※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
こんにちは、鶏人|Keijin です。
ナタールモリキリギリス(Paracilacris periclitatus)は、
2014年、図鑑に【CR:深刻な危機】として分類されていました。
2014年、IUCNレッドリストで、【CR:深刻な危機】と評価されました。
つまり、2014年から、ナタールモリキリギリスは
「変わらないのは、危機の深さだった」状態なのです。
※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるナタールモリキリギリスの最新評価は2014年版です。それ以降の更新は行われていません。
この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/20640832/56180103
追いつけない進化、揺れる選択:支援移動と地下ネットワーク
⬇︎ナタールモリキリギリスの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 和名 | ナタールモリキリギリス |
| 英名 | Imperiled Grass False Shieldback(地域レッドリストでの呼称) |
| 学名 | Paracilacris periclitatus |
| 分類 | 昆虫綱・バッタ目(Orthoptera)・キリギリス科(Tettigoniidae)/(論文では)Meconematinae の新種として記載 |
| 分布 | 南アフリカ・クワズールー=ナタール州の1地点のみで知られる |
| 主な生息環境 | 自然のポドカルプス林(Podocarpus forest)の小さな残存パッチ(周囲はマツ・ユーカリの植林地) |
| レッドリスト | (南ア地域)CR:深刻な危機/2014年評価 |
| 分布の規模 | EOO/AOO ともに非常に小さく、AOO は 約4 km² とされる |
特徴
- 飛べない(flightless)タイプのキリギリスとして報告されている(=移動・分散に不利になりやすい)
- これまで1つの森パッチでしか見つかっておらず、分布が極端に限られる
- 生息地が小さいため、小さな攪乱でも種全体に致命的になり得る、と評価文で明記されている
生態と行動
- 暮らしの舞台:クワズールー=ナタール州のポドカルプス林の残存パッチ(自然林)
- 個体数・増減:個体数やトレンドは「情報なし」とされている
- 主な脅威:自然林が、外来樹種を用いた植林(マツ・ユーカリ等)の造成/転換によって失われること
- 保全状況:特別な保全策は確認されておらず、保護区内にいるかどうかも不明(少なくとも「保護区での確認はない」扱い)
2014年絶滅危惧種:ナタールモリキリギリス【CR:深刻な危機】
南アフリカの草原バイオームを支えているのは、たびたび起こる自然火災である。火災がなければすぐに草原は原生林に移行するので、全体の景観としては、いくつかの小さな森林が基盤状の草原に囲まれたようになっている。しかしその草原部分は急速に商業目的の木材プランテーションへと変えられ、南アフリカの気候で成長するヨーロッパ産やオーストラリア産の樹木が植えられている。
出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014
| テーマ | 要点 | 影響・補足 |
|---|---|---|
| 外来種の植林(現在) | 今も大規模に継続。南アの林業は外来樹種に依存(固有樹は成長が遅く需要を満たしにくい) | 主流:マツ(北半球)/ユーカリ(豪州)/アカシア(豪州)。水消費・草原改変で生息地を圧迫。近年は河川沿い回避や回廊確保などガイドライン強化も、植林自体は続く |
| 火災(昔から) | 火災は古くからの自然サイクル(草原・フィンボスの“維持装置”) | 火がないと低木→森林化が進み、草原が失われる。火に適応した植物(煙・熱で発芽する種など)も多い |
| 火災(いま起きている変化) | 火災そのものは昔からあるが、頻度・強度が変化しやすい | 高温・乾燥で火が強くなり、本来燃えにくい森林パッチまで焼損リスク。外来樹種(ユーカリ・マツ等)が燃え方を激しくし、大火災化の要因になり得る |
南アフリカでは、木材需要を背景に外来樹種(マツ・ユーカリ・アカシア)による商業植林が現在も継続しており、地下水消費の増大や草原生態系の単純化を通じて生物多様性に負荷を与える。
火災は草原・フィンボスで太古から機能してきた攪乱要因だが、近年は気候変動と外来植生の影響により頻度・強度が変化し、森林パッチの焼損リスクが高まっている。
⬇︎ナタールモリキリギリスの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎
| 保護活動の種類 | 内容の概要 |
|---|---|
| 生息地の保護 | 本種は、南アフリカ(クワズールー・ナタール州)のごく小さなポドカルプス(Podocarpus)林の残存パッチ1か所でしか確認されていません。まずはこの“最後の森”をそのまま守ることが最優先です。 |
| 外来樹木プランテーション拡大の抑制 | 生息地は周囲をマツやユーカリの植林地に囲まれており、今後も自然林→外来樹木植林(あるいは栽培地)への転換が最大の脅威とされています。転換計画の回避・停止が重要です。 |
| 保護区・保全協定の設定 | 現時点で保護区内にいることは確認されておらず、特化した保全措置もないとされています。土地所有者・林業企業と合意し、保全協定や小規模保護区(マイクロリザーブ)化を目指すのが現実的です。 |
| 生息地の質の維持(森林管理) | 分布が極端に狭いため、伐採・下層植生の改変などの小さな撹乱でも種全体の存続に直撃します。残存林の管理方針(伐採回避・攪乱最小化)を明確化します。 |
| 研究とモニタリング | 個体数や増減の情報は不明とされます。定点調査で生息確認・個体数の目安・季節性を把握し、状況を更新することが保全の土台になります。 |
| 開発・伐採計画の監視 | 「近い将来に耕作(転換)される見込み」とされるため、周辺の森林施業・土地利用計画を継続的に監視し、転換が起きる前に止める体制が必要です。 |
| 取引・採集の扱い | 利用されていないとされています。保全の主戦場は取引規制ではなく、徹底して生息地保全(転換阻止)です。 |
最後に
これを読んでみて、あなたはどう感じましたか?
「火に適応した植物(煙や熱で発芽する種など)も多い」って話がありましたよね。
それを読んで、私はふと「じゃあ気候変動にも、そのうち都合よく適応できる植物が出てくるのかな?」って思ったんです。
でも、火への適応は“火のある環境”に合わせて進んだもので、気温上昇みたいな変化にすぐ対応できる新しい種がポンっと生まれる、みたいな話とは別っぽいですよね。そんなにうまくはいかないのかな、とも感じました。
私も、気候変動の気温変化に即座に対応できる種が生まれる確率って、ちょっと気になります。
なので、調べてみますね。
| 観点 | 要点(言いたいこと) | 補足・キーワード |
|---|---|---|
| 大前提:時間スケールの違い | 火災適応は数万〜数百万年かけて獲得。一方、気候変動は数十年〜百年で進むため、スピード差が“決定的な壁”になる。 | 進化の速度 vs 環境変化の速度 |
| 結論(科学界の主流) | 多くの植物、とくに樹木は「進化による適応」が気候変動に間に合わない可能性が高い。 | シビアな見解 |
| 「適応」の誤解ポイント | 環境変化への対応には大きく2種類ある。 | 可塑性/進化 |
| A. 可塑性(かそせい) | 遺伝子は変えず、個体がその場で調整する“とりあえずの対応”。 | 開花時期の調整、葉を小さくする等/限界あり |
| 可塑性の限界 | もともと持つ能力の範囲内でしか調整できず、未経験の酷暑・乾燥など“限界超え”には耐えられない。 | 閾値(しきい値)問題 |
| B. 進化(しんか) | 突然変異→生存→繁殖で、種全体の性質が変わる“遺伝子レベルの書き換え”。 | 必要なのは世代交代の時間 |
| なぜ「新しい種がポンっと」は難しい?① | 樹木は世代交代が遅い(花を咲かせるまで10年〜数十年)。変化が速すぎて追いつけない“タイムラグ”が起きる。 | 進化的救助(Evolutionary rescue)は短命植物で起きうる |
| なぜ「新しい種がポンっと」は難しい?② | 火への適応は「数年〜十数年に一度の火災」前提。火災が毎年級になると、苗が種を作る前に焼かれ回復不能になり得る。 | 適応のミスマッチ/機能不全 |
| 研究者の見立て① | 多くの植物は“進化”より“移動”で逃げようとする(涼しい場所へ分布をずらす)。 | 標高上昇・高緯度側への移動 |
| 研究者の見立て② | 気候変動の進行が、植物の移動(種子散布)速度より速く、逃げ遅れる種が出る。 | 分布シフトの限界 |
| 研究者の見立て③ | 「絶滅の負債」:森が残って見えても老木が生きているだけで、次世代が育たず将来の消失が“先送り”されている状態があり得る。 | Extinction Debt/「死んだ森が立っている」表現 |
| わずかな希望 | エピジェネティクス:DNA配列は変えずに、遺伝子スイッチのON/OFFの“記憶”が親から子へ伝わる可能性。 | 後成遺伝/適応の前倒しの可能性 |
| まとめ | 都合よく短期で新種が生まれて追いつく確率は低い。多くの植物は「進化する前に、移動するか絶滅するか」の局面にある。 | 進化<移動・絶滅の瀬戸際 |
| 人間側の論点 | 介入として「支援移動(Assisted Migration)」が必要かは議論が激しい。自然に任せるか、人が手を貸すかは倫理問題にもつながる。 | 保全の介入/倫理 |
火災適応は数万〜数百万年の選択圧の下で形成されたのに対し、現代の気候変動は数十〜百年で進行するため、進化による追随は多くの植物、とくに世代交代の遅い樹木では速度的に間に合わない可能性が高い。短命草本では進化的救助が起こり得るが、火災頻度の増大は既存の適応をミスマッチ化させる。
結果として移動による回避が中心となる一方、移動速度の限界や絶滅の負債が懸念され、エピジェネティクスや支援移動が検討されている。
やっぱり、進化のスピードだけで気候変動に追いつくのは難しそうなんだね。
でも、そこで出てきた「支援移動(Assisted Migration)」って気になる。これって、簡単に言うと「人間が種(タネや苗木など)を“より生き残れそうな場所”へ意図的に移してあげる」ってことだと思っていいのかな?
たしかに、気になる支援だよね。
ちょっと調べてみますね。
支援移動(Assisted Migration)の3つのレベル
| レベル | 呼び方 | 内容(イメージ) | 主な目的 | リスク感 |
|---|---|---|---|---|
| 低 | 集団内の移動(Forestry focus) | 同じ種の中で「暑さに強い系統の苗」を、将来暑くなる地域へ植える | 林業の生産維持 | 低 |
| 中 | 分布域の拡大(Range expansion) | 本来の分布域から「少しだけ北(涼しい場所)」へ、種まき・植栽を手助け | 自然な移動を“前倒し”で加速 | 中 |
| 高 | 種の長距離移動(Species migration) | 絶滅回避のため、別の地域・別の国など「遠く」へ移す | 緊急避難(絶滅回避) | 極めて高 |
メリット(期待されること)
| 期待される効果 | 内容 |
|---|---|
| 絶滅の回避 | 自力で移動できない植物や、動きの遅い生き物を“確実な死”から救える可能性 |
| 森の機能維持 | CO₂吸収、土砂崩れ防止など「森の機能」を保ちやすくする |
| 林業・経済の保護 | 木材産業の崩壊リスクを下げる |
デメリット・リスク(議論の核心)
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 「外来種」化する危険 | 移動先で天敵が少なく大繁殖し、在来の希少種を駆逐する可能性 |
| 病気の持ち込み | 土や微生物ごと移動するため、新天地に病害を広げる恐れ |
| 移動が失敗する可能性 | 気候が合っても、土壌・日照などが合わず枯れることがある |
| 「自然」ではなくなる問題 | 人が配置を決めた森は“巨大な庭園化”では?という倫理的批判 |
まとめ(究極の選択)
| 論点 | 要点 |
|---|---|
| なぜ揉めるのか | 「何もしなければ絶滅」vs「手を出して生態系を壊すかもしれない」 |
| 現在の動き(例) | 林業分野では、レベル1(暑さに強い苗を北へ)のような試みが議論・検討されている |
支援移動(Assisted Migration)は、気候変動下で生物の分布変化を人為的に補助する介入であり、①種内系統の移植(集団内移動)、②分布域外縁への拡大(range expansion)、③分布域外への長距離移入(species migration)の3段階に整理できる。期待される効果は絶滅回避、森林機能(炭素吸収・防災)の維持、林業・経済的損失の緩和である。
一方、外来種化や病原体持ち込み、移植失敗、自然性の毀損といった生態学的・倫理的リスクが増大し、実施可否は段階に応じた慎重な評価を要する。
植物って「根っこで通信している」って話、聞いたことがあります。そう考えると、木を引っこ抜いて移動させるにしても、種を別の場所にまいて育てるにしても、もともとその土地で出来上がっていたネットワークを途中で切ってしまうことになる気がするんですよね。
私もそこは同じように感じます。樹木は根を通して、土の中の細菌や菌類たちとやり取りしながら、協力し合って、すごく長い時間をかけて関係を積み上げてきたはずです。だから、たとえ遠くの土地で根を下ろして「育つ」こと自体はできたとしても、そこから先は、また一から新しいネットワークを作り直さなきゃいけない。私たち人間が思っている以上に、時間もエネルギーも、そして何かしらの犠牲も必要になるんじゃないかな、と思います。
出典:Net transfer of carbon between ectomycorrhizal tree species in the field
そう考えると、植物たちや他の生き物たちのためにも、まずは人類が招いてしまった気候変動のスピードを、どうやって少しでも緩められるか――そこに力を注ぐべきなんじゃないか、そんなふうに感じています。
ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?
コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。
あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。
ナタールモリキリギリスに、あなたの5分が届くことを祈ります。
鶏人|Keijin




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