11年後のレッドリスト|イボサボテン:誰でも買えるのに、誰も守れない【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|イボサボテン:誰でも買えるのに、誰も守れない【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

今回は、イボサボテン(学名:Mammillaria herrerae)のことを、「地球が描いた絵画」みたいだなって思った話です。

2014年の図鑑では、このサボテンは過去20年のうちに95パーセントが消えたと推定されていて、「CR:深刻な危機」と評価されていました。しかも、2009年から評価が更新されていないので、今もそのまま「CR:深刻な危機」のままなんです。

だからイボサボテンは今も、「誰でも買えるのに、誰も守れない」状態なんじゃないかなって思います。

この記事は短くて、5分くらいで読めます。
よかったら最後まで読んでいってください。

※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2009評価(2013年公開)です(以降の更新は、現時点では確認できていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Mammillaria herrerae

野生では消えかけている、でも鉢では増えている

⬇︎イボサボテンの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

基本情報|イボサボテン(英名:Golf Ball Cactus)
項目情報
和名イボサボテン
英名Golf Ball Cactus / Biznaguita(スペイン語圏での呼び名)
学名Mammillaria herrerae
分類被子植物・サボテン類(サボテン科 Cactaceae/マミラリア属 Mammillaria)
分布メキシコ固有(主にケレタロ州のごく限られた範囲)
主な生育地乾燥した半砂漠の低木林(岩が多い斜面など)
大きさほぼ球形の小型種。直径およそ2〜3.5cmほど
体重(植物のため該当なし)
寿命サボテン類は一般に長寿だが、本種の「寿命の目安」は明確に示されにくい(長期生存型)

特徴

  • 名前の由来:種小名「herrerae」は、メキシコの生物学者 Alfonso L. Herrera にちなむとされる。
  • 見た目:白い細かなトゲが密に絡み、全体が“白い球体”に見える。見た目が小さなゴルフボールのようだと表現される。
  • 希少性:野生の生息域が極端に狭く、個体数も非常に少ないとされる。
  • 保全状況:IUCNでは CR(深刻な危機)。違法採取の影響がとても大きい。

生態など

  • 生育環境:半乾燥地帯の低木林・岩場まじりの斜面など、乾いた環境に成立する。
  • ふえ方(繁殖):花を咲かせて種子をつくり増える(サボテン類らしく結実→種子散布)。株元から増えるように見えることもある。
  • 生き方の特徴:サイズが小さく、見つけやすく、持ち帰りやすい形のため「採られやすい」という弱点を抱える。
  • 脅威:違法採取(盗掘・違法取引)が最大級の脅威。加えて小規模な開発(住宅化など)も圧になる。
  • 現状の厳しさ:過去20年で推定95%減少、野生は約50個体規模まで減ったとされ、分布面積も約1平方km程度とされる。

出典

最終評価2009年:イボサボテン「CR:深刻な危機」

この特徴的なサボテンは不法採取のためにきわめて危険な状況に追いやられており、その結果、過去20年のうちに95パーセントが消滅したと推定されている。……周辺のサボテン栽培園が生育地をほとんどだめにしてしまい、地域の子どもたちがこの植物を採取して来訪者に売ろうとする。

出典:訳者 岩槻邦男、太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル『IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑』/ 発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / © Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

項目2014年の図鑑現在(2026年確認)
種名(和名・英名)イボサボテン(別名:ゴルフボール/「白星」と呼ばれる)Mammillaria herrerae(Golf ball cactus として扱われることがある)
学名Mammillaria herreraeMammillaria herrerae
分類サボテン科サボテン科
IUCNカテゴリ絶滅危惧IA類(CR)Critically Endangered(CR)
個体数の傾向過去20年で95%消滅したと推定Decreasing(減少中)
最終評価(評価が付いた日)(図鑑内での扱い:CRとして掲載)2009年11月18日(Last assessed)
公表・掲載2014年の図鑑に掲載2013年版として公表され、2009年評価が維持されている形
分布メキシコ(ケレタロ州)固有メキシコ固有(グローバル評価)
野生個体の状況野生株は50株ほどが、約1平方キロメートルの範囲で生育しているだけ野生個体は減少が続いている扱い
主な脅威不法採取(採取して来訪者に売ろうとする動きがある)/生育地周辺の改変不法採取・生息地への圧力が背景として残り、CRのまま維持
生育地への影響周辺のサボテン栽培園が生育地をほとんどダメにしている/付近で居住地拡大も見られる分布データは地図に反映されていない(Distribution data is not mapped)
国際取引ワシントン条約(CITES)附属書IIに記載され、国際取引は制限IUCN上でもCRとして扱われる(取引規制そのものはIUCNとは別枠)
“園芸”と“野生”の差以前から施肥栽培され増殖しており、たとえ野生株が絶滅しても種の生存に期待できる、とされる野生はCRのまま、減少トレンドが続く評価

出典

Mammillaria herrerae(イボサボテン/白星)は、2014年の図鑑においてIUCNレッドリストの絶滅危惧IA類(CR)として扱われ、過去20年間で約95%の減少が推定されている。2026年確認時点でもIUCNではCRのまま維持され、個体数トレンドは減少(Decreasing)と評価される。最終評価日は2009年11月18日で、2013年版として公表されている。分布はメキシコ・ケレタロ州固有とされ、不法採取や生息地改変が主要な脅威として指摘される一方、栽培下での増殖可能性が示されている。

⬇︎イボサボテンの保護活動の種類です。必要なら開いてください。

保護活動の種類内容の概要
生息地の保護自生地(メキシコ・ケレタロ州の乾燥性低木林など)がごく狭く、土地改変や劣化で一気に減るため、残された自生地を保全してこれ以上失わないようにする
違法採取・密輸の抑制観賞用としての人気が高く、野生個体の違法採取が最大級の脅威になるため、採取の取り締まりや監視を強めて「野生から抜かれない状態」をつくる
国際的な取引規制サボテン科はCITESの対象となっており、国際取引を管理することで、輸出入のルートを監視し、違法流通を起こしにくくする
域外保全(栽培・遺伝資源の確保)野外だけに頼ると絶滅リスクが高いため、植物園や栽培施設などで系統を維持し、最悪の事態に備えて“バックアップ集団”を確保する
増殖技術の確立(組織培養など)自然条件が特殊で増やしにくい種なので、組織培養などの増殖技術を確立し、野生採取に頼らない供給(保全・研究用)へつなげる
再導入・個体群の補強生息地の条件が整い、違法採取のリスクも下げられる場合に、増殖個体を使って個体群を補強・回復させる選択肢を持つ
モニタリング(個体数・生育状況)個体数の変化や新規加入(芽生え)の有無、採取圧の兆候などを継続的に追跡して、保護策が効いているか確認し続ける
普及・啓発(買う側も含む)「希少=高値」の構図が違法採取を加速させるため、購入者側にも問題を伝え、違法由来の個体を買わない流れを広げる

出典

最後に

このサボテンって、園芸店でも普通に売ってるくらいで、ほんと「サボテンといえばこれ」みたいな存在だよね。自分もサボテン好きだから育ててるんだけど、野生では「過去20年間で約95%減った」って書かれてるし、原因の一部は、結局こっち側の末端の消費者なんだよね。

だから、地域の子どもたちがこの植物を採って観光客に売るって行為も、こっちが欲しがることで後押ししちゃってるってことになる。
でも一方で、その子たちにとっては「仕事」になってる面もあるのかな…って思っちゃうかな。

なんか、すごく複雑な話に感じますよね。

いったん基本に戻って、「なんで人は野生の植物を鉢植えにして持ち帰りたくなるのか?」
そこ、ちょっと調べてみますね。


項目内容要点
価値のズレ(園芸店の白星と野生の白星)園芸店で売られている白星と、メキシコの崖に張り付く白星はDNAが同じでも、人の心が感じる価値は別物になる同じ種でも「どこで、どう生きたか」で価値が変わる
「時間」を所有したくなる栽培株は数年で整った見た目に育つが、野生株は過酷な環境で数十年かけて育ち、傷や汚れや潰れた痕をまとっている。人はその“生き抜いた時間”に畏敬を抱き、手元に置きたくなる欲しいのは姿だけではなく、積み重なった時間そのもの
「物語(コンテキスト)」を消費する「現地で手に入れた」「絶滅寸前の希少な個体を持っている」といったストーリーが、鉢植えを単なる植物ではなく“物語を入れる器”にしてしまう植物が“体験”や“肩書き”を背負わされる
自然への憧れと支配欲人には自然へ惹かれる感覚がある一方で、自然をコントロール下に置きたい欲求も混ざる自然愛と支配欲が同居しやすい
野生の飼いならし(ドメスティケーション)広大で脅威もある自然を「鉢」という管理できるサイズに切り取り、部屋に置く行為は、無意識に「自然への勝利」「支配」の満足感につながる野生を小さく囲うことで安心と優越が生まれる
「私だけが守れる」という倒錯「野生では絶滅しそうだが、自分が保護して育てる」という救済者的な感覚が働くことがある。実際には環境変化で枯らすことも多いが、「愛でている」という感覚が矛盾を覆い隠す救いたい気持ちが、結果として破壊に寄ることがある
「お土産」心理と真正性観光客はパッケージ商品より、道端の子どもが持つ“泥付きのサボテン”に「本物の体験」を感じてしまうことがある。善意(かわいそうだから)と欲望(レアな体験)が混ざる“本物っぽさ”が購買のスイッチになる
現地の子どもたちの事情子どもたちにとっては、それが手っ取り早い現金収入になりやすい。観光客が喜んで金を出す限り、山へ入り続ける構造ができる感動が「略奪の経済」を回す燃料になる
「現地球」ブームと価格高騰日本でも現地球(野生採取株)への人気が高まり、価格が上がりやすい流れがあるブームが希少株への圧力を強めやすい
量産型への飽きと唯一無二信仰均一に育った普及株は「量産品」に見え、野生の傷ついた姿が「唯一無二の個性」として崇められやすい“不揃い”が価値として持ち上げられる
皮肉な現実(守っているのは誰か)絶滅回避という意味では、野生株を求める流れより、商業ベースで大量繁殖させてきた側が結果的に防波堤になっているいちばん種を残しているのは「量産の力」になりやすい

出典

「商業ベースで大量繁殖させてきた側が、結果的に防波堤になっている」って書いてあったけど、そこがちょっと引っかかるんです。種としては、野生株が取り尽くされても“残る”って意味では、防波堤なのかもしれない。

でも、そもそも商業として販売しちゃったから野生株の価値が上がって、子どもたちが一生懸命取りに行って観光客に売ったり、それ目的で密輸する人もいると思うんですよね。こんなこと言っちゃなんだけど、量産種にこっそり混ぜちゃえば、わかんなくなる気もします。

たとえば、一枚の有名な絵画があって、そのコピーを大量に販売している、みたいな話だよね。コピーが世界中で外貨を稼いでくれているおかげで、元の一枚の絵画が守られて、保存されて、後世に語り継がれる。

だから「過去20年間で約95%の減少が推定される」っていう状況でも、残り5%の貴重な“地球が描いた絵画”を守る、という理屈は成り立つと思うんです。

ただ、その大量生産されたコピーによって世界中の人の興味や関心が集まってしまう分、心ない人たちのちょっとしたエゴで、有名な絵画の深刻な危機がずっと深刻な危機のまま、ってこともあり得る。もしかするといつか、その有名な絵画が誰かに全部盗まれて、量産種に混ざって、どれがオリジナルかわからなくなっちゃう……そんなことも、あるのかもしれませんね。

その悲しい未来が起きないようにするには、きっと“絵画そのもの”を守るのも、ものすごく大変なんだと思うんですけど。

それと同じくらい、あの貴重な“地球が描いた絵画”を必死に取りに行って、観光客に売っている子どもたちのほうも、守らないといけない気がします。

子どもたちがそこまで必死になる理由は何なのか。
なんで昼間から商売をしなきゃいけないのか。

この問題の根本はそこなんじゃないかなって、サボテンのことを考えていて感じました。


ここまで読んで、あなたは、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてもらえると、とても嬉しいです。

貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

イボサボテンに、その5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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