※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
Hey there, 鶏人|Keijin here.
Back in a 2014 encyclopedia, the Delacour’s langur (Trachypithecus delacouri) was classified as “CR: Critically Endangered.” At the time, their adult population was estimated at fewer than 250 individuals, scattered across small, fragmented groups.
Fast forward to 2026, and a check of the IUCN Red List shows that nothing has changed. They are still sitting right there at “CR: Critically Endangered.”
We have seen some glimmers of hope recently. Over in the Van Long Nature Reserve, anti-poaching efforts and community-led monitoring are actually working, with reports showing a bounce-back in their numbers. Another crucial population has also been spotted in the Kim Bang region, sparking active surveys using drones and thermal imaging, along with a strong push to make it an official protected area.
But let’s not sugarcoat it—the looming threats of limestone mining, habitat fragmentation, hunting traps, and illegal logging are still very real today.
To me, the Delacour’s langur is still out there, “holding its breath deep in the limestone forests,” just trying to survive.
This is a quick read—just about 5 minutes. I hope you’ll stick around until the end.
こんにちは、鶏人|Keijinです。
コシジロラングール(学名:Trachypithecus delacouri)は、2014年の図鑑では、成体数が250頭未満と推定され、残された個体群も小さく分断されていたため「CR:深刻な危機」と評価されていました。
そして、2026年時点で確認できるIUCNレッドリストの評価も、2014年と変わらず、「CR:深刻な危機」のままでした。
近年は、Van Long自然保護区では密猟対策と地域住民による監視が成果を上げ、個体数回復が報告されています。またKim Bang地域でも重要な個体群が確認され、ドローンや熱画像機器を使った調査、保護区化を求める動きが進んでいます。ただし、石灰岩採掘、生息地分断、罠、違法伐採の脅威は今も続いています。
コシジロラングールは今も、「石灰の森で、まだ息を潜めている」状態なのだと思います。
この記事は短く、5分で読めます。
よかったら最後まで読んでください。
※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2015年評価(2020年公開)です(以降の更新は、現時点では確認できていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Trachypithecus delacouri)
コシジロラングールの現在地|2014年から2026年の変化
⬇︎コシジロラングールの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

主に IUCN、Fauna & Flora、Endangered Primate Rescue Center、Van Long Nature Reserve 関連資料、食性・行動研究を照合しました。コシジロラングールは、ベトナム北部の石灰岩カルスト林にほぼ限定される固有霊長類で、IUCNでは CR:深刻な危機に分類されています。Van Long Nature Reserve は現在も最大級の重要生息地で、保全活動によって個体数回復が見られる一方、狩猟・石灰岩採掘・生息地分断の影響は依然として大きい種です。(Fauna & Flora)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 和名 | コシジロラングール |
| 別名・表記ゆれ | デラクールラングール、デラクールリーフモンキー、デラクールルトン、コシジロルトン |
| 英名 | Delacour’s Langur |
| 別英名 | Delacour’s Lutung、Delacour’s Leaf Monkey |
| 学名 | Trachypithecus delacouri |
| 命名者・命名年 | Osgood, 1932 |
| 分類 | 哺乳綱・霊長目・オナガザル科・コロブス亜科・Trachypithecus 属 |
| 分類上の位置づけ | アジアのリーフモンキー類、ルトン類の一種。葉食性に強く適応した旧世界ザル |
| IUCNレッドリスト | CR:深刻な危機 |
| CITES | 附属書II。国際取引は生存を脅かさないよう管理対象 |
| 分布国 | ベトナム固有種 |
| 主な分布域 | ベトナム北部から北中部にかけての石灰岩カルスト地域 |
| 具体的な分布地域 | ニンビン省、ハナム省、ホアビン省、タインホア省周辺の石灰岩山地に点在 |
| 重要生息地 | Van Long Nature Reserve、Kim Bang 石灰岩林、Tam Diep・Yen Mo 周辺、Cuc Phuong 周辺、Pu Luong 周辺など |
| 最大級の個体群 | Van Long Nature Reserve 周辺。Fauna & Flora は、Van Long に推定約120頭が生息すると説明している |
| 近年注目される地域 | Kim Bang の石灰岩林は、世界第2位規模の個体群を保持するとされ、2025年の報道では120〜150頭規模と説明されている |
| 分布の特徴 | 分布は連続しておらず、石灰岩山地の小さな森林片に分断されている |
| 歴史的分布 | かつてはベトナム北部の複数地域に広く分布していたが、狩猟と生息地破壊で急減した |
| 現在の個体数 | 資料により幅があるが、世界全体でおよそ200〜300頭規模とされることが多い。近年の保全報告では、Van Long 周辺や Kim Bang 周辺での回復・再確認が報告されている |
| 個体数傾向 | 長期的には大きく減少してきたが、Van Long など一部地域では保護活動により増加傾向が報告されている |
| 生息環境 | 石灰岩カルストの森林、石灰岩崖、岩山、低木林、二次林を含む森林性カルスト景観 |
| 好む環境 | 樹木と岩場が組み合わさった急峻な石灰岩地形。休息・逃避・移動に岩場をよく利用する |
| 標高 | 主に低地から丘陵・低山帯の石灰岩地に生息する |
| 活動場所の特徴 | 樹上性だけでなく、石灰岩の岩肌・崖・岩棚を非常によく利用する |
| 行動研究での特徴 | Delacour’s langur は他のコロブス類に比べ、岩上での移動・休息が非常に多い。研究では移動・姿勢行動の約80%が岩上で行われたと報告されている |
| 体長 | 頭胴長はおおむね約55〜62cm前後 |
| 尾長 | 約82〜88cm前後とされ、体より長い尾を持つ |
| 体重 | 雄は約8〜10kg、雌は約6〜8kg程度とされる |
| 体型 | 細長い四肢と長い尾を持つ、樹上・岩場移動に適した体型 |
| 体色 | 全身の大部分は黒色。腰から臀部、太もも周辺に大きな白色部がある |
| 最大の外見的特徴 | 黒い体に対し、腰から尻・大腿部にかけて白い「ズボン」や「白い腰巻き」のような模様が目立つ |
| 顔の特徴 | 顔は黒く、頬から耳周辺に白い毛がある。頭頂には黒い冠毛状の毛が立つ |
| 尾の特徴 | 長い黒い尾を持つ |
| 幼獣の色 | 生まれたばかりの子は成獣と異なり、明るい橙色から黄褐色系の毛色をしている |
| 成長による色変化 | 幼獣の橙色は成長とともに黒白の成獣色へ変わる |
| 雌雄差 | 雄の方がやや大型。外見上の色彩差は大きくない |
| 活動時間 | 昼行性 |
| 生活様式 | 群れで生活する |
| 群れの構成 | 一頭の成獣雄、複数の雌、幼獣からなる一雄複雌型の群れが多いとされる |
| 群れの大きさ | 数頭から十数頭規模が多い。地域や個体群状態によって変動する |
| 行動圏 | 石灰岩山地の限られた範囲を利用する。食物や安全な休息場所の分布に左右される |
| 休息場所 | 石灰岩の崖、岩棚、洞窟周辺、樹上などを利用する |
| 逃避行動 | 危険を感じると急峻な石灰岩崖や岩場へ逃げ込むことがある |
| 食性 | 葉食性が強い |
| 主な食物 | 若葉、成熟葉、芽、花、果実、種子など |
| 食性研究の結果 | Van Long の研究では、年間食物の約79%が葉で、そのうち約60%が若葉とされる |
| 果実・種子の利用 | 果実や種子も食べるが、食事全体に占める割合は小さい |
| 採食植物 | 研究では利用可能な145種の植物のうち42種を食べ、特定の植物に選択的に集中する傾向が示されている |
| 消化の特徴 | コロブス亜科のサルとして、葉を発酵消化する複雑な胃を持つ |
| 採食時間 | 活動時間のうち採食は約29%を占めると報告されている |
| 移動 | 樹上移動に加え、岩場歩行・岩上での座位・休息が非常に多い |
| 跳躍 | 一般的な樹上性サルほど頻繁には跳躍せず、研究では全移動中の跳躍は約6%と報告されている |
| 繁殖 | 胎生で、通常1回に1頭を産む |
| 出産 | 明るい橙色の幼獣を産む |
| 子育て | 母親が中心となって育てるが、群れ内の他個体が幼獣に関心を示すこともある |
| 性成熟 | 詳細は資料により差があるが、数年かけて性成熟に達する |
| 寿命 | 野生での正確な寿命は不明点が多い。飼育下では20年以上生きる可能性がある |
| 主な天敵 | 大型猛禽類や肉食獣が潜在的な天敵になり得るが、現在最大の脅威は人間活動 |
| 最大の脅威 | 狩猟と生息地破壊 |
| 狩猟の理由 | 食肉利用、伝統薬利用、違法取引など |
| 生息地破壊の原因 | 石灰岩採掘、セメント原料採取、農地化、薪採取、森林伐採、道路・観光開発 |
| 石灰岩採掘の問題 | 本種の主要生息地そのものが石灰岩カルストであるため、採掘は単なる周辺開発ではなく、生息地の物理的消失につながる |
| 生息地分断 | 石灰岩山地の森林が孤立し、群れ同士の交流や遺伝的つながりが失われやすい |
| 小個体群のリスク | 残存個体群が小さいため、近親交配、病気、事故、局地的な狩猟でも深刻な影響が出る |
| 保護区 | Van Long Nature Reserve、Cuc Phuong National Park、Pu Luong Nature Reserve など |
| Van Long の重要性 | 世界最大級の個体群を支える保護区で、地域住民レンジャーによる監視と保護活動が成果を上げている |
| 保全活動 | 密猟防止、地域住民レンジャー、保護区管理、石灰岩林の保全、個体数モニタリング、環境教育、救護個体のリハビリ、再導入 |
| 再導入 | Endangered Primate Rescue Center などが救護・飼育・再導入に関わってきた |
| 保全上の成功例 | Van Long では保護区化と地域主体の監視により、個体数が大きく回復したとされる |
| 保全上の課題 | Van Long 以外の個体群が小さく孤立していること、石灰岩採掘圧、地域開発、狩猟リスクが残ること |
| 生態系での役割 | 葉食性霊長類として森林植生と関わり、果実や種子も利用することで植物群集にも影響を与える |
コシジロラングールの危機は「森林が減った」だけではなく、「石灰岩カルストという住みかそのものが採掘・開発の対象になる」点にあります。一方で、Van Long では保護区化、地域住民による監視、密猟防止が個体数回復につながった事例として知られています。つまりこの種は、絶望だけではなく「地域管理が効けば戻れる」ことも示している霊長類です。(zoo-ostrava.cz)
出典
- IUCN Red List:Trachypithecus delacouri
https://www.iucnredlist.org/species/22043/17958988 - Fauna & Flora:Conserving Delacour’s langur in Vietnam
https://www.fauna-flora.org/projects/conserving-delacours-langur-vietnam/ - Endangered Primate Rescue Center:Delacour’s Langur
https://www.eprc.asia/delacours-langur/ - Primate Society / Workman:Positional behavior of Delacour’s langurs
https://primate-society.com/ips/public/ips_program/IPS10-351.pdf - ResearchGate:Diet of the Delacour’s Langur in Van Long Nature Reserve
https://www.researchgate.net/publication/40758141_Diet_of_the_Delacour%27s_Langur_Trachypithecus_delacouri_in_Van_Long_Nature_Reserve_Vietnam
最終評価2015年:コシジロラングール「CR:深刻な危機」
現在 250を下回る成体しか生息していないと推測されており、それらも多くの亜個体群に分断され、その多くは長期的には存続できないと思われる。つまりこの種は絶滅にきわめて近い状態にある。近年法的保護が強化されたことにより狩猟のレベルは下がっているが、依然として大きな脅威となっている。また生息地が失われていくことで、現存する個体群のさらなる孤立化も進んでいる。
出典:訳者 岩槻邦男、太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル『IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑』/ 発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / © Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

確認した限り、2026年時点でもコシジロラングールは「回復した」とは言えません。
IUCN上の最新評価は、現在も絶滅危惧IA類相当の「Critically Endangered(CR)」で、個体数傾向は減少、成熟個体数は240〜250頭とされています。つまり、2014年の図鑑にあった「250を下回る成体」という危機感は、現在もほぼそのまま残っています。(IUCN Red List)
一方で、2021年以降の調査では、Kim Bang地域に想定以上に大きな個体群が確認され、Van Long自然保護区だけが頼みの綱だった状況から、「Van LongとKim Bangの二大個体群をどう守るか」という段階に少し進んでいます。これは明るい材料ですが、採石・狩猟・罠・違法伐採・生息地分断が続いており、危機そのものは解消していません。(oryxthejournal.org)
| 項目 | 2014年の図鑑 | 現在(2026年確認) |
|---|---|---|
| 和名 | コシジロラングール | コシジロラングール。英名はDelacour’s Langur。 |
| 学名 | Trachypithecus delacouri | Trachypithecus delacouri。現在もこの学名で扱われている。 |
| 分類 | オナガザル科の霊長類 | オナガザル科コロブス亜科の葉食性ラングール。ベトナム固有の霊長類。 |
| IUCNカテゴリー | 絶滅危惧IA類相当、CRとして紹介 | IUCN Red Listでは現在もCritically Endangered、CR。2026年時点で安全側への改善は確認できない。 |
| IUCN評価の新しさ | 図鑑では2014年当時の情報としてCRを掲載 | IUCNの表示上は、2020年公開版・評価日は2015年11月21日が現在も使われている。2026年時点で新しい再評価に置き換わった形跡は確認できない。 |
| 個体数 | 「250を下回る成体」と記載 | IUCNでは成熟個体数240〜250頭。つまり、図鑑の危機的な数字は現在も大きくは変わっていない。 |
| 総個体数の見方 | 成体250未満という表現が中心 | 近年の調査・報告では、総個体数は約300頭規模とされることがある。ただしこれは成熟個体数とは別で、IUCNの成熟個体数240〜250頭という評価とは矛盾しない。 |
| 個体数傾向 | 絶滅にきわめて近い状態と説明 | IUCN上の個体数傾向はDecreasing、減少傾向。局地的に良いニュースはあるが、種全体としては依然として減少扱い。 |
| 分布 | ベトナム北中部にのみ分布 | 現在もベトナム北部〜北中部の石灰岩カルスト地帯に限られる。Ninh Binh、Ha Nam/Kim Bang周辺などが重要。 |
| 生息環境 | 森林・岩場に依存する希少な霊長類 | 石灰岩カルストの森林、岩壁、低木林、洞窟周辺などに依存。普通の森林だけでなく、切り立った石灰岩地形が重要な生息環境。 |
| 個体群の分断 | 多くの亜個体群に分断され、その多くは長期存続が難しいと記載 | 現在も分断は深刻。小さな孤立個体群が多い点は変わらない。ただしKim Bangで想定より大きい個体群が確認され、保全上の重要性が増している。 |
| 最大の個体群 | Van Long周辺が重要視されていた | Van Long自然保護区は現在も最大級の個体群の中心。近年の資料では約150〜160頭、または約150頭規模とされることが多い。 |
| 第二の重要個体群 | 図鑑時点では「多くの個体群は存続困難」という見方が強い | Kim Bang地域が第二の重要個体群として強く注目されている。2021年の報告では少なくとも73頭、2024年のドローン調査では観察104頭・推定175頭、2025年報道では120〜150頭規模とされる。 |
| 「唯一の存続可能個体群」か | 図鑑の文脈では、存続できる集団が極めて限られる状態 | 古い保全資料ではVan Longが唯一の存続可能個体群とされていたが、近年はKim Bangも第二の存続可能個体群として扱われ始めている。ここが2014年からの重要な変化。 |
| 主な脅威:狩猟 | 法的保護で狩猟は減ったが、依然として大きな脅威 | 現在も狩猟、罠、伝統薬目的の捕獲は脅威として残る。保護区や監視がある場所では抑制されるが、完全には消えていない。 |
| 主な脅威:生息地喪失 | 生息地が失われ、現存個体群の孤立化が進むと記載 | 現在も非常に大きな問題。とくに石灰岩採石、鉱山開発、違法伐採、薪採取、道路・観光開発などが生息地を縮小・分断している。 |
| 採石・鉱山開発 | 図鑑の文章では直接の中心表現ではないが、生息地喪失に含まれる | 現在のKim Bangでは採石、粉じん、騒音、生息地の縮小が大きく問題視されている。コシジロラングールは石灰岩地形に依存するため、採石は生息地そのものを削る脅威。 |
| 法的保護 | 近年、法的保護が強化されたと記載 | 現在もベトナム国内で高い保護対象とされる。2023年版ベトナムレッドデータブックでもCR、政府法令でも最高水準の保護対象とされている。 |
| CITES | 図鑑本文には明示されていない可能性がある | CITES附属書IIに掲載。国際取引は、種の存続を害しないよう管理対象とされる。 |
| 保全活動 | 国際保護組織やベトナム政府の取り組みで保護レベルを高める必要があると記載 | Van Longでは森林保護当局、地域レンジャー、EPRCなどによる保護・監視が継続。Kim Bangでは保護区設定を求める要請が2016年以降続き、2025年にも自然保護団体が正式な保護区化を強く求めている。 |
| 調査技術 | 目視調査や既存調査が中心だった時代 | 近年はドローン、熱画像カメラなどを使った調査が進み、アクセス困難な石灰岩地形でも個体数把握の精度を高めようとしている。 |
| 2014年からの良い変化 | 「絶滅にきわめて近い」とされ、希望材料は限定的 | Kim Bangで第二の大きな個体群が確認され、Van Longだけに依存しない保全戦略を描ける可能性が出た。これは明確な前進。 |
| 2014年から変わらない悪い点 | 成体250未満、分断、狩猟、生息地喪失 | CRのまま、成熟個体数240〜250頭、減少傾向。分断・採石・狩猟・罠・違法伐採は現在も続いている。 |
| 現在の総合評価 | 絶滅にきわめて近い状態 | 2026年現在も、絶滅にきわめて近い状態にある。ただし「完全に打つ手がない」という状態ではなく、Van LongとKim Bangを軸にした保全を強化できれば、回復の余地は残っている。 |
出典
- IUCN Red List|Trachypithecus delacouri
https://www.iucnredlist.org/species/22043/17958988 - Oryx|Good news for the Critically Endangered Delacour’s langur
https://www.oryxthejournal.org/blog/good-news-for-the-critically-endangered-delacours-langur/ - SSRN / Biological Conservation関連|Kim Bangでのドローン個体数調査
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=4863462 - PanNature|Kim Bang保護区化を求める2025年の記事
https://www.nature.org.vn/en/organisations-urge-habitat-conservation-area-for-delacours-langur/ - Endangered Primate Rescue Center|Delacour’s Langur 解説
https://www.eprc.asia/delacours-langur/
コシジロラングールは、2014年の図鑑で「成体250未満」「絶滅にきわめて近い」とされた危機的状況から、2026年現在も大きく改善していない。IUCNでは現在もCR、成熟個体数は240〜250頭、個体数傾向も減少のままである。狩猟は法的保護により一部抑えられているが、採石、森林伐採、罠、生息地分断は続いている。一方で、Kim Bang地域で第二の重要個体群が確認され、Van Longだけに依存しない保全の可能性が見え始めている。危機は続くが、守るべき場所はより明確になってきた。
⬇︎コシジロラングールの保護活動の種類です。必要なら開いてください。
確認できる範囲では、コシジロラングール(Trachypithecus delacouri / Delacour’s langur)の保全は、ベトナム北部の石灰岩カルスト林を守ること、狩猟・密猟を止めること、Van Long・Kim Bang などの重要個体群を長期的に維持することが中心です。IUCNでは深刻な絶滅危惧種として扱われ、Van Long Nature Reserve と Kim Bang の個体群が現在の保全上の柱になっています。(IUCN Red List)
| 保護活動の種類 | 内容 | 実施・提案の状況 | 重要度 | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| 石灰岩カルスト林の保護 | ベトナム北部の石灰岩山地、崖、洞窟、林地を守る | 実施中・強化必要 | 最重要 | 本種は石灰岩カルスト地形に強く依存するため、森林だけでなく岩山・崖・洞窟を含む景観全体の保全が必要 |
| Van Long Nature Reserve の保全 | 最大級の生息地である Van Long 湿地自然保護区を保護・管理する | 実施中 | 最重要 | Van Long は本種最大級の個体群を抱える重要拠点。近年の資料では約150〜160個体が確認され、保護区設立時より増加したとされる |
| Kim Bang 個体群の保全 | Kim Bang 石灰岩林の個体群を守る | 実施中・強化必要 | 最重要 | Kim Bang は Van Long に次ぐ重要個体群とされ、2025年報道では120〜150個体規模と推定されている |
| Kim Bang Species and Habitat Conservation Area の指定・管理 | Kim Bang の石灰岩林を種・生息地保全区域として保護する | 実施・推進中 | 最重要 | UNESCO暫定リストでは、Kim Bang Species & Habitat Conservation Area が厳格に保護される種・生息地保全区域として説明されている |
| Van Long–Kim Bang–Tam Chuc の一体的保全 | 分断された重要生息地を広域の保全景観として扱う | 提案・国際評価あり | 最重要 | UNESCO暫定リストでは Van Long、Kim Bang、Tam Chuc を結ぶ保全景観が示されており、孤立個体群の長期存続に重要 |
| 保護区の拡張 | 既存保護区の境界外にある重要個体群や森林を追加保護する | 提案・一部推進 | 高い | 本種は保護区外にも残存するため、Van Long だけでは不十分。Kim Bang などの保護区外・準保護区の強化が重要 |
| 生息地連結 | 石灰岩林の断片をできる限りつなぎ、個体群の孤立を減らす | 必要 | 高い | 個体群が小さく分断されているため、遺伝的孤立や局所絶滅のリスクが高い |
| 石灰岩採石・セメント開発の抑制 | 採石場、セメント原料採掘、道路造成によるカルスト山地の破壊を止める | 必要・強化必要 | 最重要 | 石灰岩カルストそのものが生息地であり、採石は森林破壊以上に不可逆的な生息地消失になる |
| 森林伐採対策 | 薪、建材、農地拡大などによる森林伐採を抑える | 実施中・強化必要 | 高い | 森林が減ると採食場所、移動路、休息場所が失われる |
| 狩猟・密猟対策 | 伝統薬、食用、違法取引目的の捕獲・銃猟・罠猟を止める | 実施中・強化必要 | 最重要 | EPRCは、伝統薬目的の狩猟を主要脅威として挙げている |
| 罠の撤去 | 森林内に設置された罠を発見・撤去する | 実施・必要 | 高い | 直接狙われる場合だけでなく、他の野生動物用の罠にかかるリスクもある |
| レンジャーパトロール | 保護区職員や地域保護チームが巡回し、狩猟・伐採・採石・侵入を監視する | 実施中 | 最重要 | 保護区指定だけでは不十分で、現場での継続的な監視と法執行が必要 |
| 法執行の強化 | 違法狩猟、野生動物取引、採石、森林破壊に対して罰則を適用する | 実施中・強化必要 | 最重要 | 本種はベトナム国内法で高い保護対象とされ、CITESにも掲載される |
| ベトナム国内法による保護 | 国内の希少野生動物保護制度で最高レベルに近い保護を行う | 実施中 | 高い | EPRCは、ベトナム・レッドデータブックで深刻な絶滅危惧、国内法で保護対象と説明している |
| CITES による国際取引規制 | 国際取引を規制し、違法取引を抑える | 実施中 | 中〜高 | 主脅威は国内の狩猟・生息地破壊だが、国際取引規制は法的保護の基盤になる |
| 生息地利用調査 | どの崖、森、洞窟、採食場所、休息場所を使うかを調べる | 実施・継続必要 | 高い | 石灰岩地形の利用を把握することで、採石禁止区域や保護区境界の設定に役立つ |
| 個体数調査 | 群れ数、個体数、幼獣の有無、性年齢構成を定期的に調べる | 実施中 | 最重要 | 個体数が少ないため、増減傾向を把握することが保全判断の基礎になる |
| ドローン調査 | 光学カメラ・熱赤外カメラを搭載したドローンで、険しいカルスト地形の個体を調査する | 実施中 | 高い | 2024年研究では、Kim Bang Forest でドローンを使った個体群調査が行われ、険しい地形での調査手法として有効性が示された |
| 熱赤外線調査 | 熱画像で林内や崖地の個体を検出する | 実施・試験中 | 高い | 通常の目視調査が難しい石灰岩地形では、熱赤外線機器が補助的に役立つ |
| 地上目視調査 | 双眼鏡・望遠鏡で群れを確認し、個体数や行動を記録する | 実施中 | 高い | Van Long や Kim Bang のような崖地では、地上観察が基本的な調査手法になる |
| カメラトラップ | 森林内や移動経路に自動撮影カメラを設置する | 実施・提案 | 中〜高 | 樹上・崖地利用が多いため万能ではないが、人が入りにくい場所の確認に役立つ |
| 長期モニタリング | 同じ場所・同じ方法で継続的に個体群を追跡する | 必要 | 最重要 | 一度の調査では増減を判断できない。小個体群では短期間の減少も致命的になりうる |
| 地域住民参加型モニタリング | 地元住民が観察、巡視、通報、データ記録に参加する | 実施中 | 高い | Kim Bang では地域ベースのモニタリングと個体群存続可能性評価の取り組みがある |
| 個体群存続可能性分析 | 現在の個体数、繁殖率、死亡率、脅威を使って将来の絶滅リスクを評価する | 実施・必要 | 高い | Kim Bang では長期保全優先順位を決めるための個体群存続可能性分析が進められた |
| 遺伝的多様性調査 | 小さく孤立した個体群の近親交配や遺伝的多様性を調べる | 必要 | 高い | 分断個体群では、個体数だけでなく遺伝的健全性も重要 |
| 非侵襲的DNA採取 | 糞や毛などからDNAを採取し、個体識別や遺伝解析に使う | 提案・一部実施 | 中〜高 | Rufford の Kim Bang プロジェクトでは、非侵襲的DNAサンプル収集が目的に含まれている |
| 食性調査 | 食べる葉、果実、花、季節変化を調べる | 実施・必要 | 中〜高 | 採食植物が分かると、森林再生や重要植物の保護に役立つ |
| 採食植物の保全 | 本種が利用する植物種を保護し、再生する | 必要 | 高い | 石灰岩林を守るだけでなく、実際に食べる植物群落を維持する必要がある |
| 森林再生 | 劣化した石灰岩林、二次林、林縁部を回復させる | 必要 | 高い | ただし岩山地形では再生に時間がかかるため、既存林を壊さないことが最優先 |
| 緩衝地帯管理 | 保護区周辺で農地化、伐採、採石、観光開発の影響を弱める | 必要 | 高い | 森林と人間活動の境界で攪乱が強まりやすい |
| 観光管理 | 観光船、展望地、登山、洞窟観光、撮影などによる攪乱を管理する | 必要・一部実施 | 中〜高 | Van Long は観光地でもあるため、観光収益を保全に回しつつ、接近・騒音・餌付けを避ける管理が必要 |
| エコツーリズム | 野生のコシジロラングール観察を、地域収入と保全意識向上につなげる | 実施中 | 中〜高 | Van Long では本種が保全観光の象徴になっており、適切に管理すれば地域が保護に関わる動機になる |
| 地元ガイド育成 | ラングール観察や自然解説ができるガイドを育てる | 実施・必要 | 中 | 観光収益を地域に残し、密猟ではなく保全で暮らす選択肢を作る |
| 住民向け環境教育 | 学校、村落、観光関係者に本種とカルスト林の重要性を伝える | 実施中・強化必要 | 高い | 密猟や森林利用の削減には、法執行だけでなく地域理解が不可欠 |
| コミュニティ保全区域 | 地域が管理に関わる保全区域をつくり、資源利用ルールを整える | 実施・提案 | 高い | Van Long では地域社会の過剰利用が過去の問題として挙げられ、住民参加型の保全が重要 |
| 代替生計支援 | 狩猟、伐採、採石に頼らない収入源を作る | 必要 | 高い | エコツーリズム、ガイド、手工芸、持続可能な農業などが候補 |
| 資源利用の調整 | 薪採取、放牧、山菜・薬草採取、洞窟利用などを管理する | 必要 | 中〜高 | 地域住民の生活利用を完全に無視せず、保全と両立する利用ルールが必要 |
| 採石企業への規制 | 石灰岩採掘企業に対し、重要生息地の回避、操業制限、復元義務を求める | 必要 | 最重要 | 採石は本種の生息地そのものを削るため、回避が基本。復元では代替しにくい |
| 開発アセスメント | 道路、観光施設、採石、工業開発の前に、生息地影響評価を行う | 必要 | 高い | 小個体群では、小規模開発でも移動路や休息地の喪失につながる |
| 重要生息地の地図化 | 群れの分布、崖、洞窟、採食林、移動路を地図にする | 実施・必要 | 高い | 保護区境界、採石禁止区域、観光ルート設計の基礎になる |
| 小個体群の保護 | Hoa Binh、Thanh Hoa、Ninh Binh 周辺などに残る小個体群を保護する | 必要 | 高い | Van Long と Kim Bang だけでなく、小さな残存群も遺伝的・分布的に重要 |
| 局所絶滅地の確認 | かつての生息地で現在も残っているか、絶滅したかを確認する | 必要 | 中〜高 | 分布域の実態を把握し、保全優先順位を決めるために必要 |
| 重要個体群の優先順位化 | Van Long、Kim Bang、その他小個体群の緊急度を比較し、資源配分を決める | 必要 | 高い | 個体群サイズ、繁殖状況、脅威、保護状況をもとに優先順位を決める |
| 救護・押収個体の保護 | 密猟や違法飼育から救出された個体を保護する | 実施中 | 高い | Cuc Phuong National Park の Endangered Primate Rescue Center が重要な役割を担う |
| Endangered Primate Rescue Center での飼育 | 救出個体を収容し、治療・飼育・繁殖を行う | 実施中 | 高い | EPRC は本種を含むベトナム希少霊長類の救護・繁殖施設として機能している |
| 飼育下繁殖 | 救護個体をもとに飼育下で繁殖させる | 実施中 | 中〜高 | EPRC は本種の繁殖成功を含む希少霊長類の繁殖実績を持つ |
| 再導入 | 飼育・救護・繁殖個体を適切な保護区へ戻す | 実施あり | 中〜高 | 2011年に Van Long Nature Reserve へ計画的な再導入が行われた記録がある |
| 再導入後モニタリング | 放獣個体の生存、移動、群れへの合流、繁殖を確認する | 必要 | 高い | 再導入は放して終わりではなく、長期追跡が不可欠 |
| 遺伝管理された繁殖 | 飼育個体の血統を管理し、近親交配を避ける | 必要 | 中〜高 | 野生個体群が少ないため、飼育個体は将来の保全資源になりうる |
| 国際NGOとの連携 | Fauna & Flora、Rainforest Trust、Frankfurt Zoological Society などと協力する | 実施中 | 高い | Kim Bang 保護区化、EPRC、Van Long 保全などに国際団体が関与している |
| ベトナム政府・地方行政との連携 | 省政府、保護区管理委員会、森林保護局などが管理を担う | 実施中 | 最重要 | 法的指定、レンジャー配置、採石規制、観光管理は行政の実行力が必要 |
| 研究者・大学との連携 | 個体群調査、ドローン調査、食性研究、PVA、遺伝研究を進める | 実施中 | 高い | 科学的根拠に基づく保全計画には継続的な研究が必要 |
| 国際的な資金確保 | 保護区化、調査、地域協働、レンジャー活動の資金を確保する | 実施中・必要 | 高い | Rainforest Trust などが Kim Bang 保全区域指定支援の資金調達を行っている |
| 緊急保全計画 | ベトナム霊長類緊急保全行動計画に基づき、優先保護種として扱う | 実施中 | 高い | ベトナムでは2025年まで、2030年ビジョンの霊長類緊急保全行動計画が作成されている |
| レッドリスト更新 | IUCN、ベトナム・レッドデータブックで最新状況を評価する | 実施中 | 高い | 2025年報道では、IUCNと2023年ベトナム・レッドデータブックの双方でCRとされる |
| 普及啓発キャンペーン | 本種をベトナム固有の象徴的霊長類として広く知らせる | 実施・必要 | 中〜高 | 小さな生息地を守るには、地域だけでなく国内外の支持が必要 |
| 観光収益の保全還元 | Van Long などの観光収入を保護区管理や地域協働へ回す | 必要 | 高い | 観光が増えるだけでは保全にならない。収益が監視・教育・地域支援に戻る仕組みが重要 |
| 騒音・接近規制 | ボート、ドローン、観光客、写真撮影による過度な接近を制限する | 必要 | 中〜高 | 観察圧が高まると、採食・休息・繁殖に影響する可能性がある |
| 餌付け禁止 | 観光目的の餌付けを避け、自然行動を維持する | 必要 | 中 | 霊長類では餌付けが行動変化、病気、人間依存を招きやすい |
| 人獣共通感染症対策 | 観光客、研究者、救護施設からの感染リスクを管理する | 必要 | 中〜高 | 小個体群では感染症流行が大きな打撃になりうる |
| 気候変動影響評価 | 気温・降雨変化が石灰岩林や採食植物に与える影響を評価する | 必要 | 中 | 主脅威は狩猟と生息地破壊だが、長期的には気候変動も無視できない |
| 保全成功地の知見共有 | Van Long の個体数回復事例を他地域へ応用する | 実施可能 | 高い | Van Long では保護区設立後に個体数増加が報告されており、Kim Bang などへの応用価値がある |
| 緊急性の高い生息地保護 | 採石・開発前に重要カルスト林を速やかに法的保護下に置く | 必要 | 最重要 | この種では「あとで復元する」より「壊す前に止める」ことが決定的に重要 |
出典
- IUCN Red List|Trachypithecus delacouri
https://www.iucnredlist.org/species/22043/17958988 - Fauna & Flora|Conserving Delacour’s langur in Vietnam
https://www.fauna-flora.org/projects/conserving-delacours-langur-vietnam/ - Endangered Primate Rescue Center|Delacour’s Langur
https://www.eprc.asia/delacours-langur/ - UNESCO World Heritage Centre|Van Long–Kim Bang–Tam Chuc Sanctuary: Delacour’s Langur Conservation Landscape
https://whc.unesco.org/en/tentativelists/6971/ - VietnamPlus|Organisations urge habitat conservation area for Delacour’s langur
https://en.vietnamplus.vn/organisations-urge-habitat-conservation-area-for-delacours-langur-post324961.vnp
最後に
Questioner: Limestone mining, illegal logging, gathering firewood, building roads, developing tourism… it all just comes down to human convenience, doesn’t it?
Me: Exactly. And it looks like large-scale limestone mining for cement production is doing the most damage.
Questioner: Now that I think about it, Vietnam’s economy is booming right now. So maybe they don’t even export the cement—maybe they just need it all to fuel their own domestic development?
Me: That’s a really strong possibility. I’ll dig into that a bit more.
質問者:石灰岩採石、鉱山開発、違法伐採、薪採取、道路・観光開発これ全部人間の都合だよね。
私:とくにセメント製造のための大規模な石灰岩採掘の影響が大きそうです。
質問者:そういえばベトナムって急激に経済が発展してるイメージがあるよね。だから、セメントが輸出とかじゃなくて自国の開発のために必要なのかな。
私:その線が濃そうですね。そのあたり調べます。
「自国の開発」と「世界最大のセメント輸出国」の二面性
ベトナムが急速な経済成長の真っ只中にあり、国内の建設ラッシュが続いているのは事実です。
- ベトナムでは国道や空港(ロンタイン国際空港など)、手頃な価格の住宅などの大規模なインフラ整備が進行しており、これが国内のセメント需要を大きく押し上げています。
- しかし同時に、ベトナムは世界最大のセメント輸出国でもあります。
- 2022年のデータでは、年間約1億1800万トンのセメントを生産し、そのうち約3100万トンを海外へ輸出しています。
- 主な輸出先はバングラデシュ、フィリピン、中国、アメリカなど多岐にわたります。
- 近年では、中東や南米における建設活動の活発化に伴い、ベトナム産セメントへの需要がさらに急増しています。
つまり、あのカルスト地形の石灰岩は、ベトナム国内のビルや道路になるだけでなく、海を渡って世界中の「人間の都合」で作られるコンクリートの材料になっているのです。
生息地「カルスト地形」の特異性と、引き返せない破壊
コシジロラングールなどが住む石灰岩の岩山(カルスト地形)は、ただの山ではなく、特異な生態系を持つ「命のゆりかご」です。
- セメントの主原料は石灰石であり、工場は必然的にこれらの山の近くに建設され、山そのものを削り取って生産が行われます。
- カルスト地形は地理的な孤立により独自の進化を遂げた固有の動植物が多く存在するため、採掘による生息地の破壊は、その地域でしか生きられない種(固有種)の消滅に直結します。
- IUCN(国際自然保護連合)はセメント企業と提携し、採掘の影響を相殺するために自然保護区(キエンルオン・カルスト自然保護区など)の設立を提案するなどの保護活動も模索されています。
気候変動と「現状維持依存」のジレンマ
さらに、生息地の直接的な破壊だけでなく、気候変動の観点からもセメント産業は非常に大きな負荷をかけています。
- セメント製造は、石灰石の焼成プロセスと化石燃料の燃焼により、莫大な二酸化炭素(CO2)を排出します。
- ベトナム国家全体のCO2排出量のうち、なんと約33%がセメント製造関連から排出されていると推定されています。
出典
- MDPI Sustainability|Toward Cleaner and More Sustainable Cement Production in Vietnam via Carbon Capture and Storage
https://www.mdpi.com/2071-1050/16/2/942 - Rainforest Trust|A Race Against Time to Protect the Delacour’s Langur
https://www.rainforesttrust.org/urgent-projects/a-race-against-time-to-protect-the-delacours-langur/ - IUCN|IUCN-Holcim partnership in Vietnam
https://iucn.org/content/iucn-holcim-partnership-vietnam - Vietnam News|Central Việt Nam’s cement industry missing out as global demand surges
https://vietnamnews.vn/economy/1783857/central-viet-nam-s-cement-industry-missing-out-as-global-demand-surges.html
Questioner: So they aren’t just fueling their own development—they’re acting as a concrete factory for the rest of the world, too.
Me: Exactly, and the massive amount of CO2 emitted during the cement manufacturing process is a huge issue in itself. To carve out those mountains, they first have to clear-cut the forests. Then they have to pave access roads to the factories. So ultimately, the forests and limestone mountains that these langurs once called home are slowly being swallowed up by quarries, factories, roads, and settlements for the workers.
Questioner: Wait, if they’re exporting all of that… does that mean the concrete walls in my own house could have come from the exact same place those langurs used to live?
Me: It’s entirely possible. The concrete walls we pass by every single day without a second thought might just be the very limestone mountains where those langurs used to look up at the sky.
Questioner: It really makes you realize… our comfortable, convenient lives aren’t just something we built on our own. They’re built on the back of someone’s labor halfway across the world, and the silent sacrifices of the wildlife that used to live there.
Thank you for taking five valuable minutes out of your day to read this.
I pray that those five minutes will somehow reach the Delacour’s langurs.
鶏人|Keijin
質問者:自国の開発だけじゃなくて世界のコンクリート工場でもあったんだね。
私:そのコンクリートの元になるセメントを製造するとき大量の二酸化炭素を排出することも問題です。山を削るためには、森林を伐採しないといけません。そして、セメント工場にアクセスする道も必要となるでしょう。その結果コシジロラングールたちが暮らしていた森や石灰岩の山々は、採石場や工場、道路、そこで働く人たちの生活圏へと変わってきているのでしょうね。
質問者:輸出してるってことはさ、僕の家のコンクリートでできた壁も、もしかしたらベトナムのコシジロラングールさんたちが暮らしていたところで作られた可能性もあるよね。
私:そうですね。私たちが何気なく見ているコンクリートの壁は、もしかしたら彼らが空を見上げていた石灰岩の山だったのかもしれませんね。
質問者:便利な生活って、僕たちだけで作られているんじゃなくて、世界中のどこかの誰かが働いてくれて、その場所で暮らしていた動植物たちが我慢してくれていることで成り立っているんだね。
貴重な5分間を、ありがとうございました。
コシジロラングールに、その5分が届くことを祈ります。
鶏人|Keijin
【お知らせ】
この記事の要約版は「note」でも配信しています。
サクッと概要だけ振り返りたい方や、noteをご利用の方は、ぜひそちらもフォロー&チェックしてみてくださいね。
⬇︎お待ちしております。⬇︎





コメント