11年後のレッドリスト|シロオリックス:滅びの名を脱ぎ、再び大地を踏みしめた【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|シロオリックス:滅びの名を脱ぎ、再び大地を踏みしめた【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

シロオリックス(Oryx dammah)は、

2014年、図鑑に【EW:野生絶滅】として分類されていました。

2023年、IUCNレッドリストで、【EN:危機】と評価されました。

つまり、2014年から2023年にかけて、シロオリックスは

「滅びの名を脱ぎ、再び大地を踏みしめた」状態になりました。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるシロオリックスの最新評価は2023年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/15568/197393805

野生に帰った命と、気候変動に挑む未来へ

⬇︎シロオリックスの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|シロオリックス(Scimitar-horned Oryx)
項目情報
和名シロオリックス(白大羚)
英名Scimitar-horned Oryx
学名Oryx dammah
分類哺乳類・ウシ目(偶蹄目)・ウシ科・オリックス属
分布サハラ砂漠周辺(かつてはチャド、ニジェール、スーダン、モーリタニアなど)
主な生息地乾燥した砂漠・サバンナ地帯
体長約160〜200cm
体重約140〜210kg
寿命約20年(飼育下では25年以上)
IUCN評価【EN:危機】(Version 2023-1)

特徴

  • 外見:白い体に赤褐色の首と顔の模様があり、長く湾曲した角を持つ。角は最大1.2mに達し、雄雌ともに生える。
  • 名前の由来:「Scimitar(シミター)」とは湾曲した剣の意で、角の形がそれに似ていることから。
  • 体の適応:砂漠の高温に強く、体温を上げて発汗を抑える能力を持つ。
  • 水の節約:長期間水を飲まずに生きることができ、体内で水分を効率的に再利用する。
  • 視覚と聴覚:非常に鋭く、遠くの捕食者を早期に察知することができる。

生態と行動

  • 生活様式:群れで生活し、かつては数十〜数百頭の群れを形成してサハラを移動していた。
  • 食性:草食性で、乾燥地に生える草や低木の葉、根、果実などを食べる。
  • 繁殖:妊娠期間は約8〜9か月。1頭の子を産み、母親が数週間付き添って育てる。
  • 行動範囲:乾季と雨季に応じて広範囲を移動。生息地が限られる現代では放牧地が競合。
  • 天敵:ライオンやハイエナなどの肉食動物。ただし現在は人間活動が最大の脅威。
  • 保全活動:20世紀末までに野生個体は絶滅したが、再導入プロジェクトによりチャドでの放獣が進行中。
  • 希望の兆し:人工繁殖された個体が再び自然に戻り、「野生での再生」が現実となった。

2014年絶滅危惧種:シロオリックス【EW:野生絶滅】

かつてはアフリカ大陸北部周辺のサハラ砂漠一帯と大西洋から紅海に抜けるサヘル地帯に生息していたが、1999年に野生の個体群は消滅したと信じられている。この種が数を減らしたもともとの原因は、サハラ砂漠の拡大を引き起こした大規模気候変動と考えられている。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

時期・段階内容補足・背景
〜2000年頃野生での絶滅気候変動による砂漠化、生息地の消失、そして乱獲(密猟)が主な原因。2000年までに野生の個体群は完全に姿を消す。
2000年以前〜継続飼育下での保護(世界群の維持)世界中の動物園や、アブダビ環境庁(EAD)が中心となって個体を繁殖・管理。遺伝的多様性を保った「世界群(World Herd)」として維持される。
2016年再導入プロジェクト開始アブダビ環境庁、チャド政府、サハラ保全基金(SCF)などが協力し、ワディ・リメ-ワディ・アキム動物保護区(チャド共和国)で再導入開始。飼育下個体を空輸して野生へ放つ。
2016年以降野生下での繁殖確認放たれた個体が現地で生存し、野生繁殖が確認される。複数回にわたる再導入で個体群が拡大。
2023年IUCN評価変更【EW → EN】野生個体が600頭以上に達したと報告され、IUCNレッドリストで「危機(EN)」へと再評価。かつて「野生絶滅」とされた種が、21世紀に再び「野生を取り戻す」象徴的な成功例となる。

シロオリックスが「野生絶滅」から「危機」へとステータスを変更できたのは、気候変動を自然に乗り越えたからではなく、人間が一度は絶滅させた種を、国際的な協力と数十年にわたる飼育下での繁殖、そして大規模な再導入によって、再び野生の地に戻すことに成功したからである。

⬇︎シロオリックスの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
再導入プログラム野生絶滅(EW)からの回復を目的に、チュニジア・チャド・ニジェールなどで飼育下繁殖個体を再導入。野生群が再び繁殖を開始。
保護区の設定オアシス周辺やサハラ縁辺部に「Oued Rimé–Oued Achim Reserve(チャド)」などの広大な保護区を設置。砂漠環境に適応した個体の管理を実施。
飼育下繁殖欧州動物園・保護センターによる血統管理下での繁殖(EEPプログラム)。遺伝的多様性を保ちながら個体群を維持。
国際的な取引規制ワシントン条約(CITES)附属書Ⅰに掲載され、国際取引は原則禁止。密猟防止と法的保護を強化。
地域社会との協働牧畜民・地域住民と連携し、放牧圧・資源利用の調整を通じて共存を目指す。保全活動による雇用創出も推進。
研究とモニタリング再導入個体にGPS首輪を装着し、移動ルートや繁殖成功率、捕食リスクを追跡。生息地管理に活用。
教育と啓発活動現地学校や地域でのワークショップ・教育資料配布により、オリックス保護への理解を促進。

主な取り組み

  • 再導入事業:チャドやチュニジアの砂漠地帯で野生群を再確立
  • 保護区整備:Oued Rimé–Oued Achim Reserveなど広域保全区を設定
  • 飼育繁殖:動物園・研究機関が遺伝的多様性を維持しつつ繁殖を管理
  • 国際取引規制:CITES附属書Ⅰにより密輸・取引を禁止
  • 地域協働:牧畜民と連携し、持続可能な土地利用と共存を推進
  • モニタリング:GPS追跡で再導入個体の行動や繁殖状況を把握
  • 教育啓発:地域住民・学生向けに野生復帰の意義を伝える活動を実施

最後に

「この種の保護活動がうまくいっているのは本当に嬉しいことですよね。
でも、これから先、気候変動がもっと進んだら、この子たちは生き残っていけるのかな……?」

そんなふうに思う人も多いと思います。

わたしも気になったので、少し調べてみました。


見出し内容補足・ポイント
1. シロオリックス自身の驚異的な適応力乾燥地への高い適応能力をもつ。サハラ砂漠やサヘル地帯などの過酷な環境で生き延びるために、特有の生理的仕組みを備える。水分摂取の最小化:水を直接飲まなくても、夜露や水分の多い植物(例:野生メロン Citrullus 属)から必要な水分を得る。
体温調節の工夫:日中は体温を46.5°Cまで上昇させ、水分の蒸発を抑える。夜間は36°C以下に下げ、翌日の熱蓄積を緩和。
脳の冷却システム:「ワンダーネット」と呼ばれる血管網により、鼻腔で冷やされた血液で脳温を下げる。
2. 気候変動の「現実的な脅威」再導入された地域(チャドのワディ・リメ=ワディ・アキム保護区)は、気候変動の影響を最も受けやすいサヘル地帯に位置している。地域の不安定化:サヘル地帯では気温・降雨パターンが不安定化。
極端な天候の増加:「干ばつ」と「豪雨(洪水)」がともに頻発・激化する傾向。
食料への影響:乾燥に強いとはいえ、植物が育たなければ生きられない。干ばつは食料源を減少させる。
3. プロジェクトによる「気候変動対策」IUCN、アブダビ環境庁(EAD)、サハラ保全基金(SCF)などが、気候変動を見据えた管理を実施。衛星追跡による監視:GPS首輪で個体の移動を追跡し、干ばつ時の行動や重要エリアを把握。
水資源の確保:再導入基地には約50万リットルの貯水設備を設置。緊急時には動物への水供給にも利用。
広大な保護区設計:面積78,000㎢(九州の約2倍)により、干ばつ地域が出ても別の地域への移動が可能。バッファー効果を生む。

個体数は増えたが、シロオリックスの未来は、決して楽観視できない。

WWF(世界自然保護基金)も、2023年のレッドリスト更新の際に「今後、生息地域をさらなる気候変動が襲った場合、再び深刻な打撃を受けるおそれがある」と警告している。
出典:2023年版レッドリスト発表 絶滅危惧種におよぶ気候変動の脅威が明確に


「やっぱり、いちばん大事なのは、気候変動そのものをこれ以上悪化させないことですよね」

ほんとうにその通りだと思います。

今の状況は、世界中の人たちが次々とマッチに火をつけているのを、ほんの一握りの保護活動家の方たちが、小さなポンプで一生懸命消しているようなものです。

これでは、いつか手が追いつかなくなってしまうかもしれません。

だからこそ、その火を消そうと頑張っている人たちのためにも、私たち一人ひとりが「マッチに火をつける回数を減らす」そんな意識と行動が必要なんだと感じます。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

シロオリックスに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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