11年後のレッドリスト|ユーフォルビア・セドロルム(Euphorbia cedrorum):雨を待ちながら、森とともに消えかけている【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|ユーフォルビア・セドロルム(Euphorbia cedrorum):雨を待ちながら、森とともに消えかけている【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。

Hi, this is 鶏人|Keijin.

In the 2014 encyclopedia, Euphorbia cedrorum was classified as “VU: Vulnerable.” Back then, only a small number of mature plants were confirmed in the wild within restricted areas of southwestern Madagascar, and their habitat was actively threatened by deforestation for charcoal production.

Recently, off-site collections have been maintained in places like botanical gardens, and international trade is still regulated under CITES Appendix II. However, we haven’t seen any direct efforts to restore the wild populations—no habitat protection specifically for this species, no ongoing population surveys, and no population reinforcement or reintroduction programs.

Now, looking at the IUCN Red List available in 2026, its status has worsened to “EN: Endangered.” This downgrade is driven by its extremely limited distribution, along with an estimated ongoing decline in habitat size and quality, the number of locations, and the number of mature plants. (This assessment was actually conducted in 2019 and published in 2020.)

Even now, I believe Euphorbia cedrorum is slowly fading away with the forest, just waiting for the rain.

I’ve tucked the more detailed information into the drop-down sections below. But even if you only read the main text, I’d really appreciate you sticking with me to the end.

こんにちは、鶏人|Keijinです。

セドロルムトウダイグサ(学名:Euphorbia cedrorum。以下、ユーフォルビア・セドロルム)は、2014年の図鑑では、野生ではマダガスカル南西部の限られた生育地で少数の成熟個体しか確認されず、その生息環境が木炭生産に伴う伐採にさらされていたことなどから「VU:危急」と評価されていました。

近年は、植物園などで生息域外コレクションが維持され、ワシントン条約附属書IIによる国際取引規制も続いています。しかし、本種を対象とした生育地の保護、継続的な個体数調査、個体群の補強や再導入など、野生個体群を直接回復させる取り組みは確認されていません。

そして、2026年時点で確認できるIUCNレッドリストの評価は、分布範囲が極めて狭く、生息地の面積と質、生育地点または個体群の数、成熟個体数の継続的な減少が推定されていることから「EN:絶滅危惧」へ変更されています。評価は2019年に実施され、2020年に公表されました。

ユーフォルビア・セドロルムは今も、「雨を待ちながら、森とともに消えかけている」という状態なのだと思います。

少し詳しい内容は折りたたみの中にまとめています。
まずは本文だけでも、最後まで読んでもらえたらうれしいです。

※2014年の図鑑では「セドロルムトウダイグサ」として掲載されていますが、現在の日本語情報では「ユーフォルビア・セドロルム」または学名の Euphorbia cedrorum で扱われることが多いため、本記事では両方を併記します。
※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2019年評価(2020年公開)です(以降の更新は、現時点では確認できていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Euphorbia cedrorum

ユーフォルビア・セドロルムとは?生態・絶滅危惧状況・保護活動

⬇︎ユーフォルビア・セドロルムの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

基本情報|ユーフォルビア・セドロルム(英名:Silver thicket)
項目内容
和名ユーフォルビア・セドロルム。学名Euphorbia cedrorumをカタカナ表記した名称で、日本の園芸流通では「ユーフォルビア・セドロルム」または「セドロルム」の名で扱われている。
英名Silver thicket。ただし、IUCNやキュー王立植物園では本種の英名を掲載しておらず、英語圏ではSilver thicketが別種のEuphorbia stenocladaにも広く使われている。種を特定する際は学名の併記が必要である。
学名Euphorbia cedrorum Rauh & Hebding
現在の分類学的扱いキュー王立植物園のPlants of the World Onlineでは、Euphorbia cedrorumを独立種として認めず、Euphorbia famatamboay subsp. famatamboayの異名としている。IUCNではEuphorbia cedrorumの名称で評価が続いている。
学名の発表Werner RauhとRené Hebdingによって、1993年にサン=ジャン=カップ=フェラの植物園「Les Cèdres」で栽培されていた株をもとに新種として記載された。栽培株の正確な野生由来地は不明だった。
分類植物界、被子植物、真正双子葉類、キントラノオ目、トウダイグサ科、トウダイグサ属に属する。
原産地マダガスカル南西部の固有植物であり、自然分布は同島以外で確認されていない。
野生での発見栽培株をもとに記載された後、マダガスカル南西部のトゥリアラ州で、トゥリアラと島の内陸部を結ぶ幹線道路沿いから野生個体が確認された。
生育環境砂漠・乾燥低木地帯に生育する半多肉質の小高木で、マダガスカル南西部に広がる好乾性低木林や有刺低木林の構成種である。
生育地の気候生育地域はマダガスカルでも特に乾燥が厳しく、年間降水量は約400mmとされる。降雨の多くが3~4か月ほどの雨季に集中し、残りの期間はほとんど雨が降らない。
生活形幹と枝に水分を蓄える半多肉質の常緑または季節的落葉性の小高木である。サボテンではなく、トウダイグサ科の植物である。
樹高Euphorbia cedrorumとして記載された形態では、高さ約3mに達する。現在同一分類群とされるEuphorbia famatamboayは、資料によってさらに大きくなる個体も報告されている。
樹形幹は直立し、上部で多数の枝を出す。枝が燭台のように広がるため、全体として枝分かれの多いサンゴ状または燭台状の樹形になる。
幹と枝幹には灰色の樹皮があり、若い枝は肉厚で円筒形をしている。枝の下部は弓なりに曲がり、太さは最大約1.5cmになる。
葉は約2mmと非常に小さく、展開しても短期間で脱落する。葉が落ちた後には、枝の表面に円形の葉痕が残る。
乾燥への適応小さな葉を早期に落とすことで、長い乾季に葉から失われる水分を抑えている。肉厚な枝は水分を蓄えるとともに、葉が少ない期間には緑色の枝が光合成を担う。
托葉葉の付け根にある托葉はきわめて小さく、腺状になる。目立つ大きな刺を形成するEuphorbia stenocladaとは外観が異なる。
雌雄の違い雌雄異株であり、雄花序をつける株と雌花序をつける株が別々に存在する。種子を形成するには、雄株と雌株の間で花粉が運ばれる必要がある。
花の構造一般的な花ではなく、トウダイグサ属特有の「杯状花序」と呼ばれる小さな花序を形成する。複数の非常に小さな花がまとまり、外見上は一つの花のように見える。
雄株の花序雄の杯状花序は枝先に集まり、1~2回二又に分かれる短い集散花序をつくる。苞は小さく、黄色味を帯びる。
雌株の花序雌の杯状花序は通常単独でつき、ほとんど柄がない。直径は約2mmで赤味を帯び、蜜を分泌する腺体を備える。
果実果実は直径約7mmの蒴果で、丸みを帯びた三つの区画に分かれる。成熟すると各区画に入った種子を放出する、トウダイグサ属に典型的な構造をもつ。
種子種子はほぼ球形で、直径約2mmである。野生での発芽条件、発芽率、実生の生存率については詳しい調査結果が公表されていない。
生育の季節性降雨が短い雨季に集中する環境で暮らすため、枝の成長、展葉、開花、結実、実生の定着は降雨条件に強く左右されると考えられる。ただし、野生個体の年間を通した詳しい観察記録は限られている。
受粉・種子散布本種だけを対象とした受粉昆虫や種子散布者の詳しい研究は確認されていない。雌雄異株で個体数も少ないため、雄株と雌株が離れすぎると自然繁殖が難しくなる可能性がある。
生態情報の限界野生で確認された個体と採集記録が非常に少なく、寿命、成長速度、繁殖開始年齢、個体群内の雌雄比、実生の更新状況など、生態の多くは明らかになっていない。

基本情報:出典

最終評価2019年:ユーフォルビア・セドロルム「EN:絶滅危惧」

この種が生えている場所では、炭焼きに利用するため、この植物がきれいに刈り取られ、個体数が減少して絶滅の危機に瀕している。ワシントン条約の附属書に記載されていることから、この種の国際的な取引には関係国の許可書を必要とし、過剰な国際取引からは一定の保護を受けている。幸運にも、標本となる材料が植物園で栽植されている。それにもかかわらず、直接的な保全措置ができていないので、この種は間もなくIUCNレッドリストの絶滅危惧IA類、さらには野生絶滅に相当するところまで追い詰められそうである。

出典:訳者 岩槻邦男、太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル『IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑』/ 発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / © Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

ユーフォルビア・セドロルム(Euphorbia cedrorum|2026年時点の現状まとめ
出典:IUCNレッドリスト|ユーフォルビア・セドロルム(Euphorbia cedrorum

2026年8月25日時点で、IUCNにこれより新しい再評価は確認できませんでした。したがって「現在」の公式評価は、2019年10月9日に実施され、2020年に公表された評価です。

項目2014年の図鑑現在(2026年確認)
和名セドロルムトウダイグサユーフォルビア・セドロルム
学名Euphorbia cedrorumIUCNではEuphorbia cedrorumとして評価されている。一方、キュー王立植物園のPlants of the World Onlineでは、Euphorbia famatamboay subsp. famatamboayの異名として扱われている。
分類上の位置づけ独立した種として紹介されていた。分類体系によって扱いが異なる。この記事では2014年の図鑑との比較を明確にするため、Euphorbia cedrorumの名称を使用する。
分布マダガスカル南西部で、少数の成熟個体からなる個体群が発見されたと記載されていた。マダガスカル南西部の固有植物。現在の分類では、砂漠または乾燥低木地帯に生育する半多肉質の樹木とされる。分布域がきわめて狭い状態に変わりはない。
生息環境炭焼きのために植物が刈り取られ、生息地が失われていると説明されていた。乾燥低木地や乾燥林に生育する。農地開発や木炭生産に伴う植生の伐採によって、生息地の面積と質が低下している。
IUCNレッドリスト絶滅危惧II類(危急:VU)。2004年評価に基づく。絶滅危惧IB類(絶滅危惧:EN)。評価基準はB1ab(i,ii,iii,iv,v)。2014年当時より絶滅危険度が一段階高くなった。
最新評価時期当時使用されていた評価は2004年に公表されたものだった。最終評価日は2019年10月9日で、2020年に公表された。2026年時点でも、この評価がIUCNの最新評価となっている。
ENとされた理由確認された生息地が非常に限られ、直接的な保全措置がなければ、近い将来にCRや野生絶滅へ進む可能性があると懸念されていた。分布域が狭く、分布範囲、占有面積、生息地の面積・質、地点または個体群の数、成熟個体数のすべてで継続的な減少が推定されているため、EN B1ab(i,ii,iii,iv,v)と評価された。
個体数野生では少数の成熟個体しか確認されていないとされた。成熟個体数の具体的な総数は示されていない。IUCNは個体群動向を「減少」としているため、個体数が回復したことを示す根拠はない。
個体群の傾向減少していると説明されていた。減少傾向。2014年当時に予測された悪化が、VUからENへのカテゴリー変更として現実のものになった。
主な直接的脅威炭焼きに伴う伐採。農地造成と木炭生産に伴う植生除去が中心的な脅威である。非常に狭い分布域で起こるため、小規模な伐採でも個体群全体に大きな影響を及ぼす。
図鑑記述の補足「この植物が炭焼きに利用されるため刈り取られる」と読める表現だった。確認できる資料では、本種そのものだけを選んで木炭にするというより、木炭生産や農地造成のために生息地の植生全体が伐採されることが脅威とされている。
ワシントン条約附属書IIに掲載され、国際取引には関係国の許可書が必要と説明されていた。多肉質のユーフォルビア属として、引き続きワシントン条約附属書IIの対象となる。輸出には原則として輸出許可書または再輸出証明書が必要である。
国際取引からの保護許可制度によって過剰な国際取引から一定の保護を受けていた。取引規制は現在も続いている。ただし、ワシントン条約が直接規制するのは国際取引であり、マダガスカル国内の農地開発や木炭生産による生息地破壊を止める制度ではない。
生息域外保全植物園で栽培されている標本が存在した。BGCIの2020年集計では、Euphorbia cedrorumは生息域外コレクションに保存され、5件のコレクション記録がある。2014年当時より保存先が把握されている点は前進だが、少数のコレクションだけでは野生個体群の遺伝的多様性を十分に保存できない可能性がある。
生息域内保全直接的な保全措置ができていないとされた。種を対象とした大規模な個体群回復、再導入、生息地復元の成果は確認されていない。生息地の保護、野生個体の再調査、個体数と繁殖状況の継続的な監視が依然として必要である。
2014年の予測との比較「間もなくCR、さらには野生絶滅に相当するところまで追い詰められそう」と予測されていた。CRや野生絶滅には指定されていないが、VUからENへ悪化した。野生で存続しているものの、危機が解消されたわけではなく、絶滅に一段近づいた状態である。
IUCN評価における気候変動図鑑では気候変動への言及はなかった。最新IUCN評価では、農地開発や木炭生産ほど明確な主要脅威として気候変動が示されていない。本種を対象に、温暖化による死亡率や繁殖率の変化を直接測定した研究も確認されていない。
生息地域で観測されている気候変化記載なし。マダガスカル南部では、1980年代以降、雨季の始まりが遅くなる傾向が確認されている。1981~2022年には、雨季初期の9~11月の降水量が10年当たり月平均2.4mm減少し、土壌水分と植生の緑度も低下した。
人為的温暖化との関係記載なし。2024年の研究では、観測された季節的な土壌水分低下の傾向は、人為的な気候強制がある場合に約100倍起こりやすいと推定された。2017~2022年の干ばつ状態も、人為的影響のない基準と比べて約15倍起こりやすくなったとされた。
将来の乾燥化記載なし。高排出シナリオの気候モデルでは、マダガスカル南部の雨季初期の土壌水分が1982~2099年に10年当たり平均2.3%減少すると予測されている。2017~2022年型の干ばつは、2070~2099年には1970~1999年より著しく起こりやすくなると推定されている。
本種への直接的な気候影響記載なし。多肉質で乾燥に適応した植物でも、雨季の開始が遅れれば、発芽、実生の定着、新しい枝葉の成長、開花や結実に使える期間が短くなる可能性がある。分布域と個体数が限られるため、数年間の繁殖不良や実生の減少でも、個体群の回復力が失われやすい。
複合的な危険炭焼きによる伐採が中心だった。生息地の伐採に、気温上昇、雨季開始の遅れ、土壌水分の低下、長期干ばつが重なる。成熟個体が乾燥を生き延びても、若い個体が育たなければ、個体群は高齢化しながら減少する可能性がある。
2026年時点の総合評価直接的な保全がなければ、近い将来にCRまたは野生絶滅へ進むと警告されていた。野生絶滅は免れているが、VUからENへ悪化し、個体群は減少を続けている。植物園での保存と国際取引規制は残されているものの、野生の生息地を守る直接的な対策は十分とはいえない。さらに南部マダガスカルでは雨季の遅れと土壌乾燥が進んでおり、土地利用と気候変動による二重の圧力にさらされている。

現状まとめ:出典

ユーフォルビア・セドロルムは、マダガスカル南西部の乾燥低木地に生育する固有植物である。IUCNでは2014年当時の絶滅危惧II類(危急:VU)から、2019年評価で絶滅危惧IB類(絶滅危惧:EN)へ悪化し、個体群も減少を続けている。主な脅威は、農地造成や木炭生産に伴う生息地の伐採である。ワシントン条約附属書IIによる国際取引規制や植物園での生息域外保全は続いているが、野生個体群を回復させる直接的な対策は十分に進んでいない。さらに生息地域では、温暖化による雨季の遅れや土壌水分の低下が確認されており、発芽や実生の定着、繁殖を妨げる可能性がある。土地利用と気候変動による二重の圧力が、狭い分布域に残る個体群を追い詰めている。

⬇︎ユーフォルビア・セドロルムの保護活動の種類です。必要なら開いてください。

保護活動の種類現在確認できる内容効果・課題・今後必要な対応
IUCNレッドリストによる評価2019年10月に再評価され、2020年に絶滅危惧IB類(EN)として公表された。分布範囲、占有面積、生息地、地点数、成熟個体数の継続的減少が評価に反映されている。絶滅危険度を国際的に示し、保全の優先順位を定める基礎になる。野生個体数や繁殖状況などの情報が少ないため、定期的な再評価が必要である。
分類・名称の整理2019年の分類学的研究により、Euphorbia cedrorumはEuphorbia famatamboay subsp. famatamboayの異名とされた。キュー王立植物園もこの分類を採用している。同じ分類群が別種として重複管理されることを防ぐ重要な作業である。保全施設、標本館、取引記録、種子・DNA資料の名称を再確認し、二つの学名を関連づけて管理する必要がある。
生息域外保全BGCIの2021年報告では、Euphorbia cedrorumの名で5件の生息域外コレクションが記録されている。植物園などで栽培株が維持されていることは、野生個体群が失われた場合の保険になる。5件という数字は保存施設数であり、野生由来の系統数や遺伝的多様性を示すものではない。少数の栽培株だけでは、野生個体群を復元できるほどの多様性を保存できない可能性がある。
異名間のコレクション照合同じBGCI資料では、現在同じ分類群とされるEuphorbia famatamboayも別に2件のコレクションが記録されている。両方の名称で登録された株に重複がないか、採集地、採集者、系統、標本番号、導入年を照合する必要がある。名称だけを変更すると、同一株を複数系統として数える危険がある。
遺伝的多様性の保存栽培株の存在は確認されているが、各株が何個体の野生株に由来するのか、互いに血縁関係があるのかは明らかではない。野生個体から追加の種子や挿し穂を採取する場合は、一部の親株に偏らないようにし、採集地点と親株を個別に記録する必要がある。保存施設を複数地域に分散させることも重要である。
雌雄両系統の保存本種は雌雄異株であり、雄株と雌株が別々に存在する。栽培株の性別が偏ると、開花しても種子を生産できない。各保存株の性別、開花時期、受粉能力を記録し、雄株と雌株の両方を複数系統保存する必要がある。人工授粉による種子生産技術の確立も求められる。
栽培・増殖技術の確立植物園で栽培できることは確認されているが、発芽率、挿し木の成功率、開花までの年数、人工授粉、長期管理方法をまとめた種別の保全手順は確認されていない。栽培条件を標準化し、施設間で共有する必要がある。単に株を生存させるだけでなく、世代を更新しながら遺伝的多様性を維持できる管理が必要である。
種子保存マダガスカルではミレニアム・シード・バンクなどによる種子保存事業が行われているが、Euphorbia cedrorumの種子が保存されているかは公表資料から確認できない。種子の乾燥耐性、保存温度、発芽条件、保存後の生存率を調べる必要がある。通常の低温乾燥保存に適さない場合は、生きた株、培養組織、DNAなどを組み合わせて保存する。
ワシントン条約による取引規制多肉質のEuphorbia属としてワシントン条約附属書IIの対象となる。国際取引には原則として輸出許可書または再輸出証明書が必要で、輸出国は取引が野生個体群の存続を害さないことを確認する。過剰な国際取引や野生採集を抑える役割がある。ただし、マダガスカル国内の木炭生産、農地造成、生息地の伐採は直接規制できない。
人工繁殖株の流通管理植物園や栽培業者による合法的な人工繁殖は、園芸需要を野生採集から切り離す手段になる。人工繁殖株には親株の由来、繁殖方法、CITES書類を伴わせる必要がある。由来不明株を人工繁殖株として扱うと、違法採集品の流通を隠すおそれがある。
DNAバーコーディングマダガスカル産Euphorbia属41種を対象とした研究にEuphorbia cedrorumが含まれ、DNAによる種識別技術が検討された。ITS領域を利用すると、対象群全体で種の識別率が大きく向上した。花や果実がない苗でも識別できるため、税関での取引監視や押収株の鑑定に利用できる可能性がある。ただし、現在の異名関係に合わせて参照DNAと名称を更新する必要がある。
野生個体の再調査最新評価でも分布と個体数の情報が限られており、野生個体群の全体像は明らかになっていない。既知の生育地だけでなく、マダガスカル南西部の同様の乾燥低木地を調査し、未確認の個体群を探索する必要がある。標本だけでなく位置情報、写真、DNA資料も残すことが重要である。
個体群モニタリング本種だけを対象とした継続的な個体数調査は確認されていない。成熟個体数、雌雄比、開花・結実数、実生数、枯死、伐採、火災、土地利用の変化を定点観測する必要がある。個体に識別番号を付ければ、成長や生存を長期間追跡できる。
既知の生育地点の保護種を対象とした保護区指定や、生育地点を囲い込む緊急保護措置は確認されていない。生育地点の土地所有・利用状況を確認し、伐採、農地化、道路工事、木炭生産から守る必要がある。分布が狭いため、小規模な保全区や地域住民との保全協定でも大きな効果が期待できる。
生息地の伐採防止最大の課題は、農地造成や木炭生産に伴う乾燥低木林の除去である。野生株だけを残しても、周囲の植生や土壌環境が失われれば個体群は更新できない。成熟株、その周囲の実生生育地、受粉昆虫が利用する植生を一体として保護する必要がある。伐採後の土地利用や新たな木炭窯の設置も監視対象となる。
生息地の復元本種を中心とした大規模な乾燥低木林復元事業は確認されていない。BGCIは、マダガスカルの絶滅危惧樹木を森林復元事業に組み入れることを推奨している。苗を植えるだけでなく、在来植物群落、土壌、水分条件、受粉・種子散布環境を回復させる必要がある。植栽株には採集地と遺伝系統を記録する。
野生個体群の補強植物園で増殖した株を既存個体群へ追加する個体群補強は確認されていない。野生個体群の遺伝構成と一致する材料を使用し、病原体の持ち込みを防ぐ必要がある。伐採などの脅威を除去する前に植え戻しても、再び失われる可能性が高い。
再導入過去の生育地へ戻す再導入事業は確認されていない。生育地の由来が明確な株を増殖し、雨季、土壌、日照、将来の乾燥化を考慮して場所を選ぶ必要がある。植栽後も少なくとも数年間、生存、成長、繁殖を追跡する。
地域苗畑の整備BGCIは、絶滅危惧樹木を増殖する地域苗畑の拡充と、現地の栽培・増殖技術向上を推奨している。本種を明示した地域苗畑事業は確認されていない。マダガスカル国内で苗を育成できれば、植物園保存、生息地復元、個体群補強を地域主体で進められる。雄株と雌株、採集地点、親株を区別した管理が必要である。
地域住民との協働本種だけを対象とする住民参加型保全事業は確認されていない。木炭生産に依存する住民を取り締まるだけでは保全は継続しにくい。省燃料かまど、代替燃料、植林、持続可能な木炭生産、地域雇用などと生息地保護を組み合わせる必要がある。
気候変動を含む保全計画本種を対象とした気候変動適応事業は確認されていない。降雨量、雨季開始時期、土壌水分、実生の生存率を同時に記録し、乾燥が比較的弱い場所を避難地として確保する必要がある。復元や再導入では、現在だけでなく将来の気候条件も考慮する。
種別保全計画野生調査、生息地保護、増殖、個体群補強、地域協働を統合したEuphorbia cedrorum専用の回復計画は確認されていない。保全目標、担当機関、保護地点、保存系統数、個体数の回復目標、期限を定めた行動計画が必要である。現在の分類に合わせ、Euphorbia famatamboay subsp. famatamboayとの関係を計画に反映させる。

保護活動の種類:出典

地球温暖化で雨季が遅れる|ユーフォルビア・セドロルムへの影響

Questioner: It seems like the rainy season in southwestern Madagascar is also getting delayed because of the global warming we’ve caused. I wonder how far back it’s actually been pushed.

Me: It really makes you wonder, doesn’t it? Even here in snow country, summer feels like it’s arriving a whole month early—we’re already seeing mosquitoes in May. I’m going to dig into exactly how much the rainy season in southwestern Madagascar is being delayed, and how that’s going to impact the plant life going forward.

質問者:マダガスカル南西部でも僕たちが招いた地球温暖化で雨季が遅れているみたいだね。これ実際にどれぐらいの間隔で遅れているんだろう。

私:気になりますね。私の暮らす雪国ですら、5月に蚊が発生するといった、夏の訪れが1ヶ月ほど早いのではないかと思えるような現象が起きています。マダガスカル南西部の雨季の遅れがどれほどなのか、そしてそれが今後どのような形で植物に影響するのか、できる限り詳しく調べてみます。


雨を待つあいだに、森が消えていく|ユーフォルビア・セドロルムを追い詰める気候変動

乾燥に強い植物でも、雨が降らなくても生きられるわけではありません。マダガスカル南西部では雨季の始まりが遅れ、植物が水を得られる期間が短くなっています。その影響は発芽や成長だけにとどまらず、農業不振から木炭生産へ向かう人々の暮らしを通じて、残された森にも重くのしかかっています。雨を待つ植物と人間が、同じ乾燥のなかで追い詰められています。

1. 雨季の遅れはどれくらいなのか?

マダガスカル南西部のトゲ低木林地帯は、年間降水量がおおむね500mm以下で、沿岸部の最も乾燥した地域では350mmを下回ります。乾季が9~11か月に及ぶ場所もある、もともと水分条件の厳しい地域です。

  • 従来のサイクル:降雨は主に10月から翌年4月に集中し、農業上重要な雨季はおおむね10月から2月にあたります。ただし、雨の始まりと終わりは地域差や年ごとの変動が大きく、もともと安定した季節ではありません。
  • 現在確認されている変化:トゥリアラとトラニャロの1950~2018年の観測記録では、雨季の開始が遅くなる傾向が確認されています。南部全域で一律に「2週間から1か月以上遅れている」と示した観測結果はありませんが、雨季初期の降雨が弱まり、まとまった雨を待つ期間が長くなっていることは複数の指標に表れています。
  • 雨季初期の土壌水分低下:1981~2022年の観測では、雨季の立ち上がりにあたる9~11月の降水量が、10年当たり月平均約2.4mm減少しました。植生の緑度と土壌水分にも低下傾向が認められています。CMIP6による1982~2099年の高排出シナリオでは、この時期の土壌水分が10年当たり平均約2.3%減少すると予測されています。

なぜ雨季が遅れるのか

気候モデルでは、地球温暖化に伴うハドレー循環の拡大によって、マダガスカル南部が乾燥した下降気流の影響を受ける期間が長くなると示されています。南半球の中緯度ジェットと低気圧の経路が極側へ移動し、雨を運ぶ気象系が南部マダガスカルへ到達する時期が遅れることが、雨季初期の乾燥化を生み出す主要な仕組みと考えられています。

2. 植物にどのような影響が出るのか?

ユーフォルビア・セドロルムだけを対象として、干ばつによる死亡率、発芽率、繁殖率などを測定した研究は確認されていません。しかし、分布域が極めて狭く、生息地の水分が減少していることから、自然更新への影響が大きな懸念となります。

悪循環の流れ

乾季末から雨季初期の乾燥化

植物が水不足にさらされる期間の長期化

発芽と実生の成長に利用できる期間の短縮

若い個体の定着率低下

個体群の高齢化と回復力の低下

  • 貯水能力にも限界がある:ユーフォルビア・セドロルムは半多肉質の樹木で、乾燥環境に適応した形態を備えています。茎に水分を蓄える多肉植物であっても、利用できる水分が長期間減少すれば、成長の停止、枝の枯死、繁殖力の低下などが起こる可能性があります。ただし、本種がCAM光合成を行うことや、乾季が何か月続けば組織壊死に至るのかは、個別の生理学的研究では確認されていません。
  • 自然更新が難しくなる:種子が発芽しても、次の乾季までに十分な根や貯水組織を発達させられなければ、成熟個体になる前に枯死する可能性が高まります。成熟個体が干ばつを生き延びても、若い個体が加わらない状態が続けば、個体群は次第に高齢化し、回復する力を失っていきます。
  • 生物季節のずれ:降雨時期の変化は、発芽、開花、結実などの時期を変化させる可能性があります。植物と送粉者の活動時期が異なる速さで変化すれば、受粉の機会が減少する生物季節の不一致も起こり得ます。ただし、ユーフォルビア・セドロルムの主要な送粉者は特定されておらず、昆虫、ヤモリ、キツネザルとの不一致が実際に起きていることを示す調査結果もありません。

3. 生態系の変容と土地の荒廃

降雨パターンの変化は、個々の植物だけでなく、トゲ低木林という生息環境全体に影響します。さらに農地造成、放牧、木炭生産、外来植物の侵入が重なり、生態系の回復を難しくしています。

  • 短くなる雨の利用期間:南部マダガスカルでは、雨季初期の降雨が減る一方、雨季の中心部では同じように減少するとは限りません。そのため、年間降水量が一様に減り続けるというより、雨が降る期間が短くなることが重要な問題です。乾燥して裸地化した土地に強い雨が集中すれば、水が地中へ浸透する前に流れ出し、表土流出や侵食を進める可能性があります。
  • 砂塵を運ぶ「ティオメナ」:マダガスカル南部では、赤い砂塵を運ぶ強風が「ティオメナ」と呼ばれています。2020~2021年の深刻な干ばつ時には、砂塵が畑や作物を覆い、食料生産をさらに困難にした事例が報告されました。一方、長期的な発生回数の増加や、本種の気孔を塞いで光合成を低下させていることは、現地の植物調査では確認されていません。
  • 外来植物による生息地の変化:南西部ではウチワサボテン類、ゴムカズラ、サイザルなどの外来植物が、特に伐採や放牧で乱された場所へ広がり、生息環境の劣化を進めています。これらがユーフォルビア・セドロルムを直接置き換えたことを示す調査結果はありませんが、もともと狭い生息地をさらに変質させる圧力になります。

出典


Questioner: Maybe it’s not that rain itself has vanished from the planet, but rather that the balance of where and when it falls has just been completely thrown off.

Me: I think you’re right. A warmer atmosphere holds a lot more moisture, but it also shifts global air currents. Because of that, instead of getting a steady, gentle rain right when and where it’s needed, more places are going through long dry spells followed by sudden, overwhelming downpours that the land just can’t absorb. If you only look at the total annual rainfall, it might seem the same, but for plants and crops, it’s like surviving in a completely different climate.

Questioner: It’s easy for us to just brush it off and think, “Oh, the rainy season is just a few weeks late,” but for plants, those few weeks might literally be the difference between leaving behind a next generation or not.

Me: Exactly. Just like how an early spring in snow country triggers insects and plants to wake up all at once, the first rain acts as a biological clock for the flora in southwestern Madagascar. When that clock is thrown off, a seed might sprout, but it won’t have enough time to put down deep roots. Or it might bloom, but entirely miss the crucial window for pollination and bearing fruit. And while they’re desperately waiting for the rain, the forests are still being cleared, wiping out the very ground the next generation needs to grow. It’s not just a simple drought pushing Euphorbia cedrorum to the brink. It’s the seasonal rains, human livelihoods, the forest’s ability to heal—all these vital gears slowly slipping out of sync with one another.


Thank you for sharing your precious time with me. I truly hope these thoughts somehow find their way to Silver thicket.

鶏人|Keijin

質問者:雨そのものが地球から消えたわけじゃなくて、降る場所と時期のバランスが崩れているってことなのかもしれないね。

私:そうだと思います。温暖化した大気は、より多くの水蒸気を抱え込める一方で、大気の流れも変化させます。そのため、必要な場所に必要な時期に少しずつ降るのではなく、長く降らなかったあとに、一度では受け止めきれないほどの雨が降る地域も増えています。降水量の合計だけを見れば同じでも、植物や農作物にとっては、まったく別の気候になってしまいます。

質問者:僕たちなら「雨季が数週間遅れただけ」と考えちゃいそうだけど、植物にとっては、その数週間が次の世代を残せるかどうかを決めるのかもしれないね。

私:そうですね。雪国で春が1か月早まれば、虫も植物も一斉に動き始めるように、マダガスカル南西部では雨の始まりが植物たちの時計になっています。その時計が狂えば、発芽しても根を張る時間が足りず、花を咲かせても受粉や結実の時期が合わなくなるかもしれません。雨を待つあいだにも森は伐採され、次の世代が育つ場所まで失われていきます。ユーフォルビア・セドロルムを追い詰めているのは、単なる雨不足ではありません。雨の季節、人々の暮らし、森の再生、そのすべての歯車が、少しずつ噛み合わなくなっていることなのだと思います。


貴重な時間を、ありがとうございました。

ユーフォルビア・セドロルムに、その想いが届くことを祈ります。

鶏人|Keijin


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