※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
こんにちは、鶏人|Keijin です。
今回は、パタゴニアイトスギ(学名:Fitzroya cupressoides)の話をします。
この木、環境がいい場所でも、1年で太くなれるのは平均で1〜2mmくらい。びっくりするほど成長が遅いんです。
でもそのぶん、1000年以上生きることもある――そんな“時間の長い”樹木でもあります。
ただ、2014年の図鑑では「EN:危機」。
そして最新のレッドリストでも、評価は同じく「EN:危機」のままでした。
だからこそ、パタゴニアイトスギは今もきっと、「森の時計は、まだ止まれない」状態なんだと思います。
この記事は短くて、5分で読めます。
よかったら最後まで読んでください。
※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2010年版です(以降の更新は確認されていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Fitzroya cupressoides)
250年の気候変動 vs 5000年の木|アレルセの時間軸
⬇︎パタゴニアイトスギの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 和名 | パタゴニアイトスギ |
| 英名 | Patagonian Cypress / Alerce / Lahuén |
| 学名 | Fitzroya cupressoides |
| 分類 | ヒノキ科(Cupressaceae)・フィツロヤ属(単型属) |
| 分布 | チリ南部(海岸山脈・中央谷・アンデス)〜アルゼンチンのアンデス山脈(パタゴニア周辺) |
| 主な生育地 | バルディビア温帯雨林などの冷涼で湿潤な森林(山地〜沿岸) |
| 樹高 | 通常40〜60m、条件が良いと70m超にもなる |
| 幹の太さ | 最大で直径5m級に達することがある |
| 寿命 | 数千年生きる超長寿の樹種(3000年以上の個体が知られる) |
| 保全状況 | IUCN:EN(Endangered/絶滅危惧) |
特徴
- 別名の由来:「Alerce(アレルセ)」はスペイン語圏で使われる呼び名で、地域名や文化とも結びついた呼称である。
- 単型属:現生でこの属に属する種は本種のみで、系統的に“替えのきかない枝”を持つ存在である。
- 樹皮が厚い:火災などの攪乱に耐える適応の一つと考えられている。
- 材が貴重すぎる:耐久性の高い木材として歴史的に伐採されてきた背景があり、それが長期的な個体数減少の根っこにある。
生態と成長
- 成長はゆっくり:長寿である一方、更新(新しい個体が育って森が続くこと)が簡単ではなく、いったん壊れると戻りにくいタイプの森林をつくる。
- 繁殖:球果(いわゆる“松かさ”に似た構造)で種子をつくり、風などで散布される針葉樹である。
- 主な脅威:過去〜現在にわたる伐採圧、違法伐採、火入れ・山火事、土地利用の変化による生育地の分断が大きい。
- 保護の動き:国内保護(伐採規制など)や国際取引規制(CITES)といった枠組みで守ろうとする動きが続いている。
最終評価2010年:パタゴニアイトスギ「EN:危機」
この裸子植物の材は丈夫で長持ちし、軽く、多くの人がほしがるので、17世紀半ば以来伐採されてきた。残念なことに、このような行為が活発に展開されたために、今ではこの種の生育場所はもともとあった場所の15パーセントほどの面積に縮小している。
出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014
| ポイント | 要点(結論) | 詳細(状況・背景・補足) |
|---|---|---|
| 全体結論(2014→2026) | 大規模な商業伐採による「急激な減少」には歯止めがかかった。一方で、現在も EN(危機) のままで、生息地の質・面積は予断を許さない。 | 2014年当時の「伐採の歴史が生んだ深刻な減少」は、規制や保護区整備で“最悪の加速”は抑えられた。ただ、面積が戻る速度は極端に遅く、残る原生林は気候変動・火災・違法伐採など複合圧力下にある。だから「回復した」と言い切れず、ENのまま。 |
| 1. 現在の保護状況とIUCNレッドリスト | IUCN:EN(危機) は継続。国内法・国際取引規制・保護区の枠組みにより“守る仕組み”は強い。 | IUCNはEN継続。チリでは1976年に天然記念物指定で生木の伐採を厳格に禁止。CITES附属書Iで国際商取引も原則禁止。生息地は「約15%まで縮小」が引用される一方、残る原生林の多くは国立公園など保護区に入っている。制度は強いが、面積回復とは別問題。 |
| 2. 現在も続く脅威(なぜ縮小の懸念が残るのか) | 合法的な大規模伐採が止まっても、違法伐採・火災・気候変動 が“回復を妨げる脅威”として残り続けている。 | 合法的伐採が止まっても、違法伐採(高価で腐りにくい材ゆえ監視困難)は残る。森林火災は乾燥化でリスク増、成長が遅いため一度失うと回復は数百〜数千年規模。気候変動で降水が変わり、湿潤環境を好む幼樹が育ちにくい可能性も指摘される。「切られない=安心」ではない。 |
| 3. 「世界最長寿の木」としての注目 | 2022〜2023年に「樹齢5,000年超の可能性」が報じられ、国際的な関心・予算・保護の語り が再び強まった。 | チリのアレルセ・コステロ国立公園の個体(Gran Abuelo)が、樹齢5,000年超の可能性として報じられた。事実なら世界最高齢級になり、アレルセを「材木」ではなく「地球史の証人」として守る機運や資金の追い風になりうる。ただし注目は観光圧など別のリスクも生むため、守り方の設計が重要。 |
| 4. まとめ(生息地は回復しているのか?) | 残念ながら、失われた85%が急速に戻る フェーズではない。現状は 「残り15%を守り抜き、気候変動に適応させる」守備の局面。 | 生長が非常に遅く(年1mm程度のことも)、森林の再生=面積回復には人類史を超える時間が要る。現実的には、①残存林の保全、②火災・違法伐採対策、③気候変動下で幼樹が育つ条件(更新)を整えることが主戦場。「増やす」より「減らさない・質を守る・適応する」段階。 |
パタゴニアイトスギ(Fitzroya cupressoides)は、商業伐採の抑制と保護区拡大により急減傾向は緩和したが、IUCNでは依然ENに位置づけられる。チリでの法的保護およびCITES附属書Iにより取引は制限される一方、高価材に起因する違法伐採、乾燥化に伴う火災リスク、降水変化による更新阻害が残存林の質と面積を脅かす。長寿個体の注目は保全資源の動員を促し得るが、回復は「残存域の維持と適応」が中心となる。
⬇︎パタゴニアイトスギの保護活動の種類です。必要なら開いてください。
| 保護活動の種類 | 内容の概要 |
|---|---|
| 生息地の保護(in situ) | 国立公園・保護区などで残存林を保全し、土地改変を抑える(チリでは保護区内に一定面積が含まれる)。 |
| 伐採規制・法執行 | チリでは生木の伐採が禁止(国家的保護指定)されている一方、違法伐採や「合法を装う」流通への対策が課題。 |
| 国際取引規制 | ワシントン条約(CITES)附属書Ⅰに掲載され、国際取引が厳しく制限される(木材取引の抑止)。 |
| 火災対策 | 人為起源の火災が大規模減少の主要因の一つであり、火入れ管理・監視・防火を含む火災リスク低減が重要。 |
| 森林復元・再生(苗木植栽) | 地域系統の苗木を育成し、劣化地で生態学的復元を進める(小規模植栽・復元事業)。 |
| 研究とモニタリング | 森林動態・遺伝的多様性・更新(再生)状況を調べ、優先保全地域や復元の設計に反映。 |
| 地域・関係者協働 | 私有地に森林が多く残るため、住民・先住民コミュニティ・企業・行政が合意形成して保全を進める必要がある。 |
最後に
これを読んでみて、どう感じましたか?
名前に「スギ」って入ってるから、もっと成長が早い木なのかなって思ってたんだけど、実際は1年に1ミリ太くなるかならないかくらいで、ものすごく成長が遅いんだね。しかも、気候変動で降水パターンが変わって、湿った環境が好きなこの種の幼木が育ちにくくなってるらしい。
ただ、人工的に植林するみたいな話は具体的に書かれてなかったんだけど……それってやっぱり難しいのかな。
原生林みたいな環境じゃないと育ちにくい種なのかもしれないけど、そこも含めて調べてみるね。
| ポイント | 要点(結論) | 詳細(状況・背景・補足)※半分くらいに短縮 |
|---|---|---|
| 前提:日本のスギとの「時間感覚」の違い | パタゴニアイトスギ(アレルセ)は、スギのように短期間で増やして循環させる林業モデルと根本的に相性が悪い。 | 日本のスギは拡大造林で一気に増えた印象があるけど、アレルセは成長も更新も別世界。年に1mm太くなるかどうかの速度なので、「植えて増やす」がそのまま通用しにくい。戦略は“増産”より“数百〜数千年の維持”に寄っていく。 |
| 1. なぜ「植林」が進まないのか | 植林の試みはあるが、成功率が低く、商業的・効率的な解決策になりにくい。 | 発芽率の壁:発芽できる種子が10%以下になりがちで、不稔が多く苗づくりが難しい。時間の壁:木らしくなるまで数百年単位で、数世代にわたる管理が必要になり短期事業では維持しにくい。競争の壁:成長が遅く、草や広葉樹に日光を奪われやすいので、放置すると負けて枯れやすい。 |
| 2. 「原生林でしか育たない」理由(ナースログ) | アレルセは原生林の複雑な更新システム(ナースログ等)に強く依存している可能性が高い。 | 倒木がゆりかご:地表は湿度過多や菌類の影響を受けやすく、朽ちた倒木の上で発芽する方が成立しやすい。菌根菌ネットワーク:原生林土壌の菌根菌と栄養をやり取りするが、新しい造成地にはその仕組みがなく、幼木が栄養不足になりやすい。つまり“場所”だけ整えても足りない。 |
| 3. 気候変動による「ダブルパンチ」 | 湿潤環境の喪失と火災リスク増が同時に来ており、更新・生存・回復のすべてに悪影響が出る。 | 霧の消失:雨だけでなく霧からも水分を得るため、霧が減ると成長がさらに遅れ、幼木が乾燥で全滅するリスクが上がる。火災への脆弱性:燃えた後に取り戻す速度が極端に遅く、一度失えば森に戻るまで最低でも数千年規模になりうる。 |
| 4. 現在の取り組み(希望の作り方) | 耐性個体の増殖や森同士の連結など、現実的な保全戦略が重視されている。 | クローン増殖:Gran Abueloなどの個体から枝を取り、挿し木でクローン苗を作る研究が進む。連結重視:新規植林が難しいため、孤立林をコリドーでつなぎ、種子散布や自然な分布拡大を助ける方向が主流。「増やす」より「途切れさせない」発想。 |
これを知っちゃうと、私たちが気候変動を招くまでの時間って、ほんとに短かったんだなって思います。
だって、産業革命のあとから数えて約250年。倒れた“お母さん木”の栄養をもらって、森林のネットワークに守られながら育った幼木の太さって、成長が遅い子だとせいぜい15cmくらい。
運よく太陽の光を浴びられたり、他の木とうまくやれた子でも、50cmにしかならない。
そう考えると、人類の時間軸で引き起こした気候変動の怖さが、ものすごくリアルにわかるんです。
ほんとそうですよね。
私たちの時間って、とにかく早い。昭和の初期くらいから比べても、産業の機械化とか物流の効率化とかで、「なんでも早ければいい」「なんでも安ければいい」って、どこかで思い込んで生きてきた気がします。
今なんて、何か頼めば翌日に届くのが当たり前だし、スーパーの棚には、大量に作られた食品が、製造会社からたった数日で届いて並ぶ。無ければ電話一本で、配送センターからすぐ補充が届く…みたいな仕組みまで完成してますもんね。
でも、原生林で生きてきたアレルセは、そんなこと知ったこっちゃない。
いつも通りの時間軸で、ゆっくり太くなって、時には太陽を他の木に遮られて、まったく成長できない年だってあったはずで。それでも本当に少しずつ、少しずつ育ってきたんだと思います。
どっちが正しい生き方かなんて、種が違うから比べられないのはわかってる。
でも、これだけは言える気がします。
人類が、化石燃料っていう“タイムマシンの燃料”を掘り出して、自分たちの時間軸をねじ曲げて、速さと便利さと快適さだけを追いかけた結果――気候変動を、「どうぞどうぞ」って、数十年前からずっと頭を下げながら招き入れてきたんじゃないか、って。
そして今、産業革命のころに地に根を張った幼木が、私たちと一緒に進んできたこの気候変動のスピードに、ちゃんとついていけるのか。
それが心配でなりません。
ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?
コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。
あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。
パタゴニアイトスギに、あなたの5分が届くことを祈ります。
鶏人|Keijin



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