11年後のレッドリスト|アゾレスデンジソウ:消えたのは命ではなく、名だった【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|アゾレスデンジソウ:消えたのは命ではなく、名だった【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

今回は、アゾレスデンジソウ(学名:Marsilea azorica)が、「実は希少種じゃなかった」って話です。

このアゾレスデンジソウ、2014年の図鑑では「CR:深刻な危機」って書かれていました。ところが、あとでIUCNレッドリストのほうを見に行ったら、Marsilea azorica という名前では見つからなくて、「え、なんで?」ってなったんですよね。
不思議に思って調べてみたら、M. azorica は外来種の取り違えで、2015年の評価では「マルシレア・ヒルスータ(Marsilea hirsuta)」として整理され、「NA:評価対象外」になっていた――っていう「オチ」でした。

でもね。勘違いが起きた“原因”は、たぶん今も変わってない。
だから今も、アゾレスデンジソウは――

「消えたのは命じゃなく、名だった」状態なのだと思います。

この記事は短く、5分で読めます。
よかったら最後まで読んでください。

※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2015年版です(以降の更新は確認されていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Marsilea azorica

名前が変わっても、自然は救われない|NAの裏で続く汚染と開発

⬇︎アゾレスデンジソウの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|アゾレスデンジソウ(Bristly Water-clover)
項目情報
和名マルシレア・ヒルスータ(または短葉水四葉草など)
英名Bristly Water-clover
学名Marsilea hirsuta
分類シダ植物門・デンジソウ科(Marsileaceae)
分布オーストラリア原産(水辺・湿地帯)
主な生息地湿潤な浅水域、沼沢地、浅い水槽など
体長(葉の高さ)約2〜10 cm前後(成長形態により変化)
寿命(詳細なデータは見つかりません)
備考水草として観賞魚用水槽でも流通する人気種。

特徴

  • 葉が四つ葉のクローバーのような形をしており、観賞水槽に「絨毯状」に植栽されることが多い。
  • 浅水や湿地に適応しており、完全潜水/半水中どちらでも育成可能。
  • 成長速度はややゆっくりで、強い光を当てると横に這って広がりやすい。光が少ないと縦に伸びてしまう傾向あり。
  • 初心者でも扱いやすい水草のひとつとされ、水槽レイアウトの前景(手前側)に用いられることが多い。

生態と行動

  • 湿地や浅い水域に生育し、葉や根茎を使って浅水中を広がる。水位が変化しても生き抜ける形態変化能力あり。
  • 水槽内で敷き詰めると、地面(底砂)を覆うようにランナー(匍匐茎)を伸ばして「グリーンカーペット」を形成。
  • 繁殖は主にランナーによる栄養繁殖で広がる。胞子による繁殖機構も持つが、観賞用途では少ない。
  • 環境条件(光、底床栄養、CO₂など)によって葉の形状・高さ・広がり方が変化。適切な条件で「低く広がる」前景草として理想的。

最終評価2015年:アゾレスデンジソウからマルシレア・ヒルスータと名前を変え「NA:評価対象外」

このシダの生育が危うくなったおもな原因は、農業の発展に関係があり、外来種が定着するようになって生育地が汚染され、生育に適さなくなったためである。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / ページ 1 / ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

観点要点(結論)詳細(背景・補足)
結論「絶滅の危機にある希少種」から外れ、現在は「外来種(侵入種)」として扱われているそのため、かつて懸念されていたような「種の絶滅」そのものについては、心配の必要がなくなった、という整理になる。
かつての認識アゾレスデンジソウ(M. azorica)=アゾレス諸島固有の希少種ポルトガル領アゾレス諸島にだけ自生する固有種と考えられ、「世界で最も絶滅が危惧されるシダの一つ」と見なされていた。
「絶滅危惧種」から消えた理由2011年以降の分子系統解析(DNA分析)で正体が判明“固有種”だと思われていた個体群が、遺伝的に別の種(オーストラリア原産)と同一だと結論づけられた。
解析で分かったことアゾレス諸島の個体群=オーストラリア原産 Marsilea hirsuta(マルシレア・ヒルスータ)DNA解析により、アゾレス諸島の個体は固有種ではなく、M. hirsuta と同一であることが証明された、という整理。
侵入の経路(推定)アクアリウム用(水草)として持ち込まれ、野生化した外来種1970〜80年代にかけて、水草用途で導入されたものが定着し、結果として野外に広がったと結論づけられた。
現在の評価(2025〜2026時点の整理)取り扱いが「希少保護」から「外来種監視」へ大きく変化2015年以降のIUCNレッドリストや欧州の植物誌で、扱いが劇的に変わった、という位置づけ。
比較(分類)旧:アゾレス諸島固有種/現:オーストラリア原産の外来種(旧)M. azorica:固有種(現)M. hirsuta:外来種という分類の逆転がポイント。
比較(IUCNステータス)旧:CR(深刻な危機)/現:LC(低懸念)またはNA(評価対象外)固有種として扱っていた時代は「CR相当」。一方で、同一種が広範囲に分布することが明確になったことで、絶滅リスクの前提が崩れたという整理。
比較(法的保護)旧:厳重保護/現:保護対象から除外(駆除対象となる場合も)以前は欧州の生息地指令などで保護される前提だったが、外来種としての位置づけになったことで、保護のロジック自体が反転した。
「危機」はなくなったのか(種としての存続)原産地(オーストラリア)では絶滅の恐れはないM. hirsuta は広範囲に分布し、乾燥に強くタフな性質を持つシダとして知られている、という整理。
「危機」はなくなったのか(アゾレス諸島での立場)危機の向きが逆転:在来生態系を脅かす可能性のある外来種として監視以前は「農業排水による汚染が生育を脅かす」と心配されたが、現在は逆に“招かれざる客”として扱われる立場へ。
まとめ(科学がもたらした結末)研究の結果、ある意味で「ハッピーエンド」「数ヶ所にしかいない絶滅寸前のシダを守らねば!」→ 調査の結果「実は地球の裏側にたくさん生えている元気なシダだった」と分かった、という“科学のオチ”
アゾレス諸島に産するアゾレスデンジソウ(M. azorica)は、固有の絶滅危惧シダと考えられてきたが、2012年以降の分子系統解析により、オーストラリア原産の Marsilea hirsuta と同一種であることが示された。1970〜80年代の水草用途の導入・野生化が想定され、保全上の焦点は種の存続から、島嶼生態系に対する外来種としての管理へ転換した。
出典:From European Priority Species to Invasive Weed: Marsilea azorica (Marsileaceae) is a Misidentified Alien

最後に

これ、読んでみてどう感じました?

アゾレスデンジソウって、たしかに「評価対象外」になったけど、原因が1970〜80年代に水草として持ち込まれたものが定着して、野外に広がった“だけ”だったっていうオチ……笑っちゃいけないけど、ちょっと笑えるかも。
でも、よく考えると人間が絡んでる話だから、やっぱり笑えないんだけどね。あとさ、新しい名前のほうも、ちょっと気になりません?

そうなんですよね。カテゴリーとしては「評価対象外」に変わったとしても、生息地の環境汚染みたいな問題は、まだ心配なところが残ってる気がします。
なので、もう少し詳しく調べてみますね。


観点要点(結論)詳細(背景・補足)
全体の目的「名前が変わった後のアゾレス諸島での状況」と「なぜNA(評価対象外)なのか」を整理ポイントごとに分けて説明。
1. NA(評価対象外)になった理由(結論)正体が外来種(M. hirsuta)と判明した時点で、「守る対象」ではなく「管理する対象」になったMarsilea azorica という種が存在しない(固有種ではない)と分かった瞬間、扱いが切り替わった。
1. NAの根拠(IUCNのルール)ルール:「その地域にもともといた種(在来種)」だけを評価対象とするIUCNレッドリストには明確な運用ルールがあり、地域の在来種のみが評価の前提になる。
1. NAの意味合い(事務的判断)「評価対象外」=「この場所では守るべき対象ではない」という事務的な結論「絶滅危惧種としての保護対象」から外れ、「外来種として管理・監視の対象」へ移る、という整理。
2. 名前が変わっても変わらないこと植物がアゾレス諸島に生えている事実は変わらないただし、扱い(立場)は180度変化した。
2. 2014年当時の懸念(汚染・消失)「農業排水による汚染」や「生息地の消失」は、実は今も続いている2014年当時に問題視されていた状況が、現在も残っている、という認識。
2. 皮肉なポイント(強靭さ)M. hirsuta は強靭で、汚染や乾燥にも強いそのため、環境が悪化しても生き残りやすい性質を持つ、とされる。
2. 現在の扱い(方針転換)「守る」から「見守る・取り除く」へ現在、環境当局は積極的に保護するのではなく、他の固有種を圧迫しないよう監視対象として扱う。
2. 現在の優先順位「本当に貴重なアゾレス固有種」を守るための監視外来種が固有種の生息を邪魔しないように、という発想で位置づけられている。
3. 新しい名前の正体(学名)学名:Marsilea hirsuta(マルシレア・ヒルスータ)名称が変わった対象の「正体」を明確にする。
3. 和名(呼び方の目安)和名:オーストラリアデンジソウ(またはナガバデンジソウに近い仲間)呼称は揺れがあり得る、というニュアンスも含む。
3. 名前の意味(語源)“hirsuta”=ラテン語で「毛深い/多毛の」葉や茎に細かい毛があるのが特徴で、乾燥から身を守る助けになっている、という説明。
3. 流通名(アクアリウム界隈)「オーストラリアン・クローバー」などの名で流通することがある観賞用・水草として扱われる文脈がある、という補足。
3. 性質(繁殖力)非常に繁殖力が強く、ランナー(匍匐茎)で広がるランナーを伸ばして、水面を覆い尽くすほど増えることがある、という特徴。
4. 「笑えない側面」(総論)人間が絡むことで起きた問題で、結果として反省点が大きいユーザーが「笑えない」と感じた点は、科学者側も反省した点だ、という整理。
4. 導入の経緯1970〜80年代に観賞用の水草が捨てられ(または不注意で流出し)定着「良かれと思って」あるいは「不注意で」という、人為的導入の典型例として語られる。
4. 科学の誤解(初期の判断)発見した学者が「新種」「固有種」と発表してしまった認識の誤りが、その後の流れを大きく左右した。
4. 資源の浪費(保全予算)限られた保全予算が「実は外来種」を守る方向に使われた可能性その結果、本当に絶滅しそうだった他の固有種の対策が後回しになったかもしれない、という指摘。
まとめ(教訓)「自然保護の難しさ」と「人間の認識の危うさ」を示す事例“固有種を守る物語”が、研究により“外来種管理の物語”に変わったこと自体が教訓になっている。
汚染問題は残る一方、この「毛深いオーストラリアのシダ」はタフに生き残る皮肉にも、汚染に耐えて生き残ってしまうほど強い、というのが現在の状況だ、という結び。

実はさ、アゾレスデンジソウって「マルシレア・ヒルスータ」って名前の宇宙人で、アゾレス諸島を侵略したくて、こっそり忍び込んだ異星生物だった――ってことはないんだけど(笑)。
でも、それくらいだよね。守る対象だったのに、場合によっては駆除されかねない対象にまで、立場がガラッと変わっちゃったってことだもんね。

うん、その感じみたいだね。
ただ、ここで忘れちゃいけないのは、もともとアゾレス諸島で問題になってた「農業排水による汚染」とか「生息地の消失」っていう話は、実は今も続いてるってことなんだよね。結局、そこに目を向けないといけないと思う。

それにさ、マルシレア・ヒルスータって、かなり強い種で、「どこでも育つよ?」みたいに売られるくらいの存在でしょ?
なのに、アゾレスでは(当時の見え方として)科学者が勘違いするほど“危ない状態に見えていた”っていう事実があったわけで、そこがまたややこしいんだよね。

話がごちゃっとしちゃったけど、言いたいのはこれ。
「そこにいた在来の種を守る」ことももちろん大事。でも、そもそも人間の活動――農業や工業の排水で自然が壊れたり、湿地が開拓されたり――そういう土台の問題が大きいんじゃないかなって思う。だから、そのへんを法整備するとかして、ちゃんとバランスを取っていくのが大事なんじゃないかな。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

アゾレスデンジソウに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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