11年後のレッドリスト|スティリアナキイナゴ(Podismopsis styriaca):短い翅のまま、温まる山に取り残されている【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|スティリアナキイナゴ(Podismopsis styriaca):短い翅のまま、温まる山に取り残されている【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。

Hi, I’m 鶏人|Keijin.

In a 2014 field guide, the Styrian Plump Grasshopper (Podismopsis styriaca) was tentatively listed as “CR: Critically Endangered.” At the time, it didn’t have an official IUCN assessment, but there were deep concerns because its habitat was restricted to an incredibly narrow alpine zone around Mount Zirbitzkogel, and people were worried about climate change shrinking its home.

More recently, between 2022 and 2023, fixed-point surveys were carried out in the alpine pastures of a nature park, pinpointing their crucial habitats. They’ve been teaming up with local farmers to keep up traditional, low-intensity grazing and preserve the damp grasslands. But tracking their population long-term and figuring out how to protect them from climate change? Those are challenges we still haven’t solved.

When the IUCN did its first official assessment in October 2015, they classified it as “VU: Vulnerable” under criterion D2. They didn’t do this because they actually saw the population dropping. Rather, it’s because their habitat and locations are so incredibly tiny that one major environmental shift could push them straight to the brink of extinction in no time. As of 2026, this is still their latest assessment.

I think the Styrian Plump Grasshopper is still in the exact same spot today—stranded on a warming mountain with wings too short to escape.

I’ve tucked the more detailed stuff into the dropdown below.
But honestly, I’d be happy if you just read the main story to the end.

こんにちは、鶏人|Keijinです。

スティリアナキイナゴ(Podismopsis styriaca)は、2014年の図鑑では、正式なIUCN評価はまだなかったものの、分布がジルビッツコーゲル周辺のごく狭い高山帯に限られ、気候変動による生息地の縮小が懸念されていたことから、暫定的に「CR:深刻な危機」とされていました。

近年は、自然公園内の高山牧草地で2022年から2023年にかけて定点調査が行われ、重要な生息地点が特定されました。農業者と連携し、粗放的な放牧や湿潤な草地を維持する取り組みも進められていますが、本種を対象とした長期的な個体数調査や気候変動への対策は、今も課題として残されています。

そして、2015年10月に行われたIUCNの初めての正式評価では、個体数の減少が確認されたからではなく、分布域と生息地点がきわめて限られ、一度の重大な環境変化によって短期間に絶滅の危機が深まる可能性があることから、評価基準D2による「VU:危急」とされました。この評価は、2026年時点でも最新のものです。

スティリアナキイナゴは今も、「短い翅のまま、温まる山に取り残されている」という状態なのだと思います。

少し詳しい内容は折りたたみの中にまとめています。
まずは本文だけでも、最後まで読んでもらえたらうれしいです。

※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2015年評価(2016年公開)です(以降の更新は、現時点では確認できていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Podismopsis styriaca

スティリアナキイナゴの現在|2014年の図鑑と2026年のIUCN評価を比較

⬇︎スティリアナキイナゴの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

基本情報|スティリアナキイナゴ(英名:Styrian Plump Grasshopper)
項目内容
和名ステイリアナキイナゴ。2014年刊『IUCNレッドリスト 世界の絶滅危惧生物図鑑』で用いられた名称
英名Styrian Plump Grasshopper
別英名Styrian Golden Grasshopper
ドイツ語名Steirische Goldschrecke
学名Podismopsis styriaca
命名者・命名年Anton Koschuh、2008年
分類動物界/節足動物門/昆虫綱/バッタ目/バッタ亜目/バッタ科/Gomphocerinae亜科/Chrysochraontini族/Podismopsis属
固有性オーストリア固有種。アルプス山脈東部のシュタイアーマルク州とケルンテン州にまたがる、きわめて狭い山岳地帯だけに分布する
発見2007年、オーストリアのバッタ研究者Anton Koschuhによってシュタイアーマルク州で発見された
新種記載2008年7月10日に学術誌『Linzer biologische Beiträge』で新種として記載された
学名の由来種小名styriacaは、発見地であるオーストリアのシュタイアーマルク州を意味する
英名の由来Styrianは「シュタイアーマルク地方の」、Plump Grasshopperは丸みのある比較的太い体形を表す。Golden Grasshopperという別名は、雄に見られる黄緑色から金色がかった体色に由来する
概要高山草原に適応した小型の短翅型バッタ。雌雄差が大きく、雄は小型で暗色と黄緑色の対比が目立ち、雌は大型で褐色系の保護色を持つ
雄の体長約14~17ミリメートル
雌の体長約21~26ミリメートル。雄より明らかに大型で、体つきも太い
雄の体色体の上側は暗褐色から黒色、下側は黄緑色から金色がかった色になることが多い
雌の体色暗褐色、黄土色、灰褐色、ベージュなど変異が大きい。高山草原の枯れ草や地表に溶け込む体色を持つ
頭部短い触角を持つ典型的なバッタ亜目の形態。頭頂部には、類似種で目立つ頭頂側窩がほとんど認められない
前胸背板前胸背板の左右にある側隆起線が、雌雄とも中央方向へ明瞭に曲がる
雄の翅褐色がかった半透明の前翅を持つが、後脚の膝まで届かない。長距離飛翔には適さない
雌の翅雄よりさらに短く、鱗片状に強く退化している。通常は腹部第2節付近までしか届かない
飛翔能力短翅型で、実質的に飛ぶことができない。移動は歩行と跳躍に依存する
後脚跳躍に適した太い後腿節を持ち、後脚の膝は雌雄とも暗色になる
雌雄差雌は雄より大きく、翅が著しく短い。雄は小型で色彩が鮮明になりやすく、腹端の亜生殖板が鈍い円錐状に伸びる
原記載での識別点雄の生殖器、亜生殖板、翅の長さ、体色、発音などの組み合わせによって近縁種から区別された
類似種スイス固有のPodismopsis keistiときわめてよく似る。外部形態と鳴き声だけでは両種を区別することが難しく、両者の分類学的関係は現在も研究対象となっている
生息地で似る種Pseudochorthippus parallelusやMiramella carinthiacaと同所的に見られる。P. parallelusはより細身で前翅が長く、雌では左右の前翅が背面で接近または接触する
分布国オーストリアのみ
分布地域ゼータール・アルプスのジルビッツコーゲル周辺から、南方の尾根を経てケルンテン州のホーエンヴァルトおよびクリッピッツトール周辺に至る範囲
シュタイアーマルク州での分布ジルビッツコーゲルとその周辺の山頂部・高標高斜面が中心。新種記載時に知られていた主要分布域である
ケルンテン州での分布2013年に州内で初めて確認され、2014年に記録が発表された。これにより、分布が州境を越えて南側の山稜まで続くことが明らかになった
標高おおむね標高1,750メートル以上。記録範囲は約1,743~2,124メートルで、特に1,800~2,000メートル付近に多い
分布の特徴連続する広大なアルプス全域ではなく、一つの山系の山頂部と尾根に限定される。短翅で飛べないため、離れた山岳地帯への分散能力も低い
生息環境森林限界より上にある高山草原、低木性のヒース、山地放牧地に生息する
好む環境やや湿り気があり、草本や地表を覆う矮性低木が密生した、凹凸のある草地を好む。風当たりの強い山頂付近でも見られる
主要な植生イネ科のNardus stricta、カヤツリグサ科のCarex curvula、カルーナ、コケモモ属、Loiseleuria procumbensなどが生育する草原・矮性低木群落
放牧地との関係伝統的な低強度の放牧によって、高木や背の高い植物の侵入が抑えられ、開放的な高山草原が維持される。生息地の維持には、このような粗放的管理が重要と考えられている
気候への適応高標高の冷涼で風の強い環境に適応し、夏季の急激な気温低下にも耐える
活動期成虫は通常7月から10月初めに見られる。地域や年の気象条件によっては、6月下旬から10月、または11月初めまで記録される
活動場所雄は低い草本や矮性低木の上、または地表付近を移動しながら鳴く。雌は雄より目立たず、密生した植生の中に留まることが多い
食性植物食。高山草原に生育するイネ科・カヤツリグサ科などの草本を主に利用すると考えられる
鳴き声の役割主に雄が雌を呼び寄せるために発音する。鳴き声は個体の発見や野外調査にも利用される
発音方法他のバッタ科昆虫と同様、後脚の腿節を前翅の発音構造にこすりつける摩擦発音を行う
鳴き声の特徴一つの節は約0.5秒と短く、通常5回、まれに4回の非常に速い擦過音からなる。音は後半になるほど強くなる
近縁種との鳴き声Podismopsis keistiの鳴き声と非常によく似ており、音声だけによる確実な識別は難しい
繁殖雄の鳴き声に引き寄せられた雌と交尾する。雌は腹端の産卵器を使い、土壌や植物の根元付近へ卵を産む
発育卵、若虫、成虫と進む不完全変態。若虫は成虫に似た姿をしており、複数回の脱皮を経て成虫になる
越冬高山性バッタの多くと同じく、冬季は主に卵の状態で越すと考えられる。積雪には、低温と乾燥から卵を保護する働きもある
共存するバッタ類Miramella carinthiaca、Omocestus viridulus、Pseudochorthippus parallelusなどが代表的。場所によってはGomphocerus sibiricusやStenobothrus属も見られる
IUCNレッドリストVulnerable(VU・危急)
IUCN評価年2016年。2026年時点でも、この評価が掲載されている
IUCN評価基準D2。個体数の明確な減少ではなく、分布域と生息地点が極端に限定され、単一の重大な環境変化によって短期間に状態が悪化する可能性がある種に適用される基準
ヨーロッパでの評価ヨーロッパレッドリストでもVU。ヨーロッパ固有種かつオーストリア固有種として扱われている
オーストリア国内評価Orthoptera.chの集約情報ではNE(Not Evaluated・未評価)とされている
個体数の傾向2007年の発見以降、調査地点における個体密度の明確な低下は確認されていない。一方、分布域全体を対象とした長期的な個体群監視は確立されていない
現在の最大の脆弱性世界の全個体群が、一つの狭い山系の高標高部に集中していること。局地的な生息環境の変化が、種全体に影響する
気候変動の影響気温上昇によって森林限界や低木群落が上方へ移動すると、開放的で冷涼な高山草原が縮小する可能性がある。すでに山頂近くに生息しているため、さらに高い場所へ移動できる余地は小さい
土地利用上の脅威粗放的放牧の放棄による植生の高密度化・低木化、反対に過度な放牧による植生構造の単純化、山岳観光施設や道路による局地的な生息地改変が潜在的な脅威となる
保全上重要な条件高山草原と矮性低木が混在する植生構造の維持、低強度の放牧継続、山頂部での開発抑制、分布域全体の定期調査が重要となる
調査上の課題Podismopsis keistiとの形態・音声上の類似性が高く、分類学的な再検討、遺伝子解析、鳴き声の比較、長期的な個体数調査が必要とされる

基本情報:出典

最終評価2015年:スティリアナキイナゴ「VU:危急」

これはアルプス山脈東部の固有種で、オーストリアのシュタイアーマルク州にあるジルビッツコーゲル山の東側斜面の小さな範囲のみで見られる。この種はごく最近の2007年に発見され、通常はごく開けて日の当たるヒース原野に生息している。中央ヨーロッパと南東ヨーロッパにおいて、ナキイナゴは4つの類似した種からなっており、それらはすべてアルプスの小領域の固有種となっている。スティリアナキイナゴは、オスの生殖器の形態、短い翅、そしてよく響く鳴き声が特徴である。

出典:訳者 岩槻邦男、太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル『IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑』/ 発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / © Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

スティリアナキイナゴ(Podismopsis styriaca)|2026年時点の現状まとめ
出典:IUCNレッドリスト|スティリアナキイナゴ(Podismopsis styriaca

2014年の図鑑では「暫定的に絶滅危惧IA類」とされていましたが、これはIUCNによる正式評価ではありません。現在は2015年10月6日の評価に基づき、世界・ヨーロッパともにVU(危急種)です。したがって、CR相当からVUへ回復したのではなく、初めて正式な基準で評価された結果と捉える必要があります。

項目2014年の図鑑現在(2026年確認)
和名スティリアナキイナゴ日本語圏で広く定着した標準和名は確認できず、「スティリアナキイナゴ」は2014年の図鑑で用いられた名称として扱われる。
英名Styrian Golden GrasshopperIUCNではStyrian Plump Grasshopper。Styrian Golden Grasshopperも引き続き使われている。
学名Podismopsis styriaca KoschuhPodismopsis styriaca Koschuh, 2008。現在も有効な種として扱われている。
発見・記載2007年に発見されたごく新しい種2007年に発見され、2008年に新種として正式記載されたことが確認されている。
分類上の課題オスの生殖器、短い翅、鳴き声によって近縁種と区別されると説明スイス固有のPodismopsis keistiと非常によく似ており、鳴き声にも明確な差が認められない。両種を形態だけで確実に区別できるかについては、現在も分類学的な検討課題が残る。
2014年当時の評価IUCNによる正式評価はなく、図鑑では暫定的に絶滅危惧IA類として掲載IUCNレッドリストでVU(危急)。評価基準はD2。世界評価とヨーロッパ地域評価の双方でVUとされている。
評価年未評価最終評価日は2015年10月6日、評価の公表は2016年。IUCNレッドリスト2026-1でも、この評価が最新となっている。
評価変化の意味暫定的にCR相当と判断されていたVUへの変更は個体数が回復したことを示すものではない。2014年の暫定表示と、2015年の正式なIUCN評価は単純比較できない。
VU D2の意味非常に狭い分布を理由に、極めて高い絶滅危険性が想定されていた分布面積または生息地点数が著しく限られ、将来の脅威によって短期間にCRや絶滅へ近づく可能性がある種に適用される基準。現時点の減少率よりも、分布の狭さと突発的変化への弱さが重視されている。
分布オーストリア・シュタイアーマルク州のジルビッツコーゲル山東側斜面の小範囲のみ現在知られている範囲は、シュタイアーマルク州のジルビッツコーゲルから、南側の尾根を経てケルンテン州のホーエンヴァルト周辺まで。2013年にケルンテン州側でも確認され、図鑑より知られている分布は広がったが、依然としてオーストリアの一つの山系に限られる固有種である。
分布拡大の解釈ジルビッツコーゲル山だけに生息すると考えられていたケルンテン州側での確認は、新たに生息域を拡大した証拠ではなく、調査によって従来知られていなかった個体群が見つかった可能性が高い。
標高ジルビッツコーゲル山の高山帯に生息おもに標高約1,743〜2,124メートルで確認され、とくに1,800〜2,000メートル付近に多い。現在の総合資料では、森林限界より上の約1,750メートル以上に限定される山岳性昆虫とされている。
生息環境日の当たるヒース原野やや湿った矮性低木のヒース、開けた高山草原、放牧地に生息する。風当たりの強い場所で、コウボウ属のNardus stricta、Carex curvula、カルーナ、ミネズオウ属、スノキ属などの植物が見られる環境を利用する。
翅と移動能力短い翅が特徴オスの翅は後脚の膝まで届かず、メスの翅は鱗片状に著しく退化している。長距離飛翔には適さず、離れた山域へ自力で移動する能力は低いと考えられる。
個体数詳しい個体数は不明成熟個体数は算定されていない。IUCNの個体群動向もUnknown(不明)のままである。
増減傾向狭い分布から絶滅の危険性が強く懸念されていた発見以降、個体密度が明確に減少したという実証データは確認されていない。一方、長期的で体系的な個体数モニタリングが不足しているため、安定していると断定できる状態でもない。
現在の直接的脅威気候変動の影響は深刻になると予測現地資料では、直ちに大規模な生息地改変が起きているとはされていない。現在の開放的な草地と適度な放牧が維持されれば、短期的には生息環境を保てると考えられている。
土地利用との関係Natura 2000によって生息地が保護されていると説明ジルビッツコーゲル一帯はNatura 2000地域で、保護地域は約2,310ヘクタール。観光利用、林業、道路、アルム放牧も存在するため、保護地域への指定だけで生息環境が自動的に維持されるわけではない。
放牧の影響詳細な記載なし弱い放牧は開けた草地を維持し、低木や樹木による被覆を防ぐ可能性がある。一方、過放牧や急な放牧放棄は植生構造を変えるため、地域ごとの調整が必要となる。
最近の保全活動Natura 2000による地域保護が中心自然公園の「Unsere Alm, unsere Natur」事業で6か所のアルムの生物多様性が調査され、本種を含む重要な生息地が記録された。各アルムにビオトープ管理計画が作られ、低木除去、区域の囲い込み、放牧圧の緩和などが始められている。
モニタリングの進展詳細な継続調査についての記載なし近年のアルム調査により、長期的な生物モニタリングの基礎が整えられた。ただし、本種の個体数変化を数十年単位で示せる段階には至っていない。
気候変動の直接的な証拠将来、深刻な影響を受けると予測本種の減少を地球温暖化と直接結びつけた長期研究は、現在も確認されていない。したがって、気候変動による減少がすでに実証された種ではなく、影響が十分に調べられていない高リスク種である。
周辺山岳地域で確認された温暖化将来予測として扱われていたオーストリア・アルプスの別の高山草原では、1991〜2020年に生育期の平均気温が1.6℃上昇した。広域性のイナゴ類が高標高へ分布を広げる一方、高山環境に特化した種は温暖化の恩恵を受けず、夏の高温時に密度が低下した種も確認されている。
生息域の上方移動山頂に近い狭い地域に生息するため、気候変動の影響が懸念されていた温暖化に伴って高山草原や矮性低木帯が上方へ移動すると、本種もより高い場所へ押し上げられる可能性がある。しかし標高が上がるほど利用可能な面積は小さくなり、最終的には山頂によって移動を止められる。
乾燥化の影響詳細な説明なし本種はやや湿った草地や矮性低木帯を利用する。高温、雪解けの早期化、夏季の乾燥が重なると、植生の水分や植物構成、卵や幼虫が経験する微気候が変化する可能性がある。影響の大きさはまだ数値化されていない。
競争相手の上昇記載なしオーストリア・アルプスでは、温暖化によって広域性のイナゴ類が高標高へ進出している。本種の生息域にも低標高の種が入り込み、餌や空間をめぐる競争や群集構成の変化が起こる可能性があるが、本種への直接的影響は未確認である。
気候変動への適応力詳細不明寒冷な高山気候に適応している一方、分布が一つの山系に限られ、翅が短く移動能力も低い。このため、現在の生息環境が失われても別の山域へ移ることが難しい。
2026年時点の総合判断暫定的に絶滅危惧IA類。気候変動による深刻な影響が予想されていた正式評価はVUだが、成熟個体数も増減傾向も不明で、分布は依然として極端に狭い。現在まで明確な減少は証明されていないものの、温暖化、植生変化、土地利用の変化が重なれば、逃げ場の少ない「山頂の固有種」として短期間に危険度が高まる可能性がある。

現状まとめ:出典

スティリアナキイナゴは、オーストリア・アルプス東部の限られた高山帯にのみ生息する固有種である。2014年の図鑑では暫定的に深刻な危機(CR)とされていたが、2015年にIUCNが初めて正式評価を行い、現在は危急(VU)に分類されている。これは個体数が回復したことを意味するものではない。調査によってケルンテン州側でも確認され、既知の分布域は広がったものの、依然として一つの山系に限定され、個体数と増減傾向も不明である。短い翅のため移動能力が低く、温暖化による高山植生の変化や乾燥化、低地性昆虫の進出が進めば、山頂へ追い詰められても別の山域へ逃れることが難しい。保護地域での生息地管理は進められているが、長期的な個体数調査と気候変動の影響を追う継続的な観測が必要とされている。

⬇︎スティリアナキイナゴの保護活動の種類です。必要なら開いてください。

保全活動の種類実施状況具体的な内容・方法
絶滅リスクの評価実施済みIUCNでは2016年に「危急(VU)」、基準D2と評価された。確認された継続的減少を理由とする評価ではなく、分布域と生息地点が極端に限られ、土地利用や気候などの変化によって短期間に危険度が高まる可能性を重視した分類である。
シュタイアーマルク州での地域評価実施済み2024年にまとめられたジルビッツコーゲル=グレーベンツェン自然公園の調査報告では、シュタイアーマルク州のレッドリストで「危急(VU)」とされている。2005年版オーストリア全国版レッドリストの刊行後に記載された種であるため、同全国版では未評価となっている。
ジルビッツコーゲルの保護地域管理実施中ジルビッツコーゲル一帯約2,310ヘクタールはEU鳥類保護区として管理されている。指定理由の中心は鳥類だが、高山草原、矮性低木群落、湿潤地などが保全されることで、本種の生息地も間接的に守られている。
種固有の法的保護の強化今後の課題本種はEU生息地指令の附属書掲載種ではなく、EUNISでもEU法令上の掲載種とはされていない。保護地域内に生息していても本種そのものを対象とした保護義務は限定的であり、州の種保護規則や保護地域の管理計画に明記することが重要となる。
高山草原の現況調査実施済み「Unsere Alm, unsere Natur」事業では、6か所の高山牧草地に設けた26調査区を対象に、2022年と2023年に昆虫、両生類、爬虫類などを調査した。調査地点は標高1,222~2,225メートルに分布し、将来の反復調査に利用できるよう正確に位置情報が記録された。
重要生息地点の特定実施済み本種はジルビッツコーゲルの標高約1,850~2,200メートルにある、自然度が高く、構造が複雑で、部分的に湿った高山草原で確認された。特にZirbitzalmの調査区04と05は、地域個体群に不可欠な場所として「非常に高い保全価値」「全国的に重要」と評価された。
現在の土地利用の維持実施中本種が確認された主要調査区では、現在の管理を継続し、利用を集約化せず、生息環境を変更しないことが推奨されている。大規模な土地改変より、現在の穏やかな放牧状態を維持することが中心となる。
粗放的放牧の継続実施中・継続が必要本種の生息地である高山草原と牧草地では、放牧を完全に停止するのではなく、現在の粗放的な放牧を維持する。適度な放牧は草原の開放性、矮性低木、草本、地表の凹凸が混在する環境の維持に役立つ。
過放牧の防止一部で対策実施家畜が特定の場所に集中すると、植被の破壊、土壌露出、踏み固め、乾燥化、糞による富栄養化が起こる。放牧頭数、放牧期間、給餌・給水地点を調整し、本種が利用する閉じた植被と湿潤な微環境を残す。
放牧放棄による植生変化の防止継続が必要放牧の完全な放棄によって高茎草本や低木が過度に増え、均一な藪や森林へ移行することも避ける。必要な場所では、人力による小規模な低木除去を行い、草原と矮性低木群落のモザイクを維持する。
放牧区画の調整・柵囲い一部で実施自然公園の高山牧草地事業では、保全価値の高い湿地や草地の一部で、放牧圧を下げるための柵囲いと放牧の粗放化が進められている。ただし、本種の主要生息区では一律に柵で囲うのではなく、現状の植生と放牧圧を確認して区画ごとに判断する。
植生構造の保全実施中・継続が必要本種は、イワヒゲ類、ギョリュウモドキ、スノキ属、コメススキなどが混在する、やや湿った高山草原・矮性低木群落を利用する。草丈、植被率、矮性低木の割合、裸地、草株、地表の凹凸が均一化しないよう管理する。
湿潤な微環境の保全継続が必要原記載地では、湿った地表と閉じた植被を好み、過度に濡れた場所と最も乾燥した場所を避けることが報告されている。湧水、湿った窪地、泥炭質土壌、雪解け水が供給する微小湿地を維持する。
排水・乾燥化の防止継続が必要排水溝、暗渠、道路排水、湿地の埋立てなどによって土壌水分を低下させない。既存の排水設備についても、本種の生息地点へ及ぼす影響を確認し、不要な排水は拡張しない。
富栄養化の防止実施中・継続が必要肥料、家畜排せつ物、補助飼料などによる過剰な栄養流入を抑える。富栄養化すると、低栄養条件に適応した高山植物が減り、競争力の強い草本による均一な植生へ変化する可能性がある。
地形改変の回避継続が必要整地、掘削、岩石除去、播種、牧草地の改良、重機走行などを重要生息地で行わない。特に、本種が利用する草株と窪地が連続した凹凸のある地表を平坦化しないことが重要である。
観光施設・道路開発の管理継続が必要山小屋、管理道路、索道、スキー施設、駐車場などの新設・拡張では、事前に本種の分布を調査する。主要生息地とその周辺を回避し、やむを得ない工事では施工面積と重機走行範囲を最小化する。
登山者による踏みつけの軽減継続が必要登山道が高密度生息地点を通過する場合は、既存ルートへの誘導、標識の設置、近道の閉鎖などによって踏みつけを集中管理する。登山道の外側へ利用範囲が拡大しないようにする。
標準化された個体数モニタリング基礎調査実施済み・反復が必要2022~2023年の調査では、各調査区に2本の30メートル線状区を設定し、目視、鳴き声、追い出し、捕虫網による調査を組み合わせた。この調査区と方法を維持し、数年ごとに同じ時期・条件で再調査する。
鳴き声による音響調査実施済み・継続が必要雄の特徴的な鳴き声を利用して分布と個体数を調べる。鳴く頻度は日射や温度に影響されるため、調査時刻、気温、日照、風速、雲量を記録し、条件の異なる調査結果を単純比較しない。
捕虫網による確認調査実施済み・継続が必要目視や鳴き声だけでは発見しにくい雌や幼虫を確認するため、一定回数の捕虫網調査を併用する。自然公園の調査では、線状区ごとに定量化した捕虫網調査が行われ、本種を含むバッタ類は原則として現地で同定されている。
成虫発生期に合わせた調査実施中成虫はおおむね6月末から10月に確認される。個体数比較では、特に活動が活発になる夏から初秋に複数回調査し、単年度・単日の不確認だけで消失と判断しない。
全分布域の再調査一部実施・拡充が必要確認範囲はシュタイアーマルク州のジルビッツコーゲルから、ケルンテン州のザウアルペ・ホーエンヴァルト方面までの限られた高地に広がる。州境を越えて同じ方法で調査し、未確認の稜線や孤立した高山草原も探索する。
長期モニタリング体制の構築今後の課題発見後の調査では明確な個体密度低下は確認されていないが、長期間にわたる本種専用のモニタリングはまだ確立されていない。調査地点、調査頻度、担当機関、減少を判断する基準を定める必要がある。
気候変動の影響監視今後の重点課題現時点で気候変動による個体数減少が実証されているわけではないが、本種は標高約1,750メートル以上の山頂部に限られる。気温、積雪期間、雪解け時期、土壌水分、植生変化、成虫出現時期を個体数調査と同時に記録する。
気候避難地の保全今後の重点課題北向き・東向き斜面、風当たりの強い稜線、雪が遅くまで残る窪地、湧水周辺など、比較的低温で湿潤な微環境を特定して保全する。山頂まで分布が達しているため、さらに高所へ移動できる範囲は限られている。
生息地間の連続性維持継続が必要本種は翅が短く、長距離分散能力が低いと考えられる。ジルビッツコーゲルから南側の稜線に連なる高山草原を道路、施設、集約的牧草地などで分断せず、移動可能な植生の連続性を残す。
農家ごとの生息地管理計画実施済み・継続中自然公園の事業では、調査対象となった各高山牧草地について生物多様性と土地利用を評価し、管理者へ個別の管理方法が提示された。本種の生息地点では、現在の管理維持、利用の非集約化、地形・植生を変更しないことが中心となっている。
農業者への経済的支援拡充が必要粗放的放牧、湿地の柵囲い、施肥の抑制、手作業による植生管理は、農業者の負担となる。高い保全価値を持つ草地を対象に、農業環境支払いなどの支援を優先的に配分する。
農業者・管理者との共同管理実施中2022~2023年には農業者との説明会、ワークショップ、現地踏査が行われ、調査地点や管理方法が協議された。科学者だけで管理を決めず、放牧の時期や家畜の行動を熟知する農業者の知識を取り入れている。
自然公園案内者の研修実施済み2023年には自然解説者を対象とした高山牧草地の動植物に関する研修が行われた。本種の識別、生息環境、登山者が生息地へ与える影響を伝えられる人材の育成につながっている。
遺伝・分類研究今後の課題本種とスイスに分布する近縁種Podismopsis keistiは形態的に非常によく似ている。鳴き声、雄の生殖器、翅、産卵器などに基づく分類に加え、分子系統、集団遺伝、州境を越えた個体群構造を調査する。
開発前の環境影響評価継続が必要高地での道路、観光施設、通信設備、風力発電設備などを計画する場合、成虫期の音響・目視調査だけでなく、植生、土壌水分、積雪、地形を含めて評価する。生息確認地点だけでなく、その間を結ぶ高山草原も対象とする。
飼育繁殖・移殖現在は主要活動ではない本種について、飼育下繁殖や別の山域への保全移殖が実施されていることは確認されていない。まずは自然分布域の生息地保全、長期モニタリング、遺伝構造の解明を優先し、急激な減少が確認された場合に域外保全の必要性を検討する。

保全活動の種類:出典

スティリアナキイナゴを追い詰める地球温暖化|高山帯に逃げ場はあるのか

Questioner: This is just like what’s happening to Steiner’s shrub frog (Pseudophilautus steineri), right? It’s a crisis caused by the global warming we brought about, hitting the creatures living high up in the mountains.

Me: Yeah, exactly. They have no choice but to flee toward the very tip of a triangle-shaped mountain. From this grasshopper’s perspective, it probably feels like seawater is slowly flooding in from the base of the mountain, leaving less and less dry land to survive on.

Questioner: Air is invisible, and temperature is something you just feel with your body. It really is like we’re slowly pouring hot water into the tank where we’re keeping these grasshoppers. Just like Steiner’s shrub frog and the Ili pika, global warming means the crisis hits creatures living in high mountains way faster than it hits us.

Me: The signs we get from alpine ecosystems are on the absolute front lines of the crisis coming for the whole planet.

Questioner: We hear that global warming in places like the Arctic is happening several times faster than on flat lands. Does that mean temperatures in high mountains worldwide—not just in the Austrian Alps—are warming faster than where we live?

Me: That’s a really good question. Let me look into it.

質問者:これってスタイナーニセコガタキガエル(Pseudophilautus steineriさんの時と同じ高山で暮らす生き物たちに起きている僕たちが招いた地球温暖化による危機だよね。

私:そうですね。三角形の山の頂点に向かって逃げるしかなくなる。このイナゴからしたら、まるで山の麓から徐々に海水が浸水して陸地が残り少なくなっているようにも思えるでしょう。

質問者:空気って目に見えないし、ましてや温度なんて体で感じるものだもんね。ほんとイナゴさんを飼育している水槽に僕たちがお湯を少しずつ入れているようなものだよ。スタイナーニセコガタキガエルさんもそうだしイリナキウサギさんもそうだったし、高山で暮らす生き物たちにとって地球が温暖化することって僕たちよりも早く危機が訪れるってことなんだよね。

私:高山で暮らす生態系が教えてくれるサインは、地球全体に訪れる危機の最前線ですからね。

質問者:北極などでは地球温暖化が平地の数倍とか言われてるけど、オーストリアの高山に限らず世界的に高い山の気温って僕たちが住んでる場所より早く温暖化してるのかな。

私:そこ気になりますよね。調べます。


高山帯はなぜ速く温まるのか|白い雪が消え、逃げ場のない命に熱が迫る

山の上は、人間の大量生産や大量消費から最も遠い場所に見えます。しかし、熱も、すすも、大気の循環に境界線を持ちません。白い雪が鏡の役割を失ったとき、最初に行き場をなくすのは、山頂近くで暮らす小さな命たちです。

雪氷アルベド・フィードバック(太陽光を反射する白の喪失)

高山の地表を覆う白い雪や氷は、降り注ぐ太陽光の多くを反射する「鏡」の役割を果たしています。しかし、気温の上昇によって雪解けが早まると、その下から色の濃い岩肌や土が現れます。

岩や土は雪よりも太陽光を吸収しやすいため、地表に蓄えられるエネルギーが増え、周囲に残った雪もさらに解けやすくなります。雪が減ることで地表が暖まり、その暖まりによって雪がさらに減っていく。これが雪氷アルベドによる正のフィードバックです。

水蒸気による熱輸送と潜熱の放出

空気は温暖になるほど、より多くの水蒸気を含めるようになります。水分を多く含んだ空気が山の斜面に沿って上昇すると、気圧の低下によって冷やされ、水蒸気が雲をつくる水滴や氷の粒へ変わります。

この凝結の際、水が蒸発するときに蓄えられていた潜熱が大気中へ放出されます。そのため、湿った空気は乾いた空気よりも上昇中の温度低下が緩やかになり、低い場所で取り込まれたエネルギーの一部が高い場所へ運ばれます。

水蒸気には地表から放出される赤外線を吸収する働きもあります。こうした水蒸気、潜熱、雲、放射の変化は、地域や季節によって作用の大きさが異なりますが、高山帯の気温変化に関わる要因の一つです。高山を直接暖める単純なヒーターというより、水蒸気が目に見えない熱の運び手になっていると考えられます。

ブラックカーボンと光吸収性粒子(消費社会の灰)

人間の経済活動とのつながりが、目に見える形で雪の上に残る要因もあります。

化石燃料やバイオ燃料、木材などの不完全燃焼によって生じるブラックカーボンは、非常に細かな黒いすすです。大気中へ排出されたブラックカーボンは、風に運ばれて遠く離れた高山帯まで到達します。

雪の上に降り積もると表面を暗くし、アルベドを低下させます。その結果、雪が吸収する太陽光が増え、雪解けが早まります。ヨーロッパのアルプスでも、ブラックカーボンと鉱物ダストが積雪の消失時期を早めていることが示されています。

ただし、すべてのエアロゾルが雪を暖めるわけではありません。硫酸塩など、太陽光を反射して冷却方向に働く粒子もあります。雪を暗くして融雪を進めるのは、ブラックカーボンや一部の鉱物ダストなどの「光を吸収する粒子」です。また、鉱物ダストには自然由来のものも多いため、「消費社会の灰」という言葉が直接当てはまるのは、おもに燃焼から生まれるブラックカーボンです。

これらは単なる気象学上のデータではありません。化石燃料を燃やして温室効果ガスを大気中へ蓄積させ、同時に燃焼から生まれた微粒子も空へ放出する。その影響が、大気の循環や雪の変化を通じて、環境変化に弱い高山帯へシワ寄せとして現れています。

出典


Questioner: I’ve never heard of black carbon before, but it basically means this is something we create and scatter around, right?

Me: Looks like it. Even in the snowy region where I live, farmers and others scatter ash over the snow in early spring to melt it faster. It’s almost magical to watch how the snow in those spots absorbs the sun’s heat because of the dark color of the ash and just melts away. And the moment even a little bit of the bare ground is exposed, the snow melts rapidly from that spot outward.

Questioner: Thinking about it that way, even if the snow or ice only melts in a tiny spot where the black carbon landed, once the ground is exposed, it absorbs the sun’s heat much easier. So the melting accelerates rapidly from there. That’s how the mechanism works.

Me: Exactly. That’s why I’ve heard some alpine regions are now desperately trying to counter this by manually covering the areas with white sheets.

Questioner: Digging up fossils from underground, burning them, making that soot rain down from the sky, and then when it causes a problem, struggling up the mountain to cover it with sheets by hand just to make it white again… It’s totally absurd.

Me: You could call it the ultimate self-made disaster. And the sad truth is, even if the Styrian Plump Grasshopper wanted to move to another mountain that still has snow and ice, its wings are too short to fly that far. The species living in these high mountains are losing their refuge along with the white snow, without ever knowing the reason behind the black particles we dropped from the sky.


Thank you so much for taking your valuable time to read this.
I truly hope our thoughts reach the Styrian Plump Grasshopper.

鶏人|Keijin

質問者:ブラックカーボンって初めて聞いたけど、これも僕たちが作り出してばら撒いているってことだね。

私:そのようですね。私が暮らす雪国でも、農家の方々などが春先に雪の上へ灰をまき、雪解けを早めています。見ていると不思議なくらい、灰をまいた場所では、その色が太陽光を吸収して雪が早く解けます。そして地面が少しでも見えると、その部分から一気に雪解けが進みます。

質問者:そう考えると、ブラックカーボンがたどり着いた場所の雪や氷がたとえ狭い箇所で溶けたとしても地面が一度でも見えてしまうと太陽の熱を地面が受け取りやすくなるから、その場所から一気に溶けてしまうって仕組みだね。

私:なので、現在では人力で白いシートを被せるなどの対策をしている高山もあると聞きました。

質問者:地下から化石を掘り出して燃やして、その煤を空から降らせて、困ったらなんとか白くするため苦労して山に登って人力でシート被せてるなんて滑稽だね。

私:究極のマッチポンプとも言えます。そして残念なことにスティリアナキイナゴは、まだ雪や氷の残る別の山へ移ろうにも、短い翅では遠くまで飛べません。高山で暮らす種たちは、私たちが空から落とした黒い粒子の理由も知らないまま、白い雪と一緒に逃げ場を失おうとしています。


貴重な時間を、ありがとうございました。

スティリアナキイナゴに、その想いが届くことを祈ります。

鶏人|Keijin


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