11年後のレッドリスト|シロナガスクジラ:深い海の静寂に、わずかな希望を響かせていた【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|シロナガスクジラ:深い海の静寂に、わずかな希望を響かせていた【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

シロナガスクジラ(Balaenoptera musculus)は、

2014年、図鑑に【EN:危機】として分類されていました。

2018年、IUCNレッドリストで、【EN:危機】と評価されました。

つまり、2014年から2018年にかけて、シロナガスクジラは

「深い海の静寂に、わずかな希望を響かせていた」状態なのです。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるシロナガスクジラの最新評価は2018年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/2477/156923585

気候変動が変えた海の食卓|シロナガスクジラとオキアミの危うい関係

⬇︎シロナガスクジラの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|シロナガスクジラ(Blue Whale)
項目情報
和名シロナガスクジラ(白長須鯨)
英名Blue Whale
学名Balaenoptera musculus
分類哺乳類・クジラ目・ナガスクジラ科
分布全世界の外洋(南極海・北太平洋・北大西洋など)
主な繁殖海域熱帯〜亜熱帯の海域(冬季に移動)
主な採餌海域高緯度の冷たい海域(夏季に移動)
体長最大33メートル(地球上最大の動物)
体重最大180トン以上
寿命約70〜90年(個体によっては100年以上)
IUCN評価【EN:危機(Endangered)】(IUCN, 2018)

特徴

  • 体の色:「Blue Whale(青いクジラ)」の名のとおり、背中は灰青色。水中では銀青色に見える。
  • 体の構造:細長い体型で、巨大な胸びれと尾びれを持つ。頭部には2つの噴気孔がある。
  • 鳴き声:地球上で最も低い音を発する動物の一つで、1000km以上離れた場所でも聞こえる
  • 摂食方法:口を大きく開けて海水ごとオキアミを吸い込み、ひげ板で濾して食べる。
  • 心臓:重さは約180kg、車ほどの大きさ。拍動音は数キロ離れても聞こえるという。

生態と行動

  • 回遊:季節によって長距離を移動。夏は極域で採餌し、冬は熱帯海域で繁殖・出産を行う。
  • 食性:主にオキアミ(小型の甲殻類)を捕食。1日あたり最大3.5トンのオキアミを食べる。
  • 繁殖:妊娠期間は約11か月。1回に1頭の子を出産し、母乳で約7か月育てる。
  • 天敵:成体にはほとんどいないが、シャチによる攻撃がまれに報告されている。
  • 脅威:20世紀の商業捕鯨により個体数が激減。現在も船舶衝突・海洋騒音・気候変動が問題。
  • 保全状況:国際捕鯨委員会(IWC)により全面保護されており、個体数はわずかに回復傾向。

2014年絶滅危惧種:シロナガスクジラ【EN:危機】

今日この種にとっての最大の脅威は、気候変動による海水の酸性化や他の要因によって、主要な食糧源であるオキアミが手に入りにくくなっていることだろう。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

区分内容
生態の基本構図シロナガスクジラは主にオキアミ(南極オキアミ Euphausia superba など)を大量に捕食し、成長・繁殖を維持している。巨大な体で微小甲殻類を一気に濾し取る「典型的構図」が成り立つ。
気候変動の影響(基礎段階)気候変動による海水温上昇・海氷融解・酸性化が、オキアミの生息環境(特に南極海)に影響を与えるとされる。海氷下の藻類減少や生育空間の縮小が報告されている。
将来予測(モデル研究)今世紀末までに南極海の一部緯度帯で、オキアミ生物量が大幅に減少する可能性を示すモデル報告がある。
近年の傾向(観測・変動)オキアミやクルマエビ群集の分布・量の変動が激化。南大洋の一部海域では減少傾向が観測され、クジラなど捕食者にも影響が及んでいる。
人間活動との競合魚粉・サプリ用途などのオキアミ漁が拡大。野生生物との餌資源競争(human–wildlife conflict)が顕在化。「現在の生物量では、クジラの回復と漁業を両立できない」との研究結果もある。
酸性化の進展2014年時点では「影響の可能性」段階だったが、現在は「影響が観測され始めた」段階。オキアミ殻や成育過程に変化の兆候が見られる。
地域差と不確実性海域や緯度・氷域条件により減少傾向や影響の強さが異なる。全世界的に一律の「不足」とは言えず、研究は継続中。
クジラ側の適応性シロナガスクジラが餌場や摂餌時間・種類を変えて対応している可能性がある。移動パターンの柔軟性も指摘されている。

この種にとっての主要な餌であるオキアミの「入手しづらさ」の危機は、2014年の段階から指摘されており、現在も継続・あるいはむしろ深刻化している可能性が高い。

⬇︎シロナガスクジラの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
生息地の保全海洋の移動・回遊ルートや餌場となるプランクトン豊富な海域を保護・維持する活動。
航行・移動リスク軽減船舶との衝突(船体衝撃)を防ぐため、航路の見直し・速度制限・海域モニタリングなどを実施。
海洋ごみ・漁具絡まり対策漁網やプラスチックごみ、海中漂流物による絡まり・誤飲を防止するため、漁具管理・海洋漂流物回収・啓発活動等を展開。
国際的な取引・捕鯨規制商業捕鯨・取引の禁止や漁獲規制を、国際条約(例えば 国際捕鯨委員会 IWC)や国内法で実施。
保護区・重要海域の設定繁殖地・餌場・回遊ルートを含む海域を「海洋保護区(MPA)」や重要海域として指定・管理し、クジラの安全な生息を支援。
市民・地域参加漁業者・船会社・沿岸住民・観光業との協働による意識向上、教育プログラム、クジラ観察ガイドラインの普及。
研究とモニタリング個体識別、移動ルート、繁殖状況、海洋環境変化の影響などを衛星タグ、音響モニタリング、生態調査で継続的に把握。

主な取り組み

  • 船舶衝突防止のため、特定海域での船速制限等を導入
  • 漁網や海洋ごみによる絡まり・誤飲を防ぐため、漁具管理・漂流物回収を実施
  • 商業捕鯨禁止の国際協定を維持・強化
  • 繁殖・餌場・回遊路を含む海域を保護区として設定・管理
  • 沿岸地域の教育・啓発を通じてクジラ保護の理解を深める
  • 衛星タグや音響モニタリングによる個体の移動・生態の研究
  • 海洋環境変化(気候変動・海洋酸性化)への対応として、餌資源変化の監視

最後に

これを読んでみて、どのように感じましたか?

「気温が上がっているのは、やっぱり気候変動のせい? それとも、ほかにも理由があるのかな?」

気候変動って、一言で言ってもいろんな形がありますよね。

もう少し、くわしく調べてみます。


区分内容の概要
① 海氷の減少と季節性の変化南極オキアミは幼生期に「海氷と氷藻」に強く依存する。冬季の海氷が少ない、張る時期が遅い、解けるのが早いといった変化は、幼生の越冬や新規加入(リクルート)を弱め、のちの年の資源量に影響する。南西大西洋域では、夏の植物プランクトン供給と冬の海氷が高密度の鍵であり、海氷減はサルパ優占の増加も伴う。
② 海水温の上昇と“適地”の縮小・極域シフト水温上昇により、オキアミの成長に適した水塊が北から南(極方向)へ移動し、全体の「成長に適した面積」が減少する可能性がある。近年の総説では、高緯度外洋生態系が物理・生物地球化学的連鎖によって脆弱化しているとされる。
③ 海洋酸性化(pH低下)胚や幼生段階はCO₂増加に敏感であり、高pCO₂条件では胚発生が大きく阻害される。将来の酸性化がリクルートを弱めるリスクがあり、高水温との複合ストレスは相乗的に悪化する傾向が示されている。
④ 表層の“淡水化→成層強化”と基礎生産の質・量の変化氷床や海氷の融解による低塩分水が表層を覆うと成層が強まり、深層の栄養塩が湧き上がりにくくなる。その結果、大規模な珪藻ブルームが起きにくくなり、サイズの小さい植物プランクトンが優位になる。これはオキアミにとって“餌の量だけでなく質”の低下につながる。
⑤ 風系・海流・SAM(南半球環状モード)の変動偏西風の強化や海氷の広がり、季節性の変化がオキアミの産卵・孵化・幼生輸送・栄養供給のタイミングをずらし、“タイミングのミスマッチ”を引き起こす。こうした物理的変調は食物網全体に波及する。
⑥(補足)気候と重なる“人為圧”気候要因に加え、近年はオキアミ漁の集中・拡大も問題視されている。現在の生物量では、回復途上のヒゲクジラ類と拡大する漁業の両立が難しいとされ、気候ストレスに“追い打ち”をかける要因となる。2024–25季には記録的漁獲により異例の早期閉鎖も報じられた。
シロナガスクジラへの意味①〜⑤の要因が重なることで、「その年・その海域・その季節に高密度の群れが集まる時間と面積」が縮小し、クジラの摂餌効率が低下しやすくなる。これは繁殖成功や回遊パターンにも影響し、⑥の漁業圧が加わると“人とクジラの競合”が強まる。
まとめ「2014年に示されていた“気候変動でオキアミが手に入りにくい”」という骨子は、2025年の知見でも基本的に変わっていない。むしろ“原因の内訳”と“相互作用(温暖化×酸性化×海氷減×成層強化)”がより具体的に明らかになった。地域差・年変動が大きいため、最新研究では“どの海域のどの季節にどの程度”という視点で語られる。

「オキアミが減る=クジラが飢える」という単純な直線ではなく、いくつもの歯車が同時に噛み合いながら、“オキアミが獲れにくい時間と場所が増える”方向へ回っている印象である。
出典:Krill fishery in Antarctica shut down after record catch triggers unprecedented early closure

地域差や年ごとの変動はあるものの、主要因は次第にはっきりしてきている。


「人間はハーバー・ボッシュ法っていう“魔法”で生き延びてきたけど、クジラたちは自然に任せるしかないんだよね。」

ほんとに、その通りだと思います。

私たちは、化学の力で自然から必要以上の富を引き出しながら、ここまで発展してきました。
出典:United Nations Environment Programme

でもクジラたちは違います。
彼らは、自然のリズムの中で、自分たちの数や暮らしを調整しながら、静かに共存していくのでしょう。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

シロナガスクジラに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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