※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
こんにちは、鶏人|Keijin です。
今回は、アオカワガニ(Potamonautes lividus)が暮らす「湿地」の話です。
2014年の図鑑では「VU:危急」とされていたこのカニが、
最新のレッドリストでは「LC:低懸念」へ——評価が引き下げられました。
数字だけ見ると、少し安心してしまいそうですよね。
だから私は、いまのアオカワガニを「静かな川底で、青がふたたび輝きはじめた」……ようにも見えました。
でも調べていくと、その輝きの下で、湿地の乾燥と分断が進んでいることも見えてきました。
この記事は短く、5分で読めます。
よかったら最後まで読んでください。
※2025年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2024年版です(以降の更新は確認されていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Potamonautes lividus)
LCでも安心できない理由|湿地の乾燥と分断がカニを追い詰める
⬇︎アオカワガニの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。⬇︎

| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 和名 | アオカワガニ |
| 英名 | Blue River Crab / Blue swamp forest crab |
| 学名 | Potamonautes lividus |
| 分類 | 節足動物門・甲殻亜門・軟甲綱・十脚目・カニ下目・ポタモナウテス科(Potamonautidae) |
| 分布 | 南アフリカ共和国(クワズールー・ナタール州 北東部)の湿地に局地的に分布 |
| 主な生育地 | 湿地林(swamp forest)や湿原のパッチ。スポンジ状の泥炭質土壌に巣穴を掘ってすむ |
| 大きさ | 甲長(CL)で約25.5mmの標本例が報告されている(中型の淡水ガニ) |
| 体重 | 不明 |
| 寿命 | 不明 |
特徴
- 名前の由来:種小名「lividus」はラテン語で「青/青白い」の意味で、甲羅の青い光沢(銀青色のシーン)に由来する
- 見た目:甲羅は青い光沢を帯び、はさみ脚や歩脚はオレンジ〜赤系の色が目立つ、と記載されている
- 希少性:分布は湿地の孤立したパッチに限られ、移動して別の適地へ移りにくい点が弱みになりやすい
- 保全状況:2010年頃の資料ではVulnerable(VU)として紹介されている一方 、IUCNの「ステータス変更一覧」では2024年にLeast Concern(LC)へ変更された扱いになっている
生態と行動(くらし・ふえ方)
- 生息環境:湿地林の植生の中、スポンジ状の泥炭土にU字型の巣穴を掘って生活する
- 行動:夜間や雨のときに巣穴を出て、陸上で採食する(半陸生的な行動が目立つ)
- ふえ方(繁殖):淡水ガニ類は一般に、淡水で生活史を完結し、大きめの卵を産み、卵の中で発生が進んでから子ガニが出てくる(浮遊幼生期をもたない)とされる
- 脅威:湿地が人の居住地拡大や農業のために排水・改変され、湿地パッチの分断が進むことが大きな問題として挙げられている
- 保護の状況:北東部クワズールー・ナタールの複数の保護区(例:Mapelane Nature Reserve、Mkuze Game Reserve、Hluhluwe Game Reserve)で確認されている
出典
最終評価2024年:アオカワガニ【LC:低懸念】
アオカワガニは孤立化した湿地のパッチに見られるが、そうした場所でも排水が行われ、つづいて人の移住や農業の拡大が見られる。
出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / ページ 1 / ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014
| 項目(3カラム表) | 要点 | 詳細 |
|---|---|---|
| 最新の評価(2024年2月) | VU → LC(低懸念)へ変更 | 2024年の最新評価で、アオカワガニ(Potamonautes lividus)は、絶滅危惧種(VU)から「低懸念(LC:Least Concern)」へとランクが引き下げられた。ここで重要なのは、「危険がゼロになった」ではなく、“種全体としての絶滅リスク評価”が見直されたという点。 |
| 2014年当時の前提(VUだった理由) | 分布が極端に狭いと思われていた | 2014年の図鑑が出た頃は、南アフリカのクワズール・ナタル州北東部にある非常に限られた湿地(沼沢林)にしかいない=「局所的な環境変化で一気に消える」タイプだと想定されていた。つまり、わずかな開発・排水でも致命傷になりうる、と判断されてVUに置かれていた。 |
| ランクが変わった最大の理由 | 生息域(分布)の再確認 | 2020年以降の研究や調査が進み、さらに iNaturalist などの市民科学的データも蓄積されて、「思っていたより広い範囲で見つかる」ことが明確になっていった。分布が“狭い一点集中”ではなく、複数地点で確認されるなら、種全体のリスク評価は下がりやすい。 |
| 追加の理由①:分布が予想より広かった | 見つかる場所が増えた | 以前は「そこにしかいない」と思われていたのが、調査や記録の積み上げで、別の湿地・周辺地域でも生息が確認されるようになった。これにより「限定された一点の消失=種の消失」という見立てが弱まった。 |
| 追加の理由②:個体数が安定している | “点在する湿地”で維持されている | 生息に適した湿地が複数点在し、それぞれで一定の個体数が維持されていることが分かってきた。つまり、「すぐに個体数が崩壊するほどの急減傾向」とは言いにくくなり、結果としてLCへ移行しやすい条件が揃った。 |
| 結論としての評価ロジック | “絶滅の確率が低い”側へ | 生息域が広がって見え、個体群が複数あり、個体数も維持されているなら、種全体としては「すぐ絶滅する危険性は低い」と判断される。これが今回のランクダウンの骨格(=評価の軸)。 |
| では「危機的状態」ではないのか? | 局所的には脅威が残る | ランクが下がっても、生息環境が脅かされている事実は残る。LCは「安心して放置してOK」ではなく、あくまで“種全体として”直ちに高い絶滅リスクではない、という整理。局所個体群や湿地単位では、条件が悪化すれば普通に危うくなる。 |
| 継続する脅威①:農地拡大と排水 | 地下水位低下が致命的 | 湿地周辺での農業開発や排水は続いている。アオカワガニは湿地の泥に深い穴を掘って暮らすため、地下水位が下がる=生活基盤が崩れる。図鑑が指摘していた「湿地の乾燥化に弱い」という脆弱性は、今も課題として残っている。 |
| 継続する脅威②:生息地の断片化 | “飛び地化”で交流が減る | 道路建設や住宅地開発などで生息地がパッチ状(飛び地)に分断されると、個体群間の移動・交流が難しくなる。これが進むと、局所的に弱った群れが回復しにくくなったり、遺伝的多様性が落ちたりするリスクが出る。 |
| 分類整理(混同の解消) | 似た別種の発見が影響 | 2015年に、よく似た新種(Potamonautes isimangaliso)が発見され、分類・同定の整理が進んだ。これにより「アオカワガニと思っていたものが別種だった/逆もある」といった混同が解け、より正確な生息実態の把握が可能になった。結果として、分布や個体数の見え方(=評価の前提)も整っていった。 |
| まとめ | ランクダウン=安全、ではない | 現在のアオカワガニは、「種全体としては絶滅の瀬戸際ではないが、局所的には生息地の消失(排水・開発)で危うくなりうる」という立ち位置。今回のランクダウンは「安全になった」よりも、「調査が進んで、当初の想定より“広く・そこそこ居た”と分かった」という意味合いが強い。 |
アオカワガニ(Potamonautes lividus)は、2014年当時はクワズール・ナタル州北東部の限られた湿地に局在するとみなされVUと評価された。以後の調査(2020年以降)や市民科学データにより分布拡大と個体群の安定が確認され、2024年にLCへ改訂された。一方、農地拡大に伴う排水、開発による生息地断片化、近縁新種(P. isimangaliso)との分類整理に伴う局所的リスクは継続する。
⬇︎アオカワガニの保護活動の種類です。必要なら開いてください。⬇︎
| 保護活動の種類 | 内容の概要 |
|---|---|
| 生息地(湿地・湿地林)の保護 | 本種が暮らす湿地のパッチ(湿地林や泥炭質の湿地)そのものを守る。特に、居住地拡大や農地化のための排水・改変を抑えることが重要。 |
| 排水・開発圧の抑制 | 湿地が排水されると、生息地が直接消えるうえ、残った場所も細切れになって移動先がなくなる。排水計画や土地利用の段階で、湿地の保全・回避を優先する。 |
| 生息地の分断(孤立)の緩和 | 個体群が孤立すると、他の適地へ移れず脆弱になる。湿地の連結性を保つ・緩衝帯を確保するなど、パッチ間の“つながり”を残す管理が要点。 |
| 保護区の設定・管理強化 | 既に保護区内で確認されている地域があり、こうした重要地の保全管理を強化する(保護区の維持、周辺開発圧の調整など)。 |
| 重要地点の把握(分布調査) | 分布が限られる可能性が指摘されており、既知地点(例:大学キャンパス周辺、湿地林、自然保護区など)と周辺の追加調査で、保全の優先エリアを明確にする。 |
| 長期モニタリング | 湿地の状態(排水・土地改変の進行など)と個体群の変化を継続的に追う。小さな湿地パッチに依存する種ほど、環境変化が個体群に直撃するため定点監視が効く。 |
| 地域参加・啓発 | 湿地の価値や、排水・改変が生物多様性に与える影響を共有し、保全に合意を作る(保護区周辺・自治体・開発側との協議、地域の見守りなど)。 |
出典
- Flickr
- IUCN:Species of the Day: Blue River Crab
- Potamonautes lividus Gouws, Stewart & Reavell, 2001
- Potamonautid river crabs (Decapoda, Brachyura, Potamonautidae) of KwaZulu-Natal, South Africa
- ANEWSPECIESOFFRESHWATERCRAB(DECAPODA, POTAMONAUTIDAE)FROMTHESWAMPFORESTSOF KWAZULU-NATAL,SOUTHAFRICA:BIOCHEMICALAND MORPHOLOGICALEVIDENCE
最後に
これを読んでみて、どのように感じましたか?
農地を広げるための排水とか、開発で生息地が断片化するとか書いてあったけど、地下水位が下がることで、泥の中で暮らしてるカニが具体的にどう困るのかが、いまいち見えてこなかったんだよね。
あと「断片化」って、たとえば広い湿地の真ん中を道路とか工場が建設されて、湿地が分断される…みたいなことなのかな? なんか絵が浮かばなくて、よくわからなかった。
それ、すごくわかります。
「水位が下がると、なんでダメなの?」とか、「断片化って、実際どういうふうに起きるの?」って、そこがイメージできないとピンと来ないよね。
そのへん、もう少し具体的に調べてみます。
| 何が起きる?(環境の変化) | カニの「困りごと」(生活目線のメカニズム) | その結果どうなる?(危機の形) |
|---|---|---|
| 地下水位が下がる(地面が乾く/排水が進む) | アオカワガニは、湿地の泥に掘ったU字型の穴でほとんどの時間を過ごす。穴の奥に地下水がしみ出していると、そこは常に湿度が高い「住処」になる。ところが水位が下がると、穴の中が乾き、“家”と“肺”を同時に失うような状態になる。 | 住める場所そのものが成立しなくなり、局所的に個体群が崩れる(「その湿地からいなくなる」)リスクが上がる。 |
| 地下水位低下 → 穴の中の湿度が下がる | エラが乾く。カニはエラ呼吸だが、陸上でも生きられるのはエラを湿らせられるから。穴が乾くと湿度100%の環境が消え、エラが乾いていく。 | 人間で言うと窒息に近い状態になり、長時間の生存が難しくなる。 |
| 地下水位低下 → 泥の性質が変わる | 湿地の泥(泥炭土など)は水分を含むから穴の形が保てる。乾くと、①ボロボロに崩れる/②逆にカチカチに固まる、の両方が起こり得る。 | 「家」の機能が失われる。隠れ場所・休息場所・安全な居場所が消える。 |
| 乾燥で穴が崩れる | 崩れると、寝ている間でも穴が潰れてしまい、生き埋めのような状態になる。 | 直接的な死亡リスクが上がる(巣穴が“罠”になる)。 |
| 乾燥で泥が固まる | 固まると、カニが穴を掘り直せない。逃げ込める場所を作れず、外に出る時間が増える。 | 天敵(鳥やマングース等)に狙われやすくなる/隠れ場所喪失。 |
| 地下水位低下 → 脱皮に必要な水分が不足 | 成長に必須の脱皮は水分に強く依存。脱皮直後は体が柔らかく、十分な水がないと殻形成がうまくいかない。 | 脱皮失敗=そのまま死ぬことが増える(成長段階でのボトルネック)。 |
| 生息地の断片化(道路・農地・住宅地・工場などで湿地が分かれる) | 小さな生き物にとって断片化は「通れない壁」が増えること。感覚としては、湿地が海に浮かぶ小島みたいになって、そこに閉じ込められる。 | 個体群が孤立し、長期的に弱体化しやすい。局所災害で一気に全滅もしやすくなる。 |
| 断片化 → 道路や乾燥した農地が“移動不能地帯”になる | カニにとってアスファルトや、木が切られ乾いた畑は、命がけでも渡れない「灼熱の砂漠」。距離が短くても、直射日光と熱い地面で体が乾く。 | たった数m〜10mでも“分断”になる。隣の湿地に行けない=交流が途切れる。 |
| 断片化 → 熱いデスゾーン(灼熱地帯)の出現 | 熱せられた地面は、カニを短時間で乾かしてしまう(“干物”になる感覚)。 | 移動中の死亡リスク増。結果として「移動しない」=隔離が固定化。 |
| 断片化 → エッジ効果(切り口から乾燥が侵入) | 森や湿地が切り裂かれると、切り口から日光・風が入り、残った湿地の奥まで乾燥が進む。見た目は緑でも内部は乾いていく。 | “残ったはずの湿地”が、実は住めない湿地に変わっていく。 |
| 断片化が進む → 結婚相手に出会えない | 隣の湿地に相手がいても、道路や乾燥地が越えられず出会えない。狭い範囲で交配が続きやすい。 | 近親交配のリスクが上がり、病気への弱さ・奇形増など、群れ全体がじわじわ弱る。 |
| 断片化が進む → 逃げ場がない | 火事、農薬流入、事故的汚染などが起きても、隣の湿地へ避難できない。「島」ごとに閉じ込められる。 | そのパッチの個体群が一気に全滅する可能性が高くなる。 |
| まとめ(カニ視点の最悪シナリオ) | 「家(穴)のエアコン=湿度」が壊れて、外へ出ようとしても周囲が熱々の鉄板(道路・乾燥地)で囲まれていて、どこにも行けない――そんな状態。 | 2024年にLCになったのは「思ったより分布が広く、まだ“島”が点在している」からで、各“島”が安全になったわけではない(局所リスクは残る)。 |
地下水が下がるって、つまり乾燥するってことなんだね。
で、湿地の真ん中に道路とかができちゃうと、せっかく仲良くなったカップルが離れ離れになっちゃう。
それでも会いたくて頑張って道路を渡ろうとするんだけど、直射日光で体が乾いて、窒息みたいになって、結局出会えなくなっちゃう……ってことなんだね。
なんか、すごく切ないです。
あと、これ知っちゃうと、全然「低懸念」って思えないんですよ。
わかります。
今まで広い湿地で暮らしていたカニたちが、人間の開発で分断されて、狭くて小さな湿地に閉じ込められてしまう。
その結果、湿地が“海に浮かぶ孤島”みたいになってしまって、そこで暮らす群れは多様性も乏しくなる。だから、病気や災害みたいなことが起きると、一気に危機的な状況になってしまう——そんな絵が見えてきました。
絵が見えると、たぶん解決の方法も見えてくると思うんです。
でも、日本から遠く離れた南アフリカ共和国まで行って、直接なにかを解決するのは、正直なかなか難しい。
ただ、こういう「湿地の分断化で起きること」って、日本でもきっと起きているはずなんですよね。草原や森の分断化なんて、目に見える形でも起きています。
だから、私たち一人ひとりにできることがあるとしたら、まずは「小さな足元の生き物に目を向ける」ことなんじゃないかな、って思うんです。
ほんの少しの時間でも、足元のアリとか、側溝の隅から伸びてきた花や草とか、そういうものの名前を調べてみるところから始める。
そうやっていくうちに、いつか世界の生き物たちを救える側に近づける気がするんですよ。
だって、地球は丸くて、ちゃんと繋がっているんですから。
ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?
コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。
あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。
アオカワガニに、あなたの5分が届くことを祈ります。
鶏人|Keijin




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