※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
こんにちは、鶏人|Keijin です。
今回は、イピロスヒナバッタ(学名:Chorthippus lacustris)が、もしかしたら「切り分けられたリンゴ」みたいになってるかもしれない…そんな話です。
2014年の図鑑では、このバッタは、過去50年のあいだに湿地の排水で生息地の85〜99%を失ったと推定されていて、「CR:深刻な危機」とされていました。
ところが最新のレッドリストでは、今も減少中(Decreasing)なのに、生息地が広い範囲で見つかったらしくて、評価は「EN:危機」に下がってしまったんです。
だからイピロスヒナバッタは今も、「切られたリンゴで、数だけ増えた」みたいな状態なんじゃないかな、と思っています。
この記事は短めで、5分くらいで読めます。
よかったら最後まで読んでください。
※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2023評価(2025年公開)です(以降の更新は、現時点では確認できていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Chorthippus lacustris)
ENに下がったのに、減少は止まっていない
⬇︎イピロスヒナバッタの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 和名 | イピロスヒナバッタ |
| 英名 | Epirus dancing grasshopper(別名:Epirus grasshopper) |
| 学名 | Chorthippus lacustris |
| 分類 | 昆虫綱・バッタ目(直翅目)・バッタ科(Acrididae) |
| 分布 | ギリシャ北西部(エピロス地方)固有。主にパムヴォティス湖(Lake Pamvotis)周辺と、その近隣湿地の一部に限られる |
| 主な生育地 | 季節的に冠水する湿った草地(湿原縁・湖岸の湿性草地など) |
| 大きさ | 体長の目安:オス 15〜18mm、メス 19〜26mm 前後 |
| 体重 | (昆虫のため一般に資料が少なく、明確な数値が示されにくい) |
| 寿命 | 一般的なバッタ類と同様に年1世代型と考えられ、成虫期は主に夏〜秋(地域条件で前後) |
特徴
- 名前の由来:英名の “dancing(踊る)” は、求愛のときの鳴き声や動きが印象的なことに由来するとされる
- 見た目:全体は茶〜緑系の保護色になりやすく、湿った草地に溶け込むタイプの小型バッタ
- 希少性:生息地がごく狭い上に、点々と分断された小さな個体群しか残っていないとされる
- 保全状況:ヨーロッパの評価資料ではCR(深刻な危機)として扱われることが多い
生態など
- 生育環境:冬に水が入って、夏に草地になるような「季節性の湿った草地」に強く依存する
- ふえ方(繁殖):草地で繁殖し、卵は土の中に産み付けられるタイプとされる
- 水との関係:冠水や乾季の影響を受けやすい場所にいるため、水位変化や草地管理の変化に弱い
- 脅威:湿地の排水・埋め立て、農地化、都市化、草地の荒廃(藪化)、過放牧や逆に管理放棄などが複合的に効くとされる
出典
- 保護区情報(ギリシャ公式系):Management Unit of the Protected Areas of Epirus(NECCA)
- European Red List(Orthoptera)PDF:European Red List of Grasshoppers, Crickets and Bush-crickets
- 形態・サイズ(体長の目安):ZooKeys(Songs and morphology… Chorthippus albomarginatus group, 2021)
- 学術論文(湿地改変と生息地):Human land use threatens endemic wetland species: the case of Chorthippus lacustris(J. Insect Conserv. 2006)
最終評価2023年:イピロスヒナバッタ「EN:危機」
イピロスヒナバッタは過去 50年間に湿地の排水により 85~99パーセントの生息域を失ったと推定されている。
出典:訳者 岩槻邦男、太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル『IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑』/ 発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / © Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014
| 項目 | 2014年の図鑑 | 現在(2026年確認) |
|---|---|---|
| 種名 | イピロスヒナバッタ(Chorthippus lacustris) | Epirus Dancing Grasshopper(Chorthippus lacustris) |
| IUCNカテゴリ | 未評価(正式なIUCN評価なし)/図鑑内では 絶滅危惧IA類(CR)相当として扱い | EN(Endangered:絶滅危惧IB類 相当) |
| 評価日(Last assessed) | (記載なし) | 2023年11月30日 |
| 公表(掲載) | 図鑑として2014年に掲載 | 2025年版IUCNレッドリストに掲載(評価は2023年) |
| 個体数トレンド | (数値の明記なし) | Decreasing(減少) |
| 生息地の変化 | 過去50年で湿地の排水などにより生息域の85〜99%を失った | 生息地喪失の状態が継続し、残存地も縮小・劣化が続いている |
| 主な脅威(概要) | 湿地の排水・開発による生息地消失が中心 | 都市化・観光/インフラ開発、農地転換、分断化などが継続的な圧力 |
| 分布の特徴 | ギリシャ西部イピロス地方の限られた湿地周辺 | 北西ギリシャの局所的な湿地草地に局在し、集団は強く分断されている |
2026年時点で参照可能なIUCNレッドリスト情報によれば、当該種の最新評価は2023年11月30日であり、カテゴリーはEndangered(EN)に区分される。2014年の図鑑では未評価とされつつもCR相当の可能性が示唆されていたが、正式評価はENに確定した。個体数動向はDecreasing(減少)であり、現状でも減少傾向が継続している。主要因として、ギリシャのパムヴォティス湖周辺における湿地排水・開発により過去50年で生息域の85〜99%を喪失した点が挙げられる。さらに残存生息地においても、都市化、農地転換、生息地分断が進行し、孤立集団の維持が困難となっている。
⬇︎イピロスヒナバッタの保護活動の種類です。必要なら開いてください。
| 保護活動の種類 | 内容の概要 |
|---|---|
| 湿地草原(季節的に冠水する草地)の保護 | イピロスヒナバッタは「冬に水が入り、夏に草地になる」ような湿った草原に強く依存するため、残っている湿地草原を保全し、改変されない状態を維持する |
| 排水・干拓の抑制(湿地の水管理) | 農地化や宅地化のための排水で、湿地が乾いてしまうと生存できないため、排水の抑制や水位管理で“湿り気”を保つ |
| 都市化・土地改変の規制 | 生息地が極小で分断されやすいので、道路・造成・埋め立てなどの土地改変を避け、残存地点をこれ以上削らない方針で守る |
| 放牧圧の調整(過放牧の回避) | 家畜の過放牧で植生が変わると生息に不利になるため、放牧の強さ・時期・範囲を調整して、草丈や多様性を保てる状態にする |
| 生息地の再生(湿地草原の復元) | すでに劣化した場所では、湿地草原を再び機能させるために、草地管理の見直しや、乾燥化した環境の改善などで回復を促す |
| 保護区(Natura 2000)の管理強化 | Natura 2000内に生息するため、保護区の管理計画の中で本種を優先対象として扱い、実際に効く保全措置を組み込んで実行する |
| 調査・モニタリング(個体数と分布) | 生息地が点在し個体群も分断されているため、個体数・分布・生息条件の変化を定期的に追跡し、減少のサインを早期に掴む |
| 研究(遺伝・個体群構造の把握) | 小集団が孤立すると絶滅リスクが上がるため、遺伝的多様性や個体群のつながりを調べ、保全の優先順位(どこを守るべきか)を明確にする |
出典
- 研究論文(湿地草原依存・土地利用の脅威)Human Land use Threatens Endemic Wetland Species… (Springer, 2006)
- 欧州レッドリスト(欧州のバッタ類保全背景)European Red List of Grasshoppers, Crickets and Bush-crickets(PDF)
- 研究論文(遺伝的多様性と分断の評価)Conservation genetics of the steno-endemic Chorthippus lacustris (Springer, 2023)
- 抄録(保全提案:湿地草原の復元・都市化や排水の防止・モニタリング)Ovid Abstract: Human land use threatens endemic wetland species…
- 調査プロジェクト(Natura 2000内での評価と保全提案)LAC2: Monitoring and assessment of Chorthippus lacustris(University of Ioannina)
最後に
読んでみて、どのように感じましたか?
「ギリシャのパムヴォティス湖の周りで、湿地を排水したり開発したりして、この50年で生息地の85〜99%を失った」って書いてあるけどさ。
85〜99%も奪っといて、さらに「残った生息地でも都市化や農地転換、生息地の分断が進んでる」って…つまり残りの1%すら、街や畑に変えていったってことだよね。
それでいて「なんでENになるねん」ってなるよね。
広範囲で見つかったって理由でランクが下がる現象は何度も見てきたけど、こういうの見ると、開発の圧力とか、ちょっと疑いたくもなるよね。
うん、まさにその通り。
毎度のことながら、「広く見つかったからランクが下がる」ってやつだよね。
もう少し詳しく、深掘りしてみるね。
| 項目 | 内容 | 要点 |
|---|---|---|
| 判定がENになった理由(評価の軸) | 今回の評価は、「個体数がどれだけ減ったか」よりも、「分布域が狭くて、しかも減り続けている」というタイプの基準で判定されやすい。生息地が小さく分断され、環境の悪化や個体数の減少が続くと、ENに入りやすい。 | 減少率だけで決まるというより、狭さ+分断+継続的な悪化でENに乗る |
| ①「過去の大きな喪失」が効きにくい感覚 | 生息地は過去50年で85〜99%失われたとされるが、IUCNの一部基準は「直近の一定期間(10年または3世代など)」の変化を重く見るため、昔の大崩壊がそのまま最高ランク直行にならない場面がある。 | 昔に大きく壊れていても、判定は「直近の条件」に寄りがち |
| ②「飛び地が見つかった」が効く感覚 | CRは「1つの場所しかない」など、より極端に追い詰められた条件が絡む。一方でENは「場所が少ない(5以下)」でも成立するため、1箇所だけと思われていた状態から、複数地点の存在が確認されると、判定がCR側から外れやすい。 | 1箇所→複数地点の確認で、ルール上CRから外れやすい |
| 分断の実態(見つかった=安心ではない) | 近接地域に点在する小集団は、分布が断片化しており、個体群間のつながりが弱いことが示されている。報告によっては複数のサブポピュレーションに分かれ、減少や消失が起きている地点もある。 | 「増えた」ではなく「バラけただけ」で、脆さは残ったまま |
| 開発圧の話(疑いたくなるポイント) | パムヴォティス湖の近くにはイオアニナ(Ioannina)という人口規模の大きい都市が隣接している。もし最重度の扱いになると、保全措置が強く求められる可能性があり、都市拡大や観光整備とぶつかりやすい。 | 「危機的だけど止めるほどじゃない」判定に見えてしまう |
| 「保護区でも止まらない」感覚 | 周辺はNatura 2000の対象地域を含むが、それでも観光インフラ目的の瓦礫投棄や、農地化による生息地破壊が報告されている。保護指定があっても、現場の圧力が消えるわけではない。 | 保護区=安全ではなく、実際に壊され続けている |
出典
リンゴが2個しかなくて困った。
そしたら「じゃあ1個はそのまま置いといて、もう1個を5つに切り分ければいいじゃん」って判断する。
で、「はい、もとの1個と切り分けた5個で、合計6個になって増えたね〜」ってことでENになる。
……みたいな、小学生の算数みたいな話に見えちゃうんだよね。
2個のリンゴがバラバラにされて、片方が細切れにされたら、そりゃリンゴだってそのあと増えるのは難しいよね。
まあ、2個のリンゴのうち1個をこっそり運んで調査した、とは思わないけどさ。
でも極端な話、「運ばなくても、いたことにする」とか言い出したら、何でもアリになっちゃうよね。
もっと言うなら、生息地のど真ん中に道を1本通したら、生息地は2つに分かれるし、
道を3本作ったら、生息地は6つです、って話にもなっちゃう。
……もちろん、そんなこと実際にはないと思うけど。
でもさ、実際のところね。
現地で暮らしてる人たちからしたら、
「この沼、正直ジャマなんだけどな」
「バッタって、そんなに大事か?」
「湿地? ビル建てるのに邪魔なだけだろ」
…みたいな空気って、たぶんあると思うんですよね。
でもそういう“現場の流れ”って、遠くにいる私たちには見えないし、肌で感じることもできない。
だからこそ、つい疑って、誰かを悪者にしたくなる。悪者を作ると話が一気にわかりやすくなるからね。
でもこの話って、たぶん本当は「誰も悪くない」んだと思う。
もちろんバッタが悪いわけないし、開発する側だって家族を守るためだったり、上からの命令や圧力があって動いてるだけだったりする。
その「上の人」だって家族がいてさ。きっと本人なりに、みんなの生活とか町のこととか、そういうのを考えた上での開拓なんだと思うんですよ。
だから結局ね。詩人の金子みすゞさんの「みんなちがって、みんないい」じゃないけど、この話は「みんな悪くて、みんな良い」なんだと思う。
だけどね。人間社会はこれでいいんだけど、結局のところ一番割の合わない思いをしているのは絶滅危惧種などの生き物たちなんですよね。
ここまで読んで、あなたは、どのように感じましたか?
コメントで意見を聞かせてもらえると、とても嬉しいです。
貴重な5分間を、本当にありがとうございました。
イピロスヒナバッタに、その5分が届くことを祈ります。
鶏人|Keijin




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