11年後のレッドリスト|シナモクレンモドキ:人知れず、霧の中で春を待ち続けている【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|シナモクレンモドキ:人知れず、霧の中で春を待ち続けている【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
※当サイトはアフィリエイト広告による収益を得ています。

こんにちは、fukumomo3_photo です。

シナモクレンモドキ(Magnolia sinica)は、

2014年、図鑑に【CR:深刻な危機】として分類されていました。

2014年、IUCNレッドリストで、【CR:深刻な危機】と評価されました。

つまり、2014年から、シナモクレンモドキは

「人知れず、霧の中で春を待ち続けている」状態なのです。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるシナモクレンモドキの最新評価は2014年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/34965/2857885

広すぎる国の中で、守りきれない命がある。

⬇︎シナモクレンモドキの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|シナモクレンモドキ(Huagaimu)
項目情報
和名シナモクレンモドキ
英名Huagaimu
学名Magnolia sinica
分類被子植物・モクレン科(Magnoliaceae)
分布中国・雲南省南東部(限定的な地域
主な生息地標高1,300〜1,700mの常緑広葉樹林帯
樹高最大で約40mに達する個体もある(成長可能性)
寿命長寿の樹木で、数十年から百年単位と推定される(詳細なデータは限られる)
IUCN評価CR:深刻な危機(Critically Endangered)

特徴

  • 非常に希少なモクレン科植物で、野生個体数は約50本程度と推定される
  • 大きく芳香のある花を咲かせる性質がある
  • 自家受粉が可能である一方、受粉には昆虫など他者助けがあるほうが果実・種子生産率が上がると報告されている
  • 過去に材用として伐採された記録があり、また種子採取による個体の減少も懸念されている

生態と行動

  • 生育域は非常に限定されており、生息地破壊・乱開発に非常に弱い
  • 種子の発芽・生育・定着率が低く、自然更新は遅い
  • 種子の外植(ex situ conservation)や移植・強化(reinforcement)による保全活動が行われており、野外への戻し(reintroduction)が試みられている
  • 遺伝的多様性の確保、保護区域の拡大、地元住民との協働による環境保全が重要課題とされている

2014年絶滅危惧種:シナモクレンモドキ【CR:深刻な危機】

2005~06年の調査では、10本ほどの成木が見つかっただけだったが、その後の調査で40本ほどの樹が見つかり、全部で50本ほどは自生している。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

項目内容
最新評価年2014年(IUCNレッドリスト ver.2014)
※2025年時点でも更新なし
分類被子植物門 マグノリア科(モクレン科)
IUCNカテゴリー絶滅危惧IA類(CR:Critically Endangered)
野生個体数約50本前後(最新調査では52個体と報告)
主な生息地中国・雲南省の高地森林地帯
保護地域Xiaoqiaogou国立自然保護区 など
主な保護活動・生息地の保護(外来植物の除去、環境回復)
・昆明植物園などでの苗木育成と植え戻し(400本以上)
・地域住民への啓発・教育活動
主な脅威要因・農地開発による生息地の破壊
・木材目的での伐採
・園芸目的の種子乱獲
現状の傾向個体数は2014年以降も横ばいで、依然として深刻な危機状態が続く。
一方で、国内の研究者・保護団体により、再生への取り組みが着実に進められている。

シナモクレンモドキの野生での個体数は、2014年頃から横ばいで、依然として絶滅の危機に瀕した状況が続いている。

しかし、研究者や保護団体による懸命な保護活動により、個体数を増やし、将来にわたってこの貴重な種を存続させるための努力が続けられている。

⬇︎シナモクレンモドキの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
生息地の保全中国南西部・雲南省金平県の天然林を保護し、伐採や開発から隔離する措置を実施
保護区の設定「金平自然保護区(Jinping Nature Reserve)」を中心に生息地を含む地域を法的に保護
違法伐採防止木材利用・農地開発による伐採を禁止し、監視体制を強化
人工増殖・再導入残存個体から採取した種子を植物園で育苗し、再導入プログラムを実施
遺伝資源の保存種子バンク・植物園・研究機関で遺伝的多様性を確保し、絶滅リスクに備える
研究とモニタリング個体群サイズ・開花・結実状況・遺伝構造などを継続的に調査・記録
地域社会の参加地元住民への教育・植樹活動・環境啓発を通じて保全意識を高める

主な取り組み

  • 森林保護:雲南省金平県の天然林を伐採・農地化から守る
  • 保護区設立:金平自然保護区を中心に分布域を法的に保全
  • 違法伐採防止:地元政府と協力し、監視と規制を強化
  • 人工繁殖:昆明植物研究所などで苗木を育て再導入
  • 遺伝保存:種子バンクや植物園で遺伝的多様性を維持
  • 長期研究:個体数・繁殖力・遺伝的多様性のモニタリング
  • 地域参加:住民による植樹や環境教育を通じた意識向上

最後に

これを読んでみて、どのように感じましたか?

「中国が広いからなのかな?」

領土の広さが問題なのでしょうか?

その背景を調べてみますね。


領土の広さ自体が直接的な原因ではないが、絶滅の危機に至る背景として間接的に大きく影響していると考えられる。

観点領土の広さがもたらす影響
直接的な原因か?いいえ。直接の原因は生息地の破壊や乱獲です。
間接的な関係は?はい。「広大な国土 × 急速な経済発展」という構図が、生息地破壊などの問題を大規模かつ深刻にしていると考えられます。
プラスの側面(光)・多様な気候や地形が存在し、多様な生物を育む環境が整う。
・中国は「メガダイバース国家」として世界でも有数の生物多様性を誇る。
マイナスの側面(影)・急速な経済発展による農地・都市開発、ダム建設などが生息地を圧迫。
・広大すぎるため、環境保護の監視・法令の徹底が困難。
・沿岸部と内陸部の経済格差により、保護体制の地域差が生まれる。
シナモクレンモドキへの影響雲南省という限られた地域に生息しており、開発の影響を受けやすい。
農地開発や木材伐採によって、わずかな生息地が一気に失われる危険がある。

「国土が広いと経済発展の地域によるばらつきも影響するよね」

さらに深掘りしてみますね。


中国の経済は、上海や深圳といった沿岸部で目覚ましく発展する一方、内陸部や西部地域は発展が遅れがちで、大きな経済格差が存在する。

この格差が、環境に対して二重の悪影響を与えている。

観点経済的に発展が遅れている地域(内陸・西部)経済的に発展した地域(沿岸部)
主な特徴希少生物の生息地が多く、自然が豊かだが経済的に脆弱。経済力が高く、消費と開発が進む都市圏。
主な環境問題生息地の破壊、森林伐採、土壌汚染。
短期的な利益を優先する開発が多い。
大気汚染、水質汚濁、産業廃棄物の増加。
環境規制の強化が進む一方で新たな課題も。
構造的な要因財政的余裕がなく、環境保全への投資や監視体制が不足。
「開発優先」の政策が優先されやすい。
経済活動の集中による過剰な消費と資源需要。
環境対策コストの増大。
他地域への影響希少生物の絶滅、天然資源の枯渇。
沿岸部への資源供給により環境負担が増大。
汚染産業の内陸移転(公害の輸出)。
内陸資源の過剰消費による環境悪化。
シナモクレンモドキとの関連雲南省の限られた地域で、農地開発や伐採の脅威に直面。
経済的要因と密接に関係している。
沿岸部の経済成長が、間接的に内陸部の自然破壊を加速させている。

単に「中国」と一括りにするのではなく、国内に存在する経済格差という視点を持つことが、シナモクレンモドキが置かれているような状況をより深く理解する鍵となります。

この問題をさらに縮小して、国から市町村などの地域社会の構図に当てはめてみても、同じような現象が起きていると感じます。

そして、残念ながらこれらを根本的に解決する策を、私はどれだけ調べてもいまだ見つけることができず、今もその答えを探す旅の途中にいます。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

シナモクレンモドキに、あなたの5分が届くことを祈ります。

fukumomo3_photo


インスタでは、シナモクレンモドキたちの姿を“図鑑みたいに”並べて見られます。
ビジュアルで伝える命の物語、よかったらのぞいてみてください。

コメント