※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
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こんにちは、fukumomo3_photo です。
サルデーニャカマキリ(Ameles andreae)は、
2014年、図鑑に【VU:危急】として分類されていました。
2020年、IUCNレッドリストで、【NT:準絶滅危惧】と評価されました。
つまり、2014年から2020年にかけて、サルデーニャカマキリは
「時の流れが、滅びの色を少しだけ薄めた」状態になりました。
※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるサルデーニャカマキリの最新評価は2020年版です。それ以降の更新は行われていません。
この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/148872355/148872539
未だオスが見つからぬ――単為生殖に進化した小さなハンター
⬇︎サルデーニャカマキリの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 和名 | サルデーニャカマキリ |
| 英名 | Galvagni Dwarf Mantis |
| 学名 | Ameles andreae |
| 分類 | 昆虫類・カマキリ目・カマキリ科(Mantis) |
| 分布 | イタリア(サルデーニャ島、シチリア島)、スペイン南部、北アフリカの一部 |
| 主な生息地 | 乾燥した草原地帯、低木林、石灰岩質の丘陵地 |
| 体長 | メス:約25〜30mm、オス:約20〜25mm |
| 体重 | 約1g前後(推定) |
| 寿命 | 約1年(卵 → 成虫までの一世代サイクル) |
| IUCN評価(2020年) | 【NT:準絶滅危惧(Near Threatened)】 |
特徴
- 名前の由来:地中海の島・サルデーニャで発見されたことからこの名がついた。
- 外見:淡いベージュやオリーブ色の体で、乾いた草原に擬態する。メスは翅が短く、オスは完全な飛翔翅を持つ。
- 小型種:ヨーロッパに分布するカマキリ類の中でも最も小さい部類に属する。
- 擬態能力:枯れ草や小枝のような姿勢をとり、風に揺れる植物の一部に見えるように擬態する。
- 捕食スタイル:待ち伏せ型の捕食者で、小型昆虫やクモなどをすばやく捕らえる。
生態と行動
- 活動期:主に春〜秋に活動し、気温の下がる冬には卵鞘(うんしょう)の状態で越冬する。
- 繁殖:交尾後、メスは小枝や岩の表面に卵鞘を産みつけ、翌春に幼虫が孵化する。
- 生活環境:地中海性の乾燥した草地や低木林に多く見られ、日当たりの良い斜面を好む。
- 脅威:農地開発や都市化による生息地の分断、農薬の使用によって減少。
- 保全状況:一部地域で保護対象とされ、自然保護区内でのモニタリングが進められている。
2014年絶滅危惧種:サルデーニャカマキリ【NT:準絶滅危惧】
この小さなカマキリは数頭のメス成体が見つかったのみで、オスは見つかっていない。
出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014
2025年現在、サルデーニャカマキリの研究は、特にDNA解析技術の進歩により、分類学的な面で大きな進展を見せている。
| 項目 | 2014年時点の状況 | 2025年現在の状況 |
|---|---|---|
| 学名(分類) | Pseudoyersinia andreae として記載 | 分子系統解析により Ameles andreae に変更(2024年) |
| 属の位置づけ | Pseudoyersinia 属に分類 | Ameles 属に再分類(DNA解析による結論) |
| 近縁種との関係 | Ameles insularis は別種とされていた | Ameles andreae と同一種と判明(シノニムとして整理) |
| 分布の理解 | サルデーニャ島の一部地域で記録 | DNA分析により分布範囲と形態の多様性が再評価 |
| オスの発見状況 | 未発見 | 現在も未発見のまま(学術報告なし) |
| 繁殖方法 | 不明(単為生殖の可能性あり) | 単為生殖の可能性が極めて高いと考えられる |
| 研究の焦点 | 生態・分布の調査中心 | 分類学的再検討と遺伝子解析が主軸 |
| 主な技術的進展 | 形態観察中心 | DNA解析・分子系統解析による分類再構築 |
| 残された課題 | オスの存在確認、生態不明 | 繁殖様式の確定・生態観察・飼育下研究の必要性 |
しかし、その分類学的な正体が明らかになりつつある一方で、なぜオスが存在しないのか、どのようにして単為生殖という繁殖戦略をとるようになったのかなど、生態面では多くの謎を残したままである。
⬇︎サルデーニャカマキリの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎
| 保護活動の種類 | 内容の概要 |
|---|---|
| 生息地の保全 | サルデーニャ島・コルシカ島などの乾燥草原や低木地を保護し、農地化・都市開発による生息地消失を防止 |
| 農業管理と緩衝地帯の設置 | 農薬・除草剤の使用を制限し、在来昆虫の生息を支える自然緩衝地帯を整備 |
| 保護区の設定 | 地中海沿岸の一部地域(特にサルデーニャ南部)で、重要昆虫相を守る自然保護区を指定 |
| 研究とモニタリング | 季節ごとの発生数や繁殖行動を観察し、気候変動の影響を継続的に調査 |
| 外来種・植生管理 | 外来植物による生息地の被覆拡大を抑制し、在来草本植物を保全 |
| 市民・地域参加 | 地元学校や博物館が中心となって、在来昆虫の観察会や教育プログラムを実施 |
| 政策・保全連携 | EU生物多様性戦略(Natura 2000ネットワーク)に基づく地域間協働による保全 |
主な取り組み
- 草原保全:農地開発や観光開発を抑制し、自然草原を維持
- 農薬削減:昆虫類保護のため、持続可能な農業(エコ農法)を推進
- 保護区指定:サルデーニャ島南部における生息地を保全区域として登録
- モニタリング調査:発生数の推移や生息地変化を毎年記録
- 外来植物除去:在来植生を保つため、侵略的外来種の管理を実施
- 環境教育:地元住民・学生向けに昆虫多様性の重要性を普及
- EU連携:Natura 2000や地域行政と協力して、長期的な生息環境保全を継続
最後に
これを読んでみて、どのように感じましたか?
「え〜!まだオスが見つかってないの?」
単為生殖の可能性が高いとされているみたいですね。
さらに詳しく調べてみます。
2025年もなお、オスが未発見というのは驚きである。
専門家の間でも、このサルデーニャカマキリは非常にミステリアスな存在として注目されている。
| 区分 | 仮説 | 内容・説明 | 可能性 |
|---|---|---|---|
| 最有力説 | 完全な単為生殖(絶対的単為生殖) | メスのみで繁殖が可能。受精を必要とせず、すべての子がメスとして誕生する。オスは進化の過程で淘汰・消滅した可能性。繁殖上のコスト削減という進化的合理性がある。 | ★★★★★(最も有力) |
| 補助的仮説① | オスが極端に少ない | オスが存在するが、個体数が非常に少なく、観察に至っていない。 | ★★☆☆☆ |
| 補助的仮説② | 寿命が極端に短い | オスが成虫になってすぐ交尾し、短期間で死亡するため、研究者に発見されにくい。 | ★★☆☆☆ |
| 補助的仮説③ | 外見が全く異なる | オスがメスとは別の姿(小型・翅の形・体色など)をしており、別種として誤認されている可能性。 | ★★☆☆☆ |
| 補助的仮説④ | 活動時期・環境が異なる | メスとは異なる季節・時間帯・生息場所で活動するため、調査の対象から漏れている。 | ★☆☆☆☆ |
しかし、長年の調査にもかかわらず、一度もオスが採集されていないという事実を考えると、やはり「そもそもオスが存在しない」という最初の説が最も説得力がある。
| 種(グループ) | 単為生殖の特徴・仕組み | 補足・生態的意味 |
|---|---|---|
| アブラムシ | 春〜夏はメスが単為生殖でメスの子を大量に増やす。秋になるとオスが出現し有性生殖を行う。 | 季節に応じて繁殖方法を切り替える「二段構え」。短期間で個体数を爆発的に増やし、環境変化にも対応できる。 |
| ナナフシ | 多くの種でメスだけが存在し、単為生殖で世代をつなぐ。オスが発見されるとニュースになることも。 | メスのみでも繁殖が可能なため、孤立した環境でも種が存続できる。進化的に「持続性」の高い戦略。 |
| ハチの仲間(ミツバチ・ハバチ・アリなど) | 未受精卵からオス、受精卵からメスが生まれる「半単為生殖(ハプロディプロイド)」を採用。 | コロニーの繁殖システムに単為生殖を組み込み、役割分化(女王・働きバチ・雄バチ)を効率化。 |
| アザミウマ | 一部の種でメスが単為生殖により繁殖。 | 環境が不安定な場所でもすばやく個体群を拡大できる。 |
| カイガラムシ | 種によって単為生殖・有性生殖を使い分ける。 | 宿主植物が限られるため、効率的な増殖戦略として単為生殖を利用。 |
| (参考)サルデーニャカマキリ | オスが未発見。メスのみで繁殖していると考えられる。 | 単為生殖が進化の過程で定着した可能性が高い。生態的な詳細は今後の研究課題。 |
このように、「オスを探す手間やリスクを省き、確実に子孫を残す」「良い環境下で一気に数を増やす」といった目的で、単為生殖は非常に有効な戦略である。
| 項目 | 内容・説明 | 補足 |
|---|---|---|
| 分類 | 昆虫綱 カマキリ目(Mantodea) | 約2,400種が知られ、温暖地域を中心に世界中に分布。 |
| 主な特徴 | 鎌状の前脚をもつ肉食性昆虫 | 「祈る姿」に見える前脚の形から英名は “Praying Mantis”。 |
| 優れたハンター | 大きな複眼と回転可能な首で動きを感知し、瞬時に前脚で捕獲。 | 獲物は昆虫、小型のカエルやトカゲなど多岐にわたる。 |
| 待ち伏せ型の捕食者 | 草木に擬態して静止し、獲物が近づくのを待つ。 | 葉や枝に似た体色・形態を持つ種が多い。 |
| 共食い(カニバリズム) | 動くものを獲物とみなし、仲間を食べることもある。 | 特に交尾後、メスがオスを捕食する行動が知られる(栄養補給説)。 |
| 繁殖行動 | 交尾後に卵を泡状の卵嚢(卵鞘)にまとめて産む。 | 数百個の卵が入ることもある。 |
| 変態のタイプ | 不完全変態(卵→幼虫→成虫) | サナギの段階を経ず、幼虫は小さな成虫のような姿。 |
| 寿命 | 約1年(卵で越冬し翌年羽化) | 一部の熱帯種はより長生きする。 |
| 生態的役割 | 食物連鎖の中間捕食者として生態系を維持 | 害虫駆除にも貢献する一方、他の昆虫も捕食。 |
なぜ、この種が「単為生殖という戦略を選んだのか」という進化の背景を直接的に解明した研究はまだない。
したがって、「現象は確認されているが、その理由はまだ解明されていない」というのが、科学的に最も正確な現状である。
人類は宇宙の成り立ちを解き明かし、遺伝子を操作する技術まで手にしました。
しかし、足元にいる小さな昆虫一匹の生態ですら、完全には理解できていないのです。
その事実は、わたしたちに自然に対する畏敬の念と、謙虚さが必要であることを教えてくれているように感じます。
ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?
コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。
あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。
サルデーニャカマキリに、あなたの5分が届くことを祈ります。
fukumomo3_photo
インスタでは、サルデーニャカマキリたちの姿を“図鑑みたいに”並べて見られます。
ビジュアルで伝える命の物語、よかったらのぞいてみてください。



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