11年後のレッドリスト|コマサボテン:忘れられた時代に、根を張り続けて【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|コマサボテン:忘れられた時代に、根を張り続けて【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
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こんにちは、fukumomo3_photo です。

コマサボテン(Turbinicarpus alonsoi)は、

2014年、図鑑に【CR:深刻な危機】として分類されていました。

2013年、IUCNレッドリストで、【CR:深刻な危機】と評価されました。

つまり、2013年から、コマサボテンは

「忘れられた時代に、根を張り続けて」状態なのです。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるコマサボテンの最新評価は2013年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/40972/2948392

コマサボテンを守る道:保護活動と種子保存、そして気候変動

⬇︎コマサボテンの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|コマサボテン(Turbinicarpus alonsoi)
項目情報
和名コマサボテン
英名Alonso’s Pincushion Cactus
学名Turbinicarpus alonsoi
分類被子植物・サボテン科・ツルビニカルプス属
分布メキシコ中部(サンルイスポトシ州の限られた地域)
生息環境石灰岩質の岩場や乾燥地の割れ目に生育
形態直径3〜5cmほどの小型サボテンで、球状〜扁平球状
春に大きな赤紫色の花を咲かせる
IUCNレッドリスト【CR:深刻な危機】(2013年評価)

特徴

  • 極小サイズ:直径数センチの手のひらサイズで「ミニサボテン」として知られる。
  • 花の美しさ:株の大きさに比べて大きな赤紫色の花を咲かせるのが特徴。
  • 適応力:乾燥に強く、岩の隙間や浅い土壌でも生きられる。
  • 希少性:限られた地域にしか自生せず、園芸目的の採取で数が減少。

生態と行動

  • 生育環境:高地の乾燥地帯に分布し、石灰岩の割れ目に根を張って水分を確保。
  • 繁殖:種子による繁殖が主で、花粉を媒介する昆虫によって受粉する。
  • 成長:極めて成長が遅く、株が大きくなるまでに長い年月を要する。
  • 脅威:自生地での過剰採取、土地開発、牧畜による踏み荒らしで絶滅が懸念されている。

2014年絶滅危惧種:コマサボテン【CR:深刻な危機】

この小さくて魅的なサボテンは、メキシコのケレタロ州の 20平方キロメートル以下の範囲1か所で知られているだけで、現在生存している個体数は5000本くらいと見なされている。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

項目内容
2013年の評価IUCNレッドリストで【CR:深刻な危機】に分類。最大の脅威は違法採取(乱獲)。
情報が少ない理由①情報公開がもたらすリスク:正確な個体数や生息地を公開すると乱獲者に利用される恐れがあるため、意図的に非公開とされる場合がある。
情報が少ない理由②現地調査の困難さ:山岳地帯の自生地は広大かつアクセス困難で、資金・人員・安全の確保が難しいため、大規模調査は容易でない。
情報が少ない理由③脅威が変化していない認識:違法採取という根本的問題が解決されていないため、再調査よりもパトロールや自生地外保全にリソースを振り分ける傾向がある。
2013年以降の動向大規模な更新調査はなく、断片的情報のみ。
脅威の継続オンライン取引の拡大などにより採集圧は依然として高い。
保全の取り組み世界各地の植物園・研究機関で「自生地外保全(ex-situ conservation)」が行われ、種子保存や人工繁殖が進められている。

2013年以降、公に発表された大規模な調査は行われていない可能性が高い。

しかし、それは決して関心が失われたわけではない。

むしろ、状況の深刻さと脅威の性質から、情報管理がより慎重になり、保護活動の重点が直接的な個体数調査から、密猟対策や種の保存へとシフトしていると考えるのが妥当である。

⬇︎コマサボテンの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
自生地の保護メキシコ中部の限られた乾燥地にのみ分布するため、生息地の立入制限や保護区化が進められている
違法採取の防止観賞用に乱獲されるため、国内外での採取・販売を規制
国際的な取引規制ワシントン条約(CITES)附属書Ⅰに掲載され、国際取引を原則禁止
保護区の設定自生地を含む地域を自然保護区に指定し、開発や農業拡大を制限
市民・地域参加地元住民による監視活動やサボテン保護啓発を推進
研究とモニタリング個体数の推移や気候変動の影響を継続的に調査し、保全計画を立案
栽培と再導入植物園や研究施設での栽培、将来的な自生地への再導入を検討

主な取り組み

  • 自生地の保護:メキシコ中部の限定的な分布域を保護区化
  • 違法採取対策:観賞用サボテンの乱獲を防ぐ規制強化
  • 国際取引規制:CITES附属書Ⅰによる国際取引禁止
  • 保護区整備:農地拡大や開発を制限する自然保護区の設定
  • 地域参加型保全:住民による監視や啓発活動
  • 研究調査:個体数や環境変化をモニタリング
  • 栽培と再導入:植物園での栽培や将来的な再導入の試み

最後に

これを読んでみて、どのように感じましたか?

「なるほど!そんなこともあるんだね」

生息地の情報を公開しなければリスクは減りますからね。

「万が一の時のため、種などを冷凍保存やDNAを保管したりしてるのかな?」

私も気になりましたので、詳しく調べてみますね。


「種などを冷凍保存やDNAを保管」するという方法は、コマサボテンのような特定の種に限らず、世界中のあらゆる絶滅危惧種を守るための重要な科学技術として、体系的に進められている。

これは「自生地外保全(ex-situ conservation)」と呼ばれるアプローチの中核をなすもので、野生の生息地(自生地)が破壊されたり、個体数が激減したりした場合に備える。

方法保存対象・内容方法の概要目的課題・特徴
種子バンク(シードバンク)植物の種子種子を乾燥・密閉し、-20℃程度で冷凍保存数十〜数百年の長期保存が可能。将来の再導入に備える「遺伝子の貯蔵庫」すべての種子が保存可能ではなく、ドングリなど「難貯蔵性種子」には不適
クライオプリザベーション(超低温凍結保存)種子・花粉・芽・動物の精子・卵子・受精卵など液体窒素(-196℃)で瞬間凍結し、生命活動を停止半永久的な保存が可能。「冷凍動物園(Frozen Zoo)」構想の基盤技術的コストが高い。大規模適用には制約あり
DNA・遺伝子バンク(ジーンバンク)抽出したDNA組織(血液・皮膚・葉など)からDNAを抽出・冷凍保存将来の遺伝子研究や系統解析に活用。理論上はクローン再生も可能性ありクローン技術は未発達で、実用には多くの課題
生きたコレクション(植物園・動物園)生きた植物・動物個体飼育・栽培し繁殖させる遺伝資源保存・繁殖技術の開発・研究・教育・啓発維持コストが高いが、教育的効果や一般公開の価値が大きい
スヴァールバル世界種子貯蔵庫(特例)世界中の種子北極圏の永久凍土に建設された「植物版ノアの箱舟」世界中の種子バンクのバックアップ施設紛争や災害時にも遺伝資源を守れる設計。世界的象徴

これらの取り組みの中でも特に象徴的なのが、ノルウェーの北極圏にある「スヴァールバル世界種子貯蔵庫」だ。
出典:スヴァールバル世界種子貯蔵庫 公式サイト(The Svalbard Global Seed Vault)

ここは「植物版ノアの箱舟」とも呼ばれ、世界中の種子バンクのバックアップ施設として機能している。

紛争や自然災害などで各国の種子バンクが破壊されても、ここに預けてあれば遺伝資源が失われることはない。

しかしこれは、気候変動で北極圏の氷が溶けなければの話だ。

2017年に貯蔵庫は気候変動の影響を直接受ける事態が発生した。

記録的な高温と豪雨により、想定を上回る量の雪解け水が発生し、貯蔵庫の入り口にある導入トンネルの最前部まで水が浸入したのだ。

項目内容
発生した事象(2017年)記録的な高温と豪雨により雪解け水が発生。アクセス(導入)トンネルの最前部に浸水。ただし、種子保管室(ヴォルト)までは到達せず安全が確保された。
原因気候変動による永久凍土の融解と想定外の豪雨。設計当初の「永久凍土=天然の冷凍庫」という前提が揺らぎ始めた。
教訓永久凍土に依存するだけでは不十分であり、気候変動を前提にした追加の人工的対策が不可欠であることが明確に。
実施された改修工事防水・排水強化:防水仕様の新トンネル建設、山の外側に排水溝設置
熱源排除:トンネル内の変圧器などを別棟へ移設
冷却・バックアップ:排水ポンプ設置、冷却システムをアップグレード
現在の安全性– 多重防御:岩盤・防水トンネル・冷却システムによる三重の守り
– フェイルセーフ設計:海抜130mに位置し、全氷床融解後も海水は到達不可。冷却停止時でも永久凍土が種子を凍結状態に保持可能。
結論気候変動による脅威は現実化したが、それを契機により頑健な施設へと進化。今後も「最悪を想定した防御」が継続されている。

現在も気候変動と戦いながら、人類の貴重な遺伝資源を守るため、常に最悪の事態を想定した対策が続けられている。
出典:Arctic stronghold of world’s seeds flooded after permafrost melts (永久凍土の融解後、北極の世界の種子の拠点が浸水)


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

コマサボテンに、あなたの5分が届くことを祈ります。

fukumomo3_photo


インスタでは、コマサボテンたちの姿を“図鑑みたいに”並べて見られます。
ビジュアルで伝える命の物語、よかったらのぞいてみてください。

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