11年後のレッドリスト|スゲアマモ:眠るように、変わらぬ海を見つめていた【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|スゲアマモ:眠るように、変わらぬ海を見つめていた【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

スゲアマモ(Zostera caespitosa)は、

2014年、図鑑に【VU:危急】として分類されていました。

2010年、IUCNレッドリストで、【VU:危急】と評価されました。

つまり、2010年から、スゲアマモは

「眠るように、変わらぬ海を見つめていた」状態なのです。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるスゲアマモの最新評価は2010年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/173357/6998463

光を奪う汚染の連鎖|私たちの暮らしとスゲアマモ

⬇︎スゲアマモの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|スゲアマモ(Zostera caespitosa)
項目情報
和名スゲアマモ
英名Tufted Eelgrass
学名Zostera caespitosa
分類被子植物・水草(アマモ科)
分布北東アジア(日本・韓国・中国遼寧省・千島列島)
主な生息地水深2〜6 m程度、砂〜砂泥底の浅海域
体長・サイズ葉や株として明確な数値は少ないが、浅海の群落として観察される
IUCN評価/備考【VU:危急】として評価されている種

特徴

  • 群落を成し、「束生(かたまり生え)」の形で成長する珍しいアマモ属の一種。
  • スゲアマモという名は「スゲのように束生して葉を出すアマモ科植物」から来ており、群落形態が特徴的。
  • 光合成を行う海草であり、浅海の砂底や砂泥底で生育、沿岸の環境条件に敏感。
  • 群落は水中の生物多様性を支える役割を持ち、魚類や無脊椎動物の隠れ場/餌場となる可能性がある。

生態と行動

  • 生育場所としては、潮通し・水深・底質(砂~砂泥)の条件が重要。日本の岩手県でも「水深2〜6 mの砂から砂泥底に成育」と報告されています。
  • 生息地が沿岸開発や陸からの排水・環境変化により脅かされており、個体数・群落規模の減少が懸念されています。
  • 繁殖様式や成長速度など詳しい生態データは限られているが、近縁のアマモ属植物と同様に地下茎・走出枝を使って拡大する可能性があります。
  • 群落の維持・回復には、底質の保全・水質良好化・沿岸域の開発抑制などが重要な対策となります。

2014年絶滅危惧種:スゲアマモ【VU:危急】

スゲアマモは分布域のほとんどで、最近になって種の力が弱まっている。公害への耐性は弱く、水質汚染のために光が届きにくくなることでも影響を受けてしまう。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

区分内容
学名Zostera caespitosa
和名スゲアマモ
IUCNレッドリスト評価(国際)危急(VU:Vulnerable)
※最新評価は2010年(Short & Waycott, 2010)
環境省レッドリスト評価(国内)準絶滅危惧(NT)
主な脅威要因・水質汚染(富栄養化、赤潮、透明度低下)
・浅瀬の埋め立て(coastal development)
・生育環境の悪化による光合成阻害
生息傾向群落の回復は一部地域に限られており、広範囲での改善は見られない
保全活動の動き水質改善の取り組みやアマモ場再生活動が進行中
ただし、再生には長期的な努力が必要
現状の評価「種の力が弱まっている」状態が続いており、依然として脆弱な状況にある
結論2025年現在もスゲアマモは公害や水質汚染の影響を受けやすい脆弱な種であり、その生息状況は依然として厳しい。今後も継続的な水質改善対策と生育環境の保全が不可欠である。

一部の地域では水質改善の努力やアマモ場の再生事業が行われているが、スゲアマモの群落が広範囲で回復したという報告はまだ限定的である。その繊細な性質から、一度失われた群落を再生させることは容易ではない。

結論として、2025年現在もスゲアマモは公害や水質汚染の影響を受けやすい脆弱な種であり、その生息状況は依然として厳しいといえる。今後も継続的な水質改善対策と生育環境の保全が不可欠である。

⬇︎スゲアマモの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
生息地の保全北西太平洋沿岸(日本・韓国・中国東シナ海域)に分布する海藻床として、砂底・浅海域の静穏な水域を維持し、藻場構造を保護。
水質・底質維持海草藻場の健全性維持のため、栄養塩過剰、濁水、底質攪乱(埋没・掘削)などの影響を抑える。
遺伝的多様性の維持・研究遺伝子流動性・多様性についての調査を行い、種の回復力・レジリエンス確保のための基盤を築く。
国際的な取引・法的保護規制海草藻場の保全と共に、藻場を間接的に侵す活動(漁業、開発、埋立等)に対する法規制・管理を強化。
市民・地域参加沿岸域住民・行政・研究機関が、藻場の価値を理解・共有し、モニタリングや清掃・保全活動へ参加。
研究とモニタリング分布・個体群構造・環境変化影響・回復性を長期にわたって観察・記録することで、保全戦略を支援。

主な取り組み

  • 沿岸藻場保全:砂底・浅海・静水域でのアマモ場や藻場環境を守る
  • 水質・底質管理:栄養塩負荷・濁水・底質攪乱を抑制するため、周辺開発や漁業活動を監視
  • 遺伝的調査:Zostera caespitosa の遺伝子流動性・多様性を解析し、生態系保全の基盤をつくる
  • 法規制整備:沿岸開発・埋立・漁業活動が藻場を損なわないよう、環境法・管理措置を整える
  • 市民・地域参加:藻場の重要性を住民・学校・行政に伝え、協働して保全活動を実施
  • 継続モニタリング:生息状況や再生能力、環境変化の影響を定期的に観測

最後に

これを読んで、どう感じましたか?

「水質汚染の原因を、もう少し具体的に知りたいです。」

たしかに、水質汚染っていっても、化学肥料とか工場排水とか、いろんな要因がありますよね。

少し詳しく調べてみますね。


区分内容
1. 富栄養化の「犯人」:窒素とリンスゲアマモの衰退の直接原因は「光不足」。その光を奪うのが、海に流れ込む窒素(N)とリン(P)である。これらは河川などを通じて海に流れ込み、富栄養化を引き起こす。
主な発生源生活排水:台所・トイレ・洗濯など日常生活からの排水。下水処理が不十分な地域では、窒素やリンが直接海に流出。
農業・畜産排水:化学肥料(窒素・リン酸肥料)や家畜のフン尿が雨により流出。
工場排水:食品・化学工場などが栄養塩類や化学物質を多く排出。
2. スゲアマモを弱らせる「2つの光遮断」海に窒素とリンが過剰に流入(富栄養化)すると、スゲアマモの光合成を妨げる2つの現象が起こる。
① 海水が濁る(プランクトン増殖)窒素・リンは植物プランクトンの栄養源。
過剰に増殖すると海が濁り(赤潮の原因にも)、太陽光が届かずスゲアマモが光合成できなくなる。
② 葉が「コケ」で覆われる(付着藻類の繁茂)富栄養化でスゲアマモの葉の表面に付着藻類(珪藻など)が異常繁殖。
葉が茶色や緑色の“コケ状”に覆われ、光が遮られて光合成ができなくなる。
3. その他の脅威(工場排水など)有害化学物質:重金属や船舶の防汚剤などがスゲアマモに生理的ダメージを与える。
温排水:工場や発電所の排水による局所的な高水温が、生育環境を悪化させる。

スゲアマモの危機は「生活排水」「化学肥料」「工場排水」などが原因で海が「富栄養化」し、その結果「植物プランクトン」と「付着藻類」が異常増殖して、スゲアマモから光を奪ってしまう、という連鎖によって引き起こされる。

この問題の根深さは、汚染源が私たちの日常生活や経済活動と密接に結びついている点にある。


「熱帯魚を飼ってるんだけど、水替えをサボると水草にコケが生える現象と似てるね。」

まさにその通りだと思います。

ただ、水槽なら水を替えて水質を調整すれば解決しますが、自然の海や川はそう簡単にはいきません。

いろんな要素が絡み合っていて、一度バランスが崩れると、元に戻すのはとても難しいんです。

だからこそ、私たちにできるのは、なるべく川や海に流す水をきれいにしてから返すこと。

そんな小さな心づかいが、地球への思いやりにつながるんだと思います。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

スゲアマモに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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