11年後のレッドリスト|チャコペッカリー:消えそうな灯りを胸に、踏みとどまっていました【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|チャコペッカリー:消えそうな灯りを胸に、踏みとどまっていました【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

チャコペッカリー(Catagonus wagneri)は、

2014年、図鑑に【EN:危機】として分類されていました。

2015年、IUCNレッドリストで、【EN:危機】と評価されました。

つまり、2014年から2015年にかけて、チャコペッカリーは

「消えそうな灯りを胸に、踏みとどまっていました」状態なのです。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるチャコペッカリーの最新評価は2015年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/4015/72587993

遠くの密猟と、私たちの食卓はつながっている

⬇︎チャコペッカリーの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|チャコペッカリー(Chacoan Peccary)
項目情報
和名チャコペッカリー
英名Chacoan Peccary / Taguá
学名Catagonus wagneri(※一部文献では Parachoerus wagneri に再分類提案あり)
分類哺乳類・ウシ目(偶蹄目)・ペッカリー科(Tayassuidae)
分布南米グラン・チャコ地域(パラグアイ西部、ボリビア南東部、アルゼンチン北部〜中北部)
主な生息地乾燥したグラン・チャコのトゲだらけの低木林・サボテン地帯・疎林などの半乾燥環境
体長頭胴長 約96〜117cm、肩高 約52〜69cm
体重約30〜43kg(多くは30〜40kgの範囲)
寿命野生で約9年前後と推定(飼育下ではもう少し長生きする例も)

特徴

  • 名前の由来:「チャコ」は、生息地である“グラン・チャコ”地域の名前から。現地では「タグア(taguá)」とも呼ばれます。
  • 豚そっくりだけど“ペッカリー”:見た目はイノシシやブタに似ていますが、ペッカリー科という別グループ。背中に臭腺があり、強い匂いで仲間とコミュニケーションします。
  • 体の特徴:3種いるペッカリーのなかで最大。ごわごわした灰褐色の毛に、肩からあごにかけてうっすら白い“えり”模様、背中に黒いラインがあります。他のペッカリーより耳・鼻先・尾が長く、後ろ足には3本目の指があるのもポイント。
  • サボテン対応ボディ:かたいサボテンを食べるため、丈夫な鼻先と、サボテンの酸を処理できる特別な腎臓・二室構造の胃を持っています。
  • いちど“化石だけの動物”だった:1930年に化石から記載され、長らく絶滅種と考えられていましたが、1970年代にパラグアイ・チャコで生きた個体が再発見された「ラザロ・タクソン(いったん絶滅したと思われたが再発見された種)」です。

生態と行動

  • 乾いたトゲの森の住人:グラン・チャコの乾燥したトゲだらけの低木林・サボテン地帯を好み、乾燥した砂ぼこりの多い環境に適応した鼻腔(よく発達した副鼻腔)や小さめの蹄で、棘植物の間を器用に動き回ります。
  • 群れで行動:ふつう数頭〜20頭ほどの群れをつくり、日中(特に朝)に移動・採食します。危険を感じると、横に並んで「壁」のように立ち向かう防御行動をとることもあります。
  • 食性:主食はサボテン類(CleistocactusOpuntia など)。鼻や歯を使って地面で転がしながらトゲを落とし、果肉を食べます。そのほか、ブロメリアの根、アカシアの豆、落ちたサボテンの花なども食べます。
  • ミネラル補給:アリ塚や工事跡などにできた天然の「塩場(ソルトリック)」に集まり、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを補給します。
  • 繁殖:年間を通して出産が見られますが、多くは雨期やエサが豊富な時期に集中。妊娠期間は約5〜5.5か月、1回にふつう2頭前後の子どもを産み、生まれて数時間で走れるほどしっかりした子が生まれます。
  • 主な脅威:IUCNレッドリストでは「EN:危急」に分類。牛牧場開発による生息地の破壊・分断、狩猟、家畜からうつる病気が大きな問題で、野生個体数はおよそ3,000頭前後と推定されています。

2014年絶滅危惧種:チャコペッカリー【EN:危機】

チャコ地域に生息するペッカリーの全種は保護地域であっても大量に捕獲された。チャコペッカリーの生息地は、農地や肉牛牧畜地の開発のため急速に減していった。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

大きな要因具体的な内容影響
1. 生息地の破壊は止まっていませんチャコペッカリーが生息する「グラン・チャコ(Gran Chaco)」地域は、世界でも特に森林破壊が激しい場所の一つ。森林が減少し、生息できる場所そのものが失われている。
生息地の破壊大豆畑と牧場の拡大:2014年以降も、輸出用の大豆栽培や肉牛の放牧地を作るための森林伐採が猛スピードで進行。森林が農地・牧場に転換され、チャコペッカリーの生息可能なエリアが縮小。
生息地の破壊逃げ場のない孤立:森がパッチワーク状に分断されてしまい、群れが移動できなくなっている。個体群が小さく孤立し、遺伝的多様性の低下と絶滅リスクの上昇を招いている。
2. 「大量の捕獲」も続いています保護地域であっても密猟が後を絶たない。法的な保護だけでは個体数の減少を止めきれていない。
大量の捕獲食料としての狩猟:現地ではいまも食肉として好まれており、違法な狩猟が続いている。成熟個体が継続的に失われ、個体群の回復が追いつかない。
大量の捕獲害獣としての駆除:牧場主などが「作物を荒らす害獣」「家畜の病気の媒介源」と見なし、見つけ次第殺してしまう報復的な殺害。人とチャコペッカリーの対立が深まり、局所的な絶滅につながる恐れがある。

チャコペッカリーは、グラン・チャコにおける大豆栽培・牧畜拡大に伴う急速な森林伐採と生息地断片化により、生息域と遺伝的多様性が縮小している。

さらに、食肉利用を目的とした違法狩猟と、害獣・病原媒介者と見なした報復的駆除が継続し、個体群の回復を著しく阻害している。

⬇︎チャコペッカリーの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
生息地の保護パラグアイ・ボリビア・アルゼンチンにまたがるグランチャコのトゲ林・乾燥林を守るため、国立公園や私有保護区の指定・拡大、土地利用計画の見直しなどが進められている。
森林減少の抑制牧畜・大規模農業による急速な森林伐採を抑えるため、違法伐採の監視、衛星画像による森林変化の追跡、森林保全型の土地利用への転換を支援するプロジェクトが行われている。
狩猟・違法捕獲の規制アルゼンチンとパラグアイではチャコペッカリーの狩猟禁止法があり、ボリビアでも保護区内での狩猟は禁止されている。違法狩猟の取締りやパトロールを強化し、肉目的の過剰な捕獲を減らそうとしている。
国際的な取引規制チャコペッカリーはワシントン条約(CITES)附属書Ⅰに掲載されており、国際商取引は原則禁止。これにより国際市場向けの皮革や肉の取引圧力を抑える仕組みが整えられている。
保護区ネットワークと地域保全既存の国立公園・私有保護区に加え、ボリビアの先住民保全区Ñembi Guasuなど、先住民主体の保護区も整備され、チャコペッカリーを含むチャコの生物多様性をまとめて守る取り組みが進んでいる。
飼育下繁殖・保険個体群サンディエゴ動物園などの動物園が飼育下繁殖を行い、野外個体群がさらに減少した場合に備えた「保険個体群」として維持することが推奨され、国際的な繁殖計画が検討されている。
コミュニティ・先住民参加アルゼンチンやボリビアなどで、先住民コミュニティや地元住民と協力し、狩猟圧の低減、保全と生計向上を両立させる「コミュニティ保全」プロジェクトが行われている。
研究とモニタリングIUCNペッカリー専門家グループによる保全計画の実施のほか、カメラトラップや足跡調査、分布記録の更新などを通じて個体数や分布、脅威の変化を継続的にモニタリングしている。

最後に

これを読んで、あなたはどう感じましたか?

この密猟については「自分たちが食べるため」「たとえ誤解があっても、自分たちを守るため」に行われている側面もあって、ただ頭ごなしに責めきれないところもあるな、と感じています。そもそも、私たちの大量消費の結果として、そのツケがチャコペッカリーの密猟や生息地の破壊という形で押し寄せているのではないでしょうか。

私も、そのとおりだと思っています。

このあたりは、もう少しじっくり調べてみるつもりです。


視点説明キーワード
1. 「密猟」とは言い切れない生存のための狩り現地の狩猟は、単なる利益目的の密猟とは異なり、生きるための行動としての側面が強い。生存のための狩り
食べるための狩り先住民や貧しい農村部では、ペッカリーは貴重なタンパク源。スーパーが遠い、肉を買う余裕がない状況で、ペッカリーは「保護すべき動物」である前に「家族の食料」として狩猟される。Subsistence hunting/食料確保
生活を守るための駆除わずかな作物を荒らすペッカリーは、生活を直撃する脅威となる。1度の食害がその年の暮らしの破綻につながることもあり、「自分たちを守るため」の駆除は生死に関わる切実な行動である。害獣・報復的殺害
2. 私たちの大量消費が、遠くの森を削っている悲劇の根本には、遠く離れた私たちの消費活動があり、「飼料用大豆」を通じてチャコの森林破壊とつながっている。大量消費と見えない因果
大豆畑と牧場の拡大チャコ地方では森林が「大豆畑」と「牧場」に転換されており、これがペッカリーの生息地を急速に奪っている。森林から農地への転換
飼料用大豆のゆくえ生産された大豆の多くは、豆腐や味噌ではなく、世界中の牛・豚・鶏の飼料として輸出される。飼料用大豆/グローバル市場
間接的な加担安価な輸入肉や加工食品を大量に消費することが、結果として「森の減少 → ペッカリーの農地への出没 → 害獣として殺される」という連鎖を生んでいる。スイッチを押しているのは現地農民ではなく、世界市場=私たち自身である。消費者責任/フードシステム
3. 先住民もまた「被害者」である開発によって追い詰められているのはペッカリーだけでなく、チャコ地方の先住民も同様である。開発の二重の犠牲者
先住民の土地喪失巨大アグリビジネスによる農業開発で、先住民は伝統的な土地を奪われ、狭いエリアに押し込められている。アグリビジネス/土地収奪
過剰捕獲が起きる構造本来広く使えていた狩猟採集の場が失われた結果、限られた範囲で集中的に狩りをせざるを得ず、特定の地域で動物が獲り尽くされる過剰捕獲が生じている。先住民もまた開発の犠牲者である。過剰捕獲/構造的な被害者

チャコペッカリーをめぐる狩猟は、利益追求型の密猟にとどまらず、飢餓回避や作物保護を目的とした自給的狩猟・駆除としても行われている。

同時に、飼料用大豆生産と牧場拡大による森林転換が生息地喪失と農地への出没を招き、害獣としての殺処分を構造的に促進している。さらにアグリビジネスによる土地収奪は先住民の利用空間を狭め、局所的な過剰捕獲を通じて彼ら自身も開発の被害者と化している。


これを読んで、どう感じましたか?

私たちが日常的に食べているお肉って、たどっていくと、どこかの森が伐採されたり、湿地が切り開かれたりした結果なんですよね。

その場所にはもともと生き物たちが暮らしていて、邪魔者扱いされて追われたり、狩られて食料にされたりしている。

そして、その開発の現場には、先住民の人たちが「アグリ産業の労働者」として組み込まれていて、森林伐採にかかわらざるを得ない状況もあるのだろうと思います。

このサイクルをどこかで止めないといけないんだろうけど、じゃあどうしたらいいのかと言われると、正直よくわかりません。

正直、私もわかりません。

だって、みんな肉が好きだし、普通に食べますよね。
スーパーに並んでいるのは、生きた「いのち」ではなく、きれいにパックされた「商品」で、産業の中で生き物ではないもののように扱われているようにも見えます。

だから、「肉を食べるな」とか「肉を食べるのは悪だ」と一方的に決めつけて強く規制してしまえば、アグリ産業からの反発もあるだろうし、政治的にも大きなダメージになるはずです。

それでも、今すでに起きている気候変動を少しでもゆるやかにするためには、人類の「肉の食べ方」をいちど立ち止まって見直すタイミングが来ているんじゃないか、と私は思っています。

実際、肉を一切食べなくても生きている人たちもいますし、そういう選択をしている人は世界中にたくさんいます。

だからこそ、
「お肉を食べることが、もしかしたら環境を汚し、どこかの森や生き物たちに負担をかけているかもしれない」
──そんな事実だけでも、もっと多くの人に知ってもらえたらいいな、と感じています。
出典:Environmental Impacts of Food Production


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

チャコペッカリーに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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