11年後のレッドリスト|クビカシゲガメ:誰も触れぬ頁に、深い沈黙が積もっている【IUCNレッドリスト比較】

クビカシゲガメ(Pseudemydura umbrina) 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

クビカシゲガメ(Pseudemydura umbrina)は、

2014年、図鑑に【CR:深刻な危機】として分類されていました。

1996年、IUCNレッドリストで【CR:深刻な危機】と評価されました。

つまり、1996年から、クビカシゲガメは、

「誰も触れぬ頁に、深い沈黙が積もっている」状態なのです。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるクビカシゲガメの最新評価は1996年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでくれると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/18457/97271321

失われる場所、乾きゆく環境:絶滅への二重苦

⬇︎クビカシゲガメの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|クビカシゲガメ(Western Swamp Tortoise)
項目情報
和名クビカシゲガメ(首傘重亀)
英名Western Swamp Tortoise
学名Pseudemydura umbrina
分類爬虫類・カメ目・オーストラリアガメ科
分布オーストラリア西部(パース近郊の湿地帯のみ)
生息環境季節性の浅い湿地(冬に水が張り、夏は干上がる)
体長最大約15cm(世界最小級の淡水ガメの一つ)
体重約400g 前後
寿命60年以上
IUCN評価CR(深刻な危機、Critically Endangered)

特徴

  • 世界最小級の淡水ガメ:成体でも甲長15cmほどで、非常に小型。
  • 名前の由来:「Western Swamp Tortoise」と呼ばれるように、西オーストラリアの一部の湿地にのみ生息。
  • 甲羅:ドーム型で暗褐色〜黒色、地味だが硬く丈夫。
  • 絶滅危惧の理由:生息地が極端に限定され、都市開発や気候変動で干ばつが増えたことが大きな脅威。

生態と行動

  • 湿地依存:冬に水がある湿地で活動し、夏は乾燥するため地中や湿った場所で休眠する。
  • 食性:主に小型の無脊椎動物(昆虫、甲殻類、ミミズなど)を捕食する。
  • 繁殖:メスは夏に巣穴を掘り、数個の卵を産む。孵化は翌冬の降雨期と連動する。
  • 行動:乾燥期はじっとして過ごす「エスティベーション(夏眠)」を行う。
  • 保全活動:飼育下繁殖プログラムや新しい湿地への移住実験が行われている。

2014年絶滅危惧種:クビカシゲガメ【CR:深刻な危機】

クビカシゲガメのもともとの生息地は、ほとんどが農地や宅地への転用、採鉱のために失われている。さらにこの種は地球温暖化と季節性湿地帯をおびやかす乾燥化によっても危機にさらされている。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

項目内容
生息地オーストラリア南西部の「季節性湿地」
湿地の特徴冬:降雨で水が満ちる/夏:干上がる(水位が季節で変動)
土壌粘土質または砂混じりの粘土質(排水性が悪く水が溜まりやすい)
冬の湿地カエルの幼生、水生昆虫、甲殻類、ミミズなどが豊富で、採餌と成長の場
夏の対応水が干上がるため、土中や落ち葉の下で「夏眠(aestivation)」して乾季を生き抜く
生態の特徴季節的な水位変動と生活環が密接に結びついている
主な脅威(気候変動)– 降雨量減少 → 湿地が満たされない/期間が短縮
– 気温上昇 → 蒸発促進・乾燥化
影響採餌や繁殖準備の時間不足、夏眠後に水辺が消失する可能性
追加の脅威農地・宅地開発による直接的な生息地破壊
保護の重要性クビカシゲガメの保全=季節性湿地という生態系全体の保全

クビカシゲガメが本来生息する「季節性湿地」は、オーストラリア南西部の限られた地域に存在する、独特で非常に脆弱な生態系。

この湿地は、冬の降雨によって水で満たされ、夏の乾燥によって干上がるという、季節的な水位の変動を繰り返すのが最大の特徴である。

⬇︎クビカシゲガメの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
産卵地の保護湿地環境の回復と保全を行い、繁殖に必要な湿地・水域を守る
混獲の防止農業用水路や溝への迷入を防ぎ、救出・移送を行う取り組み
生息地復元干上がった湿地や農地に人工湿地を造成し、個体を再導入
国際的な取引規制ワシントン条約(CITES)附属書Ⅰにより国際取引を禁止
保護区の設定西オーストラリアのスワン・アヴィアン湿地などで保護区を設定
市民・地域参加ボランティアや学校による湿地再生活動や啓発イベントを実施
研究とモニタリング繁殖プログラムや個体数の長期モニタリング、遺伝的多様性の調査

主な取り組み

  • 湿地保護:繁殖や生息に必要な湿地環境を回復・保全
  • 迷入防止:農業用水路などへの迷入を防ぎ、救出・移送を実施
  • 人工湿地造成:新たな生息地を整備して再導入を行う
  • 国際取引規制:CITES附属書Ⅰで国際取引を禁止
  • 保護区設定:西オーストラリアの湿地で保護区を整備
  • 地域参加:住民や学生による湿地保全・教育活動を展開
  • 繁殖研究:飼育下繁殖プログラムと遺伝的多様性の維持

最後に

これを読んで、どのように感じましたか?

「季節性なら使い分けるといいよね」

と、夏場の利用を考えますか?

「夏場、何もない土地って思われちゃいそうだね」

と、開発の危険を感じましたか?

感じ方は、十人十色あると思います。


「気候変動」と「農地開発」の二重苦(にじゅうく)が、クビカシゲガメを絶滅の危機に追い込んでいる核心的な問題である。

脅威内容影響・比喩
1. 農地・宅地開発:生息地そのものを「消滅」させる脅威– 季節性湿地の物理的破壊(埋め立て、開発)
– 道路や開発地による生息地の分断 → 移動阻害、遺伝的交流の断絶
カメたちの「家」そのものがブルドーザーで壊されていく状態
2. 気候変動:残された「家」の環境を「劣化」させる脅威– 降雨量減少と気温上昇 → 湿地の水不足・乾燥化
– 活動期間の短縮 → 餌不足・繁殖の困難
– 夏眠前に未熟なまま乾季に入り死亡率上昇
わずかに残された「家」のライフライン(水・食料)が止められてしまう状態

この二つの問題が合わさることで、「逃げ場のない危機」が生まれる。

かつて広大な湿地帯が広がっていた時代であれば、ある場所が干ばつに見舞われても、別のより条件の良い場所へ移動することができたかもしれない。

しかし、開発によって生息地がごく限られた「点」としてしか残っていない現状では、その「点」が気候変動によって住めない環境に変わってしまったら、もう彼らに逃げ場はない。

まさに、「生息地の消滅(開発)」「生息地の劣化(気候変動)」という二つの力が、この希少なカメを挟み撃ちにし、絶滅へと追いやっているのだ。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な命である5分間を本当にありがとうございました。

クビカシゲガメに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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