11年後のレッドリスト|カイザーツエイモリ:絶望の谷から、小さな希望の灯へと渡った【IUCNレッドリスト比較】

カイザーツエイモリ 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

カイザーツエイモリ(Neurergus kaiseri)は、

2014年、図鑑に【CR:深刻な危機】として分類されていました。

2016年、IUCNレッドリストで【VU:危急】と評価されました。

つまり、2014年から2016年にかけて、

カイザーツエイモリは「絶望の谷から、小さな希望の灯へと渡った」状態になりました。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるカイザーツエイモリの最新評価は2016年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでくれると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/59450/49436271

カイザーツエイモリの評価変更と動物園への賛否

⬇︎カイザーツエイモリの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|カイザーツエイモリ(Kaiser’s Spotted Newt)
項目情報
和名カイザーツエイモリ
英名Kaiser’s Spotted Newt / Luristan Newt
学名Neurergus kaiseri
分類両生綱・有尾目(イモリ科)
分布イラン西部ロレスターン州の山岳地帯(固有種)
主な生息地山岳地帯の清流、渓谷の泉や小川
体長約10〜14cm
体重数十g程度
寿命約10〜15年(飼育下では20年近く生きる例も)

特徴

  • 名前の由来:発見者であるカイザー博士の名にちなむ。英名「Luristan Newt」は生息地ルリスターン地方から。
  • 外見:黒地に白斑点と赤橙色の模様をもち、非常に美しい体色で「世界一美しいイモリ」とも呼ばれる。
  • 食性:水中では小型の昆虫、水生無脊椎動物、ミミズなどを捕食する肉食性。
  • 適応性:乾季には水場が干上がるため、岩陰や湿った土壌で休眠することもある。

生態と行動

  • 生活史:春の雨季に水場へ現れ繁殖。乾季には水辺から離れて過ごす。
  • 繁殖:メスは水草や石の隙間に卵を産みつけ、オスは鮮やかな体色でメスにアピールする。
  • 幼生期:オタマジャクシ状の幼生は外鰓をもち、水中で成長。数か月後に変態し上陸する。
  • 行動:夜行性で、日中は岩陰や倒木の下に隠れていることが多い。

保全状況

  • IUCNレッドリスト:CR(深刻な危機, Critically Endangered)
  • 主な脅威
    • 生息地の破壊(水資源利用、農業開発)
    • ペット取引目的の乱獲(違法採取が深刻)
    • 限られた分布域ゆえに気候変動に極端に脆弱
  • 保護活動
    • 国際取引を制限(ワシントン条約附属書Iに掲載)
    • イラン国内での保護区指定
    • 欧米の動物園・研究機関で飼育下繁殖プログラム(EEP)実施

2014年絶滅危惧種:カイザーツエイモリ【CR:深刻な危機】

カイザーツエイモリの成体は1000個体にも満たないと推測される。現在もっとも深刻な懸念は、ペットとしての国際商取引に向けた野生個体の収集活動の増加である。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

要因内容の要約
新たな生息地と個体群の発見以前は生息地が10km²未満・成体数1,000匹未満と考えられていたが、2014年以降の調査で複数の新生息地が発見され、個体数は少なくとも9,000匹以上、最大で40,000匹規模と推定されるようになった。
生息範囲の評価見直し生息範囲(Area of Occupancy)が従来の推定を大幅に上回ることが判明し、CR基準(極端に狭い範囲)から外れたため、VUの基準に該当することになった。
保全活動の進展イラン国内での法的保護強化、2010年のCITES附属書I掲載による国際取引禁止、動物園や研究機関での飼育下繁殖プログラムの確立により、乱獲圧が大幅に減少した。

出典:Animalia.bio

調べると「絶滅の危機から脱した」というよりも、「当初の評価が、情報不足により過度に深刻なものだった」という側面が強い。

つまり、IUCNの評価変更は「Non-genuine status change(非本来的な状況変化)」に分類されるもので、実際の絶滅リスクが劇的に改善したわけではなく、より正確な情報が得られた結果、評価が見直された、と理解する。

種類定義主な理由具体例
Non-genuine status change(非本来的な状況変化)実際の絶滅リスクは変わっていないのに、評価カテゴリーだけが変化する– 新しい情報の入手(未知の生息地・個体群の発見、推定個体数の修正)
– 分類の変更(1種が2種に分割/複数種が1種に統合)
– 評価基準・知識の変更(基準改訂、過去データの誤り修正)
カイザーツエイモリ:CR → VU へ変更(実際に回復したのではなく、新しい生息地発見と個体数再評価による修正)
Genuine status change(本来的な状況変化)実際に絶滅リスクが良化または悪化したため、評価カテゴリーが変化する– 良化:保護活動の成功、密猟抑制、生息地保護による個体数回復
– 悪化:新たな病気の発生、生息地破壊の進行、気候変動の影響
良化例:保護区拡大により個体数増加
悪化例:森林伐採により生息地が急減

ポイント

  • 非本来的な変化 → 我々の「知識や分類の変化」による“見かけ上”の変化。
  • 本来的な変化 → 生物の「実際の状況」が改善または悪化した“現実の変化”。
  • レッドリスト指数(Red List Index)の算出には、本来的な変化のみ反映され、非本来的な変化は除外される。

もちろん、ペット取引の規制などの保全活動が将来的なリスクを低減させたことも事実だが、【VU:危急】であることに変わりはなく、依然として生息地の破壊や気候変動、密猟などの脅威にさらされている貴重な種であることに変わりない。

⬇︎カイザーツエイモリの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
生息地の保護イラン西部の山岳地帯にある渓流や池を保護し、農業開発やダム建設から守る
国際的な取引規制ワシントン条約(CITES)附属書Ⅰに掲載され、国際取引が厳しく制限されている
飼育下繁殖プログラム欧州・北米などの動物園や研究機関で繁殖に成功し、野生個体の採集圧を減らす
法的保護イラン国内で保護種に指定され、採取や販売が禁止されている
市民・地域参加現地住民に対する環境教育や啓発活動を通じ、乱獲の抑止や保全意識の向上を図る
研究とモニタリング個体数調査や遺伝的多様性の研究、野生個体群の分布把握を継続的に実施

主な取り組み

  • 生息地保全:イランの限定的な生息域を自然保護区として守る
  • 国際保護条約:CITES附属書Ⅰにより取引を禁止
  • 飼育下繁殖:動物園や研究施設で繁殖し野生採取を減少
  • 法的保護:国内法で採集・販売を規制
  • 地域啓発:住民教育や啓発活動で保全意識を強化
  • 科学研究:分布調査・遺伝研究・個体群モニタリングを継続

最後に

これを読んでみて、どのように感じましたか?

「へ〜増やせるならいいじゃん」

と、自然界のバランスは無視?

「需要と供給って問題じゃないと思う…」

と、根本的な問題に目を向けますか?

感じ方は、さまざまあると思います。

『動物園や研究機関での飼育下繁殖プログラムの確立により、乱獲圧が大幅に減少した。』とあるが、

動物園などで行われる「種の保存(生息域外保全)」を含む動物の飼育に対して、

そのあり方を批判したり、根本的に反対したりする団体は国内外に存在することも知っておきたい。

区分内容
主な団体PETA(国際的動物権利団体。動物園・水族館に強い批判)
アニマルライツセンター(日本の認定NPO。「動物の権利」に基づき問題点を指摘)
動物解放団体リブ(日本のNPO。「動物を監禁・搾取する施設」として廃止を訴える)
動物福祉の観点– 狭い空間でのストレス(特に大型動物)
– 常同行動(同じ動きを繰り返すなど)=精神的異常の証拠とされる
動物の権利・倫理– 人間に動物を娯楽・教育のために監禁する権利はない
– 搾取・尊厳の侵害(自由や家族と生きる権利を奪う)
「種の保存」への批判– 野生復帰は困難で、口実にすぎないとの主張
– 人気動物に偏った繁殖(パンダなど)、地味な絶滅危惧種は無視されがち
– 近親交配による遺伝的疾患の問題(例:ホワイトタイガー)
教育効果への疑問– 不自然な姿を見せることで誤った理解を与える
– 本来の生態や自然の素晴らしさを伝えられない

このように、動物園に反対する団体は、単に「動物がかわいそう」という感情論だけでなく、動物福祉、倫理、そして動物園が掲げる理念(種の保存や教育)の実効性といった多角的な視点からその存在意義に疑問を投げかけている。

一方で、多くの動物園もこうした批判を認識し、飼育環境を野生の生息地に近づける「環境エンリッチメント」に取り組んだり、希少種の繁殖や研究において重要な役割を果たしたりしているのも事実だ。

だけど「わたし」はこのように考える。

動物園のあり方については、単純な『善と悪』で割り切れるものではなく、社会全体で議論をして、「みてみぬふり」をしないで「知ること」を恐れなければ、檻が扉へと変わり、未来がひらかれていく。

ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な命である5分間を本当にありがとうございました。

カイザーツエイモリに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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