11年後のレッドリスト|オサガメ:波の底で、命の灯が揺れていた【IUCNレッドリスト比較】

Dermochelys coriacea 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
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こんにちは、fukumomo3_photo です。

オサガメ(Dermochelys coriacea)は、

2014年、図鑑に【CR:深刻な危機】として分類されていました。

2013年、IUCNレッドリストで【VU:危急】と評価されました。

つまり、2013年から、

オサガメの状況は「波の底で、命の灯が揺れていた」状態なのです。

※IUCN 公式による2013年のグローバル評価ではオサガメは“VU(危急)”とされていましたが、2014年に出版された図鑑では“CR(深刻な危機)”とされているのは不思議です。このズレは、図鑑が“CR評価”を受けていたサブポピュレーション(例:西太平洋や南西大西洋など)情報を全体評価と混同して採用した可能性が高く、公式のグローバル評価とは一致しないものです。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでくれると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/6494/43526147

廃プラスチックからマイクロプラスチックへ広がる影響

⬇︎オサガメの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|オサガメ(Leatherback Turtle)
項目情報
和名オサガメ(長背亀)
英名Leatherback Turtle
学名Dermochelys coriacea
分類爬虫綱・カメ目・ウミガメ上科・オサガメ科
分布世界中の熱帯〜温帯の海域。太平洋、大西洋、インド洋に広く分布
主な産卵地パプアニューギニア、ソロモン諸島、メキシコ、コスタリカ、ガーナ、スリナムなど
体長最大約2.5m(甲長)
体重250〜700kg(最大900kgを超える例も)
寿命推定50年以上(詳細は未解明)

特徴

  • 名前の由来:「オサ」は「長い背」を意味し、甲羅が固い鱗板ではなく皮膚で覆われていることから「革のような甲羅=Leatherback」と呼ばれる。
  • 外見:甲羅は他のウミガメと違い鱗板がなく、ゴムのような柔らかい皮膚に覆われている。背中には7本の隆起(キール)が走る。
  • 食性:主にクラゲを捕食するが、魚卵や甲殻類なども食べる。柔らかい喉には逆棘があり、クラゲを逃さず飲み込む構造を持つ。
  • 特殊能力:体温を周囲より高く保てる「地域的内温性」をもち、冷たい海域(北大西洋や北海道沿岸)まで回遊可能。

生態と行動

  • 回遊性:ウミガメ類で最も長距離を移動する。大西洋や太平洋を横断し、1万km以上の旅をすることもある。
  • 潜水能力:1,000mを超える深度に潜ることができ、数十分間の潜水が可能。
  • 産卵:夜間に砂浜へ上陸し、後肢で深い穴を掘って80〜100個の卵を産む。シーズン中に複数回産卵する。
  • 孵化と性決定:砂の温度により性別が決まる(高温=メスが多い)。
  • 幼体の生存率:孵化後に海へ向かう幼体の大多数は捕食され、ごく一部しか成体になれない。

保全状況

  • IUCNレッドリスト:VU(危急, Vulnerable)
    ※地域個体群によっては CR(深刻な危機)とされる場合もある。
  • 主な脅威
    • 漁網による混獲
    • 産卵地の開発・観光利用による砂浜消失
    • 卵や成体の密猟
    • 海洋プラスチックごみの誤食(特にビニール袋をクラゲと間違える)
  • 保護活動:産卵地の保護区指定、人工孵化事業、混獲防止装置(TED)の導入など。

2014年絶滅危惧種:オサガメ【VU:危急】

営巣地の減少,釣り糸や漁業用網による誤った捕獲、漁船との衝突、食用目的の卵の採集、好物のクラゲとまちがえて誤飲した廃プラスチックによる消化不良などが、世界中のオサガメの生存をおびやかす要因である。ウミガメとウミガメ由来製品の利用は多くの国で禁止されている。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

2025年現在、廃プラスチックの現状がどのようになっているのか、気になったので調べてみた。

毎年、約800万〜1,200万トンものプラスチックごみが、新たに海へと流れ込んでいる。

その量は、ジャンボジェット機(ボーイング747)にしておよそ5万機分の重さに相当する。

計算すれば、毎分ごみ収集車1台分のプラスチックが、海へ投棄され続けていることになる。

すでに海に蓄積されたプラスチックごみの総量は、1億5,000万トンを超えたと推定されている。

そして、このままでは2050年までにプラスチックの重量が魚の総重量を上回るとも言われている。

さらに深刻なのは、2060年には海洋プラスチックの流出量が現在の約3倍に達する可能性があるという事実だ。
出典:New Science paper calculates magnitude of plastic waste going into the ocean

⬇︎オサガメの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
産卵地の保護卵を守るため、産卵浜の立入制限・監視・人工ふ化や巣の移設を実施
混獲の防止延縄や底引き網による混獲を防ぐため、「TED(ウミガメ除け装置)」や釣り針改良を推進
海洋ゴミ対策ビニール袋などクラゲと誤認して食べる事故を防ぐため、海洋ゴミ回収やプラスチック削減を啓発
国際的な取引規制ワシントン条約(CITES)附属書Ⅰにより、国際的な取引を原則禁止
保護区の設定産卵浜や回遊ルートを含む「海洋保護区」を整備・拡大
市民・地域参加地元住民や観光客によるビーチクリーン、子ガメ放流会、教育プログラムなどで意識向上
研究とモニタリング衛星タグによる回遊経路追跡、個体数・繁殖成功率調査、健康状態の記録

主な取り組み

  • 砂浜保護:産卵浜を守り、立ち入り制限や巣の移設を実施
  • 混獲対策:延縄・網漁にTEDや釣り針改良を導入
  • プラスチックごみ削減:クラゲとの誤食防止のため啓発活動
  • 国際保護条約:CITES附属書Ⅰにより国際取引を禁止
  • 放流イベント:子ガメ放流を通じて市民の保全意識を向上
  • 追跡調査:衛星タグで移動経路や生活圏を把握
  • 教育活動:学校や地域での環境教育を推進

最後に

これを読んでみて、どのように感じましたか?

「俺、捨ててないけどね?」

と、プラスチック全体を見ない?

「石油依存をやめないと…」

と、化石燃料の使用が不安?

感じ方は、いろいろあると思います。

手に取れるプラスチックの他に、「大量なマイクロプラスチックが浮遊している」と聞いたことがあるので調べてみた。

項目内容
定義マイクロプラスチック:5mm以下の粒子。
ナノプラスチック:さらに小さくナノサイズ(1mの10億分の1)。
発生源一次:製品として意図的に小さい(スクラブ剤のビーズ、レジンペレット等)。
二次:廃プラ(袋・ペットボトル等)が紫外線や波で劣化・破砕。
物理的影響– 消化管や組織を傷つけ炎症を起こす。
– 栄養吸収の妨害、免疫力低下。
– ナノサイズは細胞内に侵入し、ミトコンドリア損傷、酸化ストレス、DNA損傷。
化学的影響– 添加剤の溶出:フタル酸エステル、BPA(内分泌かく乱物質)、PBDEs(発がん性・神経毒)。
– 海水中の有害物質(PCB、DDT、ダイオキシン等)を高濃度に吸着・濃縮。
生態系への影響生物濃縮:プランクトン → 小魚 → 大型魚 → 海鳥・海獣へと濃縮が進む。
基盤種へのダメージ:プランクトンやサンゴの光合成・繁殖低下 → 生態系全体の生産性が低下。
人体への影響– 魚介類、飲料水、食塩などを通じて人間も日常的に摂取。
– 内分泌かく乱、炎症、長期的な健康リスクが懸念される。

最近では、『人間の血液、肺の深部、さらには胎盤からマイクロプラスチックが検出された』という衝撃的な報告が相次いでいる。

これが長期的にどのような健康被害(免疫疾患、神経系への影響、発がんリスクなど)をもたらすのか、現在世界中で急ピッチな研究が進められている。

しかし、まだ結果は出ていない。
出典:Microplastics and our health: What the science says

ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な命である5分間を本当にありがとうございました。

オサガメに、あなたの5分が届くことを祈ります。

fukumomo3_photo


インスタでは、オサガメたちの姿を“図鑑みたいに”並べて見られます。
ビジュアルで伝える命の物語、よかったらのぞいてみてください。

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