※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。
こんにちは、鶏人|Keijin です。
今回は、パタゴニアオポッサム(学名:Lestodelphys halli)が教えてくれた、「生息域の限界点」の話です。
気候変動による乾燥化などに悩まされているパタゴニアで暮らすこのオポッサムは、2014年の図鑑では「LC:低懸念」。
そして最新のレッドリストでも、評価は同じく「LC:低懸念」のままでした。
だからこそ、パタゴニアオポッサムは今も、「風に削られた、最後の居場所」――そんな場所で踏ん張っているんだと思います。
この記事は短く、5分で読めます。
よかったら最後まで読んでください。
※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2025年版です(以降の更新は確認されていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Lestodelphys halli)
「低懸念」でも安心できない|砂漠化と気候変動が押し上げる“限界”
⬇︎パタゴニアオポッサムの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 和名 | パタゴニアオポッサム |
| 英名 | Patagonian opossum |
| 学名 | Lestodelphys halli |
| 分類 | 哺乳類・有袋類(オポッサム科 Didelphidae) |
| 分布 | 南米アルゼンチンのパタゴニア草原〜モンテ砂漠(南寄りの乾燥地帯) |
| 主な生息地 | 乾燥した低木林・半砂漠・草原(乾いた開けた環境) |
| 体長 | 頭胴長 約13.2〜14.4cm/尾長 約8.1〜9.9cm(全長は約21〜24cm級) |
| 体重 | 数十g(報告例:48g、上限は約90gとされる) |
| 寿命 | 本種の寿命情報は少ないが、近縁の多くのオポッサム類は野生で1〜2年程度とされる |
| 保全状況 | IUCNでLC(低懸念)として扱われる |
特徴
- 名前の由来:パタゴニア周辺に分布することから「パタゴニアオポッサム」と呼ばれる種である。
- 小型で地上性:小型のオポッサムで、生活の中心は地上である。
- “袋”がないタイプ:メスは乳首(乳頭)が多い一方で、育児嚢(いわゆる袋)を持たないとされる。
- 省エネが得意:寒冷・乾燥地に適応し、日周性のトーパー(休眠に近い省エネ状態)を示すことがある。
生態と行動(※くらし・食べ方・ふえ方)
- 活動:夜行性で、単独で行動することが多いとされる。
- 食性:主に昆虫食寄りで、小型の脊椎動物(小型哺乳類・鳥類など)も利用する、肉食性が強めのオポッサムである。
- 繁殖:有袋類であり、育児嚢は持たないが授乳で子を育てる(乳頭数が多いとされる)。
- 脅威:乾燥化(砂漠化)や生息地の劣化が主要な懸念として挙げられる。
最終評価2025年:パタゴニアオポッサム「LC:低懸念」
近年までこの種はおよそ南緯33〜48度の範囲から得られた10点以下の標本域によって知られるのみだったが、フクロウのペレットから提示された残がいに基づき、現在ではその生息域は 90を超えるほどに増えている。この種へのおもな脅威はパタゴニアの砂漠化による生息地の喪失である。
出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014
| 区分 | 要点 | 詳細・補足 |
|---|---|---|
| 現状の位置づけ(2026年時点) | 主要な脅威は「砂漠化による生息域の喪失」のまま | ただし2014年当時よりも「砂漠化」という言葉の中身が分解され、土地利用(過放牧など)+気候変動(乾燥化)+分断化の相乗効果として、より多角的に分析されるようになった。 |
| 保護状況(レッドリスト) | IUCNレッドリスト:低懸念(LC) | 最新評価でもLC。ただし「分布や生態の情報が非常に少ない」という注釈がつき、NT(準絶滅危惧)に近いと見る研究者もいる(=“LCだから安心”ではない、という含み)。 |
| LC判定に寄与した要素 | 「想定より広い分布」が確認された | フクロウのペレット(未消化の吐き戻し物)調査などにより、かつて考えられていたより広い範囲、90地点以上で生息が確認された。 |
| 主要脅威の整理(全体像) | 2014年の「砂漠化」が、現在は“具体的な要因群”として説明される | ①過放牧(地表破壊)②気候変動(乾燥化の加速)③生息地分断(道路・鉱山・土地利用変化)に分けて語られることが多い。 |
| 脅威① 過放牧による土地の劣化 | 砂漠化の最大要因として扱われる | パタゴニア全域で100年以上続くヒツジの過放牧が継続。植物が食い尽くされ、踏み固められて地表被覆が失われる。結果として、パタゴニア特有の強風で表土が飛び、砂漠化が進行。オポッサム側では隠れ家の喪失と、獲物(昆虫・小型齧歯類など)の減少につながる。 |
| 脅威② 気候変動による乾燥化の加速 | 近年、降水量の減少が大きな脅威として浮上 | 降水パターンの変化により、地域によっては降水量が20%減少すると予測される、という見立てもある。乾燥に強い種であっても、生息可能な限界を超えるエリアが出てくる可能性が示唆される。 |
| 脅威②(続)温度上昇の影響 | 生理面(エネルギー調整)への悪影響が懸念される | 本種は日内休眠(Torpor)=数時間だけ体温を下げて省エネする能力を持つが、極端な気温上昇がこの調整メカニズムに悪影響を及ぼす可能性が示唆されている。 |
| 脅威③ 生息地の分断 | 生息地が細切れになっていく | 道路建設、鉱山開発に加え、最近では放牧地の放棄→野生化→環境変化のような土地利用の変化も絡み、生息地が連続しにくくなる。 |
| 2014年以降の新しい知見(位置づけ) | 「最南端の有袋類」としての適応が再評価 | 現生有袋類の中で最も南、南緯約49度付近まで生息。寒冷・乾燥という過酷条件への適応能力が高い点が、改めて注目される。 |
| 2014年以降の新しい知見(保全の動き) | 土地の回復を狙う取り組みが拡がりつつある | アルゼンチンのサンタクルス州などで、放置された牧場を国立公園化する動き、野生動物に配慮した再生型牧畜の導入などが進み、砂漠化に歯止めをかけて生息環境を回復させる試みが始まっている。 |
| まとめ(見方の変化) | 脅威は「砂漠化」だが、意味が深化した | 2014年頃は「希少でよくわからない動物」という印象が強かったのに対し、現在は「気候変動」と「土地利用」の影響をダイレクトに受けるパタゴニア生態系の指標種としての認識が強まっている(=“守るべき対象”であると同時に、“環境変化を映す存在”として見られ始めた)。 |
Lestodelphys halli は現在も砂漠化に伴う生息地喪失を主要脅威とするが、その要因は過放牧による土地劣化、気候変動に伴う乾燥化・高温化、生息地分断へと細分化され、相乗的影響が重視されている。IUCNではLCだが、ペレット調査等で分布拡大が確認された一方、生態情報の不足が指摘され、指標種としての評価が高まっている。
⬇︎パタゴニアオポッサムの保護活動の種類です。必要なら開いてください。
| 保護活動の種類 | 内容の概要 |
|---|---|
| 生息地の保全(砂漠化・土地劣化対策) | 主な脅威は、パタゴニア地域の砂漠化の進行に伴う生息地の喪失とされるため、草地・低木林など乾燥地環境の劣化を抑える土地利用管理や生息地保全が重要。 |
| 保護区の維持・管理 | 種は分布域内の複数の保護地域で確認されており、既存保護区の維持・適切な管理(開発圧の抑制など)を通じて生息地を確保する。 |
| 研究とモニタリング(分布・生態・個体群) | 生態や正確な分布に不明点が多く、継続的な調査が必要とされる。フクロウ類のペレット(吐き出し)由来の遺骸解析などにより産地情報が増えており、こうした手法も活用して分布・生息状況を把握する。 |
| 人為的改変の影響低減 | 大規模な直接脅威は限定的とされる一方、一部個体群は人為的な生息地改変の影響を受けうるため、局所的な開発・改変の抑制が望ましい。 |
最後に
これを読んでみて、どう感じましたか?
表に赤ペンでマークしてみたんだけど、羊の放牧の話はいったん置いといて。
この地域って、もともと乾燥してて暑いのは当たり前で、その土地に適応した種が生きてるんだと思うんです。
でも近年の気候変動で、「これ以上暑くなって、乾燥が進んだら……もう限界なんですけど」って、そんな声が聞こえてきた気がしたんですよね。
うん、ほんとに声が聞こえそうですよね。
この地域の砂漠化が、実際どれくらい進んでいるのか。
数年後のデータも含めて、もう少し調べてみます。
| 観点 | いま起きていること(現状) | 数年後どうなる?(予測・含意) |
|---|---|---|
| ねらい(前提) | 家畜(ヒツジ)の影響はいったん横に置き、「気候と物理環境」だけに絞って、パタゴニアの砂漠化の進み方を多角的に整理した。 | 砂漠化は「土地利用」だけでなく、気候の変化(乾燥・高温・風)で加速し得るため、短期でも“段階が一つ進む”リスクがある。 |
| 砂漠化の現状(全域の規模感) | アルゼンチン国立農牧技術研究所(INTA)などの最新データ(2025-2026年時点)として、パタゴニア全域(約78万km²)のうち、実効的に90%以上が何らかのレベルの砂漠化に直面している、という整理。 | 「砂漠化=一部の荒地」ではなく、地域の大半が連続的に悪化し得る状態だという前提になる。回復力が残る場所が減るほど、極端気象の影響が出やすくなる。 |
| 砂漠化の進行度(推計の内訳) | 軽微(Slight)約9%:まだ回復力がある/中程度(Moderate)約17%:植物多様性が減り始め/深刻(Severe)約35%:表土露出・風食が激しい/極めて深刻(Very Severe)約33%:岩盤や砂のみで生命維持が困難、という区分で整理。 | この配分を見ると、すでに「深刻+極めて深刻」だけで約68%に達している。ここがさらに広がると、生態系の回復は“対策があっても追いつきにくい局面”に入る。 |
| 種との関係(中央台地) | パタゴニアオポッサムの主要生息域である「中央台地」では、深刻カテゴリが拡大していて、「適応の限界」を超えつつあるエリアが増えている、という見立て。 | 生息域の質が落ちると、分布が“ある/ない”だけじゃなく、個体群が薄くなる・途切れる(局所絶滅が増える)方向に進みやすい。 |
| 気候要因① 降水の変化(雨のカーテンの縮小) | アンデス山脈による雨影(レインシャドウ)が、近年さらに極端化。さらに南半球環状モード(SAM)の変化で嵐の通り道が南(極側)へずれ、北中部へ雨が届きにくい、という整理。 | 雨の入り方が変わると、同じ“年間降水量”でも、必要な季節に水が来ない状態が起きる。乾燥の「常態化」が進み、砂漠化がじわじわ広がる土台になる。 |
| 気候要因①(具体例:2025年) | 2025年の「冬の消失」として、パタゴニアの一部で冬の降雪が例年の45%以下という歴史的記録が出て、夏の水不足が「絶望的」なレベルになった、という説明。 | こういう年が“例外”から“繰り返し”になっていくと、植生の回復が追いつかず、中程度→深刻への移行が短いスパンで起きやすくなる。 |
| 気候要因② 蒸発の加速+強風 | パタゴニアはもともと強風だが、気温上昇で潜在的蒸発散量(乾かす力)が増え、降雨による補給を上回りやすい。気温が1℃上がるごとに空気が水分を奪う力が増す、という整理。 | 土が乾けば乾くほど、風で表土が飛びやすくなり、風食→植生衰退→さらに乾燥の循環が強まる。小さな変化が“戻れない変化”になりやすい。 |
| 気候要因②(生物側の実感) | 小型哺乳類にとっては、呼吸するだけで水分が奪われるような過酷さへ近づく、という感覚的な表現。 | 乾燥が進むほど、活動できる時間帯や場所が狭まり、結果として採餌・繁殖・回避行動の余裕が削られる(=“生き残れるけど増えにくい”状態が続き得る)。 |
| 気候要因③ 熱波(熱の記録の更新) | かつて冷涼だったパタゴニアでも、2020年代に入り35°C超の極端な熱波が観測されるようになった、という整理。 | 極端高温が増えると、乾燥とセットでダメージが増える。特に“夜の冷え”が弱いと、体力回復の余地が減る。 |
| 気候要因③(生理との衝突) | オポッサムは夜間に体温を下げて省エネする休眠(Torpor)を行うが、「夜が冷えない」ことは死活問題になり得る、という指摘。 | 数年レベルでも、熱波の頻度と夜間高温が増えれば、エネルギー調整が効かない日が増える=“耐えられる範囲”が縮む可能性がある。 |
| 2026〜2027の短期予測(乾燥) | 科学的予測モデルに基づく整理として、ラニーニャの影響が続き、アルゼンチン南部がさらに乾燥する予測が出ている、という説明。 | この期間に、さらに数%の土地が「中程度」→「深刻」へ移行することが危惧されている、というシナリオ。 |
| 生息域の変化(南下・山側へ) | 2014年の図鑑記述よりもさらに南、あるいはアンデス山脈に近い、わずかに湿り気が残る場所へ、分布が押しやられる(または北側個体群が消える)可能性がある、という整理。 | 逃げられる場所が“線”のように細くなると、局所個体群の孤立や、条件が悪い年の連鎖的消失が起きやすい。 |
| 湿地(マリン)の消失 | 砂漠内に点在する貴重な湿地(水飲み場)が、2030年までに30%以上縮小・消失する、というシミュレーションもある、という説明。 | “点の水”が減ると、乾燥地では影響が大きい。水場の喪失は、生息可能域の急な縮小や、移動・分散の失敗につながり得る。 |
| 歴史的な教訓(化石が示す移動) | 化石研究から、更新世〜完新世初期には、もっと北のアルゼンチン中央部(パンパ地方)にもいたことがわかっている。気候が暖かく湿潤になるにつれ、「乾燥した涼しい場所」を求めて南へ逃げてきた、という整理。 | いま南端で限界を感じているのは、「もうこれ以上南へ逃げられない(逃げ場がない)」という物理的な行き止まりに近づいているからかもしれない、という含意。 |
| 全体まとめ(気候・物理環境だけで見た結論) | 砂漠化は、降水の入り方の変化、蒸発散の増大、熱波・夜間高温、強風による風食が重なり、「当たり前に乾燥して暑い土地」から、“限界を押し上げる土地”へ変わりつつある、という整理。 | 数年後(〜2030)に向けては、乾燥の継続と水場の縮小が重なり、砂漠化のカテゴリ移行と生息域の押し込みが進むシナリオが想定される。つまり、聞こえてきた「これ以上は無理」という声は、気候と物理環境の同時進行の結果として説明できる。 |
夏の水不足が「絶望的」って言われてて、しかも2030年までに湿地が30%以上縮小するかもしれない。
……縮小ならまだしも、場所によっては消えてしまう可能性もあるってことだよね。
それに、化石は、「ここが限界点なのに、もう先はないよ」って語ってる。
ちょっと……なんとかならないのかね。
うん……ほんと、そう思います。
きっと地球の気候って、数千年とか、もっと長い時間をかけて、ゆっくり変わってきたんだと思うんです。その“ゆっくりさ”って、たとえば原生林の樹木が育つスピードに合うくらいの変化だったんじゃないかな、とも感じるんですよね。
でも今の気候変動は、人類が化石燃料っていう、地球を動かす「タイムマシンの燃料」みたいなものを使ったせいで、樹木の成長を追い越してしまった。
それだけじゃなくて、いろんな生物の「生息地の限界点」すら越えていくスピードで、進んでいる気がするんです。
出典:The velocity of climate change
石炭を掘り出して、労働を効率化するためにいろんな“タイムマシン”を作って使い出した――産業革命から約250年。絶滅危惧種のことを日々調べていて、強く感じるのは、そのスピードに世界中の生き物たちが追いつけていないってことなんですよね。
研究はいろいろあるけど、歪められた情報やフェイクも多くて、何が本当かわからなくなってきてる現代社会でも……これだけは言えると思う。
今、世界中の生き物たちは、環境の変化に追いつけなくて困ってる。
人類は、同じ化石燃料を使って、乾燥や暑さを“自分たちの都合のいい範囲で”調整できる。
でも、これ以上気候変動が進んだらどうするんだろう?、人類は地球全体を覆って気候を調整する技術でも開発するつもりなんでしょうか?
話を最初に戻すけど、そんなもの開発しないでも、もともと原生林がその役目をしてはずなんですけどね。
ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?
コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。
あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。
パタゴニアオポッサムに、あなたの5分が届くことを祈ります。
鶏人|Keijin




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