11年後のレッドリスト|バーナップハンターナメクジ:落ち葉の下で、希望が干からびる【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|バーナップハンターナメクジ:落ち葉の下で、希望が干からびる【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

今回は、バーナップハンターナメクジ(学名:Chlamydephorus burnupi)が、タマヤスデと手をつないだまま「負のエスカレーター」に乗っている――そんな話です。

この種は気候変動の影響を受けて、2014年の図鑑では「VU:危急」でした。そして最新のレッドリストでも、森林の乾燥化がさらに進んでいることなどから、評価は「VU:危急」のまま変わっていません。

だからバーナップハンターナメクジは今も、「落ち葉の下で、希望が干からびる」状態なんだと思います。

この記事は短く、5分で読めます。
よかったら最後まで読んでください。

※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2000年版です(以降の更新は確認されていません)。
※本種のIUCN評価は2000年版が最新で、近年の乾燥化などの影響が評価に反映されているとは限りません。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Chlamydephorus burnupi

見えない連鎖が森を壊す:タマヤスデから始まる“負のエスカレーター”

⬇︎バーナップハンターナメクジの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

基本情報|バーナップハンターナメクジ(英名:Burnup's hunter slug)
項目情報
和名バーナップハンターナメクジ
英名Camel huntingslug / Burnup’s hunter slug
学名Chlamydephorus burnupi
分類動物界・軟体動物門・腹足綱・有肺目(Stylommatophora)/(広義に)Rhytididae(※文献上はChlamydephoridaeとして扱われることもある)
分布南アフリカ固有(ナタール・ドラケンスバーグ中央部の山麓〜ポート・セント・ジョンズ周辺)
主な生育地霧がかかる山地帯のポドカルプス林(落ち葉層の中、石や倒木の下)
大きさ伸びた状態で約8cm
体重(ナメクジのためデータが一般に示されにくい)
寿命明確な目安は資料が限られる(詳細不明)

特徴

  • 捕食性:英名に“huntingslug”と付く通り、獲物を食べるタイプの陸生ナメクジである。
  • 見た目:体色はオレンジ〜赤褐色で、体側にギザギザした稜(けい)が並ぶ。体の途中に“こぶ”のような盛り上がりがある。
  • くらし方:落ち葉の下や倒木・石の下など、暗く湿った隠れ場所に潜むタイプである。
  • 保全状況:IUCNではVU(危急)として掲載され、個体群の分断と生息地の減少が問題とされる(2000年掲載)。

生態と行動

  • 生息環境:霧が出る森林帯の落ち葉層で、石や倒木の下にいることが多い。
  • 食べもの:ダンゴムカデ(pill-millipedes)を捕食することが知られ、カタツムリやミミズも食べる可能性がある。
  • 狩りの方法:獲物を動けなくする毒(あるいは毒性物質)を使っている可能性が示唆されている。
  • ふえ方(繁殖):陸生の有肺類ナメクジのため、一般には交尾後に卵を産むが、本種の繁殖生態は詳しい記録が多くない。
  • 脅威:生息地の減少・劣化により、分断された個体群がさらに弱くなることが懸念される。

最終評価2000年:バーナップハンターナメクジ「VU:危急」

このナメクジはタマヤスデなどの他の無脊椎動物の捕食者である。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

区分要点(結論)詳細(根拠・補足)
0. 対象種バーナップハンターナメクジ(Chlamydephorus burnupiは「捕食性(ハンター)」という特殊な生態をもつ、非常に珍しいナメクジ「魅力的で少し恐ろしい」と感じるポイントは、この種が“草食・腐食”のイメージが強いナメクジ類の中で、はっきり捕食者として成立している点にある
1. 現在の保全状況IUCNレッドリストでは「VU:危急(Vulnerable)」に分類されているこの評価は2000年代から継続している一方で、生息地の状況は年々厳しさが増しており、実態としてはより深刻化している可能性がある、という懸念が示されている
2. 重大な危機①生息地の断片化と喪失が致命的南アフリカ共和国クワズール・ナタール州の霧帯林(ミストベルト・フォレスト)という限定環境に依存。特に「ポドカルプス(ナギ)の森」が、農業開発/違法伐採/商業的植林などで分断される。移動能力が低いナメクジにとって、分断=個体群同士の交流断絶につながりやすい
2. 重大な危機②外来種の侵入と環境変化で、足元の“住処”が崩れる外来植物の拡大により、地表の落ち葉層(リター層)の湿度が保ちにくくなる。さらに家畜の踏みつけ/過放牧が、倒木・石の下などの隠れ家環境を壊し、微小な湿潤環境(ナメクジが生きる“室内”みたいな空間)を奪っていく
2. 重大な危機③気候変動と火災リスクが、霧帯林の前提を揺らす霧帯林は霧による水分供給に依存するが、温暖化などで霧の発生パターンが変化し得る。乾燥化が進むほど、もともと起こりにくいはずの森林火災のリスクが上がり、湿潤環境を好む本種には死活問題になる
3. 生態的特徴(恐ろしさの核)タマヤスデ(Pill Millipedes)を主食にする特化型捕食者獲物を見つけると、麻痺性の毒(あるいは消化液)を注入して動きを止め、ヤスデの硬い殻の隙間から中身を食べる、という“特化した捕食戦術”が語られている
4. 連鎖リスク獲物依存のため、獲物側の減少が直撃する特定の獲物(タマヤスデ)に依存しているので、環境変化でタマヤスデが減れば、バーナップハンターナメクジも即座に影響を受ける。つまり「住処が壊れる」だけでなく「食べ物の土台が崩れる」危険も同時に抱える
5. もう1つの危機(社会側)「無関心の危機」:目立たないため支援が集まりにくいパンダやトラのような“看板種”ではない固有種のため、保全資金や関心が集まりにくい。状況が改善しない背景には、生態の難しさだけでなく「注目されにくさ」そのものが絡んでいる
6. まとめ(必要なこと)2014年→現在で改善したとは言いにくく、むしろ構造的に厳しい生息地は限定的で、分断・外来種・乾燥化(火災リスク)という複数の圧力が重なり、さらに社会的関心の薄さが追い打ちになる。今必要なのは、霧帯林の保全(分断の抑制)と足元環境の維持、そして“目立たない命”にも支援が届く仕組みづくり、という方向性で整理できる
バーナップハンターナメクジ(Chlamydephorus burnupi)はIUCNでVUに分類される捕食性ナメクジで、南アフリカの霧帯林に局在する。生息地の分断・喪失、外来種や過放牧による微小湿潤環境の劣化、気候変動に伴う乾燥化と火災リスクが主要脅威である。タマヤスデへの高い食性特化により獲物減少が直接的な個体群低下を招く。加えて、目立たない固有種であることが保全資源の不足を助長する。

⬇︎バーナップハンターナメクジの保護活動の種類です。必要なら開いてください。

保護活動の種類内容の概要
生息地(森林・林床)の保全本種はクワズール・ナタール州のミストベルト〜山地のポドカルプス林(イヌマキ類の森林)にある落ち葉層(リター層)に強く依存するとされるため、伐採・開発を抑え、林床の湿り気と腐植環境を維持する。
出典:Bush Warriors
森林の分断化・劣化の抑制生息地の縮小や劣化がリスクとなり得るため、森林パッチ間の連結性(回廊)確保、周辺の土地利用(農地化・宅地化・植林転換など)の影響低減を進める。
出典:ResearchGate
保護区・重要生息地の設定と管理既存の自然保護区・保全地域において、落ち葉層の維持(過度な下草刈りの抑制、踏圧の管理など)を含む“微小生息地”レベルの管理を組み込む。
出典:Bush Warriors
法的保護・採集規制地域法令のリスト(モルスク類の区分)にChlamydephorus burnupiが掲載されており、採集・移動・取引等を許可制にするなど、直接的な捕獲圧や持ち出しの抑制に資する。
火災・外来種・侵入植物などの管理林床の乾燥化や環境改変(火入れ、侵入植物による植生変化等)は落ち葉層の質を変えうるため、森林管理計画の中でリスク因子を低減する(実施は地域の実態に応じて)。
出典:Bush Warriors
研究とモニタリング分布域が限られる可能性があるため、定期的な生息確認、森林パッチごとの出現状況、微小環境(湿度・リター層厚など)と個体出現の関係を調査し、保全優先度を更新する。
出典:PMC
教育・関係者連携森林保全(踏み荒らし抑制、保全林の維持、地域の開発計画への配慮)について、土地所有者・自治体・保護区管理者・市民の協働を促し、保全行動を継続可能にする。
出典:ResearchGate

最後に

読んでみて、どう感じましたか?

気候変動で乾燥化が進むって話があったけど、ナメクジが食べるタマヤスデのほうは大丈夫なのかな?もしタマヤスデが減ったら、ますますナメクジも減っちゃいそうで心配なんだよね。

うん、そこ気になりますよね。
食物連鎖でつながってるタマヤスデ側がどうなるかは、かなり大事なポイントだと思う。

ちょっと調べてみるね。


観点要点(結論)詳細(理由・補足)
全体像タマヤスデも、ナメクジと同様、あるいはそれ以上に深刻な危機にある生息地の環境悪化に弱く、移動能力も低いため、いったん条件が崩れると立て直しが難しい、という前提がある
1. 増えている?減っている?生息地(南アフリカの森林)では、「著しく減少している」と考えられているタマヤスデは翅を持たず移動力が極めて低い。環境が悪化しても逃げにくく、局所的な条件変化がそのまま個体群の減少につながりやすい
脅威①:乾燥への弱さ乾燥に極端に弱いため、霧帯林の乾燥化が直撃するタマヤスデは湿った落ち葉層(リター層)で暮らし、湿った葉を食べて分解する「森の掃除屋」。乾燥で落ち葉がパサパサになると、生活環境そのものが成立しにくくなる
乾燥化の具体像乾燥化が進むと、呼吸や体温調節ができなくなる、とされる霧帯林が乾き、落ち葉層の湿度が落ちることで、タマヤスデの生理に負荷がかかる、という説明になっている
致命的な脱水一定以下の湿度になると急激に水分を失い、死亡につながる「餌であるナメクジが喉が渇く前に、タマヤスデが先に姿を消す」という、乾燥耐性の差を強調している
脅威②:生息地の細分化森が分断され、小さな森に取り残された個体群が消えやすいクワズール・ナタール州では、森林が農地・植林地により分断。タマヤスデは「数百メートル先の別の森」への移動すら困難な種が多い、という前提がある
局所絶滅の連鎖取り残された小集団が、乾燥や火災で次々に局所絶滅していく森が“点”になると、単発の乾燥・火災がそのまま「逃げ場なしの全滅」になりやすい、という構造が示されている
2. 共倒れの仕組みタマヤスデ減少は、ナメクジにとって単なる食糧難以上の問題捕食者(ナメクジ)が“専門化”しているため、獲物側の減少が直ちに捕食者の存続に響く、という「専門化の罠」を説明している
偏食の代償ナメクジはタマヤスデに特化した「スペシャリスト」で、代替が効きにくい他の餌で代用できない(できにくい)ため、タマヤスデが減る=ナメクジの餓死に直結する、というロジックになっている
栄養循環の停止タマヤスデ減少は、森全体の循環にも悪影響を及ぼす落ち葉分解が進まず土壌が痩せる → 植物が育ちにくくなる → 森がさらに乾燥する、という悪循環(負のフィードバック)が生まれる、という説明
3. 生態系の「沈黙の崩壊」タマヤスデは多様だが、狭い範囲にしかいない固有種が多い南アフリカでは50種以上が確認されている一方で、多くが限定的なエリアに局在する、とされている
比喩(警鐘)「タマヤスデが消える=森の消化器官が失われる」分解者としての役割を、森林の“消化器官”にたとえ、機能喪失の深刻さを強調している
指標としての意味捕食者(ナメクジ)が危機=土台(タマヤスデ層)がすでに崩れている兆候捕食者は生態系ピラミッド上位に近い。上位が危機にあるのは、下位(分解者・一次消費者)の層がボロボロになっている“結果”でもある、という見立てになっている

これってさ、タマヤスデがいなくなっちゃうと、森の木々をつないでる菌根菌にも、かなり影響が出るんじゃないかな。
気候変動で乾燥化が進んで、木々がなんとか踏ん張っていても、土の中が大変なことになってそうでさ。

うん、そこも気になりますよね。
少し長くなりますけど、気になったので調べます。


テーマ要点(結論)根拠・補足(研究例/注意点)
全体像タマヤスデが減ると、「ナメクジの餌が消える」だけでなく、分解・栄養循環・土壌構造まで連鎖して弱り、森の“基盤”が崩れやすくなるタマヤスデ(分解者)が担うのは、落ち葉を“土に戻す”入口。ここが細ると、上(捕食者)も下(菌・土壌)も同時に傷む、という見立て。
1) 菌根菌ネットワークと「運び屋」タマヤスデは、菌根菌(特にAM菌など)の繁殖体(胞子など)を“運ぶ”ことで、菌の定着機会を増やしうるタマヤスデ(=ピルミルピード)の糞粒からAM菌胞子が検出され、最大で97%が生存(viable)という報告例がある。
出典:ResearchGate
ただし「ウッド・ワイド・ウェブ(菌根菌ネットワーク)」の働きや物語化された主張には、近年とくに慎重論・批判的検討もあるため、比喩として扱うのが安全。
出典:PubMed
2) フンが「菌のゆりかご」になるタマヤスデの糞粒は、落ち葉を細断し、微生物が利用しやすい形に変える“足場”になり得るピルミルピードの糞(manure / faecal pellets)で、窒素・リン・カルシウム等の増加が示され、分解・土壌改良の観点から議論されている。
出典:スプリンガーリンク
3) 「物理的な乾燥」から土を守る(土壌エンジニア)動き回り・摂食・排泄が、土壌の団粒化(粒のまとまり)や孔隙(すき間)に関わり、保水や通気に間接的に効きうる例として、ミルピードが土壌の団粒化を促進した実験報告がある。
出典:サイエンスダイレクト
また、土壌動物の糞が団粒形成の核(nuclei)になり得るという整理もある。
出典:Nature
4) 2030年に向けた連鎖崩壊シナリオ(負のエスカレーター)タマヤスデ減少 → 分解・菌の活動低下 → 土が痩せる/乾きやすくなる → 樹木が弱る → 林冠が薄くなる → 地表乾燥が加速 → さらにタマヤスデが住みにくくなる、という悪循環が起こり得る団粒化や栄養循環が弱ると、森林はストレス(乾燥・病害虫・火災リスクなど)への耐性を失いやすい、という“方向性”の話。ミルピードが土壌過程に影響し得ること自体は複数の研究で示唆される。
出典:サイエンスダイレクト

タマヤスデが減る → 分解や菌の働きが弱る → 土が痩せて乾きやすくなる → 木が弱る → 林冠が薄くなる → 地表がもっと乾く → さらにタマヤスデが住みにくくなる……って流れだと、みんな仲良く「無限ループの負のエスカレーター」に乗っちゃってるってことだよね。
無限ループなら、このまま回り続ける可能性もあるのかもしれないけど、間違いなくそのエスカレーターは、みんなそろって“絶滅”っていうゴールを目指してる気がする。

「無限ループの負のエスカレーター」って、言葉だけでもちょっと怖いですね。しかも、そのエスカレーター自体が回転しながら、みんなまとめて絶滅にゴールインしていく……みたいなイメージでしょうか。

うん、そう考えると結論はひとつで、なんとかしてこのエスカレーターの“スイッチ”を探して止めないといけない、ってことになりますよね。
じゃあスイッチはどこにあるんだろう? そもそも、このエスカレーターを動かしてる“元”は何なんだろう?って掘っていくと、やっぱり乾燥化を招いている気候変動に行き着くんです。

そして、その気候変動を招いた張本人は人類――ってことになるから、結局は私たち一人ひとりの意識を変えることで、少しはエスカレーターのスピードを弱められるんじゃないか、って想像します。

でもね。どこを探しても、このエスカレーターを止めるスイッチが見当たらないんですよ。
きっとこれは「一度動いたら止まらない仕組み」なんだと思う。で、私たち人類は、そのエスカレーターの電力を作るために、ルームランナーっていう発電機の上で必死に走ってる……そんな感じ。

だったら、少し足を止めれば電力が弱まって、エスカレーターも弱まるんじゃないか、って考えたくなる。
でも、これには世界中の人が乗って走ってるんですよね。だから一人だけ止まると、その人はベルトの上で転んで、怪我をしてしまう。

だから、ゆっくりでいいから、できれば“みんなで”走るのをやめて、歩くことに変えて、やがて止まって、顔を見合わせて笑えるようになれたら――
そのとき、今は見えないエスカレーターのスイッチが、ふっと現れるんじゃないか。私はそんなふうに感じています。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

バーナップハンターナメクジに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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