11年後のレッドリスト|アゾレスデンジソウ:消えたのは命ではなく、名だった【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|アゾレスデンジソウ:消えたのは命ではなく、名だった【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。

Hey there, I’m 鶏人 | Keijin.

Today, I want to talk about how the Azorean water-clover (scientific name: Marsilea azorica) actually turned out not to be a rare species at all.

Back in a 2014 field guide, this plant was listed as “CR: Critically Endangered.”

But later, when I checked the IUCN Red List, I couldn’t find the name Marsilea azorica anywhere. I was like, “Wait, what’s going on?”

Curious, I dug a little deeper. It turns out that M. azorica was actually a misidentified alien species. It was later reclassified as a synonym for Marsilea hirsuta and essentially removed from the assessment list (Not Applicable). The reality was completely different from my initial impression!

So, even today, you could say that for the Azorean water-clover, “it wasn’t the life that disappeared, but the name.”

This is a quick read—it’ll only take about 5 minutes.
I hope you’ll stick around to the end!

こんにちは、鶏人|Keijin です。

今回は、アゾレスデンジソウ(学名:Marsilea azorica)が、「実は希少種じゃなかった」って話です。

このアゾレスデンジソウ、2014年の図鑑では「CR:深刻な危機」って書かれていました。

ところが、あとでIUCNレッドリストのほうを見に行ったら、Marsilea azorica という名前では見つからなくて、「え、なんで?」ってなったんです。

不思議に思って調べてみたら、M. azorica は外来種の誤同定とされ、その後はマルシレア・ヒルスータ(Marsilea hirsuta)のシノニムとして扱われ、評価対象外として整理されていて、最初に受けた印象とは、かなり違っていたんです。

だから今も、アゾレスデンジソウは「消えたのは命じゃなく、名だった」状態なのだと思います。

この記事は短く、5分で読めます。
よかったら最後まで読んでください。

※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2015年版です(以降の更新は確認されていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Marsilea azorica

名前が変わっても、自然は救われない|NAの裏で続く汚染と開発

⬇︎アゾレスデンジソウの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|マルシレア・ヒルスータ(Bristly Water-clover)
注記:アゾレスデンジソウ(Marsilea azorica)は、現在は Kew の Plants of the World Online などで Marsilea hirsuta のシノニムとして扱われています。さらに、2011年の再検討論文では、アゾレス固有の希少種ではなく、導入種の誤認だった可能性が強く示されています。以下は、その点を踏まえて「アゾレスデンジソウ」という名前で流通してきた情報を整理したものです。
項目情報
和名アゾレスデンジソウ
英名Bristly Water-clover:Azorean water-clover など
学名Marsilea azorica
分類シダ植物・サンショウモ目・デンジソウ科
分布アゾレス諸島で記載された水生シダ。ただし現在は、アゾレス固有種ではなく Marsilea hirsuta の誤同定とみなされることが多い
主な生育地一時的に水がたまる池、ぬかるみ、浅い止水域の周辺など
大きさ低く広がる小型の水生〜湿地性シダ。葉は四つ葉状になりやすい
寿命一年生〜短命多年生的にふるまうことがあるが、環境条件で大きく変わるため一律の目安は示されにくい

特徴

  • 名前の由来:種小名「azorica」は「アゾレスの」を意味し、発見地であるアゾレス諸島にちなむ。
  • 見た目:クローバーのような4小葉の葉をつけることが多い、小型の水生シダである。
  • 希少性:かつてはアゾレス固有のきわめて希少な植物と考えられていた。
  • 保全状況:過去には IUCN で CR(深刻な危機)として扱われたが、その後の分類学的再検討により、この評価の前提自体が大きく揺らいでいる。

生態など

  • 生育環境:浅い池や季節的な湿地、泥地など、水位変動のある環境に適応するタイプと考えられていた。
  • ふえ方(繁殖):デンジソウ類らしく胞子のう果(sporocarp)をつくって繁殖する。
  • 分類上の問題:形態だけでは近縁種との区別が難しく、分子データを含む再検討によって独立種ではない可能性が示された。
  • 脅威:旧来の理解では、単一地点への依存、湿地環境の改変、踏みつけや土地利用変化が大きなリスクと考えられていた。
  • 現在の見方:現状では「アゾレス固有の絶滅危惧植物」として扱うより、導入種誤認の事例として理解するほうが適切とされることが多い。

出典

最終評価2015年:アゾレスデンジソウからマルシレア・ヒルスータと名前を変え「NA:評価対象外」

このシダの生育が危うくなったおもな原因は、農業の発展に関係があり、外来種が定着するようになって生育地が汚染され、生育に適さなくなったためである。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / ページ 1 / ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

項目2014年の図鑑現在(2026年確認)
分類上の扱いアゾレスデンジソウ(Marsilea azorica)。アゾレス諸島の固有種として扱われていた。現在は Marsilea azorica は Marsilea hirsuta のシノニム扱い。POWOでは M. hirsuta を受容名とし、原産地をオーストラリア、アゾレスを導入先としている。
なぜ「絶滅危惧種」から消えたのかごく限られた場所にしかないアゾレス固有の希少シダだと考えられていた。2011年公表の形態比較とDNA解析により、固有種ではなくオーストラリア原産の Marsilea hirsuta と同一種だと示されたため、「アゾレス固有の絶滅危惧種」という前提が崩れた。
正体はオーストラリア産当時はアゾレス固有種という理解。現在はオーストラリア原産の Marsilea hirsuta とされる。POWOでも native range は Australia、Azores は introduced とされている。
人為的な持ち込み当時は外来種という理解ではなかった。研究では「最近の人為的導入」が最有力で、DNAはフロリダの個体群と一致。アゾレスへはフロリダ経由で入った可能性が高いとされた。なお、アゾレスへの直接の園芸流通起源は、論文では“あり得るが有力ではない”扱いで、導入時期を1970〜80年代と断定できる根拠は確認できない。
2014年時点の評価IUCNでは CR(深刻な危機)として扱われ、ベルン条約やEU生息地指令でも厳重保護の対象として認識されていた。旧名 M. azorica の保護的な位置づけは分類見直しで根拠を失った。少なくとも現在は「アゾレス固有のCR種」として扱うのは不適切とされ、保全優先リストから外すべきだと提言されている。
現在の評価と保全状況(2025年〜2026年時点)希少固有種として守る対象だった。分類学上は M. hirsuta。原産地では広く分布する種で、POWOでも受容種として扱われる。アゾレスでは導入種として見られ、少なくとも「守るべき固有絶滅危惧種」ではない。旧データベースに M. azorica の古い保護情報が残る場合はある。
「危機」はなくなったのか:種としての存続当時は、種そのものの存続が危ういと理解されていた。種としてはなくなっていない。むしろ M. hirsuta はオーストラリアに広く分布する種で、少なくとも「世界的絶滅寸前」という状況ではない。
「危機」はなくなったのか:アゾレス諸島での扱いアゾレスで守るべき希少植物とみなされていた。アゾレスでは、在来の希少湿地植物を圧迫するおそれのある導入種として警戒される側面がある。研究論文は、少なくとも拡散防止が必要だとしている。なお、現時点で「すでに重大被害を起こしている」とまでは示されていない。
まとめ2014年の図鑑では「アゾレス固有・深刻な危機のシダ」として読むのが自然だった。 2026年確認では、「絶滅危惧種から消えた」というより、分類再検討により“別種ではなく、導入された M. hirsuta だった”と判明したため、保全対象の前提そのものが変わった、という理解が適切。

出典

かつてアゾレスデンジソウ(Marsilea azorica)は、アゾレス諸島固有の絶滅危惧植物として認識され、IUCNでも深刻な危機にある分類群として扱われていた。しかし、その後の形態学的再検討および分子系統解析により、本分類群は独立種ではなく、オーストラリア原産の Marsilea hirsuta と同一である可能性が高いことが示された。これにより、「固有の希少種」という保全上の前提は失われ、絶滅危惧種としての位置づけも見直された。現在では、種全体の存続が脅かされている状況にはなく、むしろアゾレス諸島においては、人為的に導入された外来植物として在来生態系への影響が懸念される対象へと評価が転換している。
保護活動の種類内容の概要
分類の再検証かつてはアゾレス固有の希少種として扱われたが、後の研究でオーストラリア原産の Marsilea hirsuta と同種とされ、保全の前提そのものが見直された。そのため、まず重要なのは「本当に保護対象の固有種なのか」を分類学的に再確認することになる
保全優先種リストの見直し以前は希少植物として優先保全の対象に入っていたが、誤同定が示されたため、保全優先種リストや関連文書からの再評価・整理が必要とされている
分布拡大の防止研究では、在来希少種の保護ではなく、むしろ外来シダとして新たな拡散を防ぐことが重要だとされている。現時点では大きな侵略性被害は確認されていないものの、他の湿地や水辺へ広がらないよう注意深く管理する必要がある
生育地の監視確認されている生育地が限られているため、個体群の残存状況や周辺への拡大の有無を継続的に観察し、外来植物としての動態を把握することが求められる
湿地環境の管理本種そのものを増やす保護活動よりも、在来の湿地生態系を守る観点から、水辺の攪乱抑制や外来植物管理を含む生息地全体の管理が重要になる
研究とモニタリング誤同定の経緯があったため、標本・DNA・分布情報の再確認を続け、分類、侵入経路、定着状況を明らかにする調査が必要になる

出典

最後に

Questioner: So the Azorean water-clover officially became “Not Applicable”, right? But the punchline is that it was “just” an aquatic plant brought over in the 70s or 80s that managed to take root and spread in the wild… I know I shouldn’t laugh, but it’s kind of funny. But then again, when you realize humans are the ones behind it, it’s really not a laughing matter.

Also, aren’t you a little curious about its new name?

Me: Yeah, exactly.

Even though its official status changed to “Not Applicable,” I feel like the underlying issues—like the pollution of its habitat—are still a real concern. So, I think I’ll dig a little deeper into that.

質問者:アゾレスデンジソウって、たしかに「評価対象外」になったけど、原因が1970〜80年代に水草として持ち込まれたものが定着して、野外に広がった「だけ」だったっていうオチ……笑っちゃいけないけど、ちょっと笑えるかも。でも、よく考えると人間が絡んでる話だから、やっぱり笑えないんだけどね。

あとさ、新しい名前のほうも、ちょっと気になりません?

私:そうなんですよね。

カテゴリーとしては「評価対象外」に変わったとしても、生息地の環境汚染みたいな問題は、まだ心配なところが残ってる気がします。なので、もう少し詳しく調べてみますね。


項目内容要点
なぜ「NA(評価対象外)」になったのか? ルールIUCNの地域レッドリストでは、その地域における自然分布内の野生個体群を評価対象とし、導入個体群や自然分布外の個体群は NA(Not Applicable)となる。外来個体群は、地域評価では原則として「絶滅危惧」判定の対象外になる。
なぜ「NA(評価対象外)」になったのか? 結論アゾレスデンジソウとされていた植物は、分子系統解析と形態比較により、独立した固有種ではなく、オーストラリア原産の Marsilea hirsuta と同一種と判断された。したがって、アゾレス諸島では「在来の絶滅危惧植物」ではなく、「自然分布外の導入植物」として扱われる。消えたのは植物そのものではなく、「アゾレス固有のCR植物」という分類上の前提である。
現在、アゾレス諸島の個体群はどうなっているのか? かつての「汚染」問題アゾレスの淡水環境では、農業・畜産由来の流出や富栄養化、水質悪化が現在も主要な圧力として挙げられている。一方で、この植物はもはや「汚染に脅かされる固有希少種」ではなく、非在来の淡水植物相の一部として位置づけられる。環境悪化の問題は残っているが、評価の中心は「保護」から「外来植物管理」へ移った。
現在、アゾレス諸島の個体群はどうなっているのか? 「守る」から「見守る・取り除く」へ2011年の再検討論文は、アゾレスの個体群を保全優先リストから外すべきだと提言し、在来種への明確な被害は当時未確認としつつも、今後の拡散防止を勧告した。2021年のアゾレス淡水外来種レビューでも、非在来の水生植物には監視計画が必要で、分布が限られる新規定着種では根絶も検討すべきとされている。現在の基本姿勢は、積極保護ではなく、監視と拡散抑制である。
新しい名前「マルシレア・ヒルスータ」の正体 学名受容名は Marsilea hirsuta R.Br. であり、Marsilea azorica はそのシノニムとして整理されている。「新種の固有植物」ではなく、既知種への再同定である。
新しい名前「マルシレア・ヒルスータ」の正体 和名日本語の標準和名は広く定着しているとは言いにくいが、水草流通では「ウォータークローバー」の名で扱われる例が確認できる。和名というより、流通名・園芸名で認識されることが多い。
新しい名前「マルシレア・ヒルスータ」の正体 名前の意味種小名 hirsuta は植物ラテン語で「毛の多い」「毛深い」の意である。名称自体が、毛のある形態的特徴を示す。
新しい名前「マルシレア・ヒルスータ」の正体 性質本種はオーストラリア原産で、アゾレス・フロリダ・イギリスには導入とされる。研究論文では、オーストラリア原産で、米国南部では広く栽培され、局地的に侵入的とも記されている。原産地では広域分布種であり、アゾレスでは外来の水生シダとして扱うのが妥当である。
人間が絡んでいるという「笑えない側面」 導入の経緯DNAデータにもとづき、アゾレスの個体群はフロリダからの比較的最近の導入である可能性が高いとされた。アクアリウムや園芸流通との関連は示唆されるが、導入年や経路の細部までは確定していない。人為的移動が関与した可能性は高いが、年代や経路を断定するのは避けるべきである。
人間が絡んでいるという「笑えない側面」 科学の誤解1983年以降、この個体群はアゾレス固有種として記載され、IUCNではCR、ベルン条約やEU生息地指令でも厳重保護の対象として扱われた。しかし再解析により、実際には外来の M. hirsuta だったことが判明した。誤同定が、保全上の位置づけそのものを大きく誤らせた事例である。
人間が絡んでいるという「笑えない側面」 資源の浪費この分類群はマカロネシアの保全優先順位づけで最上位級に置かれ、地域保全機関によって管理も行われていた。再分類後の論文は、保全優先リストからの削除を提言している。限られた保全資源が、結果的に誤認分類群へ配分されていたことになる。

出典

Questioner: You know, imagine if the Azorean water-clover was actually an alien named “Marsilea hirsuta” that sneaked in to invade the Azores… Okay, probably not.

But honestly, it feels like that! It went from being this precious species we had to protect, to something that might actually get eradicated. Talk about a complete 180.

Me: Yeah, but the original problems they were worried about in the Azores—like agricultural runoff pollution and habitat loss—are actually still going on today. At the end of the day, that’s what we really need to be looking at.

Questioner: Plus, Marsilea hirsuta is a pretty tough plant, right? It’s practically sold with a “grows anywhere!” guarantee. And yet, in the Azores, it somehow looked so vulnerable that scientists back then completely misjudged its status. That just makes the whole thing even more confusing.

Me: I mean, protecting native species is obviously important. But I think the much bigger issue here is human activity—how agricultural and industrial runoff is destroying nature, and how wetlands are being wiped out for development.

That’s why we need proper regulations in place. It’s all about finding the right balance.

Questioner: Right. Because what looks “clean” or “beautiful” to us isn’t necessarily what’s “clean” for nature.


Thank you so much for your valuable 5 minutes. I pray that those 5 minutes will reach the Bristly Water-clover.

鶏人|Keijin

質問者:実はさ、アゾレスデンジソウって「マルシレア・ヒルスータ」って名前の宇宙人で、アゾレス諸島を侵略したくてこっそり忍び込んだ異星生物だった……なんてことはないと思うけど。でも、それくらいの衝撃だよね。

守る対象だったのに、場合によっては駆除されかねない対象にまで、立場がガラッと変わっちゃったってことだもんね。

私:だけど、もともとアゾレス諸島で問題になってた「農業排水による汚染」とか「生息地の消失」っていう話は、実は今も続いてるってことなんだよね。結局、そこに目を向けないといけないと思うよ。

質問者:それにさ、マルシレア・ヒルスータって、かなり強い種で、「どこでも育つよ?」みたいに売られるくらいの存在でしょ?

なのに、アゾレスでは、当時の科学者が勘違いするほど“危ない状態に見えていた”っていう事実があったわけで、そこがまたややこしいよね。

私:まあ、「そこにいた在来の種を守る」ことももちろん大事なんだけど。

そもそも人間の活動で、農業や工業の排水で自然が壊れたりしたことや、湿地が開拓されたりすることなどの問題が大きいんじゃないかなって思う。

だから、そのへんを法整備するとかして、ちゃんとバランスを取っていくのが大事なんだと思います。

質問者:私たちが感じる「キレイ」が、自然にとっての「キレイ」とは限らないからね。


あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

アゾレスデンジソウに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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