網漁業、沿岸養殖などが、海底の攪乱や水質悪化を通じて障害になると記載されていた。 | 漁具による海底の攪乱、船の投錨、養殖施設周辺の栄養塩負荷や藻類の増殖は、現在も潜在的な圧力である。ただし、2014年以降に各要因がスゲアマモ全体をどの程度減少させたかを示す、分布域全体の定量的評価は確認されていない。 |
| 生育に適した水温 | 地球温暖化との関係や具体的な適温は記載されていなかった。 | 2024年の室内実験では、成長と光合成に適した水温はおよそ10~20℃だった。25~30℃では成長指標と光合成色素量が大きく低下した。別の野外研究では、韓国南岸個体群の成長適温は約22.5℃と推定され、高水温期には成長が著しく抑制された。条件や個体群によって適温には差があるが、高水温に弱いという結果は共通している。 |
| 地球温暖化による直接的影響 | 明確な記載はなかった。 | 海水温の長期上昇や海洋熱波によって適温を超える期間が長くなると、成長、光合成、葉の形成、栄養塩吸収が低下する可能性が高い。特に南側や浅い場所の個体群では、夏季の高水温が生育可能期間を短くし、群落の縮小や北方・深所への分布移動を促すおそれがある。 |
| 繁殖への気候変動の影響 | 明確な記載はなかった。 | 水温は株の成長だけでなく、花芽形成、開花、種子成熟、発芽時期を調節している。温暖化によって季節的な水温変化が早まると、開花や種子放出の時期がずれ、発芽後の苗が適切な水温や光環境に出会えなくなる可能性がある。もともと種子生産と実生加入が少ないことから、繁殖時期のずれは個体群の回復力をさらに弱める。 |
| 豪雨・台風・海の濁り | 水質汚染で光が届きにくくなることが脅威とされていた。 | 気候変動による豪雨の激化は、河川からの土砂、栄養塩、汚濁物質の流入を増やし、水中光を減少させる可能性がある。強い台風や波浪は株の抜け落ち、埋没、海底侵食を引き起こす。これらは海草類で確認されている影響経路だが、スゲアマモの分布域全体での被害量はまだ明らかになっていない。 |
| 複合的な危険 | 汚染、沿岸開発、漁業など、主として地域的な人為圧力が中心だった。 | 水質汚染や沿岸開発が残る場所に高水温や海洋熱波が加わると、光不足と熱ストレスが同時に作用する。さらに種子生産と実生加入が少ないため、一度消失した群落が自然に戻りにくい。局地的な環境悪化と地球規模の温暖化が重なることが、現在の大きな懸念となっている。 |
| 2014年との総合比較 | 分布域の縮小、水質汚染、沿岸開発、漁業による衰退が警告されていた。 | 世界評価はVU、個体群動向は減少のままで、回復を示す分布域全体の証拠は確認されていない。近年は、高水温による成長・光合成の低下、種子生産の少なさ、実生加入の乏しさが実験と野外調査によって具体的に示された。2014年の危機が解消されたというより、温暖化による新たな圧力と低い回復力が、より明確になった状態といえる。 |
現状まとめ:出典
スゲアマモは、2026年現在もIUCNレッドリストで危急(VU)、個体群動向は減少とされている。ただし、世界評価は2008年以降更新されておらず、カテゴリーが変わっていないことは状態の安定を意味しない。日本では2025年の環境省第5次レッドリストで準絶滅危惧(NT)だが、一部地域ではより深刻な危険度に評価されている。近年の研究では、25~30℃の高水温による成長や光合成の低下に加え、開花と種子生産が少なく、実生による新しい株もほとんど確認されていない。水質汚染、沿岸開発、漁業による海底攪乱が残るなか、海水温上昇や海洋熱波、豪雨による濁りが重なれば、一度失われた群落が回復できない危険はさらに高まる。
⬇︎スゲアマモの保護活動の種類です。必要なら開いてください。
| 保全活動の種類 | 具体的な内容 | 実施状況・留意点 |
|---|---|---|
| 絶滅危惧評価と保全優先順位の設定 | 国際・国内・地域レベルのレッドリスト評価を用い、生育地の保全、環境影響評価、調査予算の配分における優先種とする。 | IUCNレッドリストではVU、日本の環境省レッドリスト第5次ではNTに評価されている。日本では生育環境の悪化が主な評価理由とされる一方、種そのものを対象とした法令指定は確認されていない。 |
| レッドリスト評価の更新 | 分布域、群落面積、個体群動向、世代時間、消失地点を再調査し、古い評価を更新する。 | IUCNの評価は2010年に公表されたものであり、近年の海水温上昇、沿岸開発、局地的な群落消失を反映した再評価が重要である。 |
| 保護区への生育地の組み込み | 現存する群落を海洋保護区、国立公園の海域公園地区、ラムサール条約湿地などに組み込み、埋立て、浚渫、海底改変、採取を管理する。 | 宮城県の志津川湾はラムサール条約湿地で、スゲアマモを含む4種の海草が確認されている。区域の一部は三陸復興国立公園の海域公園地区に指定されている。 |
| 重要生育地の特定 | 大規模群落、分布南限・北限、遺伝的に独立した群落、自然度の高い群落を重要生育地として地図化する。 | 環境省の「生物多様性の観点から重要度の高い湿地」では、北海道の能取湖、岩手県の山田湾・大槌湾、宮城県の志津川湾などが生育地として挙げられている。 |
| 重要湿地情報の規制への反映 | 重要湿地や重要海域の情報を、港湾計画、漁港整備、海岸保全施設、養殖場配置、洋上施設、環境影響評価に反映する。 | 重要湿地への選定だけで開発が直接禁止されるとは限らないため、自治体の保全計画や許認可制度への組み込みが必要である。 |
| 埋立て・港湾開発の回避 | 群落の存在する浅海域では、埋立て、防波堤、航路、岸壁、海底掘削の位置を変更し、直接消失を回避する。 | スゲアマモは横方向に広く伸びる匍匐根茎を持たず、独立した株状の群落を形成する。群落全体が失われた場合、周辺からの急速な栄養繁殖による回復は期待しにくい。 |
| 環境影響評価の強化 | 工事前に潜水調査、水中映像、底質採取を行い、群落範囲、被度、株密度、季節変化を把握する。複数事業による累積影響も評価する。 | 一時期だけの船上観察では小規模群落を見落とす可能性がある。開花期を含む複数季節の調査と、専門家による種同定が必要である。 |
| 浚渫・土砂投入の規制 | 群落内および隣接海域での浚渫、覆砂、残土投入、海底土採取を回避または制限する。 | 海底地形の変化、植物体の埋没、根茎の損傷、濁度上昇が同時に発生するため、工事区域外への影響も評価する。 |
| 工事濁水・土砂流出の抑制 | 汚濁防止膜、沈砂池、段階施工、濁度監視を導入し、光量低下と葉への土砂堆積を抑える。 | スゲアマモは光合成を海中光に依存するため、長期間の濁りは生育水深を浅くし、被度や生産量を低下させる。監視値が基準を超えた場合の工事停止手順も設定する。 |
| 流況・波浪環境の維持 | 防波堤や岸壁による潮流、波浪、海水交換の変化を予測し、生育地の侵食、堆積、停滞を防ぐ。 | 比較的静穏な湾内に生育する一方、極端な泥の堆積や海底侵食には弱い。工事後も底面高と粒度を継続的に測定する。 |
| 水質改善 | 下水処理の高度化、生活排水対策、養殖排水管理、農地・市街地からの窒素、リン、懸濁物質の流入削減を進める。 | 富栄養化は植物プランクトンや付着藻類を増加させ、葉に届く光を減らす。貧酸素化や有機物の海底蓄積も根部環境を悪化させる。 |
| 流域一体型の管理 | 河川、農地、森林、都市排水から沿岸までを一体として管理し、豪雨時の濁水、栄養塩、流木、汚染物質の流入を減らす。 | 群落内だけを保護しても、流域からの負荷が継続すれば水質と底質は改善しない。自治体、河川管理者、農業者、沿岸利用者の連携が必要である。 |
| 船舶投錨の管理 | 群落上での投錨を禁止または制限し、係留ブイや指定航路を整備する。 | 錨、係留索、プロペラは株と地下部を直接損傷する。群落境界を海図、ブイ、港湾案内に表示することが有効である。 |
| 海底を攪乱する漁業の管理 | 底びき漁、貝類漁具、海底を曳く漁具の使用区域・時期を調整し、重要群落を非攪乱区域とする。 | 小規模で孤立した群落では、一度の海底攪乱でも大きな割合が失われる可能性がある。漁業者と群落分布図を共有する必要がある。 |
| 養殖施設の適正配置 | カキ・魚類・海藻養殖施設を群落の直上や潮上側に集中させず、遮光、沈降有機物、係留具による損傷を避ける。 | 養殖を一律に排除するのではなく、群落との距離、水深、流れ、底質への有機物蓄積を測定して配置を調整する。 |
| 全国的な藻場モニタリング | 定点で出現種、被度、分布範囲を毎年調査し、数年ごとに株数、現存量、底質、生物相を詳しく調べる。 | 環境省のモニタリングサイト1000藻場調査では、全国の代表的な藻場で継続調査が行われている。スゲアマモの主要産地にも同様の長期定点を増やす必要がある。 |
| 種別の群落地図作成 | 潜水観察、水中カメラ、ROV、音響調査などを組み合わせ、スゲアマモと他のアマモ類を区別した分布図を作る。 | 衛星画像やドローンだけでは、水深、濁り、混生群落の影響により種を判別できない場合があるため、現地確認を併用する。 |
| 個体群動態の監視 | 株密度、株当たりの葉数、草丈、被度、現存量、開花株率、果実・種子数、実生加入、株の消失率を記録する。 | 韓国での研究では、株密度が維持されても新しい株の加入がほとんど見られず、開花率と潜在的な種子生産量も低い群落が報告されている。被度だけでなく繁殖状況の監視が重要である。 |
| 生育環境の同時観測 | 水温、海中光量、濁度、クロロフィル、塩分、溶存酸素、栄養塩、底質粒度、底面高を植物調査と同時に測定する。 | 群落減少と環境変化を対応させることで、温暖化、水質悪化、埋没、侵食などの原因を判別しやすくなる。 |
| 災害後の緊急調査 | 津波、台風、高潮、豪雨、土砂災害の後に群落面積と株の残存状況を調べ、漂着物や堆積土を確認する。 | 東日本大震災後には三陸沿岸で藻場の分布変化が調査されている。災害前の地図と定点データを保存しておくことが回復評価の基礎となる。 |
| 海洋熱波への対応 | 連続水温計を設置し、高水温の継続時間、葉の枯死、株密度の変化を監視する。異常時には追加の現地調査を実施する。 | 韓国南岸の群落を対象とした研究では、約22.5℃付近で成長が最も高く、それ以上の高水温で成長が強く抑制された。この温度は地域・個体群で異なる可能性があるため、各生育地で検証する。 |
| 気候変動避難地の保全 | 夏季水温が比較的低い湾、冷水の影響を受ける海域、北方の群落などを将来の避難地候補として優先保全する。 | 深場は低温でも光量が不足する場合がある。水温だけでなく、光、底質、波浪、海水交換を組み合わせて候補地を選定する。 |
| 温室効果ガスの削減 | 地域の藻場保全と並行して、温室効果ガス排出量の削減を進め、長期的な海水温上昇と海洋熱波の強化を抑える。 | 現地対策だけでは広域的な水温上昇を防げないため、気候変動緩和策と生育地管理の両方が必要である。 |
| 自然回復の優先 | 残存株があり、濁りや海底攪乱などの原因を除去できる場所では、まず自然回復を促す。 | 移植は供給元の群落を損傷する可能性がある。保護、負荷削減、工事回避による現存群落の維持を復元より優先する。 |
| 株の移植による復元 | 消失原因を解消したうえで、近隣の健全な群落から少数の株を採取し、固定具を用いて安定した海底へ植え付ける。 | 韓国では2005年に裸地へ株をステープルで固定した実験が行われ、移植株は初期損失なく生残し、約5か月で移植地へ適応し、その後2年間に密度が増加した。小規模実験の成果であり、大規模復元では別途検証が必要である。 |
| 移植前の試験施工 | 水深、海中光量、水温、底質、波浪、流れ、水質、過去の分布を確認し、小面積の試験区と非移植の対照区を設ける。 | 初期生残だけで事業を拡大せず、少なくとも複数年にわたり株の増加、開花、自然加入、群落の安定性を評価する。 |
| 移植元群落の保護 | 同じ群落から大量採取せず、採取率の上限を設け、採取跡を長期監視する。 | 株状に成長し、自然加入が少ない群落では、供給元の回復にも時間がかかる。採取による純減が復元効果を上回らないよう管理する。 |
| 遺伝的多様性への配慮 | 地理的に近い複数の株から移植材料を採取し、地域固有の遺伝構成を維持する。遠隔地からの安易な導入を避ける。 | 外見上は多数の株でも遺伝的に同一または近縁である可能性がある。復元前後に遺伝解析を行い、遺伝的多様性と地域適応を損なわないようにする。 |
| 種子繁殖技術の研究 | 開花・結実時期、種子成熟、休眠、発芽条件、実生定着条件を解明し、種子採取、保存、播種技術を開発する。 | 開花率と種子生産が低い群落では、自然群落からの大量採種は負担となる。採種量を制限し、母株の栽培による種子生産も検討する。 |
| 生息域外保存 | 地域別の株を研究施設や水族館で系統保存し、種子・組織の低温保存技術を研究する。 | スゲアマモについて確立した大規模保存体系は限られる。生育水温、光周期、底質、栄養条件を再現し、由来情報を記録する必要がある。 |
| 復元の成功基準設定 | 生残率だけでなく、群落面積の拡大、株密度、開花・結実、自然加入、遺伝的多様性、底生生物の利用などを評価する。 | 短期的に葉が残っていても、繁殖せず縮小する場合がある。復元後の維持管理費と長期モニタリングを事業計画に含める。 |
| 生活史・耐性研究 | 光要求量、高水温耐性、低塩分耐性、埋没耐性、成長速度、寿命、開花誘導条件を地域別に調査する。 | 気候や海況が異なる地域の結果を一律に適用せず、日本海、太平洋、北海道、三陸などの個体群ごとに比較する。 |
| 日中韓露の情報共有 | 日本、朝鮮半島、中国東北部、ロシア極東など北西太平洋沿岸の調査手法、分布、遺伝情報、減少要因を共有する。 | 分布域全体の個体群動向を把握し、調査空白域や孤立個体群を明らかにすることが、国際的な再評価と保護区配置に役立つ。 |
| 地域共同管理 | 漁業者、養殖業者、港湾管理者、ダイバー、研究者、自治体が群落位置と利用ルールを共有する。 | 投錨、漁具、養殖施設、工事日程など、現場で調整可能な圧力を地域合意によって減らす。群落位置の公開が採取を招く場合は情報管理にも配慮する。 |
| 普及啓発と市民調査 | 海草が海藻とは異なる種子植物であること、稚魚の生息場、底質安定、水質改善、炭素貯留に寄与することを伝える。 | 市民調査は分布変化の早期発見に有効だが、アマモ属の種同定は難しいため、写真、標本、専門家確認を組み合わせる。 |
| ブルーカーボン施策との連携 | 藻場の炭素貯留機能を評価し、保全・監視・水質改善の財源確保につなげる。 | 炭素量だけを成果指標とせず、スゲアマモの存続、遺伝的多様性、生物多様性、地域の生態系機能を併せて評価する。 |
| 油流出・汚染事故への対応 | 港湾や航路に近い群落について、油、有害化学物質、大量の濁水流入を想定した緊急対応計画を作成する。 | 事故直後の拡散防止、基準地点との比較調査、底質汚染の確認、回復状況の長期追跡を含める。 |
保全活動の種類:出典
- 環境省いきものログ「スゲアマモ—環境省レッドリストカテゴリー・法令指定状況」
https://ikilog.biodic.go.jp/rl_rdb/d/73.html - 環境省「日本のラムサール条約湿地—志津川湾」
https://www.env.go.jp/nature/ramsar/conv/RamsarSites_in_Japan.html - 環境省生物多様性センター「モニタリングサイト1000—藻場調査」
https://www.biodic.go.jp/moni1000/coast4.html - 韓国学術誌KCI「移植したスゲアマモの形態・生産性の変化」
https://www.kci.go.kr/kciportal/landing/article.kci?arti_id=ART001646358 - Journal of Marine Science and Engineering「韓国南岸におけるスゲアマモの個体群動態・繁殖・高水温応答」
https://doi.org/10.3390/jmse12101738
スゲアマモはなぜ減少している?海水温上昇と繁殖の危機
Questioner: You know, when I was reading up on the smooth cauliflower coral (Stylophora pistillata) recently, I came across this:
“According to the Japan Meteorological Agency, the average sea surface temperature around Japan has been rising at a rate of 1.36°C per century (as of 2025). That’s more than double the global average of 0.63°C per century.
This figure is an average across 13 sea areas around Japan, so it’s not just the Sea of Japan. However, in the central Sea of Japan, water temperatures are rising even faster than the national average air temperature increase.”
So I learned all that, and it really seems like the central Sea of Japan is heating up way above the average. And recent studies point out things like, “High water temperatures of 25 to 30°C reduce growth and photosynthesis, flowering and seed production are low, and hardly any new shoots from seeds have been found.” With all that going on… is clumped eelgrass actually going to be okay?
Me: Honestly, it doesn’t look like it’s going to be okay. I’ll dig a little deeper into exactly what’s happening there.
質問者:最近調べたショウガサンゴ(Stylophora pistillata)のとき……。
気象庁によると、2025年までの日本近海における年平均海面水温の上昇率は、100年当たり1.36℃です。世界全体の平均上昇率である100年当たり0.63℃の2倍を超えています。
この数値は日本近海13海域を平均したもので、日本海だけの上昇率ではありません。一方、日本海中部では、日本の年平均気温の上昇率を上回る水温上昇が観測されています。
って知ったんだけど、日本海中部だと平均を上回って上昇中みたいだよね。最近の研究だと、「25~30℃の高水温による成長や光合成の低下に加え、開花と種子生産が少なく、実生による新しい株もほとんど確認されていない」ってあるじゃないですか。スゲアマモさんは大丈夫なのかな。
私:大丈夫ではなさそうですね。そのあたり詳しく調べてみます。
温まる海、現れない次世代――スゲアマモに迫る静かな危機
日本海中部では、海面水温が100年あたり約2.05℃という速さで上昇しています。一方、韓国南岸のスゲアマモ群落では、種子から育った新しい株が調査期間中に一つも確認されませんでした。いま残る株が生きていても、次の世代へ命を渡す道は険しくなっています。絶滅は、最後の一本が枯れる前から始まっているのかもしれません。
1. 日本海中部の「特異な」水温上昇
気象庁の2025年までのデータによると、日本近海の年平均海面水温は、100年あたり+1.36℃の割合で上昇しています。そのなかでも、新潟県沖を含む「日本海中部」の上昇率は、年平均で+2.05℃。日本近海の平均を大きく上回り、日本全国の年平均気温の上昇率さえ超える、突出して温暖化が進む海域です。
季節別では、冬季が+2.64℃、春季が+1.97℃、夏季が+1.29℃、秋季が+2.30℃となっています。特に冬の上昇が著しく、かつて低水温に戻っていた季節そのものが、急速に温められています。夏季の上昇率は冬季より小さいものの、長期的な昇温傾向は明確です。そこへ一時的な猛暑や海洋熱波が重なれば、浅い沿岸域で暮らすスゲアマモが受ける熱ストレスは、これまで以上に強くなる可能性があります。
2. 「実生(みしょう)」による更新が見えない
2024年に発表された研究では、韓国南岸にあるスゲアマモ群落の株動態と繁殖生態が詳しく調査されました。その結果、次の世代へ命をつなぐ力が、きわめて弱いことが浮かび上がっています。
最適な水温と高温期の衰退
スゲアマモは冷水に適応した海草で、調査地における成長の最適水温は、初夏の約22.5℃と推定されました。しかし、それを超えて水温が上がる高水温期には、成長が著しく抑えられました。別の温度実験でも、10〜20℃では良好な成長が確認された一方、25〜35℃では成長、光合成、栄養塩吸収などが大きく低下し、一部では生育の悪化や枯死が確認されています。
開花と種子生産の少なさ
韓国南岸で行われた季節調査では、生殖枝は春の約13℃から初夏の約21℃にかけて確認され、成熟した果実や種子の放出は5〜6月に観察されています。しかし、2024年の調査群落では、花をつける株の割合が低く、花序数も少なかったため、潜在的な種子生産量はきわめて少ない状態でした。
高水温のために植物体が有性生殖を放棄し、生存だけにエネルギーを振り向けたとまでは実証されていません。それでも、高水温が成長を強く抑えることと、もともとの有性生殖が乏しいことが重なれば、次世代を残す余力がさらに削られる危険があります。
実生由来の新株「ゼロ」という観察結果
調査期間を通じて、種子から発芽し、新しい株として定着した実生由来の新株は一つも確認されませんでした。これはスゲアマモの全分布域で実生更新が完全に止まったことを示すものではありません。しかし、少なくとも詳しく調べられた一つの群落では、既存株が生き残っている一方で、種子から始まる新しい世代の姿が見えなかったのです。
3. クローン成長への依存という時限爆弾
現在、調査されたスゲアマモ群落が個体数を維持できているのは、主として既存の株が株内で新しい栄養枝をつくる「クローン成長」に支えられているためです。スゲアマモは地下茎の節間が極端に短く、一般的なアマモのように長い地下茎を広範囲へ伸ばすのではなく、密集した株状のまとまりを形成します。
有性生殖が少なければ、新しい遺伝的組み合わせが生まれる機会も少なくなります。既存の遺伝的多様性が直ちに失われたり、群落全体が一つのクローンになったりするわけではありません。しかし、将来の環境変化に耐えられる性質が新たに生まれ、群落内へ広がる可能性は細くなります。
温度実験では、25〜35℃の条件で成長や光合成機能が大きく低下し、生育の悪化や枯死も確認されています。日本海中部で夏季の極端な高水温が長期化すれば、クローン成長に支えられた群落が一斉に衰退する危険は現実味を増します。ただし、一度の高水温ですべての群落が必ず全滅するとは限らず、水深、流れ、光、底質、個体群ごとの耐熱性によって被害は異なります。
また、実生由来の新株が確認されなかったことは、海底にシードバンクがまったく存在しないことを意味しません。調査では、海底に残る種子の量や生存能力そのものまでは確認されていません。それでも、開花率と種子生産量が低ければ、将来のシードバンクへ補充される種子も限られます。群落が夏枯れや海底攪乱によって失われたとき、周囲から種子が運ばれなければ、自然再生には長い時間がかかるか、再生そのものが起こらない可能性があります。
スゲアマモは、いま生えている株が残っているから安定しているのではありません。目に見える群落の下で、次の世代へ命を渡す道が細くなり、失われたあとに戻る力が弱まっている。その静かな変化こそが、この海草の抱える深刻な危機です。
出典
Questioner: The way I picture it, the air temperature is climbing over here on the Pacific side where I live, while the ocean temperatures are shooting up on your side by the Sea of Japan. But why exactly are the waters in the Sea of Japan heating up so incredibly fast?
Me: Actually, it’s not just the Sea of Japan—the oceans are warming all around Japan. But the central part of the Sea of Japan, right off the coast of Niigata here, is warming at a pace that really stands out. Not only are the oceans themselves absorbing more heat from global warming, but the Tsushima Warm Current is also pulling in warm water branching off from the Kuroshio current. On top of that, the Sea of Japan is smaller than the open ocean, which makes it much more sensitive and quicker to show the impacts of climate change.
What’s worse, in the central Sea of Japan, it’s not just the summer waters getting hotter—winter temperatures are rising fast, too. The water just doesn’t get a chance to cool down enough during the winter cold like it used to. It carries that leftover heat right into spring. Year after year, this means the cold season that clumped eelgrass needs to thrive is slowly but surely disappearing.
Questioner: Plants can multiply through cuttings, sure, but since clumped eelgrass relies so heavily on clonal growth… if the water gets much hotter, they might just hit their breaking point. I know this might sound a bit out there, but when you think about the thermal discharge—the warm water pumped out by coastal facilities—it kind of makes you wonder if we really should keep running nuclear power plants on the Sea of Japan side, like the ones in Kashiwazaki and Fukui.
Me: To be fair, thermal discharge from nuclear plants isn’t what’s causing the abnormally high temperatures across the entire Sea of Japan. But, because that water artificially heats up the local area right around the discharge outlets, there are very real concerns about how it impacts coastal ecosystems—including seagrasses and seaweeds. That’s why it’s something that requires strict monitoring and environmental impact assessments.
Questioner: So, even if it’s not heating up the whole ocean, it could still be throwing one more heavy burden onto the clumped eelgrass when it’s already struggling just to survive.
Thank you so much for taking the time to read this.
I truly hope these thoughts find their way to the clumped eelgrass.
鶏人|Keijin
質問者:僕が暮らしている太平洋側は外気温が上がっていて、君の暮らしている日本海側は海水温が上がっている、というイメージなんだけど、どうして日本海側の海水温は、こんなに速く上がっているのかね。
私:海水温が上がっているのは日本海側だけではなく、日本近海全体です。ただ、新潟県沖を含む日本海中部は、そのなかでも上昇の速さが突出しています。地球温暖化によって海そのものが熱を蓄えているうえに、日本海には黒潮を起源とする暖かい海水が、対馬暖流によって運び込まれています。日本海は大洋よりも小さく、温暖化による変化が早く現れやすい海でもあります。
さらに、日本海中部では夏だけでなく、冬の海面水温も急速に上昇しています。かつてのように冬の寒さで十分に低い水温へ戻れず、高い水温を残したまま春を迎える。その積み重ねによって、スゲアマモが安心して生きられる冷たい季節そのものが、少しずつ短くなっているのだと思います。
質問者:植物は挿し木でも増えるけど、クローン成長に支えられているスゲアマモさんも、さすがにこれ以上海水温が上がったら生きていくのが難しくなるのかもしれないね。変なことを言うようだけど、温排水のことを考えると、柏崎や福井のように日本海側にある原発を、これ以上動かすのはよくないような気もするな。
私:原発の温排水が、日本海全体の異常な高水温を引き起こしているわけではありません。けれど、温排水は放水口周辺の水温を局所的に上げるため、海草や海藻を含む沿岸生態系への影響が懸念され、監視や環境影響評価の対象になっています。
質問者:日本海全体を温めている原因ではなくても、すでに苦しくなっているスゲアマモさんに、もう一つ負担を加える可能性はあるってことだね。
貴重な時間を、ありがとうございました。
スゲアマモに、その想いが届くことを祈ります。
鶏人|Keijin
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