※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
Hi there, it’s 鶏人|Keijin.
Back in the 2014 field guide, the Galvagni Dwarf Mantis (Ameles andreae) was listed as “VU: Vulnerable.” At the time, only a handful of adult females had ever been spotted, and they were restricted to just three isolated locations on the island of Sardinia. On top of that, their habitat was rapidly disappearing due to land clearing and conversion into pastures.
Fast forward to 2026, and the current IUCN Red List shows its status was updated to “NT: Near Threatened” back in 2019. The reason? A population over on Majorca, originally thought to be a completely different species, was reclassified as the same one, which expanded their known range. But make no mistake—the size and quality of their habitat keep shrinking. They’re hovering dangerously close to the endangered threshold, hence the “NT” rating.
Recently, the IUCN has made formal assessments and taxonomic reviews. It’s now clear that besides protecting known habitats, we desperately need to resurvey Sardinia and Majorca, figure out their population sizes and breeding habits, and run genetic tests to see if the populations on these two islands are actually the exact same species. That being said, there are still no large-scale conservation projects dedicated to this mantis, nor are there any reports showing their numbers are bouncing back.
The way I see it, this mantis is in a situation where its threat level was downgraded on paper, but the actual danger hasn’t faded one bit.
I’ve tucked the nitty-gritty details into the collapsible sections below. But honestly, I’d just be thrilled if you read through this main text to the very end.
こんにちは、鶏人|Keijinです。
サルデーニャカマキリ(Ameles andreae)は、2014年の図鑑では、確認されていたのが数頭のメス成体だけで、生息地もサルデーニャ島の独立した3地点に限られていたこと、さらに土地の開墾や牧場への転換によって生息環境が失われていたことなどから「VU:危急」と評価されていました。
そして、2026年時点で確認できるIUCNレッドリストの評価は、マヨルカ島で別種とされていた個体群が同種に含められ、想定される分布範囲が広がった一方、生息地の面積や質の低下が続き、絶滅危惧種の基準に近い状態と判断されたことから「NT:準絶滅危惧」と評価の変更が2019年にありました。
近年は、IUCNによる正式な評価や分類学的な再検討が進み、既知の生息地を守ることに加え、サルデーニャ島とマヨルカ島での再調査、個体数や繁殖生態の把握、両島の個体群が本当に同じ種なのかを確かめる遺伝研究の必要性が整理されています。ただし、本種を対象とした大規模な保護事業や、個体数が回復したことを示す報告は確認されていません。
サルデーニャカマキリは今も、「評価は下がり、危機は消えていない」という状態なのだと思います。
少し詳しい内容は折りたたみの中にまとめています。
まずは本文だけでも、最後まで読んでもらえたらうれしいです。
※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2019年評価(2020年公開)です(以降の更新は、現時点では確認できていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Ameles andreae)
サルデーニャカマキリの現在|2014年のVUから2026年のNTへ
⬇︎サルデーニャカマキリの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

Galvagni Dwarf Mantis は、サルデーニャ島とマヨルカ島で確認される地中海性の小型カマキリです。1976年に Pseudoyersinia andreae として記載されましたが、2018年の分類研究により Ameles 属へ移され、マヨルカ島産の Ameles insularis も同物異名とされました。現在、GBIF・Catalogue of Life・Iberfaunaでは Ameles andreae が受容名です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 和名 | サルデーニャカマキリ |
| 和名の位置づけ | 日本語圏で用いられる名称。公的に統一された標準和名は確認されていない |
| 英名 | Galvagni Dwarf Mantis |
| 英名の意味 | 「ガルヴァーニの小型カマキリ」という意味 |
| イタリア語名 | Mantide nana di Galvagni |
| 学名 | Ameles andreae |
| 学名表記 | Ameles andreae (Galvagni, 1976) |
| 原記載名 | Pseudoyersinia andreae Galvagni, 1976 |
| 命名者 | Antonio Galvagni |
| 記載年 | 1976年 |
| 原記載論文 | La Pseudoyersinia andreae nuova specie scoperta in Sardegna |
| タイプ産地 | イタリア・サルデーニャ島、ブランク・スピナ |
| ホロタイプ | 成体雌 |
| ホロタイプ産地の標高 | 約1,600~1,750m |
| 現在の分類 | 動物界・節足動物門・昆虫綱・カマキリ目・Amelidae科・Ameles属 |
| 門 | Arthropoda、節足動物門 |
| 綱 | Insecta、昆虫綱 |
| 目 | Mantodea、カマキリ目 |
| 科 | Amelidae |
| 亜科 | Amelinae |
| 族 | Amelini |
| 属 | Ameles |
| 分類上の旧位置 | 以前は Pseudoyersinia 属に分類されていた |
| 属変更の理由 | 雄の翼、単眼、交尾器などの形態を再検討した結果、Pseudoyersinia より Ameles の特徴に一致すると判断された |
| 現在の主な受容名 | Ameles andreae |
| 分類上の異説 | 2021年に Parameles andreae とする分類案も提唱されたが、現在の主要データベースでは Ameles andreae が採用されている |
| 主な同物異名 | Pseudoyersinia andreae |
| その他の同物異名 | Ameles insularis Agabiti, Ippolito & Lombardo, 2010 |
| Ameles insularis | マヨルカ島から記載された小型カマキリ。2018年に A. andreae と同一種とする整理が示された |
| 分布国 | イタリア、スペイン |
| 分布する島 | サルデーニャ島、マヨルカ島 |
| イタリアでの分布 | サルデーニャ島 |
| スペインでの分布 | バレアレス諸島のマヨルカ島 |
| サルデーニャ島の確認地域 | ブランク・スピナ、モンテ・リンバラ、ラーゴ・アルト・デル・フルメンドーザなど |
| ブランク・スピナ | サルデーニャ島中部のジェンナルジェントゥ山地にある高標高地域 |
| モンテ・リンバラ | サルデーニャ島北部の山地 |
| ラーゴ・アルト・デル・フルメンドーザ | サルデーニャ島中東部、標高約1,000m |
| マヨルカ島の記録 | 旧 Ameles insularis としてマヨルカ島のラス・マラビリャス周辺などから記録された |
| シチリア島での分布 | 本種の確実な分布には含まれない |
| イタリア本土での分布 | 確認されていない |
| 北アフリカでの分布 | 確認されていない |
| 分布の特徴 | 地中海西部の島嶼部に分断して分布する |
| サルデーニャ島内の標高範囲 | 従来の確実な記録は約1,000~1,750m |
| 現在の生息域の解釈 | 山地だけでなく、分類上同一とされたマヨルカ島の比較的低標高地域も含む |
| 生息環境 | 地中海性低木林、乾燥した草地、疎らな灌木地 |
| IUCNの主要生息環境 | Shrubland、低木地 |
| サルデーニャ島での生息環境 | 山地の乾燥した草原、低木地、道路沿いの灌木など |
| 確認された植物 | モンペリエハンニチバナ Cistus monspeliensis |
| 植物との関係 | 特定植物だけを利用する植食性昆虫ではなく、低木を待ち伏せ場所や隠れ場所として利用する |
| 微環境 | 日当たりがよく、植生が過密でない乾燥・温暖な環境 |
| 生活場所 | 地表付近、草本、低い灌木の枝葉 |
| 生活型 | 地表・低木性の小型捕食昆虫 |
| 体長 | おおむね2cm前後の小型種 |
| 雄の体長 | 旧 Ameles insularis として記載された雄は約19mm |
| 雌の体長 | 2cm台の小型個体が知られるが、利用できる標本数が非常に少ない |
| 前胸背板長・雌 | 約4.49~4.50mm |
| 前胸背板最大幅・雌 | 約1.99~2.00mm |
| 前脚腿節長・雌 | 約4.99~5.16mm |
| 前翅長・雌 | 約3.10~3.49mm |
| 体型・雄 | 雌より細身 |
| 体型・雌 | 雄より腹部が幅広く、がっしりしている |
| 頭部 | 三角形に近く、左右へ大きく動かすことができる |
| 額部 | 上から見ると両眼の間が明瞭にくぼむ |
| 複眼 | 丸みのある半球形 |
| 眼の先端 | 近縁種に見られる明瞭な尖った突起を欠く |
| 触角 | 細長い糸状 |
| 前胸 | 比較的短く、中央付近でやや広がる |
| 前脚 | 獲物を捕らえる鎌状の捕脚 |
| 捕脚の構造 | 腿節と脛節に多数の棘があり、両者の間へ獲物を挟み込む |
| 腹部 | 雌では胸部より幅広く、比較的細長い |
| 雌の腹部姿勢 | Ameles spallanzania などで見られるような強い上向きの反り返りを、飼育観察では示さなかった |
| 雌の前翅 | 著しく短い |
| 雌の後翅 | 短く退化している |
| 雌の飛翔能力 | 飛翔できないと考えられる |
| 雄の翼 | 雌より大きく発達する |
| 雄の飛翔 | 翼と単眼の形態から、雌より飛翔能力が高いと考えられる |
| 翅脈 | 雌の短い翅では翅脈が不明瞭 |
| 尾毛 | 雌では短く太く、基部が横方向に扁平で、外側へ湾曲する |
| 尾毛の毛 | 太い黒色の毛が生える |
| 基本体色 | 緑色、黄緑色、黄褐色、褐色など |
| 雌の体色記録 | 緑色を基調とし、前胸や脚に褐色のまだら模様を持つ |
| 腹部の模様 | 背面中央に淡褐色と濃褐色からなる縦方向の帯が見られる |
| 体色の役割 | 周囲の草、枯葉、枝、低木に溶け込む保護色 |
| 擬態 | 葉や細い枝、枯れた植物片に紛れる |
| 発見しにくい理由 | 小型、保護色、植生の内部で静止する行動、局地的な分布が重なるため |
| 活動時間 | 種固有の詳細な日周活動は未解明 |
| 狩猟方法 | 待ち伏せ型 |
| 狩猟行動 | 植物上で動きを抑えて待ち、接近した小型昆虫を捕脚でつかむ |
| 食性 | 肉食性 |
| 主な餌 | 小型の昆虫やその他の節足動物 |
| 飼育下で与えられた餌 | 複数種の小型昆虫 |
| 特に好んだ餌 | 小型のガ類の成虫 |
| ガの食べ方 | 飼育された雌は、ガの腹部を主に食べた |
| 生態系での役割 | 小型昆虫を捕食する中間捕食者 |
| 天敵 | 鳥類、トカゲ類、クモ類、大型昆虫などが潜在的な捕食者 |
| 防御方法 | 保護色、静止、植物内への逃避 |
| 社会性 | 基本的に単独性 |
| 縄張り | 本種固有の縄張り行動は未解明 |
| 雄の発見史 | 原記載時と2000年の再調査時には雌しか知られていなかった |
| 現在の雄の扱い | マヨルカ島産の旧 A. insularis の雄などが同一種に含められ、雄の形態が知られるようになった |
| 単為生殖 | 確認されていない |
| 繁殖方法 | 雄と雌による有性生殖 |
| 過去の単為生殖説 | 雄が長期間発見されなかったことから可能性が想像されたが、実証されていない |
| 交尾行動 | 本種固有の詳しい求愛・交尾行動は未解明 |
| 卵 | 淡黄色で細長い豆形 |
| 卵の断面 | ほぼ円形 |
| 卵の長さ | 約2.68~2.86mm |
| 卵の平均長 | 約2.78mm |
| 卵の直径 | 約0.79~0.91mm |
| 卵の平均直径 | 約0.85mm |
| 解剖された雌の成熟卵 | 18個 |
| 未成熟卵 | 成熟卵とは別に、発達途中の卵も確認された |
| 卵鞘 | 本種の卵鞘に関する確実な野外資料は非常に少ない |
| 飼育雌の産卵 | 約1か月飼育された雌は、成熟卵を持っていたが卵鞘を産まなかった |
| 卵を産まなかった理由 | 未交尾であったため、受精を待って卵を保持していた可能性が示された |
| 幼虫 | 成虫に似た形の若虫として孵化し、脱皮を繰り返す |
| 蛹 | 不完全変態のため蛹期はない |
| 世代周期 | 詳細不明。地中海性カマキリ類と同様、卵鞘で越冬し、春から夏に若虫が発生する可能性がある |
| 成虫期 | サルデーニャ島では8月に成体雌が採集されている |
| 寿命 | 種固有の詳しい寿命は不明 |
| 近縁種 | Ameles serpentiscauda |
| Ameles serpentiscauda | 2025年にサルデーニャ島南西岸から記載された別種 |
| A. serpentiscaudaとの関係 | 遺伝解析では姉妹種に位置づけられた |
| A. serpentiscaudaとの違い | 翼の長さ、雄の腹部と尾端、求愛行動、DNAなどが異なる |
| その他の類似種 | Ameles spallanzania、Ameles decolor、旧 Ameles insularis など |
| 幼虫との誤認 | 小型で短翅の雌は、ほかのカマキリの若虫と誤認されやすい |
| IUCNレッドリスト | NT:準絶滅危惧 |
| IUCN評価年 | 2020年 |
| IUCN個体数傾向 | 不明 |
| 個体数 | 信頼できる総個体数推定はない |
| 成熟個体数 | 不明 |
| IUCN評価の意味 | 現時点でVU以上の絶滅危惧カテゴリーには達していないが、近い将来に条件を満たす可能性がある |
| 保全上の特徴 | 島嶼部に分断され、確認記録が少なく、生息状況の把握が不十分 |
| 主な保全上の懸念 | 乾燥低木地の消失・劣化、土地利用変化、植生の過密化、火災、観光・道路開発など |
| 植生遷移の影響 | 放牧や伝統的土地利用の停止によって草地・低木地が高密度化すると、開けた乾燥環境が失われる可能性がある |
| 山火事の影響 | 局地的な個体群と卵鞘を一度に失わせる可能性がある |
| 採集の影響 | 個体数が不明で記録地点も少ないため、研究・飼育目的の過度な採集は個体群に影響する可能性がある |
| CITES | 掲載されていない |
| 必要な保全活動 | 既知産地の低木地保全、定期調査、分布・個体数・繁殖生態の解明 |
| 調査方法 | スウィーピング、低木の目視調査、雄を対象とした灯火・飛翔個体調査など |
| 調査上の注意 | 保護色が強いため、通常の短時間調査では生息していても見落とされやすい |
| 保全上の重要点 | 個体の保護だけでなく、疎らな草本と低木が混在する地中海性景観を維持する必要がある |
サルデーニャ島で確実に記録された初期3地点は、ブランク・スピナ、モンテ・リンバラ、ラーゴ・アルト・デル・フルメンドーザです。標高は約1,000~1,750mで、フルメンドーザでは道路脇の Cistus monspeliensis の低木から成体雌が採集されました。この雌からは18個の成熟卵が確認され、小型のガ類を好んで捕食したことも記録されています。
「雄が見つかっていないため単為生殖する」という古い解釈は、現在の分類知見とは一致しません。2018年の再検討では雄の形態を含めて Ameles 属へ移され、マヨルカ島の A. insularis が同物異名とされました。2025年には、サルデーニャ島から別種 A. serpentiscauda が記載され、遺伝解析で A. andreae の姉妹種と確認されています。
基本情報:出典
- IUCN Red List:Ameles andreae
https://www.iucnredlist.org/species/148872355/148872539 - GBIF:Ameles andreae
https://www.gbif.org/species/9568591 - Zootaxa:Ameles andreaeへの属移動とAmeles insularisの同物異名化
https://www.mapress.com/zt/article/view/zootaxa.4377.1.2 - Atti dell’Accademia Roveretana degli Agiati:Ameles andreaeの再発見・生態・卵の記載
https://heyjoe.fbk.eu/index.php/atagb/article/view/4996 - Ethology Ecology & Evolution:姉妹種Ameles serpentiscaudaの記載とAmeles andreaeとの比較
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/03949370.2025.2571110
最終評価2019年:サルデーニャカマキリ「NT:準絶滅危惧」
この小さなカマキリは数頭のメス成体が見つかったのみで、オスは見つかっていない……
生息地としてはサルデーニャ中央部の独立した3か所のみが個別に知られている。この種は19世紀末からつづく徹底した土地の開墾や牧場への転換が引き起こした生息地の損失のため、危機的状況にある。この種の生態については限られたことしか知られていない。出典:訳者 岩槻邦男、太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル『IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑』/ 発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / © Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014
2026年7月25日時点で、IUCNの最新公開評価は2019年12月19日に実施された「準絶滅危惧(NT)」で、評価基準はB1ab(iii)です。2018年の分類改訂では、旧学名 Pseudoyersinia andreae が Ameles andreae に変更され、マヨルカ島産の Ameles insularis も同種に統合されました。したがって、2014年の「暫定的な絶滅危惧II類」から現在のNTへの変化は、個体群の回復ではなく、正式なIUCN評価の実施と種の分類・分布範囲の見直しを反映したものです。
| 項目 | 2014年の図鑑 | 現在(2026年確認) |
|---|---|---|
| 図鑑での和名 | サルデーニャカマキリ | 日本語圏で広く定着した標準和名は確認されていない。2014年図鑑の「サルデーニャカマキリ」は使用できるが、現在の種概念にはマヨルカ島の個体群も含まれるため、分布全体を表す名称ではなくなっている。 |
| 英名 | Galvagni’s Ground Mantis | IUCNではGalvagni Dwarf Mantisが使用されている。 |
| 学名 | Pseudoyersinia andreae Galvagni, 1976 | Ameles andreae (Galvagni, 1976)。2018年の分類学的再検討により、Pseudoyersinia属からAmeles属へ移された。 |
| 科・属の扱い | カマキリ科Pseudoyersinia属 | 近年の分類体系ではAmelidae科Ameles属。古いデータベースにはMantidae表記も残るが、IUCNや近年の研究ではAmeles andreaeが用いられている。 |
| 同物異名 | マヨルカ島産のAmeles insularisは別種として扱われていた | Ameles insularis Agabiti, Ippolito & Lombardo, 2010は、2018年にAmeles andreaeの同物異名とされた。 |
| IUCN評価 | IUCNでは正式に評価されておらず、図鑑では暫定的に絶滅危惧II類相当とされた | 準絶滅危惧(NT)。世界評価とヨーロッパ地域評価の双方でNTとされている。 |
| 最新評価年月 | 正式評価なし | 2019年12月19日に評価され、2020年版IUCNレッドリストに掲載された。2026年版のIUCN画面でも、この評価が最新のものとして表示されている。 |
| 評価基準 | 過去の記録、生息地点の少なさ、土地利用の変化などから絶滅危険性を判断 | B1ab(iii)。分布範囲が狭く、個体群が限られた地域に分かれ、生息地の面積・範囲・質が継続的に低下していることが重視された。絶滅危惧II類の基準に近いものの、正式な閾値には達しないとしてNTとなった。 |
| 分布 | イタリアのサルデーニャ島固有種とされ、中央部の離れた3地点のみが知られていた | 現在の種概念では、イタリアのサルデーニャ島とスペイン領バレアレス諸島のマヨルカ島に分布する。二つの島は大きく離れており、個体群の連続性はない。 |
| 分布が広がった理由 | サルデーニャ島以外では知られていなかった | 新たな地域へ自然に拡大したことが確認されたのではない。マヨルカ島でAmeles insularisとして記載されていたカマキリが、形態学的な再検討によって同種と判断されたため、既知分布が広がった。 |
| 生息地点数 | サルデーニャ島中央部の独立した3地点 | IUCNの現在の分布図にはサルデーニャ島とマヨルカ島が示される。ただし、島全域に広く生息することを意味するものではなく、現在の正確な生息地点数は公表資料からは明らかでない。 |
| 雄の記録 | 数頭の成体雌だけが確認され、雄は未発見とされた | マヨルカ島産のAmeles insularisが本種に統合されたことで、現在の種全体としては雄も知られている。「雄が未発見」という記述は現在の種概念には当てはまらない。ただし、サルデーニャ島個体群における雄の記録状況は依然として明瞭でない。 |
| 個体数 | 数頭の雌成体しか知られておらず、個体群は非常に小さいと考えられていた | 成熟個体数の推定値は示されていない。少数の標本や限られた記録しかないため、総個体数を数値化できる状態にはない。 |
| 個体群動向 | 生息地の消失から減少していると判断された | IUCNでは「不明」。減少していないという意味ではなく、増減を判定できるだけの継続調査がない。個体数が回復したことを示す資料もない。 |
| 生息環境 | サルデーニャ山地の灌木地。土地の開墾や牧場化によって失われているとされた | IUCNの主要生息環境は低木地・灌木地。地中海性の乾燥した低木植生や地表付近で生活する小型のカマキリとされる。 |
| 主な脅威 | 19世紀末以降の徹底した土地の開墾、牧場への転換、それに伴う生息地の消失と分断 | 生息地の面積・範囲・質の継続的低下が、現在もIUCN評価の根拠となっている。2014年に指摘された開墾や牧草地化と同じ方向の土地利用変化が、引き続き重要な懸念となる。 |
| 生態に関する知識 | 生態、生活史、繁殖、季節的な活動などはほとんど分かっていなかった | 生息環境が低木地であることや、地表性の小型カマキリであることは整理されたが、繁殖周期、食性、寿命、移動能力、密度などの基礎的情報は依然として乏しい。 |
| 研究上の進展 | ごく少数の標本と古い採集記録が中心 | 2018年に形態学的な分類改訂が行われ、2024年にはAmeles属、Pseudoyersinia属、Apteromantis属を対象とした多遺伝子系統解析も発表された。分類学的な理解は進んだ一方、個体群生態の研究は遅れている。 |
| 保全状況の解釈 | 生息地消失と記録数の少なさから、危機的な状態と判断された | 評価カテゴリーは暫定VU相当から正式なNTになったが、個体数の増加や生息地回復が確認されたわけではない。既知分布にマヨルカ島が加わったことと、正式評価が実施されたことが大きく影響している。 |
| 現在の主な課題 | 生息地傾向や生活史を調べる研究が必要とされた | サルデーニャ島とマヨルカ島での再調査、生息地点の特定、成熟個体数と個体群動向の把握、低木地の改変状況の監視、両島個体群の遺伝的関係の解明が必要とされる。 |
| 2014年との比較結果 | サルデーニャ島の3地点だけに残り、雄も分からない未評価種 | 正式にNTと評価され、分類上はAmeles属へ移され、マヨルカ島個体群も同種に含まれた。しかし、個体数と増減傾向は依然不明で、生息地の継続的な劣化も評価根拠として残っている。危機が解消されたのではなく、種の輪郭が以前より明らかになった状態である。 |
現状まとめ:出典
- IUCN Red List「Ameles andreae:最新の保全評価」
https://www.iucnredlist.org/species/148872355/148872539 - Zootaxa「Pseudoyersinia andreaeの属移動とAmeles insularisの同物異名化」
https://www.mapress.com/zt/article/view/zootaxa.4377.1.2 - Organisms Diversity & Evolution「Ameles・Pseudoyersinia・Apteromantisの多遺伝子系統解析」
https://link.springer.com/article/10.1007/s13127-024-00667-6 - IBERFAUNA「Ameles andreaeの有効学名と同物異名」
https://iberfauna.mncn.csic.es/showficha.aspx?idtax=126650&rank=T - Centre Balear de Biodiversitat「マヨルカ島を含む分類・保全状況・生息環境」
https://balearica.uib.cat/es/taxon/11288
サルデーニャカマキリは、2014年にはサルデーニャ島中央部の3地点だけで知られ、数頭の雌しか確認されていない未評価種だった。現在は学名がPseudoyersinia andreaeからAmeles andreaeへ変更され、別種とされたマヨルカ島の個体群も同種に統合されたため、分布は2島へ広がった。IUCNでは準絶滅危惧(NT)と評価されたが、これは回復を示すものではない。成熟個体数と増減傾向は依然不明で、生息地となる低木地の開墾、牧草地化、分断、環境劣化が続いている。分類学的理解は進んだ一方、生態や繁殖、個体群の実態には大きな空白が残る。
⬇︎サルデーニャカマキリの保護活動の種類です。必要なら開いてください。
Galvagni Dwarf Mantis(Ameles andreae)は、2020年のIUCN評価でNT:準絶滅危惧、個体数動向は不明とされています。過去には Pseudoyersinia andreae と呼ばれていましたが、2018年の分類学的研究で Ameles属へ移され、バレアレス諸島の Ameles insularis も同種のシノニムとされました。このため、現在の評価にはサルデーニャ島だけでなく、マヨルカ島などの記録も関係します。
一方、Ameles insularisを別種として維持する分類案もあり、サルデーニャ島とバレアレス諸島の個体群が本当に同一種かという問題は完全には決着していません。保全では、分類・分布の再確認と、地中海性低木林や開けた草地の保護を並行して進める必要があります。過去のイタリア動物相資料では、Pseudoyersinia andreaeとして知られていたサルデーニャ島の確認地は3地点のみで、これらの場所を保全する必要性が指摘されていました。
| 保護活動の種類 | 具体的な内容 | 実施・提案状況 | 重要度 | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| IUCNレッドリスト評価 | 世界的な絶滅リスクを評価し、保全優先度を示す | 2020年にNT評価 | 高い | 個体数動向は不明 |
| IUCN評価の更新 | 新しい分類、分布記録、生息地変化を反映して再評価する | 必要 | 最重要 | 2018年以降の分類変更を十分に反映する必要がある |
| 分類学的再検討 | サルデーニャ島とバレアレス諸島の個体群が同一種か再検証する | 研究継続中 | 最重要 | 保全単位と真の分布面積を決める基礎になる |
| 旧学名との統合 | Pseudoyersinia andreae、Ameles andreae、Ameles insularisの記録を関連づける | 一部実施 | 高い | 学名の違いによる文献や標本の検索漏れを防ぐ |
| タイプ産地の保護 | サルデーニャ島のBruncu Spina周辺を重点的に保全する | 必要 | 最重要 | Pseudoyersinia andreaeのタイプ産地 |
| 歴史的確認地の保護 | 過去に個体が確認された地点を開発や土地改変から守る | 以前から提案 | 最重要 | 古い資料ではサルデーニャ島の3地点のみが知られていた |
| 歴史的確認地の再調査 | 過去の採集地点に現在も個体群が残っているか調査する | 必要 | 最重要 | 古い記録だけでは現在の生存を保証できない |
| バレアレス諸島個体群の確認 | マヨルカ島などで分布と個体数を再調査する | 必要 | 最重要 | A. insularisを同種とする分類に基づく |
| イビサ島記録の検証 | イビサ島の可能性のある標本や記録を形態・DNAで調べる | 必要 | 高い | 一部の分類研究で可能性が示されている |
| 分布域全体の地図化 | サルデーニャ島、マヨルカ島などの記録をGISで整理する | 必要 | 最重要 | 保護の空白地域を把握できる |
| EOOの再計算 | 最新の確実な記録から分布域の広がりを算出する | 必要 | 高い | 分類上の扱いによって大きく変化する |
| AOOの再計算 | 実際に占有している生息地面積を算出する | 必要 | 最重要 | 島全体の面積ではなく、利用する低木林や草地を評価する |
| 生息地点数の確定 | 独立した個体群や脅威地点の数を整理する | 必要 | 最重要 | 火災や開発が複数地点へ同時に影響する可能性がある |
| 個体数動向の調査 | 増加、安定、減少のいずれにあるか長期的に調べる | 未解明 | 最重要 | IUCNでは個体数動向不明 |
| 標準化個体群調査 | 同じ地点、季節、時間、方法で反復調査する | 必要 | 最重要 | 観察数の変化を個体数変化として比較できる |
| 占有率調査 | 複数回調査し、見落とし率を考慮して生息確率を推定する | 必要 | 高い | 小型で植生内に隠れるため発見しにくい |
| 見つけ取り調査 | 低木、草本、地表をゆっくり探索して成虫・幼虫を記録する | 基本調査として必要 | 高い | 地表性・低い植生を利用する小型カマキリに適する |
| スイーピング調査 | 捕虫網で草本・低木を一定回数すくい、出現数を比較する | 導入可能 | 高い | 調査努力量を統一する必要がある |
| ビーティング調査 | 低木を軽くたたき、落下した個体を確認する | 導入可能 | 中〜高 | 植物や卵鞘を傷つけない強さで実施する |
| 夜間調査 | 懐中電灯などを用いて植生上の個体を探索する | 効果検証が必要 | 中 | 昼夜の活動性に関する情報が少ない |
| 幼虫調査 | 若齢・終齢幼虫の出現時期と生息環境を記録する | 必要 | 高い | 成虫だけでは繁殖の継続を判断できない |
| 卵鞘調査 | 植物、石、枯れ枝などに産み付けられた卵鞘を探索する | 必要 | 最重要 | 越冬段階や繁殖場所の把握に役立つ |
| 卵鞘の種同定 | 卵鞘を飼育またはDNAで確認し、近縁種と区別する | 必要 | 高い | Ameles属の卵鞘は外見だけで判定しにくい場合がある |
| 季節消長の把握 | 孵化、幼虫、成虫、産卵の時期を年間を通じて調べる | 必要 | 最重要 | 草刈りや放牧時期の設定に不可欠 |
| 繁殖期の把握 | 交尾と産卵が集中する時期を特定する | 必要 | 高い | 繁殖期の植生除去を避けられる |
| 世代数の確認 | 年1世代か、地域によって複数世代になるか調べる | 情報不足 | 中〜高 | 気候や標高で生活環が異なる可能性がある |
| 性比の調査 | 雄と雌の割合を地点・季節ごとに記録する | 必要 | 高い | 翅や行動の違いで検出率が異なる可能性がある |
| 雌雄の識別研究 | 雄の翅、交尾器、雌の形態を詳細に記録する | 分類研究で進展 | 高い | 近縁種との誤同定防止に重要 |
| 遺伝子による種同定 | DNAバーコードなどで個体群と近縁種を識別する | 実施・拡充必要 | 最重要 | A. insularisとの分類問題解決にも必要 |
| 個体群遺伝研究 | 島内・島間の遺伝的多様性と交流を調べる | 必要 | 最重要 | サルデーニャ島とバレアレス諸島の管理単位を判断できる |
| 標本の再同定 | 博物館のPseudoyersinia・Ameles標本を再調査する | 一部実施 | 高い | 新しい分類によって分布記録が変わる可能性がある |
| 標本データの電子化 | 採集日、地点、標高、性別、植物環境をデータベース化する | 必要 | 高い | 古い記録を現在の調査へ活用できる |
| 写真記録の標準化 | 頭部、胸部、翅、腹部、脚を一定方向から撮影する | 必要 | 中〜高 | 市民科学記録の再同定に役立つ |
| 市民科学の活用 | 自然観察者から写真と位置情報を収集する | 導入可能 | 高い | 専門家による確認を前提とする |
| 誤同定の防止 | A. spallanzania、A. decolor、A. serpentiscaudaなどと区別する | 最重要課題 | 最重要 | サルデーニャ島には複数の小型カマキリが生息する |
| 詳細位置情報の管理 | 小規模個体群の正確な位置を必要以上に公開しない | 必要 | 中〜高 | 無許可採集や過度な観察圧を防ぐ |
| 地中海性低木林の保全 | マキ、ガリッグなどの低木植生を土地転換から守る | 最重要対策 | 最重要 | 本種の主要生息環境 |
| 山地低木林の保全 | サルデーニャ島内陸・山地の低木環境を維持する | 必要 | 最重要 | 原記載個体群は山地環境から知られる |
| 開けた草地の維持 | 草本と低木が混在する開放的な環境を残す | 必要 | 高い | 完全な森林化や裸地化の双方を避ける |
| 植生モザイクの維持 | 草地、低木、裸地、小石、林縁が混在する景観を維持する | 必要 | 最重要 | 餌、隠れ場所、産卵場所を提供する |
| 低木の一斉除去回避 | 防火・景観管理でも低木を全面的に刈り払わない | 必要 | 最重要 | 個体、卵鞘、餌昆虫を同時に失う可能性がある |
| 機械除草の制限 | 刈払機、重機、ロータリーによる大規模な植生破壊を避ける | 必要 | 高い | 地表や低い植生にいる個体が直接死亡する |
| 草刈り時期の調整 | 成虫・産卵期や幼虫期を避けて作業する | 生活史調査後に導入 | 最重要 | 卵鞘を残す刈り方も必要 |
| 草刈り区域の分割 | 全域を同時に刈らず、未刈り区を残す | 推奨 | 高い | 個体の避難場所と再定着源を確保できる |
| 刈高の確保 | 地表近くまで刈り込まず、一定の草丈を残す | 推奨 | 中〜高 | 卵鞘や幼虫の死亡を減らせる |
| 枯れ茎・小枝の残置 | 卵鞘が付着する可能性のある植物体を一部残す | 必要 | 高い | 過度な清掃は繁殖場所を失わせる |
| 落葉・石の維持 | 地表の微小な隠れ場所を除去しない | 必要 | 中〜高 | 地表性個体の避難環境となる |
| 防風林・林縁の維持 | 低木林と草地の境界を残す | 必要 | 中〜高 | 餌昆虫と多様な微気候を提供する |
| 植林による生息地転換の回避 | 開けた低木地を密な人工林へ一律転換しない | 必要 | 高い | 林冠閉鎖によって適した低層植生が失われる |
| 外来樹木の拡大防止 | 外来樹種が低木地や草地を覆うのを防ぐ | 地点別に必要 | 中〜高 | 除去作業による地表攪乱にも注意する |
| 外来草本の監視 | 外来植物が単一群落を形成していないか調べる | 必要 | 中 | 餌昆虫相や植生構造を変える可能性がある |
| 住宅・都市開発の回避 | 確認地点を住宅地、商業地、駐車場へ転換しない | 必要 | 最重要 | 小規模な個体群では一度の開発が大きな損失になる |
| 観光施設の影響評価 | 道路、宿泊施設、展望施設、遊歩道の建設前に調査する | 必要 | 高い | 地中海の島嶼部では観光開発圧が高い |
| 道路新設の回避 | 個体群と生息地を分断する道路を避ける | 必要 | 高い | 翅の短い個体は分断された場所を移動しにくい |
| 未舗装地への車両進入制限 | オフロード車やバイクによる踏みつけを抑える | 必要 | 高い | 地表の個体と卵鞘を直接破壊する |
| 無秩序な歩道造成の防止 | 新しいトレイルや近道を生息地点に作らない | 必要 | 中〜高 | 踏圧と植生の分断を減らす |
| キャンプ利用の管理 | 草地・低木地での車両、テント設営、火気を管理する | 地点別に必要 | 高い | サルデーニャ島の希少カマキリでは観光利用が脅威になる例がある |
| 過放牧の防止 | ヒツジ、ヤギなどによる植生の過度な食害と踏圧を抑える | 必要 | 高い | 低木・草本・卵鞘が失われる可能性がある |
| 適度な放牧の維持 | 植生が密生しすぎる場所では低強度放牧を利用する | 地点別に検討 | 中〜高 | 放牧の全面排除で開放環境が失われる場合もある |
| 放牧強度の測定 | 家畜密度とカマキリの出現数を比較する | 必要 | 高い | 適切な管理水準を科学的に設定できる |
| 放牧時期の調整 | 卵鞘や幼虫が集中する時期に重要地点を休牧する | 必要 | 高い | 生活史データに基づく運用が必要 |
| 山火事の予防 | 放火、たき火、車両火災などを防ぐ | 最重要 | 最重要 | 小規模個体群では一度の大火災が全体へ影響する |
| 火災頻度の管理 | 短期間に繰り返される火災を防ぐ | 必要 | 最重要 | 植生と卵鞘の回復前に再び焼失する危険がある |
| 防火帯の低影響管理 | 防火帯を造成する際、重要生息地を避ける | 必要 | 高い | 防火工事そのものが生息地破壊になり得る |
| 火災後の緊急調査 | 焼失後に成虫、幼虫、卵鞘、生き残った植生を調べる | 必要 | 高い | 火災耐性と回復速度を評価できる |
| 火災後の過剰清掃回避 | 焼けた枝や草を全面的に撤去しない | 必要 | 中〜高 | 生き残った卵鞘や再生植生を保護する |
| 計画火入れの事前評価 | 管理目的の火入れ前に個体群と卵鞘を調査する | 必要 | 高い | 地点・季節・頻度を限定する |
| 農地転換の防止 | 低木地や半自然草地を農地へ転換しない | 必要 | 最重要 | 生息地の消失と分断につながる |
| 農業の集約化抑制 | 畦、草地、低木、石垣を残す農業を維持する | 必要 | 高い | 半自然的な小規模景観が避難地となる可能性がある |
| 畦畔・石垣の保全 | 農地周辺の草本、低木、石の構造を残す | 推奨 | 中〜高 | 餌昆虫や小型捕食者の生息場所となる |
| 殺虫剤使用の削減 | 生息地と周辺農地で広域殺虫剤を減らす | 最重要 | 最重要 | 個体への直接毒性と餌昆虫の減少を防ぐ |
| 農薬緩衝帯の設定 | 確認地点周辺を無農薬・低農薬区域にする | 必要 | 高い | 散布飛散と流入を抑えられる |
| 散布時期の調整 | 成虫・幼虫の活動期に殺虫剤を散布しない | 必要 | 高い | 生活史の把握が前提 |
| 除草剤使用の削減 | 餌場や隠れ場所となる草本の消失を防ぐ | 必要 | 高い | 直接毒性だけでなく植生構造への影響がある |
| 統合的害虫管理 | 化学農薬以外の農業害虫対策を導入する | 推奨 | 高い | カマキリなどの天敵昆虫を維持できる |
| 餌昆虫の調査 | バッタ、ハエ、ガ、ハチなどの利用状況を調べる | 情報不足 | 高い | 餌不足の影響を判断する基礎になる |
| 餌昆虫相の維持 | 多様な草本と開花植物を残す | 必要 | 高い | 小型昆虫の発生を支える |
| 夜間照明の抑制 | 生息地周辺の強い照明を減らす | 影響調査が必要 | 中 | 餌昆虫の行動を変える可能性がある |
| 気候モニタリング | 気温、降雨、乾燥期間、積雪などを記録する | 必要 | 高い | 山地と島嶼の個体群への影響を評価する |
| 干ばつ影響の調査 | 長期乾燥が幼虫、餌昆虫、植生へ及ぼす影響を調べる | 必要 | 高い | 地中海地域では乾燥化が進む可能性がある |
| 極端高温の調査 | 高温が卵の発生・孵化率に与える影響を調べる | 必要 | 中〜高 | 卵鞘内の発生環境変化に注意する |
| 気候避難地の特定 | 北向き斜面、標高差、岩陰など湿度が残る場所を調べる | 必要 | 高い | 将来の重点保護地域選定に利用できる |
| 標高移動の監視 | 温暖化に伴い分布が高標高側へ移動していないか調べる | 必要 | 高い | 山頂付近では移動可能な範囲が限られる |
| 小規模保護区の設定 | 確認地点を昆虫・草地のマイクロリザーブとして保護する | 提案 | 高い | 面積の小さい個体群に適した方法 |
| Natura 2000との重複確認 | 既知地点がEUの保護地域内に含まれるか整理する | 必要 | 高い | 保護地域内でも種固有の管理がなければ失われる可能性がある |
| 保護区管理計画への反映 | 草刈り、火災、放牧、観光管理に本種を組み込む | 必要 | 最重要 | 哺乳類や鳥類中心の管理では小型昆虫が見落とされやすい |
| 土地所有者との保全協定 | 私有地の低木林・草地を維持する協定を結ぶ | 提案 | 高い | 保護区外の個体群保全に有効 |
| 開発前環境影響評価 | 生息可能な低木林で専門家によるカマキリ調査を行う | 必要 | 最重要 | 一般的な昆虫調査では同定されない可能性がある |
| 累積影響評価 | 道路、観光、農業、火災を個別でなく総合的に評価する | 必要 | 高い | 小規模な影響の積み重ねを把握できる |
| 生息域外保全の必要性評価 | 野生個体群が急減した場合の飼育保険集団を検討する | 現時点で主要対策ではない | 低〜中 | 野生生息地の保護が優先 |
| 飼育下繁殖技術の研究 | 卵鞘の休眠、温湿度、餌、繁殖条件を調べる | 基礎研究として可能 | 中 | 野生個体を大量に採集しないことが前提 |
| 無計画な採集の防止 | 趣味・展示・研究目的の過剰採集を避ける | 予防的に必要 | 中〜高 | 小規模個体群では少数採集でも影響し得る |
| 採集許可制度 | 標本数、採集地、目的、保管先を管理する | 必要 | 高い | 分類研究と保全を両立させる |
| 地域住民への普及啓発 | 固有の小型カマキリと低木林の価値を伝える | 必要 | 中〜高 | 認知度の低い昆虫は保全対象として扱われにくい |
| 観光ガイドへの教育 | 希少昆虫の生息地、踏圧、採集禁止を伝える | 必要 | 中〜高 | 生息地情報の過度な拡散を防ぐ |
| 農家・牧畜者との協働 | 草刈り、農薬、放牧を個体群に配慮した方法へ調整する | 必要 | 高い | 地域の土地利用を維持しながら保全できる |
| 調査員の育成 | 種同定、卵鞘探索、標準調査法を研修する | 必要 | 高い | 専門家が少ないこと自体が情報不足の原因になる |
| 種別保全行動計画 | 分類、調査、生息地、火災、農薬、放牧対策を統合する | 専用計画は未確認 | 最重要 | 担当機関、期限、予算、評価指標を定める必要がある |
| 保全成果の評価 | 占有地点数、個体密度、幼虫・卵鞘数、生息地面積で評価する | 必要 | 最重要 | 活動回数ではなく個体群の維持で判断する |
| 長期資金の確保 | 数年間の調査、分類研究、土地管理を継続する | 必要 | 高い | 単年度調査では生活史と個体数変動を把握できない |
| 現地保全の優先 | 飼育下繁殖より、野生個体群と低木・草地モザイクを守る | 基本方針 | 最重要 | 特殊な島嶼生態系は飼育環境で代替できない |
現在、公開資料から具体的に確認できる種固有の保全活動は、IUCNによる絶滅リスク評価、分類学的再検討、標本・分布記録の整理が中心です。専用の回復計画、島全体を対象とした標準化個体群調査、飼育下繁殖事業は確認されていません。
本種の保全では、まずサルデーニャ島とバレアレス諸島の個体群の分類関係を確定し、確実な確認地点を再調査することが重要です。そのうえで、地中海性低木林と草地のモザイクを維持し、火災、過放牧、観光開発、道路、機械草刈り、殺虫剤による局地的な消失を防ぐ必要があります。2018年の分類研究では、旧Pseudoyersinia andreaeをAmeles属へ移し、マヨルカ島から記載されたA. insularisを同種としましたが、形態差を理由に別分類を支持する見解も残っています。
保全活動の種類:出典
- IUCN Red List|Ameles andreae 2020年評価
https://www.iucnredlist.org/species/148872355/148872539 - Zootaxa|Ameles andreaeへの属変更とAmeles insularisのシノニム化
https://www.mapress.com/zt/article/view/zootaxa.4377.1.2 - IBERFAUNA|Ameles andreaeの有効名・シノニム・分類情報
https://iberfauna.mncn.csic.es/showficha.aspx?idtax=126650&rank=T - Checklist and Distribution of the Italian Fauna|サルデーニャ島の確認地点と生息地保全の提言
https://faunaitalia.it/documents/CKmap_ENG.pdf - Fondazione Bruno Kessler・HeyJoe|Pseudoyersinia andreaeの追加記録・分布・生息環境
https://heyjoe.fbk.eu/index.php/atagb/article/view/4996
サルデーニャカマキリはメスだけで繁殖する?消えたオスの真相
Questioner: Looks like they took that other species from Majorca and lumped it in with this one. So that’s why it got bumped down from VU (Vulnerable) to NT (Near Threatened), huh?
Me: Yeah, looks that way. But apparently, some researchers are still pushing back, saying, “Are we sure they’re actually the same species?”
Questioner: So they just broadly grouped them together like, “Alright, you’re all just tiny mantises,” huh? By the way, I remember the 2014 field guide saying something super cryptic like, “Females have been found, but no males.” Is it actually possible for insects to reproduce with just females?
Me: I remember hearing that aphids can multiply with just females. Let me dig into whether mantises can pull that off, too.
質問者:マヨルカ島産の別種も同種になって、統合したみたいだね。だから、VU危急だったのがNT準絶滅危惧になったんだね。
私:そのようですね。けれども学者のなかには、「同種じゃないんじゃないか?」との意見もあるようですね。
質問者:ざっくりとまとめられて、「はい、みんな小さいカマキリさんね」みたいな感じなのかな。ところで2014年の図鑑では、「メスは見つかったけど、オスが見つかっていない」みたいな謎めいたこと書いてあったけど、昆虫ってメスだけでも繁殖って可能なのかな。
私:アブラムシなどはメスだけで増えると聞いた覚えがあります。そのあたりカマキリでも有りえるのか、調べてみます。
消えたオスの謎。サルデーニャカマキリは「メスだけ」で繁殖するのか?
この疑問について、昆虫の生態、進化生物学、そしてフィールドワーク(現地調査)の裏側など、あらゆる方向から深掘りして読み解いてみます。
1. カマキリは「メスだけで繁殖」できるのか?
結論から言うと、カマキリでもメス単独による繁殖、つまり単為生殖は起こります。カマキリの単為生殖は、大きく二つの型に分けられます。
完全な単為生殖(オスが確認されていない種)
北米などに分布するブルンナースティックマンティス(Brunneria borealis)は、現在知られている個体がすべてメスで、受精せずに子孫を残す絶対的単為生殖を行います。カマキリ類では極めて珍しく、現在、種全体が単為生殖だけで繁殖すると認められている代表的な存在です。
ただし、「オスが進化の途中で完全に消えた」と証明されているわけではありません。近年は、南米に生息する近縁種の単為生殖個体群から北米へ広がった可能性も研究されています。
条件的な単為生殖(通常は有性生殖を行う種)
雌雄をもち、通常は有性生殖を行うカマキリのなかにも、交尾していないメスが生存可能な子を産む例があります。Miomantis caffra、Miomantis paykullii、Coptopteryx argentina、Thesprotia graminisなどで報告され、2025年には南米のBrunneria subapteraでも、隔離して育てた処女メスから生きた幼虫が誕生することが実験で確認されました。
単為生殖による繁殖成績は種によって異なります。交尾したメスより子の数が少なくなる例はありますが、「孵化率が極端に低く、生まれても数日でほとんど死ぬ」と一律に言えるものではありません。単なる偶発事故ではなく、特定の種や個体群では実際に子孫を残せる繁殖方法として機能しています。
2. アブラムシの戦略とカマキリの事情
アブラムシの「効率重視」システム
多くのアブラムシは春から夏にかけて、メスが交尾せずに自分と遺伝的に非常によく似たメスを次々と産みます。食物となる植物が成長する季節に、交尾相手を探す時間をかけず、短期間で個体数と分布を拡大できる仕組みです。
温帯に生息する多くの種では、秋になるとオスと有性生殖を行うメスが現れ、受精によって越冬卵を残します。単為生殖による速い増殖と、有性生殖による新しい遺伝子の組み合わせを季節に応じて切り替える、循環単為生殖と呼ばれる仕組みです。
ただし、すべてのアブラムシが同じ生活環をもつわけではありません。有性生殖の段階を失い、一年を通じて単為生殖を続ける系統や、地域の気候によって繁殖方法が変わる個体群も存在します。
カマキリの「多様性重視」システム
一方、多くのカマキリはオスとメスによる有性生殖を基本としています。有性生殖では両親の遺伝子が組み替えられるため、子の性質に幅が生まれ、病気や環境変化に対して集団全体が同時に弱くなる危険を減らせる可能性があります。
ただし、「捕食者だから有性生殖が必要」「植物の汁を吸うアブラムシだから単為生殖に向いている」と単純に分けられるものではありません。繁殖方法は、その種がたどった進化、生息環境、交尾相手の見つかりやすさ、繁殖にかかる負担などが複雑に関係して形成されます。
カマキリにも単為生殖を利用する種や個体群が存在するため、「すべてのカマキリにオスが必要不可欠」とは言い切れません。それでも、カマキリ類全体で見れば、雌雄による有性生殖が基本であることに変わりはありません。
3. サルデーニャカマキリの「消えたオス」の真相
今回の主役であるサルデーニャカマキリ(Ameles andreae)では、現在、サルデーニャ島でオスの存在が確認されています。単為生殖を行うという報告はなく、雌雄による有性生殖を基本とする種と考えられています。
2020年の分類研究では、サルデーニャ島のRio OllastuとIsola Rossaで採集されたオスが調べられ、体の形態だけでなく雄の交尾器も図示されました。オスの確認は、マヨルカ島のAmeles insularisを同種に含めるかどうかとは別に、サルデーニャ島の個体群そのものから得られた記録です。
では、なぜ2014年の図鑑では「オスが見つかっていない」とされたのでしょうか。
限られていた標本と調査
当時知られていた標本がごく少なく、そのなかにオスが含まれていなかったことが大きな理由です。限られた地域を短期間調べただけでは、成虫が現れる季節や活動場所がずれた個体を見逃すことがあります。「オスが存在しない」と確認されたのではなく、当時の採集記録のなかにオスがなかったという状況でした。
見た目の違い(性的二型)
Amelesの仲間では、一般にオスの翅が発達する一方、メスは翅が短く、体形も大きく異なります。サルデーニャ島で長い翅をもつオスが確認されたことは、この種をPseudoyersinia属からAmeles属へ移す分類変更にも影響しました。
ただし、「過去にオスが別種として登録され、メスだけの種と後から統合された」という単純な経緯ではありません。マヨルカ島のAmeles insularisではオスとメスの両方が扱われており、2018年にサルデーニャ島のAmeles andreaeと同種とされました。一方、2020年の研究では両者の形態差が指摘され、別種である可能性も残されています。
つまり、「メスしか存在しない謎のカマキリ」だったのではなく、標本と調査があまりにも少なかったため、オスの姿が長い間見えていなかったのです。
出典
- Scientific Reports|カマキリ類の絶対的・条件的単為生殖とBrunneria subapteraの実験研究:https://www.nature.com/articles/s41598-025-17594-x
- Comptes Rendus Biologies|アブラムシの単為生殖と有性生殖を切り替える繁殖戦略:https://comptes-rendus.academie-sciences.fr/biologies/articles/en/10.1016/j.crvi.2010.03.003/
- Quaderno di Studi e Notizie di Storia Naturale della Romagna|サルデーニャ島産Ameles andreaeのオスと分類上の再検討:https://www.researchgate.net/publication/348236681_Proposal_of_a_new_arrangement_of_the_Amelini_genera_Ameles_Burmeister_1838_and_Parameles_Saussure_1869_status_restauratus_with_taxonomic_remarks_on_some_species_Insecta_Mantodea_Amelidae
Questioner: Insects are wild. If they can reproduce with just females, they basically don’t even need males, right? Actually, wasn’t it a similar story with the Madagascar sucker-footed bat (Myzopoda aurita) we were looking at the other day?
Me: Ah, the sucker-footed bat. That situation was similar, but with a slight twist. There were plenty of males, but they just couldn’t find the females. They did eventually find a few, so researchers are currently investigating the theory that the females might just live clustered together somewhere else.
Questioner: Generally speaking, humans are pretty much a 50/50 split. But if genetic tech keeps advancing, it’s honestly terrifying to think we might end up like those insects—a future where only kids with “superior” genes are created using just female eggs.
Me: This might be taking the conversation in a bit of a dark direction, but in the past, an ideology and field of study known as “eugenics” took shape. It was introduced in the late 19th century by Francis Galton, Charles Darwin’s cousin. It originally started under the guise of “improving human genetic traits,” but as we rolled into the 20th century, it became deeply entangled with politics and ideology. It led to forced sterilization and marriage restrictions in various countries across the West and Japan, and eventually escalated into the horrific mass exterminations carried out by Nazi Germany.
Questioner: Humanity has always had this track record, hasn’t it? We research things thinking “maybe we can pull this off,” and the second we figure out we can, we just do it—even when we know damn well it’s wrong. The atomic bomb is the perfect example. Common sense tells you that even if we could build it, we absolutely never should have used it.
Me: There is a sort of irreversible gravity to scientific and technological progress. It comes from the economic and political pressure of “if it’s efficient or profitable, we must move forward,” and that raw intellectual curiosity of “if there’s a closed door, I have to open it.” But honestly, I think the most childish, immature driving force of all is the fear and competitiveness of “what if another country or someone else beats us to it?” That’s what I feel—and fear—the most.
Thank you so much for taking the time to read this.
I truly hope our thoughts somehow find their way to the Galvagni Dwarf Mantis.
鶏人|Keijin
質問者:昆虫ってすごいね。メスだけで繁殖できちゃうんならオスいらないじゃんね。たしか、つい最近調べたサラモチコウモリ(Myzopoda aurita)さんもそうだったよね。
私:サラモチコウモリの時ですね。あの種は、今回と似ていますが少し違ってました。オスはたくさんいる。しかし、メスが見つからない。でも、少数見つかった。だから、メスはどこかでまとまって暮らしているのではないか、といった調査中でしたよね。
質問者:人類は、大雑把にいうと半分半分だもんね。でもこのさき遺伝子の技術が進歩したら、昆虫みたいに、メスの卵子だけで優秀な遺伝子をもった子供だけが残される未来もありそうで怖いね。
私:少し話が飛ぶかもしれませんが、過去に「優生学」と呼ばれる思想と研究領域が形成されました。これは、19世紀末にイギリスの科学者フランシス・ゴルトン(チャールズ・ダーウィンの従兄弟)が提唱した学問・思想です。本来は「人間の遺伝形質を改良する」という名目で始まりましたが、20世紀に入ると政治やイデオロギーと結びつき、欧米や日本を含む各国で断種政策や婚姻制限などに影響し、ナチス・ドイツでは大量虐殺へ連なる極端な形で実行されました。
質問者:人類はずっと、できるかもしれないと研究して、やれると判断したら間違っていると分かっていても実行してきた歴史があるよね。原子爆弾なんてどう考えても、できたけど使っちゃダメなものだったわけでしょ。
私:科学や技術の発展には、不可逆的な引力のようなものがあります。「効率や利益になるなら進めるべきだ」という経済的・政治的な圧力や、「そこに扉があるなら、開けずにはいられない」という知的好奇心などがそれです。その中で、もっとも子供っぽく幼稚な考えが、「他国や他者が先にやるかもしれない」という恐怖や競争心だと、私は感じ、恐れています。
貴重な時間を、ありがとうございました。
サルデーニャカマキリに、その想いが届くことを祈ります。
鶏人|Keijin
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