11年後のレッドリスト|アルグンヤシ:枯れゆく風の中で、未来を芽吹かせた【IUCNレッドリスト比較】

アルグンヤシ 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
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こんにちは、fukumomo3_photo です。

アルグンヤシ(Medemia argun)は、

2014年、図鑑に【CR:深刻な危機】と記載されていました。

2020年、IUCNレッドリストで【VU:危急】と評価されました。

つまり、2014年から2020年にかけて、

アルグンヤシは「枯れゆく風の中で、未来を芽吹かせた」状態になりました。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるアルグンヤシの最新評価は2020年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでくれると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/30401/2793256

砂漠で生き延びたヤシの生存戦略

⬇︎アルグンヤシの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|アルグンヤシ(Medemia argun)
項目情報
和名アルグンヤシ
英名Argun Palm / Nubian Desert Palm
学名Medemia argun
分類植物界・被子植物・ヤシ科(Arecaceae)
分布エジプト南部およびスーダン北部、ナイル以西のヌビア砂漠内のワジやオアシスに断片的に分布
高さ最大約10–16 m、幹径約0.9–1.1 m
保存状況IUCN「脆弱(Vulnerable)」、ごく限られた個体群のみ現存

特徴

  • 木構造と葉:単幹性で不分枝。青緑色のコスタパルメート(扇形)の葉を持ち、落葉後もその葉基が残り「スカート」状になる。
  • 葉柄の特徴:鮮黄色の葉柄で、若い個体には黒褐色の湾曲した刺が見られるが、成長すると減少する。
  • 雌雄異株:雄株と雌株があり、雌株は紫黒色で光沢のあるドリュープ(実)をつけ、果肉は薄いが大きな種子を含む。
  • 環境適応:乾燥が極度に厳しいヌビア砂漠で、地下水に届く、深い根を発達させることで耐乾性を確保。

生態と行動

  • 生息地:主にワジ(乾河床)やオアシスにのみ見られ、地中の水を頼りに成長する極度に限られた生息環境。
  • 歴史的背景:古代エジプトでは、アルグンヤシの乾燥果実が墓の副葬品として発見されるなど、古くから知られた存在。
  • 個体数と遺伝多様性:2000年代中頃の推定では、スーダンに約7,400本、エジプトのDungulオアシスには30数本のみ確認された。また、遺伝的多様性は低く、世代間で差異が見られることから保全対策が急務とされている。

2014年絶滅危惧種:アルグンヤシ【CR:深刻な危機】

⬇︎IUCNレッドリストのカテゴリ一覧です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

カテゴリ略称カテゴリ名説明
EX絶滅絶滅したと考えられる種
EW野生絶滅飼育下などで生存している種
CR深刻な危機極度に絶滅の危機にさらされている種
EN危機非常に絶滅の危機にさらされている種
VU危急高い絶滅の危機にさらされている種
NT準絶滅危惧近い将来絶滅の危機にさらされている種
LC低懸念絶滅危惧(CR・EN・VU・NT)の条件を満たしていない種
DDデータ不足十分な情報がないため評価できない種
NE未評価未評価の種

1995年に再発見されるまで長い間、野生絶滅と見なされていた。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

アルグンヤシの物語を考えてみたので、読んでください。

気候変動が激しくなり始めた1990年ごろ、

王子と姫は、自らの子孫を守るため身を隠した。

広い砂漠でも比較的緩やかな気候の場所を選び生活を始める。

気候変動は年々激しくなったが、次第に環境に適応した王子と姫。

やがて、子供を授かり数百年後には小さなコロニーを構築した。

そして、千年の時が流れ小さなコロニーは、大きな国になった。

ところが、ある時竜巻が起こり子孫が飛ばされ砂漠に散らばった。

過酷な気候に偶然にも適応した子孫たちは、今、芽を出そうか悩んでいるところだ。

⬇︎アルグンヤシの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
生息地の保護エジプト南部・スーダン北部のナイル川流域や砂漠オアシスを保全し、農地化や過放牧による生育地破壊を防止
水資源管理井戸掘削や灌漑による地下水枯渇を防ぐため、水利用の規制や持続可能な管理を実施
国際的な取引規制ワシントン条約(CITES)附属書Ⅰにより、国際取引を原則禁止
保護区の設定主な自生地を自然保護区や重要植物地域(IPA)として指定
種子保存・苗木育成種子バンクや植物園での苗木育成による個体群の増殖と再導入
市民・地域参加地元住民と協働し、持続可能な利用(観光・伝統的利用)と保護活動を両立
研究とモニタリング個体数・分布・生育環境の調査、気候変動や土地利用変化の影響評価

主な取り組み

  • 生息地保全:ナイル川流域やオアシスの開発を規制
  • 水資源管理:地下水の枯渇防止と持続的利用
  • 国際保護条約:CITES附属書Ⅰで国際取引を禁止
  • 保護区指定:自生地を自然保護区や重要植物地域に登録
  • 種子・苗木保存:植物園や種子バンクでの保存と増殖
  • 地域協働:住民と協力した持続可能な利用と保全
  • 生態調査:分布や環境条件を長期モニタリング

最後に

これを読んで、どのように感じましたか?

「小説ですか?」

と、笑いますか?

「今の気候は暑すぎるよね…」

と、ヤシの種の気持ちになってみますか?

感じ方は、いろいろあると思います。

少し前に読んだ「種の起源」に書いてあった一説、

「強い物が生き残るのではなく、その環境に適応したものが偶然に生き残る」

もっと難しい仕組みも書いてあったけど、この一説がいつも頭に残っている。

でも、今の社会では、なぜか「種の起源」が勘違いされ

「弱いものは自然淘汰され、強いものが生き残る」と言われることが多い。

そこに、「偶然」の言葉はなくなり「強い」ものが「弱い」ものを淘汰するとなる。

どれだけ権力や財力があっても、環境に適応できなくては生き残れない。

でも、貧困や労働者階級でも、環境に適応していれば偶然が味方して種を残す。

ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

「ダーウィンの呪いですね?」などのコメントも大歓迎です。

コメントから意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な命である5分間を本当にありがとうございました。

アルグンヤシに、あなたの5分が届くことを祈ります。

fukumomo3_photo


インスタでは、アルグンヤシたちの姿を“図鑑みたいに”並べて見られます。
ビジュアルで伝える命の物語、よかったらのぞいてみてください。

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