11年後のレッドリスト|イナグアハンニチバナ:焼け跡のままで、逃げ場がない【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|イナグアハンニチバナ:焼け跡のままで、逃げ場がない【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

今回は、イナグアハンニチバナ(学名:Helianthemum inaguae)が、「30-30-30」に巻き込まれた…そんな話です。

2014年の図鑑には、2007年7月の大火で森が広い範囲で消えて、そこにいた植物もほとんど焼けてしまったことなどから、「CR:深刻な危機」って書かれていました。
で、最新のIUCNレッドリストを探してみたんだけど、なぜか登録が見当たらなかったんですよね。

でも調べ直したら、スペイン維管束植物レッドリストにはちゃんと載っていて、評価は今も変わらず「CR:深刻な危機」のままでした。
どうやらこれ、国内や地域の評価がそのまま世界版IUCNに反映される仕組みじゃないから…みたいなんです。

だからイナグアハンニチバナは今も、「焼け跡のままで、逃げ場がない」そんな状態なんだと思います。

この記事は短くて、5分くらいで読めます。
よかったら最後まで読んでください。

※2026年時点で、IUCNレッドリスト(世界版)には本種の評価掲載が確認できません(検索0件)。一方で、スペイン維管束植物レッドリストでは CR(2008年評価)として扱われています。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:Conservación Vegetal|SEBiCoP(学名:Helianthemum inaguae

焼け跡に残ったCR|火事のあとも危機は続く

⬇︎イナグアハンニチバナの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

基本情報|イナグアハンニチバナ(Inagua Rockrose)
項目情報
和名イナグアハンニチバナ
英名Inagua Rockrose
学名Helianthemum inaguae
分類被子植物・マルバ目(Malvales)・ハンニチバナ科(Cistaceae)
分布スペイン領カナリア諸島(グラン・カナリア島)固有。島の西部「イナグア(Inagua)」地域のごく狭い範囲で確認されている。
主な生育地山の急斜面の岩場・小さな段(棚)・割れ目など、わずかな土がのる場所。マツ林に結びつきつつ、周辺に乾燥に強い森林(温帯林要素)の植物群が混じる環境。
大きさ小低木で高さ40〜80cmほど。
体重(植物のため該当なし)
寿命明確な年数は示されにくいが、小低木として複数年にわたって生きるタイプ。

特徴

  • 名前の由来:種小名「inagua」は、グラン・カナリア島西部の地名「Inagua」に由来する(生育地に結びついた命名)。
  • 見た目:背丈の低い小低木で、枝は立ち上がるように伸びる。葉は細長い線形で、緑色でややつやがあり、毛が少ない(ほぼ無毛)とされる。花は黄色が強く、雄しべが多い。
  • 希少性:確認されている生育地が極端に狭く、個体数も非常に少ない。2007年の調査では成株11個体という記録がある。
  • 保全状況:スペイン維管束植物レッドリストではCR(深刻な危機)として扱われる。また、スペインの国家カタログ/カナリア諸島の保護カタログでは「絶滅のおそれ(En peligro de extinción)」に位置づけられている。

生態など

  • 生育環境:山地の岩場の急斜面で、土が薄い“小さな足場”みたいな場所に成立する。地形に守られている反面、広がる余地がほとんどない。
  • ふえ方(繁殖):被子植物として開花し、受粉後に種子で増えるタイプ。野外では更新(新しい個体が増えること)が弱いと指摘される。
  • 受粉の問題:個体群が小さすぎると、受粉相手や訪花昆虫の機会が減りやすく、結果として結実・更新がさらに落ちる流れになりやすい。
  • 脅威:森林火災(2007年の大規模火災の影響が大きい)、放牧家畜などの草食圧(食害)、生育地の分断、干ばつの増加による更新低下が複合的に効いている。保護計画(回復計画)の整備や、家畜のコントロール、個体群の補強や移植などが必要とされる。

出典

最終評価2008年:イナグアハンニチバナ「CR:深刻な危機」(スペイン維管束植物レッドリスト)

2007年7月の大火で森が広範囲に消失し、そこの植物の大部分が焼けてしまった。森林火災だけでなく、植物をえさとする動物もこの種にとっての脅威となっている。

出典:訳者 岩槻邦男、太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル『IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑』/ 発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / © Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

項目2014年の図鑑現在(2026年確認)
IUCNレッドリスト(世界版)での掲載図鑑内ではCRとして掲載IUCNレッドリスト(世界版)の検索では該当なし(掲載なし)
保全状況(カテゴリ)絶滅危惧IA類(CR)スペイン維管束植物レッドリストでCR(Critically Endangered)
評価の根拠(どのリストか)IUCNカテゴリ表記でCR(図鑑記載)Red List of Spanish Vascular Flora(スペイン維管束植物レッドリスト)でCR
評価年(スペイン側)(図鑑内の表記はCR)2008年版のスペイン維管束植物レッドリストに掲載
分布カナリア諸島(グラン・カナリア島)に固有カナリア諸島(グラン・カナリア島)固有。西部セクターの狭い範囲(イナグア周辺)
2007年の大規模火災2007年の火災で森林が広範囲に消失し、植物の大部分が焼失2007年7月の大規模火災で多数の個体が影響を受けた(大部分が焼失)
主な脅威森林火災、乾燥化、採取圧などが示唆されている森林火災に加えて、草食動物(植食動物)の影響が主要な脅威として示されている
生育環境(図鑑の範囲で)島の一部の限られた環境断崖・岩の割れ目・小さな段状地など、土がわずかにたまる場所に生育
法的保護(地域・国内)国レベルでも保護されている旨が記載カナリア諸島の保護種カタログ、スペイン国内の保護枠組みで「絶滅の危機(en peligro de extinción)」として扱われる
保全計画再発見・保護の努力が期待される旨カナリア諸島政府により回復計画が進行(回復計画の枠組みが明示されている)
保全活動(実施例)無制限な採取の抑制、植生回復、移植の検討などLIFE+ INAGUA などの取り組みとして、火災後の保全・回復を目的とした対応が示されている
IUCNの扱い(説明資料)図鑑ではIUCNカテゴリで紹介IUCNの紹介資料では「スペイン維管束植物レッドリストでCR」として説明されている

出典

イナグアハンニチバナ(Helianthemum inaguae)は、2014年の図鑑でCR(絶滅危惧IA類)として扱われたが、2026年時点でIUCN世界版レッドリストには掲載が確認できない。一方、スペイン維管束植物レッドリストでは2008年評価でCRに分類され、カナリア諸島固有種として極めて限定的な分布を示す。2007年の大規模火災に加え、植食動物による摂食圧が主要な脅威とされ、回復計画や域外保全を含む保全措置が継続している。

⬇︎イナグアハンニチバナの保護活動の種類です。必要なら開いてください。

保護活動の種類内容の概要
生息地(イナグア周辺の松林・山地)の保護生育地がグラン・カナリア島のごく狭い範囲に限られるため、自然保護区などの枠組みで土地利用や攪乱を抑え、「残っている場所を削らない」管理を優先する
森林火災対策2007年の大規模火災のように、一度の火災で個体群が壊滅しかねないため、防火・監視・延焼を抑える管理などで“燃えない仕組み”を強める
食害対策(草食動物の影響軽減)ヤギなどの草食動物による食害が大きな脅威になり得るため、防護柵・個体数管理・重点区域の保護などで新芽や開花個体を守る
生息地の回復(劣化地の再生)火災後や乾燥化で更新が進みにくい場所では、土壌・植生の回復、侵食の抑制などを進め、自然更新(芽生えが増える状態)に戻す
増殖(組織培養・苗づくり)野外個体が少なく回復が遅いので、植物園などで組織培養・苗生産の技術を整え、野外補強に使える数を確保する
個体群の補強(再導入・補植)残存個体群が小さく消失リスクが高いため、育成した苗を生育地へ補植して個体数を増やし、絶滅しにくい規模に近づける
モニタリング(個体数・開花・更新の追跡)個体数の変化、芽生え(更新)の有無、火災や乾燥の影響を定期的に記録し、保護策が効いているかを見ながら手を打ち続ける
種子・遺伝資源の保全(域外保全)野外が一撃で失われる可能性があるため、種子保存や植物園での系統維持など“バックアップ”を確保しておく

出典

最後に

読んでみて、どのように感じましたか?

2007年7月の大規模火災で、この植物もかなり影響を受けて、ほとんど消えてしまったって書いてあったんだけどさ。あの頃って、もう気候変動の影響で乾燥が進んでたのかな。ここ、そこまでカラカラに乾く場所って感じもしないんだけどね。

それと、そもそも火災の原因って何だったんだろう。木が擦れて火がついたのか、雷が落ちて火種になったのか…そのへんも気になるよね。

気候変動とこの火災に関係があったのか、ちょっと調べてみます。


項目内容要点
火災の直接的な原因2007年のグラン・カナリア島の大規模火災は、自然発火ではなく人為的に起こされたものとして扱われている雷や摩擦ではなく、放火が核心
犯人当時の森林火災監視員(公判で認定)が関与した件として報道されている火元が「人」だった
犯人の立場当時、森林火災の監視員(vigilante forestal / agente forestal)として働いていた人物森を見張る側の人間だった
動機(背景)監視体制や装備の不足を訴えたい意図、契約期間を延ばしたい思惑が語られている「必要な仕事だ」と示したかった側面
手口1本のマッチ(cerilla)で火をつけたと報じられている小さな火種のつもりが制御不能
どれほど広がったか2007年の火災は島の広い範囲に延焼し、大規模災害になった被害が拡大し、森林が長期間傷んだ
燃え広がった気象条件熱波の中で、高温・乾燥・強風が重なった状況が記録されている火が止まりにくい条件がそろっていた
具体的な数値例(気温・湿度・風)気温が35℃前後、湿度10%、風の影響などが火災解析資料に示されている乾燥と熱で燃えやすかった
「30-30-30」型の悪条件気温30℃超・湿度30%未満・風速30km/h超が同時にそろうと危険度が極端に上がる、と説明されている条件がそろうと消火が一気に難しくなる
乾燥イベントとサハラ由来の風(カリマ)2007年当時、サハラ由来の熱く乾いた空気の影響も含め、島が極端に乾燥しやすい状態だったことが語られている森が「燃えやすい日」になっていた
イナグアハンニチバナへの影響2007年7月の大規模火災が分布域を直撃し、多数の個体が失われたとされる生息地が狭いので一発で致命傷になる
この種の追加脅威火災に加えて、植食動物(herbivores)の影響が主要な脅威として挙げられている「燃える」以外でも削られていく
乾燥による影響乾燥期が増え、定着(加入)が低下していることが観察されたとされる乾燥が続くと増えにくくなる
位置づけ(保全の扱い)スペイン側のレッドリストでCRとして扱われ、地域・国レベルで保護対象とされる世界版IUCN未掲載でも、保護対象として動いている
取るべき対策(例)放牧家畜の管理、個体群の補強、移植(別の適地への移送)などが必要とされる守るだけでなく「増やす手」も必要

たぶんあの監視員も、あんな大火事になるなんて思ってなかったんだろうね。
「もっと俺たちの重要性を知ってほしい」っていう、自分なりの正義で、最初の一本のマッチを擦っちゃった…そんな感じだったのかな。
きっと「火をつけて、俺が消して、それがニュースになれば…」みたいな、わりと安易な考えだったんだろうけど……。

でもそこに、「にやり」と笑ったみたいな熱波が待ち構えててさ。
“気候変動”って名前の親分が、一気に大災害へ変えてしまったってわけだよね。

もし彼の“マッチポンプ”作戦がうまくいってたら、消火活動とか装備の不足に、市民の目が向いた可能性はあったんでしょうけどね。
ただ現実は、彼の消せる範囲なんて軽く飛び越えるレベルで、気候変動が作り出した「30-30-30」みたいな悪条件が重なって、大規模火災になってしまった…ってことなんでしょう。

それにしても「マッチ一本火事の元」って、昔から消防団の人たちが夜回りで言ってましたよね。
私の暮らしてる雪国でも、今でも秋口の乾燥する季節になると、消防団の車が放送で注意を呼びかけてくれてます。昔みたいに拍子木を「カンカン」鳴らすことはないけどね。

でもこれから先は、それに加えて、
「気候変動火事の元」
「気候変動で空気が乾燥しています。くれぐれも火の元には注意してください」
…みたいな放送が流れる時代になるのかもしれませんね。


ここまで読んで、あなたは、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてもらえると、とても嬉しいです。

貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

イナグアハンニチバナに、その5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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