11年後のレッドリスト|ヌラギカオダマキ:更新されない評価が、沈黙を育てている【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|ヌラギカオダマキ:更新されない評価が、沈黙を育てている【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

ヌラギカオダマキ(Aquilegia nuragica)は、

2014年、図鑑に【CR:深刻な危機】として分類されていました。

2006年、IUCNレッドリストで、【CR:深刻な危機】と評価されました。

つまり、2014年から2006年にかけて、ヌラギカオダマキは

「更新されない評価が、沈黙を育てている」状態なのです。

※2025年時点で、IUCNレッドリストにおけるヌラギカオダマキの最新評価は2006年版です。それ以降の更新は行われていません。

この記事は、とても短く5分で読めるので、どうぞ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含んでいます。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:https://www.iucnredlist.org/species/61672/12520091

ヌラギカオダマキの現状と、知られることの危うさ

⬇︎ヌラギカオダマキの生態です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

基本情報|ヌラギカオダマキ(Nuragic columbine)
項目情報
和名ヌラギカオダマキ
英名Nuragic columbine
学名Aquilegia nuragica
分類被子植物・キンポウゲ科(Ranunculaceae)
分布イタリア・サルデーニャ島の1つの峡谷(ゴロップ渓谷)にのみ知られる固有種
主な生育地季節河川フルミネッドゥ川沿いの、ほぼ垂直な石灰岩の湿った崖
草丈(高さ)約20〜35cm(条件によっては〜45cmとされる)
体重不明(植物のため通常は体重で示されない)
寿命多年草(perennial)
保全状況(IUCN)CR:深刻な危機

特徴

  • 名前の由来:「nuragica」はサルデーニャ島のヌラーゲ文明(青銅器時代)に由来する、と説明されています。
  • 花の特徴:うつむくように咲く淡い青〜白系の花で、オダマキ属らしい「距(きょ)=蜜のたまる突起」を持ちます。
  • “崖の住人”:生育場所がとにかく特殊で、人が近づきにくい湿った垂直の崖に張りつくように生えます。

生態と行動

  • 生息域が極小:峡谷のごく小さな面積(数十㎡〜約1000㎡規模の範囲)に、単一の個体群として知られます。
  • 洪水に弱い:崖から落ちた種が川原に出ることもありますが、季節的な増水で流されやすいとされています。
  • 脅威(人為+自然):主因は増水(洪水)など自然要因とされつつ、観光・クライミングなどのレクリエーションや、採取(コレクター)がリスクになり得る、と整理されています。
  • 保護の現状:法的保護は十分でない一方、現地モニタリング継続や、植物園での栽培・種子保存などの必要性が提案されています。

2014年絶滅危惧種:ヌラギカオダマキ【CR:深刻な危機】

ヌラギカオダマキは、人為的な影響ではなく、自然の成り行きで絶滅の危機にさらされている。しかし、旅行者のウェブサイトに記載されることがあり、収集家の関心をひくかもしれない。

出典:訳者 岩槻邦男,太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル「IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑」/発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 ©️Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

項目内容(要約)根拠・補足
種名ヌラギカオダマキ(Aquilegia nuragica
分布イタリア・サルデーニャ島/ゴロップ峡谷(Gorropu canyon)に単一個体群Top 50 種ページで「Gorropu canyon の単一個体群」と明記
生息地の特徴石灰岩の崖など、極めて局所的で特殊な環境に依存生息地の限定性(単一地点・狭い範囲)は Top50 の説明と整合
生息範囲(面積)非常に狭い(資料では、約1000㎡ とされる記述あり)Top 50 種ページに “about 1000 m²”
個体数(推定)2006年前後の時点で、10〜15個体という記述が広く引用される10〜15個体(2006)言及
IUCN評価(最新)CR(Critically Endangered:深刻な危機)/2006年評価が最新(2025時点でも更新なし)2006年評価・CR
2014年図鑑での扱いCR(深刻な危機)として紹介図鑑記述は手元資料ベース
主なリスク(自然要因)落石・洪水などの突発変動に弱い/局所個体群ゆえ一撃が大きい“単一地点・狭い範囲”がリスクを増幅
主なリスク(生物学的要因)個体数が少なすぎて遺伝的多様性が懸念(近親交配リスク)Top50 Update(書籍ページ)で遺伝的ドリフト等に言及
主なリスク(人為的要因)観光による踏みつけ/採取(収集)などの懸念“Top 50” 取り上げ・希少性により人為リスクが語られがち(一般論)。記事では「懸念として指摘される」表現が安全
保全・注目IUCN Top 50 Mediterranean Island Plants(Top50)の対象種として周知Top50サイトに種ページ

ヌラギカオダマキ(Aquilegia nuragica)はサルデーニャ島ゴロップ峡谷の石灰岩崖に局在する狭域固有種で、分布は約1000㎡とされる。個体数は2006年前後に10〜15個体と推定され、2025年時点でもIUCN最新評価(2006年)はCRのまま更新がない。

IUCNの「Top 50 Mediterranean Island Plants」にも選定され、確率的攪乱、遺伝的多様性低下、乾燥化や観光・採取圧が存続を脅かす。
出典:The Top 50 Mediterranean Island Plants UPDATE 2017

⬇︎ヌラギカオダマキの主な保護活動の種類です。必要に応じてご覧ください。⬇︎

保護活動の種類内容の概要
生育地(渓谷の石灰岩崖)の厳格保全本種はサルデーニャ島ゴロップ渓谷の湿った垂直の石灰岩崖という極めて限定的な環境に依存するため、崖面と周辺環境の改変・攪乱を避けて生育条件を維持する。
レクリエーション圧の抑制個体群近傍でのクライミング等のレクリエーション活動を禁止し、踏圧や落石誘発などのリスクを低減する。
採取(採集)の禁止・抑止研究者・観光客・収集家による採取が脅威となり得るため、採取の厳格禁止と監視を徹底する。
位置情報の秘匿と情報管理観光サイト等で言及されることで収集を誘発し得るため、正確な自生地情報の公開を避けるなど情報管理を行い、現地への誘引を抑える。
保護区・制度的保護の強化自生地はNatura 2000サイト内に含まれる一方、法的保護が十分でない点も指摘されるため、保護区管理の実効性向上と制度整備を進める。
研究とモニタリング既存の定期的な現地モニタリング(成熟個体の年次確認など)を継続し、個体数・繁殖状況・生育環境の変化を把握して対策を更新する。
種子保存・植物園での域外保全(ex situ)予防的措置として種子の域外保存(シードバンク)を開始し、植物園での栽培を進めて絶滅リスクを分散する。
移植・再導入(トランスロケーション)ex situで育成した個体を用い、適地への移植・再導入を段階的に実施して、単一個体群依存を緩和する。
生殖生態・分布の追加研究分布の精査、生殖生態・生態学的要求の解明を進め、保全設計(適地選定や管理条件)に反映する。

最後に

これを読んでみて、どう感じました?

「Top 50 Mediterranean Island Plants」って、なんだか“選ばれし種”みたいで、すごい響きがありますよね。でもよく考えたら、これって「いま消えかけてる種」ってことなんだよね。
それに、こういうのに選ばれた種がブログやSNSで広まったりすると、簡単に行ける場所じゃないにしても……ちょっと心配になる。

うん、わかります。2014年の図鑑にもあった「収集家の関心」って話ですよね。

そのあたり、もう少し調べてみます。


概念・用語解説(何が起きる?)保全上の問題点(なぜ深刻?)
「Top 50」というリストの功罪光(SOSの可視化):IUCNが「地中海諸島の植物トップ50」を作った本来の狙いは、「これ以上ないほど絶滅に近い種」を可視化し、資金援助・法整備・保全施策を急がせるための政治的ツールとして機能させること。「選ばれし種」という響きは、無関心な層を振り向かせるための戦略でもある。影(トロフィー化):一方で、リスト化そのものが裏目に出ることがある。コレクションの“チェックリスト化”:切手やコイン収集のように「コンプリートしたい」心理を刺激する。希少価値の公的証明:「世界で最も希少な50種」という“お墨付き”が、闇市場やマニア間での価値(ステータス)を皮肉にも高めてしまう。
人為的アリー効果(Anthropogenic Allee Effect)通常、生物は数が減ると捕獲が難しくなり、ハンターは採算が合わず諦める。しかし希少種では逆に、「珍しいからこそ、コストをかけてでも手に入れたい」という動機が働く。専門用語では、この逆転現象を人為的アリー効果と呼ぶ。絶滅の渦(負の連鎖):個体数が減る → 希少価値が上がる → さらに執拗に狙われる → 絶滅する。「Top 50」のような公的リストが、この連鎖を加速する“燃料”になる恐れがある。
インターネット時代の「サイバー・ポーチング(密猟)」「ブログやSNSで広まると心配」という懸念は現代において最大級の脅威。悪意のない旅行者の投稿でも、写真のExif(GPS情報)や背景の地形・岩肌・植生などから、収集家が自生地を特定して盗掘に向かう事例が多発している。“到達困難”が付加価値になる:ヌラギカオダマキのように「垂直な崖にあり行くのが難しい」という条件は、一部の過激なマニアにとって冒険のトロフィー価値をさらに高める。「誰も持っていないものを、苦労して手に入れた」という征服欲が働く。
ヌラギカオダマキ特有の「栽培の難しさ」と悲劇石灰岩の垂直な崖の隙間という特殊環境に適応して進化した植物は、一般家庭や温室での栽培が極めて困難。環境条件を再現できず、持ち帰った個体の多くは適応できない。持ち帰っても枯れる → 無駄な死:収集家がリスクを冒して持ち帰っても、ほとんどの場合は枯れる。つまり、自生地から貴重な個体が失われるだけで、誰の手元にも残らないという「無駄な消費」が起きうる。

保全生態学では、希少性が保全を促す一方でリスクを増幅する「希少性のパラドックス」が問題となる。IUCNのTop 50のようなリストは資金・制度整備を喚起する政治的装置であるが、同時に“チェックリスト化”や希少価値の公的証明を通じて収集欲を刺激し得る。さらに人為的アリー効果により、個体数減少が希少価値を高め、採取圧が増す負の連鎖が生じる。ネット時代はExif等から自生地が特定されるサイバー・ポーチングが加速要因となり、加えて特殊環境適応種では栽培困難ゆえ盗掘が無駄な損失に直結する。


「公式リスト」みたいなのがあると、カードを集めるみたいになっちゃうのかな。だから、リストの欠けたピースを埋めるために無理しちゃう人が出てくる。
でも、連れてきても育たないなら、結局かわいそうなことをするだけ…ってことだよね。

うん、すごくわかる。私も昔、プロ野球カード集めに夢中になったことがあってね。
カードってアルバムみたいなのが用意されていて、ペラペラめくれるんだけど、そこに“何も入ってないページ”があると、妙に悲しくなるんだよね。その気持ち、すごくよくわかる。
…でも、いま話してるのはカードじゃなくて命の話だから、ここは一回考えを戻すね。

たとえば、登山中に見つけた花を写真に撮って、SNSに投稿したとする。
その花が、本人は気づかないまま「すごく貴重で、絶滅寸前の種」だったとする。
それを見た収集家の人は、きっと「一度見てみたい」って心が踊ると思う。ワクワクしながら日程を決めて、場所を特定して、出かけていくでしょう。
そして、いざその花を目の前にした瞬間、ワクワクはドキドキに変わる。周りには誰もいない。
……さあ、あなたならどうする?

私だったら、もし“その欠けたページに入るプロ野球カード”が地面に落ちていたら、拾って自分のものにしてしまうと思う。たとえそれが、誰かの大切なカードだったとしても。

でも、そのカードが揃ったアルバムを毎日眺めるたびに、たぶん心のどこかがモヤモヤすると思う。
そのうち思い立って、落とし物として警察に届けるかもしれない。

だけど、生物は違う。
モヤモヤしている間に、もう枯れてしまうかもしれない。

だから、観光地などで希少種がある場合は、スマホやカメラの撮影禁止はもちろん、場合によってはスマホやカメラを預けてもらって観光してもらう…みたいなことも、これからは検討していっていいのかもしれませんね。


ここまで読んで、『あなた』は、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてくれると、とても嬉しいです。

あなたの貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

ヌラギカオダマキに、あなたの5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

コメント