※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
こんにちは、鶏人|Keijin です。
キハンシコモチヒキガエル(Nectophrynoides asperginis)は、
2014年、図鑑に【EW:野生絶滅】として分類されていました。
2015年、IUCNレッドリストで【EW:野生絶滅】と評価されました。
つまり、2014年から2015年にかけて、
キハンシコモチヒキガエルは「最後の歌は、川霧にほどけて消えた」状態なのです。
※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるキハンシコモチヒキガエルの最新評価は2015年版です。それ以降の更新は行われていません。
この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでくれると嬉しいです。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/54837/16935685
「人災」としてのカエルツボカビ症の拡散
⬇︎キハンシコモチヒキガエルの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 和名 | キハンシコモチヒキガエル |
| 英名 | Kihansi Spray Toad |
| 学名 | Nectophrynoides asperginis |
| 分類 | 両生類・ヒキガエル科 |
| 分布 | タンザニア・キハンシ渓谷(固有種) |
| 主な生息地 | 滝の飛沫で常に湿った草本群落 |
| 体長 | 約1.0〜1.9cm(非常に小型) |
| 体重 | 数グラム程度 |
| 寿命 | 野生下で数年、飼育下で最大約5年 |
| IUCN評価 | EW(野生絶滅・Extinct in the Wild) |
特徴
- 名前の由来:「キハンシ渓谷」に由来し、「コモチ」は卵を産まず直接子を産む胎生の性質から。
- 世界最小級のヒキガエル:成体でも2cm未満と極小サイズ。
- 独特の繁殖様式:卵を産まず、メスの体内で発生したオタマジャクシが小さなカエルの姿で生まれる(胎生)。
- 湿潤環境への適応:常に水滴の飛び散る滝の近くで生活。
生態と行動
- 分布の限定性:キハンシ渓谷の滝周辺、わずか約2ヘクタールの範囲にしか生息していなかった。
- 行動:昼行性で、草や苔の上を歩き回って採餌する。
- 食性:小型の昆虫やダニ、アブラムシなどを捕食。
- 繁殖:メスは一度に数匹〜十数匹の子ガエルを産む。
- 絶滅の要因:水力発電ダム建設による滝の水量減少、環境の乾燥化、カエルツボカビ症。
2014年絶滅危惧種:キハンシコモチヒキガエル【EW:野生絶滅】
この種の深刻な減少と絶滅は、生息地の損失と、カエルツボカビ症という両生類がかかる重い真菌病に関係すると見られている。
出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 病原体 | カエルツボカビ菌 (Batrachochytrium dendrobatidis) |
| 発見 | 1998年に初めて特定 |
| 特徴 | 水中で遊走子を放出し、両生類の皮膚に感染して増殖 |
| 主な症状 | 元気消失、食欲不振、皮膚の異常(脱皮・赤み・ただれ)、異常姿勢、けいれん |
| 致死性の理由 | 皮膚が硬化・肥厚し、呼吸・水分・電解質調整が阻害 → 衰弱死 |
| 致死率 | 感受性の高い種では90%以上 |
| 世界的影響 | 北米・中南米・豪州・欧州で激減・局所絶滅、IUCN「侵略的外来種ワースト100」指定 |
| 拡散経路 | アフリカツメガエルが保菌者として世界に輸出(妊娠検査・実験利用) |
| 日本での状況 | 2006年に輸入ペットから確認 → 野外でも定着。ただし大規模被害なし(抵抗性が背景と推測) |
| 主な対策 | 飼育個体を野外に放さない、水や器具の消毒、観察時の泥の持ち込み防止、抗真菌薬薬浴(飼育下のみ有効) |
| 課題 | 一度定着すると根絶困難。感染拡大防止と知識普及が重要。 |
カエルツボカビ症は水中で遊走子が皮膚に寄生し、ケラチンを栄養に増殖して、感染によりカエルの皮膚機能が破壊され、呼吸や浸透圧調整ができず死に至る。
オタマジャクシは発症しにくいが、変態後に感染を広げるキャリアとなることがあり、カエルツボカビ症は、キャリアとなるカエルの国際取引により世界中に拡散した。
ペットや観賞用両生類の移動も感染拡大の一因と考えられるが、汚染された水や土が人の移動で菌を運ぶケースもある。
⬇︎キハンシコモチヒキガエルの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎
| 保護活動の種類 | 内容の概要 |
|---|---|
| 生息地の保護 | タンザニア・キハンシ峡谷の滝周辺環境を守るため、ダム建設による水量減少の影響を軽減 |
| 生息地の復元 | 滝下流域に人工的なスプリンクラーを設置し、湿潤な環境を維持 |
| 飼育下繁殖 | アメリカとタンザニアの動物園・研究機関で繁殖プログラムを実施し、個体群を維持 |
| 再導入プログラム | 飼育下繁殖個体を野生に戻す試みを進め、自然個体群の復元を目指す |
| 国際的な取引規制 | ワシントン条約(CITES)附属書Ⅰに掲載され、国際取引を禁止 |
| 市民・地域参加 | 現地コミュニティの参加による保全教育と保護活動の支援 |
| 研究とモニタリング | 個体群の動向や再導入の成功率を追跡調査し、保全戦略に反映 |
主な取り組み
- 生息地保全:ダム建設による水量減少から滝周辺環境を守る
- 生息地復元:人工スプリンクラーで湿潤環境を再現
- 飼育下繁殖:動物園や研究機関で繁殖プログラムを実施
- 再導入:繁殖個体を野生に戻し自然個体群の復元を試みる
- 国際規制:CITES附属書Ⅰで国際取引を禁止
- 地域参加:住民の協力による保全教育・活動を展開
- 科学研究:再導入の成果をモニタリングし保全戦略に反映
最後に
これを読んでみて、どのように感じましたか?
「人間には感染しないんだろ?」
と、人への影響が心配になりますか?
「野生絶滅なんだよね…」
と、絶滅を嘆きますか?
感じ方は、十人十色あると思います。
自然界の病原体が、本来の生息地を越えてこれほど急速かつ広範囲に拡散することは極めて稀である。
カエルツボカビ症のパンデミック(世界的大流行)は、グローバル化した現代社会が引き起こした悲劇的な側面を象徴している。
1. 「運び屋」となったカエルの国際取引
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| アフリカツメガエルの輸出 | 1930年代以降、妊娠検査薬や研究モデルとして世界中に大量輸出された。 このカエルはカエルツボカビ菌の「自然宿主」で、発症せず菌を保有できるため、国際的な拡散の「運び屋(ベクター)」となった。 |
| 最古の記録 | 1938年にアフリカで採集されたアフリカツメガエルから、最古のカエルツボカビ菌標本が発見されている。 |
| ペット・食用取引 | 観賞用の珍しいカエルや、食用のウシガエルなどの国際取引も拡散を加速。輸入先で逃げ出した個体や、飼い主によって野外に放たれた個体が在来生態系に菌を持ち込んだ。 |
2. 人や物資の移動による意図せぬ拡散
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 靴・調査器具 | 研究者や自然愛好家が、汚染地域の土や水を靴底や器具に付着させたまま移動することで、菌を拡散させる可能性がある。 |
| 輸送物資 | 観賞魚や水草を輸送する際に用いられる水に、菌が混入している可能性が指摘されている。 |
カエルツボカビ菌は、本来であれば特定の地域で、そこの両生類と共存あるいは限定的な関係にあったはずだ。
しかし、人間が大陸を越えて大規模に生物を移動させるようになったことで、この菌は本来出会うはずのなかった、抵抗力を持たない世界中の両生類の前に突然現れた。
これは、天然痘や麻疹が、抵抗力を持たなかった新大陸の先住民に壊滅的な被害をもたらした歴史とも似ている。
このように、カエルツボカビ症の世界的拡大は、自然の摂理によるものではなく、人間の経済活動やグローバリゼーションが直接的な引き金となったという点で、まさに「人災」と呼ぶにふさわしい感染症と言える。
ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?
コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。
あなたの貴重な命である5分間を、本当にありがとうございました。
キハンシコモチヒキガエルに、あなたの5分が届くことを祈ります。
鶏人|Keijin




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