11年後のレッドリスト|コルクヤシ:光の届かぬ場所で、生の鼓動を手放した【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|コルクヤシ:光の届かぬ場所で、生の鼓動を手放した【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
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こんにちは、fukumomo3_photo です。

コルクヤシ(Microcycas calocoma)は、

2014年、図鑑に【EN:危機】として分類されていました。

2022年、IUCNレッドリストで、【CR:深刻な危機】と評価されました。

つまり、2014年から2022年にかけて、コルクヤシは

「光の届かぬ場所で、生の鼓動を手放した」状態になってしまいました。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるコルクヤシの最新評価は2022年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/42107/243384251

失われた受粉の森で、人が命をつなぐ|コルクヤシの現在

⬇︎コルクヤシの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|コルクヤシ(Palma Corcho)
項目情報
和名コルクヤシ
英名Palma Corcho
学名Microcycas calocoma
分類植物界・ソテツ科(Cycadaceae)
分布キューバ西部(ピナール・デル・リオ州周辺)の限られた地域
主な生育地石灰岩質の丘陵地や乾燥した森林地帯
樹高約5〜10メートル(まれに12mに達する個体も)
寿命数百年生きるといわれる長寿植物
IUCN評価(2022年)【CR:深刻な危機(Critically Endangered)】

特徴

  • 古代植物の生き残り:コルクヤシは「生きた化石」と呼ばれるソテツ類の一種で、恐竜時代から姿をほとんど変えていません。
  • 名前の由来:幹の表面がコルクのように厚く、亀裂のある質感をしていることから「コルクヤシ」と呼ばれます。
  • 葉の特徴:羽のように細かく分かれた鮮やかな緑の葉を持ち、放射状に広がる姿が美しい。
  • 雌雄異株:雄株と雌株が分かれており、風媒によって受粉します。

生態と行動

  • 生息環境:標高100〜250mの石灰岩地帯に分布し、乾季と雨季のはっきりした気候に適応。
  • 繁殖:生育速度が非常に遅く、種子が成熟するまでに1年以上を要します。
  • 保全状況:野生個体は数千本以下とされ、伐採や開発、火災による生息地の破壊が深刻。
  • 人間との関わり:観賞用として人気が高く、違法採取が絶滅の大きな要因になっています。

2014年絶滅危惧種:コルクヤシ【EN:危機】

保全策としては次世代育成の促進が期待されている、植物園などにこの種がよく保全されているため、人工的な繁殖の成功が期待できる。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

項目2025年現在の状況
IUCNレッドリスト絶滅寸前(CR – Critically Endangered)
野生での状況・自然な受粉がほとんど行われず、世代交代がほぼ停止している。
・個体数は極めて少なく、絶滅の危機が続いている。
保全の取り組み・植物園などが連携した「生息域外保全」が中心。
・人の手による人工授粉が高い確率で成功し、健全な種子を得られている。

次世代育成と人工繁殖の現状

区分内容
野生での次世代育成の課題・自生地のキューバ西部では、受粉を媒介していた特定の昆虫が消失または激減。
・雌雄異株であるため、自然受粉がほとんど成立せず、若い個体が育たない。
・このため、自然下での世代交代が極めて困難な状況にある。
人工繁殖の成功と希望・研究者や植物園による「人工授粉」が成功し、高い確率で種子を得ることに成功。
・フェアチャイルド熱帯植物園(米国)をはじめとする国際的な植物園が連携。
・得られた種子や苗が世界各地に分配され、「生息域外保全」が広く展開されている。
・この人工繁殖の成功が、コルクヤシを絶滅から守るための生命線となっている。

この種の植物園などでの保全活動と人工繁殖は、2025年現在もその状況に変わりはなく、専門家による地道な努力が続けられている。

今後の課題は、人工的に育てた苗を自生地に戻し、再び野生で世代交代ができる環境をいかにして取り戻していくか、という点にかかっている。

⬇︎コルクヤシの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
生息地の保護キューバ西部の石灰岩丘陵地にある固有の自生地を保全し、森林伐採・開発を制限
個体保護・再導入野生個体の採取を禁止し、植物園や研究施設での栽培・繁殖プログラムを推進
国際的な取引規制ワシントン条約(CITES)附属書Ⅰに掲載され、国際取引を原則禁止
保護区の設定自生地の一部を含む自然保護区(例:Pinar del Río州周辺)を整備
地域住民の協力農地開発や伐採圧を減らすため、地域住民に環境教育や持続可能な土地利用を促進
研究とモニタリング個体数のモニタリングや生育環境の研究を行い、気候変動による影響を評価
種子保存・遺伝資源保全種子バンクや植物園での遺伝的多様性の維持・長期保存を実施

主な取り組み

  • 生息地保護:キューバ西部の限られた石灰岩地帯の森林伐採を防止
  • 再導入プログラム:植物園や研究機関での繁殖・再導入事業を推進
  • 国際取引規制:CITES附属書Ⅰにより輸出入を禁止
  • 保護区設定:自生地周辺に自然保護区を指定し、立ち入りを制限
  • 地域協働:地元農民と協力して森林利用の持続可能化を促進
  • 科学的研究:成長速度・繁殖条件・遺伝的多様性に関する研究を継続
  • 種子保存:種子バンク・植物園での長期保存による絶滅リスクの軽減

最後に

これを読んでみて、どのように感じましたか?

「植物園で繁殖できても自然界に戻せなかったら意味ない気がするけど」

自然な世代交代が極めて困難になっている点が気になりますよね。

さらに詳しく調べてみました。


気候変動は、コルクヤシの受粉を担う昆虫が減少した、あるいは絶滅したことの重要な要因の一つと見なされている。

要因区分内容
植物と昆虫のタイミングのズレ(フェノロジー・ミスマッチ)気温の上昇などにより、コルクヤシが花粉を出す時期と、受粉を媒介する昆虫の活動時期がずれてしまう。
たとえ昆虫が生存していても、タイミングが合わなければ受粉は成立しない。
異常気象による直接的な影響ハリケーン・干ばつ・集中豪雨など、近年の極端な気象現象が昆虫の個体数に壊滅的な打撃を与えた可能性がある。
特に局地的な生息域では、1回の災害で生態系が崩壊するリスクが高い。
生息地の破壊・分断農地開発や道路建設などにより、キューバ西部の森林が失われ・分断された。
これにより、昆虫の生息地や移動経路が絶たれた。
農薬の使用周辺の農地で使用された農薬が、受粉を担う昆虫にも影響を与えた可能性がある。
受粉生態系のバランスを崩す一因とみられる。
複合的な影響気候変動に生息地破壊・農薬影響などが重なり、コルクヤシとその受粉昆虫の共存関係が急速に崩れた可能性が高い。

結論として、コルクヤシの受粉を媒介していた特定の昆虫(Pharaxonotha esperanzaeという甲虫の一種が有力候補とされています)は、生息地の破壊という直接的な脅威にさらされているところに、気候変動による環境の変化が追い打ちをかける形で、その数を著しく減らしたか、地域的に絶滅してしまったと考えられている。
出典:Focus: Microcycas calocoma – The Cycad Society

ただし、それは単独の理由ではなく、他の要因と複雑に絡み合っていると理解することが重要である。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

コルクヤシに、あなたの5分が届くことを祈ります。

fukumomo3_photo


インスタでは、コルクヤシたちの姿を“図鑑みたいに”並べて見られます。
ビジュアルで伝える命の物語、よかったらのぞいてみてください。

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