11年後のレッドリスト|アホロートル:愛されて、野生は消える【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|アホロートル:愛されて、野生は消える【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

今回は、アホロートル(学名:Ambystoma mexicanum)が「帰る家がない」っていう話です。

2014年の図鑑でも、人工繁殖はわりと簡単って書かれていたのに、評価は「CR:深刻な危機」でした。で、最新のレッドリストでも、人工繁殖がしやすくて飼育下の数は増えているはずなのに、評価はやっぱり「CR:深刻な危機」のままなんです。

だからアホロートルは今も、「愛されて、野生は消える」みたいな状態なんだと思います。

この記事は短くて、5分くらいで読めます。
よかったら最後まで読んでください。

※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2019評価(2020年公開)です(以降の更新は確認されていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Ambystoma mexicanum

飼育で増えても救えない理由|野生の「家」が壊れているから

⬇︎アホロートルの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

基本情報|アホロートル(Axolotl)
項目情報
和名アホロートル(メキシコサンショウウオ)
英名Axolotl / Mexican axolotl
学名Ambystoma mexicanum
分類両生類・有尾目(サンショウウオ目)・トラフサンショウウオ科(Ambystomatidae)
分布メキシコ中央高地の湖沼系に固有。歴史的にはチャルコ湖・ソチミルコ湖周辺、現在は主にソチミルコの水路網に限定される
主な生育地高地の淡水域(湖・運河・水路)。水草がある静かな浅場を利用する
大きさ成体の体長はふつう25〜30cm前後、最大で40cm近くに達することがある
体重(野生個体の体重データは、基本情報としては示されにくい)
寿命飼育下の目安:平均5〜6年、長い例で10〜15年

特徴

  • 呼び名:日本では「ウーパールーパー」としても知られるが、種としてはアホロートル(Ambystoma mexicanum)
  • 見た目:外鰓(がいさい)が目立つ水中型のサンショウウオ。成体になっても幼形成熟(ネオテニー)で水中生活を続ける個体が多い
  • 希少性:分布域がきわめて限定され、野外での個体数が深刻に減っているとされる
  • 保全状況:IUCNではCR(深刻な危機)として扱われる。主因として生息地の劣化や汚染が挙げられる
  • 国際取引規制:CITESでは附属書IIに掲載される

生態と行動(くらし・ふえ方)

  • くらし:高地の淡水の水路・運河で暮らし、基本は水中で生活を完結する(幼形成熟の傾向が強い)
  • 食性:水生の小動物(無脊椎動物など)を中心に捕食する、と整理されることが多い
  • ふえ方(繁殖):卵を水中の植物などに産みつける。条件が良いと一度に多数の卵を産むことがある(飼育下データ中心)
  • 脅威:都市化に伴う水質悪化(汚染)と生息地の縮小が大きい。さらに外来魚(例:ティラピアやコイ類)による捕食・競合も問題として挙げられる
  • 追加の圧力:生息地の分断・改変が進むと、残った水域が「逃げ場のない袋小路」になりやすい

出典

最終評価2019年:アホロートル「CR:深刻な危機」

研究目的や飼育動物としての取引のために過剰に捕獲されるのも問題だったが、今ではアホロートルの人工増殖は容易で、こちらのほうの危機からは脱却している。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

テーマ要点解説(なぜ「飼育で増える」のにCRのままか)
矛盾の正体飼育下では増やせても、野生の絶滅リスクは下がっていないIUCNのカテゴリは「野生で自立している個体群」の絶滅リスクを測る指標。ペット・実験個体が何百万匹いても、野生の環境が壊れたままなら評価は動きにくい。
野生個体群の現状野生の密度低下が極端で、再生産が成立しにくい水準まで落ちた可能性1998年に推定6,000匹/km² → 2008年頃に約100匹/km² → 近年は35匹/km²未満が示唆される、という「崩壊レベル」の減少が整理されている。
数字の見え方が変わった理由近年は網で捕まえて数える手法が通用しにくく、eDNAなど新手法が主戦場個体が少なすぎて、従来の捕獲調査では「0が続く」状況になりやすい。そのため水中に残るDNA(環境DNA)で生息の痕跡を探す動きが強まっている。
CRが動かない壁①「家」そのものが壊れている(生息地の劣化が継続)都市化の影響で水質が悪化しやすく、野生が戻る前提(きれいな水・安定した水路・産卵に適した環境)が成立しにくい。生息地側を直さない限り、個体を増やしても「帰る場所がない」
壁①の内訳:水質汚染下水・生活排水・都市由来の汚染が運河環境を圧迫汚染は成体の健康だけでなく、卵・幼生の生残、餌生物の構成にも影響しやすい。結果として「繁殖しても育たない」方向に倒れやすい。
壁①の内訳:外来魚ティラピアやコイが卵・幼生を食べ、餌も奪う外来魚がいる限り、放流しても幼生期に削られやすい。個体群回復は「繁殖」より先に「幼生が育つ条件づくり」が必要になる。
CRが動かない壁②ペット個体と野生個体は同じではない(遺伝・適応の問題)長期の人工繁殖で、遺伝的多様性の偏り、近親交配、実験系統の混在などが起きやすい。さらに交雑が混じる場合、安易な放流は「野生系統の遺伝子」を壊すリスクになり得る(数を増やしても“野生復帰の質”が担保されない)。
CRが動かない壁③放流しても「生き残れない」条件が残る汚染・外来魚・人為撹乱が残る水路に、飼育個体を放しても生残が低い。つまり「増殖が容易」でも「野生での定着が難しい」ので、絶滅リスクは下がりにくい。
希望の芽:逆転シナリオ放流ではなく「住める場所を先に作る」方向へ(チナンパ・リフレジオ)伝統農法チナンパの水路を修復し、外来魚を遮断し、水質を改善する「避難所(refugio)」を作った上で飼育個体を入れる、という発想。環境側の条件を整えた区画で、生存が確認された事例が報じられている
2025〜2026の論点本当に必要なのは「個体数」より「再生産が回る生息地」野生の危機を下げる鍵は、メキシコシティ規模の水問題と外来種問題を、局所でもいいから勝てる形にすること。避難所モデルがスケールできれば、CRから動く道筋が見える。
まとめ愛されるペットと、消えかける野生が同居する「ねじれ」飼育下での成功はバックアップにはなる。でも野生の危機を脱するには、「家(生息地)」を修復し、外来種を抑え、再生産が回る条件を取り戻す必要がある。

出典

アホロートルは飼育下での増殖が容易である一方、IUCN評価がCRに据え置かれるのは、野生個体群の絶滅リスクが依然として極めて高いためである。ソチミルコ周辺では生息地の汚染と外来魚の影響で再生産が成立しにくく、飼育個体の遺伝的偏りや交雑の懸念も再導入を難しくする。近年はチナンパ水路の修復と外来魚遮断を組み合わせた保護区で、生存が確認されつつある。

⬇︎アホロートルの保護活動の種類です。必要なら開いてください。

保護活動の種類内容の概要
生息地の保護・復元野生個体が残るソチミルコ(Xochimilco)の運河・湿地環境を守り、壊れた水域を再生する(都市化・水路改変・水質悪化への対処を含む)。
水質改善(汚染対策)下水・生活排水・農薬等で悪化した水質を改善する。運河の水を浄化する仕組み(バイオフィルター等)を導入し、清浄な水域を確保する。
外来魚対策(捕食・競合の抑制)コイやティラピアなどの外来魚が、捕食や競合でアホロートルを追い詰めるため、侵入を防ぐ・密度を下げるなどの対策を行う。
保護区・避難水域の整備運河の一部を「避難場所(レフュージ)」として区切り、外来魚を遮断しつつ水をきれいに保つ“チナンパ・レフュージ(chinampa-refuge)”のような保全区画を増やす。
飼育下繁殖(保険個体群)と野外導入飼育下で保険となる個体群を維持しつつ、環境が整った場所で野外放流・定着の検証を進め、野生復帰の可能性を高める。
国際取引規制・違法採集の抑止ペット取引などによる圧力を下げるため、CITES(ワシントン条約)附属書での規制や国内法に基づく管理を徹底し、違法採集・違法流通を抑止する。
市民・地域参加(チナンパ農家と協働)地元のチナンパ農家・住民と協働し、農法改善(農薬依存の低減など)や水路の手入れ、啓発・教育を通じて「生息地を守る側」を増やす。
研究とモニタリング分布・個体数の調査、死亡要因(汚染・外来魚など)の把握、保全区画の効果検証を継続し、対策の優先順位を更新する。

出典

最後に

読んでみて、どのように感じましたか?

飼育下ではすっごく増えるけど、野生に戻しても、そもそも暮らす「家」がないってことだよね。よく映画とかにある「地球に暮らせなくなった人類が、地球を修復するまで、違う惑星に移住」みたいな感じなのかな。

だから、「伝統農法チナンパの水路を修復」ってところがすごく気になったんだけど、修復ってことは、伝統農法じゃなくなって近代的な農法に変わったことで壊れたから、直してるってことなんだよね。

たぶん、そのイメージはかなり近いと思う。飼育下で増えても、戻る場所がボロボロのままだと、野生の状況は変わらないんだろうね。

そのあたり、もう少し詳しく調べてみるね。


近代化で「家」が壊れる要因メカニズム(何が起きて、なぜ致命的になるか)チナンパ・リフレジオがやっている「家の修復」(どう直すか)
化学肥料・農薬への依存(集約化)両生類は皮膚が透過性で、水質悪化や化学物質の影響を受けやすい。水中の生物相(餌になる無脊椎動物など)も崩れ、食物網ごと弱る。結果として「生き残る・育つ・繁殖する」前提が壊れる。リフレジオ区画では農薬・化学肥料を避ける方針を取り、泥(堆積物)などを活用して施肥するモデルが採られている。環境負荷を減らし、水路の生き物を戻すことで、アホロートルの生活基盤(餌と水質)を復元する。
水路の人工化(護岸の硬質化・単純化)水辺がコンクリート化・単純化すると、水草帯や浅場、泥の縁などの微小環境が消える。隠れ場所・採餌場所・産卵基質が減り、「暮らせる面積」そのものが縮む。修復区画では、水生植物の回復や水路環境の再整備で、繁殖や隠れ家に必要な構造(植生・浅場・複雑さ)を取り戻す方向が示されている。
外来魚の導入(ティラピア、コイなど)外来魚は卵・幼生を捕食し、餌資源も競合する。さらに攪乱で濁りを増やし、幼生に不利な環境を作る。放流しても「幼生が育たない」ため、個体群が回らない。リフレジオは外来魚を入れない・入りにくくする設計が核。木材・砂利・植物などを使った素朴なフィルター(バイオフィルター/ラスティック・フィルター)が、水質を改善しつつ外来魚の侵入を抑える「城壁」になる。
都市の水需要(送水・水位低下、滞留)都市側の水利用で水位が不安定になったり、水の流れが弱まると、汚染が濃縮・滞留しやすく酸素条件も悪化する。生息地が「点」に縮み、事故(大雨・汚染流入)で一気に崩れやすくなる。「湖全体を一気に直す」のではなく、まず小さくても維持できる区画を作り、そこで水質と捕食圧を管理して生存率を上げる。復元の単位を小さくし、管理可能性を上げるのが戦略になっている。
生産効率優先の連鎖(結果として生命維持の前提が切れる)収量を上げるための集約化・水路改変・外来魚・都市化が絡み合い、アホロートル側から見ると「生命維持装置(清浄な水、隠れ場所、産卵場所、幼生の生残)」が順番に外されていく。ここが、飼育下で増やせるのに野生が戻らない“矛盾”のコア。リフレジオは「生産」と「保全」を切り離さず、農業の営みの中で保全条件(水質・植生・外来魚遮断)を維持する設計にしている。科学だけで守りきれない部分を、日常の管理に埋め込む発想
農家を巻き込む必要性研究者だけでは監視・維持管理の手が足りない。保全がコストだけになると続かない。つまり「守るほど生活が苦しい」構図だと崩れるチナンパ産品のラベル(例:Etiqueta Chinampera のような認証)で、環境配慮の生産を価値に変え、価格プレミアムや販路で農家の動機を作る。保全が“続く仕組み”になる。
現状の到達点と限界(点の避難所)まだ「点」の回復なので、バリア破損や周辺汚染の影響を受けやすい。一方で、点が機能すれば「回復の足場」になる。restored chinampa や人工湿地に飼育個体を放し、追跡した研究では、生存や採餌が確認され、復元区画が機能しうることが示された。次は点を増やし、つなげ、耐える設計にしていく段階

出典

チナンパって、アホロートルを戻すための「でっかい家」を、いきなり丸ごと用意できるわけじゃないけど、まずは小さな町みたいな場所を作って、農薬や化学肥料を使わない、外来魚も入りにくい環境を整えているってことなんだね。

実験的にはうまくいってるみたいだから、あとはそれを少しずつ広げていければ、水槽みたいな場所から外に出て、また広い世界に戻れる――そういう計画ってことだね。

たぶん、だいたいその理解で合ってると思うよ。

この戦略の面白いところは、これまで化学肥料や農薬に頼ってきた農家さんに対して、「農薬や化学肥料を使わずにアホロートルを守れたら、今までより高く野菜が売れるかもよ?」っていう仕組みを作ってるところなんだよね。

今までの感覚だと、農家さん側は「え?保護?そんなことより、農薬を使って虫食いのない野菜を作って、化学肥料で大きくて形のそろった野菜を作って売らないと生活できないんだけど。そんな生き物を守るより、私たち農家のほうを守ってほしい」ってなりがちだったと思う。

そこを「保護=儲かる」って流れに持っていった。そこが強いんだと思う。

この計画は、今はまだ湧水みたいに小さな点から始まってるだけだけど、点がつながって線になって、やがて農家の人たちの「あたりまえ」になっていって、人の縁がつながって円になって、最後はアホロートルが泳ぎ回れる川に戻っていく気がする。

きっと農家の人たちも、心の中では「農薬って本当に大丈夫なのかな」って、少しは思ってたはずなんだよね。

でも、生活のこともあるし、周りを見ても農薬と化学肥料を使うのが「あたりまえ」になっていて、その不安も結局は、その「あたりまえ」の流れに一緒に流されていったんだと思う。

こういう「点」みたいな取り組みが、世界中で「あたりまえ」になったら、たしかに今の形の経済は回らないのかもしれない。

でもそのぶん、地球は気持ちよく回るはずだと思うんですよね。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

アホロートルに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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