11年後のレッドリスト|キタイタチキツネザル:終わりを告げる鐘が、森に響きはじめた【IUCNレッドリスト比較】

キタイタチキツネザル 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

キタイタチキツネザル(Lepilemur septentrionalis)は、

2014年、図鑑に【CR:深刻な危機】として分類されていました。

2020年、IUCNレッドリストで【CR:深刻な危機】と評価されました。

つまり、2014年から2020年にかけて、

キタイタチキツネザルは「終わりを告げる鐘が、森に響きはじめた」状態なのです。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるキタイタチキツネザルの最新評価は2020年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでくれると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/11622/115567059

「石炭」ではなく「木炭」|図鑑とIUCNの情報のズレ

⬇︎キタイタチキツネザルの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|キタイタチキツネザル(Sahafary Sportive Lemur)
項目情報
和名キタイタチキツネザル
英名Sahafary Sportive Lemur
学名Lepilemur septentrionalis
分類哺乳類・原猿類・キツネザル科
分布マダガスカル北部の限られた乾燥林
主な生息地アンカラナ保護区、モントニャン・ダンブル自然保護区周辺の乾燥落葉林
体長約52〜59cm(尾を含む)/体長は約22〜27cm
体重約0.7〜0.9kg
寿命野生で約8〜10年(飼育下ではそれ以上も)
IUCN評価CR(深刻な危機/Critically Endangered)

特徴

  • 名前の由来:「スポーティブ(sportive)」は後ろ足で立ち上がる姿勢が活発に見えることから名付けられた。
  • 外見:灰褐色の体毛で大きな目を持ち、夜行性に適応している。
  • 適応:乾燥林に暮らすため、限られた水分は食物から摂取する。
  • 鳴き声:仲間とのコミュニケーションのために、甲高い声で鳴くことがある。

生態と行動

  • 食性:主に葉を食べる(葉食性)。ときに果実や花も摂取する。
  • 行動様式:夜行性で、昼間は樹洞や茂みで休み、夜に活動する。
  • 社会性:基本的に単独性で暮らすが、母子のつながりは強い。
  • 繁殖:年に1度、1匹の子を産む。子育ては母親が単独で行う。
  • 脅威:森林伐採による生息地の縮小、狩猟による捕獲。
  • 個体数:現在、野生で数百頭程度と推定され、極めて危機的な状況。

2014年絶滅危惧種:キタイタチキツネザル【CR:深刻な危機】

マダガスカルの他の現生動物相の多くと同様、生息地の損失がこの種にとって最大の脅威であり、石炭生産のためにこの種の生息に適した森林域が伐採され、劇的に減少している。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

図鑑には、『石炭生産』と記載されているが、IUCN(国際自然保護連合)の公式な報告によると、主な脅威は調理用の燃料などを作るための『木炭生産』であることが指摘されている。

最大の脅威は、違法な薪炭生産による森林減少です。この種は、こうした違法な木炭生産活動の際に、食料として捕獲されることもあります。
出典:IUCN Red List(脅威の詳細より)

しかし、マダガスカルで生産される木炭が全世界に輸出されているという事実はほとんどなく、その生産のほぼ全てが、マダガスカル国内で消費されている。

理由詳細補足
圧倒的な国内需要・国民の約80%以上が調理・暖房に木炭と薪を依存
・都市部では木炭なしでは生活不可
電気・ガスは未整備または高額で利用困難
巨大な国内市場・貧困層にとって木炭が唯一のエネルギー源
・国内販売だけで十分な収益が得られる
輸出の必要性が低い
経済的・物流的な問題・木炭は安価で重量・かさが大きく輸送コストに不利
・国際貿易に向かない
輸出すると利益が出にくい
輸出するメリットがない・先進国はクリーンエネルギー普及済みで需要が少ない国内消費が優先され

結果、生息地を直接脅かしている「木炭生産」は、「マダガスカル国内のエネルギー問題を背景とした、国内で完結する経済活動」であるという点が、問題の解決を難しくしている大きな要因である。

⬇︎キタイタチキツネザルの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
生息地の保護マダガスカル北部の乾燥林を保護し、農業拡大や薪炭利用による森林破壊から守る
保護区の設定アンカラナ特別保護区や周辺森林を管理し、生息域を保全
法的保護マダガスカル国内法で絶滅危惧種に指定され、捕獲や取引を禁止
国際的な取引規制ワシントン条約(CITES)附属書Ⅰにより、国際取引を全面禁止
地域社会の参加地域住民と協力した森林管理・環境教育を通じて持続的利用を推進
研究とモニタリング個体数や分布調査、夜行性行動の研究を継続し、保全計画に活用

主な取り組み

  • 生息地保全:北マダガスカルの乾燥林を農業・伐採から守る
  • 保護区管理:アンカラナ保護区などで森林を管理
  • 国内法保護:捕獲・販売を禁止する国内法の適用
  • 国際規制:CITES附属書Ⅰで国際取引を禁止
  • 地域協力:住民と協力して森林保全や環境教育を実施
  • 科学研究:夜行性の生態・個体数をモニタリング

最後に

これを読んでみて、どのように感じましたか?

「図鑑も間違えるんだね」

と、驚きましたか?

「情報の賞味期限ってあるよね」

と、常に新鮮な情報を知りたい?

感じ方は、十人十色あると思います。


観点内容補足
情報の「賞味期限」・生物研究や絶滅危惧種の状況は常に変化
・出版までのタイムラグで情報が古くなる
IUCNは定期的に更新されるが、図鑑は出版時点で固定
翻訳の難しさ・”Charcoal”(木炭)を「石炭」と誤訳した可能性
・専門用語の正確な翻訳には高度な知識が必要
翻訳者が必ずしも専門家とは限らない
専門性と網羅性のトレードオフ・図鑑は多種を広く浅く紹介するため簡略化しがち
・社会経済背景を十分に反映できない
IUCN評価は現地研究者を含む専門チームによる詳細調査

今回感じたことだが、一つの情報源をうのみにせず、疑問に思ったことを調べて、より信頼性の高い情報源(今回はIUCN)にたどり着く、というプロセスは非常に大切だと感じた。

図鑑が学びへの素晴らしい入り口であることは間違いない。

しかし、そこから一歩進んで探求することで、より深く正確な知識にたどり着ける。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な命である5分間を本当にありがとうございました。

キタイタチキツネザルに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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