11年後のレッドリスト|ナッソーハタ:逃げ道のない場所へ、追い込まれた【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|ナッソーハタ:逃げ道のない場所へ、追い込まれた【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

ナッソーハタ(Epinephelus striatus)は、

2014年、図鑑に【EN:危機】として分類されていました。

2018年、IUCNレッドリストで、【CR:深刻な危機】と評価されました。

つまり、2014年から2018年にかけて、ナッソーハタは

「逃げ道のない場所へ、追い込まれた」状態になってしまいました。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるナッソーハタの最新評価は2018年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/7862/46909843

守られたナッソーハタと、移りゆく狙い|海と私たちのつながり

⬇︎ナッソーハタの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|ナッソーハタ(Nassau Grouper)
項目情報
和名ナッソーハタ
英名Nassau Grouper
学名Epinephelus striatus
分類条鰭綱・スズキ目・ハタ科(Serranidae)
分布西部大西洋(バミューダ、フロリダ、バハマ、ユカタン半島、カリブ海域〜南ブラジルなど)
主な産卵地サンゴ礁の特定地点に産卵集群(spawning aggregation)を形成(棚外縁など)
体長最大 122cm(TL)
体重最大報告 25kg
寿命最大報告 29年
IUCNレッドリストCR:深刻な危機(個体群は減少傾向)

特徴

  • 見た目:体に縞模様が入り、カリブのリーフで目立つ大型ハタの代表格。
  • 幼魚と成魚で“居場所”が違う:幼魚は海草藻場(シーグラス)に多く、成魚はリーフや洞穴付近で見られます。
  • 産卵期は“色が変わる”:集群時に複数のカラーフェーズ(模様・色の段階)を示すとされています。

生態と行動

  • ふだん:単独で行動することが多い(ときに群れになることも)。水深は沿岸〜少なくとも約90mまで。
  • 産卵:新月期に合わせて大規模な産卵集群を作り、夕方〜日没前後に水面方向へ泳ぎ上がって放卵・放精する行動が説明されています。
  • 産卵集群の規模:条件がそろうと、数万規模の集群が形成され得ると報告されています。
  • 食性:主に魚類や甲殻類(カニ類など)を捕食します。

2014年絶滅危惧種:ナッソーハタ【EN:危機】

歴史的には、ナッソーハタはこの地域の商業漁業のもっとも重要な対象のひとつであった。予想しやすい場所に多数の個体が集まり、集団で産卵(生殖)する習性のおかげで、この魚は捕獲しやすいターゲットとなっていた。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

項目要点内容の概要
結論商業漁業の的か?かつてのような大規模な商業ターゲットではなく、多くの地域で保護・回復の対象になっている
現在のステータス絶滅リスクIUCNで CR(深刻な危機)=野生絶滅リスクが極めて高い
過去との比較2014→現在2014は EN(危機) →(再評価で)CRへ悪化
商業漁業の現状どう変わったか資源量が激減し、主要生息域で禁漁・持ち帰り禁止・サイズ制限など規制が進む
減少の主因なぜ減ったか産卵集群(spawning aggregation)が狙われ、繁殖前の親魚が大量に獲られた
市場で見かけたら注意点厳格管理下の合法品の可能性もあるが、違法捕獲の可能性も否定できない

地域別:規制と状況

地域規制・扱い現状のポイント
アメリカ(フロリダ/プエルトリコ/米領ヴァージン諸島)捕獲禁止(持ち帰り禁止)商業・レジャー問わず法律で禁止
バハマ産卵期禁漁(12〜2月頃)密漁・規制外捕獲が課題で、回復が懸念
ケイマン諸島厳格管理(産卵期全面禁漁/サイズ制限/持ち帰り数制限 等)一部で回復傾向。限定的に漁が許可される期間もあるが管理が厳しい
キューバ(事実上)商業的に成立しない状態資源崩壊後、回復の兆しが見えず「commercially extinct」扱い

なぜ「ここまで」減ったのか

キーワード内容漁獲が致命的になった理由
産卵集群(spawning aggregation)冬の満月など特定時期・特定場所に大量集合して産卵時期と場所が読めるため、一網で大量捕獲→繁殖親魚が激減
親魚の根こそぎ捕獲産卵前の個体が集中して狙われる再生産の核が失われ、回復に非常に時間がかかる

ナッソーハタの保全は、産卵集群の保護を中核に、産卵期禁漁・産卵場閉鎖、サイズ/所持規制などの漁獲管理、産卵・成育場を含む海洋保護区の設定と取締強化を組み合わせる。さらに、タグ等による回遊・群集規模のモニタリングに基づき管理措置を適応的に更新し、地域共同管理と啓発、流通段階を含むIUU監視を併走させることが資源回復の前提条件となる。加えて、域内協定を活用し国境を越えた規制整合と情報共有を図る必要がある。

⬇︎ナッソーハタの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
産卵場(産卵集群)の保護ナッソーハタは「特定の場所・時期」に集団で産卵するため、産卵集群(spawning aggregation)を狙った漁獲を防ぐ目的で、産卵期の禁漁・産卵場の閉鎖(恒久/季節)を実施・推進する。
漁獲規制(禁漁・サイズ/所持規制)国や地域ごとに、漁獲禁止・禁漁期間・体長制限・所持/売買禁止などを導入して資源回復を狙う(例:米国では採捕できない扱い、ベリーズでは禁漁期とサイズ規制など)。
海洋保護区(MPA)の設定産卵場や成育場(サンゴ礁周辺など)を含む海域を保護区化し、繁殖成功率の改善と成魚・幼魚の生残率向上を図る。実際に「狙いを絞った保全策」で回復例も報告されている。
取締・監視(IUU対策)禁漁や保護区を「紙の上」で終わらせないために、漁獲・陸揚げ・流通の監視、違法操業の抑止、規制の実効性を上げる運用(地域連携含む)を進める。
地域・漁業者の参加漁業者・地域社会と合意形成を行い、産卵期の自主規制、重要産卵場の共有、啓発・教育を組み合わせて、順守率を高める(共同管理の設計が重要)。
研究とモニタリング音響テレメトリーやタグ調査で移動・産卵場利用を把握し、産卵集群の規模・再生産の状況を継続監視して、閉鎖範囲や期間を科学的に最適化する。
国際/地域枠組みでの連携カリブ海域の地域協定(SPAW)での位置づけを使い、国境を越える資源管理・保全の足並みをそろえる(共同管理の後押し)。

最後に

これを読んで、あなたはどう感じましたか?

ナッソーハタって、いろんな地域で保護や規制が進んでいるみたいだよね。
でもって言っちゃなんだけど、この魚が守られるようになった一方で、代わりにスポーツフィッシングや商業漁業のターゲットになっている別の魚がいるんじゃないか――そんな気もしてきた。

そうですよね。保全がここまでうまく進んでいるなら、その裏に何か事情(見えにくい影)があるのかもしれない、とも読めますからね。

ちょっと調べてみます。


見出し要点具体例・補足
代役にされた魚たちナッソーハタが獲れなくなっても、人の「食べたい/釣りたい」は消えず、次のターゲットへ移る(=漁獲努力量の転換)。需要が別種にスライドし、資源が減れば規制が増える…という“いたちごっこ”が起きやすい。
代役① ハタ類(例:アカハタモドキ/クロハタ)市場や外食の「Grouper(ハタ)」の中身が、他のハタ類に置き換わることが起きる。とくに需要が大きいほど、代替が進みやすい。結果として、今度は代役側の資源が減少傾向になり得る。
代役② フエダイ類(Snappers)「ハタがダメなら、同じ白身で美味しいフエダイへ」という流れが起きやすく、乱獲リスクが上がる。スポーツフィッシングでも人気が高く、圧が集中しやすい。
代役③ ライオンフィッシュ(外来種)「代わりに食べよう/釣ろう」というキャンペーンがあり、駆除という意味では“良い身代わり”になっている。ただし、商業規模の需要全体を埋めるほどにはなりにくい。
スポーツフィッシングの見えにくい影「キャッチ&リリース」でも、魚が無傷とは限らない。ここに残酷な側面がある。とくに深場の魚で問題が起きやすい。
混獲と圧外傷(バロトラウマ)合法な魚を狙っても、ナッソーハタが食いつけば混獲が起きる。釣り上げ時の水圧変化で圧外傷が起き、リリース後の生存率が下がりやすい。目が飛び出す/胃が出る等。海底に戻れず漂って捕食される、または死ぬ確率が上がる。
「獲ってないのに、死なせている」つまり、食べるために獲っていなくても、釣り行為そのものが間接的な死亡に繋がることがある。統計に見えにくい“死亡”が裏側に残る、という指摘。
Fishing Down the Food Web大きくて美味しい魚(上位)→その次→さらに小さい魚へと、人間の狙いが下に降りていく現象。「ボスがいなくなると、次の部下が狙われる」構図。
保全がうまく見える怖さ「ナッソーハタ単体の減少が緩んだ」だけで、海全体への負荷が減ったとは限らない“特定種の改善”と“海への負荷の減少”は別問題かもしれない、という結論に繋がる。

ナッソーハタの資源減少と保護強化は、漁獲努力量の転換を通じて他魚種(他のハタ類やフエダイ類)への漁獲圧を相対的に高める可能性がある。加えて、スポーツフィッシングでは混獲と圧外傷(バロトラウマ)により、リリース後の死亡率が上昇し得る。これらは「食物網の下方漁獲」を促進し、特定種の改善が必ずしも生態系負荷の低減を意味しないことを示唆する。


レストランスーパーで需要があるからこそ商業漁業は成り立つわけで、ナッソーハタが獲れなくなったら、当然その分「代わりになる魚」、しかも 法律の規制がゆるい魚を狙う方向に動きやすいよね。
スポーツフィッシングについては、どうしても「富裕層のぜいたく」というイメージが強くて、正直あまり好意的には見られないかな。

人の働き方って、昔は「生きるために畑を耕す」「魚を獲る」みたいに命と直結していたのに、今は大きな商業や産業の仕組みに変わってしまったよね。そうなると、生き物への感謝が薄れてしまったんじゃないか――私はそんなふうに感じる。

実はスポーツフィッシングは、私も昔は好きでやっていたんだけど、「外道」って言われて捨てられたり、食べないのに締められたりする生き物を見てから、「食べないのに釣るのは失礼だ」と思うようになって、今は趣味としての釣りはやめました。だって魚はスーパーに行けば売っているし、ちゃんと調べて買えばいいだけだからね。

ただ、スーパーで買い物をする私たちの行動も、巡り巡ってナッソーハタみたいな生き物の世界につながっていると思うんです。魚達が商業や産業の中で利益を生む存在になっていくほど、命の重みが薄れていく気がするんです。最初に網を入れた人は、きっと感謝していたはずなのに、トラックで運ばれて、加工されて、切り身になってパックに詰められた瞬間から、それは命じゃなくて「食品」という“商品”に変わってしまう。

だからこそ、スーパーでそのパックを手に取ったときに、「これも、もともとは大きな海を泳いでいた命なんだな」って想像する努力が、私たちには必要なんじゃないかと、いつも思っています。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

ナッソーハタに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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