11年後のレッドリスト|キンアシハナダカトンボ:透明な羽の影が、静かに消えかけていた【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|キンアシハナダカトンボ:透明な羽の影が、静かに消えかけていた【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。

Hi, 鶏人|Keijin here.

In a 2014 reference guide, the Platycypha auripes dragonfly was classified as “Vulnerable” (VU). Confined to specific forest streams in the Eastern Arc Mountains, its habitat was already degrading due to forest fragmentation, logging, and water pollution.

Fast forward to today in 2026, and the latest available IUCN Red List assessment—which was updated in 2018—shows its status has worsened to “Endangered” (EN). Its range and area of occupancy remain critically limited, while the quality of its habitat continues to drop thanks to agricultural expansion, timber extraction, and further forest fragmentation.

I believe that even now, this dragonfly exists in a fragile state where “the shadow of its transparent wings is quietly fading away.”

This is a quick, 5-minute read. I’d love it if you stayed with me until the end.

こんにちは、鶏人|Keijinです。

キンアシハナダカトンボ(学名:Platycypha auripes)は、2014年の図鑑では、東アーク山脈の限られた森林渓流に生息し、森林分断・伐採・水質汚染によって生息環境が悪化していたことから「VU:危急」と評価されていました。

そして、2026年時点で確認できるIUCNレッドリストの評価は、分布域と占有面積が限られ、農地拡大・木材採取・森林分断によって、生息地の質が低下し続けていることから「EN:絶滅危惧」と評価の変更が2018年にありました。 

キンアシハナダカトンボは今も、「透明な羽の影が、静かに消えかけていた」状態なのだと思います。

この記事は短く、5分で読めます。
よかったら最後まで読んでください。

※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2018年評価(2018年公開)です(以降の更新は、現時点では確認できていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Platycypha auripes

キンアシハナダカトンボの現在地|VUからENへ悪化した理由

⬇︎キンアシハナダカトンボの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

基本情報|キンアシハナダカトンボ(英名:Tanzania Jewel)

主に iNaturalist、Observation.org、IUCN SSC Dragonfly Specialist Group の報告、Platycypha 属の専門情報を照合しました。キンアシハナダカトンボは、タンザニア、とくにウサンバラ山地周辺の森林渓流に関係するハナダカトンボ科の均翅類で、英名は Tanzania Jewel または Golden Dancing-jewel とされます。(iNaturalist)

項目内容
和名キンアシハナダカトンボ
別名・表記ゆれキンアシハナダカイトトンボ、タンザニアジュエルなどと説明される可能性がある
英名Tanzania Jewel
別英名Golden Dancing-jewel、Golden Dancing Jewel
学名Platycypha auripes
命名者・命名年Förster, 1906
分類昆虫綱・トンボ目・均翅亜目・ハナダカトンボ科・Platycypha 属
分類上の注意日本語では「トンボ」と呼ばれるが、分類上はイトトンボ類に近い均翅亜目の仲間
科の特徴ハナダカトンボ科は Jewel damselflies と呼ばれ、雄の鮮やかな体色や脚の色彩が目立つグループ
属の特徴Platycypha 属はサハラ以南アフリカに分布するハナダカトンボ類で、雄が脚の色を見せるディスプレイを行う種が多い
種小名の意味auripes は「金色の足」を意味する語と考えられ、和名の「キンアシ」や英名 Golden と対応する
IUCN関連評価資料により表記に揺れがある。Observation.org では Endangered と説明される一方、IUCN SSC Dragonfly Specialist Group の報告では Vulnerable と記載されている
分布国主にタンザニア
可能性のある分布iNaturalist ではタンザニアおよびコンゴ共和国の可能性が示されるが、保全資料ではタンザニアのウサンバラ山地周辺種として扱うのが安全
主な分布域タンザニア北東部、東アーク山脈のウサンバラ山地周辺
生息環境森林内または森林周辺の渓流、小川、清流環境
生息地の特徴日陰のある水辺、川沿いの森林、植生に覆われた流れのある水域と関係が深い
幼虫の生活場所水中。流水域の底質、植物、落葉、石の周辺などで生活すると考えられる
成虫の生活場所渓流沿いの葉、枝、石、流木、水辺の植生などにとまる
活動時間昼行性
成虫の食性小型の飛翔昆虫などを捕食する肉食性
幼虫の食性水生昆虫など小型水生動物を捕食する肉食性
繁殖詳細な種別情報は少ないが、トンボ類として水辺で交尾し、水域または水辺植物に産卵すると考えられる
生活史卵、水生幼虫、羽化、成虫というトンボ類の一般的な生活史を持つ
雄の特徴Platycypha 属の雄は脚や体に鮮やかな色彩を持つことが多く、本種では「金色の脚」が名前の由来になる
雌の特徴近縁種・同属種の傾向から、雌は雄より地味な褐色・暗色系である可能性が高い
体色種名と英名から、雄の脚に黄色から金色系の目立つ色彩があると考えられる
脚の役割Platycypha 属では、雄がなわばりや求愛の際に色のついた脚を見せるディスプレイを行うことが知られる
行動雄は渓流沿いになわばりを持ち、雌や他の雄に対して脚や体色を使った視覚的な行動を見せる可能性が高い
飛翔渓流沿いを低く飛び、止まり場から短く飛び出して戻るような行動をとると考えられる
類似種同属の Platycypha caligata、Platycypha lacustris など、アフリカ産の鮮やかな Jewel damselflies と混同される可能性がある
識別上の要点雄の脚の色、体色、腹部模様、分布域が識別の重要点になる
個体数正確な総個体数は不明
個体数傾向生息地の劣化により減少傾向が疑われる
主な脅威森林伐採、農地拡大、木材採取、渓流周辺の植生喪失、生息地の分断
水環境への脅威土砂流入、水質悪化、流量変化、河畔林の消失が幼虫の生息環境を悪化させる可能性がある
特に重要な脅威農業拡大と木材採取による森林渓流環境の劣化
保全上の要点ウサンバラ山地の森林渓流、河畔林、水質、流量、周辺植生を保全すること
調査上の課題分布範囲、確認地点、個体数、繁殖場所、季節性についての公開情報が少ない
保全上の注意点成虫だけでなく、水中で暮らす幼虫の環境を守る必要がある
生態系での役割成虫は小型昆虫を捕食し、幼虫は水生小動物を捕食する。渓流生態系の小型捕食者として機能する

補足すると、この種で一番注意したいのは、IUCN評価の表記です。Observation.org では Endangered とされ、森林渓流に生息し、農業と木材採取による生息地喪失が脅威と説明されています。一方、IUCN SSC Dragonfly Specialist Group の報告では Tanzania Jewel として Vulnerable と記載されています。(IUCN)

出典

最終評価2018年:キンアシハナダカトンボ「EN:絶滅危惧」

キンアシハナダカトンボはタンザニアの東アーク山脈(たとえばウサンバラ、ウルグル、ウズングワなど)を流れる水が澄んで、流速の速い河川で見られる。これらの森林は完全に分断されており、内外でひどくなる人的汚染が引き起こす森林伐採や水質汚染の被害をこうむっている。

出典:訳者 岩槻邦男、太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル『IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑』/ 発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / © Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

2026年時点で確認できる「現在」は、IUCN Red List最新版 2025-2上での最新評価、つまり2018年評価です。したがって「2026年に再評価された」という意味ではなく、「2026年現在も最新評価として参照される状態」として整理します。IUCNの現行表示ではEN、Endangeredで、2014年図鑑のVUから一段階悪化しています。IUCNの基準B1/B2は分布域・占有面積の狭さ、分断、継続的な減少を扱う基準で、b(ii)は占有面積の減少、b(iii)は生息地の面積・範囲・質の低下を指します。(IUCN Red List)

項目2014年の図鑑現在(2026年確認)
和名キンアシハナダカトンボキンアシハナダカトンボとして扱える。英名はIUCN系ではTanzania Jewel、図鑑系ではGolden Dancing-jewelの表記が見られる
学名Platycypha auripes FörsterPlatycypha auripes、記載者はFörster, 1906。分類上はトンボ目・イトトンボ亜目・Chlorocyphidae系のカワトンボ類
IUCNカテゴリ絶滅危惧II類、VU絶滅危惧IB類相当、EN。2014年図鑑時点より1段階悪化
評価の新しさ図鑑ではVUとして掲載。おそらく当時利用可能だったIUCN評価を反映IUCNの最新評価日は2018年4月19日。2026年現在、これより新しいIUCN再評価は確認できない
評価基準図鑑本文では細かなIUCN基準までは強調されていないEN B1ab(ii)+2ab(iii)。分布域・占有面積が限られ、分断または少数地点に近く、占有面積と生息地の質が低下している評価
分布タンザニアの東アーク山脈。ウサンバラ、ウルグル、ウズングワなどが挙げられている基本的にタンザニア東アーク山脈の森林河川に強く結びつく種として扱われる。IUCN地図上もタンザニア東部山地周辺に点在的
生息環境森林内を流れる、澄んだ水で流速の速い河川現在も森林と内陸湿地、特に森林河川への依存が中心。森林の陰、流れのある小河川環境が重要
生態的な位置づけ東アーク山脈の森林河川にすむ、局地的なイトトンボ類森林性・河川性の専門性が高い種。成虫だけでなく幼虫期も水環境に依存するため、森と川の両方が傷むと影響を受けやすい
森林分断「これらの森林は完全に分断されている」とされ、分断が大きな問題として書かれている分断問題は解消していない。東アーク山脈全体では農地化、伐採、火入れ、採掘などによる森林圧が続いており、森林河川性の本種には不利
主な脅威森林伐採、水質汚染、人為的な影響現在の要点は、農業拡大と木材採取による生息地喪失・劣化。東アーク山脈全体では商業・自給農業、火災、伐採、採掘も主要圧力
水質汚染の扱い図鑑では水質汚染が明記され、森林河川の劣化要因として扱われている種別の現行要約では生息地喪失がより前面に出る。ただし淡水性昆虫なので、森林伐採後の土砂流入、農地排水、河川環境の改変は引き続き重要なリスク
個体数図鑑からは具体的な成熟個体数は読み取れないIUCN表示では成熟個体数は明示されず、個体群動向はUnknown。つまり「減っている可能性は高いが、個体数データで細かく追えていない」状態
分布域の広さ東アーク山脈内の複数山塊にいるが、連続分布ではなく分断的EN基準になっているため、実際に使える生息地や占有面積は限られていると判断されている
保護区との関係ウサンバラ山地とウズングワの一部で保護区が設定されている、と図鑑にある保護区・自然保護区内の森林河川は重要な避難場所。ただし保護区外の流域で伐採・農地化・水質劣化が進むと、河川全体の連続性と水質に影響する
保全活動の方向性森林伐採と水質汚染を止め、残された森林河川を守る必要がある段階種単独の大規模な増殖・再導入計画は確認しにくい。現実的には、東アーク山脈の森林保全、河畔林保護、伐採抑制、農地化抑制、水質管理、継続調査が中心
2014年からの変化VUとして「危ないが、まだ一段下」と見られていたENへ悪化。図鑑が気にしていた「森林分断・伐採・水質悪化」は、現在の評価基準にもつながる中核問題だったと見てよい
ひとことで言う現在分断された森林河川に残る、危うい地域固有種まだ絶滅ではないが、危険度は上がった。森が消えるだけでなく、森が細切れになり、川の質が落ちることが本種を追い詰めている

東アーク山脈の森林は現在も強い圧力下にあり、Tanzania Forest Conservation Groupは農業、火入れ、伐採、採掘を主要脅威として挙げています。さらに東アーク山脈では1970年代以降に12%以上の森林が失われ、東ウサンバラでは同期間の消失率が約30%とされています。(Tanzania Forest Conservation Group) また、アフリカのトンボ類研究では、トンボ・イトトンボ類は水域と陸域の両方の変化に敏感で、淡水環境保全の指標になりうるとされています。(ナチュラリス機関リポジトリ)

出典

2014年の図鑑では、キンアシハナダカトンボはタンザニア東アーク山脈の澄んだ流れの速い森林河川にすみ、森林分断・伐採・水質汚染に脅かされるVU種として紹介されていた。2026年現在、IUCNの最新評価は2018年のENで、危険度は一段階悪化している。成熟個体数や個体群動向は不明だが、農業拡大、木材採取、火災、採掘などによる森林と河川環境の劣化が続き、保全は東アーク山脈の森林河川を守れるかにかかっている。

⬇︎キンアシハナダカトンボの保護活動の種類です。必要なら開いてください。

保護活動の種類内容実施・提案の状況重要度補足
森林渓流の保全本種が生息する森林内・森林周辺の小河川、渓流、流水環境を守る必要・一部は保護区管理で実施最重要本種は森林渓流に依存するため、川だけでなく周囲の森林も同時に守る必要がある
東アーク山地の森林保全東ウサンバラ山地を含む東アーク山地の山地林・低地林を保護する実施中・継続必要最重要分布がタンザニアの東アーク山地に限られるため、地域全体の森林保全がそのまま本種保全につながる
河畔林の保全渓流沿いの樹木、低木、下層植生を残す必要最重要河畔林は日陰、水温安定、落葉・落枝供給、土砂流入抑制に関わる
日陰の維持渓流上部の樹冠を保ち、直射日光による水温上昇を防ぐ必要高い調査資料では、本種を含む森林性トンボ類が日陰のある涼しい場所を好むとされる
流水環境の維持流速、水深、瀬、淵、岩、落枝などの自然な渓流構造を保つ必要高いP. auripes は、開けた緩流よりも、森林内の流れのある環境に適応している可能性が高い
河川改修の回避護岸、直線化、コンクリート化、取水路化を避ける必要高い小型の森林渓流性昆虫では、河川構造の単純化が生息場所の喪失につながる
農地拡大の抑制渓流周辺の森林を畑、プランテーション、集落へ転換しない必要最重要IUCN系情報では、農業による生息地喪失が主要脅威として挙げられている
木材採取の抑制渓流沿い・集水域内の伐採や木材搬出を減らす必要最重要木材採取は森林被覆を減らし、日陰、水質、土砂流入、湿度に影響する
違法伐採対策保護区内外での違法伐採、燃料材採取、林内伐採を監視する必要高い小さな渓流沿いの伐採でも、生息場所の温度や水質を変える可能性がある
集水域保全渓流そのものだけでなく、上流域全体の森林と土壌を守る必要最重要上流の伐採、農地化、道路建設は、下流の水質や土砂量に影響する
水質保全渓流水の濁り、農薬、肥料、生活排水、土砂流入を抑える必要最重要トンボ類の幼虫は水中で生活するため、水質悪化は直接的な脅威になる
土砂流入の抑制農地、林道、伐採地、裸地から川へ土砂が流れ込むのを防ぐ必要高い土砂は幼虫のすみ場所、餌生物、河床の隙間環境を埋める可能性がある
農薬流入の低減渓流周辺の農地で殺虫剤・除草剤・肥料の流入を抑える必要高い本種や餌となる水生昆虫に影響する可能性がある
河畔緩衝帯の設定農地や集落と渓流の間に自然植生帯を残す必要高い河畔緩衝帯は土砂、農薬、肥料の流入を減らし、川の日陰も維持する
森林再生劣化した渓流沿いに在来樹種を回復させる必要高い失われた日陰と落葉・落枝供給を回復させることで、生息環境の改善が期待できる
渓流沿いの植林河岸の裸地、伐採跡、農地縁に在来樹種を植える必要高い幼虫環境と成虫のなわばり環境の両方を改善する可能性がある
森林断片化の抑制森林渓流が孤立しないよう、周辺森林の分断を防ぐ必要高い東ウサンバラの資料では、森林断片化が森林性トンボ類の脅威として示されている
河川回廊の接続渓流沿いの森林を線状につなぎ、個体群間の移動可能性を高める必要中〜高小河川ごとの個体群が孤立すると、局所絶滅のリスクが高まる
保護区管理の強化Amani Nature Reserve など、東ウサンバラ山地の保護区内で森林・渓流を管理する実施中・継続必要高い記録や調査がある地域では、保護区管理が本種保全の中心になりうる
保護区外渓流の保全保護区外の小河川、農地周辺の森林断片、村有林を保全対象に含める必要高い固有トンボ類は保護区外の小さな渓流にも残る可能性がある
開発影響評価道路、農地開発、プランテーション、取水、観光施設が渓流に与える影響を事前評価する必要高い小規模開発でも、水量・濁り・日陰の変化が大きな影響になる
取水管理農業用水・生活用水の取水で渓流の流量が落ちすぎないよう管理する必要中〜高幼虫は流水環境に依存するため、乾季の流量低下は重要なリスクになる
乾季流量の監視乾季に渓流が細りすぎないか、流速や水深を継続確認する必要中〜高気候変動や取水の影響を早期に把握するために重要
気候変動リスク評価乾燥化、極端降雨、水温上昇が森林渓流に与える影響を評価する必要中〜高山地性・森林渓流性の狭域固有種は、気候変動に対して逃げ場が少ない
森林火災対策森林縁や農地火入れから、渓流沿いの森林を守る必要中〜高火災は河畔林を失わせ、水温上昇や土砂流入増加につながる
生息地の詳細調査既知地点の周辺や未調査渓流を調べ、分布範囲を更新する必要最重要本種は狭域固有で記録が限られるため、未確認生息地の発見が保全優先度を変える可能性がある
成虫センサス渓流沿いを歩き、成虫の個体数、なわばり、繁殖行動を記録する必要高い成虫は目視しやすく、渓流ごとの利用状況を把握しやすい
幼虫調査水中の幼虫、羽化殻、羽化場所を調べる必要高い成虫だけでは繁殖地か一時的な出現地か判断しにくいため、幼虫確認が重要
羽化殻調査河岸の植物、岩、落枝に残る羽化殻を探す必要中〜高羽化殻は、その場所で幼虫が成長した証拠になる
長期モニタリング同じ渓流で毎年または数年ごとに個体数と環境を記録する必要最重要個体数変動と森林劣化・水質変化の関係を把握するために不可欠
標準化調査法の導入調査距離、時間、天候、季節、記録方法を統一する必要高い異なる地点・年の記録を比較するには、同じ方法での調査が必要
生息環境指標の記録水温、流速、日陰率、河床、落枝、濁り、周辺土地利用を同時に記録する必要高いどの条件が本種に重要かを明確にすることで、管理方針を立てやすくなる
P. caligata との関係調査森林断片化で広域種 Platycypha caligata が入り込む影響を調べる必要中〜高東ウサンバラの資料では、森林断片化により P. caligata が入り込んだ可能性が示されている
競合・置換リスクの評価開けた環境を好む一般種が、森林適応種を置き換える可能性を調べる必要中〜高生息地が開けると、本種に不利な環境へ変化する可能性がある
指標種としての活用本種を森林渓流の健全性を示す指標として扱う可能・有効中〜高森林性トンボ類は、水質・日陰・森林連続性の変化に反応しやすい
東アーク山地の淡水保全への統合本種単独ではなく、森林渓流の固有水生昆虫群全体の保全に組み込む必要高い種単独の保全計画が少ない場合、淡水生態系保全に統合するのが現実的
地域住民への普及啓発渓流、森林、水源、固有トンボの関係を地域で共有する必要中〜高水源林保全の価値を伝えることで、森林伐採や河畔改変の抑制につながる
学校教育地元学校で、東アーク山地の固有昆虫と森林渓流の重要性を伝える必要小型昆虫は見過ごされやすいため、地域で価値を共有することが重要
レンジャー・調査員育成保護区職員や現地調査員がトンボ類を識別・記録できるようにする必要高い種の確認には分類知識が必要で、現地で識別できる人材が保全の土台になる
市民科学記録の活用写真記録や観察情報を分布確認に活用する可能ただし希少種の正確な位置情報は採集・攪乱リスクに注意して扱う
詳細位置情報の慎重管理希少な生息渓流の位置を不用意に公開しない必要小さな渓流に限られる場合、過度な採集や観察圧を避ける必要がある
レッドリスト評価の更新新しい分布・個体数・脅威情報を反映して評価を更新する必要高い既存情報が少ないため、調査成果をIUCN評価に反映することが重要
研究論文・報告書の整備生態、分布、幼虫環境、脅威を論文化・報告書化する必要中〜高小型無脊椎動物は情報不足になりやすく、保全計画に載りにくい
飼育下繁殖水族館・研究施設で繁殖させる主要対策として確認できず低〜保留現時点で本種の主な保全は、飼育ではなく野外の森林渓流保全
再導入失われた渓流へ個体を戻す主要対策として確認できず低〜保留まずは既存生息地の保護、水質改善、森林再生、分布調査が優先される
順応的管理モニタリング結果に応じて、伐採規制、河畔林再生、水質対策、調査地点を見直す必要最重要生息地条件と個体数変化を見ながら、管理を更新する必要がある

出典

最後に

Questioner: Dragonflies actually spend way more of their lives underwater as nymphs than they do flying around as adults, right? If water pollution keeps getting worse, we might reach a point where even if the adults lay eggs, they won’t even hatch.

Me: Exactly. And on top of that, with climate change making things hotter, rivers could completely dry up. Even if they manage to lay eggs, those nymphs might never get the chance to grow their wings and emerge.

Questioner: Everyone talks about “protecting our forests and rivers.” But if the rivers are bone dry and the forests burn to the ground in wildfires, there’s really nothing left to protect. Doesn’t that mean we need to be focusing on something much bigger, like the root cause?

Me: It really seems like the impacts of climate change are especially devastating for insects that spend a long time in those vulnerable early stages. I’m going to dig a little deeper into exactly how that works.

質問者:トンボさんって成虫になったときよりもヤゴで過ごす期間のほうが長いんだよね。これ以上水質汚染とか広がったら成虫が卵産んでも孵らない可能性も出てくるよね。

私:気候変動による温暖化で、せっかく卵を産んでも川の水が干上がってしまって羽化できない可能性も考えられますよね。

質問者:森林や川を守るといっても、守るはずの川が乾き切って、森林火災で森がなくなったら守るもなにも、もっと先のなにかを守らないといけないんじゃないのかな。

私:気候変動の影響は、このような成虫になる前の期間が長い昆虫たちにかなり悪影響がありそうですね。そのあたり調べてみます。


生態学的視点:「逃げ場のない水中」での長い時間

トンボのライフサイクルにおける最大のリスクは「ヤゴ(幼虫)期間の長さと移動能力の低さ」にあります。

  • ライフサイクルの不均衡: 成虫として空を飛ぶ期間は数週間から数ヶ月に過ぎませんが、ヤゴとして水中で過ごす期間は数ヶ月から、種によっては数年(2〜3年)にも及びます。つまり、トンボの「人生の大半」は水の中で決定づけられます。
  • 水温上昇と「酸欠」の恐怖: 水生昆虫にとって、水質汚染だけでなく「水温の上昇」は致命的です。水温が上がると、水の中に溶け込める酸素の量(溶存酸素)が物理的に減少します。ヤゴは水中でエラ呼吸を行っているため、気温上昇によって川の水がぬるま湯のようになると、文字通り「息ができない」状態に陥り、羽化する前に死滅してしまいます。
  • 干上がることの絶望: 成虫であれば乾燥や環境悪化から飛んで逃げることができますが、ヤゴは水域から離れて生きることはできません。気候変動による長期の干ばつで川や湿地が完全に干上がってしまえば、その水域にいた数世代分のヤゴが一網打尽に全滅することになります。

環境連鎖の視点:森と川の同時崩壊

「守るはずの川が乾き切って、森林火災で森がなくなったら……」

森と川は別々のものではなく、一つの連続したシステムです。

  • 火災による川への直接的ダメージ: 干ばつによって引き起こされる大規模な森林火災は、森を焼き尽くすだけでなく川の生態系にもトドメを刺します。川を覆って日陰を作っていた樹木が失われることで、水温は急激に上昇します。
  • 灰の流入と水質激変: さらに、雨が降ると焼け跡から大量の灰や土砂が川に流れ込みます。これにより水質(pH)が激変し、エラに泥が詰まることで、干ばつを生き延びていたわずかな水生生物すらも死に絶えてしまうのです。

出典

Questioner: You know… I get that conservation and protecting their habitats is important. But if we don’t do something about climate change, these dragonflies won’t even live long enough to grow up.

Me: It feels like what’s truly starting to break down right now is the Earth’s entire climate system. And the thing driving that destruction is our society—a system built on the assumption of endless economic growth and mass consumption.

Questioner: And the ones who created that system… is us.

Me: Exactly. You go to work, and you’re constantly pressured to grow—”Our sales aren’t beating last month’s!” You turn on the TV, and it’s an endless stream of commercials pushing you to toss out perfectly good electronics: “Out next month! Look at all the great new features!” Meanwhile, social media is still flooded with cherry-picked posts twisting isolated scientific stats to fit a certain narrative.

Questioner: So, if we really want to protect the rivers where the nymphs live and the forests where the dragonflies fly, we are the ones who need to change first.

Me: Maybe it’s finally time for humanity to shed its old skin, emerge as adults, and take flight into the next stage of our evolution.


Thank you for giving me five precious minutes of your day.

I truly hope those five minutes will somehow reach the Tanzania Jewel.

鶏人|Keijin

質問者:やっぱりさ……保護して守ることも大切だって思うけど、気候変動をなんとかしないと、トンボさんたち大人になれないよ。

私:今、本当に壊れ始めているのは、地球の気候システムそのものなのかもしれません。そして、それを破壊し続けているのは、際限のない経済成長や大量消費を前提とした社会システムなのだと思います。

質問者:この社会システムを作ってるのは、私たちなんだよね。

私:その通りだと思います。会社に行けば、「先月より売り上げが上がってないぞ!」と常に成長を強制され、テレビを見れば、「来月発売!新機種のこんないいところ!」などとまだ使える機械を捨てるきっかけをくれるコマーシャルばかりが流れ、SNSでは、いまだに科学の一部分の数字だけをつまみ食いしたチェリーピッキングな投稿が溢れています。

質問者:ヤゴさんたちの川や、トンボさんが飛び回る森林を守るには、僕たちがまず変わらないといけないんだよね。

私:そろそろ人類も、次のフィールドに行くために、脱皮して成虫にならなければいけない時が来ているのかもしれませんね。


貴重な5分間を、ありがとうございました。

キンアシハナダカトンボに、その5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin


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