11年後のレッドリスト|ドール:届かない遠吠えで、誰かの気づきを待ち続けていた【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|ドール:届かない遠吠えで、誰かの気づきを待ち続けていた【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

ドール(Cuon alpinus)は、

2014年、図鑑に【EN:危機】として分類されていました。

2015年、IUCNレッドリストで、【EN:危機】と評価されました。

つまり、2014年から2015年にかけて、ドールは

「届かない遠吠えで、誰かの気づきを待ち続けていた」状態なのです。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるドールの最新評価は2015年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/5953/72477893

『空っぽの森』と私たちの買い物|ドールの未来を変える小さな一歩

⬇︎ドールの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|ドール(Dhole/ Asiatic Wild Dog / Indian Wild Dog)
項目情報
和名ドール(別名:アカオオカミ、アカイヌなど)
英名Dhole/ Asiatic Wild Dog / Indian Wild Dog
学名Cuon alpinus
分類哺乳類・食肉目(ネコ目)・イヌ科・ドール属
分布南アジア・東アジア・東南アジアの森林地帯(インド〜ネパール、ブータン、ミャンマー、タイ、中国南部、マレー半島、スマトラ島など)
主な生息環境熱帯〜亜熱帯の森林、山地林、サバンナ状の林地など、比較的水源のある森や草地
体長頭胴長 約75〜110cm、尾長 約40〜45cm
体重約10〜20kg(地域や性別により差あり)
寿命野生で約10〜13年、飼育下ではそれ以上生きることも

特徴

  • 名前の由来:
    英名「Dhole(ドール)」の語源ははっきりしておらず、インドの一地方の言葉から来た可能性があると考えられています。日本語では図鑑などで「ドール」と表記されます。
  • 茶色の体と黒い尾:
    全身は赤〜茶色の毛に覆われ、尾の先が黒くなる個体が多いのが特徴です。白い胸や足先を持つ個体も見られます。
  • イヌ科だけど「ドール属」:
    オオカミやキツネと同じイヌ科ですが、歯の数や頭骨の形が少し違っていて、Cuon という独自の属に分類されています。
  • 高い社会性:
    群れで暮らすとても社交的な動物で、10頭前後〜40頭以上の「大家族」になることもあります。お互いに毛づくろいをしたり、鳴き声でよくコミュニケーションをとります。
  • 「口笛」のような声:
    遠くの仲間と連絡をとるとき、オオカミのような遠吠えではなく、ピューッという口笛のような高い声を出します。このため「Whistling dog(口笛を吹くイヌ)」とも呼ばれます。

生態と行動

  • 群れで狩りをするハンター:
    シカやイノシシなどの中〜大型の草食動物を、群れで協力して追い詰めて狩ります。1頭では倒せない大きな獲物でも、連携して仕留めることができます。
  • 昼行性が多い:
    多くの個体群は、朝〜昼〜夕方に活動する「昼行性」。群れで森の中を広く動き回り、獲物や水場を探します。
  • 子育てはみんなで:
    繁殖ペアだけでなく、群れの他のメンバーも子どもの世話をします。狩りに出た大人が食べ物を吐き戻して子どもに与えるなど、「協同繁殖」のしくみを持っています。
  • テリトリー:
    森や山地に広いなわばりを持ち、臭いづけや糞などで「ここは自分たちのエリア」と示します。ただし、オオカミほどはっきりした序列はなく、比較的ゆるやかな社会構造といわれています。
  • 直面している脅威:
    生息地の森林伐採、シカなど獲物の減少、家畜を守ろうとする人間による駆除、そしてイヌからうつる病気などが重なり、野生の成獣は世界で2,500頭未満と推定され、IUCNレッドリストでは「EN:危機(Endangered)」に分類されています。

2014年絶滅危惧種:ドール【EN:危機】

この種が直面する最大の脅威は生息域の大規模な消失と、おもな獲物であるシカが過剰捕殺によって失われていることである。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

1. シカとのバランスが保たれていない理由

項目内容
ドールと獲物の関係ドールにとっての「獲物(シカやイノシシ、バンテンなど)の不足」は、自然の変動ではなく、人間との競合が主な原因となっている。
「空っぽの森(Empty Forest)症候群」森林そのものは残っていても、中型・大型の草食獣が食肉用狩猟(ブッシュミート取引)によって根こそぎ捕られ、獲物がいない「空っぽの森」と化している。
東南アジアでのわな猟ベトナム・ラオス・カンボジアなどでは、無差別に動物を捕らえる「わな猟(スネア)」が横行し、ドールの主要な餌動物が極端に減少している。
トラ・ヒョウとの競争獲物が少ない環境では、より体の大きなトラやヒョウとの競争に負けやすい。
群れで狩りをする特性ドールは群れで狩りをするため、単独で狩るトラやヒョウ以上に、高密度の獲物個体群を必要とするが、その条件を満たす森が減少している。

2. 現在のドールが直面している3つの主要な脅威

脅威内容
獲物の枯渇(Prey Depletion)人間による乱獲・ブッシュミート取引により、シカやイノシシなどの獲物が激減。2014年図鑑の「獲物の過剰捕殺」という指摘は、現在も最大の脅威の一つとして続いている。
生息地の分断農地転換・道路建設・開発等によって森林が細切れに分断され、ドールの群れが広い範囲を移動できず、遺伝的多様性の低下や局所絶滅のリスクが高まっている。
家畜犬からの伝染病森の近くで飼われている家畜犬・放し飼いの犬から、ジステンパーや狂犬病などがドールに感染し、群れごと全滅する事例が報告されている。近年、特に重要視されている新たな脅威。

ドール(アカオオカミ)は、人為的要因に起因する獲物資源の枯渇と複合的脅威にさらされている。東南アジアではブッシュミート需要とわな猟によりシカ類が著しく減少し、「空っぽの森」状態の中でトラ・ヒョウとの競争が強まっている。

加えて、森林開発による生息地の分断と家畜犬由来の感染症が、群れ単位の絶滅リスクを高めている。

⬇︎ドールの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
生息地と回廊の保護熱帯林・落葉樹林・山地森林などドールがまだ生き残っている森を保護区や生物回廊として指定し、伐採・道路・農地拡大で生息地がさらに分断されないように管理している。インドやブータンなどでは、ドールの分布モデルにもとづいて「優先保全エリア」を地図化し、保全計画に組み込んでいる。
獲物(餌資源)の回復シカ類やイノシシなどの獲物が減るとドールも生きていけないため、保護区内外での違法狩猟の規制、草食動物の保全、過度な家畜放牧の見直しなどによって、獲物となる野生動物の個体数回復を図っている。
人とドールの軋轢(家畜被害)の軽減家畜を襲うドールに対し、毒殺や罠で報復されてきた歴史があるため、遊牧民・農牧民を対象にした補償制度の整備、家畜群の見張り強化・夜間囲いの導入、毒餌の使用禁止などを進め、「殺して追い払う」状況を減らそうとしている。
家畜犬・病気対策イヌジステンパーなどの病気が、放し飼いの犬からドールへうつるリスクが指摘されており、周辺集落の飼い犬へのワクチン接種、野犬管理、衛生サンプルの採取・検査など「病気の橋渡し」を減らす取り組みが進んでいる。
保護区・国別行動計画の策定ネパール、インド、タイ、ブータンなどの国では、ドールを対象とした「国家保全行動計画」が作られ始めており、保護区ネットワークの強化、監視体制、人材育成、研究予算の確保などを10年規模のロードマップとしてまとめている。
地域・コミュニティ参加と代替生計ネパールやインドなどでは、村人・放牧民を巻き込んだ「ドール保全イニシアチブ」が進められており、家畜被害の実態調査、聞き取り、環境教育、エコツーリズムや持続的な生計支援などを通じて、ドールを「害獣」ではなく森の一員として受け止めてもらう活動が行われている。
研究とモニタリングカメラトラップ・環境ニッチモデル・衛星首輪などで分布や個体群の状況を把握し、どこに重点的に保全資源を投入すべきかを評価している。また、WCS India の「Dhole Project」やコーネル大学の保全プロジェクトなどが、行動・生態・健康状態の研究と、それにもとづく保全戦略づくりを進めている。

最後に

ここまで読んで、あなたはどう感じましたか?

「空っぽの森」って、実際にはどれくらい空っぽなのか、私ももっと知りたくなりました。

具体的な数字や事例があると、ぐっとイメージしやすくなりそうですよね。

このあと、もう少し詳しく調べてみようと思います。


項目内容
日本の野生動物の状況日本では森林面積は減少している地域もあるが、シカやイノシシなどの個体数が増加し、農林業被害が問題となっている地域が多い。
東南アジアの生息地の状況ベトナム、ラオス、カンボジアなど東南アジアの一部地域では、森林は残っていても中型・大型の野生動物が著しく減少している。
「空っぽの森(Empty Forest)」の意味森林の植生は残っているが、シカやイノシシ、バンテンなどの中型・大型哺乳類が人間活動により大幅に減少または消失した状態を指す。
主な原因ブッシュミート(野生動物肉)需要に対応する狩猟により、獲物となる野生動物が集中的に捕獲されている。
スネア(わな)の材質安価な自転車のブレーキワイヤーなどを材料としたワイヤー製のわなが用いられている。
スネアの設置規模ワイヤー製のわなが、数キロメートルにわたり連続して設置されることがある。
捕獲対象の範囲スネアは特定の種のみを対象とせず、ネズミなどの小型哺乳類からシカ、バンテン、ゾウ、ドールなど多様な動物がかかる。
カンボジアの保護区での回収数南カルダモン国立公園などでは、レンジャーが1年間に回収するスネアの数が約2万〜10万個に達することがある。
回収後の再設置回収しても短期間のうちに再びスネアが設置される事例が報告されている。
ドールへの影響スネアによる狩猟で、ドールの主な獲物であるシカやバンテンが大きく減少し、ドールの餌資源が失われている。

「空っぽの森」をイメージするための例え

例え説明
商品が消えたスーパーマーケット建物は立派で、照明も明るく、エアコンも効いている巨大なスーパー。しかし棚には商品が一つもない。ドールにとっての「空っぽの森」は、家(森)はあるのに、食べ物(獲物)だけが誰かに持ち去られた世界。
音のないゴーストタウン建物(木々)はそのままなのに、住民だけが消えた街のような不気味さ。シカの足音、鳥のさえずり、草を食む音など、本来聞こえるはずの音が森から完全に消えている。

「空っぽの森(Empty Forest)」は、森林植生が残存している一方で、中・大型哺乳類が人為的要因により著しく減少した状態を指す。

東南アジアの一部地域では、ブッシュミート需要に伴う集中的な狩猟と、自転車ブレーキワイヤー等で作製されたスネアの大量設置により、多様な野生動物が無差別に捕獲される。

カンボジアの保護区では、年間数万〜十万個規模のスネア回収が報告されており、ドールの主要な獲物種の枯渇を通じて、その存続可能性に深刻な影響を与えている。


映画『アイ・アム・レジェンド』の冒頭シーンを思い出しました。
人間が作り出した新種のウイルスが広がって、街から人の姿が消えていくあの静かな光景です。設定そのものは違うけれど、「人類が招いたこと」と「誰もいない世界」という点で、空っぽの森と重なるところがあるな、と感じました。

「人類が招いた」= スネア(わな)の大量設置、
「誰もいない」= 人間が獲物を“食べ尽くした”あとの森。

そう考えると、ドールの獲物がいなくなってしまった結果、ドールは民家の近くに出ざるを得なくなり、今度は「危険な動物」として人間に駆除されてしまう――そんな悪循環が起きているのだろうと思います。

この先、何が起きうるのかを考えると、正直少し不安になります。
ここまで森が空っぽになっているということは、生態系や生物多様性のバランスがすでに崩れているはずで、森全体の「生命維持の仕組み」がどうなっていくのかが気になります。

最後に、そのあたりのことも、もう少し詳しく調べてみようと思います。


項目内容
懸念している現象生態学の専門家たちがもっとも恐れているのは、「森林の静かなる崩壊」と呼ばれる現象である。「木が残っているから大丈夫」ではなく、「空っぽの森」の深層で起きている連鎖的な崩壊が問題となっている。
① 生ける屍(Living Dead)の森「空っぽの森」に残された木々は、「Living Dead(生ける屍)」と呼ばれることがある。多くの熱帯樹木は、果実をシカ、サル、ゾウ、サイチョウなどに食べてもらい、フンとして遠くへ種を運んでもらうことで繁殖する。動物がいなくなると、種は親木の真下に落ちるだけになり、親木の日陰や病害虫の影響で育つことができない。その結果、巨木(親)が寿命で倒れたあと、次世代の木が一本も育っていない状態となり、外見は緑でも「死を待つだけの森」となる。
② 森の肥料循環の停止「生命維持の仕組み」としての栄養循環ポンプが止まりつつある。草食動物は植物を食べ、動き回り、排泄することで、森全体に窒素やリンなどの栄養を運ぶ「肥料散布係」の役割を担う。草食動物がいなくなると栄養が特定の場所に偏り、土壌が痩せ、森全体の植物の成長速度が低下することが示されている。
③ 気候変動への悪影響「空っぽの森」は地球温暖化を加速させる可能性がある。大型動物に種を運んでもらう樹種は、一般に種が大きく、材が硬く、寿命が長く、多量の炭素を蓄える。一方、動物がいなくなると、風で種を飛ばすような「軽くて成長が早く、炭素をあまり蓄えない木」が優占しやすい。その結果、同じ面積の森林でも、貯蔵できる炭素量が大幅に減少する。

「空っぽの森」は、野生動物の消失により生態系機能が段階的に失われる「森林の静かなる崩壊」として理解される。

大型哺乳類や鳥類の減少は、種子散布の途絶による“Living Dead”状態の樹木を生み、栄養循環の停止を通じて土壌肥沃度と生産力を低下させる。

さらに、動物散布型の大径・長寿命樹木が減少し、軽量かつ低炭素貯蔵型樹種が優占することで、同一面積あたりの炭素貯蔵量が減少し、気候変動緩和機能の劣化を招く。


ドールを追い詰めているような人間の活動は、同時に、森を支えている木々が「次の世代の種を増やす」流れも壊してしまいます。今はまだ森が残っているように見えても、数年後、数十年後には、大きな木が減り、草原のようになり、やがては砂漠のような景色になってしまうかもしれません。

今、「持続可能」という言葉があちこちで使われていますよね。本来なら、そんなことをわざわざ考えなくても、地球そのものが誤解を恐れずに言えば「大きな生命体」として、自分でバランスを保てていたはずです。

でも私たちは、その仕組みを少しずつ壊し、気候変動を進め、さらには地球の「濾過装置」である森を、ゆっくりと内側から蝕んでしまっています。

「でも、私は何もしてないよ?」と感じる方もいると思います。
けれど、スーパーで買う商品のラベルをよく見ると、日本で売られているものの多くが、どこか海外からの輸入に支えられています。その生産の裏側で、森林が破壊されているかもしれないのです。

その商品を売るために、貧困状態にある人たちが危険を冒し、家族の生活のため、生きるため、ときに誰かに命令されて違法な行為に手を染めている――そうした現実を前にして、私たちは本当に彼らだけを責められるでしょうか。
少なくとも私は、「ごめんなさい」としか言えないな、と思います。

だからこそ、小さな「連想ゲーム」から始めてみるのも一つだと思います。
スーパーで買ってきたものの表示を見て、「これはどこの国で、どんなふうに作られているんだろう?」と、気になったらネットで少し調べてみる。

そんな小さな興味の積み重ねが、『アイ・アム・レジェンド』のような誰もいない世界を、ちゃんとフィクションの中だけに閉じ込めておける未来につながる――私はそう信じています。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

ドールに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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