※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
こんにちは、鶏人|Keijin です。
今回は、アンタノシーヒルヤモリ(学名:Phelsuma antanosy)と、「酸化チタンの関係」って話です。
2014年の図鑑では、このヤモリさんは、チタン鉄鉱の採掘が始まったことで生息地が消えたと推定されて、「CR:深刻な危機」と評価されていました。
ところが最新のレッドリストでは、個体数が減っているにもかかわらず、2025年に「EN:危機」へダウンリストしています。
アンタノシーヒルヤモリは今、「森を追われ、白に染められる」状態なのだと思います。
この記事は短く、5分で読めます。
よかったら最後まで読んでください。
※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2025評価(2025年公開)です(以降の更新は、現時点では確認できていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Phelsuma antanosy)
森が削られる原因は「白い粉」だった
⬇︎アンタノシーヒルヤモリの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 和名 | アンタノシーヒルヤモリ |
| 英名 | Antanosy Day Gecko |
| 学名 | Phelsuma antanosy |
| 分類 | 爬虫類・有鱗目(トカゲ目)・ヤモリ科(Gekkonidae)・ヒルヤモリ属(Phelsuma) |
| 分布 | マダガスカル南東部アノシー(Anosy)地域の固有種。サントリュス(Sainte Luce)周辺など、ごく小さな沿岸林のパッチに限られる(極小分布) |
| 主な生育地 | 湿った沿岸林(リトラルフォレスト)や遷移林。特定の植物(タコノキ類)に強く依存する、とされる |
| 大きさ | 全長 約10cm前後(小型のヒルヤモリ) |
| 体重 | 小型で軽いが、本種の体重は情報が少なく数値が定まりにくい(数g程度の範囲になることが多い) |
| 寿命 | ヒルヤモリ属では、飼育下で小型種はおよそ10年前後まで生きる例がある(野生での寿命は把握が難しい) |
特徴
- 名前の由来:種小名「antanosy」は、分布地域と関わりの深い人々・地域名(Antanosy / Anosy)に由来する命名とされる。
- 見た目:明るい緑の体色に赤い模様が入り、頭部に赤いラインや斑が出ることがある(ヒルヤモリらしい派手さがある)。
- 希少性:生息範囲が数km〜十数km²レベルの「極小」で、森林が分断されていることが大きな弱点になっている。
- 保全状況:IUCNでは長くCR(深刻な危機)として扱われてきたが、更新でEN(危機)へ変更された例もある。ただし個体数の傾向は減少方向とされ、状況が良くなったとは言い切れない。
生態など
- 活動:昼行性(昼に動くヤモリ)で、樹上性が強い。
- くらし:限られた沿岸林の中で、特定の植物に強く依存して生活している可能性が高い。タコノキ(Pandanus)類が産卵場所として重要だと指摘されている。
- ふえ方(繁殖):卵生で、植物の隙間などに産卵するタイプ。生息地の植物が減ると、繁殖そのものが難しくなる。
- 脅威:沿岸林の伐採・劣化(開発、資源利用など)、生息地の断片化、火入れや環境改変、違法採取や取引リスクなどが複合的に効いてくる。
出典
最終評価2011年:アンタノシーヒルヤモリ「CR:深刻な危機」
木材利用、石炭利用、農地転換のための樹木伐採、マングローブ樹木の選択的伐採によって、現存する生息地はさらにおびやかされている。またセントルーチェの下位個体群のひとつはチタン鉄鉱の採掘がはじまって消滅したと推定される。
出典:訳者 岩槻邦男、太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル『IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑』/ 発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / © Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014
| 観点 | 2014年(文献当時) | 2026年時点(最新:IUCN 2025-2 の情報) |
|---|---|---|
| 調査・比較の前提 | 2014年の図鑑に載っている情報をベースにした状況整理 | IUCNの2025-2更新情報と、現地保全プロジェクト/研究報告を参照した状況整理 |
| IUCNカテゴリ(ランク) | 絶滅危惧IA類(CR) | 絶滅危惧IB類(EN)へ変更(CR→ENで1段階ダウン) |
| 個体数の傾向 | 減少 | 減少(Decreasing) |
| 生息域の特徴 | きわめて限定的・分布が小さく分断されている | 超局所的な分布は変わらず、Sainte Luce では森林断片(fragment)単位で存続している |
| 主な脅威の扱い(当時の書きぶり) | 採掘や伐採などによる生息地消失が強く懸念される | 採掘に関わる生息地消失のリスクがより差し迫った形で扱われ、Sainte Luce の4つの森林断片のうち2つが採掘のために消失予定とされている |
| 「パンダナスの木(タコノキ類)」との関係 | 特定の植物(パンダナス類)と強く結びついた生態で、依存度が高い | 生息・産卵などでパンダナス類への依存が強い前提で、保全側もパンダナスの移植など“木ごと環境を整える”方向で対応している |
| 「チタン鉄鉱の採掘」との関係 | 生息地が採掘の影響を受けうる(強い懸念) | Sainte Luce の一部の森林断片が採掘影響を受ける前提で、影響回避ではなく“失われる場所から救い出す”対策(移送・定着支援)が現実の選択肢として進められている |
| 現在の対策(保全の動き) | 保護区の整備や管理の重要性が語られる段階 | 失われる可能性が高い断片から、より安全な断片へ移す試験的な移植(Translocation)が計画・実施され、受け入れ側の環境を増やす試み(パンダナス移植)も含めて動いている |
| まとめ(状況の見え方) | “希少で危ない”という評価の中で、生息地が削られる未来が示唆される | ランクはCR→ENに変わったが、個体数傾向は減少のまま。採掘で消える森が現実に想定され、救出・移植でつなぐ段階に入っている |
出典
- IUCN Red List(Status change一覧 Table 7 / 2025-2)
- SEED Madagascar(Project Phelsuma 6-Month Report PDF)
- IUCN Red List(Phelsuma antanosy 検索結果・Version 2025-2)
- Rio Tinto(QIT Madagascar Minerals / QMM:イルメナイト採掘)
- Earlham Institute(Phelsuma antanosy Action Plan / 移植などの対応)
- SEED Madagascar(Project Phelsuma:採掘影響域の森林断片について)
- ①:Endangered Species Research(Sainte Luceの4断片・うち2つが採掘で伐採予定/移植の必要性)
- ②:Endangered Species Research(Sainte Luceの4断片・うち2つが採掘で伐採予定/移植の必要性)
アンタノシーヒルヤモリは、2014年時点ではCR(絶滅危惧IA類)に分類されていたが、最新の2025年評価ではEN(絶滅危惧IB類)へ変更された。ただし個体数傾向は減少のままであり、状況の改善を示すものではない。主生息地であるマダガスカル南東部サント・ルース周辺では鉱山開発が進行し、生息地の消失が現実化している。現在は緊急的な移植による保全が実施されているが、定着率や受け入れ環境の限界など課題も多い。
⬇︎アンタノシーヒルヤモリの保護活動の種類です。必要なら開いてください。
| 保護活動の種類 | 内容の概要 |
|---|---|
| 生息地(沿岸林・湿潤林)の保護 | アンタノシーヒルヤモリは分布が極端に狭く、残っている森の断片がそのまま“最後の避難所”になる。森林伐採や土地改変を抑え、残存林を守ることが最優先になる。 |
| 開発(鉱山・農地拡大)の影響管理 | 生息地の一部は鉱山計画や周辺開発と重なることがあり、道路建設や伐採で森がさらに分断されるリスクがある。開発の影響評価、回避策、保全区域の優先確保などで被害を抑える。 |
| 生息地の分断対策(つながりの確保) | 森が小さな島のように分断されると、個体群が小さくなって絶滅しやすい。森林の“つなぎ”を残す、劣化林を回復させるなど、景観レベルでの保全を行う。 |
| 国際的な取引規制(違法採集の抑制) | ペット取引目的の採集が脅威になり得るため、CITES(ワシントン条約)の枠組みで国際取引を管理し、違法採集・違法輸出入を抑える(許可制・取り締まり強化など)。 |
| 保全計画づくり(関係者の合意形成) | 行政・研究者・保全団体・地域関係者が集まり、脅威の整理と「守る優先順位」「具体策」をまとめた保全戦略(アクションプラン)を作り、実行につなげる。 |
| 移植・個体群補強(トランスロケーション検討) | 森がさらに失われる場合に備え、別の安全な森林へ個体群を移す(移植)など、絶滅回避のための緊急手段を検討する。移植先の環境条件や競合種の有無なども事前に評価する。 |
| 研究とモニタリング | 生息地の利用(どんな森・植物・環境を好むか)を調べ、分布・個体数・繁殖状況を継続観察して、保護の効果と危険度を定期的に更新する。 |
| 地域参加(教育・見回り・保全の定着) | 森は生活資源とも結びつくため、地域の理解と協力がないと保全が続かない。環境教育、見回り、地域と一緒に進める保全活動で、伐採や採集圧を下げていく。 |
出典
最後に
読んでみて、どんなふうに感じましたか?
個体数の傾向は減少のままなのに、CR(深刻な危機)からEN(危機)にランクダウンしたことについては、正直あんまり考えないです。変更されたなら、しょうがないねって諦めます。
ところで、「チタン鉄鉱の採掘」ってあったけど、いつから始まるんだろう。ていうか、このチタンって、キャンプとかで使う、熱すると虹色になるあの金属……ではないよね?
はい、たしか飛行機とかに使われるような金属のチタンとは違ったと思います。
そのへんも含めて、いつからチタンの採掘が始まって、いつまでにヤモリさんが退去しないといけないのか、調べてみますね。
| テーマ | 要点 | 内容 |
|---|---|---|
| 1. キャンプの「あのチタン」なのか? | 結論 | 結論としては「親」にあたります。ただし、使い道にはちょっと残酷な皮肉があります。 |
| 物質としての正体 | 採掘されるチタン鉄鉱(イルメナイト)は、黒い砂のような鉱石です。これを精製して金属にすると、熱を入れると虹色になったりする、軽くて強い「チタン(金属)」になります。 | |
| 使い道の現実(大部分) | ただし、チタン鉄鉱の主な用途は「金属チタン」ではなく、酸化チタンという真っ白な粉(顔料)になるほうが圧倒的に多いです。顔料として、ペンキ、プラスチック、紙などを白くする目的で使われます。 | |
| 皮肉な対比 | あの鮮やかな緑色のヤモリが暮らす森を削って、人間が手に入れるものの多くが、身の回りのものを真っ白にするための粉、という構図になってしまいます。 | |
| 2. 「立ち退き」はいつから?(タイムリミット) | 結論 | QMM社(リオ・ティント)の計画と、現地保全団体(SEED Madagascar)の動きを重ねて見ると、まさに「今」が瀬戸際に近い状況だと読み取れます。 |
| 場所の特定 | ヤモリが多く見られる森林断片は「S6」「S7」と呼ばれ、採掘予定地と重なる可能性が高い場所として扱われています。 | |
| 2024年4月 | 「プロジェクト・フェルスマ(Project Phelsuma)」という救出プロジェクトが正式に動き出した時期として整理できます。 | |
| 2025年初頭(昨年〜今年) | 試験的な引っ越し(Translocation Trial)がスケジュールされ、少数を別の森へ移して定着できるか確認する段階に入っています。 | |
| 2030年までの見通し | 論文や報告書の記述では、サントルーチェ地区の本格的な採掘が2030年以前に進む可能性が示されており、移植や救出は時間との勝負になっています。 |
出典
- SEED Madagascar(Project Phelsuma 6か月報告:試験移植やパンダナス移植の記録)
- WIPO(世界のチタンの大部分が酸化チタン用途:Patent Landscape Report – Ilmenite)
- Iluka Resources(酸化チタン顔料が需要の約90%という整理:Mineral Sands Industry Information)
- 研究報告(Sainte Luce の森林断片と移植提案:Habitat use of Phelsuma antanosy… / Pointer et al. 2024)
- USGS(チタン鉱物の約90%が酸化チタン顔料向け:Mineral Commodity Summaries 2021 / Titanium Mineral Concentrates)
救出作戦って言っても、実際はもう「立ち退きの準備」が始まってるってことですよね。
しかも、このヤモリさんはパンダナスの木(タコノキ類)とセットみたいな存在だから、まず植林して、ちゃんとパンダナスが育ったのを確認してから、ヤモリさんを捕まえて移動させないといけない…って流れなんでしょうけど。
でもさ、それってちょっと無理がない?
「本格的な採掘が2030年以前に進む可能性が示されていて、救出や移植は時間との勝負」って書いてあったけど、勝負って言っても、あと4年でパンダナスが育って、ヤモリさんたちが安心して暮らせる森が完成するとは、とても思えないんですけど……。
うん、パンダナスの木がどれくらいのスピードで育つのかにもよるけど、たぶん植林って言っても、苗を抜いて移すとか、挿し木みたいな形なんじゃないかなって想像してます。
ただ、それをやったとしても、もともとそこにいた土の環境とか、樹木たちと仲良くしてた菌根菌(きんこんきん)みたいな存在は、置き去りになっちゃう気がするんですよね。
もしタネから育てるなら、2030年までに間に合うとは、正直ちょっと想像できないです。
で、たとえ木が間に合ったとしても、今度は引っ越し先でいじめられないかとか、別の生き物に食べられたりしないかとか、そういう心配も出てきますよね。
まあ、遠い日本からヤキモキしてても、できることは少ないんですけど。
せめてこのヤモリさんが、私たち人類の「白い物好き」が原因で、住み慣れた森を壊されて、知らない仮設の森に移される準備をしてるってことだけは忘れないでいたいなって思ってます。だから、買い物のときも少しだけ意識したいんですよ。
別に白が悪いわけじゃないんです。
でも、その白が何を使って白くしてるのかを調べるくらいなら、できそうじゃないですか。
それに、別に「真っ白」じゃなくても、「白っぽい」くらいで十分な物も多いと思うんですよね。
なので、買い物するときに探すべき言葉はこれです。
二酸化チタン、着色料(二酸化チタン)、着色料(TiO2)、酸化チタン、酸化Ti、チタン白(チタンハク)
こういう表示があったら、酸化チタンが使われているってことになります。
これを選ぶか選ばないかは、その人次第ですけどね。
あと、ペンキに関しては、こんなこと言うのもアレかもしれないけど…
白を選ぶなら、ほぼ100%入ってると思っていいんじゃないかなって思ってます。
っていうか、私も今まで白が好きで普通に使ってましたけどね。
でもこれからは、色を選ぶ前に、ヤモリさんの顔をちょっと思い出してから選ぼうかな…って思ってるところです。
ああ、それとプラスチックも、白いものにはほぼ入ってるって認識でいいと思います。
そう考えると、見えてきますよね。
「掘らないと世界が回らなくなるから掘った」ってことなんでしょうね。
でも、生物多様性とか、森林や湿地の重要性を考えたら、いつも言ってることなんだけど、経済や世界は回るかもしれないけど、いつか地球が回らなくなる日が来る。
そろそろそこに本気で向き合わないといけないんじゃないかなって思ってます。
ここまで読んで、あなたは、どのように感じましたか?
コメントで意見を聞かせてもらえると、とても嬉しいです。
貴重な5分間を、本当にありがとうございました。
アンタノシーヒルヤモリに、その5分が届くことを祈ります。
鶏人|Keijin




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