※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
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こんにちは、fukumomo3_photo です。
サントメオナガモズ(Lanius newtoni)は、
2014年、図鑑に【CR:深刻な危機】として分類されていました。
2021年、IUCNレッドリストで、【CR:深刻な危機】と評価されました。
つまり、2014年から2021年にかけて、サントメオナガモズは
「名もなき風が、いまも彼の歌を運んでいる」状態なのです。
※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるサントメオナガモズの最新評価は2021年版です。それ以降の更新は行われていません。
この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/22705080/176427891
守られているはずの森で、失われていく命
⬇︎サントメオナガモズの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 和名 | サントメオナガモズ |
| 英名 | Newton’s Shrike / São Tomé Fiscal |
| 学名 | Lanius newtoni |
| 分類 | 鳥類・スズメ目・モズ科(Laniidae) |
| 分布 | サントメ島(サントメ・プリンシペ民主共和国)のみ(固有種) |
| 主な生息地 | 熱帯多雨林(標高600〜1,400mの山地森林) |
| 体長 | 約20〜22cm |
| 体重 | 約35〜45g |
| 寿命 | 推定10年以上(野生下) |
| IUCN評価(2021年) | 【CR:深刻な危機(Critically Endangered)】 |
特徴
- 名前の由来:「Newton’s Shrike」は、ポルトガルの鳥類学者フランシスコ・ニュートン(Francisco Newton)にちなんで命名。
- 外見:黒い頭部と長い尾、灰色がかった背中、白い腹部が特徴。モノトーンの美しい羽色をもつ。
- 行動:枝の先に止まり、周囲を警戒しながら獲物を探す典型的なモズのスタイル。
- 鳴き声:高音の「チュイッ、チュイッ」という鋭い声を発し、テリトリーを主張する。
- 特徴的な尾:長い尾羽を左右に振る仕草が観察されることが多く、名前の「オナガ(尾長)」の由来にもなっている。
生態と行動
- 生息環境:主に原生林や二次林の樹冠部付近に棲み、開発の進んでいない地域を好む。
- 食性:主に大型昆虫や小型トカゲなどを捕食する肉食性。鋭い嘴で獲物を串刺しにする「ハヤニエ」行動も確認されている。
- 繁殖:つがいで行動し、樹上に巣をつくる。産卵数は2〜3個と少なく、繁殖成功率も低い。
- 行動範囲:非常に限定的で、島内のごく一部の山岳地帯(例:オボ山、サントメ中央部の湿潤林)にのみ生息。
- 脅威:森林伐採による生息地の破壊、外来種(ネズミやネコ)による捕食、開発圧の増大など。
- 保全状況:現在、個体数はわずか50羽未満と推定され、サントメ島の「オボ国立公園」で保護活動が進められている。
2014年絶滅危惧種:サントメオナガモズ【CR:深刻な危機】
サン・トメ島に残る原生林はオボ自然公園の中で保護されるが、法の実効力が弱くサントメオナガモズの情報も乏しいため、この種がどれほどの恩恵を受けているかは定かでない。
出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014
サントメオナガモズの主な生息地である原生林はオボ自然公園(Parque Natural Obô de São Tomé)に含まれており、法的な保護の対象となっている。
しかし、その恩恵が十分に及んでいるかは依然として不透明なのが現状である。
保護活動の現状と課題
- 生息地の減少: 公園内にありながら、コーヒーやカカオのプランテーション拡大、新たな水力発電所の建設、木材の伐採などによる生息地の破壊と劣化が続いている。
- 脆弱な法執行: 法による保護規制は存在するものの、その実効性が弱く、違法な森林伐採や開発が後を絶たないことが、保護活動の大きな障壁となっている。
- 情報の不足: 本種の生態については未だ不明な点が多く、正確な生息数や繁殖、行動範囲に関する詳細なデータが乏しいのが現状。この情報不足が、効果的な保護計画の策定を困難にしている。
- 外来種による脅威: 持ち込まれた外来種による捕食圧も、個体数を脅かす要因の一つと考えられている。
専門家の見解:いくつかの研究では、生息地のモデル化に基づくと、これまで考えられていたよりも個体数が多い可能性も示唆されており、将来的には「絶滅危惧IB類 (EN)」への引き下げも検討されるべきとの意見もある。しかし、これは公式な見解ではなく、依然として危機的な状況にあるという認識が一般的である。
個体数は非常に少なく、成熟した個体はわずか50羽から249羽と推定されており、その個体数も減少傾向にある。
しかし、2025年時点でもサントメオナガモズは、オボ自然公園という保護区が存在するにもかかわらず、人間活動による脅威に直接的にさらされ続けており、その未来は極めて不確実な状況である。
⬇︎サントメオナガモズの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎
| 保護活動の種類 | 内容の概要 |
|---|---|
| 森林保全 | 生息地であるサントメ島の湿潤な低地林・山地林を保護し、伐採や農地拡大を防止 |
| 保護区の設定 | オボ国立公園(Obô Natural Park)内での重点的な生息地管理と監視活動を強化 |
| 外来種対策 | 捕食者であるネコ・ネズミ・オオトカゲなどの個体数管理と侵入防止 |
| 生息地再生 | 劣化した森林を再植林し、生態系の連続性を確保 |
| 研究とモニタリング | 鳴き声調査・自動録音装置による個体確認、繁殖状況のモニタリングを継続 |
| 教育と地域協働 | 地元住民と協働し、違法伐採防止や保護林維持への理解を促進 |
| 国際協力 | BirdLife International と地元NGO(Oikos, SPEAなど)が連携し、長期的保全戦略を実施 |
主な取り組み
- 森林保全:伐採や農地拡大の防止、原生林の維持
- 保護区管理:オボ国立公園内での生息域モニタリングとパトロール
- 外来種対策:ネコ・ネズミなどの外来捕食者を制御
- 再植林活動:破壊された森林の再生と生態系回復
- 音響調査:自動録音装置による個体検出と繁殖期確認
- 地域教育:住民参加型の保全プログラムによる意識向上
- 国際連携:BirdLife Internationalや欧州研究機関との協働による保護計画の推進
最後に
これを読んでみて、どのように感じましたか?
「保護区が機能してないのかな?」
さまざまな経済的要因で機能していない可能性もありますね。
調べてみます。
サントメ・プリンシペのオボ自然公園が、絶滅危惧種の保護という点で十分に機能していない背景には、深刻な経済的要因が複雑に絡み合っている。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 1. 経済の根幹にある農業への依存 | サントメ・プリンシペの経済はカカオやコーヒーの輸出に大きく依存。政府もプランテーション拡大を進めており、森林伐採の圧力が絶えない。 また、土地改革で増えた小規模農家が資金や技術を欠き、違法伐採に頼らざるを得ない状況が森林破壊を加速させている。 |
| 2. 国民の貧困と自然資源への直接依存 | 多くの国民が貧困状態にあり、生活のために保護区内の木材や動植物を採取。国内の建築材の約90%が違法伐採とされる。 また、食料自給率の低さから森林を開墾する動きが続く。 |
| 3. 政府のガバナンスと資金不足 | 法律や規制はあるが、レンジャーや監視体制、予算が不足。 環境省と農業省の管轄争いもあり、統一的な保護政策が実施できていない。 資金面では国際支援に依存しており、2026年に向けて「環境保護信託基金」の設立が進められているが、安定的な資金源はまだ確立していない。 |
| 4. 人口増加と開発の圧力 | 人口増加により、食料・エネルギー・居住地の需要が拡大。 観光開発や水力発電所建設など、大規模プロジェクトが環境影響評価なしに進められる場合もあり、生息地破壊のリスクを高めている。 |
オボ自然公園が機能不全に陥っているのは、「環境を守る」という理想と、「国民が生きるために資源を利用せざるを得ない」という経済的現実との間に大きな乖離があるためである。
貧困の解決、持続可能な農業への転換、そして法を執行するための行政能力の向上といった根本的な問題に取り組まない限り、サントメオナガモズのような絶滅危惧種を保護することは極めて困難な状況と言える。
| 区分 | 内容 | 代表的な事例 |
|---|---|---|
| ① 経済的な自立を直接支援するアプローチ | マイクロファイナンス(小規模融資):無担保で少額資金を貸し出し、貧困層に事業機会を提供する仕組み。 現金給付プログラム(CCT):条件付きで現金を給付し、教育・医療への参加を促進する制度。 | ・グラミン銀行(バングラデシュ) ・ブラジル「ボルサ・ファミリア」 |
| ② 「貧困の悪循環」を断ち切る長期的アプローチ | 教育支援:特に女子教育を通じて、次世代の貧困連鎖を防ぐ。 農業・食料支援:持続可能な農業技術の普及で食料自給と収入向上を図る。 保健医療アクセス改善:病気による貧困化を防ぎ、家庭の安定を支える。 | ・プラン・インターナショナル(女子教育) ・UNHCR「キーホールガーデン」 ・ラオス助産師育成プロジェクト |
| ③ 世界全体で取り組むための枠組み | SDGs(持続可能な開発目標):目標1に「貧困の根絶」を掲げ、各国が共通の目標で協力。 国際開発金融機関:世界銀行などが途上国のインフラ・教育・医療分野を支援し、長期的な貧困削減を推進。 | ・国連SDGs(目標1:貧困をなくそう) ・世界銀行グループ(開発融資・技術支援) |
世界の貧困対策は、短期的な救済から、教育や健康、産業育成といった長期的な投資まで、非常に幅広く、そして具体的になってきた。
しかし、即効性のある特効薬があるわけではない。
それぞれの地域や状況に合わせた多様なアプローチを組み合わせることが、貧困のない世界を実現するための鍵となる。
それには、現在世界中で起きている持続不可能となったシステムを知ることが重要だと感じる。
ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?
コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。
あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。
サントメオナガモズに、あなたの5分が届くことを祈ります。
fukumomo3_photo
インスタでは、サントメオナガモズたちの姿を“図鑑みたいに”並べて見られます。
ビジュアルで伝える命の物語、よかったらのぞいてみてください。



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