※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
こんにちは、鶏人|Keijin です。
今回は、アンデスジカ(学名:Hippocamelus bisulcus)と、奈良公園の鹿の数が「ほぼ同じだった」っていう話です。
2014年の図鑑では、アンデスジカは生き残っている集団が小さくて、しかもバラバラに分かれてしまっているってことで、「EN:危機」って評価されていました。
で、最新のIUCNレッドリストを見ても、個体数に大きな変化はなくて、評価もそのまま「EN:危機」のままなんですよね。
だからアンデスジカは今も、「散らばる命、つながれない森」…そんな状態なんだと思います。
この記事は短めで、5分くらいで読めます。
よかったら、このまま最後まで読んでみてください。
※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2015評価(2016年公開)です(以降の更新は、現時点では確認できていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Hippocamelus bisulcus)
世界1500頭、奈良1465頭|同じ数でも意味が違う
⬇︎アンデスジカの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 和名 | アンデスジカ(別名:フエムル/ウエムル とも呼ばれる) |
| 英名 | South Andean deer / Patagonian huemul |
| 学名 | Hippocamelus bisulcus |
| 分類 | 哺乳類・偶蹄目(鯨偶蹄目)・シカ科(Cervidae) |
| 分布 | 南米(チリ・アルゼンチン)のアンデス山脈南部〜パタゴニア地域。現在は生息地が分断され、小さな個体群が点在している。 |
| 主な生育地 | 山地の森林(ナンキョクブナ類の森など)〜森林と低木林の境界、岩場・斜面、冷涼な谷筋など。 |
| 大きさ | 体長はおよそ140〜175cm、肩高は約80〜90cmほど。 |
| 体重 | 成獣でおよそ70〜90kg(オスの方が大きめに扱われることが多い)。 |
| 寿命 | 10〜15年ほどとされ、最大で14年程度の記録が紹介されることもある。 |
特徴
- 名前の由来:属名 Hippocamelus は「馬(hippo)」と「ラクダ(camelus)」を組み合わせたような名前で、独特な体つき・走り方を連想させる命名とされる。種小名 bisulcus は「二つの溝(割れ目)」を意味し、蹄の形に関係した語として説明されることが多い。
- 見た目:ずんぐりした体型で、短めの脚が特徴。寒冷地に適応した、やや長めで密度のある毛をもつ。
- オスの特徴:オスには短く二又に分かれる角があり、毎年生え替わる。
- 希少性:個体数が少ないうえ、群れが小さく分断されているため、地域ごとに絶滅しやすいタイプの希少種になっている。
- 保全状況:IUCNでは EN(危機)として扱われる。
生態など
- 生育環境:森林の縁や低木が混じる斜面、岩場まじりの谷筋など、隠れ場所が多い場所を好むとされる。
- 食べもの:草、葉、若芽、低木の枝葉などを食べる草食性。
- ふえ方(繁殖):繁殖期は地域差があるが、南半球の秋〜初冬(例:2〜5月ごろ)に交尾が多いとされる。
- 妊娠・出産:妊娠期間は約7か月(240日前後という説明もある)で、基本は1頭を出産。出産は春〜初夏(例:11〜12月)に多いとされる。
- 脅威:生息地の分断(伐採・開発・放牧など)、密猟・違法捕獲、家畜との競合や感染症リスク、野犬による捕食、人為的な攪乱などが複合的に効いている。
- 保全:保護区の整備、調査・モニタリング、国境をまたぐ協力(チリとアルゼンチンの連携)、犬対策や放牧管理などの「現場で効く対策」が重要視されている。
出典
- Wikipedia(概説・分布と形態の要約)
- CMS(ボン条約)|South Andean Huemul(保全・条約上の位置づけ)
- Ultimate Ungulate(2024)Patagonian huemul (Hippocamelus bisulcus) Quick facts
- Cambridge Core / Oryx(2017)Predicting the potential distribution of the Endangered huemul deer
- PubMed Central(2023)A Protocol to Assess the Welfare of Patagonian Huemul in conservation centers
最終評価2015年:アンデスジカ「EN:危機」
生き残っている集団は小さくそして断片化されており、個体数は全体として1500頭に満たない。
出典:訳者 岩槻邦男、太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル『IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑』/ 発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / © Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014
| 観点 | 2014年時点(図鑑の記述ベース) | 2024〜2026年時点(近年の状況・変化) |
|---|---|---|
| 個体数(全体) | 全体で1,500頭に満たない状況 | 大きな増加は見られず、推定はおおむね成熟個体で約1,048〜1,500、総数でも2,000頭未満規模とされることが多い |
| 分布と内訳(チリ/アルゼンチン) | 南部パタゴニアに残るが、以前よりかなり狭い範囲に縮小 | チリ側が主要な生息地で、アルゼンチン側はより少数とされる(全体としてはチリ+アルゼンチンで1,500頭規模という見積もりが繰り返し示される) |
| 生息地の断片化(最大の脅威) | 生息地が点在して集団が孤立し、断片化が深刻 | 断片化は依然として最大級の課題で、孤立集団による遺伝的多様性の低下や疾病リスクの増大が懸念され続けている |
| 専門保護施設(救護・リハビリ) | 専用の救護・治療・リハビリ拠点は存在しなかった | 2025年10月、チリ・セロ・カスティージョ国立公園近傍に「世界初」のアンデスジカ救護・リハビリセンターが開設され、負傷・疾病個体の治療と野生復帰の体制が整備された |
| 回廊(コリドー)計画 | 生息地をつなぐ国家規模の回廊構想は限定的 | 断片化を緩和するため、保護区の連結や連続性確保を狙う「コリドー(回廊)」構想が公的機関との連携を含めて進められている |
| 新たな生息地・個体群の発見 | 生息地は縮小し、残存域の情報が中心 | 2025年、チリ南部ケープ・フロワード周辺(将来の国立公園予定地)で新たな小規模個体群(約10個体)が確認され、分布の見直しと保全の希望につながった |
出典
アンデスジカ(Hippocamelus bisulcus)は2014年時点と比べて個体数の顕著な回復が確認されず、推定個体数は現在も概ね1,500頭規模にとどまる。生息地はアンデス山脈沿いに点在し、集団の孤立化による遺伝的多様性の低下や疾病リスクが継続的に懸念される。一方で近年は、チリに世界初の救護・リハビリ施設が設立され、負傷個体の治療と野生復帰体制が整備されたほか、生息地連結を目的とする回廊形成の取り組みや新規個体群の発見も報告され、保全基盤の拡充が進みつつある。
⬇︎アンデスジカの保護活動の種類です。必要なら開いてください。
| 保護活動の種類 | 内容の概要 |
|---|---|
| 生息地の保護・復元 | 森林や谷筋の植生、越冬地・移動ルートなど、アンデスジカが生きるために必要な環境を守り、傷んだ場所は回復させる(保護林・国立公園の活用、劣化地の再生など) |
| 保護区の整備・回廊(コリドー)づくり | 小さく分断された群れが孤立しないように、複数の生息地をつなぐ「移動できる道(生態回廊)」を整え、地域全体で生き残れる形をつくる |
| 密猟・人為的な死亡の抑制 | 法的保護の徹底、監視や取り締まり、見回り体制の強化などで、不法捕獲や人の手による死亡リスクを減らす |
| 家畜・野犬の管理(疾病対策ふくむ) | 放牧家畜との競合、野犬による追い回し・襲撃、家畜由来の病気の持ち込みを抑えるため、放牧の調整、犬の管理、衛生・疾病監視などを進める |
| 外来種・競合種への対応 | 外来のシカ類などが餌や生息地を奪う可能性があるため、地域ごとの状況に応じて影響評価や管理を行い、アンデスジカが不利にならないようにする |
| 研究とモニタリング | 個体数の増減、分布、繁殖、死亡要因、移動ルートなどを継続的に調べ、対策が効いているか確認しながら保全計画をアップデートする |
| 国境をまたぐ協力(チリ・アルゼンチン連携) | 生息域が国境地帯にまたがるため、2国で情報共有・共同対策・行動計画づくりを進め、片方だけ頑張っても崩れない形を目指す |
| 救護・域外保全(保全センター等) | ケガや衰弱個体の救護、保全施設での飼育管理の改善、必要に応じた繁殖や健康管理などを検討し、絶滅リスクを下げる“保険”を持つ |
出典
- 国際枠組み(CMS)South Andean Huemul(Hippocamelus bisulcus)保全の覚書
- チリ環境省(SIMBIO)Huemul en los Nevados de Chillán(回復・管理計画の概要)
- チリ国家計画(PDF)Plan Nacional para la Conservación del Huemul(2008–2012)
- IUCN情報(PDF)IUCN 2008 Red List – Hippocamelus bisulcus(保全行動の記載あり)
- チリ法令(BCN Ley Chile)Nevados de Chillán地域のフエムル回復計画の承認(Decreto 4 / 2022)
最後に
読んでみて、どんなふうに感じましたか?
なんかさ、個体数そのものは増えてないっぽいけど、世界初のリハビリ施設ができたり、生息地をつなぐ回廊づくりが進んでたり、新しい個体群が見つかったって話もあって、この先はけっこう安定した方向に向かいそうだなって思いました。
それでふと、「日本のシカって今どうなってるんだろ?」って気になったんですよね。増えすぎて困ってる、みたいなニュースを見た記憶もあるし。せっかく同じシカつながりだし、今どんな感じなのか知りたいです。
同じシカつながり、了解です。
じゃあ日本のシカについても、ちょっと調べてみますね。
| 観点 | アンデスジカ(ゲマル/Patagonian Huemul) | 日本のシカ(ニホンジカ/エゾシカ) |
|---|---|---|
| 1. 数の桁が違う(1,500頭 vs 数百万頭) | 推定は成熟個体数で約1,048〜1,500頭。個体数傾向は減少とされています。 | 本州以南のニホンジカは推定中央値で約246万頭(令和4年度末)。北海道のエゾシカは約72万頭とされ、合計すると約300万頭規模です。目安として、アンデスジカ1頭に対し日本のシカは約2,000頭くらいの規模感になります。 |
| 2. 「どこにいるか」が真逆 | アンデス山脈沿いに点在し、集団が孤立しやすい。生息地の断片化が大きなリスクとして残っています。 | 分布域が拡大し続けていて、山だけでなく平野部や住宅地周辺でも見られる地域が増えています。積雪が少ない年ほど越冬しやすいことも知られています。 |
| 3. 日本で起きている「シカの脅威」 | (ここでは比較のため)主な心配は、断片化による小集団化、遺伝的多様性の低下、病気への弱さなど。 | 数が増えすぎた結果、下草の食害で更新不良や土壌流出など森林生態系への影響が問題化しています。農作物被害も大きく、令和5年度は全国の被害額164億円のうちシカが70億円と最も多い水準です。さらに車や列車との衝突も各地で深刻化しています。 |
| 4. なぜこんなに増えたのか? | 開発や人間活動の影響、生息地の分断、家畜由来の病気リスクなどが減少要因として挙げられています。 | 天敵(オオカミ)がいなくなったこと、ハンターの減少と高齢化、積雪が少ない年の越冬しやすさなど、いくつもの要因が重なって増加・拡大が進んだと整理されています。 |
| 5. 今、日本がやっていること | 保護・救護・回廊づくりなど、生き残りを支える方向に力が向きやすい。 | 日本は「保護」より「管理・捕獲・活用」の段階。指定管理鳥獣として捕獲を強化し、ICTなども含めて効率化を進めています。捕獲した個体はジビエ利用が進み、ペットフードとしての活用も制度面の情報整備が進んでいます。 |
出典
- IUCN Red List(Patagonian Huemul / Hippocamelus bisulcus)
- 環境省:ニホンジカ管理に係る制度(ICT等を用いた捕獲技術の高度化)
- 農林水産省:ペットフードへの利用等について(シカ肉のペットフード利用)
- 環境省:第二種特定鳥獣管理計画作成のためのガイドライン(ニホンジカ編)
- 環境省:全国のニホンジカ及びイノシシの個体数推定の結果について(資料PDF)
- 環境省:ニホンジカ・イノシシの半減目標について(エゾシカ約72万頭の記載あり)
- J-STAGE(哺乳類科学):シカの爆発的増加と個体群管理(暖冬・積雪減少が影響しうる旨)
- 農林水産省:全国の野生鳥獣による農作物被害状況について(令和5年度:総額164億円、シカ70億円)
- 環境省:全国のニホンジカ及びイノシシの個体数推定等の結果について(令和4年度末:ニホンジカ約246万頭)
コンビニのおにぎりって、1個あたりお米がだいたい1,500〜2,000粒くらい使われてるって言うじゃん? ってことは……おにぎり1個が日本のシカで、米1粒がアンデスジカってことになるよね。いや、ちょっと差がすごすぎて、笑えないレベルだね。
ていうか、申し訳ないんだけど。修学旅行で行った奈良のシカのことが急に気になってきて、夜寝れそうにないんで……ちょっと頼めますかね。
奈良公園のシカですね。
了解。ちょっと調べてみます。
| 観点 | 内容 | 数字・時期 |
|---|---|---|
| 驚きの数字(2025年夏の調査) | 奈良公園内のシカは1,465頭と確認され、前年より140頭増えた。1953年から同じ方法で続く調査の中で過去最多になった。 | 2025年7月15日・16日の調査で確認(総数1,465、前年差+140) |
| アンデスジカとの比較(数がほぼ同じ) | アンデスジカは世界で約1,500頭前後とされる一方、奈良のシカは公園だけで1,465頭。数だけ見るとほぼ同じ。 | 世界:約1,500頭前後/奈良公園:1,465頭 |
| でも状況は真逆(過疎と過密) | アンデスジカは広大な山脈に散らばって暮らしているのに対し、奈良のシカはあの公園エリアにまとまっているため、密度の差が大きい。 | 広域に分散(アンデス)/狭い公園に集中(奈良) |
| なぜ増えたのか? | 観光客が戻って鹿せんべいを食べる機会が増え、栄養状態が上がったことで出産が増えたと考えられている。2025年は子ジカが増えた。 | 子ジカ334頭(前年差+120) |
| 「絶滅の心配」とは別の問題 | 数は順調でも、別の理由で命を落とすケースが出ている。 | 近年の問題として報告が継続 |
| プラスチックごみの誤食 | 観光客のポイ捨てなどの袋類を食べてしまい、胃に大量のプラスチックが詰まる例がある。2025年2月には、妊娠していた雌鹿の胃から約2.9kgのプラスチックが見つかった。 | 2025年2月、第一胃から2.9kg(妊娠個体) |
| 叩く・蹴るなどのトラブル | 一部の観光客による暴力行為が問題となり、奈良県は奈良公園内での「奈良のシカへの加害行為」を禁止行為として明確化した。 | 2025年4月1日から禁止行為として運用 |
| 保護施設(鹿苑)の改善の動き | これまで農作物を荒らしたシカは鹿苑に終生収容されてきたが、収容個体が増えて過密になっていたことなどから、今後は原則「一時収容」にする方針が委員会で決定された。 | 2025年3月に方針決定(原則一時収容へ) |
出典
世界で約1,500頭しかいないアンデスジカと、奈良公園だけで1,465頭もいるシカって……調べてみたら、とんでもない数字が出てきましたね。
これ、たとえるなら……庭にバラ撒いちゃった米1,500粒と、容器の中にぎゅっと入ってる米1,465粒、みたいな感じじゃないですか。
こうやってイメージすると、アンデスジカの保護や保全がどれだけ大変か、めちゃくちゃ目に浮かびました。だって、庭に撒き散らかされた米1,500粒を拾うのも、見張るのも、正直かなり大変ですもんね。
うまいこと言いますね。こっちも調べてて「え〜!ほぼ同じやん!」って、思わず声出ました。
庭にバラ撒かれた米も大変だけど、奈良公園の鹿も鹿で。限られた場所で鹿せんべいがたくさんもらえるから、うっかり増えちゃった……ってことなんでしょうかね。
もうさ、まさに「都会っ子」と「田舎っ子」って感じで、世界って広いなぁって改めて思いました。
ま、どっちにしてもいつものことなんですけど。これも、どれも原因は、シカが暮らす場所に人間が入っていったことから始まったんでしょうけどね。
ここまで読んで、あなたは、どのように感じましたか?
コメントで意見を聞かせてもらえると、とても嬉しいです。
貴重な5分間を、本当にありがとうございました。
アンデスジカに、その5分が届くことを祈ります。
鶏人|Keijin




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