11年後のレッドリスト|アゾレスウソ:祈りの先に、土が動く【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|アゾレスウソ:祈りの先に、土が動く【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

今回は、アゾレスウソ(学名:Pyrrhula murina)が暮らすアゾレス諸島を襲っている「低気圧フランシス」の話です。

アゾレスウソは、2014年の図鑑では「EN:危機」とされていました。ところが最新のレッドリストでは、外来種の侵入を抑えるなどの保護活動が効いてきたこともあって、「VU:危急」まで回復しています。

ただ、それで安心できるかというと、まだそうでもなくて。保護を続けないと戻ってしまうかもしれない“保護依存”の問題や、気候変動で土砂崩れが増えるかもしれない不安も残っています。だからアゾレスウソは今も、きっと「祈りの先に、土が動く」――そんな状態なんだと思います。

この記事は短めで、5分くらいで読めます。
よかったら、最後まで読んでみてください。

※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2021年版です(以降の更新は確認されていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Pyrrhula murina

回復は続く、でも安心はできない|アゾレスウソ保全の『次の壁』

⬇︎アゾレスウソの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|アゾレスウソ(Azores Bullfinch)
項目情報
和名アゾレスウソ(アゾレス鷽)
英名Azores Bullfinch
学名Pyrrhula murina
分類鳥類・スズメ目・アトリ科・ウソ属
分布ポルトガル領アゾレス諸島(サン・ミゲル島のみに分布)
主な生息環境湿潤な山岳雲霧林(特に在来植物が優占する原生林)
体長約16cm
体重約30g
寿命詳細不明(近縁種の寿命は5〜10年程度)

特徴

  • 名前の由来:「アゾレスウソ」は、アゾレス諸島にのみ生息し、「ウソ属」に分類されることからこの名前が付きました。
  • 体色:頭部は黒く、背中や腹部は灰色〜淡褐色で、他のウソ属よりも落ち着いた色味が特徴です。
  • くちばし:太くて短く、種子を割るのに適した構造をしています。
  • 鳴き声:他のウソと比べて控えめな鳴き声で、「チッ チッ」という音が特徴的です。

生態と行動

  • 極めて限定的な分布:世界でもアゾレス諸島サン・ミゲル島の一部にしか生息しておらず、生息域はごく狭い。
  • 食性:在来植物(特にセラド・ド・ジョゼフィナなどの木本植物)の果実や種子、芽などを食べます。
  • 繁殖期:5〜8月にかけて繁殖し、樹上に小枝を使った巣を作ります。

最終評価2021年:アゾレスウソ【VU:危急】

この種とその生息域を対象とした保護努力が成功しているため、最近になって危急度の評価は絶滅危惧IA類から引き下げられた。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / ページ 1 / ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

観点現在(2026年)までの状況(要点)詳細・背景(短縮版:だいたい半分)
1. レッドリスト・ステータスアゾレスウソ(Pyrrhula murina)は成功例として扱われ、現在もVU(危急)を維持している。評価の推移:2005年CR → 2010年EN → 2016年〜現在(2026年)VU。2014年当時は移行期だったが、その後もVUで安定しており、回復傾向は継続している。
2. 個体数・生息状況最新データ(2025年後半)では、成鳥約600〜1,600羽で安定。過去の激減からは大きく回復した。1990年代は100組未満まで減った時期があり、現在は明確に回復レンジにある。ただし生息域はサンミゲル島東部(ピコ・ダ・ヴァラ周辺)に限定され、範囲の狭さが弱点。保護で「質の高い生息地」は維持されている。
3. 成功を支える継続的な活動成功継続の中心は、EUのLIFESPEAなどによる長期プロジェクト。“一度やって終わり”ではなく、維持管理で成功を継続しているのが特徴。柱は3つ。①外来植物の除去+再侵入防止(例:トベラ、ジンジャーリリー等)②月桂樹林(ローレルフォレスト)の再生:数十万本規模の植樹で通年の餌環境を整備③エコツアー等で地域と連携し、保護が地域の仕組みに組み込まれている。
4. 今後の課題と展望傾向は良いが、依然として保護活動への依存度が高い。フェーズは「増やす」から「維持する」へ。生息域が極端に狭いため、外来種管理などを止めると、再び危機に戻る可能性が高いとされる。加えて近年は、気候変動による極端気象(例:土砂崩れ)の影響が新たな調査対象になっている。
まとめ2026年現在、アゾレスウソの保護は成功したまま維持されていると整理できる。絶滅寸前から脱し、回復と生態系復元が同時に進んだ好例。ただし“自走”というより、管理で安定させている回復であり、継続が鍵になる。
アゾレスウソ(Pyrrhula murina)は、2005年CR、2010年ENを経て、2016年以降はVUで推移し、回復傾向が維持されている。2025年後半の報告では成鳥約600〜1,600羽が安定し、生息地はサンミゲル島東部に限局する。EU LIFEとSPEA等による外来植物管理、月桂樹林再生、地域連携が成果を支える一方、保護依存性と気候変動のリスクが課題である。

⬇︎アゾレスウソの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
生息地の保護アゾレス諸島サンミゲル島の在来林を保全し、外来種植物の除去と植生回復を実施
外来種対策ネズミやネコなど捕食者の管理、外来植物の駆除による餌資源と営巣環境の回復
繁殖地の保護繁殖期(春〜夏)には営巣地周辺の立ち入りを制限し、巣の破壊や攪乱を防止
国際的な取引規制法的保護(EU+国内):EU野鳥保護指令とポルトガル法により保護され、主要生息地はNatura 2000のSPAに指定されている。
保護区の設定生息地を含む地域を自然保護区として指定し、森林の持続的管理を推進
市民・地域参加地元住民や学校による植樹活動や外来種除去、環境教育プログラムを展開
研究とモニタリング個体数・繁殖成功率・餌資源の変化を長期的に調査し、保全計画の改善に活用


主な取り組み

  • 森林保全:在来植物を守り、外来種を駆除して生息環境を回復
  • 捕食者対策:ネズミやノネコなどの外来捕食者を管理
  • 繁殖期保護:営巣地周辺への人の立ち入りを制限
  • 国際保護条約:CITESにより国際取引を禁止
  • 保護区整備:生息地を含む地域を自然保護区として管理
  • 住民参加:植樹や外来種駆除に地域住民が協力
  • 生態調査:個体数や繁殖状況を継続的にモニタリング

最後に

これを読んで、あなたはどう感じましたか?

「ずっと助け続けないと、また危機的な状況に戻ってしまうかもしれない」っていう“保護依存”の状態が心配されてる、って書いてありましたよね。
でも、そもそも外来種を招き入れたのは人間なんだから、私はもう「がんばって」としか言えないかな。
それよりも、気候変動の影響でアゾレス諸島のどこかで土砂崩れみたいなことが起きてるほうが、正直気になります。

たしかに、気候変動の影響が出やすそうな場所っぽいですもんね。

そのあたり、もう少し詳しく調べてみます。


観点要点(2026年1月時点の整理)詳細(背景・なぜ危ないのか/アゾレスウソへの意味)
1. いま起きていること(低気圧フランシス)IPMA(ポルトガル海洋大気庁)命名の低気圧「FRANCIS」の影響で、2026年1月1日はアゾレス諸島で不安定な天気(にわか雨・強風・高波)になっている。IPMAの特別情報では、1月1日は全島でにわか雨(特に中央群で頻度高く、時にやや強い)とされる。風は北寄りで、東部群は最大で瞬間風速(突風)95km/h級の見込み。波も2〜4m →(中央群)4〜5m、(東部群)5〜6mへ増大とされ、海も荒れやすい。
2. 土砂崩れが怖い“土地の条件”アゾレス諸島(特にサンミゲル島)は、雨と斜面崩壊が結びつきやすい。大雨が来ると「崩れる条件」が一気に揃う。サンミゲル島は急斜面も多く、地質・地形の条件上、雨が続くと浅い崩壊や土砂移動が起きやすい。実際、研究ベースの整理では、サンミゲル島の土砂災害のトリガーの主因は降雨(70%)とされている。
3. 「70%が雨」=いまの低気圧が直結する理由土砂崩れが“地震だけの話”じゃなく、雨が主役になっているのがポイント。だから、嵐(強雨)が来るたびに緊張感が跳ね上がる。降雨が引き金のイベントが多数派ということは、「雨の質(短時間に集中する/降り方が荒い)」が変わるほど、発生パターンも変わり得るということ。雨が続く→地盤が重くなる→一気に滑る、が現実の主要ルートになる。
4. アゾレスウソにとっての“絶望的なシナリオ”アゾレスウソは生息域が極端に狭く、サンミゲル島東部(ピコ・ダ・ヴァラ周辺)に集中しているため、そこで大規模崩壊が起きると「一撃」が致命傷になり得る。生息地が一点集中だと、災害は“局所災害”では済まない。もし生息地の月桂樹林(ローレルフォレスト)や餌場が土砂で損傷すると、越冬期の食物確保・繁殖期の回復に連鎖で効いてくる。個体群の大部分が同じ場所に依存しているほど、被害の吸収余地が小さい。
5. 2026年の対策(斜面・水の管理に寄せる)アゾレス自治政府側でも、環境分野の介入として斜面の安定化や、河川での保水(retention basins:貯留・遊水的な施設)に触れている。方向性は「崩れやすい場所を補強する(物理的対策)」+「水を受け止める(流量ピークを抑える)」に寄る。これは、嵐が来た瞬間の破壊力(表層流・侵食・斜面崩壊)を“少しでも鈍らせる”発想で、今後の気象リスクの増加を前提にした備えになっている。
6. 脅威の主役が変わる(外来種 → 物理破壊)以前は「外来種が餌や森を奪う」が中心だったが、今はそれに加えて、気象災害による“物理的な破壊(崩壊・洪水・高波)”が、より直接的な脅威として前に出てくる。外来種管理は“じわじわ効く慢性の問題”になりやすい。一方で土砂崩れは“一回で奪う急性の問題”。どちらも危険だが、一点集中の生息域では急性ダメージの重さが跳ね上がる。さらに「雨がトリガーの主因(70%)」という土台があるため、嵐のたびにこのリスクが現実味を帯びる。

島に入ってくる外来種から守る取り組みは、これからも続ける必要があるよね。そのうえで、今度は気候変動で土砂崩れが起きないように、何かしらの対策も必要になってくるのかな。
(防波堤っていうより、斜面の補強とか、水の流れをコントロールする仕組みとか、そういう方向の話かもしれないけど。)
それにしても、アゾレスウソが住んでる“あの一点集中の場所”だけは、どうか被害が出ないでほしいって祈っちゃうよ。

ところで、「低気圧フランシス」で、アゾレス諸島の被害ってどれくらい出たんだろう?

出たというより今まさに通過中かもしれないので、(2026年1月1日)話ですから、気になります。

ちょっと調べてみます。


観点要点(2026年1月1日時点の整理)詳細(背景・なぜ危ないのか/アゾレスウソへの意味)
1) いま起きていること(低気圧 FRANСIS)低気圧「FRANCIS」の影響で、アゾレス諸島は雨・強風・高波になりやすい状況に入っている。IPMA(ポルトガル海洋大気庁)の特別情報では、1月1日(00UTC時点)に低気圧中心が西部群の北へ位置し、全島でにわか雨、風と波が強まる見通しが示されている。風は概ね北寄りで、東部群は最大で約95km/h級の突風が見込まれ、波も群ごとに増大する(例:東部群で有義波高5〜6m)。
2) 警報・注意報のニュアンス(「オレンジ」かどうか)現時点で確認できた範囲では、アゾレス諸島は、少なくとも「黄」相当(avisos amarelos)の説明が中心で、必ずしも「全島オレンジ」とは断定できない。RTP Açores では、IPMAの雨・風に関する黄色警報の延長が報じられている(中央群・東部群など)。警報色は島・グループ・要素(風/雨/波)で変わるので、「全島オレンジ」と言い切るより“島ごとの警報色を見て判断”が安全。 なお、SRPCBA(アゾレス地域の防災当局)は、IPMA警報色の閾値(風・降雨・波)も整理している。
3) “どれぐらい被害が出た?”への現実的な答え方1月1日当日の公式な総括(全島の被害総量)は、少なくとも私が確認できた公開情報だけでは未確定。ただし直前〜同種の荒天では、倒木・冠水・落石などの発生が実際に報告されている。「通過中」は情報が後追いで集計されることが多い。参考として、直前の荒天では SRPCBAが“道路の閉塞、構造物や樹木の倒壊、落石、路面冠水”などを含む複数件の発生を公表している(例:サンミゲル等を含む“19件”の報道)。なので現時点は、被害“規模”を断定せず、タイプ(倒木・冠水・落石)と発生しやすい場所を押さえるのが確実。
4) 土砂崩れが怖い“土地の条件”サンミゲル島は、地形・地質の条件上、雨が続くと斜面崩壊が起きやすい。火山島特有の斜面・堆積物に加えて、豪雨時は表層が飽和しやすい。研究ではサンミゲル島の土砂災害が降雨を主要トリガーとして起きることが整理されており、雨が続くほど警戒が上がる。
5) 「70%が雨」=“嵐が来るたび緊張”の理由土砂崩れが“地震だけの話”ではなく、雨が主役になりやすいのがポイント。研究ベースの整理で、サンミゲル島の斜面変動・土砂災害は降雨条件が大きく関与する。だから、FRANCISのような低気圧で降雨・突風・高波が重なると、直接の災害(冠水・落石)だけでなく、「雨が止んだ後の緩み」も含めてリスクが残る。
6) アゾレスウソ(Priolo)にとっての“本当に怖い形”生息域が狭いので、もしコア生息地で大きな崩壊が起きると「一撃」が致命傷になり得る。アゾレスウソはサンミゲル島の限られた月桂樹林(Pico da Vara周辺のSPA)が最後の拠点として重要視されてきた。生息地が一点に寄るほど、災害が“局所”で済まず、餌場・繁殖環境の損傷が連鎖しやすい。
7) 対策の方向性(「防波堤」だけが答えじゃない)ハード対策(補強)だけでなく、自然を使う対策(NbS)も“現実の選択肢”として語られている。SRPCBAは注意喚起の枠組みを提示しつつ(風雨波の閾値や自助の呼びかけ)、現場レベルでは「斜面を安定させる」「水を受け止める」発想が重要になる。ここで効いてくるのが、後述の在来植生の回復のような“地面を掴む対策”。
8) 「自然の要塞」的な復元(在来林回復・外来種管理)コンクリで固める一択ではなく、在来植生の回復(例:在来林・下層植生の復元、外来植物の抑制)が、保全と防災の両方に効く可能性がある。EU LIFEの既存プロジェクト群は、Priolo保全の文脈で在来の月桂樹林の回復を重視してきた(Pico da Vara周辺の保全)。 さらに、斜面復元でハイドロシーディング等の手法が議論されることもあるが、「10年間一度も崩れていない」といった断言は、一次資料での明確な裏取りが必要なので、ここでは“在来植生回復が斜面安定に寄与し得る”までに留めるのが安全。
9) 「一点集中」をどう薄めるか(生息地の連結・拡張)目標は「ここに何かあったら終わり」を薄めること。LIFE等の枠組みでは、保全地の管理だけでなく、回復した森を面で広げたり、つなげたりして、生息地の“逃げ道”を増やす発想が出てくる。加えて、気候変動対応を掲げる大規模LIFE統合プロジェクト(例:LIFE IP CLIMAZ)も進んでおり、適応策・管理体制の強化が議論されている(総予算約1,992万ユーロ規模)。

これ正月の今、通過してるってことじゃん。しかも東部群は最大で約95km/h級の突風って、風力実験ドームの中みたいになっちゃうってことかな。
今まさに通過しているのか詳しいことはわからないけど、随時検索して見てみるね。できることなら、東部を避けて通過してくれることを祈るよ。

私も今これ書いていて、調べていたらSNSで知ったんですけど、心配ですね。
遠く日本からですけど、アゾレス諸島で暮らす生き物たちに穏やかな気候が戻りますよう願っています。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

アゾレスウソに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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