11年後のレッドリスト|イタヤラ:救われたようで、沈んでる【IUCNレッドリスト比較】

11年後のレッドリスト|イタヤラ:救われたようで、沈んでる【IUCNレッドリスト比較】 11年後のレッドリスト
※このページは、[IUCNレッドリスト]世界の絶滅危惧生物図鑑(2014年版)に基づいて制作した個人ブログです。
※画像はすべてAI生成(
DALL·E)によるイメージであり、実際の生物写真ではありません。

こんにちは、鶏人|Keijin です。

今回は、イタヤラ(学名:Epinephelus itajara)の「生きた価値」か「死んだ価値」か、そんな話です。

2014年の図鑑では、イタヤラは商業の漁でも釣りの遊びでも狙われ続けて、数が減ってしまって「CR:深刻な危機」と評価されていました。
ところが最新のレッドリストを見ると、場所によっては回復が見えてきたこともあって「VU:危急」に変わっています。

でもね、そこで終わりじゃなくて、個体数の傾向は Decreasing(減少)なんです。

この感じを見ると、イタヤラは今もまだ、「救われたようで、沈んでる」…そんな状態なんだと思います。

この記事は短めで、5分あれば読めます。
よかったら、最後まで読んでいってください。

※2026年時点で、IUCNレッドリストにおける最新評価は2016評価(2018年公開)です(以降の更新は、現時点では確認できていません)。
※本記事は専門家による学術的な評価ではなく、公開された資料に基づく個人の調査・見解を含みます。
※IUCN評価は「世界全体」と「地域・個体群」で分かれる場合があります。地域によって状況は異なります。
最新かつ正確な分類や保全状況については、IUCN公式サイトなどをご確認ください。
参考:IUCN Red List(学名:Epinephelus itajara

フロリダでは増えた。でも世界では減っている

⬇︎イタヤラの生態(基本情報)です。必要なら開いてください。

基本情報|イタヤラ(英名:Atlantic Goliath Grouper)
項目情報
和名イタヤラ(別名:ゴライアスハタ とも呼ばれる)
英名Atlantic Goliath Grouper / Goliath Grouper
学名Epinephelus itajara
分類条鰭綱・スズキ目系統(ハタ類)・ハタ科(Serranidae)・ハタ亜科(Epinephelinae)
分布大西洋の熱帯〜亜熱帯域。西大西洋(フロリダ周辺〜メキシコ湾・カリブ海〜ブラジル沿岸)を中心に、東大西洋(西アフリカ沿岸)にも分布するとされる。
主な生育地沿岸の浅い海域。岩礁・サンゴ礁・泥底、沈船などの構造物周辺。幼魚はマングローブや汽水域(河口域)を“育ち場”として強く利用する。
大きさ全長2m超に達することがある超大型のハタ。最大で全長2.5m級の記録がある。
体重最大で約363kg(約800ポンド)級とされる。
寿命30年以上(少なくとも37年級の記録がある)

特徴

  • 名前の由来:種小名「itajara」は、ブラジルの先住語(トゥピ・グアラニ系)で「岩の主」などの意味とされる説がある。
  • 見た目:頭が大きく、ずんぐりした体型で、斑点や帯状の模様が入りやすい。とにかく“岩のかたまり”みたいな迫力がある。
  • 大きさのインパクト:大西洋で最大級のハタの仲間として知られ、成魚は水中でも別格の存在感になる。
  • 行動:成魚は岩陰・沈船・穴など“根”になる場所を持ち、同じ場所に居つきやすい。
  • 保全状況:IUCNではVU(危急)として評価されている(過去にCR相当とされていた時期があり、地域によっては今もより深刻に扱われる)。

生態など

  • 生育環境:沿岸の浅場を中心に暮らし、幼魚期はマングローブや河口の汽水域が重要な生育場所になる。
  • ふえ方(繁殖):特定の季節に、限られた場所へ集まって産卵する(産卵集群をつくる)タイプとされる。こういう種は“一網打尽”になりやすい。
  • 育ち方:成長がゆっくりで、成熟まで年数がかかる(初成熟まで数年かかる)ため、減ると戻りにくい性質を持つ。
  • 脅威:過去の過剰漁獲(特に大型個体の狙い撃ち)、産卵集群の捕獲、幼魚の育つマングローブ減少などの生息地劣化が大きな圧力になる。
  • いまの難しさ:地域によって回復の兆しが見えても、育ち場(マングローブ)と産卵場(集群地点)が弱ると、増える力そのものが削られてしまう。

出典

最終評価2016年:イタヤラ「VU:危急」

イタヤラは商業的な釣りとスポーツとしての釣りの両方の対象となっており、成長の遅さと再生産率の低さ、そして集団放卵の習性が、乱獲に対してとりわけ弱いものにしている。

出典:訳者 岩槻邦男、太田英利 / 発行者 池田和博 / タイトル『IUCNレッドリスト世界の絶滅危惧生物図鑑』/ 発行所 丸善出版株式会社 / 発行 2014/01/31 / © Kunio Iwatsuki, Hidetoshi Ota, 2014

項目2014年の図鑑現在(2026年確認)
対象種イタヤラ(Goliath Grouper / Epinephelus itajara)Atlantic Goliath Grouper(Epinephelus itajara)
レッドリスト区分CR(絶滅危惧IA類)VU(危急種)
評価・公開の扱い図鑑掲載時点で「CR」として扱われているIUCN上は2016年に評価(Last assessed)され、2018年版として公開(訂正版の表記あり)
ランクが下がった主因(図鑑→現在)乱獲の影響が強く、絶滅リスクが極めて高いと判断されている広域での資源回復が一部で認められる一方、総合評価は「VU(A2bcd)」として整理されている(地域によって状況差が大きい前提)
「釣り(商業・レジャー)」の位置づけ商業漁業・スポーツフィッシングの両方の対象になり、乱獲に弱い漁獲圧は依然として主要リスクのひとつとして扱われ、管理の強弱によって地域差が出る状態
「全面禁漁(モラトリアム)」の影響禁漁や規制の効果はまだ十分に反映されていない時期の整理禁漁や強い規制で回復が見られる海域がある一方、再開や密漁・生息地悪化などの不確実性が残る
2023年の大きな動き(フロリダ州の遊漁)(記載なし)フロリダでは、抽選制の許可タグ方式で、年間最大200尾の限定的なレクリエーション採捕枠が運用されている(1人1尾、期間・サイズ・方法など制限つき)
論争・懸念(遊漁再開の評価)(記載なし)個体数の回復を根拠に「限定解禁は可能」とする見方がある一方、成長の遅さ・繁殖特性・回復の脆さから「時期尚早」とする反対意見も併存している
生物学的な弱さ(回復の遅さ)成長が遅く、再生産率も高くないため、一度減ると戻りにくい成長が遅いことや繁殖面の特性により、回復には長い時間がかかる性質は基本的に変わらない
個体数傾向(図鑑の文脈として)減少が強く懸念されるIUCN掲載情報では個体数傾向が Decreasing(減少)として扱われている
主な脅威の整理乱獲(商業・遊漁)に加え、生息環境の悪化が懸念漁獲圧(違法を含む)や沿岸環境の変化などが複合して影響し、全体としては脆弱性が残る

イタヤラ(Epinephelus itajara)は、2014年の図鑑ではCR(絶滅危惧IA類)として深刻な絶滅リスクが示されていたが、IUCNレッドリストでは2016年評価(2018年公開)によりVU(危急種)へと区分が変更された。一部海域での禁漁・厳格な規制に伴う資源回復が背景にある一方、成長の遅さや繁殖特性により回復速度は限定的で、密漁や生息地改変などの影響が残存する。フロリダ州では2023年に抽選制で限定的な遊漁採捕が導入され、管理方針を巡る科学的・社会的議論が継続している。

⬇︎イタヤラの保護活動の種類です。必要なら開いてください。

保護活動の種類内容の概要
漁獲禁止(禁漁・モラトリアム)乱獲で激減した経緯があるため、捕獲・所持・販売を禁止(または許可制で強く制限)し、成魚まで育つ時間を確保して回復を待つ
産卵集団の保護毎年決まった場所に集まって産卵する性質があり、その瞬間が「一網打尽」になりやすいので、産卵場や産卵期の保護を重視(立入・採捕の抑制など)
生息地(マングローブ・河口域・リーフ)の保全幼魚期はマングローブや河口域を使い、成魚は岩礁・沈船・リーフなどに依存するため、沿岸の開発や水質悪化を抑え、成長段階ごとの“居場所”を守る
海洋保護区・禁漁区の設定生息地や産卵場を含む海域を保護区として管理し、釣り・漁業・船の利用圧を下げて、長期的に資源が戻る環境をつくる
違法漁獲(密漁)対策と流通監視禁止・制限があっても密漁が残るため、取り締まり強化、流通経路の監視、違法販売の抑止などで“抜け道”を塞ぐ
キャッチ&リリースの適正化釣りで掛かること自体は起きるため、持ち上げない・短時間で放すなど、致死率を下げる扱い方を周知し、放流後の生存率を上げる
研究とモニタリング個体数の回復状況、産卵場への回遊、成長・繁殖の条件、生息地の変化などを調べ、保護策の効果を検証しながら管理を更新する
普及・教育(釣り人・地域・観光)「大きくて目立つ魚=狙われやすい」ので、保護の理由やルールを伝え、地域の理解を増やして、保全と利用の衝突を減らす

出典

最後に

読んでみて、どんなふうに感じましたか?

2023年に「フロリダでは、抽選制の許可タグ方式で、年間最大200尾の限定的なレクリエーション採捕枠が運用されている(1人1尾、期間・サイズ・方法など制限つき)」って書いてあったんだよね。

それで、「広域での資源回復が一部で認められてCR(深刻な危機)からVU(危急)にランクが変わった」って書いてある下にさ、「IUCN掲載情報では個体数傾向がDecreasing(減少)」ともあって。

なのに、なんで娯楽のためのゲームが再開されるのか、よくわかんなくて。読んでいて脳があっちゃこっちゃいって、「なんだそれ」ってなったよ。

いや、調べて書いていて私も「なんだそれ」だった。
そのあたり、もう少し詳しく深掘りしてみるね。


項目内容要点
ローカルな過密とグローバルな減少のギャップIUCNは世界全体を見て、乱獲や沿岸環境の悪化(マングローブの減少など)を背景に、個体数傾向を Decreasing(減少)としている。一方でフロリダ周辺では、1990年からの長期的な禁漁の影響で回復が見られ、「よく見かける」レベルまで増えたという認識が広がった。同じ魚でも「世界の評価」「地域の実感」がズレる
なぜ解禁? うしろにある「害魚扱い」の圧力回復してきたことで、釣り人や一部の関係者から「釣った魚を横取りされる」「邪魔だ」という苦情が目立つようになった。こうした声の中には「増えすぎて生態系を崩す」「高級魚を食い尽くす」などの主張も混ざり、間引きを求める空気が強まった。一方で当局は、限定解禁は「depredation(横取り)対策が目的ではない」と明記している。苦情は増えたが、解禁の公式目的は「横取り対策ではない」
「科学データ収集」という名目(建前と本音)フロリダ州の限定解禁では、個体数や年齢構成などの把握に必要な生物学的データを集める意図が語られている。一方で「致死的に捕獲しなくても調査はできる」という反論もあり、データ収集は釣らせるための免罪符ではないか、という疑念が残る。データ収集は目的とされるが、納得感は割れている
命の値段:最大500ドルの「トロフィー」限定採捕は抽選制で、応募時に申請料が必要。許可を得た場合、フロリダ居住者は150ドル、州外は500ドルで、タグ付きの採捕許可を購入する仕組みになっている。希少性がある魚が「高いお金を払って狙う対象」へ寄っていく構図が生まれる。保護対象が「金を払って獲る対象」に転じやすい仕組み
科学者の反対(脆さは残る)限定採捕に対しては、科学者や保護団体が反対の立場を明確にしてきた。「回復は見えるが歴史的水準には遠い」「環境変動などで一気に崩れる」「まだ脆い」という考えが根強い。こうした反対を押し切った背景に、フロリダのスポーツフィッシング文化・産業の影響を感じる人もいる。「回復した」より「まだ危ない」の見方も強い

確かに魚釣りは楽しいし、フロリダの人たちの気持ちもわかるんだけどね。
理由が「増えすぎて生態系を崩す」なら、わからなくもない
んだけど、「高級魚を食い尽くす」とか「邪魔だ」なんて、完全に自分勝手な人間中心的な考え方だよね。

それで、「フロリダ居住者は150ドル、州外は500ドルで、タグ付きの採捕許可を購入する仕組み」っていうのもさ。元絶滅危惧種を釣る権利が売られている、って見えちゃう。
しかも、そのつながった違う海では、まだ減っているって現実があるわけじゃないですか。

これ、どっかに莫大なお金の流れとか感じちゃうよ。

気になりますね。調べます。


項目内容要点
「莫大なお金の流れ」の正体「150ドル/500ドルのタグ代」そのものは、州全体の規模で見ると大金というより“仕組みの一部”に近い。より大きいのは、フロリダのレクリエーション・フィッシングが州経済に与える影響で、関連する支出(ボート、燃料、釣具、ガイド、宿泊など)が広く動く構造になっている。本命はタグ代ではなく、遊漁産業の規模そのもの
イタヤラが「商売の邪魔」になりやすい構図イタヤラが回復して目立つようになると、釣り上げ途中の魚を横取りされる体験が増えたと感じる層が出てきて、釣り人側では「Taxman」などの呼び名が広がることがある。ガイド業は「客が釣った魚を横取りされる=満足度が落ちる=商売に響く」という形で不満が強まりやすい。「横取りされる不満」が産業側のストレスになる
ロビー活動の影と、FWCの意思決定のクセフロリダ州のFWC委員は知事が任命し、州議会上院が承認する仕組み。委員の経歴を追うと、不動産・開発寄りの人物が目立つという指摘も出ており、「科学」だけで決まる場ではない、という不信感が付きまといやすい。さらにASAのような団体は「科学的管理」を掲げつつ、実態としては釣り人側のアクセス(獲る機会)拡大に強い関心を持つ。決定は“科学一本”ではなく、政治と産業の力学が混ざりやすい
「高級魚を食い尽くす」という言い分の扱い「イタヤラが増えすぎて高級魚を食い尽くす」という主張は、強い言葉のわりに根拠が薄いとされやすい。食性研究や報道では、主に甲殻類など動きの遅い獲物が中心で、釣り人が狙う魚を常に追い回して食べ尽くす、という単純な絵は支持されにくい。横取り(弱った魚の略奪)は起こりうるが、それは「生態系破壊」の証明とは別問題になる。「害魚化」のストーリーは作られやすいが、科学的には単純化しにくい
「科学データ収集」という名目の位置づけ限定採捕は「年齢構成や資源状態を把握するためのデータ収集」という目的も語られる。一方で、近年は非致死的な手法も発達しており、「殺さないと取れない情報なのか?」という反論が出る。ここが“建前と本音”の境目として疑われやすい。データ収集は理由になるが、納得度は割れている
「生きた価値」vs「死んだ価値」生きたイタヤラは、ダイビング観光の目玉にもなる。推計として「生きたままのほうが地域経済にもたらす価値が大きい」という見方があり、1個体あたりの観光価値を長期で評価する議論もある。いっぽう、釣りで殺す側は「タグの支払い+釣りの満足」が中心で、価値の置き方が真逆になる。観光(会いに行く価値)と遊漁(獲る価値)がぶつかる

「生きた価値」vs「死んだ価値」っていう整理が、いちばんわかりやすかったかな。
結局これ、生き物の話をしているというより、科学者抜きで「経済の話」をみんなで話し合った結果、こうなったってことだよね。
まるっきり科学者の声が消されて、経済界の大きな声だけが拡声器で大きくなって、フロリダの人たちに「死んだ価値」のほうがいいって判断させた、ってことなんだね。

昔の話なんですけど、タバコ産業で「タバコを吸うと癌になる」ってことが懸念されるようになった時、科学者たちがいろいろ考えて出した結論が「タバコを吸うと癌になる可能性がある」だったんですよね。
そうすると、タバコ業界に雇われている大物科学者が「タバコを吸っても癌にならない可能性も捨てきれない」って言って、ずっとタバコを売り続けている……みたいな話がある。

科学ってすごく力があるんだけど、こういうふうに絶対的な証拠がなかったりすると、弱くなったり、逆に強くなったりもしちゃうんだと思う。
そして科学が経済と絡むと、もうややこしくて、揚げ足取り状態になって、「もうそれ科学じゃなくなってないですか?」ってなってる。

だからこの話もそうなんだけど、基本に戻って考えると、なんかいいような気もするんですよ。
イタヤラは、誰のものとして生まれてきたわけでもなくて、種を残すために生まれたんだと思う。
人間の経済を安定させたり、ましてやゲームの賞金になるために、長い時間をかけて成長してきたわけではないと思うんですよね。

っていうと、釣り業界に雇われた大物科学者が「そのような意見もありますが、今は増えてます」って言って、堂々巡りしているうちにさ。
フィッシング業界は儲かって、その影でイタヤラはまた減っていって、元・絶滅危惧種(VU)から絶滅危惧種(CR)に戻る日が来ちゃうんだろうな……って思うんだよね。


ここまで読んで、あなたは、どのように感じましたか?

コメントで意見を聞かせてもらえると、とても嬉しいです。

貴重な5分間を、本当にありがとうございました。

イタヤラに、その5分が届くことを祈ります。

鶏人|Keijin

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