11年後のレッドリスト|チャップマンギンポ:更新なき青の底で、ただ息をひそめて【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|チャップマンギンポ:更新なき青の底で、ただ息をひそめて【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

チャップマンギンポ(Entomacrodus chapmani)は、

2014年、図鑑に【VU:危急】として分類されていました。

2009年、IUCNレッドリストで、【VU:危急】と評価されました。

つまり、2009年から、チャップマンギンポは

「更新なき青の底で、ただ息をひそめて」状態なのです。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるチャップマンギンポの最新評価は2019年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/48342534/48360830

「昔と同じ」が通用しなくなった地球と、チャップマンギンポからのSOS

⬇︎チャップマンギンポの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|チャップマンギンポ(Chapman's blenny)
項目情報
和名チャップマンギンポ
英名Chapman’s blenny
学名Entomacrodus chapmani
分類条鰭綱・スズキ目イソギンポ科(コンブトゥースブレニー)
分布南東太平洋のイースター島およびチリ沖デスベントゥラダス諸島周辺の沿岸に分布する局所固有種
主な生息環境潮間帯~ごく浅い岩礁域の海岸。波当たりのある岩場やタイドプールなど、岩のすき間が多い場所を好む
体長最大約3.9cm(標準体長)とされる、とても小さな底生魚
体重文献データはないが、数グラム程度と考えられる小型種
寿命詳細な寿命の研究は少ないが、多くのイソギンポ科と同様に数年程度と推定されている(推定)

特徴

  • 名前の由来:種小名 chapmani は、イソギンポ科魚類の研究を行った米国の魚類学者 Wilbert M. Chapman にちなむ献名。
  • 体の色と模様:茶色~黄褐色を基調に、斑点や帯模様が入る「まだら模様」。ゴツゴツした岩肌や海藻の影に紛れやすいカモフラージュカラーと考えられている。
  • 歯と口もと:イソギンポ科特有の細かい「櫛状の歯(コンブトゥース)」をもち、岩の表面についた藻類や微小な生き物をこそぎ取るのが得意。
  • サイズ感:成魚でも4cmに満たない指先サイズの魚で、岩のすき間をちょこまか動き回る「岩場のちびっ子」。
  • 属としての特徴:属 Entomacrodus に含まれる他種と同様、主に草食性寄りで、潮だまりや浅い岩礁に適応した「沿岸性・岩礁性」のギンポ。

生態と行動

  • 岩場にくらす沿岸の小魚:潮間帯からごく浅いサブタイダルゾーンの岩礁域にすみ、波の激しい岩場やタイドプール(潮だまり)を生活の場にしている。
  • 分布のかぎられた固有種:イースター島(ラパ・ヌイ)やサン・フェリックス島など、ごく限られた島嶼で確認されている南東太平洋の局所固有種で、世界的にも生息域が狭い。
  • 食性:主に岩の表面に生える糸状藻類や付着藻類を削り取って食べる草食性寄りの雑食魚。岩肌のバイオフィルムや微小な底生生物も一緒に取り込んでいると考えられる。
  • 隠れるのが上手:天敵となる大型魚やウツボ類などから身を守るため、岩の割れ目や海藻の影に素早く潜り込む。人の目にも見つかりにくい「隠れ上手」な生活スタイル。
  • 産卵と卵:イソギンポ科では、岩のくぼみや穴の中に付着する沈性卵を産む種類が多く、チャップマンギンポも同様に、岩の基質に卵を産みつけると考えられている(科レベルの一般的な繁殖様式からの推定)。
  • 環境変化への弱さ:もともと分布域が狭く、浅い岩礁環境に強く依存するため、海水温の変化や沿岸開発、汚濁などによる環境悪化が起こると、局所的な絶滅リスクが高まりやすいと懸念されている(イースター島周辺の沿岸魚類・サンゴ礁研究からの推測)。

2014年絶滅危惧種:チャップマンギンポ【VU:危急】

イースター島での観光産業の拡大にしたがって海岸地域の開発が進み、結果的にチャップマンギンポに適した生息地がさらに減少してしまうと懸念される。現在のところ、この種を保護するための法制度はつくられていない。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

項目内容補足・ポイント
絶滅危惧の状況(IUCN)チャップマンギンポは現在も IUCNレッドリストで危急種(Vulnerable / VU)に指定されている。依然として絶滅リスクが高い状態が続いている。
絶滅危惧の主な理由生息域がイースター島周辺のごく限られた海域のみの固有種であるため、環境変化の影響を極めて受けやすい。生息域の狭さ=一度の環境変化で種全体が影響を受ける脆弱さ。
法制度の変化2014年以降、チャップマンギンポを含む海域を守るための法制度が大きく整備された。図鑑記載時点(2014年)とは状況が大きく変化している。
ラパ・ヌイ多目的海洋保護区(2018年設立)チリ政府がイースター島周辺のEEZほぼ全域(約72万km²)を保護区に指定。中南米最大規模の海洋保護区。
保護区での規制内容工業的漁業や海底資源採掘を禁止し、ラパ・ヌイの人々による伝統的な漁法のみ許可大規模開発や乱獲への「大きな盾」として機能。
滞在・居住規制法(2018年施行)観光客や移住者の急増による環境負荷を抑えるため、観光客の滞在期間を最大30日に制限するなど、厳しい規制を導入。ゴミ問題・水不足など、人間活動による負荷軽減を目的とした法制度。
観光開発と環境負荷法整備により「無秩序な開発」にはブレーキがかかった一方、排水や廃棄物管理など、オーバーツーリズム由来の課題は依然として残っている。特にチャップマンギンポが暮らす海岸線(潮間帯)への影響が懸念されている。
新たな脅威:気候変動海面上昇と海岸侵食により、浅瀬や岩場などの生息適地が物理的に削り取られつつあると指摘されている。開発規制だけでは防ぎきれない、グローバルな環境変化による圧力。
全体のまとめ「癒される(危惧される)」と心配されていた状況に対し、海洋保護区などの大規模な法的保護という盾は用意された。しかし、気候変動による海岸線の消失という、法制度だけでは防ぎきれない新たな壁に直面しており、チャップマンギンポを取り巻く状況は依然として予断を許さない。

チャップマンギンポ Entomacrodus chapmani はイースター島周辺にのみ分布する固有種で、IUCNレッドリストでは現在も危急種(VU)に分類される。

2018年には大規模海洋保護区と滞在規制法が導入され、工業的漁業等は抑制されたものの、観光由来の汚染に加え、海面上昇・海岸侵食といった気候変動に伴う生息地縮小が新たな主要脅威となっている。

⬇︎チャップマンギンポの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
生息海域の海洋保護区指定イースター島(ラパ・ヌイ)とサラス・イ・ゴメス周辺に大規模な海洋保護区(Motu Motiro Hiva海洋公園、Rapa Nui多目的海洋保護区)を設置し、固有魚類をまとめて保護
工業的大型漁業の規制海洋保護区内で工業的なトロール・延縄などの大型漁業や鉱物採掘を禁止し、小規模な伝統的漁業に限定することで、岩礁帯にすむチャップマンギンポへの間接的な負荷を軽減
沿岸・岩礁生態系の保全管理高い固有率をもつサンゴ礁・岩礁の魚類群集を対象に、保護区管理計画の中で重要生息地の保全・利用ゾーニングを行い、乱獲や生息地の劣化を抑制
伝統的漁業慣行の尊重とルールづくりラパ・ヌイ住民の小型船による一本釣りなどの伝統的漁法を認めつつ、地域主体のルールづくりや漁業管理を進め、固有種を含む資源の持続利用を図る
調査・モニタリングダイバー調査やROV、魚類リスト作成などにより、チャップマンギンポを含む固有魚類の分布・個体数・群集構造を継続的に把握し、管理計画に反映
環境教育・啓発ラパ・ヌイの海洋保護区について、住民・観光客向けに展示や資料、教育プログラムを通じて、固有種の重要性や保護の必要性を伝える取り組みを計画・実施
国際的な保全支援国際NGOや研究機関が調査・政策提言・資金提供を行い、世界的にも重要な島嶼海域の固有魚類保全を後押し

最後に

ここまで読んでみて、どんなふうに感じましたか?

「海面上昇」と「海岸侵食」なんて聞くと、「このままいったら、数年後や数十年後には沈んじゃうのかな?」とつい想像してしまいますよね。イースター島のまわりの海は、実際のところどれくらい水位が上がっているのでしょうか。

そのあたりが、やっぱり気になるところです。

このあと、もう少し詳しく調べてみます。


項目内容
島全体の状況イースター島自体が急激に海底に沈んでいるわけではないが、「海面の上昇」と「波の凶暴化」によって海岸線が削られている。
解説の目的「水位の上昇」と「チャップマンギンポへの影響」について、具体的なデータをもとに説明する。
海面上昇の速度イースター島周辺の海面上昇は世界平均とほぼ同じで、年間約3.4mm程度とされる。
「たった数ミリ」の意味数ミリの上昇は「静かなプールの水位」の話ではなく、その本当の恐ろしさは波の威力が増すことにある。
水位上昇による影響ベースとなる水位が数センチ上がるだけで、満潮時や嵐のときに陸地へ押し寄せる波の到達範囲が数メートル単位で奥へ広がる。
波エネルギーの増大気候変動により南極周辺の風が強まり、そこから生じる「うねり」が強大化。イースター島の海岸に打ち付ける波のエネルギーが増し、岩場の破壊速度が上がっている。
チャップマンギンポの生態チャップマンギンポ(Entomacrodus chapmani)はタネギンポ属の一種で、「Rockskipper」とも呼ばれ、波打ち際のしぶきがかかる岩場(潮間帯)や浅い潮だまりを好む「境界線」のスペシャリスト。
境界線の消失海面上昇と波の荒れによって、穏やかな潮だまりや湿った岩場が常に激しい波に洗われるようになり、波打ち際の微妙な空間が物理的に消えていく
逃げ場がない理由チャップマンギンポは浅瀬環境に適応した体を持つため、深い海では生きていけず、生息環境が失われても「深場へ逃げる」という選択肢を取れない。
もう一つの脅威海面上昇と同等かそれ以上に深刻なのが雨不足(干ばつ)である。
2022年の山火事2022年に島で大規模な山火事が発生し、モアイ像も焼損。これは降水量の減少による島の乾燥が大きな要因とされる。
乾燥と海の関係雨が減ることで、海に流れ込む栄養分の質・量が変化し、沿岸の生態系バランスが崩れる可能性がある。
島が「沈む」のか?島全体が数年で海に沈むような状況ではないが、海岸線というチャップマンギンポの「家」は確実に狭くなっている。
結論チャップマンギンポにとっての世界である波打ち際は、私たちの想像以上のスピードで変化しており、その生息地が削り取られている現実がある。

イースター島周辺では、世界平均並みの海面上昇と波浪エネルギー増大により岩礁性潮間帯の侵食が進行している。

さらに干ばつに伴う降水量減少は陸域からの栄養塩供給や沿岸生態系を変化させ、潮間帯に特化したチャップマンギンポの生息環境を多面的に縮減させている。


「干ばつの影響もあって、2022年に島で大規模な山火事が起きた」と聞くと、すごく気になりますよね。干ばつってことは、土地がカラカラに乾いて自然に火がついたのかな?
それとも、観光客の不注意とか、人間の出した火が広がってしまったのかな?

そのへんのところ、やっぱり気になります。

このあと、もう少し詳しく調べてみます。


項目内容
火災の位置づけ2022年の大規模火災は、自然発火ではなく「人為的な火(放火または野焼きの失火)」が疑われている。干ばつという気候条件が重なり、被害が拡大したと考えられている。
現地当局の見解ラパ・ヌイのペドロ・エドムンズ市長らは、意図的な放火、または牧畜のための野焼きが制御不能になった可能性が極めて高いと発表している。
牧畜との対立牛や馬を飼育する農家と、国立公園管理側とのあいだで、放牧や立ち入りをめぐる摩擦が以前から存在。市長は「牛のために牧草地を広げようとして火を放った可能性」を強く非難している。
自然発火でない理由イースター島では、雷などがない限り草地が自然に発火することはまれであり、火元が人であることはほぼ確実視されている。
被害拡大の背景約100ヘクタール(東京ドーム20個分以上)が焼失。火をつけたのは人間でも、ここまで燃え広がった背景には干ばつなどの気候条件がある。
乾燥した草の役割雨不足により草地がカラカラに乾いており、「燃料」あるいは「火薬」のような役割を果たして一度ついた火が急速に拡大した。
気候変動との関係エルニーニョ/ラニーニャなどに伴う降雨パターンの乱れで、島は慢性的な水不足・乾燥状態に陥りやすくなっている。
モアイ像の素材モアイは火山灰が固まった比較的柔らかい「凝灰岩」で作られており、高温に弱い。
熱衝撃の影響高熱による膨張で石の内部にひび割れ(クラック)が生じ、表面が剥離したり砂状に崩れやすくなったりする。
ダメージの性質専門家はモアイへのダメージを「不可逆的(元に戻せない)」と評価しており、修復は極めて困難とされる。
全体の性格づけこの火災は「人間の行為による火種」と「気候変動による乾燥(燃料)」が重なった、人災と天災の複合的な出来事といえる。
海と陸の対比チャップマンギンポが暮らす海は海面上昇に脅かされ、陸の守り神であるモアイは乾燥と人災に傷つけられている。イースター島は海と陸の両方からSOSを発している状態といえる。

2022年ラパ・ヌイ火災は、放火または牧畜目的の野焼きの失火とみられる人為起源の火災が、干ばつにより高度に乾燥した植生を燃料として急拡大した事例である。

約100haが焼失し、凝灰岩製モアイ像には熱衝撃による不可逆的損傷が生じ、人為要因と気候変動の複合リスクを象徴する事象となった。


きっと、放牧のための野焼き自体は、今までも毎年のようにやってきた「いつもの作業」だったんだと思います。それが、気候変動で何度も干ばつが続いたせいで草がカラカラに乾ききっていて、火をつけた瞬間、一気に燃え広がってしまった――そんな状況が目に浮かびます。

この「気候変動」が怖いのは、「今までこうしてきたから大丈夫」というやり方が、もう通用しなくなってきているところですよね。その感覚は、私もまったく同じように感じています。

たとえば、とある食品会社の話です。
ある日を境に、工場のラインから「商品に虫が混入している」という報告が、何度も何度も上がるようになったそうです。原因を調べてみると、原材料を保管している倉庫の気温が、毎年少しずつ上がっていて、これまで発生しなかった虫や菌が、生きられる環境になってしまっていたことが分かったそうです。

ここから分かるのは、「昔はこれで問題なかった」「前はこうやっていたから大丈夫」という思い込みが、今の気候変動の前では、もはや安全ラインではなくなっている、ということです。

天気の読み方についても同じですよね。
雲の流れや風向きの変化から天候を読んできた遊牧民たちでさえ、「最近は、昔のようには気候が読めなくなってきた」と言うことがあるそうです。
出典:Adapting nomadic pastoralism to climate change

だから、これからは少し勇気を出して、先代がやってきたことを一度立ち止まって疑ってみる。
先輩たちの言葉も、「本当に今の気候でも通用するのか?」と検証してみる。

そういう「気候変動に合わせて習慣をアップデートする動き」をしないと、食品会社も、安定した商品を当たり前のように届けられない時代に入りつつあるのかもしれませんね。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

チャップマンギンポに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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