11年後のレッドリスト|タヒチヒタキ:黒い小鳥の祈りだけが、静寂の中で続いていた【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|タヒチヒタキ:黒い小鳥の祈りだけが、静寂の中で続いていた【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

タヒチヒタキ(Pomarea nigra)は、

2014年、図鑑に【CR:深刻な危機】として分類されていました。

2020年、IUCNレッドリストで、【CR:深刻な危機】と評価されました。

つまり、2014年から2020年にかけて、タヒチヒタキは

「黒い小鳥の祈りだけが、静寂の中で続いていた」状態なのです。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるタヒチヒタキの最新評価は2020年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/22707178/173465740

タヒチヒタキの危機が教えてくれる「人が壊し、人が支える生態系」

⬇︎タヒチヒタキの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|タヒチヒタキ(Tahiti Monarch)
項目情報
和名タヒチヒタキ
英名Tahiti Monarch
学名Pomarea nigra
分類鳥類・スズメ目・カササギヒタキ科(モナークヒタキ科)Monarchidae
分布フランス領ポリネシア・タヒチ島の固有種(世界中でタヒチ島にしかいない)
主な生息地タヒチ島のごく一部の谷(パエア周辺の4つ前後の谷)に残る森林の林冠〜低木層
体長約15cm(スズメより少し大きいくらい)
体重数十グラム程度の小型の鳥(正確な値は未報告)
寿命約8〜12年と考えられている

特徴

  • 体の色:成鳥は全身がつやのある黒色で、くちばしと足は淡い青色をしている。若鳥は赤茶色っぽい羽色。
  • 声:さえずりは「フルートのよう」と表現される澄んだ歌声で、警戒声は「チッ、チッ、チッ」という短い音。
  • 名前の由来:タヒチ島にだけ生き残っている“ヒタキ(フライキャッチャー)”の仲間であることから、英名では「Tahiti Monarch / Tahiti Flycatcher」と呼ばれる。
  • 食性:主に昆虫やクモなどの小さな無脊椎動物を食べる。枝や葉の裏から虫をついばむスタイルが中心。
  • レア度:野生の成鳥は25〜100羽ほどとされ、「CR:深刻な危機(Critically Endangered)」に分類されている。

生態と行動

  • 生息場所:タヒチ島の谷あいに残る森林で、特に「マラ」と呼ばれる在来樹(Neonauclea forsteri)が多い森の林冠〜下層を好む。標高80〜400mくらいのエリアに多い。
  • 行動:とても縄張り意識が強く、つがいごとに小さななわばりを守りながら暮らす。飛び方は比較的ゆっくりで、林内を直線的に移動する。
  • 食べ方:枝先や葉の裏側をゆっくり見て回り、見つけた昆虫を素早くついばむ「フライキャッチャー」らしい採食スタイル。あまり開けた場所には出てこない。
  • 繁殖:基本的に一夫一妻で、つがいで巣作り・抱卵・子育てを分担する。産卵は一年中見られるが、8〜1月ごろにピークがあり、枝分かれした部分にお椀型の巣を作る。
  • 個体数の推移:1990年代には30羽に満たないレベルまで減ったが、ネズミ駆除や外来鳥のコントロールなど集中的な保全活動により、近年は100羽前後まで回復しつつあると報告されている。
  • 主な脅威:黒ネズミやノネコによる卵・ヒナの捕食、マイマイインコやインドハッカなど外来鳥との競合、ミコニア(Miconia calvescens)など外来植物による森の劣化、ヤギによる植生破壊など。

2014年絶滅危惧種:タヒチヒタキ【CR:深刻な危機】

タヒチ島の西海岸のみに生息するこのヒタキの1種は50羽を下回り、2009年に数えられたのはわずか23羽だった。理由は完全に明らかではないが、20世紀を通してこの種は希少だった。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

◆減少の理由(特定された主な原因)

減少要因内容
クマネズミ(Black Rat)による捕食最大の原因。木登りが得意なクマネズミが巣を襲い、卵や雛を捕食していた。
外来鳥類による攻撃インドハッカ、シリアカヒヨドリが縄張りを侵略し、成鳥への攻撃・巣の破壊を行った。
外来植物(ミコニア)による環境変化Miconia calvescens が森林を覆い、タヒチヒタキが営巣に適した本来の植生を失わせた。
リトル・ファイアー・アント(電気アリ)巣内に侵入し、雛の死亡・親鳥の放棄を引き起こす被害が確認されている。

◆最新の個体数と回復状況(2024年時点の視点)

年代状況
2009年約23羽。歴史的な最低値で、ほぼ絶滅寸前の状態。
現在(2020年代初頭)成鳥だけで100羽以上。若鳥を含めるとさらに多い。IUCN評価は依然CR(深刻な危機)ながら、増加トレンドへ。

◆奇跡的な回復を支えた保護活動

保護活動内容
徹底的なネズミ駆除繁殖期前に罠・毒餌を設置し、生息地の谷からクマネズミを排除。
木のバンディング(幹の金属巻き)幹に金属板を巻き、ネズミが木登りできないようにして営巣を保護。
外来鳥の排除インドハッカなど攻撃的外来鳥類を生息域から駆除し、成鳥と巣を保護。

タヒチヒタキの個体数減少は、クマネズミによる捕食、外来鳥類の攻撃、外来植物ミコニアによる植生改変、さらにリトル・ファイアー・アントの侵入といった複合的外来種圧によって引き起こされた。

2009年に約23羽まで低下したが、ネズミ駆除や外来鳥排除、営巣木のバンディングなどの集中的保全措置により、現在は100羽以上へ回復傾向を示している。

⬇︎タヒチヒタキの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
生息地の保護タヒチ島西部の谷に残る在来林を優先的に保護し、伐採・開発・放牧などによる生息地劣化を抑える保全計画が進められている。
外来捕食者対策(ネズミ・ネコ)巣やなわばり周辺に毒餌ステーションやトラップを設置し、卵やヒナを捕食するクロネズミやノネコなどの捕食圧を下げる取り組みが継続している。
外来鳥類の管理ヒナやエサ場を奪う外来鳥(インドハッカ、シリアカヒヨドリなど)を捕獲・管理し、タヒチヒタキの繁殖成功率を高める対策が行われている。
侵略的外来植物の除去と森林再生ミコニアや外来樹木が優占した場所で除去作業やネイティブ樹種の植栽を行い、タヒチヒタキが利用できる在来林の回復を目指している。
保護区・管理区域の設定主要な生息谷を「重要生息地」として位置づけ、捕食者防除や植生管理を集中して行う管理区域(コアエリア)として整備している。
飼育下繁殖・保険個体群の検討極端に少ない個体数を補うため、将来的な飼育下繁殖や保険個体群の構築が選択肢として検討されており、国際的な連携のもと準備が進められている。
市民・地域参加地元団体やボランティアが植林、外来植物の除去、環境教育イベントなどに参加し、タヒチヒタキとその森を守る取り組みを地域ぐるみで支えている。
研究とモニタリング巣の追跡調査、個体数カウント、繁殖成功率の記録など長期モニタリングを通じて、捕食者防除や植生管理の効果を評価しつつ保全戦略を見直している。

最後に

「調査では『ネズミと外来鳥が原因』って書いてあるけれど、そもそもネズミがそんなに増えたのにも理由があるはずだよね。外来の鳥だって、誰かが持ち込んだのかなって思うし……そのあたりがちょっとモヤモヤするんだよね。」

まさに、そこなんですよね。

ネズミが増えた背景や、外来鳥が入り込んできた経緯には、もっと根っこの原因があるはずです。

そのあたりも含めて、もう少し掘り下げて調べてみますね。


1. ネズミがなぜ「爆発的」に増えたのか?

項目内容
上陸のきっかけ18〜19世紀、ヨーロッパからの探検船や貿易船に紛れ込んでクマネズミが上陸した(事故的要素が強い)。
ミコニア導入のきっかけ1937年、ある植物学者が「観賞用」としてミコニア(オオバノボタン)をタヒチの植物園に持ち込んだ。
ミコニアの性質「緑のがん」と呼ばれるほど繁殖力が強く、タヒチの森の約70%を覆い尽くしてしまった。
ネズミとの関係ミコニアの大きく密集した葉が、ネズミにとって天敵(猛禽類など)から身を隠す最高のトンネルとなり、安全に森中を移動できる「高速道路」をつくった。
タヒチヒタキへの影響ミコニアがタヒチヒタキが好む本来の樹木を枯らし、ヒタキは住処を追われ、ネズミは安全地帯を得るという最悪の環境変化が生じた。

2. 外来鳥はなぜ「そこにいる」のか?

種名持ち込まれた理由結果
インドハッカ(Common Myna)農業(ココナッツやサトウキビなど)の害虫であるハチやコガネムシを退治する「害虫駆除」のため、20世紀初頭に人間が意図的に導入した。害虫だけでなく在来の鳥を攻撃し、卵を食べ、さらには農作物そのものにも被害を与えるようになり、人間にとっての「害鳥」にもなった。
シリアカヒヨドリ(Red-vented Bulbul)害虫駆除の目的、あるいは美しい鳴き声を楽しむためのペットとして持ち込まれ、カゴ抜けして野生化したと考えられている。在来種との競合や巣への影響など、タヒチヒタキを含む在来鳥類に圧力をかける要因となっている。

タヒチにおけるクマネズミの爆発的増加は、18〜19世紀の船舶に伴う侵入に加え、1937年に導入された外来植物ミコニアが密な植生を形成し、捕食者からの隠れ場と移動経路を提供したことが主要因と考えられる。

またインドハッカとシリアカヒヨドリは、害虫駆除や愛玩目的で人為的に導入され、その後野生化して在来鳥類への競合・捕食圧を高めている。


「やっぱり人が原因でしたね。爆発的にある種が増えるときって、たいていその裏には人間の“いたずら”(善意も含めて)がある気がします。」

本当に、その通りだと思います。

善意も悪意も、そして経済活動もひっくるめて、いま起きていることは人間が招いた結果なんですよね。

私も、昔ニワトリを飼っていたとき、卵をヘビに食べられて腹が立ち、鶏小屋だけでなく、母屋から畑まで徹底的にヘビを駆除したことがありました。

その結果どうなったかというと――数年後、今度はネズミが家じゅうに増えてしまったんです。母屋が倒れそうなくらい天井裏や廊下を走り回るようになって、本当に後悔しました。

そこで私は、山から前にいたのと同じ種類のヘビを連れてきて、また住んでもらうことにしました。すると数年たつうちにネズミの数が減っていき、小さな小さな我が家の生態系も、だんだん落ち着いてきたんです。

この経験から、私は「浅はかな人間の“いたずら”や、善意のつもりの行為であっても、生物多様性のバランスを崩すようなことはしてはいけない」と強く思うようになりました。

一度人間が手を入れて壊してしまった生態系は、必ず元に戻るとは言えませんが、やり方次第ではゆっくりと回復していくこともある――それも、私の小さな小さな暮らしの中で実感したことです。

人類って、マッチで火をつけて、火事になってからやっと気づく「マッチポンプ」みたいなことを繰り返してしまう、知恵だけ発達した子どものようにも思えます。

だからこそ、マッチを擦る前に一度立ち止まり、「この火をつけたらどうなるのか」と考えられる、大人の知識と想像力を持ちたい――そうやって、いつも自分自身に言い聞かせています。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

タヒチヒタキに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

コメント